JP4448152B2 - 開口部の養生柵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シールド推進工事の立坑の開口部、井戸の開口部および建物スラブに形成された開口部を養生するために好適に実施することができる開口部の養生柵装置に関する。
推進工事が行われる現場では、立坑内への機材の搬入および立坑からの機材の搬出などを行うため、作業時間帯は前記立坑の開口部が開放されるが、作業時間以外では前記開口部上を通行可能とするため、開口部は覆工され、閉鎖されている。前記作業時間帯には、前記立坑の開口部が開放されるため、通行者および通行車両を開口部から迂回させる必要があり、従来から開口部を養生するための養生柵とも呼ばれる養生柵装置を設置することが義務付けられている。このような開口部の養生柵装置の先行技術は、たとえば特許文献1,2に記載されている。
特許文献1の養生柵装置は、開口部のまわりの床面に枠部材が設けられ、枠部材の両側部に養生蓋である2つの蓋部材が設けられる。前記2つの蓋部材は、開口部を塞いだ状態と、起立した状態とに変位させることができる。各蓋部材の長手方向の両端部には、連結部材が装着されて、各蓋部材を起立させた状態に維持することができるように構成されている。
各蓋部材を起立させた状態では、各蓋部材の長手方向両端部に連結部材が装着されるので、開放された開口部に対して安全柵として機能させることができる。また各蓋部材を折り畳んで開口部を閉鎖した状態では、開口部が各蓋部材によって閉鎖され、開口部上を歩行および資材の運搬などのために通過することができ、このような構成によって開口部を養生している。
特許文献2の養生柵装置は、平面形状が四角形のスラブ開口部に段付ベースフレームが設置され、段付ベースフレームの一側辺に、養生蓋の一側辺が開閉自在に連結される。この一側辺は、養生蓋を起立させた状態では、下方に配置され、養生蓋の上方に配置された他側辺の両端部には、手摺管の一端部がユニバーサルジョイントを介して屈曲自在にそれぞれ連結される。各手摺管の他端部には、支持管の一端部が連結片によって回転自在に連結される。各支持管の一端部にはまた、ユニバーサルジョイントを介して補助手摺管の両端部がそれぞれ連結される。各支持管の他端部は、段付ベースフレームの他側辺の両端部に、ユニバーサルジョイントによって屈曲可能に連結される。
スラブ開口部を開放した状態では、養生蓋は段付ベースフレームの一側辺上に垂直に起立し、各支持管は段付ベースフレームの他側辺からほぼ垂直に起立し、各支持管の上端部と養生蓋の上端部とにわたって各手摺管が架け渡されるとともに、各支持管の上端部間に補助手摺管が掛け渡される。また、スラブ開口部を養生蓋によって塞いだ状態では、各手摺管の他端部および各支持管の一端部が、段付ベースフレームおよび養生蓋の一側辺側へ移動し、かつ各手摺管の一端部および各支持管の他端部が段付ベースフレームの他側辺側輪へ移動して、各手摺管および各支持管が養生蓋と段付ベースフレームとの間でほぼ平行に折り畳まれて収容され、スラブ開口部を塞いだ状態で、養生蓋上を通行することができるように構成されている。
実開平5−17005号公報 特公平7−116848号公報
特許文献1,2の従来技術では、養生柵を設置するときは、養生柵を開口部に塞いだ状態にある養生蓋をクレーン車または人力によって吊り上げる前、すなわち開口部を開放する前に、養生柵を設置する必要がある。また養生柵を撤去するときは、養生蓋をクレーン車または人力によって開口部上へ搬入して、開口部を閉鎖した後でなければ養生柵を撤去することができないため、設置作業および撤去作業に手間を要し、作業効率が低いという問題がある。
また、作業時間帯以外は養生柵が必要ないため、養生柵を通行などに支障のない場所に移動させて保管しなければならず、養生柵の保管場所を確保しなければならず、工事全体に必要な占有面積が増加してしまう。しかも、保管場所が工事現場から離れている場合には、養生柵の運搬に多くの手間および労力を要するという問題がある。
本発明の目的は、養生柵の設置作業および撤去作業を容易かつ短時間で行なうことができる開口部の養生柵装置を提供することである。
本発明は、立坑の内周部に、周方向に間隔をあけて固定される複数の支持部材と、
立坑内で各支持部材に沿って上下方向に移動可能に収容され、かつ立坑の開口部から突出した状態で各支持部材によって支持される柵構造体と
口部に着脱可能に乗載され、開口部を覆う養生蓋と、
養生蓋の開口部に臨む領域に、柵構造体に着脱可能に掛け止められるフック部材が設けられる吊下手段とを含むことを特徴とする開口部の養生柵装置である。
本発明に従えば、立坑の内周部に周方向に間隔をあけて複数の支持部材が固定され、各支持部材は立坑内で柵構造体を上下方向の移動を案内し、柵構造体を円滑に昇降させることができる。また養生蓋は、工事の作業が行なわれないときには開口部に着脱可能に乗載され、開口部を閉鎖している。また工事の作業を行なうときには、クレーン車両などの懸架装置または人力によって養生蓋を吊り上げて開口部を開放し、開口部が開放される。
このような養生蓋には、柵構造体を吊り下げるために吊下手段が設けられる。この吊下手段は、柵構造体に掛け止められるフック部材を有する。フック部材は、養生蓋の開口部に臨む領域に設けられ、養生蓋を開口部に乗載したときに、フック部材が開口部内へ柵構造体とともに収容される。したがって養生蓋を前記懸架装置によって吊り上げると、吊下手段によって柵構造体が立坑から取り出され、開口部から上方へ突出させた状態で各支持部材によって支持され、開口部の周囲を養生することができる。
前記吊下手段は、フック部材によって養生蓋を吊り下げるように構成されるので、柵構造体を開口部から上方へ突出させて各支持部材に載置して支持されると、フック部材を柵構造体から離脱させ、養生蓋を吊下手段とともに開口部から離れた保管場所へ移動させて保管し、開口部を養生された状態で開放することができる。
また、開口部を閉鎖するときには、養生蓋を懸架装置によって懸架して開口部上へ移動させ、フック部材を柵構造体に掛け止めた後、開口部内へ降下させることによって、柵構造体を吊下手段とともに立坑内に収容し、開口部を養生蓋によって閉鎖して養生することができる。
このように養生蓋に設けた吊下手段によって柵構造体を吊下し、開口部を養生蓋によって閉鎖した状態では、柵構造体を立坑内に収容することができるので、柵構造体を遠方の保管場所まで運搬する必要ない。また柵構造体は、養生蓋に設けた吊下手段によって養生蓋を上昇させることによって養生蓋とともに開口部から取り出すことができ、これによって開口部の開放と同時に柵構造体を構築し、開口部を養生することができる。
また本発明は、前記柵構造体は、複数の支柱と、各支柱を周方向に相互に連結する複数の横桟部材とを含み、
各支柱は、下端部が前記支持部材によって支持された状態で上端部が立坑の開口部から突出する第1支柱部分と、第1支柱部分が挿通し、第1支柱部分よりも短尺の第2支柱部分と、第2支柱部分が挿通し、第1支柱部分よりも短尺の第3支柱部分とを有し、第1支柱部分の長手方向中間部には、第2支柱部分を第3支柱部分から突出した高さ位置で保持する係合部が設けられ、第1〜第3支柱部分が横桟部材によってそれぞれ連結されることを特徴とする。
本発明に従えば、複数の支柱を複数の横桟部材によって周方向に連結することによって、柵構造体が構成される。各支柱は、第1〜第3支柱部分から成り、第1支柱部分には係合部が設けられる。第1支柱部分は、下端部が支持部材によって支持された状態で立坑の開口部から突出する、そのような長さを有する。第2支柱部分には、前記第1支柱部分が挿通する。この第2支柱部分の長さは、第1支柱部分よりも短く、短尺であるため、第2支柱部分は第1支柱部分に沿って移動させることができるが、第1支柱部分の長手方向中間部には係合部が設けられるため、第2支柱部分が自重によって第1支柱部分に沿って第1支柱部分の上端部から下端部へ移動しようとするとき、第2支柱部分は係合部によって下方への移動が阻止される。
第2支柱部分は、第3支柱部分に挿通する。第3支柱部分の長さは、第1支柱部分よりも短く、短尺であるが、第2支柱部分が第1支柱部分の係合部によって第3支柱部分から突出した高さ位置で保持されるため、第3支柱部分に対して第2支柱部分が係合部によって上方へ引き出された伸長状態と、第3支柱部分に第2支柱部分が挿入された縮退状態とにわたって伸縮させることができる。また第1支柱部分は、第2支柱部分および第3支柱部分に対して相対的に移動させることができる。
したがって、開口部を塞いだ状態に設置されている養生蓋をクレーン車両などの懸架装置によって上昇させると、養生蓋に設けられる吊下手段によって柵構造体が開口部から上方へ引き出される。このとき、吊下手段のフック部材を、第1支柱部分、1支柱部分に連結された横桟部材または第1支柱部分に連結された他の部材に掛け止めることによって、第1支柱部分の長手方向中間部に係止部によって第2支柱部分が係止され、この第2支柱部分の下端部から下方に第3支柱部分が連なった3段の伸長状態として、開口部から突出させて柵構造体を構築し、開口部を開放した状態で養生することができる。
また、柵構造体を開口部内へ収容して開口部を養生蓋によって閉鎖するときには、保管場所に保管されている前記養生蓋を懸架装置によって吊下して開口部上へ移動させて、吊下手段のフック部材を第1支柱部分、第1支柱部分に連結される横桟部材または第1支柱部分に連結される他の部材に掛け止め、養生蓋を降下させることによって、柵構造体を開口部内へ収容することができる。このとき、前述したように、第1〜第3支柱部分が横桟部材によってそれぞれ連結されるので、各段の横桟部材が積重され、支持部材によって支持されるので、第2および第3支柱部分を支持部材よりも下方へ移動するための作業を省略することができ、これによって開口部の開放時および閉鎖時の柵構造体の昇降作業に要する手間および時間を削減して、柵構造体の設置作業および撤去作業に要する時間および労力が削減される。
本発明によれば、養生蓋に設けた吊下手段によって柵構造体を吊下し、開口部を養生蓋によって閉鎖した状態では、柵構造体を立坑内に収容し、養生蓋に設けた吊下手段によって養生蓋とともに開口部から取り出すことができるので、開口部の開放と同時に柵構造体を構築することができ、柵構造体の設置および撤去に要する時間を短縮し、効率化を図ることができる。
また本発明によれば、支柱が第1〜第3支柱部分の上端部が支持部材に係止されるので、柵構造体を立坑内へ収容するとき、柵構造体を吊下する懸架装置の第2および第3支柱部分の重量による負荷を軽減することができ、開口部の開放時および閉鎖時の柵構造体の昇降作業に要する手間および時間を削減して、柵構造体の設置作業および撤去作業に要する時間および労力を削減することができる。
図1は本発明の実施の一形態の開口部の養生柵装置1を示す鉛直断面図であり、図2は図1の切断面線II−IIから見た水平断面図である。本実施の形態では、シールド推進工事の立坑2によって路面3に略円形に形成された開口部4を養生するために設置される開口部の養生柵装置1について説明する。
養生柵装置1は、立坑2の内周部5に、周方向に間隔をあけて固定される複数の支持部材6と、各支持部材6がそれぞれ嵌合する複数の案内凹所7が設けられ、立坑2に各支持部材6が各案内凹所7に嵌合した状態で上下方向(図1の上下方向)に移動可能に収容される柵構造体11と、立坑2の開口部4に着脱可能に乗載され、開口部4を覆う養生蓋8と、養生蓋8の開口部4に臨む領域に、柵構造体11に着脱可能に掛け止められる略L字状のフック部材9が設けられる吊下手段10とを含む。
前記立坑2の内周部5は、略円筒状に掘削面をライニングする土止め構造物、たとえば直径Dが1〜3mの円筒状の鋼鉄製ケーシングまたはライナープレートによって実現される。また前記養生蓋8は、覆工板または円形覆工板とも呼ばれ、前記内周部5の直径Dの1.1倍〜1.3倍の直径(=1.1・D〜1.3・D)を有する円形の鋼板によって実現される。この養生蓋8の下面には、直円筒状の補強部材35が同軸に溶接によって接合される。養生蓋8の上面には、クレーン車などの懸架装置によって、または人力によって懸架するためのチェーンまたはワーヤロープなどの索条20が掛け止められる複数の移動用フック片21が設けられる。
図3は吊下手段10およびその近傍の拡大断面図であり、図4は図3の切断面線IV−IVから見た断面図である。前記吊下手段10は、柵構造体11の中心軸線Lに関して一方向Aに開口22を臨ませて軸対称に複数(本実施の形態では2)のフック部材9が設けられ、各フック部材9の上端部は、水平な仮想一平面上で直交する各軸線まわりに回動自在な2つのユニバーサルジョイント24,25によって、養生蓋8の下面に連結される。上方のユニバーサルジョイント24は、養生蓋8の下面に溶接され、上方のユニバーサルジョイント24に下方のユニバーサルジョイント25が垂下された状態で連結される。
上方のユニバーサルッジョイント24の軸線は、柵構造体11の軸線Lを中心とする仮想円の接線に平行である。また下方のユニバーサルジョイント25の軸線は、柵構造体11の軸線Lを中心とする一直径線上に存在する。
これによって各フック部材9に吊下された柵構造体11の水平な仮想一平面上において全方向の揺れを許容することができ、各フック部材9が養生蓋8に固定された場合に比べて、柵構造体11の揺れによって各フック部材9に大きな曲げ応力および捩り応力が発生して養生蓋8が変形してしまうことが防がれる。
図5は支柱13の下端部23およびその近傍の拡大斜視図である。図1〜図4をも参照して、前記柵構造体11は、周方向に間隔をあけて配置される複数(本実施の形態では4)の支柱13と、各支柱13を周方向に連結する複数の横桟部材27と、中心軸線Lに関して軸対称に配置される一対の支柱13の各上端部に連結される吊下用ビーム28と、柵構造体11を路面3から上方に突出させた開放時において、各支柱13の前記路面3とほぼ同一高さ位置から約150mm〜200mm程度立ち上がり、各支柱13間にわたって設けられる幅木29とを有する。前記幅木29は、縞鋼板またはワイヤネットから成り、路面3から柵構造体11内へ部品、石、工具および機材などの各種物体の侵入を阻止し、開口部4を介して立坑2内へ物体が落下することが防がれる。
各支柱13は、溝形鋼によって実現されるが、本発明の実施の他の形態ではその他の鋼材、たとえば各2本のL形鋼を断面が凹状となるように溶接によって接合して構成されてもよい。また各横桟部材27は、最下段の横桟部材はL形鋼によって、下から2段目以上の横桟部材は鋼管によって実現され、いずれも長手方向両端部が各支柱13に溶接して接合され、柵構造体11の直径に応じた曲率で湾曲している。前記最下段の横桟部材27としてL形鋼を用いるのは、各支持部材6に柵構造体11を載置したとき、最下段の横桟部材27の下面から各支持部材6の上方に臨む端面に面接触させて、柵構造体11の主として自重である鉛直荷重が各支持部材6に作用したとき、最下段の横桟部材13への各支持部材6からの反力を低減するためである。
各支柱13は、前述のように長手方向に垂直な断面が凹状であり、ウエブ30と、ウエブ30の幅方向両端部に直角に連なる2つのフランジ31,32とが形成され、回転方向A下流側のフランジ31の下端が切り欠かれ、各支柱13の下端部23には、回転方向A下流側に臨んで開放する切欠き33が形成される。この切欠き33は、柵構造体11を上限位置まで上昇させたとき、各支持部材6の上端部の高さ位置よりも僅かに上方、たとえば約2cm〜約10cm上方に高さ位置となるように形成される。
このような切欠き33を各支柱13の下端部23に設けることによって、柵構造体11を立坑2内に収容するために、柵構造体11を上限位置まで上昇させて回転方向Aに回動させると、支持部材6の上端部が切欠き33を通過して、各フランジ31,32間の案内凹所7内に配置され、柵構造体11が慣性によって回転方向Aにさらに回動しても、回転方向A上流側のフランジ32の下端部分32aに支持部材6の上端部が当接し、慣性による柵構造体11の回動を阻止し、支持部材6を案内凹所7内に確実に導き、柵構造体11を各支持部材6に沿って降下させて、立坑2内に円滑に収容することができる。
図6は柵構造体11を設置する手順を説明するための図であり、図6(1)は柵構造体11が立坑2内に収容された状態を示し、図6(2)は柵構造体11が養生蓋8とともに立坑2から取り出された状態を示し、図6(3)は開口部4上で柵構造体11の回動時の状態を示し、図6(4)は柵構造体11を設置した状態を示す。柵構造体11は、養生蓋8によって開口部4が塞がれた状態では、図6(1)に示されるように、柵構造体11は、吊下用ビーム28に掛け止められた吊下手段10のフック部材9によって吊下され、立坑2内に収容されている。この状態では、各支柱6の案内凹所7に支持部材6がそれぞれ嵌まり込み、柵構造体11が立坑2内で回動することが防がれ、安定に垂下されている。
次に、推進工事の作業を開始するにあたって、立坑2内に機材の搬入・搬出を行うため、開口部4を塞いでいる養生蓋8の上面のフック片21に索条20を掛け止め、懸架装置によって吊り上げると、図6(2)に示されるように、柵構造体11は吊下手段10のフック部材9によって立坑2内から引き出され、開口部4をその周囲に向かって開放させずに開口部4から回動することなしに円滑に上昇させることができる。
柵構造体11が図6(3)に示される上限位置、すなわち各支柱13の下端部23に設けられる切欠き33が各支持部材6の上端部に臨む高さ位置に配置されると、懸架装置による上昇動作を停止させ、作業者によって柵構造体11を回転方向Aに回動させる。各案内凹所7内に存在していた各支持部材6の上端部は、切欠き33を通過して案内凹所7から離間するため、懸架装置によって養生蓋8をゆっくりと降下させると、各支持部材6に最下の横桟部材27が接触し、柵構造体11が各支持部材6によって支持される。
その後、フック部材9を作業者が吊下用ビーム28から取り外し、図6(4)に示されるように、懸架装置によって養生蓋8を吊下手段10とともに上昇させ、予め定める保管場所へ移動させて保管し、開口部4内を外囲して柵構造体11を設置し、開口部4が養生される。
また、推進工事の作業が終了したときには、開口部4上を通行可能な状態に養生する必要がるため、前述の図6(1)〜図6(4)の作業を逆の手順で行うことによって、開口部4を養生蓋8によって閉鎖し、ほぼ同時に立坑2内に柵構造体11を収容して保管することができる。
このように養生蓋8に設けた吊下手段10によって柵構造体11を吊下し、養生蓋8によって開口部4を閉鎖した状態では、柵構造体11を立坑2内に収容することができるので、柵構造体11を遠方の保管場所まで運搬する必要ない。また柵構造体11は、養生蓋8に設けた吊下手段10によって養生蓋8を上昇させることによって養生蓋8とともに開口部4から取り出すことができ、これによって開口部4の開放と同時に柵構造体11を構築し、開口部4を養生することができる。
また、吊下手段10には、柵構造体11の中心軸線に関して軸対称に複数のフック部材9が一方向に開口を臨ませて設けられるので、柵構造体11に各フック部材9を掛け止めるとき、懸架装置に養生蓋8を吊下した状態で、養生蓋8を前記一方向に可動させることによって、各フック部材9をほぼ同時に柵構造体11の掛け止め位置に配置して容易に掛け止めることができる。また柵構造体11に掛け止められた各フック部材9を柵構造体11から外すときには、懸架装置に吊下された養生蓋8を、前記一方向と逆の他方向へ回動させることによって、柵構造体11の各フック部材9をそれらの掛合部位からほぼ同時に離脱させることができるので、各フック部材9の柵構造体11へ掛け止め作業および離脱作業が簡素化および迅速化することができ、柵構造体11の設置作業および撤去作業に要する時間および労力を、より一層削減することができる。
図7は本発明の実施の他の形態の開口部の養生柵装置1aに用いられる柵構造体11aを示す斜視図であり、図8は図7の柵構造体11aを支持する支持部材6aを示す斜視図であり、図9は図7に示す柵構造体11aの支柱13aの内部構造を示す拡大断面図である。なお、前述の実施の形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施の形態の養生柵装置1aの柵構造体11aは、複数の支柱13aと、各支柱13aを周方向に相互に連結する複数の横桟部材27aとを含む。複数(本実施の形態では4)の支柱13aは、複数の横桟部材27aによって周方向に連結され、柵構造体11aが構成される。
各支柱13aは、下端部23aが支持部材6aによって支持された状態で、上端部40が立坑2の開口部4から突出する第1支柱部分14aと、第1支柱部分14aが挿通し、第1支柱部分14aよりも短尺の第2支柱部分14bと、第2支柱部分14bが挿通し、第1支柱部分14aよりも短尺の第3支柱部分14cとを有し、第1支柱部分14aの長手方向中間部には、第2支柱部分14bを第3支柱部分14cから突出した高さ位置で保持する係合部41が設けられる。
前記第2支柱部分14bが第1支柱部分14aの係合部41によって第3支柱部分14cから上方に引き出され、柵構造体11aが設置された状態では、第2支柱部分14bの下端部は第3支柱部分14cの上端部内に挿入し、第3支柱部分14cの下端部は第1支柱部分14aの下端部23を覆い、支持部材6a上に支持され、外観上、第1〜第3支柱部分14a〜14cが多段的に伸長された状態とされるが、第1支柱部分14aが支持部材6aに支持される。この第1支柱部分14aの下端部には、フラットバーなどによって実現される平坦な鋼板から成る支圧板50が溶接して固定される。支圧板50は、第3支柱部分14cの軸直角方向外方に突出し、第3支柱部分14cの下端部と、この第3支柱部分14cの下端部における回動方向A下流側の側面および回動方向A上流側の側面にそれぞれ溶接して固定されたリブ51,52が支持され、第1〜第3支柱部分14a〜14cを各支持部分6a上に垂直に安定して支持することができるように構成されている。
前記支持部材6aは、平面形状が円弧状の鋼板から成り、周方向に90度毎に仮想円上に配置される。各支持部材6aの半径方向外方の周縁部は、円筒状の環状部材42に固定され、周方向に隣接する各端部間には、第1〜第3支柱部分14a〜14cおよび支圧板50が挿通することができる挿通孔43が形成されている。
各支持部材6aの回動方向A下流側の一端部には、落下防止部材38が設けられる。各支持部材6aの回動方向A上流側の他端部には、挿入案内部材39が設けられる。各落下防止部材38および挿入案内部材39は、たとえばL形鋼から成り、下端部が支持部材6aの上面に溶接して固定され、前記上面よりも立上って設けられる。
落下防止部材38の前記上面からの立上り高さh1は、挿入案内部材39の前記上面からの立上り高さh2に比べて小さく(h1<h2)に選ばれている。一例として述べると、落下防止部材38の立上り高さh1は、5cm〜15cmに選ばれ、挿入案内部材39の立上り高さh2は、10cm〜30cmに選ばれる。
落下防止部材38は、柵構造体11aの各支柱13aが各支持部材6aに載置された状態で、柵構造体11aに対して震動力または衝撃力などの外力が作用して、回動方向A下流側に回動しても、各支柱13aの回動変位を、挿通孔43よりも回動方向A上流側の手前位置で阻止し、各支持部材6aの下端部23aが挿通孔43に嵌まり込んで落下することが防がれる。
また、挿通案内部材39が各支持部材6aの回動方向A上流側の他端部に設けられるので、柵構造体11aの各支柱13aが各支持部材6aに載置された状態で、前述のように柵構造体11aに対して震動力または衝撃力などの外力が作用して回動方向A上流側に回動しても、各支柱3aの回動変位を挿通孔43よりも回動方向A下流側の手前位置で阻止し、各支柱13aの下端部23aが挿通孔43に嵌まり込んで落下することが防がれるとともに、柵構造体11aを開口部2a内に収納するため、柵構造体11aを吊上げ、各支柱13aの下端部23aを各支持部材6aの上面から浮かせた状態で回動方向A下端部に回動させたとき、各支柱13aの下端部23aは各落下防止部材38上を通過した後、各挿通案内部材39における各落下防止部材38の上端の高さ位置よりも上方に突出した部分に当接し、慣性によって挿通孔43を通過してしまうことを阻止し、円滑かつ確実に各支柱13aの下端部23aを挿通孔43へ案内することができる。
第1支柱部分14aは、下端部23aが支持部材6aによって支持された状態で立坑2の開口部4から突出する、そのような長さを有する。第2支柱部分14bには、前記第1支柱部分14aが挿通する。この第2支柱部分14bの長さは、第1支柱部分14aよりも短く、短尺であるため、第2支柱部分14bは第1支柱部分14aに沿って移動させることができるが、第1支柱部分14aの長手方向中間部には表面から突出する係合部41が設けられるため、第2支柱部分14bが自重によって第1支柱部分14aに沿って第1支柱部分14aの上端部から下端部へ移動しようとするとき、第2支柱部分14bは係合部によって下方への移動が阻止される。
第2支柱部分14bは、第3支柱部分14cに挿通する。第3支柱部分14cの長さは、第1支柱部分14aよりも短く、短尺であるが、第2支柱部分14bが第1支柱部分14aの係合部によって第3支柱部分14cから突出した高さ位置で保持されるため、第3支柱部分14cに対して第2支柱部分14bが係合部41によって上方へ引き出された伸長状態と、第3支柱部分14cに第2支柱部分14bが挿入された縮退状態とにわたって伸縮させることができる。また第1支柱部分14aは、第2支柱部分14bおよび第3支柱部分14cに対して相対的に移動させることができる。
第1〜第3支柱部分14a〜14cが挿通孔43に挿通されると、第3支柱部分14cの上端部に設けられる端板44が挿通孔43を介して対向する各支持部材6aの各端部に係止され、また第2支柱部分14bの上端部に設けられる端板45が第3支柱部分14cの端板44に係止され、各横桟部材27aが上下に積重されて、後述の図10(2)に示されるように、第1〜第3支柱部分14a〜14cが下方へ突出した状態で垂下し、これによって複数の支持部材6aおよび環状部材42を開口部4に下方に近接した浅い位置に、図8に示される複数の吊り具46によって内周部5の上端部に掛け止めて設置することができる。
図10は養生柵装置1aの動作を説明するための鉛直断面図であり、図10(1)は柵構造体11aを設置した状態を示し、図10(2)は柵構造体11aを立坑2内に収容した状態を示す。開口部4を塞いだ状態に設置されている養生蓋8をクレーン車両などの懸架装置によって上昇させると、養生蓋8に設けられる吊下手段10によって柵構造体11aが開口部4から上方へ引き出される。このとき、吊下手段10のフック部材9を、横桟部材27aまたは第1支柱部分14aに連結された他の部材に掛け止めることによって、第1支柱部分14aの長手方向中間部の係止部41によって第2支柱部分14bが係止され、この第2支柱部分14bの下端部から下方に第3支柱部分14cが連なった3段の伸長状態として、図10(1)に示されるように、開口部4から突出させて柵構造体11aを構築し、開口部4を開放した状態で養生することができる。
また、開口部4から突出して柵構造体11aが構築された状態から柵構造体11aを開口部4内へ収容して開口部4を養生蓋8によって閉鎖するときには、保管場所に保管されている前記養生蓋8を懸架装置によって吊下して開口部4上へ移動させて、吊下手段10のフック部材9を横桟部材27または第1支柱部分14aに連結される他の部材に掛け止め、養生蓋8を降下させることによって、柵構造体11aを開口部4内へ収容することができる。
このとき、前述したように、第1支柱部分14aに対して第2および第3支柱部分14b,14cは移動自在であるので、第1支柱部分14aの下端部23aが支持部材6aに支持された状態から下方へ移動させると、第1支柱部分14aだけを下降させ、第2および第3支柱部分14b,14cは端板44,45によって支持部材6aに係止されて下降せず、重量の軽減によって懸架装置への負荷を減少させて、第2および第3支柱部分14b,14cの支持部材6aよりも下方へ移動するための作業を省略することができ、開口部4の開放時および閉鎖時の柵構造体11の昇降作業に要する手間および時間を削減して、柵構造体11aの設置作業および撤去作業に要する時間および労力が削減される。
本発明の実施のさらに他の形態として、図11の平面図に示されるように、立坑2の内腔断面が大きく、内径Dが5m〜10m程度と大きい場合には、前記養生蓋8が体径となり、その重量も1〜2tを超え、容易に吊り下げることができなくなるため、前述の養生蓋8を図1のように右折し、その上に複数の覆工板53を整列して敷設する。各覆工板53は、短片が1〜2m、長片が3〜4mであり、個別に吊り上げて右折し、あるいは撤去することができる。その後、前述したように、養生蓋8をフック部材21を用いて吊り上げ、あるいは吊り下ろすことによって、柵構造体11,11aを立坑2の開口部4から引き上げ、あるいは立坑2内に収容することができる。
本発明の実施の一形態の開口部4の養生柵装置1を示す鉛直断面図である。 図1の切断面線II−IIから見た水平断面図である。 吊下手段10およびその近傍の拡大断面図である。 図3の切断面線IV−IVから見た断面図である。 支柱13の下端部およびその近傍の拡大斜視図である。 柵構造体11を設置する手順を説明するための図であり、図6(1)は柵構造体11が立坑2内に収容された状態を示し、図6(2)は柵構造体11が養生蓋8とともに立坑2から取り出された状態を示し、図6(3)は開口部4上で柵構造体11の回動時の状態を示し、図6(4)は柵構造体11を設置した状態を示す。 本発明の実施の他の形態の開口部の養生柵装置1aに用いられる柵構造体11aを示す斜視図である。 図7の柵構造体11aを支持する支持部材6aを示す斜視図である。 図7の柵構造体11aの支柱13aの内部構造を示す拡大断面図である。 養生柵装置1aの動作を説明するための鉛直断面図であり、図10(1)は柵構造体11を設置した状態を示し、図10(2)は柵構造体11aを立坑2内に収容した状態を示す。 本発明の実施のさらに他の形態を示す平面図である。
符号の説明
1,1a 養生柵装置
2 立坑
3 路面
4 開口部
5 立坑2の内周部
6,6a 支持部材
7 案内凹所
8 養生蓋
9 フック部材
10 吊下手段
11,11a 柵構造体
13,13a 支柱
14a 第1支柱部分
14b 第2支柱部分
14c 第3支柱部分

Claims (2)

  1. 立坑の内周部に、周方向に間隔をあけて固定される複数の支持部材と、
    立坑内で各支持部材に沿って上下方向に移動可能に収容され、かつ立坑の開口部から突出した状態で各支持部材によって支持される柵構造体と
    口部に着脱可能に乗載され、開口部を覆う養生蓋と、
    養生蓋の開口部に臨む領域に、柵構造体に着脱可能に掛け止められるフック部材が設けられる吊下手段とを含むことを特徴とする開口部の養生柵装置。
  2. 前記柵構造体は、複数の支柱と、各支柱を周方向に相互に連結する複数の横桟部材とを含み、
    各支柱は、下端部が前記支持部材によって支持された状態で上端部が立坑の開口部から突出する第1支柱部分と、第1支柱部分が挿通し、第1支柱部分よりも短尺の第2支柱部分と、第2支柱部分が挿通し、第1支柱部分よりも短尺の第3支柱部分とを有し、第1支柱部分の長手方向中間部には、第2支柱部分を第3支柱部分から突出した高さ位置で保持する係合部が設けられ、第1〜第3支柱部分が横桟部材によってそれぞれ連結されることを特徴とする請求項1記載の開口部の養生柵装置。
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