JP3588795B2 - 高pH物質の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として火力発電所から多量に発生する石炭灰などの高pH物質を処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所から多量に発生する石炭灰や廃棄物を焼却した後に発生する灰などの焼却灰は、リサイクル可能な場合を除き、ほとんど埋立処理されているが、かかる焼却灰、特に石炭灰を廃棄物処分場にて埋立処理した場合、雨水の浸透に伴って高アルカリの滲出水が発生し、そのまま放置すれば、アルカリ成分が雨水とともに地下水系に流入するおそれがある。
【0003】
そのため、埋立処分が完了した後も、石炭灰からの滲出水を処分場底面に敷設された集排水構造に集めるとともに、その滲出水のpHが所定の排水基準、例えば5.8〜8.6をクリアするまで滲出水をポンプアップして中和処理し、しかる後に放流することで埋立材からの滲出成分が環境に拡散することがないよう配慮されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、石炭灰等の焼却灰からのアルカリ分の溶出は長期間にわたるとともに、それに伴って上述した作業も長期間に及び、かくして、アルカリ分溶出のために多額の処理費用を必要とするのみならず、貴重な土地資源である埋立地の跡地利用が遅れ、又は実質的に跡地利用が困難になってしまうという問題を生じていた。
【0005】
かかる事態は、焼却灰のみならず、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラといった高pH物質を埋立処分する際にも同様に問題となる。
【0006】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、焼却灰に代表される高pH物質を埋立処理する場合においてその跡地利用を速やかに開始することが可能な高pH物質の処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る高pH物質の処理方法は請求項1に記載したように、焼却灰、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラ等の高pH物質を処理する際、該高pH物質にドライアイスを混入させた状態で前記処理を行い、しかる後に該ドライアイスが混入された前記高pH物質を一定湿潤状態に維持する高pH物質の処理方法であって、先行形成された敷き均し層にドライアイス投入用凹部を掘削形成して該ドライアイス投入用凹部に前記ドライアイスを投入し、しかる後に前記ドライアイス投入用凹部を前記高pH物質で塞ぎつつ前記先行形成された敷き均し層の上に前記高pH物質を敷き均して新たな敷き均し層を形成する工程を繰り返し行うものである。
【0008】
また、本発明に係る高pH物質の処理方法は請求項2に記載したように、焼却灰、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラ等の高pH物質を処理する際、該高pH物質にドライアイスを混入させた状態で前記処理を行い、しかる後に該ドライアイスが混入された前記高pH物質を一定湿潤状態に維持する高pH物質の処理方法であって、先行形成された敷き均し層の上に前記ドライアイスを断熱材で被覆された状態にて配置し、次いで、前記高pH物質で覆われる直前に前記断熱材を除去しつつ前記先行形成された敷き均し層の上に該高pH物質を敷き均して新たな敷き均し層を形成する工程を繰り返し行うものである。
【0010】
また、本発明に係る高pH物質の処理方法は、前記処理が終了した高pH物質又は該高pH物質からなる敷き均し層を気密状態に維持するものである。
【0011】
また、本発明に係る高pH物質の処理方法は請求項4に記載したように、焼却灰、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラ等の高pH物質からなる埋立地において、該埋立地に縦坑を掘削し、次いで該縦坑内にドライアイスを投入した後、前記縦坑を気密状態にするとともに前記埋立地を一定湿潤状態に維持するものである。
【0012】
また、本発明に係る高pH物質の処理方法は、前記縦坑の下端を前記埋立地の底部に配置された集水管に連通させ、前記ドライアイスから昇華した炭酸ガスを前記集水管の集水孔から放出するものである。
【0013】
請求項1乃至請求項3の発明に係る高pH物質の処理方法においては、高pH物質を処理する際、該高pH物質にドライアイスを混入させた状態で処理を行い、しかる後にドライアイスが混入された高pH物質を、一定湿潤状態に維持する。
【0014】
高pH物質には、水に溶出することで高pHを呈するアルカリ金属類やアルカリ土類金属類が含まれているが、上述のような方法で高pH物質の処理を行うと、溶出アルカリ成分、例えばCa2+は、二酸化炭素の固体であるドライアイスから昇華した炭酸ガスと反応して炭酸塩に変化し、水への解離が抑制されて中性となる。
【0015】
すなわち、Ca2++2OH+CO→CaCO+HOなる化学反応が進行し、高pH物質は、中性物質へと変化する。
【0016】
高pH物質は、水に接したときにアルカリ性を呈する物質という意味であって、具体的には、石炭灰等の焼却灰をはじめ、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラ等が含まれる。
【0017】
高pH物質を処理するとは、アルカリ溶出が問題となるすべての状況における処理を意味し、例えば運搬、仮置き、埋立、盛土などの処理を含む。
【0018】
ドライアイス混入後の一定湿潤状態とは、上述した化学反応が進行するための条件であって、かかる化学反応が進行する限り、湿潤の程度は任意であるし、湿潤状態を散水等の手段で人工的に作り出すのか地下水や降雨といった自然作用を利用するのかといったことも任意である。一方、高pH物質が当初からある程度の含水比をもっているのであれば、新たに水を加える必要がないことも考えられる。なお、湿潤状態は、ドライアイス混入後に維持されていればよく、ドライアイス混入前から湿潤状態であってもかまわないことは言うまでもない。
【0019】
ドライアイスを高pH物質に混入させる方法や時期としてはさまざまな選択が可能であり、例えば、高pH物質の運搬のための積込み、仮置き、埋立、盛土といった処理を行っている途中で混入させるようにしてもよいし、上述した処理が終了してから高pH物質の表面にばらまき、しかる後に両者を攪拌混合するようにしてもよい。
【0020】
ここで、先行形成された敷き均し層にドライアイス投入用凹部を掘削形成して該ドライアイス投入用凹部に前記ドライアイスを投入し、しかる後に前記ドライアイス投入用凹部を前記高pH物質で塞ぎつつ前記先行形成された敷き均し層の上に前記高pH物質を敷き均して新たな敷き均し層を形成する工程を繰り返し行うようにした場合、ドライアイスから昇華した炭酸ガスの大気中への放出を抑制し、該炭酸ガスを敷き均し層に確実に浸透させることができる。
【0021】
ドライアイス投入用凹部の深さ、形状、配置状況といった形態については任意であり、穴状のものを二方向等ピッチで列状に多数配置する、溝状のものを互いに平行に又は格子状に配置するなどの形態が考えられる。
【0022】
また、先行形成された敷き均し層の上に前記ドライアイスを断熱材で被覆された状態にて配置し、次いで、前記高pH物質で覆われる直前に前記断熱材を除去しつつ前記先行形成された敷き均し層の上に該高pH物質を敷き均して新たな敷き均し層を形成する工程を繰り返し行うようにした場合についても同様である。
【0023】
断熱材は、軽量安価で剥がしやすいものがよく、例えば紙シートで構成することが考えられる。
【0024】
上述した各発明において、前記各処理が終了した高pH物質又は該高pH物質からなる敷き均し層を気密状態に維持するようにした場合には、炭酸ガスの大気中への放出をさらに確実に防止することができる。
【0025】
気密状態に維持する方法としては、高pH物質又は該高pH物質からなる敷き均し層の大気露出面をビニル製の気密シート、ベントナイトスラリー、粘土スラリー等で覆う、気密状態又は大気への接触度が低い収容体、例えばコンクリートミキサー車に投入した状態で運搬するなどの方法が考えられる。
【0026】
請求項4の発明に係る高pH物質の処理方法においては、高pH物質からなる埋立地に縦坑を掘削し、次いで該縦坑内にドライアイスを投入した後、縦坑を気密状態にするとともに、埋立地を一定湿潤状態に維持する。
【0027】
高pH物質には、水に溶出することで高pHを呈するアルカリ金属類やアルカリ土類金属類が含まれているが、上述のような方法で高pH物質の処理を行うと、溶出アルカリの主体、例えばCa2+は、ドライアイスから昇華した炭酸ガスと反応して炭酸塩に変化し、水への解離が抑制されて中性となる。
【0028】
すなわち、Ca2++2OH+CO→CaCO+HOなる化学反応が進行し、埋立地は、中性地盤へと変化する。
【0029】
高pH物質や一定湿潤状態については、請求項1に係る発明に関して説明したと同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0030】
縦坑の深さや形状といった形態については任意であり、例えばアースオーガ等で円形断面に穿孔形成したり、バックホウ等で溝状に掘削形成したりすることが考えられる。
【0031】
ここで、埋立地が廃棄物処分場等である場合には、前記縦坑の下端を前記埋立地の底部に配置された集水管に連通させ、前記ドライアイスから昇華した炭酸ガスを前記集水管の集水孔から放出することにより、炭酸ガスが浸透する埋立地の範囲を拡げることが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高pH物質の処理方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
(第1実施形態)
【0034】
本実施形態は、本発明に係る高pH物質の処理方法を廃棄物処分場への焼却灰埋設処理に適用したものであり、図1は、そのときの施工手順を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法においては、まず、同図(a)に示すように、処分場底面に設けられた砂等からなる保護層1の上に高pH物質としての焼却灰2を敷き均して敷き均し層3aを形成する。敷き均しの際には、例えばブルドーザ4を使って例えば数十cm〜1m程度に敷き均すとともに、必要に応じて適宜転圧する。焼却灰2は、例えば石炭灰が代表的なものとして挙げることができる。
【0035】
なお、処分場と周辺地盤との境界面には、処分場内の水が周囲に漏洩するのを防止するための遮水シート(図示せず)を設けてあるのが一般的であり、上述した保護層1は、該遮水シートの損傷を防止する役目を果たすとともに、該保護層内には集排水管5を敷設してあり、処分場底面に溜まった雨水や廃棄物からの滲出水を集排水するようになっている。
【0036】
次に、同図(b)に示すように、先行形成された敷き均し層3aにドライアイス投入用凹部6を掘削形成し、次いで該ドライアイス投入用凹部にドライアイス7を投入する。
【0037】
ここで、ドライアイス7の大きさや形状あるいは投入量は、焼却灰2の中和が効率よく行われるよう、焼却灰2のアルカリ度、敷き均し層3aの高さ、ドライアイス投入用凹部6の深さ等を考慮して適宜定めればよいが、その投入量については、例えば焼却灰1t(乾燥質量)あたり10〜50kgとすることが考えられる。また、ドライアイス7の大きさについては、焼却灰2中に空洞が残らないよう、塊状ではなく粒状、例えば数十mm程度の大きさにしておくのが望ましい。
【0038】
図2は、ドライアイス投入用凹部6の平面配置を示した図であり、同図でわかるように、円形穴を二方向に等間隔配置する(同図(a))、円形穴を千鳥状に配置する(同図(b))、溝状穴(トレンチ)を平行配置する(同図(c))、溝状穴を格子状に配置する(同図(d))などの配置が考えられる。
【0039】
次に、図1(c)に示すようにドライアイス投入用凹部6を焼却灰2で塞ぐとともに、同図(d)に示すように先行形成された敷き均し層3aの上に焼却灰2を敷き均して新たな敷き均し層3bを形成する。以降、上述した工程を繰り返すことで、焼却灰2をドライアイス7が混入された状態で埋立処理する。ドライアイス投入後の塞ぎ作業についてはできるだけ迅速に行い、大気への炭酸ガス放出による損失ができるだけ少なくなるように留意する。
【0040】
次に、かかる状態のまま、焼却灰2を一定湿潤状態に維持する。
【0041】
このようにすると、焼却灰2中に含まれている溶出アルカリ成分、すなわち水に溶出することで高pHを呈するアルカリ金属類やアルカリ土類金属類であるCa2+は、ドライアイス7から昇華した炭酸ガスと反応して炭酸塩に変化し、水への解離が抑制されて中性となる。すなわち、
【0042】
Ca2++2OH+CO→CaCO+H
【0043】
なる化学反応が進行し、焼却灰2は中性物質へと変化する。
【0044】
ドライアイス7を混入させた後の一定湿潤状態は、上述した化学反応が進行するための条件であって、かかる化学反応が進行する限り、湿潤の程度は任意であるし、湿潤状態にする時期についても、例えばブルドーザ4による敷き均しを行いつつ散水を行うことで焼却灰2の含水比を予め高めておく方法が考えられる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法によれば、高pH物質である焼却灰2を埋立処理する際、該焼却灰2にドライアイス7を混入させた状態で埋立処理を行い、しかる後にドライアイス7が混入された焼却灰2を一定湿潤状態に維持するようにしたので、焼却灰2に含まれているCa2+は、ドライアイス7から昇華した炭酸ガスと反応して炭酸塩に変化する。
【0046】
そのため、焼却灰2中に含まれているCa2+の水への解離が抑制されることとなり、焼却灰2をすみやかに中性化させることが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係る高pH物質の処理方法によれば、先行形成された敷き均し層3aにドライアイス投入用凹部6を掘削形成して該ドライアイス投入用凹部にドライアイス7を投入し、しかる後にドライアイス投入用凹部6を焼却灰2で塞ぎつつ、先行形成された敷き均し層3aの上に焼却灰2を敷き均して新たな敷き均し層3bを形成するという工程を繰り返し行うようにしたので、ドライアイス7から昇華した炭酸ガスが大気中に放出されるのを抑制する、言い換えれば焼却灰2の中性化に寄与しない損失分を減少させ、炭酸ガスを各敷き均し層3a、3b・・・に確実に浸透させることが可能となる。
【0048】
そのため、焼却灰を自然に中性化させる場合においてきわめて長期間を要するという弊害や、薬剤で中和させる場合において多額の費用を要するという弊害を生じることなく、比較的短期間にかつ低コストで貴重な土地資源である埋立地の跡地利用を早期に開始することができる。
【0049】
また、ドライアイスが無害な炭酸ガスしか放出せず、しかも化学反応生成物としては水及び難溶性の塩のみであるという性質を持つ関係上、塩酸等の薬剤による中和とは異なり、化学的問題を発生させることなく、ドライアイスが存在する限りにおいて穏やかな持続性が期待できるという作用効果や、塩酸等の薬剤を使用することに起因する急激なpH低下による焼却灰からの重金属溶出を懸念する必要がないという作用効果も奏する。
【0050】
さらに言えば、気体である炭酸ガスを直接取り扱うものとすると、ボンベへの充填及び配管による供給しかないが、前者は運搬時に重量が問題となり、後者は供給設備のイニシャルコストが問題となる。その点、本実施形態に係る高pH物質の処理方法によれば、固体であるドライアイスを用いて焼却灰の中性化を図るため、運搬、埋立等の処理段階を問わず、その取り扱いがきわめて容易であるという顕著な作用効果も奏する。
【0051】
次に、本実施形態に係る高pH物質の処理方法の作用効果を実験によって確認したので、以下にその概要を説明する。
【0052】
まず、アクリル円筒からなるカラム内に焼却灰を充填して焼却灰層を形成するとともに、その上に焼却灰とドライアイスとの混合物を充填して混合層を形成し、さらにその上に焼却灰を充填して焼却灰層を形成した後、反応時間を確保するために一定時間養生した。
【0053】
次に、カラム上方から蒸留水を注水するとともに、カラム下方にセットした容器に浸透水を集め、該浸透水のpH及びアルカリ度(0.1モル塩酸によるpH7の中和滴定)を計測した。
【0054】
計測結果を図3に示す。同図により、浸透水のpH及びアルカリ度がドライアイスの添加によって顕著に低下することがわかる。
【0055】
本実施形態では、敷き均し層3a、3b・・ごとにドライアイス投入用凹部6を掘削形成するようにしたが、該敷き均し層の層厚が薄い場合には、数層分まとめてドライアイス投入用凹部6を掘削形成するようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、埋立処理が終了した後、焼却灰2からなる各敷き均し層3a、3b・・・のうち、大気露出面、すなわち最上層の上面を気密シートで覆うことで各敷き均し層3a、3b・・・を気密状態に維持するようにしてもよい。
【0057】
かかる構成によれば、大気中への放出という形での炭酸ガスの損失をさらに低減することが可能となり、焼却灰2の中性化の促進をさらに向上させることができる。
【0058】
(第2実施形態)
【0059】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
本実施形態も第1実施形態と同様、本発明に係る高pH物質の処理方法を廃棄物処分場への焼却灰埋設処理に適用したものであり、図4は、そのときの施工手順を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法においては、まず、同図(a)に示すように、処分場底面に設けられた砂等からなる保護層1の上にドライアイス7を断熱材で被覆された状態にて配置する。断熱材は、軽量安価で剥がしやすいもの、例えば紙シートで構成するのがよい。
【0061】
次に、ドライアイス7が配置された保護層1の上に高pH物質である焼却灰2を敷き均すが、その際、焼却灰2が被さるまでは、炭酸ガスの昇華を防止するために断熱材でドライアイス7を被覆しておき、焼却灰2が被さる直前に断熱材を剥がして内部のドライアイス7を露出させつつ、同図(b)に示すように焼却灰2を敷き均して敷き均し層3aを形成する。
【0062】
次に、同図(c)に示すように、先行形成された敷き均し層3aの上に上述したと同様にドライアイス7を配置し、焼却灰2が被さる直前に断熱材を剥がして内部のドライアイス7を露出させながら、敷き均し層3aの上に焼却灰2を敷き均して新たな敷き均し層3bを形成する。以降、上述した工程を繰り返すことで、焼却灰2をドライアイス7が混入された状態で埋立処理する。
【0063】
次に、かかる状態のまま、焼却灰2を一定湿潤状態に維持する。
【0064】
このようにすると、焼却灰2中に含まれている溶出アルカリ成分、すなわち水に溶出することで高pHを呈するアルカリ金属類やアルカリ土類金属類であるCa2+は、第1実施形態で説明したように、ドライアイス7から昇華した炭酸ガスと反応して炭酸塩に変化し、水への解離が抑制されて中性となる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法によれば、高pH物質である焼却灰2を埋立処理する際、該焼却灰2にドライアイス7を混入させた状態で埋立処理を行い、しかる後にドライアイス7が混入された焼却灰2を一定湿潤状態に維持するようにしたので、第1実施形態と同様、焼却灰2中に含まれているCa2+の水への解離が抑制されることとなり、焼却灰2をすみやかに中性化させることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態に係る高pH物質の処理方法によれば、先行形成された敷き均し層3aにドライアイス7を配置し、焼却灰2が被さる直前まで断熱材で炭酸ガスの昇華を防止しつつ該先行敷き均し層の上に焼却灰2を敷き均して新たな敷き均し層を形成するという工程を繰り返し行うようにしたので、ドライアイス7から昇華した炭酸ガスが大気中に放出されるのを抑制する、言い換えれば焼却灰2の中性化に寄与しない損失分を減少させ、炭酸ガスを各敷き均し層3a、3b・・・に確実に浸透させることが可能となる。
【0067】
そのため、焼却灰を自然に中性化させる場合においてきわめて長期間を要するという弊害や、薬剤で中和させる場合において多額の費用を要するという弊害を生じることなく、比較的短期間にかつ低コストで貴重な土地資源である埋立地の跡地利用を早期に開始することができる。
【0068】
また、ドライアイスが無害な炭酸ガスしか放出せず、しかも化学反応生成物としては水及び難溶性の塩のみであるという性質を持つ関係上、塩酸等の薬剤による中和とは異なり、化学的問題を発生させることなく、ドライアイスが存在する限りにおいて穏やかな持続性が期待できるという作用効果や、塩酸等の薬剤を使用することに起因する急激なpH低下による焼却灰からの重金属溶出を懸念する必要がないという作用効果も奏する。
【0069】
本実施形態では特に言及しなかったが、埋立処理が終了した後、焼却灰2からなる各敷き均し層3a、3b・・・のうち、大気露出面、すなわち最上層の上面を気密シートで覆うことで各敷き均し層3a、3b・・・を気密状態に維持するようにしてもよい。
【0070】
かかる構成によれば、大気中への放出という形での炭酸ガスの損失をさらに低減することが可能となり、焼却灰2の中性化の促進をさらに向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、炭酸ガスの昇華を防止するためにドライアイス7を被覆しておく断熱材として紙シートを例に挙げたが、炭酸ガスの昇華を抑制することができるものであればどのようなものでもよく、例えば焼却灰2をスコップ等で被せておくことも考えられる。
【0072】
(第3実施形態)
【0073】
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1、第2実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
本実施形態は、本発明に係る高pH物質の処理方法を焼却灰の仮置き、運搬及び埋立といった一連の処理に適用したものであり、図5は、そのときの施工手順を示した図である。同図に示すように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法においては、まず、同図(a)に示すように、焼却灰2にドライアイス7を混入させながら、敷き均し層3a、3b、3c・・・を順次積層していく。その手順については、第2実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。なお、焼却灰2の容量が少ない場合には、同図(b)に示すように、先行配置されたドライアイス7の上に焼却灰2を山状に被せるように仮置きしてもよい。
【0075】
次に、ドライアイス7が混入された焼却灰2を一定湿潤状態に維持した後、同図(c)に示すように気密シート11で露出面を被覆した状態でダンプカーに積み、又は同図(d)に示すようにコンクリートミキサー車内に収容して処分場まで運搬する。このように、気密シート11で焼却灰2の露出面を被覆したり、気密性がある程度期待できるコンクリートミキサー車内に収容したりすることによって、運搬の際の炭酸ガスの放出をできるだけ抑えることができる。なお、ダンプカー等への積込み直前にドライアイス7を焼却灰2に再度混入させるようにしてもよい。
【0076】
次に、同図(e)に示すように処分場にてブルドーザ4で焼却灰2を順次敷き均し、敷き均し層12を順次形成する。なお、この場合にも、第1実施形態や第2実施形態で述べた処理方法でドライアイスを焼却灰2に再度混入させるようにしてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法によれば、高pH物質である焼却灰2を仮置き、運搬及び埋立処理する際、該焼却灰2にドライアイス7を混入させた状態で各処理を行うようにしたので、上述した各実施形態と同様、焼却灰2中に含まれているCa2+の水への解離が抑制されることとなり、焼却灰2をすみやかに中性化させることが可能となる。
【0078】
そのため、焼却灰を自然に中性化させる場合においてきわめて長期間を要するという弊害や、薬剤で中和させる場合において多額の費用を要するという弊害を生じる懸念がなくなる。
【0079】
また、ドライアイスが無害な炭酸ガスしか放出せず、しかも化学反応生成物としては水及び難溶性の塩のみであるという性質を持つ関係上、塩酸等の薬剤による中和とは異なり、化学的問題を発生させることなく、ドライアイスが存在する限りにおいて穏やかな持続性が期待できるという作用効果や、塩酸等の薬剤を使用することに起因する急激なpH低下による焼却灰からの重金属溶出を懸念する必要がないという作用効果も奏する。
【0080】
本実施形態では特に言及しなかったが、埋立処理に代えて盛土処理を採用してもよいことは言うまでもない。
【0081】
(第4実施形態)
【0082】
次に、第4実施形態について説明する。なお、上述した各実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
本実施形態は、本発明に係る高pH物質の処理方法を既存の焼却灰埋立地に適用したものであり、図6(a)は、そのときの断面図である。同図に示すように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法においては、まず、焼却灰2からなる埋立地22において、該埋立地に縦坑21を掘削し、次いで該縦坑内にドライアイス7を投入した後、例えば該縦坑内にすみやかに焼却灰2を埋め戻すことによって縦坑21を気密状態にするとともに埋立地22を一定湿潤状態に維持する。縦坑21は、アースオーガやバックホウ等で穿孔、掘削することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る高pH物質の処理方法によれば、高pH物質である焼却灰2からなる埋立地22に縦坑21を掘削し、該縦坑内にドライアイス7を投入するようにしたので、上述した各実施形態と同様、焼却灰2中に含まれているCa2+の水への解離が抑制されることとなり、焼却灰2をすみやかに中性化させることが可能となる。
【0085】
そのため、焼却灰を自然に中性化させる場合においてきわめて長期間を要するという弊害や、薬剤で中和させる場合において多額の費用を要するという弊害を生じることなく、比較的短期間にかつ低コストで貴重な土地資源である埋立地の跡地利用を早期に開始することができる。
【0086】
また、ドライアイスが無害な炭酸ガスしか放出せず、しかも化学反応生成物としては水及び難溶性の塩のみであるという性質を持つ関係上、塩酸等の薬剤による中和とは異なり、化学的問題を発生させることなく、ドライアイスが存在する限りにおいて穏やかな持続性が期待できるという作用効果や、塩酸等の薬剤を使用することに起因する急激なpH低下による焼却灰からの重金属溶出を懸念する必要がないという作用効果も奏する。
【0087】
本実施形態では特に言及しなかったが、同図(b)に示すように縦坑21の下端を埋立地22の底部に配置された集水管23に連通させるようにしてもよい。
【0088】
かかる構成においては、縦坑21内に投入されたドライアイス7から昇華した炭酸ガスは、集水管23の集水孔から放出されることとなり、炭酸ガスが浸透する埋立地22の範囲を拡げることが可能となる。この場合、集水管23の基端側をバルブ等で閉じることによって、炭酸ガスが埋立地22にのみ拡散するようにするのが望ましい。
【0089】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の高pH物質の処理方法によれば、高pH物質を処理する際、該高pH物質にドライアイスを混入させた状態で各処理を行い、しかる後にドライアイスが混入された高pH物質を一定湿潤状態に維持するようにしたので、高pH物質に含まれているアルカリ成分をドライアイスから昇華した炭酸ガスと反応させて炭酸塩に変化させ、高pH物質をすみやかに中性化させることが可能となる。
【0090】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る高pH物質の処理方法の施工手順図。
【図2】同じく平面図。
【図3】本発明に係る高pH物質の処理方法の作用効果を確認した実験結果を示したグラフ。
【図4】第2実施形態に係る高pH物質の処理方法の施工手順図。
【図5】第3実施形態に係る高pH物質の処理方法の施工手順図。
【図6】第4実施形態に係る高pH物質の処理方法を示した断面図。
【符号の説明】
2 焼却灰(高pH物質)
3a、3b、3c 敷き均し層
6 ドライアイス投入用凹部
7 ドライアイス
21 縦坑
22 埋立地
23 集水管

Claims (5)

  1. 焼却灰、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラ等の高pH物質を処理する際、該高pH物質にドライアイスを混入させた状態で前記処理を行い、しかる後に該ドライアイスが混入された前記高pH物質を一定湿潤状態に維持する高pH物質の処理方法であって、先行形成された敷き均し層にドライアイス投入用凹部を掘削形成して該ドライアイス投入用凹部に前記ドライアイスを投入し、しかる後に前記ドライアイス投入用凹部を前記高pH物質で塞ぎつつ前記先行形成された敷き均し層の上に前記高pH物質を敷き均して新たな敷き均し層を形成する工程を繰り返し行うことを特徴とする高pH物質の処理方法。
  2. 焼却灰、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラ等の高pH物質を処理する際、該高pH物質にドライアイスを混入させた状態で前記処理を行い、しかる後に該ドライアイスが混入された前記高pH物質を一定湿潤状態に維持する高pH物質の処理方法であって、先行形成された敷き均し層の上に前記ドライアイスを断熱材で被覆された状態にて配置し、次いで、前記高pH物質で覆われる直前に前記断熱材を除去しつつ前記先行形成された敷き均し層の上に該高pH物質を敷き均して新たな敷き均し層を形成する工程を繰り返し行うことを特徴とする高pH物質の処理方法。
  3. 前記処理が終了した高pH物質又は該高pH物質からなる敷き均し層を気密状態に維持する請求項1又は請求項2記載の高pH物質の処理方法。
  4. 焼却灰、セメント混合土、石灰混合土、コンクリートガラ等の高pH物質からなる埋立地において、該埋立地に縦坑を掘削し、次いで該縦坑内にドライアイスを投入した後、前記縦坑を気密状態にするとともに前記埋立地を一定湿潤状態に維持することを特徴とする高pH物質の処理方法。
  5. 前記縦坑の下端を前記埋立地の底部に配置された集水管に連通させ、前記ドライアイスから昇華した炭酸ガスを前記集水管の集水孔から放出する請求項4記載の高pH物質の処理方法。
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