JP3584164B2 - ダイレクトコンバージョン受信機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信周波数を周波数変換器によって直接ベースバンド周波数に周波数変換するダイレクトコンバージョン受信方式を用いた受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイレクトコンバージョン受信方式は、受信した高周波信号(RF信号)を、これと同じ周波数を持つローカル発振信号(LO信号)によってミキシングし、直接ベースバンドに周波数変換して検波を行う受信方式である。このダイレクトコンバージョン受信方式としては、ローカル発振信号の周波数を高周波信号の周波数の目的チャンネルに一致させる方式や、ローカル発振信号の周波数を目的チャンネルからずらす方式とがある(特公平2−4183号公報,特開平9‐83595号参照)。
【0003】
従来のダイレクトコンバージョン受信機(特開平7−321686号)では、
図6に示すように、複数の周波数変換器601〜604を組み合わせたものを用いている。周波数変換器601〜604は、それぞれ、フィルタ801〜804に接続されている。そして、この従来例では、ローカル発振器904からのローカル発振器信号にそれぞれπ/2,π,3π/2ラジアンだけ位相差を与えるπ/2,π,3π/2位相器701,702,703を備えている。この位相器701,702,703が上記ローカル発振信号に上記位相差を与えることによって、各周波数変換器601,602,603,604から漏洩した信号が互いにその振幅を打ち消し合うようにする。これにより、受信した高周波信号と同じ周波数を特つローカル発振信号が周波数変換器601〜604から、高周波部にリークしないようにして、RFアンプ905,RFフィルタ906を伝わってアンテナ907からローカル発振信号が空中に放射されないようにしている。
【0004】
なお、実際には、上記従来例において、4つの周波数変換器601〜604は必要ではなく、ローカル発振信号の位相がπラジアンだけずれている2つの周波数変換器601と603だけで、ローカル発振器信号のリークを打ち消すことができる。しかし、この従来例では、周波数変換器601と603のペアに対して、π/2ラジアンだけ位相をずらせたローカル発振信号が入力される周波数変換器602と604を備えて、位相変調信号を受信復調できるようにしている。この従来例のようなバランス型構成はダイレクトコンバージョンに特有の問題点である2次相互変調歪みを低減する効果も持っている優れた構成である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、典型的な小形受信機のローカル発振器の出力レベルは、通常−20dBm程度必要である。
【0006】
したがって、上記従来例のように、周波数変換器におけるバランスによって、周波数変換器からの漏洩を防いだ場合であっても、ローカル発振器104自身やローカル発振信号を増幅するバッファアンプから、直接あるいは電源線を経由して、アンテナから不要放射されるローカル発振信号が無視できなくなる。
【0007】
特に、ダイレクトコンバージョン方式の受信機では、ローカル発振信号が受信高周波信号と同じ周波数である。したがって、ダイレクトコンバージョン受信機でPDC(パーソナルデジタルセルラー)方式等の携帯電話受信機を構成した場合、ローカル発振器から空中への放射は、隣接する同じ周波数を用いる受信機に対して妨害波となる。したがって、受信機間の電波干渉を生じる。たとえば、1つのダイレクトコンバージョン受信機から3mだけ離れた別の同じダイレクトコンバージョン受信機に影響を与えないためには、アンテナからの同一周波数帯の不要放射を、−70dBm程度以下と極めて低い値に抑える必要がある。
【0008】
さらに、これらの不要放射は、最近の移動体無線の筐体の小型化に伴ない、シールド等での十分な抑制がますます困難となってきている。
【0009】
このように、従来のダイレクトコンバージョン受信機においては、ローカル発振器が動作状態になっている時に、そのリーク電力が周波数変換器以外からも放射され、この不要放射が受信機間の相互干渉を引き起こしていた。
【0010】
したがって、ダイレクトコンバージョン受信機を無線通信システムに有効に適用するためには、このローカル発振器からの不要放射による電波干渉の問題を解決する必要がある。
【0011】
そこで、この発明の目的は、ローカル発振器からの不要放射を防ぐことができるダイレクトコンバージョン受信機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のダイレクトコンバージョン受信機は、複数の周波数変換器と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
上記ローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の上記周波数変換器に入力する位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0013】
この請求項1の発明では、ローカル発振器は、受信した高周波信号の奇数分の1の周波数の高周波信号を上記位相差手段に入力する。そして、この位相差手段は上記高周波信号をπラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の周波数変換器に入力する。
【0014】
この請求項1の発明では、ローカル発振信号の周波数を受信高周波信号の周波数帯の奇数分の1に設定しているので、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数と大きく離れている。したがって、この請求項1の発明では、受信側のフィルタやアンテナの周波数特性によって、ローカル発振信号が除去される効果が大きくなって、空中へのローカル発振信号の放射が従来例に比べて大幅に低減できる。また、たとえ、この奇数分の1の周波数のローカル発振信号が漏洩しても、受信高周波信号の周波数から大きく離れているので、隣接する同じRF周波数を使用する同じシステムの他の無線局への妨害とはならない。したがって、この発明によれば、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができ、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害とはならない受信機を実現できる。
【0015】
また、請求項2の発明は、複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして上記複数の周波数変換器に入力する受信側移相差手段と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の上記周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0016】
この請求項2の発明では、発振側のπラジアン位相差手段に加えて、受信側のπラジアン位相差手段を備えることによって、ローカル発振信号をバランスさせることができるだけでなく、受信信号をバランスさせることができる。この2つの信号バランスによる相乗効果によって、シングルバランスのみの場合に比べて2次相互変調歪を抑制できる。
【0017】
また、請求項3の発明は、複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπ/2ラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして上記複数の周波数変換器に入力する受信側位相差手段と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とが構成する直交復調器を有したダイレクトコンバージョン受機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0018】
この請求項3の発明では、請求項1,2の発明と同様に、ローカル発振器が、受信した高周波信号の周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生するから、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができる。
【0019】
また、この請求項3の発明では、発振側のπラジアン位相差手段によって、ローカル発振信号をバランスさせることができる。また、受信側のπ/2ラジアン位相差手段によって、位相変調信号の検波におけるI信号とQ信号を分離することができる位相変調信号復調用ダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。
【0020】
また、請求項4の発明は、複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπ/2ラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する受信側移相差手段と、上記周波数変換器の出力側に接続されたπ/2ラジアン位相器とがイメージ除去回路を構成しており、上記複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数から上記高周波信号の帯域幅以下の周波数だけずれた高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0021】
この請求項4の発明では、ローカル発振器が発生する高周波信号の周波数を受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数から上記受信高周波信号の帯域幅以下の周波数だけずれた周波数に設定している。したがって、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制できる。また、上記ローカル発振器の発振周波数が受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数からずれているので、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できる。
【0022】
また、この請求項4の発明では、複数の周波数変換器と受信側(π/2ラジアン)移相差手段と出力側(π/2ラジアン)位相器とが構成するイメージ除去回路によって、上記周波数のずれに起因して生じるイメージ信号を除去できる。
【0023】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のダイレクトコンバージョン受信機において、上記発振側位相差手段と上記周波数変換器との間に差動アンプを接続したことを特徴としている。
【0024】
この請求項5の発明では、発振側位相差手段と周波数変換器との間に差動アンプを接続したから、この差動アンプ内部で奇数次の高調波が打ち消し合う。したがって、差動アンプから外部への奇数次の高調波の漏洩を防ぐことができる。また、ローカル発振器の出力を小さくすることができ、ローカル発振器からの不要放射を低減できる。
【0025】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のダイレクトコンバージョン受信機において、上記ローカル周波数信号のローカル周波数を、受信周波数帯の3分の1の周波数にしたことを特徴としている。
【0026】
この請求項6の発明では、ローカル発振信号の周波数を受信周波数帯の3分の1の周波数にしたから、不要放射抑制性能が最も優れている。何故ならば、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数の5分の1,7分の1と奇数分の1の奇数の次数が大きくなるほど、周波数変換器の変換効率が低下するからである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
〔第1の実施の形態〕
図1に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第1実施形態を示す。この第1実施形態は、アンテナ107,フィルタ106,周波数変換部112を備える。尚、図1では、この発明の説明に直接関係のないべースバンド信号処理部分は省略してある。
【0029】
この実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の周波数変換部112は、2個の周波数変換器101,102を備えている。そして、この周波数変換器101には、ローカル発振器104が直接に接続されており、周波数変換器102には、π位相器103を介してローカル発振器104に接続されている。
【0030】
上記2つの周波数変換器101,102は、フィルタ121,122を経由して、端子108,109に接続されており、この端子108,109は差動アンプ110に接続されている。この差動アンプ110は出力端子111に接続されている。
【0031】
上記構成のダイレクトコンバージョン受信機では、アンテナ107からの受信高周波信号をフィルタ106を経由してRFアンプ105で増幅し、周波数変換器101,102に入力する。一方、ローカル発振器104は、受信高周波信号の3分の1の周波数の出力信号を出力する。この出力信号は、位相差0で周波数変換器101に直接入力され、移相器103を経由して、位相差πラジアンで周波数変換器102に入力される。そして、周波数変換器101,102から、フィルタ121,122を経由して、端子108,109に出力される信号を差動アンプ110で合成し、出力端子111に出力する。これにより、出力端子111からベースバンドを得る。
【0032】
なお、この実施形態において、ローカル発振器104の出力信号の周波数を受信RF周波数の3分の1から5分の1に変えても、同じ構造でベースバンド信号を得ることができる。また、上記ローカル発振器104の出力信号の周波数を受信RF周波数の7分の1にしてもよく、受信RF周波数の任意の奇数分の1の周波数にしてもよい。
【0033】
この第1実施形態によれば、ローカル発振器(LO)信号の空中への放射を、従来例(受信高周波信号周波数=ローカル発振信号周波数)に比べて、大幅に低減でき、小型受信機において特に重要になる不要放射の低減を容易に実現できる。
【0034】
すなわち、この第1実施形態では、ローカル発振器(LO)信号の周波数を受信RF周波数の3分の1に設定しているので、ローカル発振器信号の周波数が受信高周波信号周波数と大きく離れている。したがって、この実施形態では、フィルタ106,アンテナ107の周波数特性によって、ローカル発振信号が除去される効果が大きくなって、空中へのローカル発振信号の放射が従来例(受信RF周波数=LO周波数)に比べて、大幅に低減できる。また、たとえ、この3分の1の周波数のローカル発振信号が漏洩しても、受信RF周波数から大きく離れているので、隣接する同じRF周波数を使用する同じシステムの他の無線局への妨害とはならない。
【0035】
したがって、この実施形態によれば、受信高周波信号周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができ、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害とはならない受信機を実現できる。
【0036】
また、この実施形態によれば、従来例とは異なり、ローカル発振信号周波数が受信高周波信号周波数と異なるため、ローカル発振器104からの受信RF周波数と同じ帯域の不要放射を大幅に抑制できる。
【0037】
また、周波数変換器101,102は、ローカル発振信号に対して大信号で動作しているので、本来、歪みによって高調波を発生してしまい、奇数次高調波の一つが受信高周波信号周波数と同じ周波数となる。しかし、周波数変換器101,102は、π位相器103でバランス構成を取っているから、バランスさせた周波数変換器101,102の各端子(RF入力端子,ベースバンド出力端子,あるいは電源端子)で、奇数次の高調波の位相が互いに(π/2)ラジアンだけ異なり相殺されるので、外部に漏洩しない。
【0038】
また、この実施形態において、ローカル発振器104の周波数を受信信号周波数の5分の1や7分の1あるいは所定の奇数分の1にした場合にも、上記したような不要放射の少ないダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。もっとも、ローカル発振器104の周波数を受信信号周波数の3分の1に設定した場合に、不要放射抑制効果が最も優れている。
【0039】
ここで、ベースバンド信号が得られる原理を説明する。各周波数変換器101,102からの出力信号の内の|fRF−3×fLO|の成分が、出力側に差動出力されることによる。ここで、fRFは受信信号周波数の成分であり、fLOはローカル発振周波数の3倍の周波数の成分である。一方、ローカル発振器104の周波数を受信高周波信号の周波数の5分の1または7分の1に変更した場合には、|fR F−5×fLO|の成分または|fRF−7×fLO|の成分がベースバンド信号として出力側に差動出力される。これらの場合に、周波数変換器101,102は高調波周波数変換器として動作しているから、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数の5分の1,7分の1と奇数分の1の奇数の次数が大きくなるほど、周波数変換器101,102の変換効率が低下する。したがって、ローカル発振信号の周波数を受信高周波信号周波数の3分の1に設定した場合に、不要放射抑制性能が最も優れている。
【0040】
ところで、受信高周波信号の周波数の偶数分の1の周波数のローカル発振信号を使用して、周波数変換器のバランス構成でもって、周波数変換器における歪みによって発生する受信周波数と同じ周波数の信号を取り除くには、それぞれ、0,π/2,π,3π/2だけ位相をシフトさせたローカル発振信号が必要となる。このため、回路構成が複雑化してしまう。そして、仮に、偶数次高調波バランス周波数変換器を用いて、0,πラジアンだけ位相をシフトさせたバランス回路に設定した場合には、上記偶数次高調波バランス周波数変換器あるいはバランスアンプにおいて偶数次の高調波が相殺されずに、同相信号としてバランス回路の外部に出力されてしまう。
【0041】
さらにまた、偶数次高調波周波数変換器を用いて、それぞれ、0,π/2だけ位相をシフトさせた回路構成とした場合には、バランス周波数変換器とならず、2次相互変調歪を抑制する効果およびローカル発振信号漏洩を抑制する効果が無くなる。また、同じような不要放射の低減を目的として、アンチパラレルダイオードペアを用いた偶高調波周波数変換器があるが、原理的にゲインが得られず、回路特性に限界がある。また、偶数次高調波バランス周波数変換器で、0,π/2,π,3π/2とπ/2単位で位相をシフトさせた場合は、移相器の精度のみにバランスの精度が依存してしまう。最近の通信では、帯域が広帯域化する傾向にあり、π/2位相シフトが正確に行われないので、バランスが崩れる原因となってしまう。
【0042】
これに対し、この第1実施形態では、受信高周波信号の偶数分の1の周波数のローカル発振周波数を採用せずに、受信RF周波数の奇数分の1のローカル発振周波数を採用した。このことによって、πラジアンの位相器103を用い、差動アンプ110でバランスの精度を向上させることができ、フィルター121,122で同相成分を除去してバランスの精度を向上させることができる。
【0043】
なお、一般の通信システムでは、受信する高周波信号には周波数幅があり、周波数軸上にチャンネルを設定して使用している。そして、この第1実施形態において、目的の受信チャンネル周波数の1/3にローカル発振器104の周波数を設定した場合には、信号の位相情報が失われる。したがって、位相情報の必要な変調方式の場合には、後述する第3の実施形態のように直交復調器を構成する必要がある。また、ローカル発振器104の周波数を、目的の受信チャンネル周波数の1/3からずらして設定した場合には、イメージ周波数に相当する周波数の他のチャンネルの信号が重なるから、後述する第4実施形態のようなイメージ除去回路を用いる必要がある。
【0044】
〔第2の実施の形態〕
図2に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第2の実施の形態を示す。尚、図2では、べースバンド信号処理部分は発明の説明に直接関係しないから省略している。
【0045】
この第2実施形態のダイレクトコンバージョン受信機は、周波数変換部212の構成が、第1実施形態の周波数変換部112の構成と異なる点だけが、第1実施形態と異なる。したがって、この第2実施形態では、第1実施形態と異なる点を重点的に説明する。
【0046】
この第2実施形態の周波数変換部212は、RFアンプ105に接続された4つの周波数変換器201,202,203,204を備えている。4つの周波数変換器201,202,203,204は並列に接続されている。上記周波数変換器201と202はRFアンプ105に直接に接続されており、周波数変換器203と204はπラジアン位相器205を介してRFアンプ105に接続されている。そして、上記周波数変換器201と204はπラジアン位相器103を経由してローカル発振器104に接続されており、周波数変換器202と203はローカル発振器104に直接に接続されている。さらに、周波数変換器201,203の出力側はフィルタ131に接続されており、周波数変換器202,204の出力側はフィルタ132に接続されている。そして、このフィルタ131,132は差動アンプ110に接続され、差動アンプ110は出力端子111に接続されている。
【0047】
この第2実施形態では、アンテナ107からの受信高周波信号をフィルタ106を経由してRFアンプ105で増幅し、周波数変換器201と202に直接入力される。一方、周波数変換器203と204には、位相器103でπラジアンの位相差が与えられた信号が入力される。
【0048】
一方、周波数変換器201,204には、ローカル発振器104からπラジアン位相器103を経由したローカル発振信号が入力され、周波数変換器202,203には、ローカル発振器104からのローカル発振信号が直接入力される。上記ローカル発振信号の周波数は、受信高周波信号の3分の1の周波数に設定している。
【0049】
そして、周波数変換器201,203からフィルタ131を経由して端子108に出力された信号と、周波数変換器202,204からフィルタ132を経由した端子109に出力された信号とを、差動アンプ110で合成し端子111に出力することによってベースバンド信号を得る。
【0050】
この第2実施形態は、上記受信信号側のπラジアン位相器205を備えることで、第1実施形態の受信機を受信信号側でもバランス構成とした高調波ダブルバランス周波数変換器の構成となっている。したがって、この第2実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、以下に述べる効果を発揮できる。
【0051】
この第2実施形態では、ダブルバランス構成としたことで、ダイレクトコンバージヨン受信機の特性で重要な2次相互変調歪みを、ローカル信号のバランスのみの第1実施形態に比べて、10〜15dBだけ抑制できた。
【0052】
ここで、上記2次相互変調歪みについて説明する。ダイレクトコンバージョン受信機で解決すべき問題点の一つに2次相互変調歪みがある。すなわち、アンテナ107,フィルタ106の周波数特性によって、周波数変換器201〜204に入力される受信帯域の中に強度が大きく、かつ、AM変調成分を含んだ信号が入力された場合に、この入力信号が2次相互変調歪みによってべースバンド信号周波数に重なる出力となってしまう。前述の第1実施形態では、バランス構成を取ることによって、ベースバンド信号に対し2次相互変調歪みを抑制した。しかし、最近の移動体通信では、フェージングのために目的周波数の信号よりも30から40dBだけ大きな信号が入力される場合がある。また、チャンネル数が多いことに起因して、そのような妨害となる電波も多くなっている。このため、ダイレクトコンバージョン方式を採用した場合に求められる2次相互変調歪み特性が非常に厳しくなり、更なる特性改善が望まれている。
【0053】
ここで、2次相互変調歪みの抑制は、周波数変換器素子のバランス,ローカル信号のバランス,および周波数変換器201,202,203,204からの出力を合成する差動アンプ110のバランスによって決定される。周波数変換器201〜204のバランスは複数の周波数変換器素子をモノリシック化して構成することで向上でき、差動アンプ110のバランスは周波数がべースバンド領域なので比較的容易に向上できる。一方、ローカル発振信号のバランスは、前述の第1実施形態と同じ方法で向上できるものの、理想的なバランスはやはり無理である。
【0054】
これに対し、この第2実施形態では、ローカル信号のバランスに加えて、受信信号をバランスさせることによる相乗効果を持つので、第1実施形態のシングルバランスの場合に比べて、2次相互変調歪のさらなる抑制が可能になる。
【0055】
尚、この第2実施形態では、ローカル発振器の周波数を受信高周波信号周波数の3分の1から5分の1,7分の1と奇数分の1に変化させても、同じ構造でべースバンド信号を得ることができる。
【0056】
〔第3の実施の形態〕
次に、図3に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、位相変調方式の受信信号の復調を目的としたものである。尚、図3では、この発明の説明に直接関係のないべースバンド信号処理部分を省略している。
【0057】
この第3実施形態は、アンテナ107,フィルタ106,RFアンプ105を備え、このRFアンプ105に接続された2つの周波数変換部312,313を備えている。この周波数変換部312はRFアンプ105に直接接続されており、周波数変換部313は(π/2)ラジアン位相器305を介して差動アンプ105に接続されている。また、この周波数変換部312,313は、ローカル発振器104に直接接続されている端子315,316とπラジアン位相器103を経由してローカル発振器104に接続されている端子317,318を備えている。そして、この周波数変換部312,313は出力端子111,119に接続されている。
【0058】
この第3実施形態では、アンテナ107,フィルタ106を経由したRFアンプ105からの受信高周波信号は、(π/2)ラジアン移相器305によって、(π/2)ラジアンの位相差を与えられて、周波数変換部313に入力される。一方、上記受信高周波信号は、位相差ゼロで周波数変換部312に入力される。なお、この周波数変換部312,313としては、図1の第1実施形態の周波数変換部112あるいは図2の第2実施形態の周波数変換部212を用いる。
【0059】
上記ローカル発振器104は、受信チャネル周波数の3分の1の周波数の出力信号を出力する。この出力信号は、πラジアン移相器103によって、πラジアンだけの位相差が与えられて、周波数変換部312,313の端子317,318に入力される。一方、この周波数変換部312,313の端子315,316には、ローカル発振器104から位相差ゼロの出力信号が入力される。
【0060】
これにより、周波数変換部312,313の出力端子111,119から、ベースバンドI,Q信号が得られる。
【0061】
なお、ローカル発振器104の周波数を受信高周波信号周波数の3分の1から5分の1,あるいは7分の1や所望の奇数分の1に変更しても、同じ構造でべースバンド信号を得ることができる。
【0062】
この第3実施形態では、第1,第2の実施形態の効果を同様に発揮できることに加えて、以下の効果を発揮できる。
【0063】
この第3実施形態では、位相変調信号の検波において、I,Q信号を分離するために、受信高周波信号を(π/2)ラジアンだけシフトさせて、2個の周波数変換器部312,313に入力し、2個の周波数変換部312,313それぞれから、I信号,Q信号を得る。このように、この第3の実施形態では、直交復調器を構成して位相情報を得ている。
【0064】
この第3実施形態では、受信高周波信号を(π/2)ラジアンだけシフトさせる一方、ローカル信号に対しては、第1実施形態と同様に、バランス構成のために位相器103によってπラジアンだけシフトさせている。
【0065】
この第3実施形態では、第1実施形態と同様に、受信高周波信号周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができるので、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害が無い位相変調信号復調用ダイレクトコンバージョン受信機を構成できる。
【0066】
なお、この第3実施形態において、周波数変換部312,313として、第1実施形態の周波数変換部112を使用した方が、第2実施形態の周波数変換部212を使用した場合に比べて、回路が簡単になる。しかし、受信チャネル周波数の3分の1の周波数にローカル発振器104の周波数を一致させる場合には、2次相互変調歪みによる信号の劣化が非常に大きな問題となる。したがって、第2実施形態で説明したように、周波数変換部312,313として、周波数変換部212の回路を使用することによって、2次相互変調歪み特性を改善できる。
【0067】
〔第4の実施の形態〕
次に、図4に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、ローカル発振信号の周波数を受信チャンネル周波数の奇数分の1からずらす方式を採用した。尚、図4では、この発明の説明に直接関係しないべースバンド信号処理部分を省略している。
【0068】
この第4実施形態は、周波数変換部413が(π/2)位相器406を経由して出力端子411に接続されており、周波数変換部412が出力端子411に直接に接続されている点が、前述の第3実施形態と異なっている。
【0069】
この第4実施形態では、RFアンプ105からの受信高周波信号は、(π/2)位相器405を含まない経路421と(π/2)移相器405を含む経路422とによって、0,π/2だけの位相差を与えられて、周波数変換部412,413に入力される。この周波数変換部412,413は、図1に示す第1実施形態が有する周波数変換部112、あるいは、図2に示す第2実施形態が有する周波数変換部212で構成する。
【0070】
また、この第4実施形態では、ローカル発振器104の発振周波数を、受信高周波信号の目的チャンネル周波数からδfだけずらした周波数の3分の1の周波数に設定した。そして、上記ローカル発振器104が出力した発振信号に対し、π位相器103を含まない経路425,π移相器103を含む経路426とによって、0,πだけの位相差を与え、周波数変換部412,413に入力する。
【0071】
周波数変換部412,413から出力された信号は、移相器406を含まない経路427,位相器406を含む経路428によって、(π/2)だけの位相差が与えられて、出力端子411に入力される。これにより、出力端子411から周波数δfだけ周波数がずれたベースバンド信号が得られる。
【0072】
この第4実施形態においても、第1,第2実施形態が有する効果を同様に発揮できる。また、この第4実施形態によれば、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できるダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。
【0073】
この第4実施形態では、(π/2)移相器405,406および周波数変換部412,413でもって、イメージ抑制回路を構成している。
【0074】
また、この第4実施形態では、ローカル発振信号の周波数を受信チャンネル周波数の奇数分の1からδfだけずらしているので、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できる。
【0075】
なお、上記ずれ周波数δfの値は、受信高周波信号の帯域幅程度以下が可能であるが、好ましくは、チャンネル間隔の2倍以内がよい。その理由は、上記ずれ周波数δfが大きいほど、イメージ周波数と目的チャンネル周波数の差が開き、フェージングの影響によってイメージ周波数の別のチャンネル信号が目的チャンネル信号より大きくなる確率が大きくなり、イメージ信号を除去しきれなくなるからである。したがって、上記ずれ周波数δfは、好ましくは、チャンネル間隔の0.25倍、もしくは、0.75倍に設定し、イメージ周波数がチャンネルの間の周波数になるように設定することが好ましい。
【0076】
なお、この第4の実施の形態において、ローカル発信器104の発振周波数を、受信高周波信号周波数の3分の1から5分の1あるいは7分の1の周波数に変更してもよい。この場合にも、図4に示した構造と同じ構造で、べースバンド信号を得ることができる。
【0077】
〔第5の実施の形態〕
次に、図5に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第5実施形態を示す。尚、図5では、この発明の説明に直接に関係が無いべースバンド信号処理部分を省略している。
【0078】
この第5実施形態は、アンテナ107,フィルタ106,RFアンプ105,周波数変換部512の順に接続されている。一方、ローカル発振器104は、π位相器103を含まない経路521,π位相器103を含む経路522でもって、バッファアンプ501に接続されており、このバッファアンプ501は周波数変換部512に接続されている。そして、この周波数変換部512は出力端子513に接続されている。
【0079】
この第5実施形態では、RFアンプ105からの受信高周波信号は、周波数変換部512に入力される。一方、ローカル発振器104は、受信高周波信号の奇数分の1の周波数の出力信号を経路521,522に出力する。この経路521,522に出力された出力信号は、π移相器103によって、0,πラジアンだけの位相差が与えられて、差動アンプを備えたバッファアンプ501で増幅されて、周波数変換部512に入力される。
【0080】
この第5実施形態では、周波数変換部512を、第1,第2,第3,第4実施形態が有する周波数変換部112,212,312,313,412,413で構成することによって、出力端子513からベースバンド信号を得ることができる。この第5実施形態によれば、差動アンプで構成したバッファアンプ501を使用することによって、不要放射を約10dB低減できた。
【0081】
ところで、この第5実施形態では、ローカル発振信号が(−20)dBm程度と比較的大きいので、ローカル発振器104でひずみによる高調波が発生し、奇数次高調波の一つが受信高周波信号と同じ周波数になる。この奇数次高調波は、第1,第2実施形態のような構成では、場合によって自身の受信妨害になるか、もしくは、不要放射として他の受信機への妨害電波になる。一方、ローカル発振器104からの不要放射を低減するために、ローカル発振器104の出力を小さくしてバッファアンプを用いた場合には、このバッファアンブで、歪みによる高調波が発生し前述と同様の問題となることがある。
【0082】
これに対し、この第5実施形態では、バッファアンプ501を差動アンプで構成したから、バッファアンプ501内部で奇数次の高調波が打ち消し合う。したがって、バッファアンプ501から外部への奇数次の高調波の漏洩を防ぐと共にローカル発振器104の出力を小さくし、発振器104からの不要放射も低減できる。
【0083】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明のダイレクトコンバージョン受信機では、ローカル発振信号の周波数を受信高周波信号の周波数帯の奇数分の1に設定しているので、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数から大きく離れている。したがって、この請求項1の発明では、受信側のフィルタやアンテナの周波数特性によって、ローカル発振信号が除去される効果が大きくなって、空中へのローカル発振信号の放射を従来例に比べて大幅に低減できる。また、たとえ、この奇数分の1の周波数のローカル発振信号が漏洩しても、受信高周波信号の周波数から大きく離れているので、隣接する同じRF周波数を使用する同じシステムの他の無線局への妨害とはならない。したがって、この発明によれば、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができ、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害とはならない受信機を実現できる。
【0084】
また、請求項2の発明は、発振側のπラジアン位相差手段に加えて、受信側のπラジアン位相差手段を備えることによって、ローカル発振信号をバランスさせることができるだけでなく、受信信号をバランスさせることができる。この2つの信号バランスによる相乗効果によって、シングルバランスのみの場合に比べて2次相互変調歪を抑制できる。
【0085】
また、請求項3の発明は、請求項1,2の発明と同様に、ローカル発振器が、受信した高周波信号の周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生するから、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができる。
【0086】
また、この請求項3の発明では、発振側のπラジアン位相差手段によって、ローカル発振信号をバランスさせることができる。また、受信側のπ/2ラジアン位相差手段によって、位相変調信号の検波におけるI信号とQ信号を分離することができる位相変調信号復調用ダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。
【0087】
また、請求項4の発明は、ローカル発振器が発生する高周波信号の周波数を受信高周波信号の周波数帯の奇数分の1の周波数から上記受信高周波信号の帯域幅以下の周波数だけずれた周波数に設定している。したがって、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制できる。また、上記ローカル発振器の発振周波数が受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数からずれているので、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できる。
【0088】
また、この請求項4の発明では、複数の周波数変換器と受信側(π/2ラジアン)移相差手段と出力側(π/2ラジアン)位相器とが構成するイメージ除去回路によって、上記周波数のずれに起因して生じるイメージ信号を除去できる。
【0089】
また、請求項5の発明は、発振側位相差手段と周波数変換器との間に差動アンプを接続したから、この差動アンプ内部で奇数次の高調波が打ち消し合う。したがって、差動アンプから外部への奇数次の高調波の漏洩を防ぐことができる。また、ローカル発振器の出力を小さくすることができ、ローカル発振器からの不要放射を低減できる。
【0090】
また、請求項6の発明は、ローカル発振信号の周波数を受信周波数帯の3分の1の周波数にしたから、不要放射抑制性能が最も優れている。何故ならば、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数の5分の1,7分の1と奇数分の1の奇数の次数が大きくなるほど、周波数変換器の変換効率が低下するからである。
【0091】
上記のように、この発明のダイレクトコンバージョン受信機によれば、受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数のローカル信号を用い、周波数変換器,バッファアンプで発生する受信信号と同じ周波数の高調波の出力位相を互いに打ち消し合うような位相関係に設定している。したがって、ローカル発振器の出力がアンテナから不要放射する電力を抑制でき、隣接する受信機間相互の電波干渉を無くして、ダイレクトコンバージヨン受信機を用いたシステムを確実に運用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第2実施形態のの構成を示すブロック図である。
【図3】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第3実施形態の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第4実施形態の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第5実施形態の構成を示すブロック図である。
【図6】従来例のダイレクトコンバージョン受信機の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
101,102,201,202,203,204,601,602,603,604…周波数変換器、
112,212,312,313,412,413…周波数変換部、
103,205,305,405,406…移相器、
104…ローカル発振器、105…RFアンプ、106…RFフィルタ、
107…受信アンテナ、110…ベースバンドアンプ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信周波数を周波数変換器によって直接ベースバンド周波数に周波数変換するダイレクトコンバージョン受信方式を用いた受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイレクトコンバージョン受信方式は、受信した高周波信号(RF信号)を、これと同じ周波数を持つローカル発振信号(LO信号)によってミキシングし、直接ベースバンドに周波数変換して検波を行う受信方式である。このダイレクトコンバージョン受信方式としては、ローカル発振信号の周波数を高周波信号の周波数の目的チャンネルに一致させる方式や、ローカル発振信号の周波数を目的チャンネルからずらす方式とがある(特公平2−4183号公報,特開平9‐83595号参照)。
【0003】
従来のダイレクトコンバージョン受信機(特開平7−321686号)では、
図6に示すように、複数の周波数変換器601〜604を組み合わせたものを用いている。周波数変換器601〜604は、それぞれ、フィルタ801〜804に接続されている。そして、この従来例では、ローカル発振器904からのローカル発振器信号にそれぞれπ/2,π,3π/2ラジアンだけ位相差を与えるπ/2,π,3π/2位相器701,702,703を備えている。この位相器701,702,703が上記ローカル発振信号に上記位相差を与えることによって、各周波数変換器601,602,603,604から漏洩した信号が互いにその振幅を打ち消し合うようにする。これにより、受信した高周波信号と同じ周波数を特つローカル発振信号が周波数変換器601〜604から、高周波部にリークしないようにして、RFアンプ905,RFフィルタ906を伝わってアンテナ907からローカル発振信号が空中に放射されないようにしている。
【0004】
なお、実際には、上記従来例において、4つの周波数変換器601〜604は必要ではなく、ローカル発振信号の位相がπラジアンだけずれている2つの周波数変換器601と603だけで、ローカル発振器信号のリークを打ち消すことができる。しかし、この従来例では、周波数変換器601と603のペアに対して、π/2ラジアンだけ位相をずらせたローカル発振信号が入力される周波数変換器602と604を備えて、位相変調信号を受信復調できるようにしている。この従来例のようなバランス型構成はダイレクトコンバージョンに特有の問題点である2次相互変調歪みを低減する効果も持っている優れた構成である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、典型的な小形受信機のローカル発振器の出力レベルは、通常−20dBm程度必要である。
【0006】
したがって、上記従来例のように、周波数変換器におけるバランスによって、周波数変換器からの漏洩を防いだ場合であっても、ローカル発振器104自身やローカル発振信号を増幅するバッファアンプから、直接あるいは電源線を経由して、アンテナから不要放射されるローカル発振信号が無視できなくなる。
【0007】
特に、ダイレクトコンバージョン方式の受信機では、ローカル発振信号が受信高周波信号と同じ周波数である。したがって、ダイレクトコンバージョン受信機でPDC(パーソナルデジタルセルラー)方式等の携帯電話受信機を構成した場合、ローカル発振器から空中への放射は、隣接する同じ周波数を用いる受信機に対して妨害波となる。したがって、受信機間の電波干渉を生じる。たとえば、1つのダイレクトコンバージョン受信機から3mだけ離れた別の同じダイレクトコンバージョン受信機に影響を与えないためには、アンテナからの同一周波数帯の不要放射を、−70dBm程度以下と極めて低い値に抑える必要がある。
【0008】
さらに、これらの不要放射は、最近の移動体無線の筐体の小型化に伴ない、シールド等での十分な抑制がますます困難となってきている。
【0009】
このように、従来のダイレクトコンバージョン受信機においては、ローカル発振器が動作状態になっている時に、そのリーク電力が周波数変換器以外からも放射され、この不要放射が受信機間の相互干渉を引き起こしていた。
【0010】
したがって、ダイレクトコンバージョン受信機を無線通信システムに有効に適用するためには、このローカル発振器からの不要放射による電波干渉の問題を解決する必要がある。
【0011】
そこで、この発明の目的は、ローカル発振器からの不要放射を防ぐことができるダイレクトコンバージョン受信機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のダイレクトコンバージョン受信機は、複数の周波数変換器と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
上記ローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の上記周波数変換器に入力する位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0013】
この請求項1の発明では、ローカル発振器は、受信した高周波信号の奇数分の1の周波数の高周波信号を上記位相差手段に入力する。そして、この位相差手段は上記高周波信号をπラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の周波数変換器に入力する。
【0014】
この請求項1の発明では、ローカル発振信号の周波数を受信高周波信号の周波数帯の奇数分の1に設定しているので、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数と大きく離れている。したがって、この請求項1の発明では、受信側のフィルタやアンテナの周波数特性によって、ローカル発振信号が除去される効果が大きくなって、空中へのローカル発振信号の放射が従来例に比べて大幅に低減できる。また、たとえ、この奇数分の1の周波数のローカル発振信号が漏洩しても、受信高周波信号の周波数から大きく離れているので、隣接する同じRF周波数を使用する同じシステムの他の無線局への妨害とはならない。したがって、この発明によれば、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができ、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害とはならない受信機を実現できる。
【0015】
また、請求項2の発明は、複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして上記複数の周波数変換器に入力する受信側移相差手段と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の上記周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0016】
この請求項2の発明では、発振側のπラジアン位相差手段に加えて、受信側のπラジアン位相差手段を備えることによって、ローカル発振信号をバランスさせることができるだけでなく、受信信号をバランスさせることができる。この2つの信号バランスによる相乗効果によって、シングルバランスのみの場合に比べて2次相互変調歪を抑制できる。
【0017】
また、請求項3の発明は、複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπ/2ラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして上記複数の周波数変換器に入力する受信側位相差手段と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とが構成する直交復調器を有したダイレクトコンバージョン受機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0018】
この請求項3の発明では、請求項1,2の発明と同様に、ローカル発振器が、受信した高周波信号の周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生するから、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができる。
【0019】
また、この請求項3の発明では、発振側のπラジアン位相差手段によって、ローカル発振信号をバランスさせることができる。また、受信側のπ/2ラジアン位相差手段によって、位相変調信号の検波におけるI信号とQ信号を分離することができる位相変調信号復調用ダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。
【0020】
また、請求項4の発明は、複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπ/2ラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する受信側移相差手段と、上記周波数変換器の出力側に接続されたπ/2ラジアン位相器とがイメージ除去回路を構成しており、上記複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数から上記高周波信号の帯域幅以下の周波数だけずれた高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴としている。
【0021】
この請求項4の発明では、ローカル発振器が発生する高周波信号の周波数を受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数から上記受信高周波信号の帯域幅以下の周波数だけずれた周波数に設定している。したがって、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制できる。また、上記ローカル発振器の発振周波数が受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数からずれているので、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できる。
【0022】
また、この請求項4の発明では、複数の周波数変換器と受信側(π/2ラジアン)移相差手段と出力側(π/2ラジアン)位相器とが構成するイメージ除去回路によって、上記周波数のずれに起因して生じるイメージ信号を除去できる。
【0023】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のダイレクトコンバージョン受信機において、上記発振側位相差手段と上記周波数変換器との間に差動アンプを接続したことを特徴としている。
【0024】
この請求項5の発明では、発振側位相差手段と周波数変換器との間に差動アンプを接続したから、この差動アンプ内部で奇数次の高調波が打ち消し合う。したがって、差動アンプから外部への奇数次の高調波の漏洩を防ぐことができる。また、ローカル発振器の出力を小さくすることができ、ローカル発振器からの不要放射を低減できる。
【0025】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のダイレクトコンバージョン受信機において、上記ローカル周波数信号のローカル周波数を、受信周波数帯の3分の1の周波数にしたことを特徴としている。
【0026】
この請求項6の発明では、ローカル発振信号の周波数を受信周波数帯の3分の1の周波数にしたから、不要放射抑制性能が最も優れている。何故ならば、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数の5分の1,7分の1と奇数分の1の奇数の次数が大きくなるほど、周波数変換器の変換効率が低下するからである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
〔第1の実施の形態〕
図1に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第1実施形態を示す。この第1実施形態は、アンテナ107,フィルタ106,周波数変換部112を備える。尚、図1では、この発明の説明に直接関係のないべースバンド信号処理部分は省略してある。
【0029】
この実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の周波数変換部112は、2個の周波数変換器101,102を備えている。そして、この周波数変換器101には、ローカル発振器104が直接に接続されており、周波数変換器102には、π位相器103を介してローカル発振器104に接続されている。
【0030】
上記2つの周波数変換器101,102は、フィルタ121,122を経由して、端子108,109に接続されており、この端子108,109は差動アンプ110に接続されている。この差動アンプ110は出力端子111に接続されている。
【0031】
上記構成のダイレクトコンバージョン受信機では、アンテナ107からの受信高周波信号をフィルタ106を経由してRFアンプ105で増幅し、周波数変換器101,102に入力する。一方、ローカル発振器104は、受信高周波信号の3分の1の周波数の出力信号を出力する。この出力信号は、位相差0で周波数変換器101に直接入力され、移相器103を経由して、位相差πラジアンで周波数変換器102に入力される。そして、周波数変換器101,102から、フィルタ121,122を経由して、端子108,109に出力される信号を差動アンプ110で合成し、出力端子111に出力する。これにより、出力端子111からベースバンドを得る。
【0032】
なお、この実施形態において、ローカル発振器104の出力信号の周波数を受信RF周波数の3分の1から5分の1に変えても、同じ構造でベースバンド信号を得ることができる。また、上記ローカル発振器104の出力信号の周波数を受信RF周波数の7分の1にしてもよく、受信RF周波数の任意の奇数分の1の周波数にしてもよい。
【0033】
この第1実施形態によれば、ローカル発振器(LO)信号の空中への放射を、従来例(受信高周波信号周波数=ローカル発振信号周波数)に比べて、大幅に低減でき、小型受信機において特に重要になる不要放射の低減を容易に実現できる。
【0034】
すなわち、この第1実施形態では、ローカル発振器(LO)信号の周波数を受信RF周波数の3分の1に設定しているので、ローカル発振器信号の周波数が受信高周波信号周波数と大きく離れている。したがって、この実施形態では、フィルタ106,アンテナ107の周波数特性によって、ローカル発振信号が除去される効果が大きくなって、空中へのローカル発振信号の放射が従来例(受信RF周波数=LO周波数)に比べて、大幅に低減できる。また、たとえ、この3分の1の周波数のローカル発振信号が漏洩しても、受信RF周波数から大きく離れているので、隣接する同じRF周波数を使用する同じシステムの他の無線局への妨害とはならない。
【0035】
したがって、この実施形態によれば、受信高周波信号周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができ、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害とはならない受信機を実現できる。
【0036】
また、この実施形態によれば、従来例とは異なり、ローカル発振信号周波数が受信高周波信号周波数と異なるため、ローカル発振器104からの受信RF周波数と同じ帯域の不要放射を大幅に抑制できる。
【0037】
また、周波数変換器101,102は、ローカル発振信号に対して大信号で動作しているので、本来、歪みによって高調波を発生してしまい、奇数次高調波の一つが受信高周波信号周波数と同じ周波数となる。しかし、周波数変換器101,102は、π位相器103でバランス構成を取っているから、バランスさせた周波数変換器101,102の各端子(RF入力端子,ベースバンド出力端子,あるいは電源端子)で、奇数次の高調波の位相が互いに(π/2)ラジアンだけ異なり相殺されるので、外部に漏洩しない。
【0038】
また、この実施形態において、ローカル発振器104の周波数を受信信号周波数の5分の1や7分の1あるいは所定の奇数分の1にした場合にも、上記したような不要放射の少ないダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。もっとも、ローカル発振器104の周波数を受信信号周波数の3分の1に設定した場合に、不要放射抑制効果が最も優れている。
【0039】
ここで、ベースバンド信号が得られる原理を説明する。各周波数変換器101,102からの出力信号の内の|fRF−3×fLO|の成分が、出力側に差動出力されることによる。ここで、fRFは受信信号周波数の成分であり、fLOはローカル発振周波数の3倍の周波数の成分である。一方、ローカル発振器104の周波数を受信高周波信号の周波数の5分の1または7分の1に変更した場合には、|fR F−5×fLO|の成分または|fRF−7×fLO|の成分がベースバンド信号として出力側に差動出力される。これらの場合に、周波数変換器101,102は高調波周波数変換器として動作しているから、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数の5分の1,7分の1と奇数分の1の奇数の次数が大きくなるほど、周波数変換器101,102の変換効率が低下する。したがって、ローカル発振信号の周波数を受信高周波信号周波数の3分の1に設定した場合に、不要放射抑制性能が最も優れている。
【0040】
ところで、受信高周波信号の周波数の偶数分の1の周波数のローカル発振信号を使用して、周波数変換器のバランス構成でもって、周波数変換器における歪みによって発生する受信周波数と同じ周波数の信号を取り除くには、それぞれ、0,π/2,π,3π/2だけ位相をシフトさせたローカル発振信号が必要となる。このため、回路構成が複雑化してしまう。そして、仮に、偶数次高調波バランス周波数変換器を用いて、0,πラジアンだけ位相をシフトさせたバランス回路に設定した場合には、上記偶数次高調波バランス周波数変換器あるいはバランスアンプにおいて偶数次の高調波が相殺されずに、同相信号としてバランス回路の外部に出力されてしまう。
【0041】
さらにまた、偶数次高調波周波数変換器を用いて、それぞれ、0,π/2だけ位相をシフトさせた回路構成とした場合には、バランス周波数変換器とならず、2次相互変調歪を抑制する効果およびローカル発振信号漏洩を抑制する効果が無くなる。また、同じような不要放射の低減を目的として、アンチパラレルダイオードペアを用いた偶高調波周波数変換器があるが、原理的にゲインが得られず、回路特性に限界がある。また、偶数次高調波バランス周波数変換器で、0,π/2,π,3π/2とπ/2単位で位相をシフトさせた場合は、移相器の精度のみにバランスの精度が依存してしまう。最近の通信では、帯域が広帯域化する傾向にあり、π/2位相シフトが正確に行われないので、バランスが崩れる原因となってしまう。
【0042】
これに対し、この第1実施形態では、受信高周波信号の偶数分の1の周波数のローカル発振周波数を採用せずに、受信RF周波数の奇数分の1のローカル発振周波数を採用した。このことによって、πラジアンの位相器103を用い、差動アンプ110でバランスの精度を向上させることができ、フィルター121,122で同相成分を除去してバランスの精度を向上させることができる。
【0043】
なお、一般の通信システムでは、受信する高周波信号には周波数幅があり、周波数軸上にチャンネルを設定して使用している。そして、この第1実施形態において、目的の受信チャンネル周波数の1/3にローカル発振器104の周波数を設定した場合には、信号の位相情報が失われる。したがって、位相情報の必要な変調方式の場合には、後述する第3の実施形態のように直交復調器を構成する必要がある。また、ローカル発振器104の周波数を、目的の受信チャンネル周波数の1/3からずらして設定した場合には、イメージ周波数に相当する周波数の他のチャンネルの信号が重なるから、後述する第4実施形態のようなイメージ除去回路を用いる必要がある。
【0044】
〔第2の実施の形態〕
図2に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第2の実施の形態を示す。尚、図2では、べースバンド信号処理部分は発明の説明に直接関係しないから省略している。
【0045】
この第2実施形態のダイレクトコンバージョン受信機は、周波数変換部212の構成が、第1実施形態の周波数変換部112の構成と異なる点だけが、第1実施形態と異なる。したがって、この第2実施形態では、第1実施形態と異なる点を重点的に説明する。
【0046】
この第2実施形態の周波数変換部212は、RFアンプ105に接続された4つの周波数変換器201,202,203,204を備えている。4つの周波数変換器201,202,203,204は並列に接続されている。上記周波数変換器201と202はRFアンプ105に直接に接続されており、周波数変換器203と204はπラジアン位相器205を介してRFアンプ105に接続されている。そして、上記周波数変換器201と204はπラジアン位相器103を経由してローカル発振器104に接続されており、周波数変換器202と203はローカル発振器104に直接に接続されている。さらに、周波数変換器201,203の出力側はフィルタ131に接続されており、周波数変換器202,204の出力側はフィルタ132に接続されている。そして、このフィルタ131,132は差動アンプ110に接続され、差動アンプ110は出力端子111に接続されている。
【0047】
この第2実施形態では、アンテナ107からの受信高周波信号をフィルタ106を経由してRFアンプ105で増幅し、周波数変換器201と202に直接入力される。一方、周波数変換器203と204には、位相器103でπラジアンの位相差が与えられた信号が入力される。
【0048】
一方、周波数変換器201,204には、ローカル発振器104からπラジアン位相器103を経由したローカル発振信号が入力され、周波数変換器202,203には、ローカル発振器104からのローカル発振信号が直接入力される。上記ローカル発振信号の周波数は、受信高周波信号の3分の1の周波数に設定している。
【0049】
そして、周波数変換器201,203からフィルタ131を経由して端子108に出力された信号と、周波数変換器202,204からフィルタ132を経由した端子109に出力された信号とを、差動アンプ110で合成し端子111に出力することによってベースバンド信号を得る。
【0050】
この第2実施形態は、上記受信信号側のπラジアン位相器205を備えることで、第1実施形態の受信機を受信信号側でもバランス構成とした高調波ダブルバランス周波数変換器の構成となっている。したがって、この第2実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、以下に述べる効果を発揮できる。
【0051】
この第2実施形態では、ダブルバランス構成としたことで、ダイレクトコンバージヨン受信機の特性で重要な2次相互変調歪みを、ローカル信号のバランスのみの第1実施形態に比べて、10〜15dBだけ抑制できた。
【0052】
ここで、上記2次相互変調歪みについて説明する。ダイレクトコンバージョン受信機で解決すべき問題点の一つに2次相互変調歪みがある。すなわち、アンテナ107,フィルタ106の周波数特性によって、周波数変換器201〜204に入力される受信帯域の中に強度が大きく、かつ、AM変調成分を含んだ信号が入力された場合に、この入力信号が2次相互変調歪みによってべースバンド信号周波数に重なる出力となってしまう。前述の第1実施形態では、バランス構成を取ることによって、ベースバンド信号に対し2次相互変調歪みを抑制した。しかし、最近の移動体通信では、フェージングのために目的周波数の信号よりも30から40dBだけ大きな信号が入力される場合がある。また、チャンネル数が多いことに起因して、そのような妨害となる電波も多くなっている。このため、ダイレクトコンバージョン方式を採用した場合に求められる2次相互変調歪み特性が非常に厳しくなり、更なる特性改善が望まれている。
【0053】
ここで、2次相互変調歪みの抑制は、周波数変換器素子のバランス,ローカル信号のバランス,および周波数変換器201,202,203,204からの出力を合成する差動アンプ110のバランスによって決定される。周波数変換器201〜204のバランスは複数の周波数変換器素子をモノリシック化して構成することで向上でき、差動アンプ110のバランスは周波数がべースバンド領域なので比較的容易に向上できる。一方、ローカル発振信号のバランスは、前述の第1実施形態と同じ方法で向上できるものの、理想的なバランスはやはり無理である。
【0054】
これに対し、この第2実施形態では、ローカル信号のバランスに加えて、受信信号をバランスさせることによる相乗効果を持つので、第1実施形態のシングルバランスの場合に比べて、2次相互変調歪のさらなる抑制が可能になる。
【0055】
尚、この第2実施形態では、ローカル発振器の周波数を受信高周波信号周波数の3分の1から5分の1,7分の1と奇数分の1に変化させても、同じ構造でべースバンド信号を得ることができる。
【0056】
〔第3の実施の形態〕
次に、図3に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、位相変調方式の受信信号の復調を目的としたものである。尚、図3では、この発明の説明に直接関係のないべースバンド信号処理部分を省略している。
【0057】
この第3実施形態は、アンテナ107,フィルタ106,RFアンプ105を備え、このRFアンプ105に接続された2つの周波数変換部312,313を備えている。この周波数変換部312はRFアンプ105に直接接続されており、周波数変換部313は(π/2)ラジアン位相器305を介して差動アンプ105に接続されている。また、この周波数変換部312,313は、ローカル発振器104に直接接続されている端子315,316とπラジアン位相器103を経由してローカル発振器104に接続されている端子317,318を備えている。そして、この周波数変換部312,313は出力端子111,119に接続されている。
【0058】
この第3実施形態では、アンテナ107,フィルタ106を経由したRFアンプ105からの受信高周波信号は、(π/2)ラジアン移相器305によって、(π/2)ラジアンの位相差を与えられて、周波数変換部313に入力される。一方、上記受信高周波信号は、位相差ゼロで周波数変換部312に入力される。なお、この周波数変換部312,313としては、図1の第1実施形態の周波数変換部112あるいは図2の第2実施形態の周波数変換部212を用いる。
【0059】
上記ローカル発振器104は、受信チャネル周波数の3分の1の周波数の出力信号を出力する。この出力信号は、πラジアン移相器103によって、πラジアンだけの位相差が与えられて、周波数変換部312,313の端子317,318に入力される。一方、この周波数変換部312,313の端子315,316には、ローカル発振器104から位相差ゼロの出力信号が入力される。
【0060】
これにより、周波数変換部312,313の出力端子111,119から、ベースバンドI,Q信号が得られる。
【0061】
なお、ローカル発振器104の周波数を受信高周波信号周波数の3分の1から5分の1,あるいは7分の1や所望の奇数分の1に変更しても、同じ構造でべースバンド信号を得ることができる。
【0062】
この第3実施形態では、第1,第2の実施形態の効果を同様に発揮できることに加えて、以下の効果を発揮できる。
【0063】
この第3実施形態では、位相変調信号の検波において、I,Q信号を分離するために、受信高周波信号を(π/2)ラジアンだけシフトさせて、2個の周波数変換器部312,313に入力し、2個の周波数変換部312,313それぞれから、I信号,Q信号を得る。このように、この第3の実施形態では、直交復調器を構成して位相情報を得ている。
【0064】
この第3実施形態では、受信高周波信号を(π/2)ラジアンだけシフトさせる一方、ローカル信号に対しては、第1実施形態と同様に、バランス構成のために位相器103によってπラジアンだけシフトさせている。
【0065】
この第3実施形態では、第1実施形態と同様に、受信高周波信号周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができるので、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害が無い位相変調信号復調用ダイレクトコンバージョン受信機を構成できる。
【0066】
なお、この第3実施形態において、周波数変換部312,313として、第1実施形態の周波数変換部112を使用した方が、第2実施形態の周波数変換部212を使用した場合に比べて、回路が簡単になる。しかし、受信チャネル周波数の3分の1の周波数にローカル発振器104の周波数を一致させる場合には、2次相互変調歪みによる信号の劣化が非常に大きな問題となる。したがって、第2実施形態で説明したように、周波数変換部312,313として、周波数変換部212の回路を使用することによって、2次相互変調歪み特性を改善できる。
【0067】
〔第4の実施の形態〕
次に、図4に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、ローカル発振信号の周波数を受信チャンネル周波数の奇数分の1からずらす方式を採用した。尚、図4では、この発明の説明に直接関係しないべースバンド信号処理部分を省略している。
【0068】
この第4実施形態は、周波数変換部413が(π/2)位相器406を経由して出力端子411に接続されており、周波数変換部412が出力端子411に直接に接続されている点が、前述の第3実施形態と異なっている。
【0069】
この第4実施形態では、RFアンプ105からの受信高周波信号は、(π/2)位相器405を含まない経路421と(π/2)移相器405を含む経路422とによって、0,π/2だけの位相差を与えられて、周波数変換部412,413に入力される。この周波数変換部412,413は、図1に示す第1実施形態が有する周波数変換部112、あるいは、図2に示す第2実施形態が有する周波数変換部212で構成する。
【0070】
また、この第4実施形態では、ローカル発振器104の発振周波数を、受信高周波信号の目的チャンネル周波数からδfだけずらした周波数の3分の1の周波数に設定した。そして、上記ローカル発振器104が出力した発振信号に対し、π位相器103を含まない経路425,π移相器103を含む経路426とによって、0,πだけの位相差を与え、周波数変換部412,413に入力する。
【0071】
周波数変換部412,413から出力された信号は、移相器406を含まない経路427,位相器406を含む経路428によって、(π/2)だけの位相差が与えられて、出力端子411に入力される。これにより、出力端子411から周波数δfだけ周波数がずれたベースバンド信号が得られる。
【0072】
この第4実施形態においても、第1,第2実施形態が有する効果を同様に発揮できる。また、この第4実施形態によれば、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できるダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。
【0073】
この第4実施形態では、(π/2)移相器405,406および周波数変換部412,413でもって、イメージ抑制回路を構成している。
【0074】
また、この第4実施形態では、ローカル発振信号の周波数を受信チャンネル周波数の奇数分の1からδfだけずらしているので、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できる。
【0075】
なお、上記ずれ周波数δfの値は、受信高周波信号の帯域幅程度以下が可能であるが、好ましくは、チャンネル間隔の2倍以内がよい。その理由は、上記ずれ周波数δfが大きいほど、イメージ周波数と目的チャンネル周波数の差が開き、フェージングの影響によってイメージ周波数の別のチャンネル信号が目的チャンネル信号より大きくなる確率が大きくなり、イメージ信号を除去しきれなくなるからである。したがって、上記ずれ周波数δfは、好ましくは、チャンネル間隔の0.25倍、もしくは、0.75倍に設定し、イメージ周波数がチャンネルの間の周波数になるように設定することが好ましい。
【0076】
なお、この第4の実施の形態において、ローカル発信器104の発振周波数を、受信高周波信号周波数の3分の1から5分の1あるいは7分の1の周波数に変更してもよい。この場合にも、図4に示した構造と同じ構造で、べースバンド信号を得ることができる。
【0077】
〔第5の実施の形態〕
次に、図5に、この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第5実施形態を示す。尚、図5では、この発明の説明に直接に関係が無いべースバンド信号処理部分を省略している。
【0078】
この第5実施形態は、アンテナ107,フィルタ106,RFアンプ105,周波数変換部512の順に接続されている。一方、ローカル発振器104は、π位相器103を含まない経路521,π位相器103を含む経路522でもって、バッファアンプ501に接続されており、このバッファアンプ501は周波数変換部512に接続されている。そして、この周波数変換部512は出力端子513に接続されている。
【0079】
この第5実施形態では、RFアンプ105からの受信高周波信号は、周波数変換部512に入力される。一方、ローカル発振器104は、受信高周波信号の奇数分の1の周波数の出力信号を経路521,522に出力する。この経路521,522に出力された出力信号は、π移相器103によって、0,πラジアンだけの位相差が与えられて、差動アンプを備えたバッファアンプ501で増幅されて、周波数変換部512に入力される。
【0080】
この第5実施形態では、周波数変換部512を、第1,第2,第3,第4実施形態が有する周波数変換部112,212,312,313,412,413で構成することによって、出力端子513からベースバンド信号を得ることができる。この第5実施形態によれば、差動アンプで構成したバッファアンプ501を使用することによって、不要放射を約10dB低減できた。
【0081】
ところで、この第5実施形態では、ローカル発振信号が(−20)dBm程度と比較的大きいので、ローカル発振器104でひずみによる高調波が発生し、奇数次高調波の一つが受信高周波信号と同じ周波数になる。この奇数次高調波は、第1,第2実施形態のような構成では、場合によって自身の受信妨害になるか、もしくは、不要放射として他の受信機への妨害電波になる。一方、ローカル発振器104からの不要放射を低減するために、ローカル発振器104の出力を小さくしてバッファアンプを用いた場合には、このバッファアンブで、歪みによる高調波が発生し前述と同様の問題となることがある。
【0082】
これに対し、この第5実施形態では、バッファアンプ501を差動アンプで構成したから、バッファアンプ501内部で奇数次の高調波が打ち消し合う。したがって、バッファアンプ501から外部への奇数次の高調波の漏洩を防ぐと共にローカル発振器104の出力を小さくし、発振器104からの不要放射も低減できる。
【0083】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明のダイレクトコンバージョン受信機では、ローカル発振信号の周波数を受信高周波信号の周波数帯の奇数分の1に設定しているので、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数から大きく離れている。したがって、この請求項1の発明では、受信側のフィルタやアンテナの周波数特性によって、ローカル発振信号が除去される効果が大きくなって、空中へのローカル発振信号の放射を従来例に比べて大幅に低減できる。また、たとえ、この奇数分の1の周波数のローカル発振信号が漏洩しても、受信高周波信号の周波数から大きく離れているので、隣接する同じRF周波数を使用する同じシステムの他の無線局への妨害とはならない。したがって、この発明によれば、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができ、隣接する同じ周波数を使用する無線局への妨害とはならない受信機を実現できる。
【0084】
また、請求項2の発明は、発振側のπラジアン位相差手段に加えて、受信側のπラジアン位相差手段を備えることによって、ローカル発振信号をバランスさせることができるだけでなく、受信信号をバランスさせることができる。この2つの信号バランスによる相乗効果によって、シングルバランスのみの場合に比べて2次相互変調歪を抑制できる。
【0085】
また、請求項3の発明は、請求項1,2の発明と同様に、ローカル発振器が、受信した高周波信号の周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生するから、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制することができる。
【0086】
また、この請求項3の発明では、発振側のπラジアン位相差手段によって、ローカル発振信号をバランスさせることができる。また、受信側のπ/2ラジアン位相差手段によって、位相変調信号の検波におけるI信号とQ信号を分離することができる位相変調信号復調用ダイレクトコンバージョン受信機を実現できる。
【0087】
また、請求項4の発明は、ローカル発振器が発生する高周波信号の周波数を受信高周波信号の周波数帯の奇数分の1の周波数から上記受信高周波信号の帯域幅以下の周波数だけずれた周波数に設定している。したがって、受信高周波信号の周波数と同じ帯域の不要放射を抑制できる。また、上記ローカル発振器の発振周波数が受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数からずれているので、2次相互変調歪みによる信号の劣化を緩和できる。
【0088】
また、この請求項4の発明では、複数の周波数変換器と受信側(π/2ラジアン)移相差手段と出力側(π/2ラジアン)位相器とが構成するイメージ除去回路によって、上記周波数のずれに起因して生じるイメージ信号を除去できる。
【0089】
また、請求項5の発明は、発振側位相差手段と周波数変換器との間に差動アンプを接続したから、この差動アンプ内部で奇数次の高調波が打ち消し合う。したがって、差動アンプから外部への奇数次の高調波の漏洩を防ぐことができる。また、ローカル発振器の出力を小さくすることができ、ローカル発振器からの不要放射を低減できる。
【0090】
また、請求項6の発明は、ローカル発振信号の周波数を受信周波数帯の3分の1の周波数にしたから、不要放射抑制性能が最も優れている。何故ならば、ローカル発振信号の周波数が受信高周波信号周波数の5分の1,7分の1と奇数分の1の奇数の次数が大きくなるほど、周波数変換器の変換効率が低下するからである。
【0091】
上記のように、この発明のダイレクトコンバージョン受信機によれば、受信高周波信号の周波数の奇数分の1の周波数のローカル信号を用い、周波数変換器,バッファアンプで発生する受信信号と同じ周波数の高調波の出力位相を互いに打ち消し合うような位相関係に設定している。したがって、ローカル発振器の出力がアンテナから不要放射する電力を抑制でき、隣接する受信機間相互の電波干渉を無くして、ダイレクトコンバージヨン受信機を用いたシステムを確実に運用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第2実施形態のの構成を示すブロック図である。
【図3】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第3実施形態の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第4実施形態の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明のダイレクトコンバージョン受信機の第5実施形態の構成を示すブロック図である。
【図6】従来例のダイレクトコンバージョン受信機の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
101,102,201,202,203,204,601,602,603,604…周波数変換器、
112,212,312,313,412,413…周波数変換部、
103,205,305,405,406…移相器、
104…ローカル発振器、105…RFアンプ、106…RFフィルタ、
107…受信アンテナ、110…ベースバンドアンプ。
Claims (6)
- 複数の周波数変換器と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
上記ローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の上記周波数変換器に入力する位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。 - 複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして上記複数の周波数変換器に入力する受信側移相差手段と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、それぞれ別の上記周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。 - 複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπ/2ラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして上記複数の周波数変換器に入力する受信側位相差手段と、この複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とが構成する直交復調器を有したダイレクトコンバージョン受機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数の高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。 - 複数の周波数変換器と、受信した高周波信号をπ/2ラジアンの位相差が付いた複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する受信側移相差手段と、上記周波数変換器の出力側に接続されたπ/2ラジアン位相器とがイメージ除去回路を構成しており、上記複数の周波数変換器に高周波信号を入力するローカル発振器とを備えたダイレクトコンバージョン受信機であって、
上記ローカル発振器は、受信高周波数帯の奇数分の1の周波数から上記高周波信号の帯域幅以下の周波数だけずれた高周波信号を発生し、
このローカル発振器から入力された高周波信号を、πラジアンの位相差を有する複数の高周波信号にして、上記複数の周波数変換器に入力する発振側位相差手段とを備え、
上記複数の周波数変換器が発生するローカル周波数の奇数次高調波が打ち消し合うようにしたことを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。 - 請求項1乃至4のいずれか1つに記載のダイレクトコンバージョン受信機において、
上記発振側位相差手段と上記周波数変換器との間に差動アンプを接続したことを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。 - 請求項1乃至5のいずれか1つに記載のダイレクトコンバージョン受信機において、
上記ローカル周波数信号のローカル周波数を、受信周波数の3分の1の周波数にしたことを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。
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