JP3585201B2 - 木質系成形基材の成形材料およびこれを用いた木質系成形基材ならびにその製造法 - Google Patents

木質系成形基材の成形材料およびこれを用いた木質系成形基材ならびにその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた剛性を有しかつ軽量な木質系成形基材を容易に得ることのできる木質系成形基材の成形材料およびこれを用いた木質系成形基材ならびにその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車用の天井トリムやドアトリム等には木質系成形基材が多く用いられているが、従来のこの種の木質系成形基材は、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂粉末と木質繊維とを均一に混合させた成形材料を加熱圧縮して、前記熱可塑性樹脂粉末をバインダーとした厚さ2〜3mmの板状の木質系成形基材としたものが普通である。
【0003】
ところが、従来のものにおいては所定の剛性を得ようとすると、多量の熱可塑性樹脂粉末を使用して密度を0.9〜1.2g/cm程度と高くする必要があり、十分な軽量化を図ることができないという問題点があった。また、熱可塑性樹脂粉末の使用量が多くなるとコスト的にも高くなるという問題点があり、剛性と軽量化という相反する特性を共に満足することができる木質系成形基材の開発が待たれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、剛性と軽量化という相反する特性を共に満足し優れた剛性と軽量性を満足することができる木質系成形基材を効率的かつ安価に生産することができる木質系成形基材の成形材料およびこれを用いた木質系成形基材ならびにその製造法を提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、木質繊維からなる中間芯層と、その両面に添わせた熱可塑性樹脂系繊維層とを、表裏両面にわたる針刺加工によって中間芯層を通過するように配設された多数の熱可塑性樹脂系繊維架橋部においてマット状に絡合一体化させたことを特徴とする木質系成形基材と、木質繊維の層を圧縮した中間の芯板の両面に熱可塑性樹脂系繊維層が溶融固化された熱可塑性の樹脂表面薄層が層着され、且つ、この表裏の樹脂表面薄層は前記芯板を通過して配設された多数の熱可塑性の樹脂架橋部において連繋一体化されていることを特徴とする木質系成形基材と、木質繊維からなる中間芯層の表裏両面に熱可塑性樹脂系繊維層を添わせてその表裏両面にわたり針刺加工を施して前記中間芯層を通過する熱可塑性樹脂系繊維架橋部が多数の配設されたマット状の成形材料とし、次いで、この成形材料を前記熱可塑性樹脂系繊維の融点よりも高い温度のもとで加圧して前記熱可塑性樹脂系繊維層と熱可塑性樹脂系繊維架橋部を共に溶融固化させるとともに前記中間芯層を圧縮させて圧縮中間芯層の表裏両面に熱可塑性樹脂表層が圧縮中間芯層を通過する多数の熱可塑性樹脂架橋部により連繋された状態で層着一体化されている板状のプリプレグとし、続いて、このプリプレグを所要の成形型間で冷間プレスして木質系の芯板の表裏両面をこの芯板を通過する多数の熱可塑性の樹脂架橋部において連繋された熱可塑性の表面薄層で覆った所定形状の成形基材に成形することを特徴とする木質系成形基材の製造法とよりなるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は木質系成形基材の成形材料の断面図で、1は木質繊維からなるファイバーマット状の中間芯層、2、2はこの中間芯層1の表裏両面に添わせた熱可塑性樹脂系繊維層であり、この表裏の熱可塑性樹脂系繊維層2、2は例えばポリプロピレン系繊維や熱可塑性ポリエステル系繊維のような熱可塑性樹脂繊維よりなるもので、木質繊維からなる中間芯層1と、その両面に添わせた熱可塑性樹脂系繊維層2、2とは、表裏両面にわたる針刺加工によって中間芯層1を通過するように配設された熱可塑性樹脂系繊維よりなる多数の架橋部3においてマット状に絡合一体化させたものとしている。
【0007】
このような木質系成形基材の成形材料は、図2に示されるように、通常のウェブ成形機10により長さ10〜30mmの木質繊維よりなる厚みが10mm程度のファイバーマット状の中間芯層1の表裏両面に熱可塑性樹脂系繊維層2、2として厚みが3mm程度のポリプロピレン樹脂系繊維の層を添わせて送り込んでウェブとした後、これをニードルパンチ機11により、例えば、ペネ数が10〜30本/cm程度に針刺加工を施し、これにより表裏の熱可塑性樹脂系繊維層2、2の一部繊維が中間芯層1を通過するようにして表裏の熱可塑性樹脂系繊維層2、2間に多数のフィラメント束よりなる架橋部3が配設された成形材料5とする。なお、前記熱可塑性樹脂繊維層2、2と中間芯層1との割合は、熱可塑性樹脂繊維層2、2が成形材料の全重量のうち30〜50重量%としたとき、成形性が良好なうえにこれを用いて木質系成形基材を成形したとき、製品に十分な剛性および軽量性が得られることとなり好ましい。
【0008】
このようにして得られた木質系成形基材の成形材料5は、成形しようとする製品の大きさに応じた所要の大きさに裁断し、これを先ず図3に示すように、前記熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い温度の180〜200℃に加熱した一対のプレス板12、13間にセットしたうえ約60〜90秒間圧縮・加熱して厚みが約2〜5mmの板状のプリプレグマット体5aとする。このプリプレグマット体5aはプレス板12、13による加圧で圧縮されて中間芯層1が板状の圧縮中間芯層1aとされるとともに、プレス板12、13による加熱で熱可塑性樹脂系繊維層2、2と架橋部3が共に溶融されるため、圧縮中間芯層1aの表裏両面には熱可塑性樹脂繊維が溶融・固化された肉薄の熱可塑性樹脂表層2a、2aが層着されるとともに、この表裏の熱可塑性樹脂表層2a、2aは圧縮中間芯層1aを通過して配設された熱可塑性樹脂系繊維よりなる架橋部3が溶融・固化された多数の熱可塑性樹脂架橋部3aにおいて連繋一体化された板状のものであるから、このプリプレグマット体5aをそのまま図4に示すように、雌雄一対の冷間プレス用の成形型14、15間に移して冷間プレスすれば、前記したプリプレグマット体5aは固化前であるから容易に所要の形状に成形されるとともに、熱可塑性樹脂表層2a、2aおよび熱可塑性樹脂架橋部3aが冷却固化されて、図5に拡大して示すように、木質繊維の層を圧縮した中間の芯板1bの両面に熱可塑性樹脂系繊維層2a、2aが溶融固化された熱可塑性の樹脂表面薄層2b、2bが層着され、且つ、この表裏の樹脂表面薄層2b、2bは前記芯板1bを通過して配設された多数の熱可塑性の樹脂架橋部3bにおいて連繋一体化されている所定形状の成形基材5bが成形されることになる。
【0009】
このように木質繊維からなる芯板1bの両面に熱可塑性の樹脂表面薄層2b、2bが層着され、且つ、この表裏の樹脂表面薄層2b、2bは前記芯板1bを通過させて配設された多数の熱可塑性の樹脂架橋部3bにおいて連繋一体化されたサンドイッチ構造の成形基材5bは、天井トリムやドアトリムとしての十分な剛性を保持することができるうえに、木質繊維の使用量と熱可塑性樹脂系繊維の使用量を適宜調節して成形できるので密度を0.5〜0.9g/cmと従来のものに比べて小さく十分な軽量化も達成することができることとなる。
【0010】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の木質系成形基材の成形材料は、相反する特性である剛性と軽量性を満足することができる木質系成形基材を製造するうえに便利なものであり、また、本発明の木質系成形基材は剛性と軽量性に優れていて自動車の軽量化などに極めて有用なものであり、さらに、本発明の木質系成形基材の製造法は、前記したような木質系成形基材を極めて容易に量産できてコストダウン上極めて有効な利点がある。
よって本発明は従来の問題点を一掃した木質系成形基材の成形材料およびこれを用いた木質系成形基材ならびにその製造法として、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木質系成形基材の成形材料の1例を示す要部の断面図である。
【図2】本発明に係る木質系成形基材の成形材料の製造工程の1例を示す概略説明図である。
【図3】本発明に係る木質系成形基材の製造法の中間工程であるプリプレグマット体の成形工程を示す断面図である。
【図4】本発明に係る木質系成形基材の製造法の最終工程である冷間プレス工程を示す断面図である。
【図5】本発明に係る木質系成形基材の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中間芯層
1a 圧縮中間芯層
1b 芯板
2 熱可塑性樹脂系繊維層
2a 熱可塑性樹脂表層
2b 樹脂表面薄層
3 熱可塑性樹脂系繊維架橋部
3a 熱可塑性樹脂架橋部
3b 樹脂架橋部
5 成形材料
5a プリプレグマット体
5b 成形基材

Claims (4)

  1. 木質繊維からなる中間芯層(1) と、その両面に添わせた熱可塑性樹脂系繊維層(2) 、(2) とを、表裏両面にわたる針刺加工によって中間芯層(1) を通過するように配設された多数の熱可塑性樹脂系繊維架橋部(3) においてマット状に絡合一体化させたことを特徴とする木質系成形基材の成形材料。
  2. 熱可塑性樹脂系繊維層(2) 、(2) と熱可塑性樹脂系繊維架橋部(3) が全体のうち30〜50重量%の割合で占められている請求項1に記載の木質系成形基材。
  3. 木質繊維の層を圧縮した中間の芯板(1b)の両面に熱可塑性樹脂系繊維層が溶融固化された熱可塑性の樹脂表面薄層(2b)、(2b)が層着され、且つ、この表裏の樹脂表面薄層(2b)、(2b)は前記芯板(1b)を通過して配設された多数の熱可塑性の樹脂架橋部(3b)において連繋一体化されていることを特徴とする木質系成形基材。
  4. 木質繊維からなる中間芯層の表裏両面に熱可塑性樹脂系繊維層を添わせてその表裏両面にわたり針刺加工を施して前記中間芯層を通過する熱可塑性樹脂系繊維架橋部が多数の配設されたマット状の成形材料とし、次いで、この成形材料を前記熱可塑性樹脂系繊維の融点よりも高い温度のもとで加圧して前記熱可塑性樹脂系繊維層と熱可塑性樹脂系繊維架橋部を共に溶融固化させるとともに前記中間芯層を圧縮させて圧縮中間芯層の表裏両面に熱可塑性樹脂表層が圧縮中間芯層を通過する多数の熱可塑性樹脂架橋部により連繋された状態で層着一体化されている板状のプリプレグとし、続いて、このプリプレグを所要の成形型間で冷間プレスして木質系の芯板の表裏両面をこの芯板を通過する多数の熱可塑性の樹脂架橋部において連繋された熱可塑性の表面薄層で覆った所定形状の成形基材に成形することを特徴とする木質系成形基材の製造法。
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