JP3585455B2 - 覆工板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人の出入り、材料の搬入または搬出、土砂の搬出などを行うために穴が設けられ、その穴を閉鎖する閉鎖部材が設けられた覆工板に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路に水道管、下水道管またはガス管などを布設したり、地下トンネルなどを構築するために地盤を掘削する場合において、掘削した壁面が土圧を受けて崩壊しないように支保工が設置され、支保工が設置された掘削坑の上部開口を覆うように覆工板が設置される。この覆工板は、掘削坑内において上記工事が行われていても、人や車両が通行できるようにするために設けられている。これらの工事においては、多くの覆工板が用いられていて、通常、覆工板が設けられていないところから人の出入りや各種材料の搬入、土砂の搬出などが行われている。また、覆工板には、覆工板により閉鎖された掘削坑内に人が出入りしたり、材料などの搬入が行えるように穴部が設けられているものも用いられている。この覆工板には、穴部を通して掘削坑内に人や物が落下しないように、穴部には、穴部を閉鎖する閉鎖部材が設けられている。掘削坑内を点検するために出入りする場合には、閉鎖部材を移動させておき、覆工板に設けられた穴部を通して坑内へ入り、また点検が終了すれば穴部を通して坑外へ出ることができるようになっている。
【0003】
従来、上述した覆工板に設けられる穴部は、矩形とされており、この穴部を閉鎖するように設けられる閉鎖部材も覆工板の穴部の形状に合わせて矩形とされていた。
【0004】
上述した穴部および閉鎖部材が矩形である場合、閉鎖部材を取り外して穴部を開放する際に閉鎖部材を落とすと、穴部を通り抜けて坑内へ落下し、坑内で作業している者の安全性が確保できないといった問題が生じていた。また、閉鎖部材の落下は、坑内に布設した水道管やガス管を破損させるといった問題もあった。さらに、閉鎖部材で閉鎖された覆工板上を車両などが通行することによって、閉鎖部材が持ち上げらたり、ずれたりすることによって閉鎖部材自体が落下したり、他のものが坑内へ落下する危険性があった。また、閉鎖部材が上方へ跳び、通行している人や他の車両に衝突することによりけがなどの事故を引き起こす危険性もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、閉鎖部材を円形とし、閉鎖部材により閉鎖する穴部を円形とするとともに閉鎖部材の縁全体を支持する内縁部を設けることにより、閉鎖部材を取り外して穴部を開放する際に閉鎖部材を落としても、穴部を通り抜けて掘削坑内へ落下することがなく、また上方へ持ち上がらないように閉鎖部材に係止部を設けた覆工板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、本発明の覆工板を提供することにより達成される。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1の発明によれば、地盤を掘削することにより形成される掘削坑の上部開口を覆うための覆工板であって、該覆工板は、
円形の穴部と、前記穴部の中心に向けて突出する内縁部とを備え、前記開口を覆うための板材と、
前記内縁部に支持されるとともに前記穴部を閉鎖し、係止部を備える円形の閉鎖部材とから構成され、
前記内縁部は、前記閉鎖部材の前記掘削坑の内側に向いた面の縁部全体を支持するように設けられ、前記閉鎖部材または前記係止部を回転させて該係止部により該閉鎖部材を前記板材に係止することを特徴とする覆工板が提供される。
【0008】
本発明の請求項2の発明によれば、前記内縁部には、前記係止部の挿脱を可能とする挿脱口を備えていることを特徴とする覆工板が提供される。
【0009】
本発明の請求項3の発明によれば、前記係止部は、前記閉鎖部材の前記掘削坑の内側に向いた面に設けられる円筒部と、前記円筒部に周設される突出部とから構成されることを特徴とする覆工板が提供される。
【0010】
本発明の請求項4の発明によれば、前記閉鎖部材の前記掘削坑の外側に向いた面は、前記板材の前記掘削坑の外側に向いた面と略面一となることを特徴とする覆工板が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の覆工板を設置したところを示した図である。図1に示す覆工板1は、上水道管、下水道管、またはガス管などを布設するために路面2を地下方向へ掘削し、掘削した壁面が土圧などにより崩壊しないように山留材などの支保工が設けられた後、掘削坑3の上部開口4を覆うように設置される。図1に示す覆工板1の板材5は、開口4を覆うとともに穴部6が設けられていて、穴部6より人の出入り、材料の搬入または搬出、土砂の搬出などを行うことができるようになっている。
【0012】
図1に示す覆工板1の板材5には、穴部6を閉鎖するために閉鎖部材7が設けられていて、穴部6に設けられた図示しない内縁部により閉鎖部材7を支持することができるようになっている。図1に示す実施の形態では、掘削坑3内への出入りができるように閉鎖部材7は、穴部6から取り外されている。また、図1に示す実施の形態では、本発明の覆工板1に隣接して穴部6が設けられていない覆工板1aが並設されている。
【0013】
本発明においては、覆工板1の大きさは、いかなる大きさであっても良いが、掘削坑3の上部開口4の幅、覆工板1の重量などを考慮して適切な大きさとすることができる。また、本発明においては、覆工板1の掘削坑3の内側に向いた面にリブなどが設けられていて、覆工板1を補強しても良い。本発明において閉鎖部材7または板材5としては、炭素鋼や鋳鉄などの鉄板を用いることができる。本発明において板材5に設けられる穴部6は、円形であればいかなる径とされていても良い。また、閉鎖部材7は、円形とされ、かつ穴部6を閉鎖することができる大きさとされている。図1においては、穴部6の中心に向けて突出し、閉鎖部材7の掘削坑3の内側に向いた面の縁部全体を支持することができる図示しない内縁部が設けられている。閉鎖部材7を持ち上げて取り外す際に、落としたとしても、閉鎖部材7の径が図示しない内縁部により形成される穴の径より大きいため、この穴を通り抜けて掘削坑3内へ落下しないようになっている。また、閉鎖部材7は、板材5の掘削坑3の外側に向いた面と閉鎖部材7の掘削坑3の外側に向いた面とが略面一となることが好ましい。こうすることにより、閉鎖部材5により穴部6が閉鎖されている場合、覆工板1上を通行している人が穴部6または閉鎖部材7に引っかかって転倒するなどの危険を防止することができる。
【0014】
また、図1に示す実施の形態では、閉鎖部材7には、閉鎖部材7に収容可能な取手8が設けられている。本発明においては、閉鎖部材7を取り外す手段として取手8以外にいかなる手段が設けられていても良いし、いかなる手段を用いて取り外すようにされていても良い。本発明の覆工板1は、開口4を覆うように配置するだけでも良いが、開口4を介して両側の路面2上に設置される板材5の両端の路面2に向く側の面にすべり止めや突起などが設けられていたり、路面2や支保工などにボルトおよびナットなどの締結手段を用いて締結して固定することもできる。また、本発明の覆工板1の板材5の路面2に隣接する縁部は、板材5と路面2との間に段差をなくした構造とすることもできる。さらに、閉鎖部材7を取り外して穴部6を開放している間、穴部6の周りに安全柵を設けて人や材料などが落下しないようにすることもできる。
【0015】
図1に示すように閉鎖部材7が取り外され、開放された穴部6には、穴部6を通って掘削坑3内に予め設置されたはしごなどを使用して掘削坑3内へ入ることができる。掘削坑3内の点検を行う場合においては、掘削坑3内を点検して異常がないことを確認した後、再びはしごなどを昇り、穴部6を通って坑外へ出ることができる。このように点検が終了した後、再び閉鎖部材7により穴部6を閉鎖することができる。本発明の覆工板1は、必要な数設けることができる。例えば、図1に示すように、本発明の覆工板1を1枚と、穴部6および閉鎖部材7が設けられていない複数の覆工板1aとを用いることができる。本発明の覆工板1は、穴部6に換気ファンなどを設置し、掘削坑3内の換気を行うことができるようにされていても良い。また、本発明の覆工板1を所定間隔ごとに設け、閉鎖部材7を取り外しておいて換気口として用いることも可能である。この場合、穴部6に収容できるグレーチングやエキスパンドメタルなどを用いて穴部6を通して人が落下しないようにすることもできる。
【0016】
図2は、本発明の覆工板1の板材5の第1の実施の形態を示した図である。図2(a)は、板材5の第1の実施の形態を示した平面図である。図2(a)に示す板材5は、円形の穴部6が設けられ、穴部6の中心に向けて突出する内縁部9が設けられている。図2に示す内縁部9は、図1に示す閉鎖部材7の縁部全体を支持することができるようになっていて、図1に示す閉鎖部材7上を人または車両が通行することが可能な強度を有する幅、厚さとされている。また、図2(a)においては、内縁部9により形成される穴10は、楕円形とされている。図2(a)に示す板材5は、穴部6以外の図1に示す掘削坑3の内側および外側に向いた面がともに平坦面とされている。以下、図1に示す掘削坑3の内側に向いた面を下面とし、外側に向いた面を上面として説明する。
【0017】
図2(b)は、図2(a)の板材5の切断線A−Aに沿って切断した断面を示した図である。図2(b)に示す穴部6の内周の下側部分に内縁部9が設けられていて、図1に示す閉鎖部材7を収容し、閉鎖部材7の縁部全体を支持することができるようになっている。また、図1に示す閉鎖部材7を収容すると、板材5の上面と図1に示す閉鎖部材7の上面とが略面一となるようにされている。また、内縁部9により形成される穴10は、人の出入りが可能な大きさとされている。閉鎖部材7の縁部全体を支持するように内縁部9が設けられているため、穴10は、いずれの方向に対しても図1に示す閉鎖部材7の径より小さくなっていて、図1に示す閉鎖部材7が通り抜けないようになっている。
【0018】
本発明においては、内縁部9は、板材5や閉鎖部材7と同じ材質のものを用いることができる。本発明において板材5は、内径が穴部6より小さくされたリング状のものを用い、板材5に穴を開け、このリング状のものを溶接させることにより内縁部9を設けることができる。本発明においては、穴部6の内周に設けられていても良いし、板材5の下面に設けられていても良い。また、本発明において板材5は、穴部6以外の上面部分に様々な形状の突起などを設けて、車両のすべり止めとされていても良い。また、溝などを設け、一方に排水されるような形状とされていても良い。さらに、模様などが設けられていても良いし、何も設けられていなくても良い。
【0019】
図3は、本発明の覆工板1の閉鎖部材7の第1の実施の形態を示した図である。図3に示す閉鎖部材7は、図2に示す板材5に収容して閉鎖することができるものである。図3(a)は、閉鎖部材7の第1の実施の形態を示した平面図である。図3(a)に示す閉鎖部材7は、円形とされていて、図2に示す板材5の穴部6に収容して閉鎖することができる径とされている。また、図2に示す穴部6に設けられる内縁部9により形成される穴10を通り抜けて落下することがない径とされている。図3(a)に示す閉鎖部材7には、図2に示す板材5の穴部6から容易に取り外すことができるように取手8が設けられている。
【0020】
図3(b)は、閉鎖部材7の第1の実施の形態を示した底面図である。図3(b)に示す閉鎖部材7には、中心から等距離かつ対称となるように係止部11が2つ設けられていて、図2に示す内縁部9により形成される穴10を通して挿入され、閉鎖部材7を回転させることにより閉鎖部材7を持ち上げて移動させようとしても係止部11が内縁部9に引っかかって持ち上がらないようになっている。図3(b)に示す係止部11は、図2に示す内縁部9により形成される楕円形の穴10の長軸に沿って挿入され、閉鎖部材7を回転させることによって図2に示す穴10の短軸に係止部11が配置され、図2に示す内縁部9に係止部11が引っかかって上方へ移動させることができないようになっている。
【0021】
図3(c)は、閉鎖部材7の第1の実施の形態を示した断面図である。図3(c)に示す閉鎖部材7は、閉鎖部材7の上部を車両などが通行することが可能な強度を有する厚さとされていて、図2に示す板材5の穴部6に収容した場合に閉鎖部材7の上面と図2に示す板材5の上面とが略面一となる厚さとされている。また、閉鎖部材7の下面には、所定位置に2つの係止部11が設けられている。図3(c)に示す係止部11は、閉鎖部材7の下面の所定位置から下方に向けて突出し、途中適切な位置において閉鎖部材7の外径方向へ曲げられた形状となっている。図3(c)に示す閉鎖部材7は、図2に示す穴部6に収容し、回転して係止させると、閉鎖部材7の下面から下方に向けて突出した部分が図2に示す内縁部9に隣接し、途中閉鎖部材7の外径方向へ曲げられた部分が図2に示す内縁部9の下側に隣接して配置されることにより、閉鎖部材7を上方へ持ち上げようとしても持ち上がらないようになっている。このようにすることで、車両などが閉鎖部材7上を通行しても、上方へ持ち上げられたり、跳ぶこともないため、上述したように持ち上げられ移動された閉鎖部材7の隙間からものが落下したり、跳んだ閉鎖部材7が人や車両にあたるといった危険をなくすことができる。
【0022】
本発明においては、図2に示す板材5の上面と閉鎖部材7の上面とが略面一とされていていなくても良い。本発明においては、図2に示す板材5に収容された閉鎖部材7を容易に取り外すことができるのであれば、取手8以外にいかなる手段が設けられていても良いし、いかなる手段を用いても良い。また、本発明においては、取手8のように、閉鎖部材7に収容可能とされていなくても良い。
【0023】
本発明においては、係止部11は、閉鎖部材7を上部方向へ移動させようとしても図2に示す内縁部9または板材5の下面などに引っかかって持ち上がらない構造とされていれば、いかなる構造とされていても良い。例えば、図2に示す内縁部9により形成される穴10の内周がねじ切りされていて、図2に示す内縁部9の内周に隣接するようにねじ切りされた係止部11を設けて締結されるようにすることもできる。また、係止部11は、閉鎖部材7にスライド可能に収容され、また図2に示す穴部6に溝が設けられていて、スライドして溝に係止部11を挿入させることによって持ち上がらないようにしていても良い。本発明においては、閉鎖部材7が容易に上部方向へ持ち上がらないようにすることができるのであれば、いかなる数の係止部11が設けられていても良いし、図2に示す内縁部9や図2に示す穴部6の内周部分に設けられた溝でなくても、図2に示す板材5の下面に引っ掛かるようにされていても良い。さらに、本発明においては、係止部11は、図2に示す内縁部9の下側に隣接して配置されなくても良いし、図2に示す内縁部9の下側に回転方向に傾斜と溝などが設けられていて、閉鎖部材7を回転するとその溝に係止部11が固定され、容易に閉鎖部材7が回転しないようにされていても良い。本発明においては、閉鎖部材7により図2に示す穴部6が閉鎖されたとしても、閉鎖部材7を回転させ、上方へ持ち上げることにより、図1に示す掘削坑3の内側からも閉鎖部材7を取り外すこともできる。また、閉鎖部材7が大きく、重い場合には、チェーンブロックやクレーンなどを使用して持ち上げ、図2に示す穴部6から取り外すことができる。
【0024】
本発明の覆工板1の閉鎖部材7は、表面にいかなる模様、突起などのすべり止め、溝などを設けることができる。また、これら模様、突起などのすべり止めは、図2に示す板材5に合わせて設けることができる。さらに、溝などを設ける場合においても、図2に示す板材5とともに傾斜を設けておくことができる。また、閉鎖部材7は、図2に示す穴部6に収容されていなくても良く、図2に示す内縁部9が図2に示す板材5の上面に設けられていて、この内縁部9により形成される穴10を閉鎖していても良い。この場合、閉鎖部材7は、図2に示す板材5と閉鎖部材7とに段差をなくした構造とすることもできる。また、本発明においては、上方へ持ち上がらないように閉鎖部材7を回転させて係止することに限らず、係止部11を鍵などによって回転させることにより係止することができるようにされていても良い。
【0025】
図4は、図3に示す閉鎖部材7により閉鎖することができる板材5の第2の実施の形態を示した図である。図4(a)は、板材5の第2の実施の形態を示した平面図である。図4(a)に示す板材5は、板材5に円形の穴部6が設けられ、穴部6の中心に向けて突出する内縁部9が設けられている。図2に示す内縁部9は、図1に示す閉鎖部材7の縁部全体を支持することができるようになっていて、図1に示す閉鎖部材7上を人または車両が通行することが可能な強度を有する幅、厚さとされている。また、内縁部9により形成される穴10は、円形とされ、図3に示す閉鎖部材7を挿入したり、取り外したりする際に図3に示す係止部11を挿脱することができる挿脱口12が設けられている。また、図4に示す板材5は、穴部6以外の上面および下面ともに平坦面とされている。
【0026】
図4(b)は、図4(a)の板材5の切断線B−Bに沿って切断した断面を示した図である。図4(b)に示す穴部6の内周の下方部分に内縁部9が設けられていて、図3に示す閉鎖部材7により閉鎖すると、穴部6に図3に示す閉鎖部材7が収容され、板材5の上面と図3に示す閉鎖部材7の上面とが略面一となるようにされているとともに、閉鎖部材7の縁部全体を支持することができるようになっている。また、内縁部9により形成される穴10は、人の出入りが可能な大きさとされ、穴10が図3に示す円形の閉鎖部材7の径より小さいため、穴10から図1に示す閉鎖部材7が通り抜けないようになっている。
【0027】
本発明においては、係止部11の形状に応じた形状の挿脱口12を設けることができる。挿脱口12は、図3の閉鎖部材7に設けられる係止部11の数および位置に応じて設けることができる。
【0028】
図5は、本発明の覆工板1の板材5の第3の実施の形態を示した図である。図5(a)は、板材5の第3の実施の形態を示した平面図である。図5(a)に示す板材5は、板材5に円形の穴部6が設けられ、穴部6の中心に向けて突出する内縁部9が設けられている。図5に示す内縁部9は、図1に示す閉鎖部材7の縁部全体を支持することができるようになっていて、図示しない閉鎖部材上を人または車両が通行することが可能な強度を有する幅、厚さとされている。また、内縁部9により形成される穴10は、半円と小さくされた半円とが結合した形とされている。図5(a)に示す板材5は、穴部6以外の上面および下面ともに平坦面とされている。
【0029】
図5(b)は、図5(a)の板材5の切断線C−Cに沿って切断した断面を示した図である。図5(b)に示す穴部6の内周の下方部分に内縁部9が設けられていて、図示しない閉鎖部材を収容すると、板材5の上面と図示しない閉鎖部材の上面とが略面一となるようにされているとともに、閉鎖部材7の縁部全体を支持することができるようになっている。また、内縁部9により形成される中央の穴10は、人の出入りが可能な大きさとされ、穴10から図示しない閉鎖部材が通り抜けないようになっている。
【0030】
図5に示す板材5は、穴部6以外の上面に様々な形状の突起などを設けて、車両のすべり止めとしたものとされていても良い。また、溝などを設け、一方に排水されるような形状とされていても良い。さらに、模様などが設けられていても良いし、何も設けられていなくても良い。
【0031】
図6は、本発明の覆工板1の閉鎖部材7の第2の実施の形態を示した図である。図6に示す閉鎖部材7は、図5に示す板材5に収容して閉鎖することができるものである。図6(a)は、閉鎖部材7の第2の実施の形態を示した平面図である。図6(a)に示す閉鎖部材7は、円形とされていて、図5に示す板材5の穴部6に収容可能な径とされている。また、図5に示す穴部6に設けられる内縁部9により形成される穴10を通り抜けて落下しない径とされている。また、図5に示す板材5から容易に取り外しできるように取手8が設けられている。
【0032】
図6(b)は、閉鎖部材7の第2の実施の形態を示した底面図である。図6(b)に示す閉鎖部材7には、係止部11として下面に円筒部13が設けられ、円筒部13に突出部14が周設されている。図6(b)に示す実施の形態では、円筒部13に半円状の突出部14が周設されていて、図5に示す板材5の穴10を通して挿入され、閉鎖部材7を回転させることにより突出部14が内縁部9に引っかかって持ち上がらないようになっている。
【0033】
図6(c)は、閉鎖部材7の第2の実施の形態を示した断面図である。図6(c)に示す閉鎖部材7は、閉鎖部材7の上部を車両などが通行することが可能な強度を有する厚さとされていて、図5に示す板材5の穴部6に収容した場合に閉鎖部材7の上面と図5に示す板材5の上面とが略面一となる厚さとされている。図6(c)に示す閉鎖部材7は、図5に示す穴部6に収容すると、図5に示す内縁部9に円筒部13が隣接し、図5に示す穴10を超えて挿入された突出部14は、閉鎖部材7を回転することにより図5に示す内縁部9の下側に配置され、閉鎖部材7を上方へ持ち上げようとしても持ち上がらないようになっている。
【0034】
図6に示す閉鎖部材7は、図5に示す板材5に収容された場合、図5に示す板材5の上面と閉鎖部材7の上面とが略面一とされていていなくても良い。本発明においては、円筒部13が図5に示す内縁部9に隣接されていなくても良い。また、突出部14は、円筒部13から突出する平板、棒などいかなる形状であっても良い。
【0035】
図6に示す閉鎖部材7は、表面にいかなる模様、突起などのすべり止め、溝などを設けることができる。また、これら模様、突起などのすべり止めは、図5に示す板材5に合わせて設けることができる。さらに、溝などを設ける場合においては、図5に示す板材5とともに傾斜を設けておくこともできる。
【0036】
これまで本発明を図面に示した実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、閉鎖部材7が内縁部9により形成される穴10を通して落下しない構造であれば、閉鎖部材7の縁部全体を支持するように設けられていなくても良い。また、閉鎖部材7により覆工板1の穴部6を閉鎖している場合、閉鎖部材7が容易に移動しないように内縁部9と閉鎖部材7とにボルトで締結できるようにねじ切りされていて、ボルトを用いて締結できるようにされていても良い。この場合、内縁部9上にパッキンなどを設置し、閉鎖部材7を収容した場合に隙間から水などが掘削坑3内へ入らないようにされていても良い。
【0037】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、閉鎖部材を円形とし、閉鎖部材により閉鎖する穴部を円形とするとともに閉鎖部材の縁全体を支持する内縁部を設けることにより、閉鎖部材を取り外して穴部を開放する際に閉鎖部材を落としても、穴部を通り抜けて掘削坑内へ落下することがなく、また上方へ持ち上がらないように閉鎖部材に係止部を設けた覆工板を提供することが可能となる。
【0038】
本発明の覆工板を用いることにより、掘削坑内において作業を行っている者の安全性を確保することができる。また、閉鎖部材を板材に係止させることができるため、車両などが通行することにより閉鎖部材が上方へ跳んだり、持ち上がって移動し、隙間を生じることにより掘削坑内にものなどが落下したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の覆工板を設置したところを示した図。
【図2】本発明の覆工板に用いられる板材の第1の実施の形態を示した図。
【図3】本発明の覆工板に用いられる閉鎖部材の第1の実施の形態を示した図。
【図4】本発明の覆工板に用いられる板材の第2の実施の形態を示した図。
【図5】本発明の覆工板に用いられる板材の第3の実施の形態を示した図。
【図6】本発明の覆工板に用いられる閉鎖部材の第2の実施の形態を示した図。
【符号の説明】
1…覆工板
2…路面
3…掘削坑
4…開口
5…板材
6…穴部
7…閉鎖部材
8…取手
9…内縁部
10…穴
11…係止部
12…挿脱口
13…円筒部
14…突出部

Claims (1)

  1. 地盤を掘削することにより形成される掘削坑の上部開口を覆うために複数並設されるうちの1つの覆工板であって、該覆工板は、
    円形の穴部と、前記穴部の中心に向けて突出し、1つの挿脱口を含む穴を形成する内縁部とを備え、前記開口を覆うための板材と、
    前記内縁部に支持されるとともに前記穴部を閉鎖し、前記掘削坑の内側に向いた面に設けられ、かつ前記穴に挿入された場合に前記穴部の中心に向けて突出した前記内縁部に隣接する1つの円筒部と該円筒部に周設される1つの突出部とから構成される係止部を備え、前記穴部に収容して前記内縁部に支持された場合、前記掘削坑の外側に向いた面が前記板材の前記掘削坑の外側に向いた面と略面一となる円形の閉鎖部材とから構成され、
    前記内縁部は、前記閉鎖部材の前記掘削坑の内側に向いた面の縁部全体を支持するように設けられ、前記内縁部により形成される前記挿脱口を含む穴を通して前記円筒部および前記突出部を挿入し、前記閉鎖部材を回転させ、前記突出部を前記内縁部の前記掘削坑の内側に向いた面に隣接させて配置することにより、前記閉鎖部材を前記板材に係止することを特徴とする、覆工板。
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