JP3584459B2 - 地理的座標表現装置、地理的座標表現方法、地理的情報記憶媒体、地理的座標変換装置、地理的座標変換方法及び地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体 - Google Patents

地理的座標表現装置、地理的座標表現方法、地理的情報記憶媒体、地理的座標変換装置、地理的座標変換方法及び地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地理的座標表現装置、地理的座標表現方法、地理的情報記憶媒体、地理的座標変換装置、地理的座標変換方法及び地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体に関し、地理的座標の表現及び変換の改良に関し、地理的情報表示(処理)装置、地図表示(処理)装置、経路案内装置、ナビゲーション装置などに適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナビゲーション装置では、目的地又は立ち寄り地を指定するのに、住所、郵便番号又は電話番号を入力していた。このナビゲーション装置の中には、多数の各住所に応じた経度及び緯度が記憶されたり、多数の各郵便番号に応じた経度及び緯度が記憶されたり、多数の各電話番号に応じた経度及び緯度が記憶され、入力された住所、郵便番号及び電話番号に応じた経度及び緯度が読み出される。そして、読み出された経度及び緯度の周辺の地図情報が地図情報記憶手段から読み出されて表示され、この表示された地図の中に上記住所、郵便又は電話番号に対応する地点に目印が表示される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ナビゲーション装置の中では、地理的座標を特定するのに経度と緯度が用いられており、この緯度と経度で特定地点を指定して入力できたほうが、データ処理量を少なくする上では都合がよい。このため所望とする目的地又は立ち寄り地の周辺の経度及び緯度を直接入力する装置もある。
【0004】
しかしながら、ある地点を緯度と経度で特定するには、経度と緯度を少なくとも秒まで明確にしないと特定できない。1秒当たりの距離は経度で約22メートルあり、緯度で約33メートルある。むろん秒以下まで特定されてもよい。
【0005】
この経度及び緯度を度、分及び秒まで示すと、例えば愛知県のある地点については、東経137度04分34秒、北緯34度53分54秒となる。この場合、経度が7桁、緯度が6桁となり、合計13桁も必要となる。これでは桁数が多すぎて馴染みがあまり出ず、書取り間違え、読み間違え、聞き間違え、覚え間違えなどの過誤が生じやすい。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、を記憶する手段と、該地域情報及び地点情報を入力する手段と、入力された地域情報に対応する経度及び緯度の各度を、この記憶された各地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報から読み出す手段と、入力された地点情報を、上記読み出された地域に対応する経度及び緯度の度の情報により分及び秒の情報に変換され、度、分及び秒として緯度、経度を出力する手段とを備える。また、請求項2に記載された発明では、情報記憶部に、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、が記憶されており、地域情報及び地点情報を入力する手段により、地域情報及び地点情報が入力されると前記情報記憶部から、入力された地域情報に対応する経度及び緯度の各度を、各地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報から読み出す手段が読み出し、入力された地点情報を、上記読み出された地域に対応する経度及び緯度の度の情報により分及び秒の情報に変換して、度、分及び秒として緯度、経度を出力する手段に出力する。また、請求項3に記載された発明では、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒が少なくとも示される地点情報と、が記憶されており、該地域情報及び地点情報の入力処理、入力された地域情報に対応する経度及び緯度の各度を、この記憶された各地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報から読み出しさせる処理、入力された地点情報を、上記読み出された地域に対応する経度及び緯度の度の情報により分及び秒の情報に変換させ、度、分及び秒として緯度、経度を出力させる処理とをコンピュータに実行させる、地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体である、ため、桁の少ない数値で地理的座標を特定することができ、地域情報と経度及び緯度の分及び秒などとで入力された情報を、度、分及び秒などの経度及び緯度の情報に変換して、人間に都合のよい情報を装置の処理に適合するスタイルに変換でき、装置を人間にとって使い易いものにすることができる。
【0007】
また、本発明では、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示す地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報との組み合わせによって地理上の特定地点を表すようにした。これにより、桁の少ない数値で地理的座標を特定することができる。
【0008】
例えば、東京都は東西及び南北は1度以内であり、東京都内のある地点を表すのに、「東京」という地域と経度の分及び秒の4桁の数値と緯度の分及び秒の4桁の数値で表すことができる。この経度4桁緯度4桁の計8桁であれば、電話番号とほぼ同じであり、それほど過誤も生じないであろう。
【0009】
これは東京都に限られず、名古屋市、札幌市、仙台市、横浜市、京都市、大阪市、広島市、福岡市、大阪府、京都府等の行政地域でも同様である。岩手県、新潟県、長野県などの広い県は、北部と南部の2つに分けられたり、東部と西部の2つに分けられたり、北東部、北西部、南東部及び南西部の4つに分けられたりする。
【0010】
また、請求項4に記載された発明では、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、を記憶する手段と、度、分及び秒としての緯度、経度を入力する手段と、入力された度に対応する地域情報を、この記憶された経度及び緯度の度の情報に対応する地域情報から読み出す手段と、上記読み出された地域情報を、入力された分及び秒と共に出力する手段とを備える。また、請求項5に記載された発明では、情報記憶部に、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、が記憶されており、度、分及び秒としての緯度、経度を入力する手段により、度、分及び秒としての緯度、経度が入力されると、前記情報記憶部から、入力された度に対応する地域情報を、経度及び緯度の度の情報に対応する地域情報から読み出す手段が読み出し、上記読み出された地域情報を、入力された分、秒と共に出力する手段に出力する。また、請求項6に記載された発明では、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、を記憶されており、度、分及び秒としての緯度、経度の入力処理、入力された度に対応する地域情報を、この記憶された経度及び緯度の度の情報に対応する地域情報から読み出し処理、上記読み出された地域情報を、入力された分、秒と共に出力させる処理とをコンピュータに実行させる、地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体であるため、経度及び緯度の度、分及び秒などで発生された情報のうち、度を地域に変換して、装置の処理に適合する情報を人間に都合のよいスタイルに変換でき、装置を人間にとって使い易いものにすることができる。
【0011】
さらに、本発明では、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示す複数の地域情報と、この各地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応されて記憶され、発生された度、分及び秒の経度及び緯度のうち、度に対応する地域情報を、この記憶された経度及び緯度の度の情報に対応する地域情報から読み出し、この読み出された地域情報を、上記発生された度、分及び秒の経度及び緯度のうち分及び秒とともに出力するようにした。これにより、経度及び緯度の度、分及び秒などで発生された情報のうち、度を地域に変換して、装置の処理に適合する情報を人間に都合のよいスタイルに変換でき、装置を人間にとって使い易いものにすることができる。
【0012】
この行政地域情報は都道(支庁)府県名、経度及び緯度の度以外の数値などでもよい。この行政地域情報は実際の行政区画に対応している必要はなく、任意に区画された地域を示す情報であればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
1.ナビゲーションコードNC
図1はナビゲーションコードNCを示す。先頭の「愛知」は行政地域(区画)情報であり、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の行政地域を示す。この行政地域情報は漢字1〜3文字、ひらがな2〜4文字、かたかな2〜4文字、アルファベット2〜4文字、各県及び支庁ごとに振られた2桁の番号、経度及び緯度の度以外の数値などでもよい。この行政地域情報は実際の行政区画に対応している必要はなく、郵便番号の上位桁、電話番号の上位桁、その他任意に区画された地域を示す情報であればよい。
【0014】
次の4桁の数値は経度(東経)の分の2桁と秒の2桁を示す。さらに次の4桁の数値は緯度(北緯)の分の2桁と秒の2桁を示す。これら8桁の数値が地点情報である。なおこの地点情報は秒以下の数値を含んでもよい。この地点情報からは行政地域内の特定地点の経度及び緯度の度が除外され、上記行政地域情報で代用される。
【0015】
これらの行政地域情報と地点情報との組み合わせによって地理上の特定地点が表される。上記行政地域情報はナビゲーション装置に入力されると、東経137度(136度)北緯35度(34度)の経度及び緯度情報に変換される。上記分及び秒の地点情報はそのまま入力される。また経度及び緯度情報と上記分及び秒の地点情報は、上記行政地域情報と地点情報に逆変換もされる。
【0016】
2.全体回路
図2はナビゲーション装置の全体回路を示す。このナビゲーション装置は地理的情報表示(処理)装置、地図表示(処理)装置、経路案内装置の機能を備え、地理的座標表現装置、地理的座標表現方法、地理的座標変換装置、地理的座標変換方法及び地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体を備えている。処理部1は、ナビゲーション装置全体の動作を制御する。この処理部1は、CPU(中央処理装置)2、フラッシュメモリ3、ROM(Read Only Memory)4、RAM(Random Access Memory)5、センサ入力インターフェイス7、通信インターフェイス8、画像プロセッサ9、画像メモリ10、音声プロセッサ11及び時計14から構成される。これら各CPU2〜時計14は、CPUローカルバス15によって相互に接続される。そして、CPU2の制御のもと、各種情報データの授受がフラッシュメモリ3等の各デバイス間で行われる。
【0017】
フラッシュメモリ3は、電気的な消去及び書き込みが可能なメモリ(EEPROM)等で構成される。このフラッシュメモリ3(内部記憶媒体/手段)には、光ディスクまたは光磁気ディスク等の情報記憶部37(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプログラム38bが書き写され記憶される(インストール/転送される)。また、フラッシュメモリ3には、外部のメイン情報処理装置等から、データ送受信装置27を介して送信されるプログラム38bも記憶される。このプログラムの記憶媒体は通信媒体も含む。このフラッシュメモリ3には、ナビゲーション動作で用いられる各種パラメータ等も記憶される。
【0018】
このインストール(転送/複写)は、情報記憶部37が本ナビゲーション装置にセットされたとき、または本ナビゲーション装置の電源が投入されたとき自動的に実行され、または操作者による操作によってインストールされる。上記プログラムは、上記CPU2が各種処理を行うための後述するフローチャートに応じたプログラムである。
【0019】
なお、情報記憶部37には、ラベルまたはファイル識別子等を含むディスク管理情報38aが保存されており、このディスク管理情報38aによって、情報記憶部37のプログラムの更新バージョン等が判断される。また、この情報記憶部37は、他の情報記憶部37と入れ替えることができる。よって、新しい情報記憶部37がセットされたか否かが、ディスク管理情報38aの情報内容によって判断される。
【0020】
例えば、フラッシュメモリ3には、プログラムと、このプログラムに関する管理情報が保存されているので、新たな情報記憶部37がセットされると、フラッシュメモリ3の管理情報と、ディスク管理情報38aとが比較される。そして、新しいプログラムを含む情報記憶部37がセットされたと判断された場合に、情報記憶部37のプログラムが、フラッシュメモリ3にインストールされる。これにより、フラッシュメモリ3には、最新の上記プログラムおよびデータが、常時保存されることになる。この結果、情報記憶部37の交換によって、最新のナビゲーション装置が実現される。
【0021】
なお、本装置に予め別のオペレーティングシステム、システムプログラム(OS)、その他のプログラムが記憶され、上記プログラムはこれらのOS、その他のプログラムとともに実行されてもよい。このプログラムは本装置(コンピュータ本体)にインストールされ実行されたときに、別のプログラムとともにまたは単独で請求項(クレーム)に記載された処理・機能を実行させることができればよい。
【0022】
また、このプログラムの一部又は全部が本装置以外の1つ以上の別装置に記憶されて実行され、本装置と別装置との間には通信手段を介して、これから処理するデータ/既に処理されたデータ/プログラムが送受され、本装置及び別装置全体として、実行されてもよい。
【0023】
上記ROM4には、表示図形データ及び各種汎用のデータが記憶されている。表示図形データとは、ディスプレイ33上に表示されるルート案内及び地図表示に必要な各データである。各種汎用データとは、案内音声用の合成または肉声を録音した音声波形データ等のナビゲーション時に使用される各データ等である。
【0024】
RAM5には、外部から入力されたデータ及び、演算のために用いられる各種パラメータや演算結果及びナビゲーション用のプログラム等が記憶される。つまり、RAM5は、キャッシュメモリ及びワーキングメモリ等にも利用される。時計14は、カウンタ及びバッテリバックアップRAMまたはEEPROM等から構成されている。この時計14からは、時間情報が出力される。
【0025】
センサ入力インターフェイス7は、A/D変換回路またはバッファ回路等で構成されている。このセンサ入力インターフェイス7には、現在位置検出装置20の各センサが接続されている。現在位置検出装置20の各センサからは、アナログ信号またはデジタル信号のセンサデータがセンサ入力インタフェイス7に入力される。この現在位置検出装置20のセンサには、絶対方位センサ21、相対方位センサ22、距離センサ23及び車速センサ24等がある。
【0026】
絶対方位センサ21は、例えば、地磁気センサであり、地磁気が検出される。そして、この絶対方位センサ21から、絶対方位となる南北方向を示すデータが出力される。相対方位センサ22は、例えば、光ファイバジャイロや圧電振動ジャイロ等のジャイロ装置を用いた操舵角センサである。この操舵角センサにより、車輪の操舵角が検出される。そして、絶対方位センサ21で検出される絶対方位に対する、自車両の走行方向の相対角度が、相対方位センサ22から出力される。
【0027】
距離センサ23は、例えば、走行距離メータに連動したカウンタ等で構成されている。この距離センサ23からは、自車両の走行距離を示すデータが出力される。速度センサ24は、速度メータに接続されたカウンタ等で構成されている。この速度センサ24からは、自車両の走行速度に比例するデータが出力される。
【0028】
処理部1の通信インターフェイス8には、I/Oデータバス28が接続されている。このI/Oデータバス28には、現在位置検出装置20のGPS受信装置25、ビーコン受信装置26及びデータ送受信装置27等が接続されている。さらに、このI/Oデータバス28には、入出力装置30のタッチスイッチ34、プリンタ35及び、情報記憶部37からデータを読み出すデータ送受信部39が接続されている。つまり、通信インターフェイス8により、各付属装置と、CPUローカルバス15との間で、各種データの授受が行われる。
【0029】
現在位置検出装置20からは、上述されたように、自車両の現在位置を検出するためのデータが出力される。つまり、絶対方位センサ21で絶対方位が検出される。相対方位センサ22で、この絶対方位に対する相対方位が検出される。さらに、距離センサ23で走行距離が検出される。速度センサ24で自車両の走行速度が検出される。他方、GPS受信装置25により、GPS(Global Positioning System)の信号(複数の地球周回軌道衛星からのマイクロ波)が受信され、自車両の緯度・経度等の地理的な位置データが検出される。
【0030】
また、ビーコン受信装置26により、VICS(道路交通情報通信システム)等の道路情報ステーションによって送信されるビーコン波が受信される。そして、ビーコン受信装置26から、近隣道路に関する情報(VICSデータ)またはGPSの補正データ等がI/Oデータバス28へ出力される。なお、ビーコン波には、電波ビーコン、光ビーコン等があるが、VICSで用いられるビーコン波は、比較的狭い範囲でしか受信できない。よって、VICSデータの受信は、ビーコン波を送信する情報送信装置(送信アンテナ等)近傍を、本発明のナビゲーション装置が積載された自車両が通過しないと行われない。
【0031】
また、上記情報送信装置は、主要道路に於いて、一定距離ごとの交差点等の道路施設近傍(道路上方または道路地表面)に設置されている。そして、各情報送信装置からビーコン波として送信されるVICSデータには、このビーコン波を送信する情報送信装置近傍、例えば、情報送信装置を中心とした半径10キロメートル以内の各道路のトラフィック状態を表すデータが含まれる。このトラフィック状態を表すデータには、渋滞、混雑、通行不可、交通量の大小による混雑度合いから、工事による通行止め等の通行規制情報など総合的な情報も含まれる。この通行規制情報のある道路が、走行に適さない道路である。なお、各情報送信装置は、VICSなどの道路情報ステーションによって制御されている。
【0032】
データ送受信装置27には、FM多重電波受信機、セルラフォーンもしくは電話回線等が用いられる。ATIS(交通情報サービス)とは、電話回線等の双方向通信が行われる。また、FM多重電波受信機によってVICSセンタから情報を受信する場合は、受信のみである。また、ATISまたはVICSセンタと、電話回線などの双方向通信が行われる場合、道路のトラフィック情報または駐車場等に関する情報を求める地域が選択できる。例えば、目的地近傍の道路状況のみ、または、出発地から目的地までの広範囲にわたる各道路の混雑状況等のトラフィック情報が受信できる。これらの情報は、運行補助情報として利用される。なお、これらビーコン受信装置26及びデータ送受信装置27は、いずれか一方のみを備えるか、または両方備えるようにしても良い。このデータ送受信装置27には、ラジオ受信機、テレビジョン受信機、携帯電話、ページャまたはその他の無線通信機でもよい。
【0033】
入出力装置30は、ディスプレイ33、タッチスイッチ34、プリンタ35及びスピーカ13から構成される。ディスプレイ33には、ナビゲーション動作中に経路の案内情報が表示される。タッチスイッチ34は、ディスプレイ33の画面上に付着され、透明タッチスイッチが複数、平面マトリクス状に配置されている。透明タッチスイッチは、例えば、透明電極で構成された接触スイッチまたは、圧電スイッチ等で構成される。このタッチスイッチ34からは、ナビゲーション装置に対して、出発地、目的地、通過地点等の目的地設定に必要な情報が選択され、入力される。
【0034】
プリンタ35では、通信インターフェイス8を介して出力される地図や施設ガイド等の各種情報が印刷される。スピーカ13からは音声で使用者に各情報が伝達される。なお、プリンタ35は、無くても良い。
【0035】
また、ディスプレイ33としては、CRT、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイ等の画像情報を表示できるものが利用される。しかし、消費電力が少なく、視認性が高くしかも軽量な、液晶ディスプレイがディスプレイ33として好ましい。なお、このディスプレイ33には、画面がより広いワイド液晶ディスプレイが用いられてもよいし、分離できる2枚以上の液晶ディスプレイが並列して構成されたものでもよい。そして、各液晶ディスプレイに、各々、独立した情報が表示されたり、複数の液晶ディスプレイにわたる連続的な地図情報が表示されてもよい。
【0036】
ディスプレイ33に接続される画像プロセッサ9には、DRAM(Dynamic RAM)またはデュアルポートDRAM等の画像メモリ10が接続されている。そして、画像プロセッサ9によって、画像メモリ10への画像データの書き込み制御が行われる。さらに、画像プロセッサ9の制御のもとで、画像メモリ10からデータが読み出されてディスプレイ33への画像表示が行われる。
【0037】
なお、画像プロセッサ9は、CPU2からの描画コマンドに従って、地図データ及び文字データを、表示用画像データに変換し、画像メモリ10に書き込む。このとき、画面のスクロールのために、ディスプレイ33に表示される、画面周囲の画像も形成されて、画像メモリ10に同時に書き込まれる。
【0038】
スピーカ13には、音声プロセッサ11が接続されている。この音声プロセッサ11は、CPUローカルバス15を介してCPU2及びROM4と接続されている。そして、CPU2によって、ROM4から読み出された案内音声用の音声波形データが、音声プロセッサ11に入力される。この音声波形データは、音声プロセッサ11によりアナログ信号に変換され、スピーカ13から出力される。この音声プロセッサ11及び上記画像プロセッサ9は、汎用のDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等で構成されてもよい。
【0039】
I/Oデータバス28には、データ送受信部39を介して情報記憶部37が接続されている。この情報記憶部37には、ディスク管理情報38a、上述した各ナビゲーション動作を制御するためのプログラム38b及び地図情報などのデータ38cが記憶されている。ディスク管理情報38aには、この情報記憶部37内に記憶されているデータ及びプログラムに関する情報が保存されている。例えば、プログラム38bのバージョン情報等である。データ38cには、道路地図データなどのナビゲーション動作に必要なデータが不揮発性的に記録されている。この情報記憶部37は、I/Oデータバス28との間で、データの読み出し制御を行う、データ送受信部39と接続されている。
【0040】
また、情報記憶部37としては、CD−ROM等の光メモリのみならず、次のようなデバイスが利用されてもよい。例えば、ICメモリ、ICメモりカード等の半導体メモリ、光磁気ディスク、ハードディスクまたはフロッピーディスク(登録商法)等の磁気メモリ等の記録媒体でもよい。なお、データ送受信部39は、情報記録部37の記録媒体が変更された場合、その変更された記録媒体に適合するデータピックアップが備えられる。例えば、記録媒体がハードディスクであれば、コアーヘッド等の磁気信号書き込み、読み取り装置がデータ送受信部39に具備される。
【0041】
情報記憶部37のデータ38cには、ナビゲーション動作に必要な、行政地域データ、地図データ、交差点データ、ノードデータ、道路データ、写真データ、目的地点データ、案内地点データ、詳細目的地データ、目的地読みデータ、家形データ、その他のデータが含まれる。また、情報記憶部37に記憶されたプログラム38bにより、データ38cの道路地図データを用いてナビゲーション動作が実行される。なお、このナビゲーション用のプログラムは、データ送受信部39によって情報記憶部37から読み出され、フラッシュメモリ3内に書き込まれる。その他のデータには、表示案内用データ、音声案内用データ、簡略案内経路画像データ等がある。
【0042】
さらに、データ38cのデータとして、道路情報ステーションから送られてくるリンク番号に対応する、地図上の各道路の道路番号の対応関係を表すリンクデータファイルF17も含まれる。
【0043】
なお、情報記憶部37のデータ38cには、各々異なる縮尺率の地図データ、または、一つの縮尺率の地図データが記憶されている。つまり、データ38cに、同一地域の地図であって、しかも各々が異なる縮尺率の地図が記録されているか、または、一つの縮尺率の地図データのみがデータ38cに記録されている。一つの縮尺率の地図データが記録されている場合、その縮尺率は、地図が最も拡大してディスプレイ33に表示される際に、詳細な情報が表示可能となるように決定されている。
【0044】
なお、一つの地図データのみがデータ38cに記録されている場合で、ディスプレイ33に縮尺の小さな地図、つまり広い地理範囲を表す地図(広域地図)を表示する場合、このデータ38cに記録された地図データから情報が間引かれて表示される。このデータ38cの地図データの間引き表示においては、各道路等の地理的距離が小さくされるのみならず、施設等の表示記号情報の間引きも行われる。つまり、大きな施設または主要施設についての表示が中心的に行われるように、情報の間引きが行われる。
【0045】
3.情報記憶部37のデータ38cのデータファイル
図3は情報記憶部37のデータ38cに記憶されている各データファイルの内容を示す。地図データファイルF1には、全国道路地図、1地方の道路地図または住宅地図等の地図データが記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形及び、道路名称等が表示される市街図である。細街路とは、後述される経路探索処理で利用されない道路である。例えば、道幅が所定値以下の狭い道路で、しかも国道または県道以外の市道及び私道等が細街路とされる。すなわち、一般車両の対面通行が比較的な困難な道路が細街路に該当する。
【0046】
交差点データファイルF2には、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関するデータが記憶されている。ノードデータファイルF3には、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等が記憶されている。道路データファイルF4には、道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータが記憶されている。写真データファイルF5には、各種施設や観光地、または主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データが記憶されている。
【0047】
名称−位置データファイルF6には、目的地として選択される施設、企業、事業所、行楽地、観光地、事業業所等の場所の多数の名称等のデータと位置(経度及び緯度)データとが対応されて記憶されており、入力された名称から目的地の位置が検索されるデータ群と、入力された位置から目的地の名称が検索されデータ群とからなる。前者のデータ群では名称データはあいうえお順またはアルファベット順に配列され、後者のデータ群では位置データは経度の値の大きい順又は緯度の値の大きい順に配列されている。
【0048】
住所−位置データファイルF7には、多数の住所データとこの住所データに対応した位置(経度及び緯度)データとが対応されて記憶されており、入力された住所から目的地の位置が検索されるデータ群と、入力された位置から目的地の住所が検索されデータ群とからなる。前者のデータ群では住所データはあいうえお順、アルファベット順、東、西、北若しくは南からの方向順に配列され、後者のデータ群では位置データは経度の値の大きい順又は緯度の値の大きい順に配列されている。
【0049】
電話番号−位置データファイルF8には、多数の電話番号とこの電話番号に対応した箇所の位置(経度及び緯度)データとが対応されて記憶されており、入力された電話番号から目的地の位置が検索されるデータ群と、入力された位置から目的地の電話番号が検索されデータ群とからなる。前者のデータ群では電話番号データは電話番号の数値の大きい順に配列され、後者のデータ群では位置データは経度の値の大きい順又は緯度の値の大きい順に配列されている。
【0050】
案内地点データファイルF9には、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等の案内が必要とされる地点の案内データが記憶されている。詳細目的地データファイルF10には、上記名称−位置データファイルF6に記憶されている目的地に関する詳細なデータが記憶されている。道路名称データファイルF11には、上記道路データファイルF4に記憶されている道路の中で主要な道路の名称データが記憶されている。分岐点名称データファイルF12には、主要な分岐点の名称データが記憶されている。
【0051】
登録電話番号データファイルF13には、使用者のマニュアル操作によって登録された仕事上の取引先等の覚えておきたい電話番号データが記憶されている。目印データファイルF14には、使用者がマニュアル操作によって入力した走行途上の目印になる地点や覚えておきたい場所の位置と名称等のデータが記憶されている。地点データファイルF15には、目印データファイルF14に記憶されている目印地点の詳細なデータが記憶されている。施設データファイルF16には、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア或いは駐車場等の目的地以外に立ち寄りたい場所等の目標物の位置や説明等のデータが記憶されている。
【0052】
リンクデータファイルF17には、道路情報ステーション等から送られてくるVICS情報に含まれるリンク番号が、道路データファイルF4のいずれの道路に対応するかを示すデータが記憶されている。
【0053】
行政地域データファイルF18には、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の行政地域を示す複数の行政地域情報と、この各行政地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応されて記憶されている。
【0054】
この行政地域は、日本であれば、都道府県ごとに分けられる。北海道は石狩支庁、釧路支庁などの支庁ごとに分けられる。岩手県、新潟県、長野県などの広い県や広い支庁は、北部と南部の2つに分けられたり、東部と西部の2つに分けられたり、北東部、北西部、南東部及び南西部の4つにわけられたりする。場合によって、名古屋市、札幌市、仙台市、横浜市、川崎市、千葉市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市、北九州市などの政令指定都市も個別に記憶される。
【0055】
この行政地域は市郡ごと又は市町村ごとに分けられてもよい。市、郡、町、村で経度の幅及び緯度の幅が1度を越えるものはまずない。越えれば、北部と南部の2つに分けられたり、東部と西部の2つに分けられたり、北東部、北西部、南東部及び南西部の4つにわけられたりする。
【0056】
なおこの1度をこえる幅を持つ行政地域の分け方は他の方法でもよい。例えば、愛知県であれば尾張と三河、岐阜県であれば美濃と飛騨、静岡県であれば遠江、駿河及び伊豆などである。これも本行政地域に含まれる。
【0057】
地点−地域名データファイルF19には、各行政地域の名称とこの行政地域の境界の経度及び緯度の情報が対応されて記憶されている。入力された地点の経度(度、分、秒)及び緯度(度、分、秒)が、この地点−地域名データファイルF19で変換され、この地点の属する行政地域の名称が検索される。
【0058】
4.行政地域データファイルF18
図4は上記行政地域データファイルF18を示す。各行政地域情報とこの各行政地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応されて記憶されている。上記各行政地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報は、例えば、東京都であれば東経139度北緯35度、大阪府であれば東経135度北緯34度、名古屋市であれば東経136度北緯35度の値となる。
【0059】
図5は1つの行政地域(県)が2つの経度幅及び2つの緯度幅に跨っている場合つまり4つの経度緯度エリアにまたがっている場合を示す。この2つの経度は東経136度及び137度であり、2つの緯度は北緯34度と35度である。この場合、この行政地域の中を貫いている経線の経度と緯線の緯度が代表される。図5の例では、東経137度北緯35度となる。
【0060】
この場合、図5の「A」の部分の分及び秒は東経136度北緯35度の中にあり、「B」の部分の分及び秒は東経136度北緯34度の中にあり、「D」の部分の分及び秒は東経137度北緯34度の中にあり、「C」の部分の分及び秒は東経137度北緯35度の中にある。この行政地域を上述のように東経137度北緯35度で代表すると、「C」の部分以外の分及び秒は、図5の点線に示されように「A1」「B1」「D1」の位置にずれてしまう。
【0061】
補正基準データAe−u、An−d、Be−u、Bn−u、De−d、Dn−uは、これら「A1」「B1」「D1」の部分の位置のずれを補正するためのものである。これら補正基準データの中の「Ae」、「An」は「A1」の部分を囲む東経値と北緯値、「Be」、「Bn」は「B1」の部分を囲む東経値と北緯値、、「De」、「Dn」は「D1」の部分を囲む東経値と北緯値を示す。「−u(2進数の「1」)」はこれらの東経値または北緯値より大きい経度または緯度のエリアを指し、「−d(2進数の「0」)」はこれらの東経値または北緯値より小さい経度または緯度のエリアを指す。
【0062】
上記行政地域の中の分及び秒が、これら補正基準データAe−u、An−d、Be−u、Bn−u、De−d、Dn−uで示されるエリアの中にあれば、当該行政地域の代表される経度及び緯度に対して、経度及び/または緯度が「−1」される。例えば属する補正基準データの東経値または北緯値に「−u(2進数の「1」)」が付いていれば、行政地域の代表される東経値または北緯値が「−1」されて補正され、「−d(2進数の「0」)」が付いていれば、行政地域の代表される東経値または北緯値は補正されない。
【0063】
これにより、1つの行政地域が2つ、3つまたは4つの経度緯度エリアにまたがっていても、この行政地域は1つの経度及び緯度で代表される。なお、図5の部分「C」、「A1」、「B1」、「D1」のいずれかが重なる場合には、この行政地域は2つ以上に分けられる。重なった部分の地点がどの部分に属するか判別できないからである
。例えば、岩手県、新潟県、長野県などの広い県は、北部と南部の2つに分けられたり、東部と西部の2つに分けられたり、中部と北部と南部の3つに分けられたり、中部と東部と西部の3つに分けられたり、北東部、北西部、南東部及び南西部の4つに分けられたり、中部、東部、西部、南部及び北部の5つに分けられたり、中部、北東部、北西部、南東部及び南西部の5つに分けられたりする。1つの行政地域が1つの経度幅及び1つの緯度幅の中に収まる場合には、この行政地域はこの経度幅及び緯度幅の経度及び緯度で当然代表される。
【0064】
5.地点−地域名データファイルF19
図6は上記地点−地域名データファイルF19を示す。日本における地名は、一般に図7に示すような構成になっている。つまり、「都道府県」で区分された行政地域の中が「市、区、又は郡」によって区分され、その行政地域の中が更に、「区、町、村」によって区分され、その行政地域の中が更に「町、大字、丁目、番地」によって区分されている。ここでは、便宜上地名の各部分を図3に示す第0層、第1層、第2層及び第3層に階層化する。この実施例では、地名の第0層、第1層及び第2層について、その行政地域を識別可能に構成してある。
【0065】
図6は上記階層のうち第1層及び第2層の一部分のみについてその構成を示している。実際には第0層のデータベースも存在し、日本全国がカバーされている。図7は、実線でその境界を示す第1層の行政地域と一点鎖線でその境界を示す第2層の行政地域の一例を示している。各々の行政地域は閉曲線によってその境界が示されるが、この実施例では互いに隣接する地域間の境界を示す複数の曲線(この例ではリンクと呼ぶ)の集合によってその閉曲線を表わしている。例えば点P1、P2、P3及びP4を通る1つの閉曲線が示す地域Aの境界線は、この例では点P1−P2間のリンク、点P2−P3間のリンク、点P3−P4間のリンク、及び点P1−P4間のリンクによって表わされる。
【0066】
データベースには、図6に示すように各層についてリンクテーブルとエリアテーブルが備わっている。リンクは曲線を折線によって近似的に表わしたものであり、リンクテーブルには各リンクについて、それに近似した折線を構成する点の座標数、及び各点の座標(緯度、経度)のデータが予め登録されている。エリアテーブルには、行政地域の各々(例えば図7の地域A)について、それを構成するリンク群の各々の番号と、該地域の地域名、及び下位ポインタが予め登録されている。
【0067】
第1層のエリアテーブルの下位ポインタは、その地域に含まれる第2層のテーブルが存在する位置の先頭メモリアドレスを示している。つまり、第1層の行政地域が特定されれば、下位ポインタによってその地域の範囲内にある第2層の情報のメモリアドレスが特定されるので、処理対象となる第2層のデータ量を大幅に減らすことができる。同様に、図示しないが、第0層の地域が特定されると、それに含まれる下位ポインタによって、その地域に含まれる領域内の第1層のデータベースのメモリアドレスを得ることができる。
【0068】
行政地域の境界を示す形状は非常に複雑な場合があるので、任意の地点がいずれの行政地域に属するかを正確に識別することは比較的難しい。この実施例においては、「鉛直線算法」によりそれを識別している。即ち、ジョルダン(Jordan)の曲線定理に基礎をおく、「鉛直線算法」によれば、任意の点Pが与えられた閉曲線の内側と外側のいずれに属しているかは、点Pを始点として所定方向に延ばした直線と前記閉曲線とが交叉する点の数をかぞえ、交叉数が奇数なら閉曲線の内側、偶数なら外側であると判定しうるので、入力座標の点(P)から所定方向に延ばした直線と各行政地域の輪郭を示す曲線との交叉数をかぞれることによって、入力座標の点がいずれの行政地域に属するかが正確に識別される。
【0069】
6.RAM5のデータ内容
図8はRAM5内に記憶されるデータ群の一部を示す。現在位置データMPは、現在位置検出装置20によって検出される、自車両の現在位置を表すデータである。絶対方位データZDは、南北方向を示すデータであり、絶対方位センサ21からの情報に基づいて求められる。相対方位角データDθは、自車両の進行方向が絶対方位データZDに対してなす角度データである。この相対方位角データDθは、相対方位センサ22からの情報に基づいて求められる。
【0070】
走行距離データMLは、自車両の走行距離であり、距離センサ23からのデータに基づいて求められる。現在位置情報PIは、現在位置に関係するデータであり、ビーコン受信装置26またはデータ送受信装置27から入力される。VICSデータVDとATISデータADは、ビーコン受信装置26またはデータ送受信装置27から入力されるデータである。VICSデータVDまたはATISデータADにより、地域の交通規制、交通混雑状況または駐車場など施設混雑状況等が判別され、後述される所定の処理が実行される。また、このVICSデータVDを利用して、GPS受信装置25で検出される自車両位置の誤差補正が実行される場合もある。
【0071】
登録目的地データTPは、使用者によって登録された、目的地の座標位置や名称等の目的地に関するデータである。案内開始地点データSPには、ナビゲーション動作が開始される地点の地図座標データが記憶される。同様に、最終案内地点データEDには、ナビゲーション動作が終了される地点の地図座標データが記憶される。
【0072】
なお、案内開始地点データSPには、自車両の現在地または出発地からもっとも近い案内道路上のノード座標が用いられる。この案内開始地点データSPが記憶される理由は、現在位置データMPに応じた自車両の現在地が、例えば、ゴルフ場または駐車場等の敷地内等であり、必ずしも案内道路上にないからである。同じように、案内最終地点データEDも、登録目的地データTPにもっとも近い案内道路上のノード座標が記憶される。この案内最終地点データEDが記憶される理由も、登録目的地データTPの座標が、案内道路上にないことがあるからである。
【0073】
RAM5に記憶される案内経路データMWは、目的地までの最適な経路、または推奨される経路を示すデータであり、後述されるステップSA4の経路探索処理または再探索処理等で求められる。なお、情報記憶部37のデータ38cに記憶された道路地図内の各道路には、固有の道路ナンバが付されている。そして、上記案内経路データMWは、案内開始地点データSPから最終案内地点データEDまでの道路ナンバの列で構成される。
【0074】
モードセットデータMDは、後述する目的地設定処理で利用されるデータである。このモードセットデータMDは、ディスプレイ33上にラミネート積層されたタッチスイッチ34によって設定される。このモードセットデータMDにより、ディスプレイ33上に表示されるモード内容が特定される。立ち寄り地DPは、案内経路途中において立ち寄る施設等に関する情報である。
【0075】
7.全体処理
図9はCPU2によって実行される全体処理のフローチャートを示す。この処理は、電源投入によってスタートし、繰り返し実行され、電源オフによって終了される。この電源投入及びオフは、ナビゲーション装置の電源自体がオン・オフされるか、または車両のエンジンスタートキー(イグニッションスイッチ)のオン・オフで実行される。
【0076】
図9におけるステップSA1のイニシャライズ処理とは次のようなものである。初めに、情報記憶部37からナビゲーション用プログラムが読み出される。読み出されたナビゲーション用プログラムは、フラッシュメモリ3に複写(インストール)される。この後、フラッシュメモリ3のプログラムが実行される。さらに、CPU2によって、RAM5のワークメモリ、画像メモリ10等の各RAM内の汎用データ記憶エリアがクリアされる。
【0077】
なお、フラッシュメモリ3へのプログラムの複写は、情報記憶部37の交換によって、新たなプログラム38bがナビゲーション装置にセットされると実行される。つまり、新しい情報記憶部37がナビゲーション装置に初めてセットされたときにのみ、フラッシュメモリ3へのプログラムの複写が実行される。したがって、ディスク管理情報38aに基づく判別により、情報記憶部37が交換されていないと判断されると、フラッシュメモリ3へのプログラムの複写は省略される。
【0078】
このように、イニシャライズ処理が完了されると、現在位置処理(ステップSA2)、目的地設定処理(ステップSA3)、経路探索処理(ステップSA4)、案内・表示処理(ステップSA5)及び、その他の処理(ステップSA6)がサイクリックに実行される。なお、目的地設定処理(ステップSA3)及び経路探索処理(ステップSA4)は、目的地の変更、または経路からの自車両の離脱等が発生しない場合には、重複して実行されない。
【0079】
上記現在位置処理(ステップSA2)では、本ナビゲーション装置が積載された地上移動体である自車両の地理座標(緯度、経度及び高度)が検出される。つまり、GPS受信装置25によって、地球の回りを周回している複数の衛星から電波が受信される。この各衛星からの電波により、各衛星の座標位置、衛星における電波発信時間、及びGPS受信装置25での電波受信時間が検出される。これらの情報から、各衛星との距離が演算によって求められる。この各衛星との距離から、自車両の地球表面における座標位置が求められる。この求められた自車両の座標位置は、現在位置データMPとしてRAM5に記憶される。なお、この現在位置データMPは、ビーコン受信装置26またはデータ受信装置27から入力される情報によって修正される場合もある。
【0080】
また、現在位置処理(ステップSA2)に於いて、絶対方位データZDと、相対方位角データDθと、走行距離データMLが、絶対方位センサ21、相対方位センサ22及び距離センサ23を利用して求められる。これらの絶対方位データZDと、相対方位角データDθと、走行距離データMLとから、自車両位置を特定する演算処理が行われる。この演算処理によって求められた自車両位置は、情報記憶部37のデータ38cに記憶される地図データと照合され、地図画面上の現在位置が正確に表示されるように補正が行われる。この補正処理によって、トンネル内等のGPS信号が受信できないときでも自車両の現在位置が正確に求められる。
【0081】
目的地設定処理(ステップSA3)では、使用者の希望する目的地の地理座標が登録目的地データTPとしてセットされる。例えば、ディスプレイ33上に表示される道路地図若しくは住宅地図を利用して、使用者により目的地の座標が指定される。または、ディスプレイ33上に表示される目的地の項目別リストから、使用者によって目的地が特定される。この使用者による目的地指定操作が行われると、目的地の地理座標等の情報データが登録目的地データTPとしてRAM5に記憶される。
【0082】
経路探索処理(ステップSA4)では、案内開始地点データSPから、最終案内地点データEDまでの最適な経路が探索される。なお、ここでいう最適な経路とは、次のようなものがある。例えば、最短時間または最短距離で、目的地に到達できる経路、または、より広い道路を優先的に使用した場合の経路等である。さらには、高速道路を使用する場合、その高速道路を使用して、最短時間または最短距離で目的地に到達できる経路等である。
【0083】
上記案内開始地点データSPには、現在位置データMPと同じデータがセットされるか、または、現在位置データMPに近い案内対象道路上のノードデータがセットされる。なお、自車両の現在走行位置が、案内経路から外れた場合には、この外れた現在位置から最終案内地点までの最適な経路が自動的に再探索されるオートリルートモードがある。オートリルートモードがセットされていなければ、経路の再探索は行われない。また、上記案内経路は、立ち寄り地が設定された場合、その立ち寄り地を経由した経路が探索されることもある。
【0084】
案内・表示処理(ステップSA5)では、上記経路探索処理(ステップSA4)もしくはルート再探索処理で求められた案内経路が、自車両の現在位置を中心としてディスプレイ33に表示される。なお、このディスプレイ33に表示される案内経路は、表示地図上において識別可能なように表示される。例えば、ディスプレイ33に表示される地図上で、案内経路が色違い表示されるなど、特徴的に表示される。さらに、この案内経路にしたがって、自車両が良好に走行できるよう、道路の案内情報がスピーカ13から発音される。これに伴って、各種の案内情報がディスプレイ33に随時表示される。なお、案内経路を表示するための画像データは、情報記憶部37にあるデータ38cの現在位置周辺の道路地図データか、または現在位置周辺の住宅地図データが用いられる。
【0085】
この道路地図データと住宅地図データとの切り換えは次の条件によって行われる。例えば、現在位置から案内地点(目的地、立ち寄り地または交差点等)までの距離、自車両の速度、表示可能エリアの大小、または操作者のスイッチ操作等により切り換えられる。さらに、案内地点(目的地、立ち寄り地または交差点等)付近では、この案内地点付近の拡大地図がディスプレイ33上に表示される。なお、道路地図の代わりに、簡略案内経路画像がディスプレイ33に表示されてもよい。この簡略案内経路画像には、例えば、地理的情報の表示が省略され、案内経路と目的地または立ち寄り地の方向と現在位置等の、必要最小限の情報のみが表示される。
【0086】
ステップSA5の案内・表示処理の後、「その他の処理」(ステップSA6)が実行される。この「その他の処理」では、最寄り施設処理が実行される場合がある。この最寄り施設処理とは、上記登録目的地データTP以外の、立ち寄り地(施設等)が検索・指定される処理である。この立ち寄り地に関するデータは、ディスプレイ33に表示される地図または各項目情報などを利用して定められる。そして、この最寄り施設処理は、上記ステップSA3の目的地設定処理と同じように行われる。
【0087】
また、「その他の処理」には、例えば、自車両の走行位置が、算出された案内経路に沿っているか否の判断が行われる。つまり、自車両が案内経路から逸脱したことが検知された場合、ルート再探索が行われるべく、各処理開始のための状態フラグがそれぞれセットされる。また、操作者のスイッチ操作による目的地の変更命令が入力されたか否かの判断等も行われる。
【0088】
ステップSA7の処理が終わると、再び現在位置処理(ステップSA2)から処理が繰り返される。なお、自車両が目的地に到達した場合にも、経路の案内・表示処理が終了され、再度ステップSA2に処理が戻される。この様に、ステップSA2〜ステップSA7までの処理が、順次繰り返される。
【0089】
8.地理的座標変換処理
図10は上記ステップSA3の中で実行される地理的座標変換処理のフローチャートを示す。この処理では、上記入力された行政地域情報と分及び秒の地点情報とが純粋な緯度及び経度の地理的座標に変換される。
【0090】
タッチスイッチ34の操作によって行政地域の名称の一覧が表示され、この表示された名称の1つがタッチスイッチ34の操作によって選択され、この行政地域情報が入力され、RAM5に記憶される(ステップSB1、SB2)。さらに、タッチスイッチ34の操作によって、分及び秒の地点の数値が入力されれば、RAM5に記憶される(ステップSB3、SB4)。
【0091】
次いで、上記入力された行政地域情報に応じた東経値及び北緯値が行政地域データファイルF18から読み出され、RAM5に記憶される(ステップSB5)。さらに上記入力された分及び秒の地点情報と、行政地域データファイルF18の補正基準データAe−u、An−d、Be−u、Bn−u、De−d、Dn−uとが対比される(ステップSB6)。
【0092】
そして、この分及び秒の地点情報がこの補正基準データで示されるエリアの中にあれば(ステップSB7)、上記ステップSB5で読み出された行政地域情報に応じた東経値及び/または北緯値が「−1」されて補正される(ステップSB8)。これにより、図5の「A」「B」「D」の部分の分及び秒の地点情報が、誤って図5の「A1」「B1」「D1」とされてしまうことがない。
【0093】
この補正された東経値及び北緯値は、上記入力された分及び秒の地点情報とともに、地理的座標として処理される。この入力され変換された地理的座標を中心とするまたは含む地図データが上記地図データファイルF1から読み出され、画像プロセッサ9へ送られてディスプレイ33に表示される(ステップSB9)。
【0094】
さらに、この表示された地図データの中心または所定位置つまり入力され変換された地理的座標には、丸印又は星印などの目印が目的地または立ち寄り地として表示される(ステップSB10)。この目的地または立ち寄り地までの経路が上記ステップSA4で探索され、この目的地または立ち寄り地までの案内・表示が上記ステップSA5で実行される。
【0095】
また、この入力され変換された地理的座標に対して、タッチスイッチ34から対応名称の検索指示があれば(ステップSB11)、この地理的座標に対応する名称データが上記名称−位置データファイルF6から検索され表示される(ステップSB12)。したがって、上記ナビゲーションコードNCから対応する施設又は場所の名称を検索することができる。
【0096】
さらに、この入力され変換された地理的座標に対して、タッチスイッチ34から対応住所の検索指示があれば(ステップSB13)、この地理的座標に対応する住所データが上記住所−位置データファイルF7から検索され表示される(ステップSB14)。したがって、上記ナビゲーションコードNCから対応する住所又は地名を検索することができる。
【0097】
以上のように操作者がナビゲーションコードNCを入力すると、施設又は場所などの名称、住所または地名、電話番号、郵便番号などがディスプレイ33に表示される。
【0098】
また、この入力され変換された地理的座標に対して、タッチスイッチ34から対応電話番号の検索指示があれば(ステップSB15)、この地理的座標に対応する電話番号データが上記電話番号−位置データファイルF8から検索され表示される(ステップSB12)。したがって、上記ナビゲーションコードNCから対応する電話番号を検索することができる。
【0099】
なお、この電話番号は郵便番号に置き換えることもできる。この場合、上記電話番号−位置データファイルF8には、郵便番号データと経度及び緯度の位置データとが対応して記憶される。
【0100】
上記ステップSB1の行政地域情報の入力では、以下の入力方法も可能である。行政地域情報は上記分及び秒の入力と同様に数値で入力されたりアルファベットで入力される。この場合、各行政地域と数値(2桁又は3桁など)またはアルファベットの対応表が用意される。
【0101】
また、このような図1のナビゲーションコードNCは、雑誌、書籍などに施設または場所の内容に対応して記載され、これを見ながら入力されてもよい。この場合バーコードが記載され、バーコードリーダーによって入力されてもよい。
【0102】
さらに、このような図1のナビゲーションコードNCは、外部の施設(ATIS等)から通信によって送られてくることもできる。この場合、操作者は携帯電話またはナビゲーション装置のデータ送受信装置27で、上記外部の施設の記憶装置にアクセスし、対応するナビゲーションコードNCが読み出され送信される。
【0103】
9.地理的座標逆変換処理
図11は上記ステップSA6又はSA3の中で実行される地理的座標逆変換処理のフローチャートを示す。この処理によって、発生入力された地点の経度(度、分、秒)及び緯度(度、分、秒)が、地点−地域名データファイルF19で変換され、この地点の属する行政地域の名称が検索される。
【0104】
図11において、特定地点の座標(緯度、経度)が入力される(ステップ31)。この座標は、ナビゲーション装置の各種処理によって検索されたり求められたりする。また操作者が入力することもあるし、外部施設(ATIS)から送信されてきたりする。まず「都道府県」、つまり第0層のデータベースを次の処理のために選択する(ステップ32)。そして次述する領域検出処理(図9)を実行する(ステップ33)。これによって、「都道府県」の行政地域が識別されるので、その選択結果に含まれる下位ポインタの内容を利用して、「市、区、郡」、つまり第1層のデータベースの中の対応する領域のもののみを選択する(ステップ34)。
【0105】
そして前記領域検出処理を再び実行し、現在位置が属する市、区、又は郡の行政地域を識別する(ステップ35)。例えばここで「刈谷市」が検出された場合には、図6に示すエリアテーブルの番号1の欄から「刈谷市」の名称情報を入力し、またその欄にある下位ポインタp1の内容を入力する。次いで得られた下位ポインタp1によって示される第2層の「刈谷市」のテーブルのみを、膨大な第2層のデータベース上から選択する(ステップ36)。再び領域検出処理を実行し、第2層における現在地の行政地域を検出する(ステップ37)。最後に第0層、第1層及び第2層の各データベースに対する処理で得られた地名情報、例えば「愛知県」、「刈谷市」、「朝日町」の情報を所定の表示メモリにストアする(ステップ38)。この表示メモリ上の情報はスイッチ操作などに応答して、車載表示ユニット4の表示面に文字列で表示される。
【0106】
このようにして、入力された度、分、秒などの経度及び緯度の地理的情報に対応する、行政地域の名称または住所若しくは地名が検索される。なお、上記ステップ34乃至38の市町村以下の行政地域の検索を省略することもできる。上記分及び秒の地点情報はそのまま変換されず出力される。この行政地域の名称または住所若しくは地名とこの分及び秒の地点情報とは、上記ナビゲーションコードNCとして出力される。
【0107】
なお、上記入力される度、分、秒などの経度及び緯度の地理的情報は、上述の施設又は場所などの名称、住所または地名、電話番号、郵便番号から変換されることもできる。この場合、入力された施設又は場所などの名称、住所または地名、電話番号、郵便番号が上記名称−位置データファイルF6、住所−位置データファイルF7、電話番号−位置データファイルF8によって、経度及び緯度の位置データに変換され、この位置データが上述のステップ31乃至35で上記ナビゲーションコードNCに変換される。
【0108】
この場合、上記電話番号−位置データファイルF8の電話番号は郵便番号に置き換えられ、郵便番号データと経度及び緯度の位置データとが対応して記憶される。これにより、施設又は場所などの名称、住所または地名、電話番号、郵便番号からナビゲーションコードNCが検索される。
【0109】
以上のように操作者が施設又は場所などの名称、住所または地名、電話番号、郵便番号などを入力すると、上記検索されたナビゲーションコードNCがディスプレイ33に表示される。また、ディスプレイ33に表示されている地図の1点をカーソルなどで指定すると、この地点の経度及び緯度の位置データ(座標)が演算され、この位置データ(座標)に対応するナビゲーションコードNCが検索され表示される。
【0110】
10.領域検出処理
図12は上記ステップ33、35、37の領域検出処理のフローチャートを示す。まず処理すべき範囲のリンクテーブルを参照し、1つのリンク情報を入力する(ステップ11)。次に入力したリンク情報の中からそれを構成する1つの線分の情報を選択し、カウンタNをクリアする(ステップ12)。ステップ13〜20の処理では、選択された線分の情報について、それが現在地点から延ばした直線と交叉するか否かがチェックされる。
【0111】
座標x1とx2との大小関係を揃えるために、x1>x2の時には、x1とx2の座標の内容を交換し、y1とy2の座標の内容を交換する(ステップ13,14)。これにより、図13に示すx−y座標系においては、第1点の座標(x1,y1)が第2点の座標(x2,y2)よりも左側に位置するように揃えられる。
【0112】
この例では、交叉の回数が偶数か奇数かに応じて領域の内側か外側かを識別するので、交叉の有無は厳密にチェックする必要がある。この例では図13の下側に示すように、線分の2つの端点(x1,x2)の間に座標がある時には交叉ありとみなし、線分の右端(x2)が座標x上にある時には交叉有とみなし、線分の左端(x1)が座標x上にある時には交叉無とみなし、線分が直線と重なっている時(x1=x2=x)には交叉無とみなしている。
【0113】
x1=x2でなく(ステップ15)、x>x1であり(ステップ16)、x≦x2であれば(ステップ17)、交叉する点におけるy座標ycが計算される(ステップ18)。この場合、x、x1及びx2の座標の大小関係が交叉ありとみなされる。次いで、yとycとが比較される(ステップ19)。この実施例では、直線を現在地の座標から下方に延ばすので、それと線分とが交叉する場合の交叉点のy座標ycは現在地のy座標(y)よりも下側に存在する。次に、y>ycであると(ステップ19)、交叉有を有効とみなし、カウンタNが+1され(ステップ20)、検出された交叉数がカウントされる。
【0114】
なおこの例では、直線を現在地から下方に延ばす場合を説明したが、上方に延ばす場合には上記ステップ19の内容を「y<yc」に変更すればよい。また、直線を延ばす方向を右又は左方向に変更しても、交叉数を検出することは可能である。
【0115】
上記交叉の検出処理は、リンクを構成する全ての線分について実行される。それが終了すると、1つのリンクに関しそれと前記直線とが交叉した回数がカウンタN上に存在するので、カウンタNの内容を該リンクの交叉数として保存する(ステップ22)。これらの処理を、必要な全てのリンクについて実施する(ステップ23)。それが終了したら、領域(行政地域)毎にそれを構成する全リンクの交叉数が集計される(ステップ24)。
【0116】
例えば図6に示す第1層の番号1の地域(東京都)については、L11、L12、L13、L14、・・・の各リンクの交叉数の合計を計算し、その結果を該地域の交叉数とする。地域の交叉数が偶数なら該地域は現在地の外側であり、地域の交叉数が奇数なら該地域の内側に現在地がある。従って、交叉数が奇数の唯一の地域を検出し、その地域を検出結果として選択する(ステップ25)。
【0117】
11.第2実施例
図14はナビゲーションコードNCの第2実施例のメッシュコードを示す。本実施例では、日本全体が約80キロメートル四方(20万分の1)の方形区画に分割され、各区画に番号が振られ第1次地域区画メッシュコードとされる。この番号は4桁であるが、区画数は陸地だけで100個前後であるので2桁または3桁とすることもできる。
【0118】
この約80キロメートル四方(20万分の1)の区画は、経度方向に約1度、緯度方向に約40分であり、経度緯度の1秒四方の方形区画に細分化すると、3600(秒)(=1×60×60)×2400(秒)(=40×60)の区画に分けられ、3600(秒)は4桁であり2400(秒)も4桁であるから、各秒四方単位の区画は合計8桁で表され、1秒区画メッシュコードとされる。この1秒四方区画は1/2秒四方区画、1/4秒四方区画、1/8秒四方区画、1/16秒四方区画、1/32秒四方区画・・・でもよい。この1秒区画メッシュコードと上記第1次地域区画メッシュコードとで、各地理的座標地点は10桁〜12桁で表される。
【0119】
また、この約80キロメートル四方(20万分の1)の区画は、1メートル四方の方形区画に細分化すると、80000(m)×80000(m)の区画に分けられ、80000(m)は5桁であり80000(m)も5桁であるから、各1m四方単位の区画は合計10桁で表され、1m区画メッシュコードとされる。この1m四方区画は5m四方区画、10m四方区画、20m四方区画、25m四方区画、30m四方区画・・・でもよい。この1m区画メッシュコードと上記第1次地域区画メッシュコードとで、各地理的座標地点は12桁〜14桁で表される。
【0120】
また、日本全体が約10キロメートル四方の方形区画に分割され、各区画に番号が振られ第2次地域区画メッシュコードとされる。この番号は6桁であるが、区画数は陸地だけで6400個前後であるので4桁とすることもできる。
【0121】
この第2次地域区画メッシュコードについても、上記1秒区画、1/2秒区画、1/4秒区画・・・に細分化されたり、1m区画、5m区画、10m区画・・・に細分化されたりする。この1秒区画メッシュコードと上記第2次地域区画メッシュコードとで、各地理的座標地点は10桁〜12桁で表される。この1m区画メッシュコードと上記第2次地域区画メッシュコードとで、各地理的座標地点は12桁〜14桁で表される。
【0122】
さらに、日本全体が約1キロメートル四方の方形区画に分割され、各区画に番号が振られ第3次地域区画メッシュコードとされる。この番号は8桁であるが、区画数は陸地だけで640000個前後であるので6桁とすることもできる。
【0123】
この第3次地域区画メッシュコードについても、上記1秒区画、1/2秒区画、1/4秒区画・・・に細分化されたり、1m区画、5m区画、10m区画・・・に細分化されたりする。この1秒区画メッシュコードと上記第3次地域区画メッシュコードとで、各地理的座標地点は10桁〜12桁で表される。この1m区画メッシュコードと上記第3次地域区画メッシュコードとで、各地理的座標地点は12桁〜14桁で表される。
【0124】
なお、上記第1次地域区画メッシュコードは、経度が1度及び緯度が1度の四方区画単位であってもよいし、1/2度四方区画、1/4度四方区画でもよいし、250キロメートル四方区画、100キロメートル四方区画、50キロメートル四方区画、25キロメートル四方区画などでもよい。
【0125】
このような第1次地域区画メッシュコード、第2次地域区画メッシュコード、第3次地域区画メッシュコードについても、対応する経度及び緯度が上記行政地域データファイルF18に記憶され、上記ステップSB5及びSB6で対応する経度及び緯度が検索され読み出される。また逆に、このような第1次地域区画メッシュコード、第2次地域区画メッシュコード、第3次地域区画メッシュコードについても、対応する経度及び緯度が上記上記地点−地域名データファイルF19に記憶され、ある地点の経度及び緯度から、上記ステップ32乃至35で対応する第1次地域区画メッシュコード、第2次地域区画メッシュコード、第3次地域区画メッシュコードが検索され読み出される。
【0126】
さらに、上記1m区画、5m区画、10m区画・・・の地点情報は、上記分及び秒などの地点情報とそっくり置き換わることが可能である。この場合、上記分及び秒の地点情報の代わりにこの距離区画の地点情報が記憶されたり、入力されたり、変換されたり、逆変換されたり、表現されたり、処理されたりする。
【0127】
11.第3実施例
図15はナビゲーションコードNCの第3実施例のメッシュコードを示す。本実施例では、日本全体が1秒四方の区画に分割され、各区画に番号が振られ1秒区画メッシュコードとされる。日本全体は東経120度から156度、北緯20度から46度の範囲内にある。これを1秒区画に分けると、93600(秒)×129600(秒)の区画数ができ、93600(秒)は5桁であり129600(秒)は6桁であるから、各1秒区画は合計11桁で表される。
【0128】
ただ日本の外縁には海や島がおおく、海を省略したり、島をまとめたりすると、日本の主要部分は東経123度から150度、北緯24度から46度の範囲内にある。これを1秒区画に分けると、79200(秒)×97200(秒)の区画数ができ、79200(秒)は5桁であり97200(秒)も5桁であるから、各1秒区画は合計10桁で表される。
【0129】
本発明は上記実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明はナビゲーション装置または携帯できるまたは一般のコンピュータなどにおいて実施され得る。上記各図の回路の機能はソフトウエア(フローチャート)によって実施されても良いし、上記各図のフローチャートの機能はハードウエア(回路)によって実施されてもよい。
【0130】
また、上述のフローチャートの全部または一部の処理が、VICS、ATIS等の情報管理センターにおいて実行されてもよい。この処理結果(処理情報)は、データ送受信装置27で受信される。例えば、図5の目的地設定処理(ステップSA3)及び経路探索処理(ステップSA4)等が、地図情報が蓄積された情報処理センターにおいて実行される。そして、探索された案内経路データが、データ送受信装置27を介して本実施例のナビゲーション装置に転送される。
【0131】
さらに、送られてきた案内経路データに基づいて案内表示の処理が実行される。つまり、目的地または立ち寄り施設の検索条件及び、経路探索条件等の情報が本実施例のナビゲーション装置から上記情報管センターに送られる。情報管理センターでは、この送られてきた条件に基づき、所望の施設の検索と、目的地までの経路の探索が実行される。そして、情報管理センターからナビゲーション装置へ検索・抽出・探索結果に関する情報が地図情報等と共に送信される。
【0132】
ナビゲーション装置では、この受信された検索・抽出・探索結果に基づき、検索施設がディスプレイ33上に表示される。このようにすれば、自車の現在位置周辺に関する各施設の詳細かつ最新情報に基づいて、各施設の検索、抽出、探索が可能である。また、施設検索において、周辺道路の環境変化(一方通行道路の新設等)を考慮した検索が可能である。なお、この場合、情報管理センターに蓄積される各施設に関する情報は、常に更新される必要がある。
【0133】
また、本実施例で説明した各プログラムと、地図及び表示記号等の情報とを記憶した情報記憶部37を携帯できるまたは一般のコンピュータ装置で使用できるようにしてもよい。つまり、情報記憶部37に記憶されたプログラムが一般のコンピュータで実行可能なプログラムとされる。そして、GPS受信装置25によって現在位置を検出できる装置とともに、この情報記憶部37を携帯タイプのコンピュータ装置に接続すれば、このコンピュータ装置でもナビゲーション処理が可能となる。さらに、本発明は、自動車以外の車両や、船舶、航空機、ヘリコプタ等のナビゲーション装置としても適用でき、ナビゲーションに用いられる地図は、道路地図の他に、海図や海底地図等でも良い。さらにまた、本発明は、自動車等の移動体に装着されるナビゲーション装置のみならず、携帯型のナビゲーション装置に適用されても良い。つまり、サイクリング、旅行、登山、ハイキング、つり等において利用される、人間が携行できる小型のナビゲーション装置に本発明が適用されても良い。
【0134】
上述の各請求項に記載された本発明は、地理的座標入力装置/方法、地理的座標処理装置/方法、地理的座標表示装置/方法、コンピュータプログラムを記憶した媒体、コンピュータプログラムの通信方法/通信装置としても実行可能である。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明では、広い地理的範囲の中の多数の地域であって、経度及び緯度によらないでこの多数の地域を示す地域情報と、この地域内をさらに細かく分けた細分化地点を示す地点情報との組み合わせによって地理上の特定地点を表すようにした。したがって、桁の少ない数値で地理的座標を特定することができる等の効果を奏する。
【0136】
また、本発明では、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示す地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報との組み合わせによって地理上の特定地点を表すようにした。したがって、桁の少ない数値で地理的座標を特定することができる等の効果を奏する。
【0137】
地域情報と地点情報で入力された情報を、度、分及び秒などの経度及び緯度の情報に変換して出力するので、人間に都合のよい情報を装置の処理に適合するスタイルに変換でき、装置を人間にとって使い易いものにすることができる等の効果を奏する。
【0138】
経度及び緯度の度、分及び秒などで入力された情報のうち、度の情報を地域情報に変換して出力するので、装置の処理に適合する情報を人間に都合のよいスタイルに変換でき、装置を人間にとって使い易いものにすることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ナビゲーションコードNCを示す。
【図2】ナビゲーション装置の全体回路を示す。
【図3】情報記憶部37のデータ38cの記憶内容を示す。
【図4】行政地域データファイルF18を示す。
【図5】1つの行政地域が複数の経度又は緯度のエリアに属する場合の補正処理を示す。
【図6】地点−地域名データファイルF19を示す。
【図7】行政地域の境界を示す。
【図8】RAM5に記憶されるデータを示す。
【図9】全体処理のフローチャートを示す。
【図10】地理的座標変換処理のフローチャートを示す。
【図11】地理的座標逆変換処理のフローチャートを示す。
【図12】領域検出処理のフローチャートを示す。
【図13】行政地域の境界と延長線との交叉状態を示す。
【図14】第2実施例のナビゲーションコードNCを示す。
【図15】第3実施例のナビゲーションコードNCを示す。
【符号の説明】
1…処理部、2…CPU、3…フラッシュメモリ、4…ROM、5…RAM、7…センサ入力インタフェイス、8…通信インタフェイス、9…画像プロセッサ、10…画像メモリ、11…音声プロセッサ、13…スピーカ、20…現在位置検出装置、21…絶対方位センサ、22…相対方位センサ、23…距離センサ、24…速度センサ、25…GPS受信装置、26…ビーコン受信装置、27…データ送受信装置、30…入出力装置、33…ディスプレイ、34…タッチパネル、37…情報記憶部、38a…ディスク管理情報、39…データ送受信部

Claims (7)

  1. 経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、を記憶する手段と、
    該地域情報及び地点情報を入力する手段と、
    入力された地域情報に対応する経度及び緯度の各度を、この記憶された各地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報から読み出す手段と、
    入力された地点情報を、上記読み出された地域に対応する経度及び緯度の度の情報により分及び秒の情報に変換され、度、分及び秒として緯度、経度を出力する手段とを備えたことを特徴とする地理的座標変換装置。
  2. 情報記憶部に、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、が記憶されており、
    地域情報及び地点情報を入力する手段により、地域情報及び地点情報が入力されると
    前記情報記憶部から、入力された地域情報に対応する経度及び緯度の各度を、各地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報から読み出す手段が読み出し、
    入力された地点情報を、上記読み出された地域に対応する経度及び緯度の度の情報により分及び秒の情報に変換して、度、分及び秒として緯度、経度を出力する手段に出力することを特徴とする地理的座標変換方法。
  3. 経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒が少なくとも示される地点情報と、が記憶されており、
    該地域情報及び地点情報の入力処理、
    入力された地域情報に対応する経度及び緯度の各度を、この記憶された各地域情報に対応する経度及び緯度の度の情報から読み出しさせる処理、
    入力された地点情報を、上記読み出された地域に対応する経度及び緯度の度の情報により分及び秒の情報に変換させ、度、分及び秒として緯度、経度を出力させる処理とをコンピュータに実行させる、地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体。
  4. 経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、を記憶する手段と、
    度、分及び秒としての緯度、経度を入力する手段と、
    入力された度に対応する地域情報を、この記憶された経度及び緯度の度の情報に対応する地域情報から読み出す手段と、
    上記読み出された地域情報を、入力された分及び秒と共に出力する手段とを備えたことを特徴とする地理的座標変換装置。
  5. 情報記憶部に、経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、が記憶されており、
    度、分及び秒としての緯度、経度を入力する手段により、度、分及び秒としての緯度、経度が入力されると、
    前記情報記憶部から、入力された度に対応する地域情報を、経度及び緯度の度の情報に対応する地域情報から読み出す手段が読み出し、
    上記読み出された地域情報を、入力された分、秒と共に出力する手段に出力することを特徴とする地理的座標変換方法。
  6. 経度の幅及び緯度の幅が1度以内の地域を示すと共に、該地域に対応する経度及び緯度の度の情報とが対応して記憶される地域情報と、この地域内の特定地点の経度及び緯度の度を除外した分及び秒を少なくとも示す地点情報と、を記憶されており、
    度、分及び秒としての緯度、経度の入力処理、
    入力された度に対応する地域情報を、この記憶された経度及び緯度の度の情報に対応する地域情報から読み出し処理、
    上記読み出された地域情報を、入力された分、秒と共に出力させる処理とをコンピュータに実行させる、地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体。
  7. 上記各地域情報に対し、この地域が存在し得ない経度、緯度を判別する情報が記憶され、
    上記地域内の地点であっても、上記地域情報に対応する経度及び緯度の度に対してずれた位置にあり、当該対応する経度及び緯度の度をそのまま取り込んだとき、この地点が当該地域外になってしまうときには、上記地域が存在し得ない経度、緯度を判別する情報に基づいて、当該地点の経度及び緯度の度を補正することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、または6記載の地理的座標変換装置、地理的座標変換方法または地理的座標変換のためのプログラムを記憶した記憶媒体。
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