JP3584200B2 - ドレン浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はドレン浄化方法に係り、特に空気圧縮機から排出される油分と水分が混濁したドレンを電解分離槽にて油分と水分に分離凝集し、油分は浮上させて、油分が主成分のクリーム状のスカムと清浄水に油水分離するドレン浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気圧縮機から排出される油水分離の対象であるドレンの特性は、その機器タイプおよび使用潤滑油の影響を受け広範囲であるが、ドレン中の油分の割合は概ねスクリュウ圧縮機タイプでは数百ppm、レシプロ圧縮機タイプでは数千ppmである。
【0003】
従来技術のドレン浄化方法を、図4を用いて説明する。
図4において、内部に少なくとも1対の正負各電極1a,1bを有し、ドレン2で満たされた電解分離槽3が、装置上部に配置されている。装置下部には、空気圧縮機から排出されたドレン2を溜めておくサブタンク4が配置されており、当該ドレン2はドレン供給ポンプ5により配管6を介して電解分離槽下部供給口3aから電解分離槽3に供給される。
【0004】
このドレン2は圧縮機にて圧縮され更にアフタークーラーにて冷却される工程で発生し、空気中の湿気が凝縮して出来た水分が大部分であるが、この中に圧縮機用潤滑油である油分2aと空気に混入している塵埃や圧縮機部品の摺動部の金属磨耗粉等からなる浮遊物質2bが含まれている。
【0005】
このドレン2に含まれる油分2aと浮遊物質2bは、各電極1a,1bにて発生した微小な気泡7により分離凝集して大きくなりつつ上方に運ばれ、クリーム状のスカム8となる。このスカム8は間欠的に掻き出すスカム掻き出し装置9により、電解分離槽横のスカム受け10に集積される。
【0006】
一方油水分離されて残った水分2cは、電解分離槽3に併設された比重差槽11に流出し、液面上部11aより配管12を介してフィルター機能部13に送られる。ここで更に微小固形物質が捉えられ、ろ過された後は清浄水として排出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
空気圧縮機から排出されるドレン2中の水分は、空気中の湿気が凝縮したものである。従って電解質としては非常にイオン含有率の低い水分であり、その電気伝導度の値は小さい。
【0008】
そのために上記従来技術においては、電気伝導度の値が小さいドレン2を電解質として電解分離槽3にて油水分離処理をするが、各電極1a、1b間の電気抵抗が大きく、電流が流れにくくなっている。前述の電気伝導度とは、電気抵抗の逆数と定義された物理量であり、この電気伝導度値が小さいと、電極間の電解質を流れる電流値は小さく、その結果発生する微小な気泡の量は少なく、油水分離機能は低く、従ってドレンの浄化能力は低い。
【0009】
本発明の目的は、ドレンの電気伝導度が低い場合に、これを高めて電流を流れ易くし、ドレンの油水分離機能を向上することができるドレン浄化方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の特徴とするところは、内部に少なくとも1対の電極を有する電解分離槽により油水混濁のドレンの油水分離をするドレン浄化方法において、電解分離槽に供給するドレンに対して水道水を供給することにある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態における水道水をドレン供給ポンプ入り口部に供給するドレン浄化装置の概略構成図であり、図4に示す従来技術と同一機能の部分は、同一符号を付け詳細説明は省略する。
【0012】
ここで扱うドレン2は主に油分と水分からなり、大部分である水分は、圧縮機にて圧縮された高温・高圧の吐出空気がアフタークーラーで冷却された時に凝縮して発生するものである。
【0013】
従って、電解質としては非常にイオン含有率の低い水分であり、電気伝導度の値としては概ね10から20μS/cmの範囲である。この値は、本発明に従ってドレン2に供給するところの塩素系の殺菌剤を添加している公共の水道水の電気伝導度の値である140から800μS/cmと比較して、非常に小さいものである。
【0014】
公共の水道水はその特性が日本国内においてほとんど同程度であり、しかも安価で入手し易く、また環境影響の面からも問題はなく、電気伝導度を増加させるための混入物質として良好なものである。
【0015】
また、自家水道設備を有する施設等で、飲用とするべく必要に応じて浄化し、また公共の水道設備と同程度となるよう塩素系殺菌剤を添加している水道水にあっては、公共の水道水と同様に本発明に適用できる。
【0016】
図1において、装置下部に水道水タンク14を設け、水道水供給ポンプ15により水道水をドレン供給ポンプ5の入り口部5aに供給する。供給された水道水は、ドレン供給ポンプ5にてドレン2に充分に混合され電解分離槽3に送られる。
【0017】
この水道水が混入されたドレン2はその電気伝導度の値が数十から百数十μS/cmの範囲になっており、所定の直流電圧下においても電極1a,1b間の電解質に良好に電流が流れ、微小気泡の発生も盛んになり、油水分離機能は向上する。
【0018】
因みに一例として、電極総面積が約0.4m2、電極間隔が約20mm、電極間直流電圧が約十V程度の場合、電気伝導度Aと電流値Iの関係は概ね図2に示す通りである。つまり、電気伝導度Aの値が、約30μS/cm以下の範囲においては、電流値Iは小さく、従って電極表面からの微小気泡の発生が少なく、その結果油水分離機能は低下している。
【0019】
そこで、水道水を加えて電気伝導度を増やし、その値を数十(約40)μS/cm以上の範囲にすると、急激に電流値が増加し、従って電極表面からの微小気泡の発生が多くなり、その結果油水分離機能は向上する。
【0020】
このように電気伝導度を増やせば、さらに油水分離機能は向上するが、反面電極材の消耗も激しくなり、電極の寿命とドレン処理能力の観点から、電気伝導度の値の上限値はおおよそ百数十(約160)μS/cm程度が妥当である。
【0021】
更に、ドレン2に混合させる水道水供給量であるが、ドレン2の電気伝導度の値は概ね10から20μS/cmの範囲であり、公共の水道水の電気伝導度の値は140から800μS/cmであることより、ドレン量に対して10から30容積%の割合が妥当である。その関係は、図3に示すとおりであり、ドレンを排出する圧縮機仕様、設置場所,季節等により、ドレン及び水道水の電気伝導度の値は広範囲となるが、10から30容積%の割合が妥当である。
【0022】
実際の運用に当たっては、始運転時にドレン及び水道水の電気伝導度を予め計測し、変動幅を予測して水道水混合割合を設定する。供給水道水の量は、水道水供給ポンプの回転数,配管の調節弁の開度等により設定する。
【0023】
他の実施例として、水道水をドレンに混合する場所は、電解分離槽下部,サブタンクあるいはサブタンクから電解分離槽間の配管でもよく、これら単独あるいは組み合わせでも良い。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ドレンに対して、電解分離槽内での電極間の電流が流れ易くなり、電極表面から発生する微小な気泡の量が多くなり、効率良く油水分離できる。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ドレン浄化方法の一実施形態で用いるドレン浄化装置の概略図である。
【図2】電解分離槽における電気伝導度と電極間電流値の関係を示す図である。
【図3】電解分離槽における水道水供給割合と電気伝導度の関係を示す図である。
【図4】従来のドレン浄化方法でのドレン浄化装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1a、1b…電極
2…ドレン
2a…油分
2b…浮遊物質
2c…水分
3…電解分離槽
4…サブタンク
5…ドレン供給ポンプ
6…配管
7…気泡
8…スカム
9…スカム掻き出し装置
10…スカム受け
11…比重差槽
11a…液面上部
12…配管
13…フィルター機能部
14…水道水タンク
15…水道水供給ポンプ゜
Claims (4)
- 内部に少なくとも1対の電極を有する電解分離槽により油水混濁のドレンの油水分離をするドレン浄化方法において、
該電解分離槽に供給するドレンに対して水道水を供給することを特徴とするドレン浄化方法。 - 請求項1に記載のドレン浄化方法において、
該水道水は、混入した後のドレンの電気伝導度が40〜160μS/cmの範囲の値となるように公共の水道水などを供給することを特徴とするドレン浄化方法。 - 請求項1に記載のドレン浄化方法において、
該水道水は、ドレン量の10〜30容積%の割合で公共の水道水などを供給することを特徴とするドレン浄化方法。 - 請求項1に記載のドレン浄化方法において、
該水道水は、該電解分離槽、該電解分離槽に供給するドレンを一旦溜めおくサブタンク、該サブタンクから該電解分離槽までの配管部、および該サブタンクから該電解分離槽にドレンを供給するドレン供給ポンプの入り口部の少なくとも一箇所に公共の水道水などを供給することを特徴とするドレン浄化方法。
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