JP4337430B2 - 積層構造を有するボード材とその製造方法 - Google Patents

積層構造を有するボード材とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物を由来とした繊維質材料及びスライス片材料を主原料とし、これら繊維質材料及びスライス片材料を板状に熱圧成形して得られる三層の積層構造を有するボード材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リグノセルロース材料から得られる繊維及びパーティクルを原料とし、これら繊維及びパーティクルを板状に成形して得られるボード材として、例えば[特許文献1]に開示されたボード材(長繊維複合ボード)が知られている。このボード材によれば、接着剤を分散させたリグノセルロース材料を粉砕・切削して得た多数のパーティクルからなるパーティクル層と、接着剤を分散させた多数本のリグノセルロース長繊維からなる繊維層とを複数組み合わせ、熱や圧力を加えることによって板状に成形した長繊維複合ボードであって、リグノセルロース材料を加工して得られる比重0.2以下のパーティクルから構成されたパーティクル層の両表面に、繊維長さ6mm以上のリグノセルロース長繊維から構成された繊維層を積層した三層の積層構造を有している。これにより、比重の小さいパーティクルにより構成されたパーティクル層では圧縮率を大きくすることができるので、空隙などの欠陥部が生じにくく剪断破壊強度や積層界面での剥離強度が高くなる。また、比重の大きいリグノセルロース長繊維からなる繊維層では、表面が比較的平滑でかつ曲げ強度が高くなるというものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−246709号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、[特許文献1]に開示されたボード材によれば、複数のパーティクルやリグノセルロース長繊維を相互に接合するためのバインダ(接着剤)として、熱硬化性合成樹脂の一種であるユリアメラミン系接着剤を使用している。したがって、熱圧縮により積層体をボード材に成形した後は、これを加熱することによって再度成形し直すことは不可能である。この場合、一旦熱圧縮により平板状のボード材を成形した後に、このボード材を例えば製品の湾曲形状に合わせるように熱圧成形することで2次的な加工を施すことが不可能であった。
また、パーティクルや長繊維を得るためのリグノセルロースの原料となるケナフなどの植物は、東南アジアなどの海外で採取される場合が多いのが現状である。この場合、原料を船積みで運搬するために、一旦これらの原料を圧縮される前の積層体に仮成形しておくのが便利である。しかしながら、熱硬化性合成樹脂のバインダを使用した場合には、一度きりしか加熱による成形を行うことができないので、運搬のための仮成形を行った後に、熱圧縮をすることで最終的な製品である三層構造のボード材を得るといったことができなかった。
また、パーティクルは、リグノセルロース材料を粉砕・切削し、細かくすることで形成される。このようなパーティクルからなるボード材では、個々のパーティクルの繊維方向は異なり、細かなパーティクル同士をバインダで接合しているため、ボード材の引張り強度が弱く、バインダ量が多く必要であった。
【0005】
本願発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、植物を由来とした繊維質材料及びパーティクル材料を板状に熱圧成形して得られる三層の積層構造を有するボード材において、従来バインダとして熱硬化性合成樹脂が用いられていたこと、及び、粉砕・切削して得られたパーティクルが用いられていたことに起因する種々の不具合を解消することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本願の第1の発明は、中心層の両表面に表層が配置された三層の積層構造を有するボード材であって、前記中心層は、植物由来の多数のスライス片材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダが分散されてから熱圧されることで形成されたスライス片層により構成されており、前記スライス片材料は、長さが50〜150mm、厚さが0.3〜1mmのスライス片であり、前記表層は、植物由来の繊維質材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダが分散されてから熱圧されることで板状に形成された繊維層により構成されていることを特徴とするボード材である。このような三層構造のボード材によれば、中心層は比重の小さい植物由来のスライス片材料を熱圧して成形するので圧縮率が高くなり、空隙等が比較的少なくて剪断強度、剥離強度、断熱性能等に優れたボード材を得ることができる。また、表層は比重の大きな植物由来の繊維質材料を熱圧して成形するので、表面が比較的平滑でかつ曲げ強度が高いボード材を得ることができる。さらに、スライス片材料もしくは繊維質材料を相互に結合するためのバインダとして、熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを用いているので、三層構造のボード材を熱圧成形してから冷却した後であっても、そのボード材を加熱し直すことで再度成形を施すことが可能になる。また、中心層は、粉砕・切削したパーティクルではなく、リグノセルロース材料の繊維配向をこわさず、かつ水平面の表面積の大きく、薄いスライス片であるため、中心層は引張り強度が大きくなり、バインダ量は少なくなり、成形性のよいものとなる。
また、スライス片材料は、長さが50〜150mm、厚さが0.3〜1mmのスライス片であるため、ボード材の強度、成形性に優れる。
【0007】
本願の第2の発明は、前記第1の発明において、スライス片層は、棒状のケナフコア(ケナフ芯部)茎方向に沿って略平行にスライスして得られたスライス片材料により形成されており、繊維層は、ケナフの靭皮部を加工して得られた繊維質材料により形成されていることを特徴とするボード材である。このようなボード材によれば、同一の植物から繊維質材料及びスライス片材料の両方を採取することができるので、ボード材の生産効率が高まるとともに天然資源の有効利用に資することになる。
また、ケナフコアの繊維方向は茎方向であり、木に比べて比重が小さいため、カッター等によりスライス片を様々なサイズに作製するのが容易である。これにより、例えば、製品としてのボード材に要求される強度、重量、断熱性能等に応じて、様々な長さや横幅、厚み等を有するケナフコアのスライス片材料を複数種類準備しておくことが可能になる。
【0009】
本願の第3の発明は、中心層の両表面に表層が配置された三層の積層構造を有するボード材の製造方法であって、長さが50〜150mm、厚さが0.3〜1mmの植物由来のスライス片である多数のスライス片材料を準備する工程と、前記スライス片材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散してから板状に熱圧成形することで前記中心層を得る工程と、植物由来の繊維質材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散してから板状に熱圧成形することで前記表層を得る工程と、前記中心層の両表面に前記表層を重ね合わせて相互に接合することでボード材を得る工程と、を有することを特徴とするボード材の製造方法である。このような製造方法によれば、中心層は比重の小さい植物由来のスライス片材料を熱圧して成形するので圧縮率が高くなり、空隙等が比較的少なくて剪断強度、断熱性等に優れたボード材を得ることができる。また、表層は比重の大きな植物由来の繊維質材料を熱圧して成形するので、表面が比較的平滑でかつ曲げ強度が高いボード材を得ることができる。さらに、スライス片材料もしくは繊維質材料を相互に結合するためのバインダとして、熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを用いているので、三層構造のボード材を熱圧成形してから冷却した後であっても、そのボード材を加熱し直すことで再度成形を施すことが可能になる。
また、中心層と表層とを接合する前に、中心層と表層は仮成形されており、単に表層と中心層を堆積させて熱圧成形するよりも、中心層または表層の密度の差を大きくすることができる。
【0010】
また、本願の第4の発明は、中心層の両表面に表層が配置された三層の積層構造を有するボード材の製造方法であって、長さが50〜150mm、厚さが0.3〜1mmの植物由来のスライス片である多数のスライス片材料を準備する工程と、 前記スライス片材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散することで前記中心層を得る工程と、植物由来の繊維質材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散することで前記表層を得る工程と、前記中心層の両表面に前記表層を重ね合わせて積層体を構成し、その積層体を板状に熱圧成形することでボード材を得る工程と、を有することを特徴とするボード材の製造方法である。すなわち、ボード材を構成するスライス片層及び繊維層は、それぞれが別個に熱圧成形されてから三層に積層されるのではなく、熱圧成形前に予め三層構造の積層体にしてから、この積層体をまとめて熱圧縮することでボード材に成形してもよいということである。このような製造方法によれば、ボード材の各層を別々に熱圧成形するのではなく、一枚のボード材につき一回だけ熱圧成形すればよいので、ボード材の製造工程が全体として簡略化されるという効果がある。
【0011】
また、本願の第5の発明は、前記第3または第4の発明において、棒状のケナフコア茎方向に沿って略平行にスライスして得られたスライス片材料を準備する工程と、ケナフの靭皮部を加工して得られた繊維質材料を準備する工程と、を有することを特徴とするボード材の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態におけるボード材10は、図1に示すように、中心層20の表裏両面に表層30が配置した三層の積層構造を有している。
中心層20は、植物の茎の芯部(コア)を小片状に加工して得られた多数のスライス片材料が熱圧されることで板状に形成されたスライス片層により構成されている。本実施の形態では、このスライス片層を形成するためのスライス片材料として、アオイ科の一年草植物であるケナフの芯部(ケナフコア)が用いられている。
表層30は、植物の靭皮部を解繊することで得られる長繊維質材料が熱圧されることで板状に形成された繊維層により構成されている。本実施の形態では、この繊維層を形成するための繊維質材料として、ケナフの靭皮部が用いられている。
【0014】
図2は、ケナフコア22を加工することでスライス片材料21を得るための工程を模式的に示した説明図である。
スライス片材料21を得るためには、伐採したケナフから靭皮部を剥がし取ることでケナフコア22を準備し(図2(a))、カッター等の切断手段を用いてこのケナフコア22を所定の長さに切断し(図2(a))、切断したケナフコア22を茎方向(図2(a)中の矢印Aの方向)に沿って略平行にスライスすることで複数のスライス片23を得る(図2(b)、(c))。本実施の形態では、このスライス片材料21の1個当たりの大きさが、厚み0.5mm、幅10mm、長さ100mmとなるように加工がなされている。ケナフコア22の繊維は茎方向にほぼ平行に並んでいるので、このようにケナフコア22を茎方向に沿って略平行にスライスすることで茎方向の繊維があまり分断されておらず曲げ強度や剪断強度の高いスライス片材料21を得ることができる。
【0015】
ケナフコア22を加工することでスライス片材料21を準備した後、このスライス片材料21中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダ(結合剤)を分散させる。なお、ここで、「主成分」と表現しているのは、バインダの大部分が熱可塑性合成樹脂であればよく、ガラス等のその他の不純物が混在していても本願発明に含まれることを示す趣旨である。
本実施の形態では、バインダとして用いる熱可塑性合成樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。これらの熱可塑性合成樹脂は、廃棄されたペットボトル等のプラスチック製品からリサイクルされたものを用いることも可能である。
スライス片材料21中へのバインダの分散方法はどのような方法が用いられてもよい。例えば、極細の長繊維状に加工した熱可塑性合成樹脂をスライス片材料21中に混ぜ込むようにして分散させてもよいし、ディスパージョン、エマルション等の液状にし、噴霧によりスライス片材料21中に均一に分散させてもよい。
スライス片材料21中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散させた後、このスライス片材料21をプレス機等により熱を加え圧縮することで板状のスライス片層を構成することができる。
【0016】
ボード材10の表層30を構成する繊維層は、前述したように、ケナフの靭皮部を解繊することにより得られた繊維質材料31中により形成されている。
すなわち、伐採したケナフから靭皮部を剥がし取った後、その剥がし取った靭皮部を解繊機等に供給して繊維状にほぐすことにより繊維質材料31を得る。そして、その繊維質材料31中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散させた後、この繊維質材料31をプレス機等により熱を加えながら圧縮することで板状の繊維層を形成することができる。バインダとして使用する熱可塑性合成樹脂は、上記のスライス片層を形成する場合のバインダと同様のものを用いることができる。また、バインダを繊維質材料31中に分散させるためには、上記のスライス片層を形成する場合と同様の方法を用いることができる。
【0017】
上述のようにしてスライス片層及び繊維層を形成したあと、スライス片層の両表面に繊維層が配置するように接着剤等により相互に接合する。これにより、中心層20がスライス片層、表層30が繊維層である三層の積層構造を有するボード材10を製造することができる。なお、これら中心層20及び表層30を相互に接合するためには、必ずしも接着剤を用いる必要はない。例えば、各層に含まれるバインダは熱可塑性合成樹脂を主成分としているので、このバインダを加熱により一部溶融させて各層を接合することも可能である。
【0018】
このようにして得られた三層構造を有するボード材10は、中心層20は比重の小さい植物由来のスライス片材料21を熱圧して成形するので圧縮率が高くなり、空隙等が比較的少なくて剪断強度、剥離強度、断熱性能等に優れている。また、表層30は比重の大きな植物由来の繊維質材料31を熱圧して成形するので、表面が比較的平滑でかつ曲げ強度が高くなる。
また、このようにして得られたボード材10は、熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを用いているので、板状に熱圧成形してから冷却した後であっても、そのボード材10を加熱し直すことで再度成形を施すことが可能になる。例えば、各層を熱圧成形してから三層に積層することで平板状のボード材10を形成し、このボード材10を例えば製品の湾曲形状に合わせるようにプレス型等によって熱圧成形することで2次的な加工を施すことが可能になる。
【0019】
図3は、ボード材10の他の製造方法を示す説明図である。
図3に示すように、スライス片材料21及び繊維質材料31を三層に積層することで積層体12を構成してから、この積層体12をまとめて熱圧縮することで板状のボード材10を成形することができる。
【0020】
すなわち、図3(a)に示すように、まず、スライス片層の両表面に繊維層が配置した三層の積層構造を有する積層体12を準備する。この段階において、積層体12を構成する各層は圧縮前の状態である。
繊維層は、ケナフの靭皮部を解繊することにより得られた繊維質材料31にバインダを均一に分散させてからフォーミング装置等に供給することで不織布(マット)の状態に成形したものを用いることができる。スライス片層は、最下層に配置されている繊維層の上面に、予めバインダを分散してあるスライス片材料21を面積当たりの目付量がほぼ均一になるよう供給することで成形することができる。そして、スライス片層の上面側にさらに繊維層を積層することにより、繊維層、スライス片層、繊維層の順番で各層が配置した三層の積層構造を有する積層体12を得ることができる。
なお、本実施の形態では、スライス片層における単位面積当りのスライス片材料21の目付量が約200[g/m2]であり、繊維層における単位面積当りの繊維質材料31の目付量が約200[g/m2]となるように各層が形成されている。したがって、三層構造の積層体12における単位面積当りの目付量は約600[g/m2]である。
【0021】
次に、図3(b)に示すように、積層体12の表面に熱を加えながらプレス機14により厚み方向に圧縮する。熱を加えるための手段は特に限定しないが、プレス14機のプレス面をヒータ等により加熱しておくのが簡便であり好ましい。加熱温度は、積層体12の各層に分散してあるバインダの融点以上の温度であることが好ましい。
プレス機14による熱圧縮の最初の段階では、図3(b)に示すように、表層30に配置している繊維層の圧縮量の方が、中心層20に配置しているスライス片層の圧縮量よりも大きくなる。なぜならば、極細の繊維質材料31により形成されている繊維層はいわばフカフカの状態であり、硬質のスライス片材料21により形成されているスライス片層よりも圧縮弾性率が小さいからである。
プレス機14による熱圧縮の次の段階では、図3(c)に示すように、中心層20に配置しているスライス片層の圧縮量の方が、表層30に配置している繊維層の圧縮量よりも大きくなる。なぜならば、繊維質材料31により形成されている繊維層が既に圧縮された状態になっており、プレス機14によるさらなる圧縮により、その圧縮力が中心層20に伝達されてスライス片材料21間の空隙が埋まるように圧縮がなされるからである。
【0022】
本実施の形態では、図3(a)の段階、すなわち、圧縮前の段階における中心層20の嵩比重が約0.3であり、表層30の嵩比重が約0.2となるように材料の目付量が調整されている。また、図3(c)の段階、すなわち、圧縮後の段階における中心層20の嵩比重が約0.4であり、表層30の嵩比重も約0.4となるようにプレス機14による圧縮時間や圧縮速度等が調整されている。
【0023】
このようにして得られた三層構造を有するボード材10は、中心層20は比重(見掛け比重)の小さい植物由来のスライス片材料21を熱圧して成形するので圧縮率が高くなり、空隙等が比較的少なくて剪断強度、剥離強度、断熱性能等に優れている。また、表層30は比重(見掛け比重)の大きな植物由来の繊維質材料31を熱圧して成形するので、表面が比較的平滑でかつ曲げ強度が高くなる。また、上述したようなボード材10の製造方法によれば、スライス片層及び繊維層が三層に積層した積層体12をプレス機14により一度に圧縮するので、各層をそれぞれ圧縮してから接着剤等により接合するよりもボード材10の製造工程が全体として簡略化されるというメリットがある。
【0024】
図4は、ボード材10を加熱して再成形する際の工程を示す説明図である。
本実施の形態におけるボード材10は、スライス片材料21及び繊維質材料31のバインダとして、熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを用いている。したがって、これらのバインダの少なくとも一部を加熱により軟化させれば、一旦フラットな形状に成形したボード材10であっても、製品の湾曲形状に沿うようにして二次的な成形加工を施すことが可能である。
そのために、まず、図4(a)に示すように、熱圧により板状に成形したボード材10を準備し、そのボード材10を上下一対のプレス型16の間に配置する。そして、このボード材10のバインダが軟化するまで熱を加えるのと同時に(好ましくはバインダの融点以上に加熱する)、上下一対のプレス型16によりボード材10を挟み込む。これにより、図4(b)に示すように、周縁部がせり上がるようにして湾曲状に再成形されたボード材10を得ることができる。ボード材10を加熱するためには、プレス型16のプレス面をヒータ等により加熱しておくのが簡便であり好ましい。そして、ボード材10を湾曲形状に成形した後は、このプレス型16のプレス面の温度を冷却水により下げることにより、バインダの冷却固化によりボード材10の湾曲形状を固定化することができる。
このような製造方法によれば、フラットな形状のボード材10だけでなく、例えば、自動車の車室天井部のヘッドライニングとして使用することのできる湾曲形状のボード材10を製造することができる。あるいは、自動車のドアトリム材、インパネ材として使用することのできる湾曲形状のボード材10を製造することができる。
【0025】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば以下の態様で実施することも可能である。
上記実施の形態では、中心層20の両表面に表層30を備えた三層の積層構造を有するボード材10の例を示したが、このような態様に限定するものではない。例えば、表層30のさらに外表面に、見栄えや質感を向上させるための表皮材を被覆したり、通気止めのフィルム等を貼着するようにしてもよい。
【0026】
また、上記実施の形態では、ケナフの芯部よりスライス片材料21を採取し、ケナフの靭皮部より繊維質材料31を採取する例を示したが、このような態様に限定するものではない。例えば、わら、麻、サイザル、ジュート等のその他の植物から繊維質材料を採取してもよい。
【0027】
また、上記実施の形態では、ケナフコア22をスライスすることにより得られた薄片状のスライス片材料21を用いる例を示したが、このような態様に限定するものではない。例えば、ケナフコア22を不規則な方向にみじん切り状に切断することで得られた粒状あるいは不定形状のスライス片材料を用いてもよい。ただし、スライス薄片状のスライス片材料21を用いれば、スライス片材料21の形状を略一定の大きさに揃えることが容易になり、例えば、製品としてのボード材10に要求される強度、重量、断熱性能等に応じて、様々な長さや横幅、厚み等を有するスライス片材料21を複数準備しておくことが可能になる。
【0028】
また、上記実施の形態では、ボード材10を熱圧縮により成形するための加熱方法として、プレス機14のプレス面をヒータ等により加熱する方法を用いた例を示したが、このような態様に限定するものではない。ボード材10を熱圧成形するための加熱方法としては、その他にも、遠赤外線を照射したり、あるいは、熱風を吹き付けることで加熱する方法を採用することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、植物を由来とした繊維質材料及びパーティクル材料を板状に熱圧成形して得られる三層の積層構造を有するボード材において、従来バインダとして熱硬化性合成樹脂が用いられていたこと、及び、粉砕・切削して得られたパーティクルが用いられていたことに起因する種々の不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるボード材の外観を示す斜視図である。
【図2】ケナフコアを加工することでスライス片材料を得るための工程を模式的に示した説明図である。
【図3】ボード材の製造方法を示す説明図である。
【図4】ボード材を加熱して再成形する際の工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ボード材
12 積層体
14 プレス機
16 プレス型
20 中心層
21 スライス片材料
22 ケナフコア
23 スライス片
30 表層
31 繊維質材料

Claims (5)

  1. 中心層の両表面に表層が配置された三層の積層構造を有するボード材であって、
    前記中心層は、植物由来の多数のスライス片材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダが分散されてから熱圧されることで形成されたスライス片層により構成されており、
    前記スライス片材料は、長さが50〜150mm、厚さが0.3〜1mmのスライス片であり、
    前記表層は、植物由来の繊維質材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダが分散されてから熱圧されることで板状に形成された繊維層により構成されていることを特徴とするボード材。
  2. 請求項1に記載のボード材であって、
    前記スライス片層は、ケナフコア茎方向に沿って略平行にスライスして得られたスライス片材料により形成されており、
    繊維層は、ケナフ靭皮部を加工して得られた繊維質材料により形成されていることを特徴とするボード材。
  3. 中心層の両表面に表層が配置された三層の積層構造を有するボード材の製造方法であって、
    長さが50〜150mm、厚さが0.3〜1mmの植物由来のスライス片である多数のスライス片材料を準備する工程と、
    前記スライス片材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散してから板状に熱圧成形することで前記中心層を得る工程と、
    植物由来の繊維質材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散してから板状に熱圧成形することで前記表層を得る工程と、
    前記中心層の両表面に前記表層を重ね合わせて相互に接合することでボード材を得る工程と、を有することを特徴とするボード材の製造方法。
  4. 中心層の両表面に表層が配置された三層の積層構造を有するボード材の製造方法であって、
    長さが50〜150mm、厚さが0.3〜1mmの植物由来のスライス片である多数のスライス片材料を準備する工程と、
    前記スライス片材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散することで前記中心層を得る工程と、
    植物由来の繊維質材料中に熱可塑性合成樹脂を主成分とするバインダを分散することで前記表層を得る工程と、
    前記中心層の両表面に前記表層を重ね合わせて積層体を構成し、その積層体を板状に熱圧成形することでボード材を得る工程と、を有することを特徴とするボード材の製造方法。
  5. 請求項3または請求項4のいずれかに記載のボード材の製造方法であって、
    ケナフコアを茎方向に沿って略平行にスライスして得られたスライス片材料を準備する工程と、
    ケナフ靭皮部を加工して得られた繊維質材料を準備する工程と、を有することを特徴とするボード材の製造方法。
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