JP3588781B2 - 自動車の覚醒制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、人間の覚醒低下を防いで覚醒を維持する自動車の覚醒制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の長距離運転、特に夜間運転や高速道路運転などでは、単調な状態が続くために運転者の覚醒低下が生じ、居眠りによる事故の誘発の危険がある。統計によれば、自動車事故の内、居眠りが原因で生じたものは全体の約10%を占め、現在、交通事故による死傷者の数が年間1万人以上いる事実を考慮に入れると、居眠りによる死傷者は、年間、約1000人にも及んでいると推測できる。
【0003】
そこで、従来より、このような事故を防止する観点、及び眠い状態を我慢して運転を続けることに対する不快感を回避する目的で、様々な居眠り防止装置が考案されている。特に運転中における運転者の覚醒を維持する装置として、例えば、単調な運転時の刺激不足による居眠りを防止するため、車両のステアリング転舵角と車速とから、運転走行状態(運転走行シーン)が単調であるか否かを判断し、単調な場合には、音響やシートヒータ、あるいは、パワーシートによるシート駆動で刺激を与える装置がある(特開昭63−25143号公報)。
【0004】
また、運転者の居眠り時における操舵角の特徴的なズレを検出し、シートの振動とブザーやランプにより居眠りを警告することを狙った装置がある(特開平3−51621号公報)。
一方、夜間の高速運転など、長時間の単調な運転による覚醒低下は、単なる、運転の単調さによる覚醒低下の他に、休憩時の疲労回復の度合いが大きく影響する。従って、運転中の覚醒維持の他、休憩中における疲労回復が必要となり、そのための装置として、いわゆる誘眠装置も種々考案されてきた。
【0005】
例えば、生体の呼吸を検出し、この呼吸周期に基づく所定周期に同期させて、被験者に光を提示する装置(特開平4−348760号公報)や、誘眠のための音の提示周期と継続時間を設定し、これらに基づいて被験者に誘眠音を発する装置(特開平2−65189号公報)がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置は、運転中の単調さから生じる覚醒低下のみを対象としており、長時間運転による疲労からくる覚醒低下については抜本的な対策をとっていない。従って、運転者が休憩をとっても、休憩後の運転時の覚醒低下が早くなるという問題がある。
【0007】
特に、上記特開昭63−25143号公報に開示された装置は、運転者に対する刺激不足を解消することを目的とし、刺激の種類、提示方法、刺激への順応性、刺激に対する不快感という問題に関して、生体特性を考慮したものとはなっておらず、居眠り防止の効果は不十分である。
また、特開平3−51621号公報に開示された装置は、ステアリングのズレを検出して、それをもとに運転者の居眠り状態を推定しているが、運転者が実際に眠くなった状態にあるのかについては、間接的な覚醒度の推定にとどまり、その検出精度は低い。さらに、この装置では、居眠りを検出後に運転者に警告を発しているが、運転者がこの警告にて覚醒できるとは限らず、仮に、この警告にて運転者に居眠り状態を知らせることができたとしても、このとき運転者は既に覚醒低下状態にあり、この方法では居眠り防止に対する抜本的な対策とはならず、結果として、居眠り防止の効果は低い。
【0008】
誘眠装置として特開平4−348760号公報に開示された装置は、生体の呼吸周期を応用しているが、人間の覚醒に関する特性を応用しておらず、短時間に、しかも効果的に覚醒低下を促して眠りに誘うものではない。また、特開平2−65189号公報に記載された装置では、断続的に音を提示できても、覚醒低下時に自動的に発音を停止できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、夜間の高速運転など、長時間の単調運転時において運転者の覚醒を維持し、また、誘眠機能の作動による短時間での疲労回復を実行することで、運転者の居眠りを防止するとともに、走行の安全性を向上させる自動車の覚醒制御装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の自動車の覚醒制御装置は、人間の覚醒状態を維持又は低下させるよう制御する自動車に搭載された覚醒制御装置であって、人間の持つ覚醒リズムの周期を計測する手段と、前記覚醒リズムの周期をもとに所定の覚醒刺激及び誘眠刺激を生成する手段と、自動車が走行中であるか否かを判定する手段と、前記自動車が走行中であるならば、前記覚醒リズムの周期に同期させて前記覚醒刺激を提示することによって注意集中を惹起して覚醒状態を維持する手段と、前記自動車が走行中でないならば、前記覚醒刺激の提示を停止して覚醒状態を低下させると共に、前記誘眠刺激を提示して人間を入眠に導く手段とを具備する。
【0012】
【作用】
以上の構成において、覚醒の維持及び誘眠による疲労回復を行なうよう機能する。
【0013】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る好適な実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る自動車の覚醒制御装置(以下、装置という)全体の構成を示すブロック図である。同図に示す装置は、人間の脳波を用いて覚醒リズムを事前に測定し、その周期に基づいて長時間作業における覚醒維持や警告を行なったり、休憩時に誘眠を行なうものである。
【0014】
図1に示すように、本装置は、以下に説明する4つの装置、すなわち、覚醒リズム周期計測装置、覚醒維持装置、覚醒検出・警告装置、及び誘眠装置にて構成される。
<覚醒リズム周期計測装置>
図1の覚醒リズム周期計測装置1は、被験者であり、また、本実施例に係る装置を搭載した自動車の運転者でもある人間Hの覚醒維持や、後述する誘眠に必要な覚醒リズム周期を事前に測定する装置である。この装置では、人間固有の覚醒維持(注意持続)のリズムである覚醒変動の周期を計測する。
【0015】
そのため、本覚醒リズム周期計測装置1は、脳波計測をテレメータ11にて行ない、その結果をコンピュータ1(13)に取り込むためにA/D変換器12にてA/D変換を施す。コンピュータ1(13)は、後述するように、脳波からα波成分を抽出し、そのパワー量のゆらぎから、運転者(人間H)固有の覚醒リズム周期を測定する。そして、この覚醒リズム周期を覚醒リズム周期出力部14より出力する。
【0016】
図4は、覚醒リズム周期計測装置1における覚醒リズム周期の計測手順を示すフローチャートである。
テレメータ11は不図示の脳波センサを有し、この脳波センサは、人間Hの頭部に装着された脳波電極からの信号を受けて(ステップS1の脳波センシング)、その脳波信号をA/D変換器12に転送する。コンピュータ1(13)は、ステップS2で、A/D変換器12がA/D変換処理にてデジタル信号に変換した脳波を入力し(ステップS3)、内臓するバンドパスフィルタ(BPF:8〜10Hz)により、脳波中のα波成分を抽出する(ステップS4)。
【0017】
コンピュータ1(13)は、ステップS3で抽出されたα波成分の信号を2乗し、α波帯域のパワー量を求める(ステップS5)。次に、求められたα波帯域のパワー量に対して平滑化処理を行ない、このパワー量の時間的ゆらぎ成分、つまり、覚醒リズムを抽出する(ステップS6)。そして、得られた覚醒リズムに対して周波数分析(最大エントロピー法:MEM)を実行し、覚醒リズムの周期を算出する(ステップS7)。
【0018】
このように、事前に覚醒リズム周期を測定しておけば、リアルタイムに運転者の覚醒状態を観察するためのセンサや処理装置が不要になり、運転者は、それらから解放され、違和感なく運転を継続できる。
なお、覚醒リズム周期は、人間の生理量あるいは行動量として、脳波以外に皮膚電位、心拍数、まばたき頻度、反応時間等をもとに計測してもよい。
<覚醒維持装置>
図1に示す覚醒維持装置2は、覚醒リズム周期計測装置1で得られた覚醒リズム周期を応用して、作業者の作業中の覚醒の維持、つまり、本実施例では、運転者の運転中における覚醒低下を防止する装置である。
【0019】
そこで、図5のフローチャートに示す、覚醒維持装置2での覚醒維持の処理手順、及び図1のブロック図を参照して、覚醒維持装置2の機能を説明する。
図1のコンピュータ2は、覚醒リズム周期計測装置1の覚醒リズム周期出力部14より出力された覚醒リズム周期を入力し(図5のステップS11)、覚醒刺激としての音楽の提示時間間隔を算出する(ステップS12)。信号源22は、所定の音楽を提示する音楽源であり、コンピュータ2より指示された時間間隔に応じて断続的に音楽をアンプ(AMP)23に送る。その結果、人間Hへは、スピーカ24を介して所定間隔で音楽の刺激が再生・提示されるので(ステップS13)、運転者に対しては、眠くなる前に覚醒維持が行なわれる。
<覚醒検出・警告装置>
図1に示す覚醒検出・警告装置3は、長時間の単調作業における覚醒リズムの振幅を抽出し、その形状パターンから作業者(運転手)の覚醒段階を判定して、覚醒低下が生じたと判断された場合、その旨を運転手に警告する装置である。
【0020】
図1に示すテレメータ31は、運転者である人間Hの頭部に装着された脳波電極からの信号を受ける脳波センシングを行ない、A/D変換器32は、脳波を次段のコンピュータ4へ入力するためのデジタル変換(A/D変換)を行なう。そして、コンピュータ4は、脳波からα波成分を取り出し、そのパワー量のゆらぎから覚醒リズム振幅を計測し、さらに、この振幅の形状パターンから運転者の覚醒段階を判定する。
【0021】
警告装置34は、コンピュータ4にて運転手が覚醒低下状態にあると判断された場合に、運転者にその旨を警告する
そこで、上記の構成をとる覚醒検出・警告装置3における制御手順について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
上述のように、運転者からの脳波は、テレメータ31にてセンシングされ(ステップS21)、続くステップS22では、A/D変換器32による脳波のデジタル化が行なわれる。そして、その結果は、コンピュータ4に入力される(ステップS23)。
【0022】
コンピュータ4は、入力された脳波から、バンドパスフィルタ(8〜10Hz)にてα成分を抽出し(ステップS24)、次に、ステップS24で抽出されたα波成分の信号を2乗し、α波帯域のパワー量を求める(ステップS25)。そして、求められたα波帯域のパワー量に対して平滑化処理を行ない、このパワー量の時間的ゆらぎ成分(覚醒リズム)を抽出する(ステップS26)。そして、得られた覚醒リズムに対して周波数分析(MEM)を実行し、覚醒リズムの振幅を算出する(ステップS27)。
【0023】
ステップS28では、上記のステップS27で求めた覚醒リズムの振幅が、所定の境界値より大きいか否かの判定を行なう。そして、覚醒リズム振幅が所定値より大きいときには、運転者が覚醒低下状態にあるとして、コンピュータ4は、ステップS29で警告装置34を制御する。
なお、警告装置34は、コンピュータ4からの制御を受けて、運転者に警告音を提示する。また、ここでは、α波パワー量が最小のときに、運転者は通常の覚醒状態にあり、パワー量が最大のときに覚醒低下状態にあると判断している。
【0024】
図2は、上記の覚醒維持装置2及び覚醒検出・警告装置3相互の関係を具体的に表わしたブロック図である。なお、同図では、図1に示す覚醒維持装置2、及び覚醒検出・警告装置3と同一構成要素には同一符号を付してある。
図2に示すように、覚醒維持装置2の入力装置56には、自動車を走行させる前に、事前に測定した運転者固有の覚醒リズム周期を入力する。また、制御ソフト55は、入力装置56からの覚醒リズム周期データを受け、コンピュータ21は、この制御ソフト55に基づいた制御を実行する。その結果、コンピュータ21は、上述のように、所定の周期で、信号源22を構成するCD(コンパクトディスク)プレーヤ、光磁気ディスク、カセットデッキ、シンセサイザー、ROM等を断続的に駆動するので、例えば、CDプレーヤでは、所定の音楽が断続的に再生され、あるいは停止することになる。
【0025】
アンプ51は、CDプレーヤからの信号をスピーカ53を駆動できるレベルまで増幅し、また、アンプ52は、CDプレーヤからの信号を、ボディソニック54を駆動して機械的な振動が得られる出力とするための増幅をする。そして、運転者(ドライバ)へは、スピーカ53からの音楽やボディソニック54による振動が提示され、ドライバの覚醒が維持される。
【0026】
また、覚醒検出・警告装置3のコンピュータ(図2では、符号31にて示される)は、テレメータ31からの脳波をもとに抽出した覚醒リズム振幅の大きさから覚醒低下と判定した場合、警告装置34内の、例えば、シンセサイザーを制御し、ドライバに所定の警告音を提示する。
<誘眠装置>
誘眠装置4は、休憩の際、人間(運転者)が短時間で疲労回復が行なえるよう、運転者の入眠を促す装置である。本装置は、上述の覚醒維持装置2及び覚醒検出・警告装置3に加え、入眠の際の運転者の注意集中のための表示を行なうディスプレイ42、このディスプレイ42を制御するコンピュータ3(41)にて構成される。
【0027】
最初に、本誘眠装置において利用する誘眠の原理について、図8,図9を参照して簡単に説明する。
図8に示すコンピュータ63の制御により聴覚刺激装置としてのスピーカ62を駆動し、被験者(ヒト)に、例えば、音楽等の覚醒刺激を提示するとともに、視覚刺激装置であるCRT61上に特定パターンが現われるかどうかの反応試験(集中作業)を行なう。この作業により、被験者には、急速に刺激不足のための覚醒低下が起こり、いわゆる覚醒リズムが現われる。
【0028】
この覚醒リズムは、図9に示すように、刺激提示領域において、作業者の集中による急速な覚醒化が起こった後、急速に覚醒低下が進行する。この現象は、覚醒リズムの周期の時間スケールで現われる。そして、最も覚醒低下が進んだ時点で作業者に目を閉じさせ、作業を中止させることで、作業者を睡眠段階へ移行させる。
【0029】
図3は、誘眠装置4の具体的な構成例を示すブロック図である。なお、同図において、図2に示す覚醒維持装置2と同一構成には同一符号を付し、ここでは、それらの説明を省略する。
本実施例に係る誘眠装置4は、休憩中の運転手が短時間に疲労回復のための入眠ができるようにする装置であり、コンピュータによる制御下で、運転者の注意集中のために光ディスプレイ57にて運転者に光刺激を提示する。また、入力装置56からは、事前に測定した運転者の覚醒リズムを設定し、この覚醒リズムを1周期として、信号源22からの音楽をスピーカ53等を介して断続的に提示することで、音楽提示時間帯には運転者の注意集中を起こし、音楽休止中には、その反動で急速な覚醒の低下を起こすことを利用して、誘眠を行なう。
【0030】
図7は、誘眠装置4における制御手順を示すフローチャートである。
上述のように、覚醒維持装置2のコンピュータ2(21)は、覚醒リズム周期計測装置1の覚醒リズム周期出力部14から覚醒リズム周期を入力し(ステップS33)、この覚醒リズム周期の1周期を音楽の断続提示間隔とする(ステップS34)。そして、信号源22を制御して、例えば、CDプレーヤを駆動することで、休憩中の運転者(図中の人間)に所定の音楽を断続的に提示(再生)する。
【0031】
一方、誘眠装置4のコンピュータ3(41)は、光ディスプレイ57に光刺激の提示タイミングを指示し(ステップS31)、そのタイミングにて運転者に光刺激を提示する(ステップS32)。
次に、誘眠装置4では、覚醒検出・警告装置3を構成するテレメータ31にて、運転者からの脳波をセンシングし(ステップS36)、続くステップS37で、A/D変換器32による脳波のデジタル化を行なう。そして、その結果は、コンピュータ4(33)に入力される(ステップS38)。
【0032】
コンピュータ4は、入力された脳波から、バンドパスフィルタ(8〜10Hz)にてα成分を抽出し(ステップS39)、次に、抽出されたα波成分の信号を2乗してα波帯域のパワー量を求める(ステップS40)。ステップS41では、ステップS40で求めたα波帯域のパワー量が、所定の境界値より大きいか否かの判定を行なう。そして、α波帯域のパワー量が所定値より大きいときには、運転者が覚醒低下状態にあるとして、コンピュータ2にその旨を通知する。コンピュータ2は、コンピュータ4からの通知を受けて、信号源22のCDプレーヤ、アンプ23、スピーカ24の駆動を停止し、音楽の再生を中止する(ステップS42)。
【0033】
なお、本実施例では、上記の処理を数回繰り返し、ある一定以上の覚醒低下が生じたときに音楽等の提示を中止する。つまり、運転者が入眠したと判断して誘眠動作を終了する。
次に、本実施例に係る自動車の覚醒制御装置について、当該装置が実際に車両に搭載された場合の具体的な構成例について説明する。
【0034】
図10は、本実施例に係る自動車の覚醒制御装置の車載時の構成を示すブロック図である。同図に示す装置は、上述の誘眠装置に、車載時における特有の機能を実現するため種々の装置を付加したものである。
コンピュータ100は本装置全体を制御し、エアコン103や空気清浄器115は、運転者Hを誘眠に導くため、本装置が搭載された車両を快適な状態に保つ役目をする。さらに、運転者が座るシートには、上述のような光ディスプレイ105やスピーカ112、ボディソニック110以外に、シートのリクライニング機構を制御するリクライニング機構用モータ106が備えられている。
【0035】
運転者自身は、その頭部をカプセル113で覆われ、休憩時に、車外や車内の明るさや雑音により誘眠が妨げられないようにしている。これにより、光ディスプレイ105やスピーカ112からの刺激は運転者のみに提示され、運転者は、外からの光や外部から覗かれているという不安感から解放される。
なお、本装置では、不図示の自動ロック機構を作動させ、誘眠開始と同時にドアロックを行なって外部からの他人の侵入を防ぎ、円滑に誘眠に入れるようにしてもよい。また、運転手が短時間に疲労回復のための入眠ができるようにするため、事前に計測したその運転者個人の覚醒リズム周期をカードに記憶しておき、それをカード入力装置102にて読み込ませてから誘眠処理に入る。
【0036】
本装置は、図11のフローチャートに示す処理手順にて動作する。すなわち、ステップS51では、コンピュータ100は、車両が走行中であるか否かの判定を行なう。これは、運転者を誘眠に導く際の安全上の問題を考慮した処理であり、車両が走行中であるか否かの判定は、例えば、車両が停車しているか、サイドブレーキが引かれているか、燃料が十分あるか等に基づいて行なう。そして、車両が走行中であれば、ステップS52で覚醒の維持を行なう。
【0037】
一方、車両が停止している場合には、ステップS53で、後述する誘眠処理を実行し、誘眠終了後は、ステップS54で覚醒化を行なう。そして、ステップS55では、本装置による覚醒維持あるいは誘眠機能を継続使用するかどうかの判定をし、使用しない場合には本処理を終了する。
図12は、図11の覚醒維持処理の詳細手順を示すフローチャートである。同図のステップS62では、運転者の頭部に装着された脳波センサ114にて脳波を検出し、その結果をA/D変換器101にてデジタル化する。コンピュータ100は、デジタル化された脳波から、上述のようにα波パワーを抽出し(ステップS63)、続くステップS64で、その値が所定の境界値より大きいか否かの判定をする。
【0038】
上記のステップS64で、α波パワーが境界値より大きいと判断されれば、ステップS65で、α波パワーが一定時間以上、境界値を越えるか否かの判定をし、その判定結果がYESであれば、ステップS66で、コンピュータ100は、CDプレーヤ107及びアンプ109を介してスピーカ112を駆動し、運転者に警告音を提示する。
【0039】
図13は、図11の誘眠処理の詳細手順を示すフローチャートである。同図のステップS71に示すように、本装置は、運転者に提示する刺激の種類を選択する使用刺激選択機能を有する。これは、刺激の種類によっては、運転者の好みに反する場合があるためで、運転者は、入力装置104を操作して自分の好みの音楽や振動等、刺激の種類やそれらの提示順序、提示時間帯等を選択し、また、同時に複数の刺激を用いる刺激の複合機能を付加できる。
【0040】
すなわち、図14のフローチャートに示すように、ステップS81,S82で、それぞれ、運転者が音楽を好むか、振動を好むかの判定を行なう。そして、これれらの判定結果をもとに、ステップS83で音楽・振動の複合提示、ステップS84で音楽の単独提示、また、ステップS85で振動の単独提示を行なう。
なお、自分の好みの音楽や振動等、刺激の種類をあらかじめカードに記憶しておき、それを本誘眠処理に入る前にカード入力装置102にて読み込ませてもよい。
【0041】
図13のステップS72では、人間の覚醒リズム周期に同期させて物理刺激を運転者に提示する際、覚醒リズムの個人差あるいは運転者の好みによるバラツキに合致させるため、入力装置104により、この物理刺激の提示間隔の周期を調整する。また、ステップS73では、事前に誘眠装置を作動させてもよいかどうかの判定、つまり、誘眠装置の使用可能判定を行なう。これは、上述のように、車両が動いているときに誘眠装置を作動させるのは危険だからであり、例えば、疲労回復のための入眠時間内に燃料がなくなるような場合、その旨を運転者に提示するとともに、装置そのものが作動しないようにする。
【0042】
この使用可能判定処理は、具体的には、図15,図16のフローチャートに示すように、そのステップS86で、誘眠装置の作動時刻と、人間の特性の1つであるサーカディアン・リズムを応用して、装置の使用限度回数を算出する。また、ステップS87では、コンピュータ100がエアコン103がON状態にあるかどうかを判定する。つまり、人間の体温が覚醒低下とともに下がるので、誘眠中は、車両の温度、湿度等、誘眠に適した環境が必要であり、誘眠装置が作動している場合には、リアルタイムに運転者の覚醒度を観察して自動的にエアコン103を機能させる(ステップS88)。同様に、ステップS89,S90で空気清浄器115を作動させる。
【0043】
コンピュータ100は、ステップS91で、サイドブレーキがかかっているか、また、ステップS92では、燃料が十分にあるかどうかの判定をして、それらの判定結果がNOであれば、図16のステップS98での処理、つまり、誘眠中の安全を考慮して本装置の使用を不可とするメッセージを提示する。
本装置による誘眠については、所定の時間間隔以下で、かつ、所定回数を越える使用は、人間の持つサーカディアン・リズムを乱す恐れがある。従って、1日に使用できる限度回数を設定して、その使用回数以上は使用できないようにして安全対策を施す目的で、誘眠使用回数が基準回数を越えていないかどうかの判定を行なう(図16のステップS93)。また、前回使用してから次の使用までの最小使用限度を設定し、短時間に何回も使用できないように安全機能を付加している(ステップS94)。
【0044】
上述の人間のサーカディアン・リズムは、5:00〜6:00,15:00〜17:00の時間帯においては、自然と眠くなる特性を有するので、この時間帯では、注意を集中させなくても誘眠に導くことができる可能性がある。そこで本装置では、上記の時間帯を判断し(ステップS95)、その時間帯では、覚醒リズムを応用した誘眠と、通常のリラックス状態による誘眠とを選択できるようにして(ステップS96,S97)、より自然な誘眠を促すようにしている。
【0045】
さらに、誘眠時には、シートが入眠に適したものであることが望ましいので、図13のステップS74では、シートの調整処理を実行する。図17に、このシート調整処理の詳細フローチャートを示す。
すなわち、誘眠時には、図17のステップS101で、コンピュータ100がシートの各変更箇所の変更設定値を読み込み、リアレッグスペース検出センサ111にてリアシートの足元に障害物がないかどうかを検知する。そして、障害物がないと判断されれば、ステップS103でシートバック処理を行ない、また、リアレッグスペーサ検出センサ111からの検出信号をもとにリクライニング機構用モータ106を駆動してリクライニングの調整を行なう(ステップS104)。
【0046】
一方、シートの足元に障害物がある場合、ステップS105でリクライニングの可能角度を検出してから、ステップS106でリクライニングの調整を行ない、さらに、シートバックの可能角度を検出してシートバック処理を実行する(ステップS107,S108)。
そして、上記のシートバック及びリクライニング処理を終えると、リクライニング機構用モータ106を駆動してふくらはぎを持ち上げ(ステップS109)、ランバーサポートの解除(ステップS110)、サイドサポートの解除(ステップS111)、ヘッドレストの調整(ステップS112)をして、最後にシート高を調整する(ステップS113)。これらの処理により、誘眠に適したシート状態を実現する。
【0047】
以上の車内環境設定の後、図13のステップS75では誘眠処理に入るが、実際に誘眠ができても刺激を提示し続けると、逆に睡眠が妨げられることが考えられるので、本装置では、誘眠中に脳波センサ114にて運転者の脳波を検出して、そのα波成分から運転者の覚醒状態を監視する。そして、運転者に十分な覚醒低下が認められた場合には、自動的に誘眠を終了する。
【0048】
図18,図19は、図13に示す誘眠処理の詳細フローチャートである。
図18のステップS121では、コンピュータ100が、上述のように、例えば、カード入力装置102にて読み取った覚醒リズム周期を入力し、それをもとに光刺激提示タイミングを算出したり(ステップS122)、音・振動刺激提示タイミングを算出する(ステップS123)。そして、ステップS124で、不図示のタイマをゼロスタートさせる。
【0049】
ステップS125では、上記のタイマによるカウント値が光刺激提示のタイミングであるか、また、ステップS127では、カウント値が音・振動刺激提示タイミングであるかの判定を行なう。その判定結果がYESであれば、それぞれのタイミングで光刺激を断続的に提示し(ステップS126)、CDプレーヤによる音楽を断続的に提示する(ステップS128)。
【0050】
一方、ステップS125で光刺激提示のタイミングではなく、かつ、ステップS127で音・振動刺激提示のタイミングではないと判定されたり、あるいは、所定のタイミングで光刺激を断続的に提示したり(ステップS126)、CDプレーヤによる音楽を断続的に提示した(ステップS128)後は、図19に示す覚醒度の判定処理に入る。
【0051】
すなわち、脳波センサ114にて、運転者からの脳波をセンシングし(ステップS131)、続くステップS132で、A/D変換器101による脳波のデジタル化を行なう。そして、その結果は、コンピュータ100に入力される(ステップS133)。
コンピュータ100は、入力された脳波から、バンドパスフィルタ(8〜10Hz)にてα成分を抽出し(ステップS134)、抽出されたα波成分の信号を2乗してα波帯域のパワー量を求める(ステップS135)。続くステップS136では、ステップS135で求めたα波帯域のパワー量が、所定の境界値より大きいか否かの判定を行なう。そして、α波帯域のパワー量が所定の境界値より大きく、かつ、そのパワー量が境界値を越える時間が一定時間以上の場合(ステップS129での判断がYES)、運転者は十分な覚醒低下状態にあるとして、CDプレーヤによる音楽の再生、及び光刺激を中止する(ステップS130)。つまり、本実施例に係る自動車の覚醒制御装置では、運転者に十分な覚醒低下が認められた場合には、自動的に誘眠を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施例によれば、運転中には、覚醒リズム周期に基づいて視覚刺激及び聴覚刺激を提示することで、運転者の覚醒低下を防止でき、また、休憩中には、音楽等の刺激にて注意集中させ、その反動による音楽休止中の急速な覚醒低下を利用して誘眠することで、短時間で円滑な誘眠が可能になるので、単調な運転時の刺激不足による居眠り防止とともに、自動車走行の安全性を向上できるという効果がある。
[他の実施例]
上記実施例では、覚醒低下の原因を刺激不足とし、この刺激不足にて覚醒リズムが生じるとしているが、覚醒低下の他の原因として疲労がある。つまり、断続的な刺激提示で覚醒リズムが消失せず、刺激の断続的な提示の効果がなくなった場合、覚醒低下の原因が疲労にあると判断できる。
【0053】
そこで、他の実施例として、疲労を検出し、その結果をもとに疲労警告をする装置について説明する。
図20は、他の実施例に係る疲労警告装置の構成を示すブロック図である。同図において、脳波計測装置201は、人(作業者)の脳波を計測し、覚醒段階判定装置202は、脳波計測装置201からの脳波をもとに、後述する覚醒段階を推定する。そして、覚醒段階が疲労と判断されると、警告装置203は、所定の警告を発する。
【0054】
図21,図22は、本実施例に係る疲労警告装置における制御手順を示すフローチャートである。同図に示すステップS151では、作業者に断続的な刺激提示をして、脳波計測装置201により、そのときの脳波計測を行なう。そして、ステップS152で、この脳波をもとに覚醒段階判定装置202による覚醒段階の推定を実行し、続くステップS153では、その段階値を検出する。
【0055】
推定された覚醒段階の段階値が段階2と段階3の間、すなわち、準覚醒低下状態と、睡眠状態の前段階である覚醒低下状態の間にあれば、疲労状態が生じているとして、以下の疲労判断処理に入る。
つまり、ステップS155で各パラメータの初期化を行ない、続くステップS156,S157,S158で、再度、脳波の計測、脳波にもとづく覚醒段階判定装置202による覚醒段階の推定、及び、その段階値を検出を実行する。そして、ステップS159で、覚醒段階値が段階2と段階3の間にあるか否かの判断を行ない、その判断結果がNOであれば、覚醒低下の有無には無関係な処理ループ回数を示すパラメータN2 の値を1インクリメントしてから、ステップS156の処理に戻る。
【0056】
しかし、ステップS159での判断がYESであれば、ステップS160で、覚醒低下と判断された場合の処理ループ回数を示すパラメータNの値を1インクリメントし、続くステップS161で、覚醒低下の時間計測用タイマカウンタ値Tc が、疲労判定のためのタイマカウンタの境界値Tc0以上であるかどうかの判定を行なう。そして、その結果がYESであれば、ステップS162で、覚醒段階値が段階2と段階3の間にある状態の占める割合(全体に対する覚醒低下時間の割合)Na を、パラメータN,N2 を用いて計算し、Na の値が80%以上であれば(ステップS163での判断結果がYES)、作業者は疲労状態にあると判断して警告を発する(ステップS164)。
【0057】
なお、この警告処理は、指定時間以上継続されるように、ステップS165で時間監視をする。また、作業者が疲労状態にないと判断された場合には、疲労ではなく刺激不足による覚醒低下と推定できるので、処理を最初に戻して、脳波の検出による覚醒段階の推定を続ける。
このように、刺激の断続的な提示の効果がなくなって覚醒低下が起こった場合、運転者に疲労を警告することで、より一層の安全走行を保証できる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、覚醒リズム周期に基づいて刺激を提示することで覚醒維持を行ない、また、刺激提示による注意集中の反動を利用した急速な覚醒低下にて誘眠させて疲労回復を図ることで、運転中の効果的な覚醒維持及び覚醒低下の防止、及び短時間での誘眠を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る自動車の覚醒制御装置全体の構成を示すブロック図である。
【図2】覚醒維持装置2及び覚醒検出・警告装置3相互の関係を具体的に表わしたブロック図である。
【図3】誘眠装置4の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図4】覚醒リズム周期計測装置1における覚醒リズム周期の計測手順を示すフローチャートである。
【図5】覚醒維持装置2での覚醒維持の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】覚醒検出・警告装置3における制御手順を示すフローチャートである。
【図7】誘眠装置4における制御手順を示すフローチャートである。
【図8】誘眠装置において利用する誘眠の原理を説明するための図である。
【図9】誘眠装置において利用する誘眠の原理を説明するための図である。
【図10】実施例に係る自動車の覚醒制御装置の車載時の構成を示すブロック図である。
【図11】自動車の覚醒制御装置の車載時における動作手順を示すフローチャートである。
【図12】図11の覚醒維持処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図13】図11の誘眠処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図14】図13の使用刺激選択の詳細手順を示すフローチャートである。
【図15】図13の使用可能判定処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図13の使用可能判定処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図13のシート調整処理の詳細フローチャートである。
【図18】図13に示す誘眠処理の詳細フローチャートである。
【図19】図13に示す誘眠処理の詳細フローチャートである。
【図20】他の実施例に係る疲労警告装置の構成を示すブロック図である。
【図21】他の実施例に係る疲労警告装置における制御手順を示すフローチャートである。
【図22】他の実施例に係る疲労警告装置における制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 覚醒リズム周期計測装置
2 覚醒維持装置
3 覚醒検出・警告装置
4 誘眠装置
11,31 テレメータ
13,21,41 コンピュータ
22 信号源
53 スピーカ
56 入力装置
57 光ディスプレイ
【産業上の利用分野】
本発明は、人間の覚醒低下を防いで覚醒を維持する自動車の覚醒制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の長距離運転、特に夜間運転や高速道路運転などでは、単調な状態が続くために運転者の覚醒低下が生じ、居眠りによる事故の誘発の危険がある。統計によれば、自動車事故の内、居眠りが原因で生じたものは全体の約10%を占め、現在、交通事故による死傷者の数が年間1万人以上いる事実を考慮に入れると、居眠りによる死傷者は、年間、約1000人にも及んでいると推測できる。
【0003】
そこで、従来より、このような事故を防止する観点、及び眠い状態を我慢して運転を続けることに対する不快感を回避する目的で、様々な居眠り防止装置が考案されている。特に運転中における運転者の覚醒を維持する装置として、例えば、単調な運転時の刺激不足による居眠りを防止するため、車両のステアリング転舵角と車速とから、運転走行状態(運転走行シーン)が単調であるか否かを判断し、単調な場合には、音響やシートヒータ、あるいは、パワーシートによるシート駆動で刺激を与える装置がある(特開昭63−25143号公報)。
【0004】
また、運転者の居眠り時における操舵角の特徴的なズレを検出し、シートの振動とブザーやランプにより居眠りを警告することを狙った装置がある(特開平3−51621号公報)。
一方、夜間の高速運転など、長時間の単調な運転による覚醒低下は、単なる、運転の単調さによる覚醒低下の他に、休憩時の疲労回復の度合いが大きく影響する。従って、運転中の覚醒維持の他、休憩中における疲労回復が必要となり、そのための装置として、いわゆる誘眠装置も種々考案されてきた。
【0005】
例えば、生体の呼吸を検出し、この呼吸周期に基づく所定周期に同期させて、被験者に光を提示する装置(特開平4−348760号公報)や、誘眠のための音の提示周期と継続時間を設定し、これらに基づいて被験者に誘眠音を発する装置(特開平2−65189号公報)がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置は、運転中の単調さから生じる覚醒低下のみを対象としており、長時間運転による疲労からくる覚醒低下については抜本的な対策をとっていない。従って、運転者が休憩をとっても、休憩後の運転時の覚醒低下が早くなるという問題がある。
【0007】
特に、上記特開昭63−25143号公報に開示された装置は、運転者に対する刺激不足を解消することを目的とし、刺激の種類、提示方法、刺激への順応性、刺激に対する不快感という問題に関して、生体特性を考慮したものとはなっておらず、居眠り防止の効果は不十分である。
また、特開平3−51621号公報に開示された装置は、ステアリングのズレを検出して、それをもとに運転者の居眠り状態を推定しているが、運転者が実際に眠くなった状態にあるのかについては、間接的な覚醒度の推定にとどまり、その検出精度は低い。さらに、この装置では、居眠りを検出後に運転者に警告を発しているが、運転者がこの警告にて覚醒できるとは限らず、仮に、この警告にて運転者に居眠り状態を知らせることができたとしても、このとき運転者は既に覚醒低下状態にあり、この方法では居眠り防止に対する抜本的な対策とはならず、結果として、居眠り防止の効果は低い。
【0008】
誘眠装置として特開平4−348760号公報に開示された装置は、生体の呼吸周期を応用しているが、人間の覚醒に関する特性を応用しておらず、短時間に、しかも効果的に覚醒低下を促して眠りに誘うものではない。また、特開平2−65189号公報に記載された装置では、断続的に音を提示できても、覚醒低下時に自動的に発音を停止できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、夜間の高速運転など、長時間の単調運転時において運転者の覚醒を維持し、また、誘眠機能の作動による短時間での疲労回復を実行することで、運転者の居眠りを防止するとともに、走行の安全性を向上させる自動車の覚醒制御装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の自動車の覚醒制御装置は、人間の覚醒状態を維持又は低下させるよう制御する自動車に搭載された覚醒制御装置であって、人間の持つ覚醒リズムの周期を計測する手段と、前記覚醒リズムの周期をもとに所定の覚醒刺激及び誘眠刺激を生成する手段と、自動車が走行中であるか否かを判定する手段と、前記自動車が走行中であるならば、前記覚醒リズムの周期に同期させて前記覚醒刺激を提示することによって注意集中を惹起して覚醒状態を維持する手段と、前記自動車が走行中でないならば、前記覚醒刺激の提示を停止して覚醒状態を低下させると共に、前記誘眠刺激を提示して人間を入眠に導く手段とを具備する。
【0012】
【作用】
以上の構成において、覚醒の維持及び誘眠による疲労回復を行なうよう機能する。
【0013】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る好適な実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る自動車の覚醒制御装置(以下、装置という)全体の構成を示すブロック図である。同図に示す装置は、人間の脳波を用いて覚醒リズムを事前に測定し、その周期に基づいて長時間作業における覚醒維持や警告を行なったり、休憩時に誘眠を行なうものである。
【0014】
図1に示すように、本装置は、以下に説明する4つの装置、すなわち、覚醒リズム周期計測装置、覚醒維持装置、覚醒検出・警告装置、及び誘眠装置にて構成される。
<覚醒リズム周期計測装置>
図1の覚醒リズム周期計測装置1は、被験者であり、また、本実施例に係る装置を搭載した自動車の運転者でもある人間Hの覚醒維持や、後述する誘眠に必要な覚醒リズム周期を事前に測定する装置である。この装置では、人間固有の覚醒維持(注意持続)のリズムである覚醒変動の周期を計測する。
【0015】
そのため、本覚醒リズム周期計測装置1は、脳波計測をテレメータ11にて行ない、その結果をコンピュータ1(13)に取り込むためにA/D変換器12にてA/D変換を施す。コンピュータ1(13)は、後述するように、脳波からα波成分を抽出し、そのパワー量のゆらぎから、運転者(人間H)固有の覚醒リズム周期を測定する。そして、この覚醒リズム周期を覚醒リズム周期出力部14より出力する。
【0016】
図4は、覚醒リズム周期計測装置1における覚醒リズム周期の計測手順を示すフローチャートである。
テレメータ11は不図示の脳波センサを有し、この脳波センサは、人間Hの頭部に装着された脳波電極からの信号を受けて(ステップS1の脳波センシング)、その脳波信号をA/D変換器12に転送する。コンピュータ1(13)は、ステップS2で、A/D変換器12がA/D変換処理にてデジタル信号に変換した脳波を入力し(ステップS3)、内臓するバンドパスフィルタ(BPF:8〜10Hz)により、脳波中のα波成分を抽出する(ステップS4)。
【0017】
コンピュータ1(13)は、ステップS3で抽出されたα波成分の信号を2乗し、α波帯域のパワー量を求める(ステップS5)。次に、求められたα波帯域のパワー量に対して平滑化処理を行ない、このパワー量の時間的ゆらぎ成分、つまり、覚醒リズムを抽出する(ステップS6)。そして、得られた覚醒リズムに対して周波数分析(最大エントロピー法:MEM)を実行し、覚醒リズムの周期を算出する(ステップS7)。
【0018】
このように、事前に覚醒リズム周期を測定しておけば、リアルタイムに運転者の覚醒状態を観察するためのセンサや処理装置が不要になり、運転者は、それらから解放され、違和感なく運転を継続できる。
なお、覚醒リズム周期は、人間の生理量あるいは行動量として、脳波以外に皮膚電位、心拍数、まばたき頻度、反応時間等をもとに計測してもよい。
<覚醒維持装置>
図1に示す覚醒維持装置2は、覚醒リズム周期計測装置1で得られた覚醒リズム周期を応用して、作業者の作業中の覚醒の維持、つまり、本実施例では、運転者の運転中における覚醒低下を防止する装置である。
【0019】
そこで、図5のフローチャートに示す、覚醒維持装置2での覚醒維持の処理手順、及び図1のブロック図を参照して、覚醒維持装置2の機能を説明する。
図1のコンピュータ2は、覚醒リズム周期計測装置1の覚醒リズム周期出力部14より出力された覚醒リズム周期を入力し(図5のステップS11)、覚醒刺激としての音楽の提示時間間隔を算出する(ステップS12)。信号源22は、所定の音楽を提示する音楽源であり、コンピュータ2より指示された時間間隔に応じて断続的に音楽をアンプ(AMP)23に送る。その結果、人間Hへは、スピーカ24を介して所定間隔で音楽の刺激が再生・提示されるので(ステップS13)、運転者に対しては、眠くなる前に覚醒維持が行なわれる。
<覚醒検出・警告装置>
図1に示す覚醒検出・警告装置3は、長時間の単調作業における覚醒リズムの振幅を抽出し、その形状パターンから作業者(運転手)の覚醒段階を判定して、覚醒低下が生じたと判断された場合、その旨を運転手に警告する装置である。
【0020】
図1に示すテレメータ31は、運転者である人間Hの頭部に装着された脳波電極からの信号を受ける脳波センシングを行ない、A/D変換器32は、脳波を次段のコンピュータ4へ入力するためのデジタル変換(A/D変換)を行なう。そして、コンピュータ4は、脳波からα波成分を取り出し、そのパワー量のゆらぎから覚醒リズム振幅を計測し、さらに、この振幅の形状パターンから運転者の覚醒段階を判定する。
【0021】
警告装置34は、コンピュータ4にて運転手が覚醒低下状態にあると判断された場合に、運転者にその旨を警告する
そこで、上記の構成をとる覚醒検出・警告装置3における制御手順について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
上述のように、運転者からの脳波は、テレメータ31にてセンシングされ(ステップS21)、続くステップS22では、A/D変換器32による脳波のデジタル化が行なわれる。そして、その結果は、コンピュータ4に入力される(ステップS23)。
【0022】
コンピュータ4は、入力された脳波から、バンドパスフィルタ(8〜10Hz)にてα成分を抽出し(ステップS24)、次に、ステップS24で抽出されたα波成分の信号を2乗し、α波帯域のパワー量を求める(ステップS25)。そして、求められたα波帯域のパワー量に対して平滑化処理を行ない、このパワー量の時間的ゆらぎ成分(覚醒リズム)を抽出する(ステップS26)。そして、得られた覚醒リズムに対して周波数分析(MEM)を実行し、覚醒リズムの振幅を算出する(ステップS27)。
【0023】
ステップS28では、上記のステップS27で求めた覚醒リズムの振幅が、所定の境界値より大きいか否かの判定を行なう。そして、覚醒リズム振幅が所定値より大きいときには、運転者が覚醒低下状態にあるとして、コンピュータ4は、ステップS29で警告装置34を制御する。
なお、警告装置34は、コンピュータ4からの制御を受けて、運転者に警告音を提示する。また、ここでは、α波パワー量が最小のときに、運転者は通常の覚醒状態にあり、パワー量が最大のときに覚醒低下状態にあると判断している。
【0024】
図2は、上記の覚醒維持装置2及び覚醒検出・警告装置3相互の関係を具体的に表わしたブロック図である。なお、同図では、図1に示す覚醒維持装置2、及び覚醒検出・警告装置3と同一構成要素には同一符号を付してある。
図2に示すように、覚醒維持装置2の入力装置56には、自動車を走行させる前に、事前に測定した運転者固有の覚醒リズム周期を入力する。また、制御ソフト55は、入力装置56からの覚醒リズム周期データを受け、コンピュータ21は、この制御ソフト55に基づいた制御を実行する。その結果、コンピュータ21は、上述のように、所定の周期で、信号源22を構成するCD(コンパクトディスク)プレーヤ、光磁気ディスク、カセットデッキ、シンセサイザー、ROM等を断続的に駆動するので、例えば、CDプレーヤでは、所定の音楽が断続的に再生され、あるいは停止することになる。
【0025】
アンプ51は、CDプレーヤからの信号をスピーカ53を駆動できるレベルまで増幅し、また、アンプ52は、CDプレーヤからの信号を、ボディソニック54を駆動して機械的な振動が得られる出力とするための増幅をする。そして、運転者(ドライバ)へは、スピーカ53からの音楽やボディソニック54による振動が提示され、ドライバの覚醒が維持される。
【0026】
また、覚醒検出・警告装置3のコンピュータ(図2では、符号31にて示される)は、テレメータ31からの脳波をもとに抽出した覚醒リズム振幅の大きさから覚醒低下と判定した場合、警告装置34内の、例えば、シンセサイザーを制御し、ドライバに所定の警告音を提示する。
<誘眠装置>
誘眠装置4は、休憩の際、人間(運転者)が短時間で疲労回復が行なえるよう、運転者の入眠を促す装置である。本装置は、上述の覚醒維持装置2及び覚醒検出・警告装置3に加え、入眠の際の運転者の注意集中のための表示を行なうディスプレイ42、このディスプレイ42を制御するコンピュータ3(41)にて構成される。
【0027】
最初に、本誘眠装置において利用する誘眠の原理について、図8,図9を参照して簡単に説明する。
図8に示すコンピュータ63の制御により聴覚刺激装置としてのスピーカ62を駆動し、被験者(ヒト)に、例えば、音楽等の覚醒刺激を提示するとともに、視覚刺激装置であるCRT61上に特定パターンが現われるかどうかの反応試験(集中作業)を行なう。この作業により、被験者には、急速に刺激不足のための覚醒低下が起こり、いわゆる覚醒リズムが現われる。
【0028】
この覚醒リズムは、図9に示すように、刺激提示領域において、作業者の集中による急速な覚醒化が起こった後、急速に覚醒低下が進行する。この現象は、覚醒リズムの周期の時間スケールで現われる。そして、最も覚醒低下が進んだ時点で作業者に目を閉じさせ、作業を中止させることで、作業者を睡眠段階へ移行させる。
【0029】
図3は、誘眠装置4の具体的な構成例を示すブロック図である。なお、同図において、図2に示す覚醒維持装置2と同一構成には同一符号を付し、ここでは、それらの説明を省略する。
本実施例に係る誘眠装置4は、休憩中の運転手が短時間に疲労回復のための入眠ができるようにする装置であり、コンピュータによる制御下で、運転者の注意集中のために光ディスプレイ57にて運転者に光刺激を提示する。また、入力装置56からは、事前に測定した運転者の覚醒リズムを設定し、この覚醒リズムを1周期として、信号源22からの音楽をスピーカ53等を介して断続的に提示することで、音楽提示時間帯には運転者の注意集中を起こし、音楽休止中には、その反動で急速な覚醒の低下を起こすことを利用して、誘眠を行なう。
【0030】
図7は、誘眠装置4における制御手順を示すフローチャートである。
上述のように、覚醒維持装置2のコンピュータ2(21)は、覚醒リズム周期計測装置1の覚醒リズム周期出力部14から覚醒リズム周期を入力し(ステップS33)、この覚醒リズム周期の1周期を音楽の断続提示間隔とする(ステップS34)。そして、信号源22を制御して、例えば、CDプレーヤを駆動することで、休憩中の運転者(図中の人間)に所定の音楽を断続的に提示(再生)する。
【0031】
一方、誘眠装置4のコンピュータ3(41)は、光ディスプレイ57に光刺激の提示タイミングを指示し(ステップS31)、そのタイミングにて運転者に光刺激を提示する(ステップS32)。
次に、誘眠装置4では、覚醒検出・警告装置3を構成するテレメータ31にて、運転者からの脳波をセンシングし(ステップS36)、続くステップS37で、A/D変換器32による脳波のデジタル化を行なう。そして、その結果は、コンピュータ4(33)に入力される(ステップS38)。
【0032】
コンピュータ4は、入力された脳波から、バンドパスフィルタ(8〜10Hz)にてα成分を抽出し(ステップS39)、次に、抽出されたα波成分の信号を2乗してα波帯域のパワー量を求める(ステップS40)。ステップS41では、ステップS40で求めたα波帯域のパワー量が、所定の境界値より大きいか否かの判定を行なう。そして、α波帯域のパワー量が所定値より大きいときには、運転者が覚醒低下状態にあるとして、コンピュータ2にその旨を通知する。コンピュータ2は、コンピュータ4からの通知を受けて、信号源22のCDプレーヤ、アンプ23、スピーカ24の駆動を停止し、音楽の再生を中止する(ステップS42)。
【0033】
なお、本実施例では、上記の処理を数回繰り返し、ある一定以上の覚醒低下が生じたときに音楽等の提示を中止する。つまり、運転者が入眠したと判断して誘眠動作を終了する。
次に、本実施例に係る自動車の覚醒制御装置について、当該装置が実際に車両に搭載された場合の具体的な構成例について説明する。
【0034】
図10は、本実施例に係る自動車の覚醒制御装置の車載時の構成を示すブロック図である。同図に示す装置は、上述の誘眠装置に、車載時における特有の機能を実現するため種々の装置を付加したものである。
コンピュータ100は本装置全体を制御し、エアコン103や空気清浄器115は、運転者Hを誘眠に導くため、本装置が搭載された車両を快適な状態に保つ役目をする。さらに、運転者が座るシートには、上述のような光ディスプレイ105やスピーカ112、ボディソニック110以外に、シートのリクライニング機構を制御するリクライニング機構用モータ106が備えられている。
【0035】
運転者自身は、その頭部をカプセル113で覆われ、休憩時に、車外や車内の明るさや雑音により誘眠が妨げられないようにしている。これにより、光ディスプレイ105やスピーカ112からの刺激は運転者のみに提示され、運転者は、外からの光や外部から覗かれているという不安感から解放される。
なお、本装置では、不図示の自動ロック機構を作動させ、誘眠開始と同時にドアロックを行なって外部からの他人の侵入を防ぎ、円滑に誘眠に入れるようにしてもよい。また、運転手が短時間に疲労回復のための入眠ができるようにするため、事前に計測したその運転者個人の覚醒リズム周期をカードに記憶しておき、それをカード入力装置102にて読み込ませてから誘眠処理に入る。
【0036】
本装置は、図11のフローチャートに示す処理手順にて動作する。すなわち、ステップS51では、コンピュータ100は、車両が走行中であるか否かの判定を行なう。これは、運転者を誘眠に導く際の安全上の問題を考慮した処理であり、車両が走行中であるか否かの判定は、例えば、車両が停車しているか、サイドブレーキが引かれているか、燃料が十分あるか等に基づいて行なう。そして、車両が走行中であれば、ステップS52で覚醒の維持を行なう。
【0037】
一方、車両が停止している場合には、ステップS53で、後述する誘眠処理を実行し、誘眠終了後は、ステップS54で覚醒化を行なう。そして、ステップS55では、本装置による覚醒維持あるいは誘眠機能を継続使用するかどうかの判定をし、使用しない場合には本処理を終了する。
図12は、図11の覚醒維持処理の詳細手順を示すフローチャートである。同図のステップS62では、運転者の頭部に装着された脳波センサ114にて脳波を検出し、その結果をA/D変換器101にてデジタル化する。コンピュータ100は、デジタル化された脳波から、上述のようにα波パワーを抽出し(ステップS63)、続くステップS64で、その値が所定の境界値より大きいか否かの判定をする。
【0038】
上記のステップS64で、α波パワーが境界値より大きいと判断されれば、ステップS65で、α波パワーが一定時間以上、境界値を越えるか否かの判定をし、その判定結果がYESであれば、ステップS66で、コンピュータ100は、CDプレーヤ107及びアンプ109を介してスピーカ112を駆動し、運転者に警告音を提示する。
【0039】
図13は、図11の誘眠処理の詳細手順を示すフローチャートである。同図のステップS71に示すように、本装置は、運転者に提示する刺激の種類を選択する使用刺激選択機能を有する。これは、刺激の種類によっては、運転者の好みに反する場合があるためで、運転者は、入力装置104を操作して自分の好みの音楽や振動等、刺激の種類やそれらの提示順序、提示時間帯等を選択し、また、同時に複数の刺激を用いる刺激の複合機能を付加できる。
【0040】
すなわち、図14のフローチャートに示すように、ステップS81,S82で、それぞれ、運転者が音楽を好むか、振動を好むかの判定を行なう。そして、これれらの判定結果をもとに、ステップS83で音楽・振動の複合提示、ステップS84で音楽の単独提示、また、ステップS85で振動の単独提示を行なう。
なお、自分の好みの音楽や振動等、刺激の種類をあらかじめカードに記憶しておき、それを本誘眠処理に入る前にカード入力装置102にて読み込ませてもよい。
【0041】
図13のステップS72では、人間の覚醒リズム周期に同期させて物理刺激を運転者に提示する際、覚醒リズムの個人差あるいは運転者の好みによるバラツキに合致させるため、入力装置104により、この物理刺激の提示間隔の周期を調整する。また、ステップS73では、事前に誘眠装置を作動させてもよいかどうかの判定、つまり、誘眠装置の使用可能判定を行なう。これは、上述のように、車両が動いているときに誘眠装置を作動させるのは危険だからであり、例えば、疲労回復のための入眠時間内に燃料がなくなるような場合、その旨を運転者に提示するとともに、装置そのものが作動しないようにする。
【0042】
この使用可能判定処理は、具体的には、図15,図16のフローチャートに示すように、そのステップS86で、誘眠装置の作動時刻と、人間の特性の1つであるサーカディアン・リズムを応用して、装置の使用限度回数を算出する。また、ステップS87では、コンピュータ100がエアコン103がON状態にあるかどうかを判定する。つまり、人間の体温が覚醒低下とともに下がるので、誘眠中は、車両の温度、湿度等、誘眠に適した環境が必要であり、誘眠装置が作動している場合には、リアルタイムに運転者の覚醒度を観察して自動的にエアコン103を機能させる(ステップS88)。同様に、ステップS89,S90で空気清浄器115を作動させる。
【0043】
コンピュータ100は、ステップS91で、サイドブレーキがかかっているか、また、ステップS92では、燃料が十分にあるかどうかの判定をして、それらの判定結果がNOであれば、図16のステップS98での処理、つまり、誘眠中の安全を考慮して本装置の使用を不可とするメッセージを提示する。
本装置による誘眠については、所定の時間間隔以下で、かつ、所定回数を越える使用は、人間の持つサーカディアン・リズムを乱す恐れがある。従って、1日に使用できる限度回数を設定して、その使用回数以上は使用できないようにして安全対策を施す目的で、誘眠使用回数が基準回数を越えていないかどうかの判定を行なう(図16のステップS93)。また、前回使用してから次の使用までの最小使用限度を設定し、短時間に何回も使用できないように安全機能を付加している(ステップS94)。
【0044】
上述の人間のサーカディアン・リズムは、5:00〜6:00,15:00〜17:00の時間帯においては、自然と眠くなる特性を有するので、この時間帯では、注意を集中させなくても誘眠に導くことができる可能性がある。そこで本装置では、上記の時間帯を判断し(ステップS95)、その時間帯では、覚醒リズムを応用した誘眠と、通常のリラックス状態による誘眠とを選択できるようにして(ステップS96,S97)、より自然な誘眠を促すようにしている。
【0045】
さらに、誘眠時には、シートが入眠に適したものであることが望ましいので、図13のステップS74では、シートの調整処理を実行する。図17に、このシート調整処理の詳細フローチャートを示す。
すなわち、誘眠時には、図17のステップS101で、コンピュータ100がシートの各変更箇所の変更設定値を読み込み、リアレッグスペース検出センサ111にてリアシートの足元に障害物がないかどうかを検知する。そして、障害物がないと判断されれば、ステップS103でシートバック処理を行ない、また、リアレッグスペーサ検出センサ111からの検出信号をもとにリクライニング機構用モータ106を駆動してリクライニングの調整を行なう(ステップS104)。
【0046】
一方、シートの足元に障害物がある場合、ステップS105でリクライニングの可能角度を検出してから、ステップS106でリクライニングの調整を行ない、さらに、シートバックの可能角度を検出してシートバック処理を実行する(ステップS107,S108)。
そして、上記のシートバック及びリクライニング処理を終えると、リクライニング機構用モータ106を駆動してふくらはぎを持ち上げ(ステップS109)、ランバーサポートの解除(ステップS110)、サイドサポートの解除(ステップS111)、ヘッドレストの調整(ステップS112)をして、最後にシート高を調整する(ステップS113)。これらの処理により、誘眠に適したシート状態を実現する。
【0047】
以上の車内環境設定の後、図13のステップS75では誘眠処理に入るが、実際に誘眠ができても刺激を提示し続けると、逆に睡眠が妨げられることが考えられるので、本装置では、誘眠中に脳波センサ114にて運転者の脳波を検出して、そのα波成分から運転者の覚醒状態を監視する。そして、運転者に十分な覚醒低下が認められた場合には、自動的に誘眠を終了する。
【0048】
図18,図19は、図13に示す誘眠処理の詳細フローチャートである。
図18のステップS121では、コンピュータ100が、上述のように、例えば、カード入力装置102にて読み取った覚醒リズム周期を入力し、それをもとに光刺激提示タイミングを算出したり(ステップS122)、音・振動刺激提示タイミングを算出する(ステップS123)。そして、ステップS124で、不図示のタイマをゼロスタートさせる。
【0049】
ステップS125では、上記のタイマによるカウント値が光刺激提示のタイミングであるか、また、ステップS127では、カウント値が音・振動刺激提示タイミングであるかの判定を行なう。その判定結果がYESであれば、それぞれのタイミングで光刺激を断続的に提示し(ステップS126)、CDプレーヤによる音楽を断続的に提示する(ステップS128)。
【0050】
一方、ステップS125で光刺激提示のタイミングではなく、かつ、ステップS127で音・振動刺激提示のタイミングではないと判定されたり、あるいは、所定のタイミングで光刺激を断続的に提示したり(ステップS126)、CDプレーヤによる音楽を断続的に提示した(ステップS128)後は、図19に示す覚醒度の判定処理に入る。
【0051】
すなわち、脳波センサ114にて、運転者からの脳波をセンシングし(ステップS131)、続くステップS132で、A/D変換器101による脳波のデジタル化を行なう。そして、その結果は、コンピュータ100に入力される(ステップS133)。
コンピュータ100は、入力された脳波から、バンドパスフィルタ(8〜10Hz)にてα成分を抽出し(ステップS134)、抽出されたα波成分の信号を2乗してα波帯域のパワー量を求める(ステップS135)。続くステップS136では、ステップS135で求めたα波帯域のパワー量が、所定の境界値より大きいか否かの判定を行なう。そして、α波帯域のパワー量が所定の境界値より大きく、かつ、そのパワー量が境界値を越える時間が一定時間以上の場合(ステップS129での判断がYES)、運転者は十分な覚醒低下状態にあるとして、CDプレーヤによる音楽の再生、及び光刺激を中止する(ステップS130)。つまり、本実施例に係る自動車の覚醒制御装置では、運転者に十分な覚醒低下が認められた場合には、自動的に誘眠を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施例によれば、運転中には、覚醒リズム周期に基づいて視覚刺激及び聴覚刺激を提示することで、運転者の覚醒低下を防止でき、また、休憩中には、音楽等の刺激にて注意集中させ、その反動による音楽休止中の急速な覚醒低下を利用して誘眠することで、短時間で円滑な誘眠が可能になるので、単調な運転時の刺激不足による居眠り防止とともに、自動車走行の安全性を向上できるという効果がある。
[他の実施例]
上記実施例では、覚醒低下の原因を刺激不足とし、この刺激不足にて覚醒リズムが生じるとしているが、覚醒低下の他の原因として疲労がある。つまり、断続的な刺激提示で覚醒リズムが消失せず、刺激の断続的な提示の効果がなくなった場合、覚醒低下の原因が疲労にあると判断できる。
【0053】
そこで、他の実施例として、疲労を検出し、その結果をもとに疲労警告をする装置について説明する。
図20は、他の実施例に係る疲労警告装置の構成を示すブロック図である。同図において、脳波計測装置201は、人(作業者)の脳波を計測し、覚醒段階判定装置202は、脳波計測装置201からの脳波をもとに、後述する覚醒段階を推定する。そして、覚醒段階が疲労と判断されると、警告装置203は、所定の警告を発する。
【0054】
図21,図22は、本実施例に係る疲労警告装置における制御手順を示すフローチャートである。同図に示すステップS151では、作業者に断続的な刺激提示をして、脳波計測装置201により、そのときの脳波計測を行なう。そして、ステップS152で、この脳波をもとに覚醒段階判定装置202による覚醒段階の推定を実行し、続くステップS153では、その段階値を検出する。
【0055】
推定された覚醒段階の段階値が段階2と段階3の間、すなわち、準覚醒低下状態と、睡眠状態の前段階である覚醒低下状態の間にあれば、疲労状態が生じているとして、以下の疲労判断処理に入る。
つまり、ステップS155で各パラメータの初期化を行ない、続くステップS156,S157,S158で、再度、脳波の計測、脳波にもとづく覚醒段階判定装置202による覚醒段階の推定、及び、その段階値を検出を実行する。そして、ステップS159で、覚醒段階値が段階2と段階3の間にあるか否かの判断を行ない、その判断結果がNOであれば、覚醒低下の有無には無関係な処理ループ回数を示すパラメータN2 の値を1インクリメントしてから、ステップS156の処理に戻る。
【0056】
しかし、ステップS159での判断がYESであれば、ステップS160で、覚醒低下と判断された場合の処理ループ回数を示すパラメータNの値を1インクリメントし、続くステップS161で、覚醒低下の時間計測用タイマカウンタ値Tc が、疲労判定のためのタイマカウンタの境界値Tc0以上であるかどうかの判定を行なう。そして、その結果がYESであれば、ステップS162で、覚醒段階値が段階2と段階3の間にある状態の占める割合(全体に対する覚醒低下時間の割合)Na を、パラメータN,N2 を用いて計算し、Na の値が80%以上であれば(ステップS163での判断結果がYES)、作業者は疲労状態にあると判断して警告を発する(ステップS164)。
【0057】
なお、この警告処理は、指定時間以上継続されるように、ステップS165で時間監視をする。また、作業者が疲労状態にないと判断された場合には、疲労ではなく刺激不足による覚醒低下と推定できるので、処理を最初に戻して、脳波の検出による覚醒段階の推定を続ける。
このように、刺激の断続的な提示の効果がなくなって覚醒低下が起こった場合、運転者に疲労を警告することで、より一層の安全走行を保証できる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、覚醒リズム周期に基づいて刺激を提示することで覚醒維持を行ない、また、刺激提示による注意集中の反動を利用した急速な覚醒低下にて誘眠させて疲労回復を図ることで、運転中の効果的な覚醒維持及び覚醒低下の防止、及び短時間での誘眠を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る自動車の覚醒制御装置全体の構成を示すブロック図である。
【図2】覚醒維持装置2及び覚醒検出・警告装置3相互の関係を具体的に表わしたブロック図である。
【図3】誘眠装置4の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図4】覚醒リズム周期計測装置1における覚醒リズム周期の計測手順を示すフローチャートである。
【図5】覚醒維持装置2での覚醒維持の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】覚醒検出・警告装置3における制御手順を示すフローチャートである。
【図7】誘眠装置4における制御手順を示すフローチャートである。
【図8】誘眠装置において利用する誘眠の原理を説明するための図である。
【図9】誘眠装置において利用する誘眠の原理を説明するための図である。
【図10】実施例に係る自動車の覚醒制御装置の車載時の構成を示すブロック図である。
【図11】自動車の覚醒制御装置の車載時における動作手順を示すフローチャートである。
【図12】図11の覚醒維持処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図13】図11の誘眠処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図14】図13の使用刺激選択の詳細手順を示すフローチャートである。
【図15】図13の使用可能判定処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図13の使用可能判定処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図13のシート調整処理の詳細フローチャートである。
【図18】図13に示す誘眠処理の詳細フローチャートである。
【図19】図13に示す誘眠処理の詳細フローチャートである。
【図20】他の実施例に係る疲労警告装置の構成を示すブロック図である。
【図21】他の実施例に係る疲労警告装置における制御手順を示すフローチャートである。
【図22】他の実施例に係る疲労警告装置における制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 覚醒リズム周期計測装置
2 覚醒維持装置
3 覚醒検出・警告装置
4 誘眠装置
11,31 テレメータ
13,21,41 コンピュータ
22 信号源
53 スピーカ
56 入力装置
57 光ディスプレイ
Claims (2)
- 人間の覚醒状態を維持又は低下させるよう制御する自動車に搭載された覚醒制御装置であって、
人間の持つ覚醒リズムの周期を計測する手段と、
前記覚醒リズムの周期をもとに所定の覚醒刺激及び誘眠刺激を生成する手段と、
自動車が走行中であるか否かを判定する手段と、
前記自動車が走行中であるならば、前記覚醒リズムの周期に同期させて前記覚醒刺激を提示することによって注意集中を惹起して覚醒状態を維持する手段と、
前記自動車が走行中でないならば、前記覚醒刺激の提示を停止して覚醒状態を低下させると共に、前記誘眠刺激を提示して人間を入眠に導く手段とを具備することを特徴とする自動車の覚醒制御装置。 - 前記自動車が走行中でない場合とは、サイドブレーキがかかっているときであることを特徴とする請求項1に記載の自動車の覚醒制御装置。
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