JP3584956B2 - 車両用スペアタイヤホルダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
車両用のタイヤを保持する車両用スペアタイヤホルダ、特に、車両のボディ−外側にタイヤを保持する車両用スペアタイヤホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用スペアタイヤを保持する車両用スペアタイヤホルダとして、図7に示すように、レクリエ−ショナルビ−クル車(RV車)の車両本体後部にスペアタイヤを取付けたものが一般的であり、車両本体後部ドアBDに形成されたスペアタイヤ保持部Hに取付ネジ10が固着してあり、この取付ネジ10に、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aを遊嵌し、ナット止めすることにより車両本体後部ドアBDに固定し、最後に、ビニル製のタイヤカバ−14を取り付けている。
【0003】
また、図8に示すように、実開平6−78174号公報等に開示されている車両用スペアタイヤホルダとして、開口を後方に向けて、車両本体後部ドアBDに固定部16を介して固定された、半割円筒状の前部ホルダ3と、該前部ホルダ3の開口を覆う、前記前部ホルダ3と概略同一形状の後部ホルダ1と、前部ホルダ3と後部ホルダ1の接合面の下端部に設けられ、後部ホルダ1を上下方向に回動可能に支持するヒンジ5から構成されるものもあり、スペアタイヤを取付ける場合、後部ホルダ1を下方に回動させ、その上端部を接地させ、後部ホルダ1に設けた固定ネジ15に、スペアタイヤのホイ−ルに穿設されたハブボルト孔とを位置合わせして、スペアタイヤを後部ホルダ1内に収納した後に、該スペアタイヤのハブボルト孔から突出した固定ネジ15にナットを螺合してスペアタイヤを固定し、スペアタイヤTを固定した後、ヒンジ5を介して後部ホルダ1を上方に回動させ、前部ホルダ3と後部ホルダ1との周縁が接するまで持ち上げ、その後、両カバ−の上端部に対向して径方向に向けて設けられたロック突片11 、31 を接合させて、該ロック突片11 、31 にボルトとナットを螺合し、後部ホルダ1を前部ホルダ3に保持している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図7に示す場合のように、車両本体後部ドアBDに形成されたスペアタイヤ保持部HにスペアタイヤTを保持させるには、普通自動車のスペアタイヤに比べて重いレクリエ−ショナルビ−クル車のスペアタイヤTを該スペアタイヤ保持部Hに固着された取付ネジ10まで持ち上げると同時に、その状態を保持しながら、該取付ネジ10に、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aを遊嵌し、ナット止めしなければならなず、かなり重労働であり、特に、女性ドライバ−にあっては体力的にも困難な作業であった。
【0005】
一方、図8に示すような従来例においては、スペアタイヤを車両用スペアタイヤホルダに取付ける場合、車両用スペアタイヤホルダの後部ホルダ1をヒンジ5を介して下方に回動し、その上端部を接地させてから、後部ホルダ1に備え付けられた固定ネジ15に、スペアタイヤのホイ−ルに穿設されたハブボルト孔を位置合わせさせているが、近年のバンパの大型化の傾向により大型のバンパBに交換すると、バンパBが車両本体後部ドアBDから大きく突き出ることとなり、後部ホルダ1を下方に回動させる妨げとなり、その上端部を接地させることはもちろんのこと、後部ホルダ1を回動することも困難となる。
これを解決するため、ヒンジ5をバンパBより後方にずらす等の改良が必要となるが、ヒンジ5を後方にずらすと、スペアタイヤは後部ホルダ1に固定されているので、走行時に後部ホルダ1に繰返しモ−メント荷重がかかるという新たな問題が生ずることとなる。
本発明は、上記従来の問題を解決することを課題としてなされたもので、その目的とするところは、軽労働でスペアタイヤを車両本体後部ドアに直接保持可能であり、かつ、バンパの位置に関係なく後部ホルダが自由に回動可能で、重量増加の原因となる強度部材や大型部材を極力控えた車両用スペアタイヤホルダを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車両本体側のスペアタイヤ保持部に固設された前部ホルダと、該前部ホルダに、ヒンジを介して回動自在に支持された後部ホルダとから構成された車両用スペアタイヤホルダにおいて、前記ヒンジの一方の部材をスライダを介して前記前部ホルダに連結すると共に、前記ヒンジの他方の部材を前記後部ホルダに固着し、さらに、前記スライダを左右一対の筒体と棒体から構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用スペアタイヤホルダにおいて、前記後部ホルダ本体の一部に車両本体側部に設けられたスペアタイヤ保持部に対応させて作業孔を穿設し、該作業孔を介して前記スペアタイヤを車両本体側の前記スペアタイヤ保持部に直接保持できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
図3、4に示すように、まず、筒体4a1 ,4b1 と棒体4a2 ,4b2 で構成されたスライダ4a、4bを介して、ヒンジ5を後方Rに摺動させることにより、後部ホルダ1をバンパBに接触することなく下方Dへ自由に回動できることとなり、後部ホルダ1上端部を接地させてスペアタイヤTを後部ホルダ1に収納させる。
【0009】
次に、スペアタイヤTを後部ホルダ1内に収納した後に、ヒンジ5により後部ホルダ1を上方Uに回動させ、前記スライダ4a、4bを介して、後部ホルダ1を前部ホルダ3に接するまで前方Fに摺動させる。すると、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aが車両本体後部ドアBDのスペアタイヤ保持部Hに配設された取付ネジ10に遊嵌される。
そして、後部ホルダ1の一部に穿設した作業孔1aからスペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aから突出した取付ネジ10にナット12を螺合することにより、スペアタイヤTを車両本体後部ドアBDに直接保持させる。
つまり、スペアタイヤTが車両本体後部ドアBDに形成されたスペアタイヤ保持部Hに直接支持されるので、車両走行時の繰返しモ−メント荷重が車両用スペアタイヤホルダにかかることはない。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。また、本実施の形態において従来例と同一部材は同一符号を使用する。
本実施例における車両用スペアタイヤホルダは、図1及び図2に示すように、開口を後方に向けて、車両本体後部ドアBDに形成されたスペアタイヤ保持部Hに取付けられた半割円筒形状の前部ホルダ3と、該前部ホルダ3の開口を覆う略同一形状の後部ホルダ1と、前部ホルダ3と後部ホルダ1の接合面の下端部に設けられ、後部ホルダ1を上下方向に回動可能に支持するヒンジ5と、前部ホルダ3に後部ホルダ1をロックする部材であり、各々のホルダに設けられたロック突片11 、31 と、前記ヒンジ5を、車両前後方向に摺動させる手段であるスライダ4a,4bにより概略構成されている。
【0011】
さらに詳細は、前部ホルダ3は合成樹脂製であり、車両本体後部ドアBDのリヤウインドガラスの下方部分に配設してあるスペアタイヤ保持部Hに合わせて内側に隆起せしめた凹形状3aをなしており、ボルト9によりスペアタイヤ保持部Hに取付けられている。
【0012】
また、後部ホルダ1も合成樹脂製であり、該後部ホルダ1と前記前部ホルダ3とが対向して形成されるスペアタイヤTの収納スペ−ス13にスペアタイヤTが収納された場合に、該スペアタイヤTを車両本体に直接保持する作業を行うため、つまり、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aから車両本体後部ドアBDに配設されたスペアタイヤ保持部Hの取付ネジ10を突出させてナット12で螺合するため、該後部ホルダ1に作業孔1aが穿設されている。
【0013】
さらに、前部ホルダ3と後部ホルダ1の接合面における上端部には、それぞれ対向して径方向外方に向けて、取付孔を有するロック突片11 、31 が設けられており、前部ホルダ3と後部ホルダ1の周縁を接合させた時、前記ロック突片11 、31 を接合させて、前記取付孔にボルトとナットを螺合して後部ホルダ1を前部ホルダ3に接した状態に保持するようになっている。
【0014】
また、後部ホルダ1の作業孔1aには、一般走行時には雨滴やゴミがホルダ内に侵入しないように作業孔1aと略同一形状である防滴効果を備えた合成樹脂製の蓋体2が装着されており、該蓋体2には、図6に示すように作業孔1aに蓋体2を装着する複数の爪21 と該蓋体2を装着する時に位置決めを行う突起22 と、スペアタイヤTを後部ホルダ1に乗せる際の位置決め手段であるマ−ク23 とが付設されている。
ここで、爪21 は、作業孔1aの周面に合う位置に付設され、蓋体2が作業孔1aに装着された時に作業孔1aの周面に密着し、走行中に発生する振動に対し、後部ホルダ1より脱落することのない形状をなしている。
また、位置決めを行う突起22 は、作業孔1aの直径方向外向きに穿設された位置決め切欠1bに合わさるように、蓋体2に付設され、作業孔1aに装着する際に使用される。
【0015】
さらに、蓋体2の爪21 が付設された面には、スペアタイヤTを後部ホルダ1に乗せる際の位置決め手段であるマ−ク23 が付設されており、後部ホルダ1を接地させた状態で、スペアタイヤTを収納する際に、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aから前記マ−ク23 が見えるような位置で収納させることで、スペアタイヤTを車両本体に直接保持する作業を行う時に、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aから車両本体後部ドアBDに配設されたスペアタイヤ保持部Hの取付ネジ10を突出させることが可能となる。
【0016】
また、前部ホルダ3の下端部には、図3及び図5に示すように,スライダ取付部材7が前部ホルダ3を挟むようにボルト8で車両本体後部ドアBDに螺合されている。 スライダ取付部材7にはスライダ4a,4bの一端である筒体4a1,4b1 が取付けられており、スライダ4a、4bの他端である、棒体4a2 ,4b2 はヒンジ5の一方の部材52 に取付けられており、ヒンジ5の他方の部材53 は、後部ホルダ1にボルト6により螺合されている。これにより、後部ホルダ1を後方Rに引出すことにより、スライダ4a、4bが伸び、バンパBに接触することなく後部ホルダ1が下方Dへ回動可能となり、また、後部ホルダ1を車両本体側Fに押すことにより、スライダ4a、4bが短縮し、後部ホルダ1と前部ホルダ3の周縁の接触が可能となる。
【0017】
次に、対をなしたスライダ4a、4bは図4に詳細に示すように、筒体4a1と棒体4a2 の挿嵌により、摺動体が構成されたスライダ4aと、同様に、筒体4b1 と棒体4b2 の挿嵌により、摺動体が構成されたスライダ4bから構成されている。
また、該スライダ4a、4bは、図3及び図4に示すR方向に摺動させた場合には、棒体4a2 、4b2 に一定のモ−メント荷重を受ける構造となるため、強度的に十分な材質が使用され、また、円滑に摺動させるために潤滑手段を設けている。
【0018】
ここで、スライダ4a、4b、の摺動長さは、後部ホルダ1を後方Rに引出し、ヒンジ5により後部ホルダ1を下方Dに回動させる場合に、バンパBに接触することのない長さがあれば足りる。また、バンパBを大型のものに変更した場合の余裕を残せる長さにすることも可能である。
なお、スライダ4a、4b、には、スライダ4a、4b、を摺動させ、最後まで伸びきった時に、筒体4a1 ,4b1 から棒体4a2 ,4b2 が抜けないように、ストッパが設けられている。
【0019】
また、ヒンジ5は、図3及び図4に詳細に示すように、一方の部材52 と、回転軸である軸芯51 を挟みこように回転可能に設けられた、他方部材53 で構成されており、本実施の形態では、一方の部材52 が、スライダ4a、4b、の棒対4a2 ,4b2 に接合され、他方の部材53 は、後部ホルダ1にボルト6により固着されている。これにより後部ホルダ1が、上下方向に回動可能となっている。
【0020】
次に、車両用スペアタイヤホルダを開け、スペアタイヤTを収納する場合の動作を順を追って説明する。
まず、図1に示すように、スライダ4a、4b、により後部ホルダ1を後方Rに引出し、ヒンジ5の軸芯51 により後部ホルダ1を下方Dに回動し、後部ホルダ1の上端部を地面に接地さる。次に、スペアタイヤTを後部ホルダ1内に収納するが、後部ホルダ1に装着された蓋体2に付設されたマ−ク23 に、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aを合わせるように収納する。
この後、ヒンジ5の軸芯51 により後部ホルダ1を上方Uに回動さた後、スライダ4a、4b、を介して、後部ホルダ1を前方Fに前部ホルダ3と周縁が接するまで摺動させる。すると、図2に示すように、スペアタイヤTのホイ−ル11に穿設されたハブボルト孔11aと車両本体後部ドアBDに配設されたスペアタイヤ保持部Hの取付ネジ10が確実に遊嵌され、後部ホルダ1に穿設された作業孔1aに装着された蓋体2を該作業孔1aより取り外し、スペアタイヤTのホイ−ル11のハブボルト孔11aから突出した取付ネジ10にナット12を螺合することにより、スペアタイヤTは車両本体後部ドアBDに保持されることとなる。
【0021】
ここで、スペアタイヤTを蓋体2に付設されたマ−ク23 に合わせて収納した後すぐに、作業孔1aから蓋体2を取り外し、その後の作業を進めることも可能である。
最後に、後部ホルダ1の作業孔1aを、蓋体2で覆うことにより、一般走行時には、雨滴やゴミが車両用スペアタイヤホルダ内に侵入しないようにする。
また、車両用スペアタイヤホルダからスペアタイヤTを取出す場合には、上記と逆の手順となる。
【0022】
【発明の効果】
車両本体側のスペアタイヤ保持部に固設された前部ホルダと、該前部ホルダに、ヒンジを介して回動自在に支持された後部ホルダとから構成された車両用スペアタイヤホルダにおいて、前記ヒンジの一方の部材をスライダを介して前記前部ホルダに連結すると共に、前記ヒンジの他方の部材を前記後部ホルダに固着したことにより、前記ヒンジをスライダを介して後方に摺動させることにより、後部ホルダがバンパの位置によることなく自由に回動可能となり、軽労働でスペアタイヤの脱着ができることとなる。
【0023】
また、後部ホルダ本体の一部に車両本体側部に設けられたスペアタイヤに対応させて作業孔を穿設して、該作業孔を介してスペアタイヤを車両本体側のスペアタイヤ保持部に直接保持できるようにしたので、収納時のスペアタイヤの位置決めが簡単であると共に、繰り返しモ−メント荷重をホルダ本体で受けることが無くなるため、重量増加の原因となる強度部材を控えつつ、一定強度を保持できることとなる。
さらに、前記スライダを、左右一対の筒体と棒体から構成したことにより、スライダを後方に摺動させた場合に加わるモ−メント荷重が各スライダに分担されることによりスライダ各部材の小型化が可能となり、ひいてはスペアタイヤホルダ自体の小型化が可能となり、小スペ−スで取付け可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車両用スペアタイヤホルダの側面図を示す。
【図2】本発明にかかる車両用スペアタイヤホルダのスペアタイヤ収納時の側面図を示す。
【図3】本発明にかかるスライダ取付金具の側面詳細図を示す。
【図4】本発明にかかるスライダの詳細図を示す。
【図5】本発明にかかるスライダ取付金具の正面図を示す。
【図6】図1のZ−Z矢視図を示す。
【図7】従来例にかかる車両用スペアタイヤホルダの斜視図を示す。
【図8】従来例にかかる車両用スペアタイヤホルダの斜視図を示す。
【符号の説明】
1 後部ホルダ
2 蓋体
3 前部ホルダ
5 ヒンジ
4a、4b スライダ
1a 作業孔
H スペアタイヤ保持部
Claims (2)
- 車両本体側のスペアタイヤ保持部に固設された前部ホルダと、該前部ホルダに、ヒンジを介して回動自在に支持された後部ホルダとから構成された車両用スペアタイヤホルダにおいて、前記ヒンジの一方の部材をスライダを介して前記前部ホルダに連結すると共に、前記ヒンジの他方の部材を前記後部ホルダに固着し、さらに、前記スライダを左右一対の筒体と棒体から構成したことを特徴とする車両用スペアタイヤホルダ。
- 前記後部ホルダ本体の一部に車両本体側部に設けられたスペアタイヤ保持部に対応させて作業孔を穿設し、該作業孔を介して前記スペアタイヤを車両本体側の前記スペアタイヤ保持部に直接保持できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用スペアタイヤホルダ。
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- 1997-06-13 JP JP15658497A patent/JP3584956B2/ja not_active Expired - Fee Related
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