JP3131684B2 - 廃棄物処分場の埋立工法 - Google Patents

廃棄物処分場の埋立工法

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JP3131684B2
JP3131684B2 JP08310079A JP31007996A JP3131684B2 JP 3131684 B2 JP3131684 B2 JP 3131684B2 JP 08310079 A JP08310079 A JP 08310079A JP 31007996 A JP31007996 A JP 31007996A JP 3131684 B2 JP3131684 B2 JP 3131684B2
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順一郎 山本
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株式会社日本環境カルシウム研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、廃棄物処分場の埋立工
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、廃棄物処分場の底部及び法面に厚
さ1.5mm程度のゴム系又は樹脂系の遮水シートを敷
きつめて、地下水汚染を防止する工法は公知である。ま
た、悪臭の発散防止や廃棄物の飛散・流出防止、衛生害
虫獣の繁殖防止、雨水等の浸透防止、その他地盤を安定
させ景観を向上させる等の目的で、廃棄物と覆土材をサ
ンドイッチにする工法も公知である。また、廃棄物から
発生するメタンガスによる火災の発生や延焼を防止する
ために、処分場内にガス抜きパイプを設置する工法も公
知のことである。さらに、雨水等が廃棄物に接触しなが
ら浸透した汚水(浸出水という)を、処分場底部の集水
管から処分場内の浄化施設に配送し、複雑な作業工程を
経て環境基準以下まで浄化し、処分場外の河川等に放流
する工法も公知である。そして、埋立が完了した後も地
盤沈下の補修やガス抜き、浸出水の浄化放流のために十
数年以上の跡地管理を継続する工法も公知である。な
お、近年は遮水シートを二重に施工し、破損箇所の検知
をコンピューター管理する技術や、シートの下部に遮水
性のあるベントナイト(高級な粘土の一種)の層を施工
する技術等が発案されているが、何れも費用や材料の入
手等に関する経済性及び汎用性を無視した技術であり、
現実性の薄い工法であることも公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術にあっては埋立廃棄物に雨水等が滲み込むため、処分
場の底部に多数の集水管を張りめぐらせ、汚水(浸出
水)を一か所に集めてから浄化放流しなければならない
という問題点があった。そして、廃棄物処分場の浸出水
は成分の予測がつきにくいため、浄化処理に莫大な費用
がかゝるほか、浄化しきれずに大量の水を消費して薄め
て放流しなければならないという問題点があった。ま
た、有害物質に対する埋立基準は廃棄物に含まれる含有
量ではなく、埋立てる前に単体の状態で試験した溶出量
を基準にしているため、埋立後の複雑な変化に対応でき
ず、万一遮水シートが破損すると地下水を汚染する危険
性があるという問題点があった。さらに悪臭やメタンガ
スが発生し、埋立地盤がいつまでも不安定なため、覆土
材を大量に消費し、廃棄物の埋立容量を圧迫するという
問題点、そして埋立完了後も地盤沈下やガス抜き管理等
で長期的な跡地管理を要するため、土地利用に大きな制
約が加わるという問題点があった。特に遮水シートにつ
いては、地中から竹の子が突き破るという問題点、カラ
スについばまれて破損したり、埋立中に鋭利な廃棄物に
よって破損したりするほか、作業員の不注意等でも簡単
に破損してしまうという問題点があった。また、近年コ
ンピューター管理による破損箇所の発見システムが普及
しつつあるが、早期発見が可能になっても、破損箇所を
早期に修復する技術が確立されていないため、不安だけ
が増長するという問題点があった。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明は上記問題点を
解決することを目的とし、廃棄物処分場の内面に、石灰
系の固化剤を混入した泥を塗着して乾燥固化して不透水
層を形成し、廃棄物は全て廃棄の度に改質・固化施設に
より改質・固化してから投入し、重機等により踏み固め
て汚水が地下に浸透しない不透水層とし、その上面に溜
った自然の雨水を貯め、ポンプアップして廃棄物の改質
・固化施設に送り、この作業を繰り返してグランドレベ
ル迄埋立て、その上部を改質・固化廃棄物を利用した盛
土により埋立てることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図示した実
施例に基づいて詳細に説明する。先ず図1に示す如く、
廃棄物を投入する廃棄物処分場1を形成する。その底面
1a及び側面1bに現場の土に雨水等の水分を与え石灰
系の固化剤数種類を混合し、固化する前の泥状のまゝ吹
付け塗着する。側面については状況に応じてアンカー等
を打ち込み、ずり落ちを防止し乾燥・固化して不透水層
2を形成する。次いで廃棄物の投入を開始する。3は改
質・固化施設(図示せず)により改質・固化した廃棄物
である。改質・固化施設としては、例えば特公昭7−4
1279号、特公昭7−41280号があり、水分調整
だけをすれば改質・固化できるようになっている。他の
手段によって行ってもよい。なお「廃酸」や「廃アルカ
リ」は中和して「汚泥状」にしたものを、「動植物性残
渣」や「動物の糞尿」、「動物の死体」等は破砕して
「汚泥状」か焼却して「燃え殻状」にしたものを、「廃
油」、「紙くず」、「木くず」、「繊維くず」等は焼却
して「燃え殻状」にしたものを、水分調整してから改質
・固化する。水分調整には処分場内に降った雨水(浸出
水)等が利用される。この浸出水は図2に示す如く、改
質・固化廃棄物の表面を流れて処分場の一番低い位置に
貯留され、改質・固化施設までポンプアップ等により配
送される。なお、「鉱さい」は一般的に固形状の廃棄物
であり、「その他」の廃棄物については埋立量が微量な
ため、そのまゝ改質・固化した廃棄物に混合して埋立て
る。これにより、管理型廃棄物のほぼ全量を埋立てるこ
とが可能になる。
【0006】図3の如く、廃棄物処分場1底面1a全体
が廃棄物で覆われた状態でブルドーザー等の重機で踏み
固め乍ら埋立廃棄物3自体を不透水層4とする。廃棄物
の転圧専用機材として「ランドフィルコンパクター」が
ある。また、クレーンから鉄の固まりを吊り上げては落
すといった原始的な工法も一部では採用されている。浸
出水は作業上支障のない不透水層4の上部に浸出水ピッ
ト5を設け貯留する。廃棄物(主に汚泥や焼却灰)を改
質・固化するためには適度な水分が必要になる。本発明
はこの水分に浸出水を利用して行くことが大きな特徴で
あり、このことで浄化放流を必要としない処分場システ
ムが完成する。浸出水の量は自然現象である雨や雪等の
降水量によって左右される。また浸出水の一部は自然蒸
発したり、処分場の乾燥を防ぐための散水等にも利用す
るため廃棄物の改質・固化には量的なコントロールが不
可欠となる。改質・固化する廃棄物は、毎日ほぼ一定の
量に調整できるが、降水量を人為的に調整することはで
きないので、大きな容量を持ったピットに一旦貯留する
必要がある。そして、このピットから毎日必要な量を改
質・固化施設内に運び込むことになる。配送方法として
はピットから給水車に汲み上げて改質・固化施設内に運
び込む方法や、ピットと改質・固化施設を配管でつない
で圧送する方法等が考えられる。いずれにしても地域性
や規模に応じた計画的な浸出水の利用システムが必要に
なってくる。
【0007】次いで図4、図5、図6の如く、上記作業
を繰り返し行い、改質・固化廃棄物6,7,8を投入
し、重機等で踏み固め乍ら埋立てを行う。改質・固化廃
棄物が図6の如く、グランドレベル迄達したところで上
部の改質・固化廃棄物8の外周にU字溝状の浸出水ピッ
ト9を形成し、浸出水が外部に流出することを防止す
る。ピットをU字溝の形状で外周に設置するのは施工を
最も安価に、かつ安全に行うための一手段で、他の手段
でもよい。浸出水の一部は散水利用などにより自然蒸発
するが大部分は集水ポンプで処分場内の改質・固化処理
施設に運ばれる。次いで図7の如く、改質・固化廃棄物
10で盛土埋立を行い埋立完了する。
【0008】更に図8の如く最終客土11を行い、図9
の如く最終客土11の上に植樹して公園に利用すること
ができる。
【0009】
【発明の効果】本発明は、廃棄物処分場の内面に、石灰
系の固化剤を混入した泥を塗着して乾燥固化して不透水
層を形成し、廃棄物は全て廃棄の度に改質・固化施設に
より改質・固化してから投入し、重機等により踏み固め
て汚水が地下に浸透しない不透水層とし、その上面に溜
った自然の雨水を貯め、ポンプアップして廃棄物の改質
・固化施設に送り、この作業を繰り返してグランドレベ
ル迄埋立て、その上部を改質・固化廃棄物を利用した盛
土により埋立てるため、処分場に降った雨水等が滲み込
まず、浸出水が処分場の表層部のピットに貯留されるこ
とになるので、安全性はさらに高いものになる。浸出水
の一部は散水利用などにより自然蒸発するが、大部分は
集水ポンプで処分場内の改質・固化処理施設に運ばれ、
廃棄物を固化するための水分として利用される。したが
って、河川等に放流する必要がなくなることになる。ま
た、浸出水は未処理のまゝ利用できるので、複雑な浄化
処理も不要となる。万一、埋立てた廃棄物の中に水途
(みずみち)ができたとしても、処分場の底部及び法面
は不透水層になっているため、汚水が地下に浸透する危
険性はない。また、石灰には対象物を固化・不溶化する
作用のほか、消臭作用や殺菌作用、有害物質の無害・安
定化作用、二酸化炭素の吸着作用等があり、浸出水その
ものを浄化する作用も持っている。なによりも、水途
(みずみち)に石灰のカルシウム分が沈着することで、
自然に塞いでしまう作用(スケール作用という)がある
ため、万一の場合でも人為的な作業によらず、自然の力
だけで汚染が広がることを防ぐことができる。この他、
石灰を利用して改質・固化した廃棄物は、悪臭がなく、
飛散せず、ハエやネズミ、カラス等の衛生害虫獣が近付
かず、メタンガスが発生して火災を起すようなこともな
いので、覆土材を必要としない埋立工法が可能になる。
したがって、埋立容量に対して約30%の覆土材(廃棄
物でない)を必要としていた従来工法に比較し、その分
余分に廃棄物を埋立てることができる。また、地盤沈下
やメタンガスの発生もなく、浸出水の流出もないので、
埋立てが完了した直後に処分場を閉鎖し、跡地管理の煩
わしさを考えることなく、地域性に密着した自由な土地
利用が検討できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の埋立地用開始時の正断面図である。
【図2】廃棄物の第1次投入時の正断面図である。
【図3】図2の第1次投入、転圧整地時の正断面図であ
る。
【図4】図3の第2次投入、転圧整地時の正断面図であ
る。
【図5】図4の第3次投入、転圧整地時の正断面図であ
る。
【図6】グランドレベル迄埋立完了時の正断面図であ
る。
【図7】図6に盛土した埋立完了時の正断面図である。
【図8】図7に最終客土を施した時の正断面図である。
【図9】図8に植樹して公園にした時の正断面図であ
る。
【符号の説明】
1 廃棄物処分場 1a 廃棄物処分場の底面 1b 廃棄物処分場の側面 2 不透水層 3,4,6,7,8,10 改質・固化した廃棄物
(不透水層) 5,9 浸出水ピット 11 最終客土
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 1/00 - 5/00 E02B 3/00 E02B 7/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃棄物処分場の内面に、石灰系の固化剤
    を混入した泥を塗着して乾燥固化して不透水層を形成
    し、廃棄物は全て廃棄の度に改質・固化施設により改質
    ・固化してから投入し、重機等により踏み固めて汚水が
    地下に浸透しない不透水層とし、その上面に溜った自然
    の雨水を貯め、ポンプアップして廃棄物の改質・固化施
    設に送り、この作業を繰り返してグランドレベル迄埋立
    て、その上部を改質・固化廃棄物を利用した盛土により
    埋立てることを特徴とする廃棄物処分場の埋立工法。
JP08310079A 1996-11-06 1996-11-06 廃棄物処分場の埋立工法 Expired - Lifetime JP3131684B2 (ja)

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JP6654035B2 (ja) * 2015-12-21 2020-02-26 日本製鉄株式会社 盛土斜面の緑化方法
CN109053101B (zh) * 2018-10-12 2021-06-18 江苏科技大学 改性污泥及其制备方法以及其作为覆土材料的施工方法

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