JP3587642B2 - 重合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多官能性ポリマー(A)に、アミノ酸(B)を、グラフト重合して、重合体(D)を製造することを特徴とする、重合体の製造方法に関する。
本発明は、多官能性ポリマー(A)に、アミノ酸(B)を、触媒(C)の存在下、グラフト重合して、重合体(D)を製造することを特徴とする、重合体の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、多官能性ポリマー(A)が、ポリアミノ酸、ポリアミノ酸塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸塩、ポリアリルアミン、及び、ポリアリルアンモニウム塩からなる群より選択された少なくとも1種である、上記した重合体の製造方法に関する。
本発明は、アスパラギン酸及びその誘導体を多官能性ポリマー共存下で重合することにより得られるこはく酸イミド共重合体、及び該重合体を含むポリマーブレンド又はポリマーアロイの特徴を有する高分子組成物に関する。
【0003】
【従来の技術】
ポリこはく酸イミドの製造方法の従来技術は、以下のとおりである。
[Journal of American Chemical Society,80卷,3361〜3366頁(1958年)]
Journal of American Chemical Society,80卷,3361〜3366頁(1958年)(A.Vegotskyら)には、アスパラギン酸を原料として200℃で2〜3時間加熱縮合させる、ポリこはく酸イミドの製造方法が開示されている。
しかしながら、この製造方法により得られるポリこはく酸イミドの分子量は、約1万と、分子量が低く、フィルム形成能を有しないといった問題があった。
【0004】
[米国特許第5,057,597号]
米国特許第5、057、597号には、アスパラギン酸を流動床中で180〜250℃で加熱してポリこはく酸イミドを得る方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法で重合したポリこはく酸イミドは、分子量が低く、フィルム形成能を有しないといった問題があった。
【0005】
[特公昭48−20638号]
特公昭48−20638号には、アスパラギン酸を、燐酸または他の脱水剤の存在下で、真空中、170〜200℃で反応させ、かつ、塊状反応体の表面を常に取り除くようにして脱水縮合を行うことにより、高収率でかつ短時間にポリこはく酸イミドを得る技術が開示されている。
しかしながら、この技術では、反応生成物が固化するため操作が容易ではなく、得られるポリこはく酸イミドの分子量も充分ではないという問題があった。
また、高分子量化するためには、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いる必要がある点で、問題があった。
【0006】
[特開平7−216084号]
〈特開平7−216084号の発明の構成〉
特開平7−216084号には、アミノ酸ポリマーの製造方法に関する技術が開示されている。
より具体的には、アミノ酸と、任意に、1又はそれ以上の多官能性モノマーとの混合物を、酸触媒を用いて熱的に縮合させることによりアミノ酸ポリマーを製造する方法が開示されている。
すなわち、アミノ酸、酸触媒及び多官能性モノマーとの反応混合物を作り、これに加工助剤を加える等し、加熱し、水を除去して、清浄及び洗浄添加剤、肥料及び農薬添加剤、パーソナルケアー製品添加剤等に有用なポリマーを得る。
この製造方法は、以下のa)〜d)の工程により構成される。
【0007】
(1) 工程「a)」
工程「a)」は、
反応混合物の総重量を基準として、
▲1▼ アミノ酸 約15 − 約95重量%、
▲2▼ 酸触媒 約3 − 約85重量%、 及び
▲3▼ 多官能性モノマー 0 − 約50重量%
の反応混合物を作る工程である。
【0008】
(2) 工程「b)」
工程「b)」は、
i) 反応混合物に対して1つ又はそれ以上の加工助剤を加えることによって;ii) 機械的手段を用いることによって;又は
iii) それらの組合せを用いることによって,
完全な混合物として該反応混合物を維持しながら、約110− 約300℃に該反応混合物を加熱する工程である。
【0009】
(3) 工程「c)」
工程「c)」は、
該反応混合物から水を除去する工程である。
(4) 工程「d)」
工程「d)」は、アミノ酸ポリマーを回収する工程である。
この製造方法は、以上のa)〜d)の工程を含むアミノ酸ポリマーを製造する方法である。
ここで、加工助剤は、ゼオライト、スルフェート、カーボネート、ペルクロレート、シリケート、塩化物、臭化物、アルミナ、クレー、ガラスビーズ、アミノ酸ポリマー、及び顆粒ポリマーから成る群より選択された1つ又はそれ以上のものであってもよい。
【0010】
〈特開平7−216084号における「最小限の溶剤又は全く溶剤を必要としない」〉
特開平7−216084号に開示されている発明の目的の一つは、特開平7−216084号・段落番号[0004]に開示されているように、「最小限の溶剤又は全く溶剤を必要としない、アミノ酸ポリマーを製造するための比較的単純な方法を提供すること」である。
但し、ここで、「最小限の溶剤」なる明瞭でない表現については、開示がないので、この技術の目的の一つは、「実質的に、全く溶剤を必要としない、アミノ酸ポリマーを製造するための比較的単純な方法を提供すること」である。
【0011】
〈特開平7−216084号における「多官能性モノマー」〉
この発明における「多官能性モノマー」という用語の概念は、特開平7−216084号・段落番号[0009]に開示されている。
すなわち、「2つ又はそれ以上の官能基を含み、且つ熱重縮合反応で反応する化合物を意味している。本発明の反応では、これらの任意の多官能性モノマーは、アミノ酸と共重合する。本発明方法において有用な多官能性モノマーとしては、アミック酸(amicacid)、二酸、多酸、モノエチレン性不飽和無水物、ジオール、ポリオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ジアミン、ポリアミン、例えばカプロラクタムのような環状アミド、例えばカプロラクトンのような環状エステル、及びヒドロキシアルキルアミンが挙げられる」。
ここで、この技術における「多官能性モノマー」という用語の概念の説明において、「ポリオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンポリオール、・・・、ポリアミン」なる例示があるが、これらは、「多価アルコール、多価オキシアルキレン2価アルコール、多価オキシアルキレン多価アルコール、・・・、多価アミン」という意味であって、あくまでも「ポリマー」ではなく、「モノマー」を意味するものである。
【0012】
また、この発明において、「多官能性モノマー」は、発明の構成要素とされているにもかかわらず、この発明に開示されている態様や実施例には、「多官能性モノマー」を、実際に発明の必須構成要素としたものが全く開示されておらず、この発明のおける構成要素たる「多官能性モノマー」の意義も開示されていない。
この発明のおける構成要素たる「多官能性モノマー」の意義は、何等の開示もないのであるが、例えば、星形ポリマーを生成することにあるのかもしれない。
【0013】
〈特開平7−216084号における「分子量〉
特開平7−216084号に開示されている発明の目的の一つは、特開平7−216084号・段落番号[0004]に開示されているように、「最大60,000の分子量を有するアミノ酸ポリマーを製造すること」である。
この発明に開示されている態様や実施例の内容を検討すると、この発明においては、60,000以上の分子量を有するアミノ酸ポリマーを製造することが困難である理由の一つは、有機溶剤を実質的に使用せず、かつ、「完全な混合物」(特開平7−216084号・[特許請求の範囲]の請求項1等、及び、段落番号[0007])として反応混合物を維持するために、酸触媒濃度を一定以上に上げることが困難であるためであると考察することができる。
すなわち、特開平7−216084号に開示されている技術により、60,000以上の分子量を有するアミノ酸ポリマーを得ることは困難であると考えられる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の技術では得られるのが困難であった高い重量平均分子量を有、それゆえ、優れた物性(例えば、機械的強度等)有するするポリアミノ酸系重合体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題に鑑み、鋭意検討を進めた結果、多官能性ポリマー(A)に、アミノ酸(B)を、グラフト重合して、重合体(D)を製造することを特徴とする、重合体の製造方法により、従来の技術では得られるのが困難であった高い重量平均分子量を有し、それゆえ、優れた物性(例えば、機械的強度等)有する重合体が得られることを見い出し本発明を完成するに至った。本発明は、以下の[1]〜[27]に記載した事項により特定される。
【0016】
[1] 多官能性ポリマー(A)に、アミノ酸(B)を、グラフト重合して、重合体(D)を製造する方法であって、アミノ酸(B)が、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、グルタミン酸、グルタミン酸塩、及び、それらの組合せからなる群より選択された少なくとも1種であり、重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内に、こはく酸イミド繰り返し単位を有するものであることを特徴とする、重合体の製造方法。
[2] 多官能性ポリマー(A)に、アミノ酸(B)を、触媒(C)の存在下、グラフト重合して、重合体(D)を製造する方法であって、アミノ酸(B)が、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、グルタミン酸、グルタミン酸塩、及び、それらの組合せからなる群より選択された少なくとも1種であり、重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内に、こはく酸イミド繰り返し単位を有するものであることを特徴とする、重合体の製造方法。
【0017】
[3] 多官能性ポリマー(A)が、
ポリアミノ酸、ポリアミノ酸塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸塩、ポリアリルアミン、及び、ポリアリルアンモニウム塩からなる群より選択された少なくとも1種である、
[1]又は[2]に記載した重合体の製造方法。
【0018】
[4] ポリアミノ酸が、ポリアスパラギン酸である、[3]に記載した重合体の製造方法。
[5] ポリアミノ酸塩が、ポリアスパラギン酸塩である、[3]又は[4]に記載した重合体の製造方法。
【0019】
[6] ポリアスパラギン酸塩が、ポリアスパラギン酸ナトリウムである、[5]に記載した重合体の製造方法。
[7] 多官能性ポリマー(A)とアミノ酸(B)の重量比が、多官能性ポリマー(A)とアミノ酸(B)の合計重量を基準として、多官能性ポリマー(A)=0.01〜50重量%であり、アミノ酸(B)=99.99〜50重量%である、[1]乃至[6]の何れかに記載した重合体の製造方法。
【0020】
[8] 触媒(C)が、
燐及び硫黄を含む酸素酸、1又は2以上の酸性水素を含む有機塩、及び、1又は2以上の酸性水素を含む無機塩からなる群より選択された少なくとも1種である、
[2]乃至[7]の何れかに記載した重合体の製造方法。
[9] 触媒(C)の使用量が、
多官能性ポリマー(A)とアミノ酸(B)の合計重量を基準として、
0.1〜200重量%である、
[2]乃至[8]の何れかに記載した重合体の製造方法。
【0021】
[ 10 ] 反応温度が、110〜300℃である、 [ ] 乃至 [ ] の何れかに記載した重合体の製造方法。
【0022】
[ 11 ] こはく酸イミド繰り返し単位重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内の全繰り返し単位数を基準として、前記セグメント内に1〜100モル%存在することを特徴とする、 [ ] 乃至 [ 10 ] に記載した重合体の製造方法。
【0023】
[ 12 ] アミノ酸(B)が、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、及び、それらの組合せからなる群より選択された少なくとも1種であり、重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内に、こはく酸イミド繰り返し単位を有するものである、 [ ] 乃至 [ 10 ] の何れかに記載した重合体の製造方法。
【0024】
[13] こはく酸イミド繰り返し単位重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内の全繰り返し単位数を基準として、前記セグメント内に1〜100モル%存在することを特徴とする、[ 12 ]に記載した重合体の製造方法。
【0025】
[ 14 ] 多官能性ポリマー(A)が、1万以上の重量平均分子量を有するものである、[1]乃至[ 13 ]の何れかに記載した重合体の製造方法。
[ 15 ] [1]乃至[ 14 ]の何れかに記載した製造方法により得られた重合体。
【0026】
[ 16 ] [ 15 ]に記載した重合体を含有するポリマーブレンド又はポリマーアロイの特徴を有する高分子組成物。
[17] [1]乃至[14]の何れかに記載した製造方法により得られた、分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内にこはく酸イミド繰り返し単位を有する重合体(D)に、アミンを反応させることにより、前記こはく酸イミド繰り返し単位のイミド環の少なくとも一部を開環させることを特徴とする重合体の製造方法。
【0027】
[18] [1]乃至[14]の何れかに記載した製造方法により得られた、分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内にこはく酸イミド繰り返し単位を有する重合体(D)に、アミンを反応させることにより、前記こはく酸イミド繰り返し単位のイミド環の少なくとも一部を開環させ、さらに、両性イオン化することを特徴とする重合体の製造方法。
【0028】
[19] [17]又は[18]に記載した製造方法により得られた重合体を含有する香粧品組成物。
[20] アスパラギン酸と多官能性ポリマーを含む反応系で重合することを特徴とするこはく酸イミド共重合体の製造方法。
【0029】
[21] 多官能性ポリマーが、(コ)ポリアミノ酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸及び(コ)ポリアリルアミンからなる群より選択された少なくとも1種である、[20]に記載のこはく酸イミド共重合体の製造方法。
[22] (コ)ポリアミノ酸が、ポリアスパラギン酸誘導体である、[21]に記載のこはく酸イミド共重合体の製造方法。
【0030】
[23] ポリアスパラギン酸誘導体が、ポリアスパラギン酸ナトリウムである、[22]に記載のこはく酸イミド共重合体の製造方法。
[24] (コ)ポリ(メタ)アクリル酸が、ポリアクリル酸塩及びポリメタアクリル酸塩である、[21]に記載のこはく酸イミド共重合体の製造方法。
【0031】
[25] 多官能性ポリマーの重量平均分子量が1万以上である、[20]記載のこはく酸イミド共重合体の製造方法。
[26] [20]乃至[25]の何れかに記載された製造方法により得られた、こはく酸イミド共重合体。
[27] [26]に記載されたこはく酸イミド共重合体を含む、ポリマーブレンド又はポリマーアロイの特徴を有する高分子組成物。
【0032】
【発明の実施の形態】
[アミノ酸]
本発明において使用するアミノ酸(B)は、特に限定されない。
本発明において使用するアミノ酸(B)は、一般的には、アスパラギン酸、グルタミン酸、及び、これらの組合せからなる群から選択された少なくとも一種が好ましい。
アミノ酸の具体例としては、例えば、20種類の必須アミノ酸、一連のα−アミノ酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。
【0033】
アミノ酸のより具体的な具体例を以下に列挙する。
▲1▼ 中性アミノ酸
グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、ノルバリン、ノルノイシン、フェニルアラニン、メチオニン等。
▲2▼ 酸性アミノ酸
グルタミン酸、アスパラギン酸等。
▲3▼ 酸性アミノ酸モノエステル
グルタミン酸−γ−メチルエステル、グルタミン酸−γ−エチルエステル、グルタミン酸−γ−プロピルエステル、グルタミン酸−γ−ブチルエステル等。
アスパラギン酸−γ−メチルエステル、アスパラギン酸−γ−エチルエステル、アスパラギン酸−γ−プロピルエステル、アスパラギン酸−γ−ブチルエステル等。
▲4▼ 塩基性アミノ酸のN−置換体
ε−N−アセチルリジン、ε−N−ブチロイルリジン、δ−N−アセチルオルニチン、δ−N−ブチロイルオルニチン等。
【0034】
一般的には、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、又はこれらの塩が好ましい。
また、工業的生産に適しているという側面から、アスパラギン酸又はその塩が好ましい。
本発明において使用するアミノ酸は必要により、2種以上を混合して用いても良い。
【0035】
[アスパラギン酸]
本発明に係る製造方法において用いられるアスパラギン酸は、L体、D体、DL体のいずれでもよい。
本発明に係る製造方法において用いられるアスパラギン酸には、アスパラギン酸酸塩等のアスパラギン酸塩、アスパラギン酸無水物及びその塩、アスパラギン酸エステル及びその塩等のアスパラギン酸誘導体をも包含する。
【0036】
[多官能性ポリマー]
本発明に係る製造方法において用いられる「多官能性ポリマー」は、アスパラギン酸及び/又はその誘導体と共重合できる官能基を2つ以上有するポリマー及び又はオリゴマーであれば特に制限されない。
本発明に係る製造方法において用いられる「多官能性ポリマー」という用語は、2つ又はそれ以上の官能基を含み、かつ、重合反応において反応性を有する化合物をも意味している。
したがって、本発明に係る製造方法において用いられる「多官能性ポリマー」の具体例としては、例えば、
高分子量の、二酸、多酸、モノエチレン性不飽和無水物、ジオール、ポリオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ジアミン、ポリアミン、大環状アミド、大環状エステル、及び、ヒドロキシアルキルアミン等を挙げることができる。
【0037】
本発明に係る製造方法において用いられる多官能性ポリマーの具体例としては、例えば、
▲1▼ ポリアミノ酸;
ポリアミノ酸;ポリアスパラギン酸、ポリアスパラギン酸塩、ポリアスパラギン酸エステル、ポリアスパラギン等のポリアスパラギン酸誘導体;ポリグルタミン酸、ポリグルタミン酸塩、ポリグルタミン酸エステル等のポリグルタミン酸誘導体;ポリリジン、ポリリジン塩等のポリリジン誘導体等、
コポリアミノ酸;コポリアスパラギン酸、コポリアスパラギン酸塩、コポリアスパラギン酸エステル、コポリアスパラギン等のコポリアスパラギン酸誘導体;コポリグルタミン酸、コポリグルタミン酸塩、コポリグルタミン酸エステル等のコポリグルタミン酸誘導体;コポリリジン、コポリリジン塩等のコポリリジン誘導体等、
▲2▼ ポリ(メタ)アクリル酸;
ポリ(メタ)アクリル酸;ポリアクリル酸;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル等のポリアクリル酸誘導体;ポリメタアクリル酸;ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸エステル等のポリメタアクリル酸誘導体;ポリアクリルアミド;コポリ(メタ)アクリル酸;コポリアクリル酸;コポリアクリル酸、コポリアクリル酸ナトリウム等のコポリアクリル酸塩、コポリメタアクリル酸;コポリメタアクリル酸、コポリメタアクリル酸塩、コポリメタアクリル酸エステル等のコポリメタアクリル酸誘導体;コポリアクリルアミド;
▲3▼ ポリアミン;
ポリアミン;ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩;ポリビニルアミン、ポリビニルアミン塩等、ポリアミン;コポリアリルアミン、コポリアリルアミン塩;コポリビニルアミン、コポリビニルアミン塩等、
▲4▼ 多糖類等;キチン、キトサン、アルギン酸塩等その他の多糖類、オリゴ糖類等、
を挙げることができる。
【0038】
これらの中では、ポリアスパラギン酸誘導体、ポリアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸塩、ポリアリルアミン等が好ましく用いられ、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等がより好ましく用いられる。
これらの多官能性ポリマーは単独でも、2種以上の混合物及び/又は共重合体としても用いることができる。
ここで、アミノ酸は、L体、D体、DL体のいずれでもよい。
【0039】
[多糖類]
多糖類の具体例としては、例えば、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロイド、ビスコースレーヨン、再生セルロース、セロハン、キュプラ、銅アンモニアレーヨン、キュプロファン、ベンベルグ、ヘミセルロ−ス、デンプン、アミロペクチン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キチン、キトサン、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アカシアガム、等、これらの混合物、これらの誘導体が挙げられるが、特にアセチルセルロ−ス、エチルセルロ−スが好的に用いられる。
多糖類やオリゴ糖の給源は、何れの生物であってもかまわないし、合成又は半合成によってもかまわない。
【0040】
[多官能性ポリマーの分子量]
本発明に係る製造方法において用いられる多官能性ポリマーの分子量は、優れた機械的強度等の物性を有するのに充分な高分子量のアミノ酸重合体又はこはく酸イミド重合体が得られれば、特に限定されない。
一般的には、本発明において使用する多官能性ポリマーの重量平均分子量は1万以上が好ましい。
【0041】
[多官能性ポリマー使用量]
本発明に係る製造方法において用いられる多官能性ポリマーの使用量は、所望する充分に高い分子量のアミノ酸重合体又はこはく酸イミド重合体が得られれば特に限定されない。
本発明に係る製造方法において用いられる多官能性ポリマーの使用量は、一般的には、アミノ酸又はアスパラギン酸に対して、0.01〜50重量%が好ましく、0.05〜20重量%がより好ましく、0.1〜10重量%がさらに好ましい。
【0042】
[触媒の使用量]
本発明に係る製造方法において用いられる触媒(C)の使用量は、所望する充分に高い分子量のアミノ酸重合体又はこはく酸イミド重合体が得られれば特に限定されない。
本発明に係る製造方法において用いられる触媒(C)の使用量は、一般的には、多官能性ポリマー(A)とアミノ酸(B)の合計重量を基準として、0.1〜200重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましく、10〜25重量%がさらに好ましい。
【0043】
[反応温度]
本発明に係る製造方法において採用される反応温度は、所望する充分に高い分子量のアミノ酸重合体又はこはく酸イミド重合体が得られれば特に限定されない。本発明に係る製造方法において採用される反応温度は、一般的には、110〜300℃が好ましく、150〜280℃がより好ましく、160〜260℃がさらに好ましい。
【0044】
[共重合体]
本出願の明細書においては、ホモポリマーとコポリマーを包含する概念として、「(コ)ポリ〜」なる語を用いることがある。
「(コ)ポリ〜」とは、「〜の(共)重合体」という概念を包含し、ホモポリマー及びコポリマーを包含する。
コポリマー(共重合体)の配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。
本出願の明細書において用いる「重合体」なる語の概念は、「(共)重合体」、「高分子」及び「ポリマー」なる語の概念を包含し、ホモポリマー及びコポリマーを包含する。
本出願の明細書において用いる「重合体」は、少なくとも一部が、線状、環状、大環状、分岐状、星形、三次元網目状、IPN(インター・ペネトレーテッド・ネットワーク)、PIC(ポリイオン・コンプレックス)等のいずれの構造をとってもかまわない。
【0045】
[こはく酸イミド共重合体の重合方法]
本発明に係るこはく酸イミド共重合体の重合方法は、充分な分子量の重合体、例えば対数粘度0.3以上の重合体が得られれば特に限定されない。
例えば、特公昭48−20638号に開示されている方法に準じて、アスパラギン酸と多官能性ポリマーとを、燐酸存在下で、真空中、170〜200℃で反応することにより得ることもできる。
アスパラギン酸塩酸塩、アスパラギン酸無水物等のアスパラギン酸誘導体を脱水縮合する際に、多官能性ポリマーを混合することにより得ることもできる。
【0046】
[こはく酸イミド共重合体の重合方法の好ましい態様]
こはく酸イミド共重合体の重合方法の好ましい態様について以下に、説明する。使用することができる脂肪族含硫有機溶剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン等が挙げられ、好ましくはスルホラン、ジメチルスルホンが用いられる。
これらの脂肪族含硫有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合してもよい。さらに、共沸脱水を促進させるために他の有機溶剤を1種類以上混合して用いてもよい。また、有機溶剤は、水と分液するものでもしないものでもよい。
【0047】
共沸脱水を促進させるために使用する他の有機溶剤として、具体的には、メシチレン、ナフタレン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、フェネトール、ジフェニールエーテル、ジメトキシベンゼン等の芳香族エーテル類、ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物が挙げられ、または、置換されたジフェニールエーテルが挙げられる。例えば、4,4, −ジメチルジフェニールエーテル、3,3, −ジメチルジフェニールエーテル等のアルキル置換ジフェニールエーテル、または、4,4, −ジクロロジフェニールエーテル等のハロゲン置換ジフェニールエーテル、または、4−メトキシジフェニールエーテル等のアルコキシ置換ジフェニールエーテル、または、ジベンゾフラン等の環状ジフェニールエーテル等も好適に併用できる。
【0048】
これら有機溶剤を併用する場合は、その使用割合は全有機溶剤中70重量%以下であることが望ましい。これら有機溶剤の併用は、縮合反応で副生する水を効率よく共沸脱水し、重合を促進する点から好ましい。
脂肪族含硫有機溶剤の使用量は、アスパラギン酸に対して、0.5〜8倍量(重量比)の範囲で用いられる。過剰に用いても反応に問題はないが、経済的に好ましくない。また、使用量が少ないとポリマーが析出して粘性が増す。
【0049】
縮合りん酸の使用量は、アスパラギン酸に対して20〜70重量%の範囲で用いられ、好ましくは、25〜55重量%の範囲で用いられる。過剰に用いた場合、ポリこはく酸イミドが着色し収率が低下する場合がある。また、使用量が少ない場合、分子量が低くなる場合がある。
原料として用いるアスパラギン酸は特に限定されず、L体、D体、DL体のいずれでも良い。
【0050】
こはく酸イミド共重合体の重合方法の好ましい態様においては、縮合りん酸存在下、脂肪族含硫有機溶剤中で、アスパラギン酸を脱水縮合してポリこはく酸イミドを得る。この脱水縮合反応は、単に反応系を所望の温度に加熱するだけで進行する。脱水縮合の際の反応系の温度は、特に制限されないが、通常100℃以上で行なわれる。一般的には、反応系の温度が高すぎると、アスパラギン酸やポリマー等の熱分解反応が起こりやすくなる傾向があることから、230℃以下が好ましく、200℃以下がさらに好ましい。また、脱水縮合反応は、不活性ガス雰囲気下で行なうことが望ましい。また、この反応は常圧下でも行なうことができ、溶剤の沸点によっては減圧下で行なってもよい。
【0051】
この脱水縮合反応は、無触媒でも進行するが、反応温度を下げ反応時間を短くできること、さらには溶剤の使用量を減少できることから、触媒を用いることが好ましい。この触媒としては、塩酸、りん酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸、周期表II、III、IV、V族の金属、あるいは、その塩が挙げられ、例えば、亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム等の金属、または、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物、または、塩化錫、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化リチウム、塩化カルシウム等の金属ハロゲン化物、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、オクタン酸錫、酢酸錫、酢酸亜鉛等の有機カルボン酸塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、メタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホン酸亜鉛等の有機スルホン酸塩等が挙げられる。その他、ジブチルチンオキサイド等の上記金属の有機金属酸化物、または、チタニウムイソプロポキサイド等の上記金属の金属アルコキシド、または、ダウエックス、アンバーライト等のイオン交換樹脂等が挙げられる。
上述の各触媒の使用量は、通常、アスパラギン酸に対して、0.001〜50重量%である。
また、塩化リチウム、塩化カルシウム等の金属ハロゲン化物を使用すると脂肪族含硫有機溶剤の使用量を削減できる。特に、反応系内でポリこはく酸イミドが析出する場合でも、この金属ハロゲン化物を使用すれば、反応マスの流動性を失わせることなく高分子量のポリこはく酸イミドが得られる。
【0052】
こはく酸イミド共重合体の重合方法の好ましい態様において、副生した水を反応系外に留去させる方法は特に限定されず、有機溶剤と水との共沸による留去でもよいし、共沸せずに留去してもよい。また、水と共沸等により反応系から有機溶剤の少なくとも一部を除去し、モレキュラシーブ等で脱水する等して水分量を少なくした有機溶剤を系内に戻す操作等を行なうこともできる。ただし、特に、水より高い沸点を有する有機溶剤を用いているので、有機溶剤を反応系に残しつつ脱水するという簡易な工程が可能となり、工業化する上で溶剤を脱水することに伴う設備が不要となる。
以上のような工程に従い、高分子量のポリこはく酸イミドが容易に得られる。
このようなこはく酸イミド共重合体の重合方法の好ましい態様においては、特に、重量平均分子量約3万以上のポリこはく酸イミドが得られるので、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤で高分子化処理する工程なども省略し得る。
【0053】
[高分子組成物]
本発明に係る高分子組成物は、アスパラギン酸その他アミノ酸、及び、それらの誘導体を多官能性ポリマー共存下に重合することにより得られる、アミノ酸重合体又はこはく酸イミド重合体を構成要素とする、ポリマーブレンド又はポリマーアロイである。
【0054】
[アミンを反応させることによるこはく酸イミド繰り返し単位のイミド環の少なくとも一部を開環させること]
上記[課題を解決するための手段]の[20]に記載されている事項により特定される発明の具体的方法論としては、特願平08−264365号の明細書に記載されている方法論を採用することができる。
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0055】
[アミンを反応させることによるこはく酸イミド繰り返し単位のイミド環の少なくとも一部を開環させ、さらに、両性イオン化すること]
上記[課題を解決するための手段]の[21]に記載されている事項により特定される発明の具体的方法論としては、特願平08−264365号の明細書に記載されている方法論を採用することができる。
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0056】
[成形・加工]
該共重合体を用いると、成形物、加工品(フィルム、シート、フィラメント、糸、テキスタイル等)、組成物(塗料、接着剤等)等を提供することができる。該共重合体は、本発明出願前に公知、公用であった、生物医学用デバイス(シリンジ(注射筒)、人工臓器、外科手術縫合糸、人工皮膚等)、衛生用デバイス(生理用品、おむつ等)、食品包装用・食品容器用デバイス(弁当容器、飲料容器等)あるいは汎用用途に好適に使用することができる。更に該共重合体は、特に高温で使用する用途−例えば、フィルム、シート、強電材料(電線被覆剤、絶縁テープ、碍子、スイッチボックス等)、塗料組成物(溶剤型、粉体型等)、接着剤組成物(溶剤型、ホットメルト型等)、粉末成形品、繊維製品、電子材料)ICやLSI等の集積回路用基盤、ハンダ付けフレキシブル基盤、コンデンサー、IC封止剤等)、家電・OA製品ケーシング、内燃機関用部材、等−としても好適に使用することができる。
【0057】
[語「ポリマーブレンド」の概念]
本出願の明細書において用いる「ポリマーブレンド」なる語の概念には、例えば、「新版高分子辞典(高分子学会編、朝倉書店、東京、1988年)」・437頁左欄〜438頁右欄の「ポリマーブレンド」の項や、「ポリマーアロイ−基礎と応用−(高分子学会編、東京化学同人、東京、1981年)」に記載されているポリマーブレンドの概念をも包含し、種類の異なる高分子を混合してつくる高分子材料をも意味する。
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0058】
[語「ポリマーアロイ」の概念]
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「ポリマーアロイ」なる語の概念には、例えば、「新版高分子辞典(高分子学会編、朝倉書店、東京、1988年)」・435頁の「ポリマーアロイ」の項や、「ポリマーアロイ−基礎と応用−(高分子学会編、東京化学同人、東京、1981年)」に記載されているポリマーアロイの概念を包含し、ブロック共重合体、グラフト共重合体、物理的ポリマーブレンド(溶融ブレンド、溶媒キャストブレンド、ラテックスブレンド等)、ポリマーコンプレックス(イオノマー、ポリイオンコンプレックス等)、化学的ポリマーブレンド(溶液グラフト、IPN等)の高分子多成分系を包含する。
それらの記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0059】
[語「香粧品」・「化粧品」の概念]
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「香粧品」、「化粧料」、「毛髪化粧料」なる語の概念には、例えば、「第26回新入社員化粧品技術講習会テキスト」(東京化粧品工業会・東京化粧品技術者会共同主催、財団法人日本粧業会主催、平成6年6月、朝日生命ホール)第34頁及び第35頁記載の「表ー化粧品の種類と効能の範囲」記載の種別及び品目、並びに、同テキスト64頁記載の「毛髪化粧品の分類」記載の化粧品及び医薬部外品を含有する。
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本発明に係る出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0060】
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「香粧品」、「化粧料」なる語の概念には、例えば、乳液、エマルジョン、クリーム、クレンジングクリーム、おしろい、口紅、化粧水、ローション、ぬれティッシュ、マニキュア、ペディキュア、保湿料、パック、ムース、シェービングクリーム、アフターシェービングローション、デオドラント、消臭剤等も含有する。
【0061】
[語「毛髪処理剤」の概念]
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「毛髪処理剤」なる語の概念は、「毛髪化粧料」や「毛髪化粧品」と相互に等価であり、例えば、シャンプー、フケ取りシャンプー、リンス/コンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアオイル、枝毛コート剤、ブラッシング剤、トリートメントフォーム剤、ブロースタイリング剤、スタイリングフォーム、スタイリングジェル、ヘアスプレー、ヘアリキッド、ポマード、チック、一時染毛剤、半永久染毛剤、永久染毛剤、ヘアブリーチ、パーマネントウェーブ剤、育毛・養毛剤等も含有する。
【0062】
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「毛髪化粧料」なる語の概念には、例えば、「第26回新入社員化粧品技術講習会テキスト」(東京化粧品工業会・東京化粧品技術者会共同主催、財団法人日本粧業会主催、平成6年6月、朝日生命ホール)第34頁及び第35頁記載の「表ー化粧品の種類と効能の範囲」記載の種別及び品目、並びに、同テキスト64頁記載の「毛髪化粧品の分類」記載の化粧品及び医薬部外品を包含する。
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本発明に係る出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0063】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、ポリこはく酸イミドの対数粘度は、ウベローデ粘度計を用い、塩化リチウムの0.1規定DMF溶液100ml当り、0.5gのポリマーを溶解した溶液を用いて25℃で測定した。
重量平均分子量(以下、Mwと略す。)は、ポリエチレンオキサイドを標準試料として水性ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0064】
[実施例1]
トラップ付冷却器及び攪拌装置を備えた200mlセパラブルフラスコに、L−アスパラギン酸40g、ポリりん酸17g、ポリアクリル酸ナトリウム1.2g(Mw=170.000)を装入し、窒素雰囲気下、200℃で0.5時間加熱し、更に、30mmHgに減圧にして2時間加熱した。反応終了後冷却して、N,N−ジメチルホルムアミド160gを加えて、生成したポリマーを溶解し、水800mlに再沈し、固形物を吸引濾過し、濾液が中性になるまで水洗し、60℃で乾燥し、こはく酸イミド共重合体を回収した。
Figure 0003587642
▲2▼ 13C−NMR(日本電子(株)製、EX−400、DMSO−d6)
34.46ppm(ポリこはく酸イミドのメチレン)
49.20ppm(ポリこはく酸イミドのメチン)
174.05ppm(ポリこはく酸イミドのカルボニル)
175.35ppm(ポリこはく酸イミドのカルボニル)
177.65ppm(ポリアクリル酸のカルボニル)
【0065】
[実施例2]
実施例1と同様に、ポリアクリル酸ナトリウム0.4g(Mw=60,000)を用いてこはく酸イミド共重合体を合成した。
【0066】
[実施例3]
実施例1と同様に、ポリアクリル酸ナトリウムの代わりに、ポリアスパラギン酸ナトリウム0.4g(Mw=53,000)を用いてこはく酸イミド共重合体を合成した。
【0067】
[実施例4]
実施例1と同様に、ポリアクリル酸ナトリウムの代わりに、ポリアスパラギン酸ナトリウム2.0g(Mw=53,000)を用いてこはく酸イミド共重合体を合成した。
【0068】
[実施例5]
実施例1と同様に、ポリアクリル酸ナトリウムの代わりに、ポリアリルアミン塩酸塩0.4g(Mw=100,000)を用いてこはく酸イミド共重合体を合成した。
【0069】
[比較例1]
実施例1と同様に、ポリアクリル酸ナトリウムを用いないで、ポリこはく酸イミドを合成した。
【0070】
[比較例2]
比較例1で得られたポリこはく酸イミド10gを、N,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解し、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを1g加えた。20時間攪拌した後、濾過し、水200gに再沈した後エタノールで洗浄し、60℃で乾燥してポリこはく酸イミド9.9gを得た。
【0071】
[フィルムの作成]
実施例1〜5、及び比較例1〜2で得られたポリこはく酸イミド、及びこはく酸イミド共重合体について、20重量%N,N−ジメチルアセトアミド溶液からキャストし、110℃で20時間乾燥してフィルムを得た。
【0072】
[フィルム引張強度の評価]
フィルムの引張強度は、日本工業規格K−6732に従って測定した。得られたポリマーの対数粘度、フィルム形成能、引張強度を表−1(表1)に示す。
【0073】
[フィルム分解性の評価]
フィルムの分解性は、フィルムを5cm×5cmにカッティングした試験片を、地中に埋没して3ヶ月間フィールドテストを行なったところ、フィルムは全く形状を失っていた。
【0074】
【表1】
Figure 0003587642
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、多官能性ポリマー存在下にアスパラギン酸、その他アミノ酸、及び/又は、それらの誘導体を重合することにより、従来技術により製造したポリこはく酸イミドによっては発揮することが困難な、優れた物性(機械的強度等)や優れた製膜性(フィルム形成能等)を有する、高分子量のアミノ酸重合体又はこはく酸イミド重合体を提供することができる。
この重合体又はこの重合体を含む組成物は、優れた物性(機械的強度等)や優れた成形加工性(成形性、製膜性、紡糸性等)を有する成形物や加工品(フィルム、シート、フィラメント、糸、テキスタイル等)を提供することができる。また、塗料や接着剤等の組成物へも好適に応用することができる。

Claims (16)

  1. 多官能性ポリマー(A)に、アミノ酸(B)を、グラフト重合して、重合体(D)を製造する方法であって、アミノ酸(B)が、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、グルタミン酸、グルタミン酸塩、及び、それらの組合せからなる群より選択された少なくとも1種であり、重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内に、こはく酸イミド繰り返し単位を有するものであることを特徴とする、重合体の製造方法。
  2. 多官能性ポリマー(A)に、アミノ酸(B)を、触媒(C)の存在下、グラフト重合して、重合体(D)を製造する方法であって、アミノ酸(B)が、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、グルタミン酸、グルタミン酸塩、及び、それらの組合せからなる群より選択された少なくとも1種であり、重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内に、こはく酸イミド繰り返し単位を有するものであることを特徴とする、重合体の製造方法。
  3. 多官能性ポリマー(A)が、ポリアミノ酸、ポリアミノ酸塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸塩、ポリアリルアミン、及び、ポリアリルアンモニウム塩からなる群より選択された少なくとも1種である、請求項1又は2に記載した重合体の製造方法。
  4. ポリアミノ酸が、ポリアスパラギン酸である、請求項3に記載した重合体の製造方法。
  5. ポリアミノ酸塩が、ポリアスパラギン酸塩である、請求項3又は4に記載した重合体の製造方法。
  6. ポリアスパラギン酸塩が、ポリアスパラギン酸ナトリウムである、請求項5に記載した重合体の製造方法。
  7. 多官能性ポリマー(A)とアミノ酸(B)の重量比が、多官能性ポリマー(A)とアミノ酸(B)の合計重量を基準として、多官能性ポリマー(A)=0.01〜50重量%であり、アミノ酸(B)=99.99〜50重量%である、請求項1乃至6の何れかに記載した重合体の製造方法。
  8. 触媒(C)が、燐及び硫黄を含む酸素酸、1又は2以上の酸性水素を含む有機塩、及び、1又は2以上の酸性水素を含む無機塩からなる群より選択された少なくとも1種である、請求項2乃至7の何れかに記載した重合体の製造方法。
  9. 触媒(C)の使用量が、多官能性ポリマー(A)とアミノ酸(B)の合計重量を基準として、0.1〜200重量%である、請求項2乃至8の何れかに記載した重合体の製造方法。
  10. 反応温度が、110〜300℃である、請求項1乃至9の何れかに記載した重合体の製造方法。
  11. こはく酸イミド繰り返し単位重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内の全繰り返し単位数を基準として、前記セグメント内に1〜100モル%存在することを特徴とする、請求項1乃至10に記載した重合体の製造方法。
  12. アミノ酸(B)が、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、及び、それらの組合せからなる群より選択された少なくとも1種であり、重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内に、こはく酸イミド繰り返し単位を有するものである、請求項1乃至10の何れかに記載した重合体の製造方法。
  13. こはく酸イミド繰り返し単位重合体(D)が、重合体(D)の分子内のアミノ酸(B)重合セグメント内の全繰り返し単位数を基準として、前記セグメント内に1〜100モル%存在することを特徴とする、請求項12に記載した重合体の製造方法。
  14. 多官能性ポリマー(A)が、1万以上の重量平均分子量を有するものである、請求項1乃至13の何れかに記載した重合体の製造方法。
  15. 請求項1乃至14の何れかに記載した製造方法により得られた重合体。
  16. 請求項15に記載した重合体を含有するポリマーブレンド又はポリマーアロイの特徴を有する高分子組成物。
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