JP3589166B2 - 高周波励起型点光源ランプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波励起型点光源ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶プロジェクター用の光源には、例えば箔シールやロッドシールにより気密封止構造が形成されたシリカガラス製の放電容器内に、一対の電極が対向配置され、所定の発光物質が封入されたメタルハライドランプや超高圧水銀ランプが使用されている。
そして、最近、液晶プロジェクターにおいては、より一層の高輝度化が要求されており、その光源としてより一層大きい発光強度を有するものが必要とされることから、放電容器内の圧力の高い超高圧水銀ランプが用いられる傾向にある。
【0003】
しかしながら、気密封止構造を有する超高圧水銀ランプなどにおいては、気密封止部における耐圧性の問題から、放電容器内の圧力を十分に大きくすることができず、当該超高圧水銀ランプに得られる発光強度に限界があるため、気密封止構造を有するランプでは、液晶プロジェクターの高輝度化に十分対応することができない。
【0004】
一方、高い耐圧性を有するランプとして、気密封止構造を有さない無電極ランプが知られている。
ところが、従来の無電極ランプは、その放電形式が、通常、管壁安定型であり、アーク放電が放電容器の管壁に沿うものであるため、放電容器の管壁に大きな熱負荷がかかると共に、アーク放電をランプの中心に絞ることができず、形成される発光部が大きいものとなってしまう、という問題がある。
【0005】
また、特開平3−225744号公報においては、内壁に蛍光体層が形成されたガラス製の放電容器内に、外部に露出しないよう一対の内部電極が固定され、当該内部電極に対応する放電容器の外周に外部電極を配置した構成を有する放電ランプであって、当該外部電極に高周波電圧を印加することにより、外部電極と内部電極との間に形成されるコンデンサの容量結合によって内部電極間に放電を発生させ、この放電で得られる紫外線を蛍光体層で可視光に変換して利用する放電ランプが開示されている。
しかしながら、この放電ランプは、低圧放電ランプであって、大きな発光強度を得ることができない、という問題がある。
【0006】
以上のような背景から、大きな発光強度が得られる無電極ランプが特願平11−281928号において提案された。
この無電極ランプは、例えば放電容器は、透光性を有する非導電性材料よりなり、膨出部と、その一端および他端に連設された細管部とを有しており、当該細管部により放電コンセントレータが放電容器の外部に露出することなく支持されている。
【0007】
放電コンセントレータは、膨出部によって包囲される放電空間に突出する突出部を有し、放電空間内に生じる電界を集中させ、強めることにより、放電空間内に配置された突出部の先端において、放電を集中させるものである。
【0008】
以上の構成の無電極ランプは、例えば放電容器の細管部の外周に配置された外部導電体に高周波電源で高周波電圧を印加することにより、点灯される。
【0009】
ところで、放電コンセントレータの材料としては、放電容器を構成する材料より使用限界温度の高い材料であれば金属、非金属を問わず使用することが可能であるが、無電極ランプの外部より与えられるエネルギーを高い効率で受けるためにも高誘電率の物質が好ましく、実用には、金属やセラミックスが好適である。特に、放電容器内に発光物質として金属腐食性の物質、具体的には、イオウやハロゲン化物が封入される場合には、これらの物質と反応しないセラミックスを放電コンセントレータの材料として用いることが好ましい。
しかしながら、放電コンセントレータをセラミックスで構成した上記の無電極ランプは、放電が強い収縮を生じるような条件下で点灯すると、放電コンセントレータの突出部の先端が溶融・蒸発して、光源がちらついたり、放電容器が白濁するという、という問題があることが判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、本発明の目的は、セラミックス製の放電コンセントレータを有し、しかも良好な点灯状態を長時間維持することのできる高周波励起型点光源ランプを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の高周波励起型点光源ランプは、透光性を有する非導電性材料よりなり、放電空間を包囲する放電部と当該放電部に連設され外方に伸びる管状の封管部とを有する放電容器と、
円柱状の主体部と当該主体部から突出する突出部とにより構成され、前記放電容器の外部に露出することなく、前記主体部において前記放電容器の封管部に支持されて前記突出部が放電空間内に突出し、外部より与えられる高周波エネルギーにより生じる電界を集中させ、強めることにより、放電空間内に位置された前記突出部の先端において放電を集中させるセラミックスよりなる放電コンセントレータとを備えてなり、
前記放電コンセントレータは、前記突出部の先端から後方に向かって熱を移送する熱移送手段を有することを特徴とする。
【0012】
具体的に、本発明の高周波励起型点光源ランプは、少なくとも放電コンセントレータの突出部の先端領域において、赤外領域の光を吸収して発光する材料よりなる粒子が分散されていることにより高熱伝導性複合材料が形成され、これにより熱移送手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、少なくとも放電コンセントレータの突出部の先端領域に金属部材が埋設され、これにより熱移送手段が設けられていることを特徴とする。
【0014】
さらに、少なくとも放電コンセントレータの突出部の先端領域において、赤外領域の光を吸収して発光する材料よりなる粒子が分散されていることにより高熱伝導性複合材料が形成されると共に、少なくとも当該先端領域に金属部材が埋設され、これらにより熱移送手段が設けられていてもよい。
【0015】
本発明の高周波励起型点光源ランプにおいては、金属部材は、突出部の先端領域を越えて後方に伸びていることが好ましい。
【0018】
【作用】
以上のような構成の高周波励起型点光源ランプによれば、セラミックスよりなる放電コンセントレータに熱移送手段が設けられており、放電によって生ずる当該放電コンセントレータの先端における熱が後方に向かって移送されるため、当該放電コンセントレータの先端が溶融・蒸発することが抑制され、その結果、光源のちらつきや放電容器の白濁による照度の低下を防止することができる。従って、高周波励起型点光源ランプは、良好な点灯状態を長時間維持することができる。
【0019】
すなわち、セラミックスのみからなる放電コンセントレータでは、セラミックスは、その熱伝導率が例えばマグネシアで41W/(m・K)(at300K)と極めて小さく、その上、赤外線透過性を有するために赤外領域の光によって伝達できる熱も極めて少ないため、当該放電コンセントレータにおいては、その先端に受けたアークからの熱が後方に伝達されることがなく、当該先端に熱が留まってしまい、その結果、当該先端が高温となってしまうと考えられる。
そこで、上記のようにセラミックス製の放電コンセントレータに熱移送手段を設けることにより、当該放電コンセントレータの先端の熱を、少なくとも後方に移送させることができることから、本発明の高周波励起型点光源ランプにおいては、放電コンセントレータの先端が高温となることを防止することができる。
【0020】
少なくとも放電コンセントレータの先端を含む先端領域において、高熱伝導性複合材料が形成されている場合には、高熱伝導性複合材料が高い熱伝導性能を有するため、放電コンセントレータの先端の熱が後方に向かって移送される。
【0021】
また、少なくとも放電コンセントレータの先端を含む先端領域に金属部材が埋設されている場合には、金属部材が高い熱伝導率を有するため、放電コンセントレータの先端の熱が後方に向かって移送される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高周波励起型点光源ランプについて、具体的に説明する。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る高周波励起型点光源ランプの一例の構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1の高周波励起型点光源ランプにおける放電コンセントレータを拡大して示す説明図である。
この高周波励起型点光源ランプ10は、球状の放電空間15を包囲する放電部12と、当該放電部12の一端および他端に連設され外方に伸び、その外端部に封端部13Aを有する細管状の封管部13とよりなり、それ自体のみで完全に密閉されている放電容器11を有している。そして、この放電容器11の放電空間15内において、その先端22aが互いに対向するよう、一対のセラミックスよりなる放電コンセントレータ20が、外部に露出することなく放電容器11内において設けられている。
放電容器11は透光性を有する非導電性材料、例えばシリカガラスよりなるものである。
また、放電空間15内には、発光物質として、適宜の物質が所定量封入される。
【0025】
放電コンセントレータ20は、両端が半球である円柱状の主体部21と、当該主体部21から放電空間15内に突出する小径の円柱状の突出部22とにより構成され、当該主体部21において封管部13に支持されている。
ここで、放電コンセントレータ20は、外部より与えられる高周波エネルギーによって放電空間15内に発生する電界を突出部22の先端22aに集中させ、強めることにより、当該突出部22の先端22aにおいて放電を集中させ、点光源化を達成するものである。
【0026】
この図の例において、放電コンセントレータ20は、突出部22の外径r1が主体部21の外径r2より小さいものとされている。
また、一対の放電コンセントレータ20は、それらの先端22aの離間距離Nが放電容器15の内径Mよりも小さくなるよう配置されており、離間距離Nは、例えば4mm以下とされる。
【0027】
この例における放電コンセントレータ20は、その先端22aを含む先端領域L1において、当該放電コンセントレータ20を形成するセラミックスを透過する赤外領域の光を吸収して発光する高放射率材料よりなる粒子(図2において白丸で示し、以下、「放射性粒子」という。)が分散されている。すなわち、先端領域L1には、セラミックスを基材とし、この基材中に放射性粒子が分散されていることにより、高熱伝導性複合材料が構成されている。
【0028】
基材中において、放射性粒子は個々に離間して分散された状態とされていることが必要であり、その含有割合は、15体積%以下であることが好ましく、特に3体積%以下であることが好ましい。
放射性粒子の含有割合が15体積%より大きい場合には、高熱伝導性複合材料において、当該放射性粒子同士が接触する確率が高くなるため、各々の放射性粒子が赤外領域の光を吸収しても発光しなくなり、赤外領域の光による熱の伝達が達成できず、放射熱伝達作用が十分に得られなくなる。
【0029】
先端領域L1は、放電コンセントレータ20の先端22aが溶融・蒸発することを十分に抑制するために、点灯動作中の温度が1300K以上となる領域で、例えば先端22aから4mm以上の領域である。
【0030】
放電コンセントレータ20を構成するセラミックスとしては、赤外線透過性と、高い耐熱性と、高い誘電率とを有する材料が用いられ、その具体例としては、例えばアルミナ(Al2 O3 )、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO2 )、イットリア(Y2 O3 )などが挙げられる。
【0031】
放射性粒子の具体例としては、例えばタングステン、タンタル、レニウムなどの金属、炭化ジルコニア(ZrC)、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)などの炭化物よりなる粒子が挙げられる。
【0032】
放電コンセントレータ20の製造方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば成形用金型内に、セラミックス粉末と放射性粒子とを混合した材料を充填して混合材料層を形成し、その上にセラミックス粉末を充填してセラミックス粉末層を形成することにより積層体を得、その後、この積層体を加圧部材により加圧することにより加圧成形体を形成し、この加圧成形体に対して焼結処理を行うことにより、先端領域L1に高熱伝導性複合材料が形成された突出部22と、主体部21とよりなる放電コンセントレータ20が得られる。
【0033】
以上のような高周波励起型点光源ランプ10は、例えば図3に示すように、放電容器11の封管部13、13の外周に一対の外部導電体71、71を配置し、当該外部導電体71、71に対して高周波電源72を用いて高周波電圧を印加することにより、点灯させることができる。すなわち、高周波電圧が印加されると、放電容器11の壁を介して、一対の放電コンセントレータ20の各々とそれに対応する外部導電体71とにより形成されるコンデンサの容量結合によって、当該放電コンセントレータ20に高周波電圧が供給されて放電空間15内に電界が発生する。そして、この電界を、当該一対の放電コンセントレータ20の先端22aに集中させ、強めることにより、当該先端22a間において放電が集中して、これにより、点光源が得られるようになる。
【0034】
そして、高周波励起型点光源ランプ10は、それ自体のみで完全に密閉されており、放電空間15内から外部に露出するものが一切ない放電容器11を有しているため、優れた耐圧性を有するものとなり、放電容器11内の圧力を大きくすることができる。従って、例えば高い輝度が要求されている液晶プロジェクターの光源として好適に用いることができるような発光強度を得ることができる。
【0035】
然るに、放電コンセントレータ20の先端領域L1に高熱伝導性複合材料が形成されていることから、点灯状態においては、セラミックスによる僅かな熱伝導に加えて、「放射熱伝達」(「放射伝熱」とも称される。)により、先端22aにおいて放電に起因して生じた熱が後方に向かって移送される。
【0036】
放射熱伝達によれば、先端領域L1の最もアーク側(図2において左側)に位置する放射性粒子が、放電により発生する赤外領域の光、すなわち熱線を受けて吸収することにより発光し、この発光された熱線が基材を透過し、当該放射性粒子の周囲に存在する他の放射性粒子に吸収されて当該他の放射性粒子が発光するという原理により、熱が伝達される。これにより、この放射性粒子間において、熱線による熱の伝達が先端22aから後方に向かって順次に繰り返され、その結果、放電コンセントレータ20においては、先端22aから後方に向かって熱が非常に高い効率で移送される。
【0037】
以上のようにして熱が移送されることにより、放電コンセントレータ20の先端22aが、高温となることが防止されて溶融・蒸発することが抑制され、光源のちらつきや放電容器11の白濁による照度の低下を防止することができる。
【0038】
さらに、例えばイオウなどの金属腐食性を有する発光物質を封入した場合にも、放電コンセントレータ20がセラミックスよりなるものであるので、高熱伝導性複合材料に分散されている金属よりなる放射性粒子を露出しないように構成すれば、当該放電コンセントレータ20自体が腐食することなく、従って、突出部22が磨耗したりすることなく、当該発光物質による高い発光が得られる。
【0039】
<第2の実施の形態>
図4は、本発明に係る高周波励起型点光源ランプの他の例の放電コンセントレータの一部を拡大して示す説明図である。
この高周波励起型点光源ランプにおいては、放電コンセントレータ30に放射性粒子が分散されておらず、突出部32における先端領域L2に、金属部材35が埋設されることにより熱移送手段が設けられており、これ以外の構成は、第1の実施の形態と同様の構成を有するものである。
【0040】
金属部材35の好ましい具体例としては、タングステン、モリブデン、レニウム、タンタルなどが挙げられる。
【0041】
図示の例において、金属部材35としては、線状の形状を有するものが示されているが、その形状は線状のものに限られない。
また、金属部材を用いて熱移送手段を形成する場合においては、例えば図5に示す高周波励起型点光源ランプ40のように、金属部材55が先端領域L3を越えて後方に延伸し、主体部51の後端まで伸びるものであってもよい。
【0042】
以上の構成の高周波励起型点光源ランプにおいて、放電空間内に封入される発光物質、放電容器を構成する非導電性材料、放電コンセントレータ30を構成するセラミックスなどは、第1の実施の形態において例示した材料を適宜に用いることができる。
【0043】
この例の放電コンセントレータ30の製造方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば成形用金型内に、セラミックス粉末を充填して第1のセラミックス粉末層を形成し、その後、この成形用金型内に金属部材35を配置した後、第1のセラミックス粉末層上に、更にセラミックス粉末を充填して第2のセラミックス粉末層を形成することにより金属部材35の埋設された積層体を得、この積層体を加圧部材により加圧することにより加圧成形体を形成する。この加圧成形体に対して焼結処理を行うことにより、金属部材35が埋設された放電コンセントレータ30が得られる。
【0044】
以上の構成の高周波励起型点光源ランプは、第1の実施の形態と同様の手段により点灯状態とされるが、放電コンセントレータ30の先端領域L2に、金属部材35が埋設されていることから、放電によって先端32aが受ける熱は、わずかにでも後方に伝導されることにより移送される。その結果、アークに最も近い先端32aにおける温度を低下させることができる。
また、図5に示すように、金属部材を先端領域L3から主体部51の後端まで伸びるように構成すると、先端52aが受ける熱が金属部材55を介して当該主体部51の後端にまで移送されるので、その効果が良好なものとなる。
【0045】
以上のような金属部材35による熱移送手段が設けられた放電コンセントレータ30を備えた高周波励起型点光源ランプにおいても、第1の実施の形態と同様に、放電コンセントレータ30の先端32aが、高温となることが防止されて溶融・蒸発することが抑制され、光源のちらつきや放電容器の白濁による照度の低下を防止することができる。
【0046】
また、金属腐食性の発光物質を用いても、放電コンセントレータ30はセラミックスよりなるため、当該発光物質により腐食されず、従って、当該放電コンセントレータ30が磨耗するようなこともなく、また、金属部材35は当該放電コンセントレータ30に埋設されていて放電空間に露出されていないため、当該金属部材35が腐食されることもなく、放電容器の黒化、白濁を防止して当該発光物質による高い発光が得られる。
【0047】
以上において、放電容器は、放電容器の管壁に使用限界以上の大きな熱負荷がかからない大きさの放電空間が形成されるものであれば、種々の形状とすることができる。
また、高周波励起型点光源ランプは、放電容器が放電部の一端のみに封管部を有するものであると共に、放電コンセントレータが1本である構成のものであってもよい。
そして、高周波励起型点光源ランプは、例えば当該高周波励起型点光源ランプを電磁遮断されたマイクロ波共鳴室内に配置し、マイクロ波を作用させることにより点灯させることもできる。この場合には、高周波励起型点光源ランプの外周に外部導電体を配置する必要がない。
【0048】
以上、本発明を具体的な例に基づいて説明したが、本発明においては種々の変更を加えることができる。
例えば、図6に示すように、放電コンセントレータ60には、先端領域L4において放射性粒子(図6において白丸で示す。)が分散されることにより高熱伝導性複合材料が形成されると共に、当該先端領域L4において金属部材65が埋設されることにより、熱移送手段が設けられていてもよい。この場合においては、より一層効果的に熱伝達が行われ、放電コンセントレータ60の先端62aが溶融・蒸発することを抑制することができる。
【0049】
また、放電コンセントレータは、その全体が高熱伝導性複合材料よりなるものであってもよい。この場合には、放電コンセントレータを容易に製造することができる。
さらに、放電コンセントレータは、先端領域と、それ以外部分とが異なる種類のセラミックスよりなるものであってもよい。
【0050】
金属部材を用いて熱移送手段を形成する場合において、放電コンセントレータに複数の金属部材が埋設されることによって熱移送手段が設けられていてもよい。
【0051】
【実施例】
<実施例1>
図1に示されている構成に従い、全長59mm、封管部の外径6mm、放電部の最大外径13.5mm、肉厚2.0mmのシリカガラス製の放電容器と、全長20mm、外径2.0mmの主体部および全長3.0mm、外径1.2mmの突出部を有する一対の放電コンセントレータとよりなる高周波励起型点光源ランプを作製した。
ここで、一対の放電コンセントレータの先端の離間距離は4mmであり、放電空間内には発光物質としてイオウが封入されている。
【0052】
この高周波励起型点光源ランプの放電コンセントレータは、放射性粒子とされる平均粒径1〜5μmのタングステン粒子1体積%と、平均粒径5μm以下のマグネシア粉末99体積%とを混合した材料を成形用金型内に充填して加圧し、得られた加圧成形体に対して焼結処理を行うことにより作製したものであり、全体が高熱伝導性複合材料よりなるものである。
【0053】
作製した高周波励起型点光源ランプに対して、図3に示されている手段に従って外部より150Wの電力を与えるよう高周波電圧を印加したところ、一対の放電コンセントレータの先端間にアーク放電が発生し、点灯状態となった。点灯状態を連続的に100時間維持したところ、高周波励起型点光源ランプにおいては、光源がちらついたり、放電容器が白濁して照度が低下することがなく良好な点灯状態が維持された。与えられた電力に対する光束は、130lm/Wであった。
さらに、放電コンセントレータの先端を目視にて確認したところ、その先端は溶融していなかった。
【0054】
<実施例2>
放電コンセントレータとして、放射性粒子とされる平均粒径約1μmの炭化ジルコニア粒子1体積%と、平均粒径約5μmのマグネシア粉末99体積%とよりなるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして高周波励起型点光源ランプを作製して点灯させた。点灯状態を連続的に100時間維持したところ、高周波励起型点光源ランプにおいては、光源がちらついたり、放電容器が白濁して照度が低下することがなく良好な点灯状態が維持された。与えられた電力に対する光束は、130lm/Wであった。
さらに、放電コンセントレータの先端を目視にて確認したところ、その先端は溶融していなかった。
【0055】
<比較例1>
放電コンセントレータとして、熱移送手段が設けられておらず、マグネシアのみよりなるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして高周波励起型点光源ランプを作製して点灯させた。点灯状態を連続的に100時間維持したところ、高周波励起型点光源ランプにおいては、光源がちらついたり、放電容器が白濁して照度が低下した。与えられた電力に対する光束は、80lm/Wであった。
さらに、放電コンセントレータの先端を目視にて確認したところ、その先端は溶融していた。
【0056】
【発明の効果】
本発明の高周波励起型点光源ランプによれば、透光性を有するセラミックスよりなる放電コンセントレータに熱移送手段が設けられており、放電によって生ずる当該放電コンセントレータの先端における熱が後方に向かって移送されるため、当該放電コンセントレータの先端が溶融・蒸発することが抑制され、その結果、光源のちらつきや放電容器の白濁による照度の低下を防止することができる。従って、高周波励起型点光源ランプは、良好な点灯状態を長時間維持することができる。
【0057】
少なくとも放電コンセントレータの先端を含む先端領域において、高熱伝導性複合材料が形成されている場合には、高熱伝導性複合材料が高い熱伝導性能を有するため、放電コンセントレータの先端の熱が後方に向かって移送される。従って、放電コンセントレータの先端の温度を低下させることができ、溶融・蒸発を防止することができる。
【0058】
また、少なくとも放電コンセントレータの先端を含む先端領域に金属部材が埋設されている場合には、金属部材が高い熱伝導率を有するため、放電コンセントレータの先端の熱を、当該先端より後方に移送でき、当該放電コンセントレータの先端の温度を低下させることができ、溶融・蒸発を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波励起型点光源ランプの一例の構成を示す説明用断面図である。
【図2】図1の高周波励起型点光源ランプの放電コンセントレータの一部を拡大して示す説明図である。
【図3】本発明の高周波励起型点光源ランプの点灯手段を示す説明図である。
【図4】本発明の高周波励起型点光源ランプの他の例の一対の放電コンセントレータの一部を拡大して示す説明図である。
【図5】本発明の高周波励起型点光源ランプの更に他の例の構成を示す説明用断面図である。
【図6】本発明の高周波励起型点光源ランプのまた更に他の例の放電コンセントレータの一部を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
10、40 高周波励起型点光源ランプ
11 放電容器
12 放電部
13 封管部
13A 封端部
15 放電空間
20、30、50、60 放電コンセントレータ
21、31、51、61 主体部
22、32、52、62 突出部
22a、32a、52a、62a 先端
35、55、65 金属部材
71 外部導電体
72 高周波電源
Claims (5)
- 透光性を有する非導電性材料よりなり、放電空間を包囲する放電部と当該放電部に連設され外方に伸びる管状の封管部とを有する放電容器と、
円柱状の主体部と当該主体部から突出する突出部とにより構成され、前記放電容器の外部に露出することなく、前記主体部において前記放電容器の封管部に支持されて前記突出部が放電空間内に突出し、外部より与えられる高周波エネルギーにより生じる電界を集中させ、強めることにより、放電空間内に位置された前記突出部の先端において放電を集中させるセラミックスよりなる放電コンセントレータとを備えてなり、
前記放電コンセントレータは、前記突出部の先端から後方に向かって熱を移送する熱移送手段を有することを特徴とする高周波励起型点光源ランプ。 - 少なくとも放電コンセントレータの突出部の先端領域において、赤外領域の光を吸収して発光する材料よりなる粒子が分散されていることにより高熱伝導性複合材料が形成され、これにより熱移送手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の高周波励起型点光源ランプ。
- 少なくとも放電コンセントレータの突出部の先端領域に金属部材が埋設され、これにより熱移送手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の高周波励起型点光源ランプ。
- 少なくとも放電コンセントレータの突出部の先端領域において、赤外領域の光を吸収して発光する材料よりなる粒子が分散されていることにより高熱伝導性複合材料が形成されると共に、少なくとも当該先端領域に金属部材が埋設され、これらにより熱移送手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の高周波励起型点光源ランプ。
- 前記金属部材は、突出部の先端領域を越えて後方に伸びていることを特徴とする請求項3および請求項4に記載の高周波励起型点光源ランプ。
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