JP3584818B2 - リクライニング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リクライニングシートなどに用いられるリクライニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図11に示すように、特開平3−32961号公報に記載されたようなリクライニング装置が提案されている。このリクライニング装置は、ベースに固定されているベース側ブラケットと、このブラケットに揺動自在に支持されているナットと、シート本体に固定されているシート本体側ブラケットと、このブラケットに揺動自在に支持されている支持部材と、ナットに螺合されているともに、支持部材に相対回動自在に支持され、先端にノブを備えている螺杆とから構成されている。
【0003】
また、ナットは、螺杆が螺合するリング状のナット本体と、このナット本体の一端部に外方へ一体に突設され、略中央にベース側ブラケットの軸孔と連通して揺動用軸が貫通する軸孔を備えた固定片と、から形成されている。
【0004】
このようなリクライニング装置では、ノブを握って螺杆を回動させることにより、シート本体はベースに対して連続的に相対移動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のリクライニング装置では、螺杆が螺合するナットのネジ孔と揺動軸が貫通するナットの軸孔とがねじれの位置関係、すなわち離れた状態で交差しているため、螺杆とナットとの間にこじれが生じ、螺杆の回動に余分な力が必要になり、シート本体のリクライニングがスムーズにできないという問題がある。さらに、シート本体を移動させるのに手動でノブ回転しなければならず、この作業が面倒であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、手動によらず電動によってスムーズにリクライニングできるとともに、電動によるオーバーランを防止できるリクライニング装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、支持フレームに可動フレームが揺動自在に支持されたリクライニングシートのリクライニング装置であって、ネジ孔を有するナット本体にネジ孔の軸芯と交差する方向に軸芯を有する軸部を設けてナット部材を形成し、このナット部材を可動フレームに設けたブラケットに軸部を介して揺動自在に支持させ、支持フレームに設けたブラケットに揺動自在に保持部材を支持させ、長尺のネジ部材をナット部材に螺合するとともに、保持部材に軸回動自在に保持させてなり、保持部材がネジ部材及びナット部材を内設する箱状部と、このネジ部材を回動駆動する駆動部とを有し、この駆動部の駆動をオンオフ制御するスイッチ部材をナット部材に設け、このスイッチ部材が寝た状態でオン、立脚状態でオフする可動片を有し、この箱状部の外郭部内面に可動片が寝た状態で当接するようスイッチ部材を配置するとともに、前記外郭部の前後端部に可動片を立脚状態に貫通させる切り欠き開口部を設けてなることを特徴として構成している。
【0008】
このようなリクライニング装置では、ネジ部材を回動させることにより、ナット部材がネジ部材長手方向に沿って移動し、可動フレームが揺動して可動フレームの傾斜角度を調節している。ネジ孔の軸芯と軸部の軸芯とが交差しているため、ネジ部材とナット部材との間のこじれを低減して、スムーズにネジ部材を回動できる。また、スイッチ部材の可動片が箱状部の外郭部内面に押圧されて寝た状態に保持されることにより、スイッチ部材がオンとなり駆動部の回転が行われる。そして、この駆動部の回転によりナット部材がネジ部材上を前後方向に移動し、外郭部の前後端部のどちらかの切り欠き開口部下方に到達したとき、スイッチ部材の可動片が切り欠き開口部を貫通して立脚状態となってオフになる。このとき、駆動部の駆動を停止し、ネジ部材の回転が停止してナット部材の移動が停止する。
【0009】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、切り欠き開口部は、箱状部の外郭部の前後端部の所定箇所を内側を残して略コ字状に3方に切り欠き、この切り欠き部を斜め上方に切り起して形成される停止片の残りとして形成されていることを特徴として構成している。
【0010】
このようなリクライニング装置では、可動片が停止片下面に沿って上方に摺動して立脚状態になる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態のリクライニング装置を図1乃至図10に基づいて以下に説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態のリクライニング装置を示す縦断面図である。また、図2は、同上のリクライニング装置の要部を示す斜視図である。また、図3は、同上のリクライニング装置の要部を示す横断面図である。また、図4は、同上のリクライニング装置の動作を説明する要部の縦断面図である。
【0037】
このリクライニング装置は、支持フレーム1に可動フレーム2が揺動自在に支持されたリクライニングシート3に用いられるものであり、ネジ孔4aを有するナット本体4bにネジ孔4aの軸芯12と交差する方向に軸芯13を有する軸部4cを設けてナット部材4を形成し、このナット部材4を可動フレーム2に設けたブラケット2aに軸部4cを介して揺動自在に支持させ、支持フレーム1に設けたブラケット1aに揺動自在に保持部材5を支持させ、長尺のネジ部材6をナット部材4に螺合するとともに、保持部材5に回動自在に保持させている。また、保持部材5をネジ孔4aの軸芯12と直交する方向に軸芯を有する回動軸14に対して回動可能に支持フレーム1のブラケット1aに軸着している。また、リング状のナット本体4bの外側面の両端部に棒状の軸部4cを突設してナット部材4が形成されている。また、保持部材5を支持フレーム1のブラケット1aに枢支された基部と、その外殻部に逃がし溝孔5eを備えた箱状部5cとから形成し、箱状部5c内部にネジ部材6およびナット部材4を内設するとともに、逃がし溝孔5eに可動フレーム2を走行自在に貫通させている。また、保持部材5の軸芯がネジ孔4aの螺合軸芯12と交差するように形成されている。また、ネジ部材6を回動駆動する駆動部7が保持部材5に設けられている。また、ナット部材4と、保持部材5とのどちらか一方に駆動部7の駆動をオンオフ制御するスイッチ部材17,18を設け、他方にスイッチ部材17,18に接触してスイッチ部材17,18をオンオフ切り替えする停止片10を設けている。また、駆動部7とネジ部材6を減速機構を介して連結している。
【0038】
支持フレーム1は、左右の前後方向に併設され横桟によって連結される棒状の脚部1dと、両脚部1d,1dの後部にそれぞれ立設された棒状の立脚部1cと、両立脚部1c,1c間にその後端部が枢支された角枠状の支持部1bとを有している。支持部1bは内部にバネ材を取り付けてバネ材の上にリクライニングシート3の座部となるクッション材を積載するものである。可動フレーム2は、縦材、横材を用いて縦長の外形略長方形の枠材2bを設け、縦材の中央やや下方位置が支持フレーム1の立脚部1c上部に枢支されて前後方向に揺動自在とされている。可動フレーム2の枢支位置よりも上方部分が背もたれシートを取り付けてリクライニングシート3の背部を構成するものである。また、可動フレーム2の下側の横材略中央に2枚のブラケット2a,2aが並べて垂設されている。この両ブラケット2a,2aの対向位置にナット部材4の軸部4c,4cが貫通する丸孔が設けられている。また、支持フレーム1の支持部1b前部の略中央に2枚のブラケット1a,1aが並べて垂設されている。この両ブラケット1a,1aの対向位置に保持部材5を枢支するための丸孔が設けられている。
【0039】
ナット部材4は、略立方体のナット本体4bの前後方向に内周にネジ部を有するネジ孔4aが設けられている。また、ナット本体4bの左右面に軸芯が一致する略円柱状の軸部4cが突設されている。この軸部4cの外径は可動フレーム2のブラケット2aの丸孔の内径よりもやや大きく形成され、軸部4cに丸孔を貫通させた状態でブラケット2aが軸部4cを中心に回動自在とされている。
【0040】
ネジ部材6は、長尺棒状に形成され、後部にナット部材4のネジ孔4aに螺合して貫通するネジ脚部6aと、前部に円板状のウォームホイール8およびウォームホイール8前方にベアリング9を取り付けた頭部6bとから形成されている。ウォームホイール8は、中央の軸孔に頭部6b先端部を突出させて貫通した位置でネジ部材6に固定されている。
【0041】
保持部材5は、支持フレーム1のブラケット1aに枢支された基部と、その外殻部に逃がし溝孔5eを備えた箱状部5cとから形成し、箱状部5c内部にネジ部材6およびナット部材4を内設するとともに、逃がし溝孔5eに可動フレーム2を走行自在に貫通させている。基部は、ウォームホイール8、ベアリング9およびネジ部材頭部6bを回転可能に収納する収納孔5dを備えた収納部5bと、この収納部5bの前端中央に突設され、前端に支持フレーム1のブラケット1aに枢着するための丸孔を設けた三角板状の枢着部5aとから形成されている。収納孔5dは、前方よりベアリング9、ウォームホイール8およびネジ部材頭部6bをそれぞれ収納するベアリング収納部、ウォームホイール収納部およびネジ部材頭部収納部がそれぞれ連通して形成されている。ベアリング収納部は、ベアリング9外周部を固定保持し、ウォームホイール収納部は、ウォームホイール8よりも大きく、ネジ部材頭部収納部は、収納部5b後方に開口しネジ部材6よりも大きく形成されている。また、ウォームホイール収納部は、収納部5bの左右一方の壁面に開口を有している。この開口は、後述する駆動部7の回転軸を貫通させる軸貫通孔として用いられ、回転軸の軸径よりもやや大きく形成されている。
【0042】
また、箱状部5cは、外形略直方体に形成され、前端部が開口し、この開口端部が収納孔5d開口に連通した状態で収納部5bに固定されている。箱状部5cの上面部の左右には、前後方向略全長に亘って逃がし溝孔5eが併設されている。両逃がし溝孔5e,5eは、可動フレーム2の両ブラケット2a,2a間の間隔と略同寸の間隔を隔てて形成され、溝幅は、ブラケット2a,2aの板厚よりもやや大きく形成されている。また、上面部の幅方向略中央の前後端部にそれぞれ停止片10,10が形成されている。両停止片10,10は、それぞれ上面部の所定部分の内側を残して略コ字状に3方に切り欠き、この切り欠き部を斜め上方略45度に切り起こして形成されている。
【0043】
駆動部7は、モーターが好ましく用いられ、回転軸が軸貫通孔を貫通した状態で収納部5b側面に固定されている。回転軸はウォーム軸7aとして用いられ、ウォーム軸7aのネジ山部がウォームホイール8に螺合している。
【0044】
また、ナット部材4上部の前後に駆動部7の駆動をオンオフ制御するスイッチ部材17,18が併設されている。この両スイッチ部材17,18は上部に上下傾動する可動片17a,18aを備えており、両スイッチ部材17,18がともに寝た状態のときに、駆動部7がオンし、どちらか一方が立脚状態にあるときに、駆動部7がオフするように、駆動部7および両スイッチ部材17,18に電気接続された制御部29が制御している。
【0045】
このようなリクライニング装置では、ベアリング収納部にベアリング9外周部を収納固定して、ウォームホイール8およびネジ部材6が各収納部5b内で回転可能に収納されている。また、ネジ部材6のネジ脚部6aが収納孔5d開口より箱状部5c内空間に突出し、箱状部5c内空間の略中央を前後方向に貫通配置されている。ネジ脚部6aにはナット部材4ネジ孔4aが螺合し、ナット部材4の両軸部4c,4cが可動フレーム2の両ブラケット2a,2aの丸孔に貫通している。この両ブラケット2a,2aは逃がし溝孔5e,5eにそれぞれ貫通し、ナット部材4がネジ脚部6a上を前後に走行したときに、両ブラケット2a,2aが逃がし溝孔5e,5eを前後に走行する。また、ナット部材4が、両停止片10,10間にあるときは、両スイッチ部材17,18の可動片17a,18aは箱状部5cの上面部内面に当接して寝た状態に保持され、ナット部材4が、どちらか一方の停止片10下方に位置するときに、外側のスイッチ部材の可動片が停止片10に沿って上方に立ち上がり立脚状態になる。
【0046】
このようなリクライニング装置では、リクライニングをしたいとき、すなわち可動フレーム2の傾きを変えたいときは、駆動部7を動作させてウォーム軸7aを回転させることにより、ウォームホイール8、ネジ部材6が回転し、ナット部材4がネジ部材6上を走行することによって行われる。このとき、可動フレーム2は、支持フレーム1との枢支軸下部がナット部材4の移動に伴って移動して回転し、枢支軸上部の傾きが変動する。
【0047】
また、ナット部材4が、箱状部5cの両停止片10、10間に位置するときは、スイッチ部材17、18の可動片17a、18aがともに箱状部5c上面部の下面に当接して押圧され寝た状態に保持され、両スイッチ部材17,18がともにオンとなり駆動部7の回転が行われる。そして、ナット部材4が、前後どちらかの停止片10下方に到達したとき、ナット部材4進行方向側のスイッチ部材の可動片先端が停止片10下面に沿って上方に習動し、可動片が立脚状態に傾きオフになる。このとき、制御部が駆動部7の駆動を停止させ、ネジ部材6の回転が停止してナット部材4の移動が停止する。
【0048】
このようなリクライニング装置では、ネジ部材6を回動させることにより、ナット部材4がネジ部材6長手方向に沿って移動し、可動フレーム2が揺動して可動フレーム2の傾斜角度を調節している。ネジ孔4aの軸芯12と軸部4cの軸芯13とが交差しているため、ネジ部材6とナット部材4との間のこじれを低減して、スムーズにネジ部材6を回動できる。また、可動フレーム2の傾きの変動に伴ってナット部材4およびネジ部材6に可動フレーム2揺動方向の力が加わったときに、支持フレーム1のブラケット1aに軸着された保持部材5が回動軸14の回りに回動する。また、リング状のナット本体4bの外側面の両端部に棒状の軸部4cを突設してナット部材4が形成されているため、ネジ孔4aの軸芯12と軸部4cの軸芯13とを交差させることができる。また、箱状部5c内部にネジ部材6およびナット部材4を内設されているため、ネジ部材6およびナット部材4を外部にさらすことなく保護している。また、箱状部5c外殻部に設けた逃がし溝孔5eに可動フレーム2を走行自在に貫通させているため、保持部材5内部のナット部材4に可動フレーム2を結合した状態で、ナット部材4を軸方向に移動できる。また、保持部材5の軸芯がネジ孔4aの螺合軸芯12と交差するように形成されているため、保持部材5ブラケット1aとの間のこじれが低減でき、保持部材5の揺動やネジ部材6の回動をスムーズにできる。また、ネジ部材6を回動駆動する駆動部7が保持部材5に設けられているため、駆動部7を動作させることによりネジ部材6を回動できる。また、スイッチ部材17、18をオンさせ駆動部7によりネジ部材6を回動させてナット部材4がネジ部材6上を長手方向に移動したときに、停止片10がスイッチ部材に接触してオフさせるため、ナット部材4のオーバーランを防止できる。また、駆動部7とネジ部材6を減速機構を介して連結しているため、、小出力の小型モーターなどを使用しても、ネジ部材6を回動するトルクが大きくなり容易にネジ部材6を回動できる。
【0049】
また、図5は、本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置に用いるナット部材4を示す分解斜視図である。
【0050】
このリクライニング装置は、同上のリクライニング装置と略同様に形成されている。異なる点は、ナット部材4を、ネジ孔4aを有するナット内側部20と、軸部22dを有するナット外側部とに分離形成し、ナット内側部20の外面を略球面状に形成し、ナット外側部の内面を、ナット内側部20外面に習動可能な略球面状に形成していることである。ナット内側部20は略球体状に形成され、中央にネジ孔4aが穿設されている。ナット外側部は、ナット内側部20を上下から挟み込む上側部21と下側部22とから形成されている。上側部21は略立方体状に形成され、下面略中央にナット内側部20の外形に合わせた凹面部21aが形成されている。下側部22は、上側部21と同形状で上面略中央に凹面部22aを備えた下側部本体22cと、この下側部本体22c部の左右側面に一体に同軸に突設された円柱状の軸部22dとから形成されている。両軸部22d、22dの軸芯は凹面部22aを外面とする球体の中心位置と交差するように配置されている。上側部21と下側部22とは、各凹面部21a,22aを対向させて対向面を突き合わせた状態で固定手段(図示せず)により一体に固定されるようにしてある。また、上側部21と下側部22とを固定したときにできる両凹面部21a,22aで囲まれた空間は、ナット内側部20の外形よりもわずかに大きく形成されている。
【0051】
このようなナット部材4では、ナット内側部20をナット外側部の上側部21と下側部22とで上下から挟み込み、上側部21と下側部22とを固定手段で固定することにより、ナット部材4が組み立てられる。このとき、ナット内側部20外面とナット外側部内面との間にはわずかに隙間が開き、ナット内側部20外面に沿ってナット外側部内面が習動できる。このナット内側部20外面とナット外側部内面との間にグリスなどの潤滑材を設けておくと、この習動がよりスムーズになる。
【0052】
このようなリクライニング装置では、可動フレーム2の支持よってネジ部材6に螺合軸芯方向に対して交差する方向に引っ張り力が発生したときに、ナット外側部がナット内側部20外面に習動してバランスするため、ナット部材4とネジ部材6との間のこじれをさらに低減できる。
【0053】
また、図6は、本発明の一参考例のリクライニング装置を示し、(a)は側面図、(b)は要部の断面図、(c)は(b)図中のA−A断面図である。
【0054】
このリクライニング装置は、同上のリクライニング装置と略同様に形成されている。異なる点は、ネジ部材6に手動操作で回動可能なハンドル部25を設けていることである。保持部材26は、ネジ部材頭部6bに嵌着したリング状のベアリング材などで構成されており、保持部材26外面に突設した軸が支持フレーム1のブラケット1a,1aに枢支されている。ネジ部材頭部6bの先端部には円周に沿って凹溝6cが形成されている。ハンドル部25は、ネジ部材頭部6bが挿入される略丸孔状の取り付け孔25cが後部に開設された本体部25bと、本体部25bの前部に取り付け孔25c中心線と離れた位置に設けた棒状の操作片25aとを備えている。取り付け孔25cは、略扇形状に形成され、ネジ部材頭部6bは、取り付け孔25cにちょうど嵌まりあう形状の外形略扇形状に形成されている。また、取り付け孔25cの内側面に横孔25dが穿設され、横孔25d内にコイルバネなどのバネ材27が内設されている。バネ材27は奥側が横孔25d奥端に固定され、バネ材開口側に略球体状の係止片25eが固定されている。係止片25eは凹溝6c内幅よりもやや小さい外径を有し、横孔25dの開口部より先端部が突出するよう形成されている。
【0055】
このようなリクライニング装置では、ネジ部材頭部6bを取り付け孔25cに挿入すると、係止片25eがネジ部材頭部6bに押されてバネ材27のバネ力に抗して横孔25d内に後退し、係止片25eの位置に凹溝6cが位置するまでネジ部材頭部6bが取り付け孔25c進入したときに、横孔25d内に後退していた係止片25eが凹溝6c内に突出して嵌合することによって、取り付け孔25cにネジ部材頭部6bを収納保持してハンドル部25とネジ部材6とを固定している。そして、ハンドル部25の操作片25aを手で持って回転させることによって、ネジ部材6が回転し、可動フレーム2の傾きを変動できる。取り付け孔25cおよびネジ部材頭部6bが略扇形状に形成されているため、ハンドル部25を回転させたときに、取り付け孔25c内でネジ部材頭部6bが回転方向に習動することなく、スムーズに回転する。また、リクライニング角度、すなわち可動フレーム2の傾きが調整できて変更する必要がないときなど、不要なハンドル部25を取り外すことができる。この取り外し作業は、ハンドル部25を強く引くことにより、バネ材27のバネ力に抗してネジ部材頭部6bが係止片25eを凹溝6cから横孔25d内に押しやり、簡単に引き抜くことができる。
【0056】
また、図7は、本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部の構成を示すブロック図である。
【0057】
このリクライニング装置は、同上のリクライニング装置と略同様に形成されている。異なる点は、可動フレーム2の角度位置を検出する角度検出部30と、所定の設定角度を記憶する記憶部32と、記憶部32から設定角度を呼び出し、角度検出部30で検出された可動フレーム2の角度を設定角度で停止保持するよう駆動部7を制御する制御部29と、を備えていることである。
【0058】
角度検出部30は、例えばネジ部材6の回転数を検出するエンコーダーなどから形成される。設定角度は記憶部32に操作部31を介して直接角度値を入力して設定できるようにしてあってもよいし、角度検出部30で検出された検出角度を記憶部32に記憶させるようにしてあってもよい。制御部29は、角度検出部30で検出された可動フレーム2の角度と設定角度とを比較し、両者が一致したときに駆動部7に停止信号を出力するようにしてある。
【0059】
このようなリクライニング装置では、角度検出部30で検出された可動フレーム2の角度が設定角度で停止保持するため、可動フレーム2を所望の角度、すなわち好みのリクライニング角度を簡単に再現することができる。
【0060】
また、図8は、本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部を示す側面図である。
【0061】
このリクライニング装置は、同上のリクライニング装置と略同様に形成されている。異なる点は、支持フレーム1と可動フレーム2とを弾性を有する連結材34で連結していることである。連結材34は、例えばガススプリングなどから形成され、支持フレーム1の脚部1d後端部上部と可動フレーム2の下端部後部との間に連結されている。 このようなリクライニング装置では、支持フレーム1と可動フレーム2とを弾性を有する連結材34で連結しているため、可動フレーム2を倒す方向にネジ部材6を回動させたときに、可動フレーム2の自重によってナット部材4の軸部4c,22dにかかる力を低減し、ナット部材4にかかる負担を低減している。
【0062】
また、図9は、本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部を示す側面図であり、(a)は可動フレーム2を立てた状態、(b)は可動フレーム2を寝かせた状態を示す。
【0063】
このリクライニング装置は、同上のリクライニング装置と略同様に形成されている。異なる点は、ネジ部材6におけるナット部材4前部および後部をそれぞれ覆う伸縮式のカバー部材33を設けていることである。各カバー部材33は、じゃばら構造を有し、前側のカバー部材33aの前端部が保持部材5,26の支持部1b後端部に固定され、後端部がナット部材4前端部に固定されている。また、後側のカバー部材33bの前端部がナット部材4後端部に固定され、後端部がネジ部材6後端部に設けたリング片に当接している。
【0064】
このようなリクライニング装置では、ネジ部材6におけるナット部材4前部および後部をそれぞれ伸縮式のカバー部材33で覆っているため、ナット部材4の位置にかかわらずネジ部材6を保護できる。
【0065】
また、図10は、本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部を示す側面図であり、(a)、(b)に異なるリクライニング装置である。
【0066】
このリクライニング装置は、同上のリクライニング装置と略同様に形成されている。異なる点は、保持部材5におけるブラケット支持部とネジ部材支持部との長さを変更調節可能に形成していることである。この場合、保持部材5の枢着部5aが収納部5bと分離形成され、例えばネジ部材6などを用いて枢着部5aと収納部5bとを固定できるようにしている。枢着部5aは略三角板状に形成されており、支持フレーム1の支持部1bの前後方向長さが異なる仕様のリクライニングシート3に対応して、複数の長さの異なるものをあらかじめ作製しておく。そして、支持部1bの前後方向長さに適合する長さの枢着部5aを選択し、収納部5bに固定することにより、保持部材5を組み立てる。
【0067】
このようなリクライニング装置では、支持フレーム1が異なるリクライニングシート3に対応して、保持部材5におけるブラケット支持部とネジ部材支持部との長さを変更調節することにより、保持部材5の共有化ができる。
【0068】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、ネジ孔の軸芯と軸部の軸芯とが交差しているため、ネジ部材とナット部材との間のこじれを低減して、スムーズにネジ部材を回動できる。また、ナット部材が、箱状部の前後どちらかの切り欠き開口部下方に到達したときに、スイッチ部材の可動片が切り欠き開口部を貫通して閉状態から開状態へ移行することにより、駆動部の駆動を停止しているので、ナット部材のオーバーランを防止できる。
【0069】
また、請求項2記載の発明では、可動片が停止片下面に沿って上方に摺動して立脚状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のリクライニング装置を示す縦断面図である。
【図2】同上のリクライニング装置の要部を示す斜視図である。
【図3】同上のリクライニング装置の要部を示す横断面図である。
【図4】同上のリクライニング装置の動作を説明する要部の縦断面図である。
【図5】本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置に用いるナット部材を示す分解斜視図 である。
【図6】本発明の一参考例のリクライニング装置を示し、(a)は側面図、(b)は要部の断面図、 (c)は(b)図中のA−A断面図である。
【図7】本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部の構成を示すブロック図である 。
【図8】本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部を示す側面図である。
【図9】本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部を示す側面図であり、(a)は 可動フレームを立脚状態、(b)は可動フレームを寝かせた状態を示す。
【図10】本発明の実施形態の同上と異なるリクライニング装置の要部を示す側面図であり、(a)、 (b)に異なるリクライニング装置である。
【図11】従来のリクライニング装置を示す。
Claims (2)
- 支持フレームに可動フレームが揺動自在に支持されたリクライニングシートのリクライニング装置であって、ネジ孔を有するナット本体にネジ孔の軸芯と交差する方向に軸芯を有する軸部を設けてナット部材を形成し、このナット部材を可動フレームに設けたブラケットに軸部を介して揺動自在に支持させ、支持フレームに設けたブラケットに揺動自在に保持部材を支持させ、長尺のネジ部材をナット部材に螺合するとともに、保持部材に軸回動自在に保持させてなり、保持部材がネジ部材及びナット部材を内設する箱状部と、このネジ部材を回動駆動する駆動部とを有し、この駆動部の駆動をオンオフ制御するスイッチ部材をナット部材に設け、このスイッチ部材が寝た状態でオン、立脚状態でオフする可動片を有し、この箱状部の外郭部内面に可動片が寝た状態で当接するようスイッチ部材を配置するとともに、前記外郭部の前後端部に可動片を立脚状態に貫通させる切り欠き開口部を設けてなることを特徴とするリクライニング装置。
- 切り欠き開口部は、箱状部の外郭部の前後端部の所定箇所を内側を残して略コ字状に3方に切り欠き、この切り欠き部を斜め上方に切り起して形成される停止片の残りとして形成されていることを特徴とする請求項1記載のリクライニング装置。
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