JP3586132B2 - パンタグラフ式ワイパ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車に用いられ、運転者の視界確保のためにガラス面に付着した雨滴を払拭するパンタグラフ式ワイパに関する。
【0002】
【従来の技術】
パンタグラフ式ワイパは、図11に示すように、メインアーム101とサブアーム103との2本のアーム及び両アームを回転保持するピボットホルダ105、両アームを連結する連結部材109によって四節リンクを形成しており、払拭パターン上でブレード110とメインアーム101のなす角を変化させることができる形式のワイパである。
図12〜図14は従来のパンタグラフ式ワイパの回転支点部の構造を断面で示している。図示のように、ピボットホルダ105は、メインアーム101のメインアーム軸102を回転可能に保持するメインピボットホルダ106と、サブアーム103のサブアーム軸104を回転可能に保持するサブピボットホルダ107とから構成されている。そして、サブピボットホルダ107はメインピボットホルダ106に対して、メインアーム軸102が保持される筒部106aを基準、センタリングボルト108による締結部を副基準に取り付けられている。
【0003】
なお、ピボットホルダ105がメインピボットホルダ106とサブピボットホルダ107とに分かれているのは、アームアッシーの組付け作業上の理由による。即ち、メインピボットホルダ106とサブピボットホルダ107が一体であると、サブアーム軸104は予めホルダに組付けられているため、サブアーム103をサブアーム軸104に締め付ける作業をラインで行うことになるが、そのとき軸が共回りしてしまい締め付けることができなくなる。このような不具合を解消するために、予めホルダ、アーム軸、アームをアッシ化し、それをラインで組付けるという形態を採用している。
因みに、メインアーム軸102は図示は省略するが、ワイパ駆動源であるモータとリンク機構を介して結合されているため、上記のような共回りの問題は発生しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなアーム取付構造によると、基準、副基準共、その組付けを可能とするためには、筒部106aとの嵌合隙間S1、センタリングボルト108との嵌合隙間S2に関してそれぞれ0.2mm程度のクリアランスが必要となり、このため、基準、副基準のそれぞれに関して上記クリアランス内での位置ずれが発生する可能性がある。その結果、メインピボットホルダ106に対するサブピボットホルダ107の位置決め、即ちメインアーム軸102に対するサブアーム軸104の位置決めは、基準及び副基準の2箇所の位置ずれの影響を受けることになるため、組付け精度のバラツキが大きいという問題がある。それに加え、上記のようなアーム取付構造では、サブピボットホルダ107の形状バラツキ、ここで問題となるのは基準及び副基準に対するサブアーム軸104の相対位置のバラツキ、の影響を受ける。
そして、バラツキが大きいと、四節リンクにおける1つのリンク長(メインアーム軸102とサブアーム軸104の軸間距離)が設定と相違することになるため、所期の払拭パターンが確保できなくなる。
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、四節リンクからなるパンタグラフ式ワイパにおいて、メインアーム軸に対するサブアーム軸の位置決め精度を向上することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明に係る車両用ワイパは、特許請求の範囲の各請求項に記載の通りの構成を備えたことを特徴とする。
従って、請求項1の発明によれば、メインピボットホルダに対するサブピボットホルダの組付け時において、メインピボットホルダのガイド孔と、それに嵌合されるサブピボットホルダの円筒部との嵌合面間の組付けに必要な最小クリアランス(例えば0.2mm)が組付け上のバラツキに影響するだけに止まる。即ち、サブピボットホルダをメインピボットホルダに締結する部位と、サブピボットホルダの形状バラツキは、組付け上のバラツキには影響しない。このため、メインアームのメインアーム軸に対するサブアーム軸の組付精度が向上し、適正な払拭パターンを得ることができる。
【0007】
また、請求項2の発明によれば、メインピボットホルダに対するサブピボットホルダの組付け時において、メインピボットホルダの孔又は凹部にサブピボットホルダの円筒部を嵌合後、該円筒部を回動してサブアーム軸の中心位置を調整することが可能なため、メインアーム軸中心とサブアーム軸中心との軸間距離を変えて、反転位置におけるブレードの姿勢をガラスの外形形状に対応するように調整することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、図1〜図5に基づいて第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態に係るパンタグラフ式ワイパの全体正面図であり、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は図1のC−C線断面図である。また、図5はパンタグラフ式ワイパの使用態様説明図である。
本実施の形態に係るパンタグラフ式ワイパは、図1に示すように、メインアーム1及びサブアーム3と、それら両アーム1,3の基端部を回転可能に保持するピボットホルダ5と、両アーム1,3の先端を回転可能に連結する連結部材9とにより四節リンクを構成しており、連結部材9にブレード10が取り付けられている。なお、アームを往復回動させるための電動モータを駆動源とする駆動装置は、図2〜図4においてメインアーム軸2に結合された入力アーム11のみを示し、その他については図示を省略している。
上記構成のパンタグラフ式ワイパによれば、図5に示すように、払拭パターン上でブレード10とメインアーム1のなす角αを変化させることができ、ブレード10を下反転位置と上反転位置とにおいて、ウインドシールドガラス12の外形に沿わせることにより、良好な視界を得ることができる。
【0009】
アーム1,3を回転支持するピボットホルダ5は、メインピボットホルダ6とサブピボットホルダ7との2部品からなる。メインピボットホルダ6は、正面視で略三角形状に形成されており、各角部にメインアーム1のメインアーム軸2を回転可能に支持する円筒部6aと、位置決め用のガイド孔6bと、取付用のねじ孔6cとを有する。
サブピボットホルダ7は、正面視で略長円形状に形成されており、長手方向一端にサブアーム3のサブアーム軸4を回転可能に保持する円筒部7aを、他端に取付孔7bを有する。そして、サブピボットホルダ7は、その円筒部7aをメインピボットホルダ6のガイド孔6bに嵌合した状態で、標準の一般的なボルト8を取付孔7bからメインピボットホルダ6のねじ孔6cにねじ込むことによってメインピボットホルダ6に固定される。
【0010】
本実施に形態に係るパンタグラフ式ワイパは、上記のように構成したものである。即ち、メインピボットホルダ6に設けたガイド孔6bに、サブアーム軸4を保持するサブピボットホルダ7の円筒部7aを嵌合して位置決めする構成としたものであって、位置決め基準が1つである。この嵌合には、従来と同様に組付けのための必要最小限のクリアランス(例えば0.2mm)が設けられるが、メインアーム軸2に対するサブアーム軸4の位置は、上記クリアランスの範囲内でのバラツキに止まり、締結部のボルト8と取付孔7bとのクリアランスとサブピボットホルダ7の形状精度は、サブアーム軸4の位置精度には一切影響しない。
【0011】
メインアーム軸2とサブアーム軸4との相対位置のバラツキ、即ち軸間距離のバラツキは、四節リンクにおける1つのリンク長さのバラツキとなり、それはブレード10の姿勢に影響する。従って、大きなバラツキが発生したときは、ブレード10が下反転位置又は上反転位置においてウインドシールドガラス12の外形から食み出し、ガラス周囲のモールやガラス下端部のルーバーと干渉する虞がある。
このため、パンタグラフ式ワイパにおいて、正確な払拭パターンを得るためには、メインアーム1の回動中心であるメインアーム軸2に対して、サブアーム3の回動中心であるサブアーム軸4の位置決めを正確に行うことが必要になる。
本実施の形態においては、上記のように、メインピボットホルダ6にガイド孔6bを設け、そのガイド孔6bにサブピボットホルダ7に設けたサブアーム軸4保持用の円筒部7aを嵌合して位置決めする構成としたことによって、従来に比べてメインアーム軸2に対するサブアーム軸4の位置精度を向上し、適正な払拭パターンを得ることができる。
また、サブピボットホルダ7をメインピボットホルダ6に固定する締結部が副基準とならないため、普通のボルト8を用いることが可能となり、部品のコストダウンが図れる。
【0012】
次に、本発明の第2の実施の形態を図6〜図8に基づいて説明する。この実施の形態は前述の第1の実施の形態を応用したものであって、ホルダの組付け時においてブレードの姿勢を積極的に調整できるようにしたものである。
図6及び図7に示すように、この実施の形態では、サブアーム軸4を回転可能に保持するサブピボットホルダ7の円筒部7aの内径中心O1(即ち、サブアーム軸中心)と、円筒部7aの外径中心O2(即ち、メインピボットホルダ6の取付孔中心)とを偏心eさせ、サブピボットホルダ7の円筒部7aをメインピボットホルダ6のガイド孔6bに対して回動させることによってサブアーム軸4の中心位置を調整可能としている。なお、偏心eの方向は、上反転位置においてサブアーム3が延びる方向に対し、略直角とする。また、サブアーム3の回動の都合上、円筒部7aの上端部のみは、円筒部7aの外径中心と内径中心を同一としている。
そして、サブピボットホルダ7を調整位置に固定するために、該サブピボットホルダ7に円筒部7aの外径中心を中心とする円弧状の長孔13をメインピボットホルダのネジ孔6cに整合するように設定し、この長孔13を通してボルト8をネジ孔6cにねじ込むことによって固定可能としている。なお、その他については、第1の実施の形態と同様に構成される。
【0013】
上記のように構成された第2の実施の形態では、図8に示すように、サブピボットホルダ7の円筒部7aをメインピボットホルダ6のガイド孔6bに対して回動することによって、サブアーム軸4の軸中心O1を円筒部7aの外径中心O2回りに位置調整し、メインアーム1に対するブレード10の取付角度を調整することができる。
即ち、第2の実施の形態によれば、メインピボットホルダ6に対するサブピボットホルダ7の組付け時において、第1の実施の形態と同様に、サブアーム軸4の位置精度を向上できることに加え、上反転位置でのブレード10の姿勢をガラス外形形状に対応するように調整することができる。
【0014】
次に、本発明の第3の実施の形態を図9及び図10に基づいて説明する。この実施の形態は、前述の第2の実施の形態の変形であって、前記第2の実施の形態が上反転位置でのブレード10の姿勢を調整できるものであるのに対し、下反転位置(又は停止位置)でのブレード10の姿勢を調整できるようにしたものである。
図9に示すように、第3の実施の形態と第2の実施の形態との違いは、円筒部7aの内径中心O1’と外径中心O2’の偏心e’の方向を、下反転位置においてサブアーム3が延びる方向に対し略直角としたものであり、その他の構造は、第2の実施の形態と同様である。
【0015】
なお、本実施の形態に係るパンタグラフ式ワイパは、ウインドシールドガラスに限らず、バックウインドガラスに適用できることは勿論のこと、自動車以外の、例えば船舶のキャビンや建設機械のキャビン等のウインドガラスに適用することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、パンタグラフ式ワイパにおいて、メインアーム軸に対するサブアーム軸の位置決め精度を向上することが可能となり、ガラス面に対する適正な払拭パターンを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るパンタグラフ式ワイパの全体正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1のC−C線断面図である。
【図5】パンタグラフ式ワイパの使用態様説明図である。
【図6】第2の実施の形態に係るピボットホルダ部分の正面図である。
【図7】図6のD−D線断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係るブレードの姿勢調整説明図である。
【図9】第3の実施の形態に係るピボットホルダ部分の正面図である。
【図10】第3の実施の形態に係るブレードの姿勢調整説明図である。
【図11】従来のパンタグラフ式ワイパの全体正面図である。
【図12】図11のE−E線断面図である。
【図13】図11のF−F線断面図である。
【図14】図11のG−G線断面図である。
【符号の説明】
1…メインアーム
2…メインアーム軸
3…サブアーム
4…サブアーム軸
5…ピボットホルダ
6…メインピボットホルダ
6a…円筒部
6b…位置決め用のガイド孔
7…サブピボットホルダ
7a…円筒部

Claims (2)

  1. メインアーム及びサブアームと、それら両アームの基端部を回転可能に保持するピボットホルダと、両アームの先端部を回転可能に連結する連結部材とによって四節リンクを構成し、前記ピボットホルダがメインアーム用のメインピボットホルダとサブアーム用のサブピボットホルダとの2部材から構成されているパンタグラフ式ワイパであって、
    前記サブアームのサブアーム軸を回転可能に保持するために前記サブピボットホルダに設けられる円筒部を、前記メインピボットホルダに設けたガイド孔に嵌合して位置決めする構成としたパンタグラフ式ワイパ。
  2. 請求項1記載のパンタグラフ式ワイパであって、メインピボットホルダのガイド孔に回動可能に嵌合されるサブピボットホルダの円筒部外径中心と、該円筒部に回転可能に保持されるサブアーム軸中心とを偏心させ、前記円筒部を回動することにより前記サブアーム軸の中心位置を調整可能となすとともに調整位置に固定可能としたパンタグラフ式ワイパ。
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