JP3582959B2 - キャリア用ニトリル系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

キャリア用ニトリル系樹脂及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定の重量平均分子量及びガラス転移温度を有するキャリア用ニトリル系樹脂及びその製造方法に関する。詳しくは、電子写真等に用いられるバインダー型キャリアにおいて、キャリア製造時の成形加工性が良好であり、優れたキャリアとしての帯電性を有するキャリア用ニトリル系樹脂及びその製造方法に関する。
【0001】
【従来の技術】
従来より、電子写真等の画像形成装置において、静電潜像を可視化するにあたり、鉄やフェライトをそのまま用いた磁性キャリアと絶縁性トナーを混合した現像剤が使用されてきた。しかし、このような現像剤では、磁気ブラシの穂が一般に硬く、現像する際に筋状のむらが発生するなどの問題があった。また、キャリア自体の体積抵抗率が低いため、静電潜像形成体上の電荷がキャリアを介して流れ、画像に欠損や乱れ等を生じたり、キャリアが現像スリーブからの注入電荷により静電潜像体に付着するという問題があった。そこで従来の鉄、フェライト等の磁性体単体からなるキャリアの欠点を解決するため、磁性体微粉末を樹脂などに分散させたバインダー型キャリア(特開昭54−66134号公報)が提案され、実用化されている。
【0002】
バインダー樹脂としては、磁性粉との結着性や分散性からカルボキシル基、水酸基、グリシジル基、アミノ基等の極性基を有する樹脂が用いられている。しかし、それらは耐湿性に劣り、長期に渡って安定した帯電量をトナーに与えることができず、トナーの飛散、カブリ、汚染等の問題が生じ易いものである。
これらの問題を解決するため、アクリロニトリル共重合体を用いることが提案されている。
例えば、特開平8−44119号公報、特開平9−6056号公報、特開平9−6057号公報には、アクリロニトリル共重合体を用いた電子写真用キャリア及びその製造方法等が開示されている。しかし、これらの共重合体は、ガラス転移温度がいずれも70〜200℃であり、キャリア製造時の成形加工性が良好でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定量の極性の高いニトリル基を含有する不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を重合して得られる樹脂の内、重量平均分子量及びガラス転移温度を特定の範囲に限定することにより、磁性粉との結着性や分散性を維持しながら、キャリア製造時の成形加工性及びキャリアとしての帯電性に優れたキャリア用ニトリル系樹脂及びその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、水性媒体中で不飽和ニトリル50〜80重量%及びアクリル酸アルキルエステル20〜50重量%を含む単量体混合物100重量部を共重合して得られたニトリル系樹脂の内、重量平均分子量が30,000〜100,000であり、且つ、ガラス転移温度が50〜69℃であるものが上記目的に合致したキャリア用ニトリル系樹脂であることを見出した。また、単量体混合物中に、20重量部以下であれば共重合可能なその他の単量体を含ませてもよいことを見出した。
【0005】
さらに、上記の共重合を実施する際に、単量体混合物及び分子量調節剤の添加方法、並びに、重合系内のpHの制御を特定の方法で行うことにより、上記目的に合致したキャリア用ニトリル系樹脂が得られることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明の第1発明は、水性媒体中で不飽和ニトリル50〜80重量%及びアクリル酸アルキルエステル20〜50重量%を含む単量体混合物100重量部を共重合したキャリア用ニトリル系樹脂であって、重量平均分子量が30,000〜100,000、ガラス転移温度が50〜69℃であることを特徴とするキャリア用ニトリル系樹脂である。
【0007】
また、本発明の第2発明は、水性媒体中で不飽和ニトリル50〜80重量%及びアクリル酸アルキルエステル20〜50重量%を含む単量体混合物100重量部を共重合するキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法であって、(1)単量体混合物100重量部当たり分子量調節剤1〜10重量部を用い、(2)単量体混合物15〜30重量部、及び分子量調節剤全量の少なくとも5重量%を重合系内に添加すると共に重合系内のpHを2〜4に調節した後、(3)重合開始剤を重合系内に添加して重合反応を開始し、次いで、(4)残部の単量体混合物70〜85重量部、及び残部の分子量調節剤全量の95重量%未満を継続的に重合系内に添加し始め、(5)単量体混合物の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで、(5−1)最終的に重合系に添加される単量体混合物の総量に対する重合系内に残存する単量体混合物の比が0.05〜0.45となるように残部の単量体混合物を継続的に添加し、且つ、(5−2)分子量調節剤を継続的に添加すると共に重合系内のpHを2〜4に調節しながら、共重合することを特徴とするキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法である。
【0008】
上記両発明の他の態様として、単量体混合物に共重合可能なその他の単量体を20重量部以下を含ませる方法を挙げることができる。
【0009】
第1発明の特徴は、特定量の不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステル、必要に応じてその他共重合可能な単量体を含む単量体混合物を共重合することにより生成するニトリル系樹脂の内、重量平均分子量が30,000〜100,000であり、且つ、ガラス転移温度が50〜69℃である樹脂に限定したことにある。
【0010】
また、第2の発明の特徴は、上記組成の単量体混合物を共重合するに際し、重合系内に特定量の単量体混合物及び分子量調節剤を初期分として添加し、且つ、重合系内のpHを特定の範囲に制御した後に、重合開始剤を添加して共重合を開始する点、及び、共重合を開始した後に、重合系内に残部の単量体混合物及び分子量調節剤を継続して添加し、且つ、単量体混合物の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで分子量調節剤と単量体混合物を継続的に添加すると共に重合系内のpHを特定の範囲に調節して共重合する点にある。尚、後添加用の単量体混合物を継続的に添加するに際し、最終的に重合系に添加される単量体混合物の総量に対する重合系内に残存する単量体混合物の比が0.05〜0.45となるような速度で添加することも肝要である。
【0011】
本発明のキャリア用ニトリル系樹脂は、極性の高いニトリル基を含有する不飽和ニトリルとアクリル酸アルキルエステルが組成的にバランスし、且つ、樹脂の重量平均分子量とガラス転移温度が特定の範囲に限定されたものであるので、キャリア製造時の成形加工性、キャリアとして帯電性等に優れている。従って、本発明のキャリア用ニトリル系樹脂は、電子写真等に用いるキャリア用樹脂として極めて有用である。
【0012】
尚、本発明において、単量体混合物等を継続的に重合系内に添加することとは、所定の時点で単量体混合物等の添加を開始し、所定の時点で単量体混合物等の添加を終了するまでの間、連続的または間欠的に所定量の単量体混合物等を添加し続けることを意味するが、間欠的添加の場合はその間隔が15分間以内程度であれば継続的添加に包含する。連続的添加の好ましい方法として、遠心ポンプ、プランジャーポンプ等を用いる添加方法が挙げられる。これらの方法において、単位時間当たりの添加量が少ない場合、ポンプの脈動等により不連続で添加される状態があっても差支えない。
【0013】
本発明における、樹脂の重量平均分子量及びガラス転移温度は、後述する実施例に記載した方法により測定した値を意味する。また、総転化率とは、重合系内に最終的に供給される単量体混合物の総量を基準とした重合体への転化率を意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のキャリア用ニトリル系樹脂は、特定量の不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステル、必要に応じてその他共重合可能な単量体を含む単量体混合物を共重合する際に、先ず、所定量の単量体混合物と分子量調節剤を重合系に添加して、系内のpHを2〜4に調節した後、重合開始剤を添加して共重合を開始し、その後、残部の単量体混合物と分子量調節剤を重合系に継続的に添加し、さらに、単量体混合物の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで分子量調節剤を継続的に添加すると共に重合系内のpHを2〜4に調節して共重合する方法により製造することができる。
【0015】
重合方法は、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、またはこれらの組合せ等公知の重合方法が適用できる。しかし、重合熱の除去の容易さ、重合後の後処理の容易さ、有機溶媒の回収・再生等の付帯設備の簡易化等を考慮すると乳化重合が好ましく適用される。乳化重合法の場合は、重合体生成物はラテックス状で得られるので、従来公知の方法、例えば、電解質または溶媒による凝集法、または凍結法等により重合体を凝固、分離し、水洗の後、乾燥して重合体を得る方法が挙げられる。
【0016】
本発明では、単量体として、特定量の不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステルを必須成分として用いる。必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を併用してもよい。
【0017】
単量体として用いる不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられ、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチルである。
【0018】
共重合可能なその他の単量体としては、メタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルエーテル、ビニルエステル、α−オレフィン等が挙げられ、メタクリル酸アルキルエステルとしてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等、ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル等、α−オレフィンとしては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ブテン、2−プロピル−1−ブテン等が挙げられる。
【0019】
ニトリル系樹脂の特性は、樹脂に含まれる不飽和ニトリルの量に影響される。すなわち、不飽和ニトリルの量が少ないと帯電性、磁性粉との結着性や分散性に影響を及ぼす。逆に多過ぎると成形加工性が低下する。かかる点を考慮して、単量体混合物に50〜80重量%の不飽和ニトリルを含むことが好ましい。
【0020】
単量体として用いるアクリル酸アルキルエステルはアルキル基の種類により、得られるニトリル系樹脂の特性は変化する。ニトリル系樹脂を用いたキャリアとしての帯電性、耐久性を高位に安定せしめるためには、炭素数1〜4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが特に好ましい。
【0021】
アクリル酸アルキルエステルを用いる場合、その量によりニトリル系樹脂を用いたキャリアに影響を及ぼす。具体的には、単量体混合物に占めるアクリル酸アルキルエステルの割合が20重量%未満である場合には、樹脂の耐衝撃性が低下し、キャリアの耐久性も低下する。また、50重量%を超える場合には、ガラス転移温度が低下してしまい、現像剤としてのブロッキング性が悪くなり、帯電量が不安定になる他、磁性粉との結着性や分散性にも影響を及ぼす。本発明においては、上記観点を考慮して、アクリル酸アルキルエステルを単量体混合物に20〜50重量%含むものである。
【0022】
単量体として用いる共重合可能な他の単量体を用いる場合は、単量体混合物100重量部に対し、20重量部以下を含む程度の量を用いる。20重量部以下であれば得られるニトリル系樹脂の特性にさほどの影響を及ぼさない。その種類には特に制限はないが、得られるニトリル系樹脂の成形加工性、帯電特性等を考慮すると、前記単量体の内、スチレン、α−メチルスチレン、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル等が好ましい。
【0023】
単量体混合物は、重合開始剤を添加する前に初期添加分を添加し、残りの後添加分を重合開始後に継続的に添加する。
【0024】
ニトリル系樹脂を用いた場合、キャリア製造時の成形加工性、キャリアとしての帯電性、耐久性は、上記のように、単量体混合物に占める不飽和ニトリル及びアクリル酸アクリルエステルの量、また、その他共重合可能な単量体の量等により影響を受けるが、更に、ニトリル系樹脂の重量平均分子量、ガラス転移温度によっても影響を受ける。すなわち、該樹脂中の重量平均分子量が30,000〜100,000であり、ガラス転移温度が50〜69℃である必要がある。
ニトリル系樹脂の重量平均分子量が30,000未満の場合、樹脂の耐衝撃性が低下し、キャリアの耐久性も低下する。また、100,000を超える場合、樹脂の流動性が低下しキャリア製造時の成形加工性が低下する。
【0025】
ニトリル系樹脂のガラス転移温度が50℃未満の場合、現像剤としてのブロッキング性が悪くなり、帯電量が不安定になる。また、69℃を超える場合、キャリア製造時の成形加工性が低下する。かかる観点より、本発明においては、キャリア製造時の成形加工性及びキャリアとしての帯電性、耐久性を実用的範囲にバランスさせるために、該樹脂の重量平均分子量が30,000〜100,000、且つ、ガラス転移温度が50〜69℃であるニトリル系樹脂を限定的に選定してキャリア用樹脂として提供するものである。
【0026】
本発明のキャリア用ニトリル系樹脂は、上記組成の単量体混合物を共重合することにより得られるニトリル系樹脂の内、樹脂が特定の重量平均分子量及びガラス転移温度を有するものである。樹脂の重量平均分子量及びガラス転移温度を上記範囲に制御するために、単量体及び分子量調節剤の添加方法を下記の如く限定し、且つ、重合系内のpHを特定の範囲に保つことが重要である。すなわち、単量体混合物については、総量100重量部の内、15〜30重量部は初期添加分として重合反応を開始する前に添加する。添加方法は連続的添加でも一括添加でもよい。初期添加分の単量体混合物の量が15重量部未満の場合には、重合開始後の系内の活性が低くなってしまう。また、30重量部を超える場合には、重合熱の除熱や凝集物(フロック)の生成、重合機壁への付着物の生成など反応の安定性に影響を及ぼす。
【0027】
単量体混合物の残部の70〜85重量部は後添加分として重合反応を開始した後に継続的に添加する。すなわち、重合開始剤を添加した後に残部の単量体混合物の継続的添加を開始する。さらに、単量体混合物の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで添加速度を制御することが重要である。具体的には、最終的に重合系に添加される単量体混合物の総量に対する重合系内に残存する単量体混合物の比が0.05〜0.45の範囲となるように残部の単量体混合物を継続的に添加する。重合系内に残存する単量体混合物の量比が、上記範囲を超えると凝集物(フロック)及び重合機壁への付着物の生成量が増加する傾向を示す。また、重合系内に残存する単量体混合物の量比が上記範囲未満であると重合がスムースに進行しない。
【0028】
分子量調節剤は、単量体混合物100重量部に対し1〜10重量部用いる。この内、少なくとも5重量%は初期添加分として重合反応を開始する前に添加する。好ましくは5〜30重量%である。添加方法は連続的添加でも一括添加でもよい。残部の95重量%未満は後添加分として重合反応を開始した後に継続的に添加する。継続的な添加を終了する時期は、単量体混合物の総転化率が80〜90重量%に到る時点である。初期添加分の分子量調節剤が5重量%未満の場合、初期段階で生成する重合体の分子量が大きくなり、得られる樹脂の流動性に影響を及ぼす。また、初期添加分の分子量調節剤が30重量%を超える場合、重合開始直後の重合系内の活性が低下してしまう。
【0029】
本発明では、分子量調節剤を活性化して分子量調節効果を高めるために、酸類等を添加して重合系のpHを2〜4の範囲内に調節する。すなわち、水性媒体中で初期添加分の単量体混合物及び分子量調節剤を添加した後、重合系のpHを2〜4の範囲内に調節する。その後、重合開始剤を添加して共重合を開始する。すなわち、本発明では重合開始剤を添加した時点を共重合開始点とする。共重合を開始した後、単量体混合物の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで重合系のpHを2〜4の範囲内に調節する。
【0030】
重合系内のpHが2未満である場合、重合系内の活性が低下し過ぎてしまう他、装置の腐食の原因となるので好ましくない。また、重合系のpHが4を超える場合には、分子量調節剤の効果が十分に発揮されないため、高分子量の重合体が多量に生成してしまい、得られる樹脂の流動性が低下する。また、単量体混合物の総転化率が80重量%に到る以前に系内のpHが上記範囲を外れると、分子量調節効果が低下し、高分子量の重合体が多量に生成してしまい、得られる樹脂の流動性が低下する。90重量%を超えた場合、分子量調節効果への影響は小く、余分な分子量調節剤を使用することとなる。
【0031】
本発明に用いる重合開始剤には特に制限はなく、公知のラジカル重合開始剤が用いられる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素等が挙げられる。乳化重合法を適用する場合には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素等が好ましい。
【0032】
分子量調節剤としては、アルキルメルカプタン類、例えばn−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルチオールアセタート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、リモネンジメルカプタン等が挙げられる。これらの内、好ましくはメルカプタン臭が実質的にないという点から、分子内に2個以上のメルカプト基を含む有機メルカプト化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、リモネンジメルカプタン等が挙げられる。
【0033】
また、重合系内のpHを調節するpH調節剤としては、無機酸、有機酸のいずれでも良く、無機酸としては、リン酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、3−メルカプトプロピオン酸、アスコルビン酸及び酸性リン酸エステル等が挙げられる。好ましい酸は、酢酸、クエン酸、リン酸、3−メルカプトプロピオン酸等である。
【0034】
重合開始剤及びpH調節剤の重合系への添加方法としては、一括添加または継続的添加またはこれらを併用する方法が例示できるが、重合開始剤は、一括添加または継続的添加でよい。pH調節剤は、継続的添加することが好ましい。
重合開始剤は初期添加分単量体混合物、その他副原料を重合系内に仕込んだ後、撹拌下、系内の脱酸素や所定の重合温度までの昇温を開始してから昇温が終了し、系内が安定した後に添加する。
重合開始剤の添加量は、単量体混合物100重量部に対して0.02〜0.2重量部が好ましい。分子量調節剤の添加量は、単量体混合物100重量部に対して1〜10重量部である。好ましくは1〜7重量部である。pH調節剤として用いる酸の添加量は、重合系のpHを上記範囲に制御し得る量であるが、通常、単量体混合物100重量部に対して0.1〜0.6重量部程度を目途として選定される。
【0035】
重合には、この他、乳化剤、分散剤等が使用されるが、その種類及び量は、公知のものが適用される。重合後の後処理方法、乾燥方法も公知の方法が適用される。重合の温度には特に制限はなく、0〜100℃の任意の温度において実施できる。重合速度、転化率、生産性等を考慮すると、50〜70℃の温度範囲が好ましい。可塑剤、安定剤、潤滑剤、染料及び顔料、充填剤等を、必要に応じて重合後に添加することも可能である。
【0036】
上記方法により製造される樹脂は、キャリアとして使用された場合の帯電性、耐久性を備えているのみならず、キャリア製造時の成形加工性にも優れた極めて実用価値の高い新規な樹脂である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明について更に詳細を説明する。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」はいずれも重量基準を意味する。また、実施例及び比較例に示したニトリル系樹脂の総転化率、ガラス転移温度、重量平均分子量、メルトインデックス、キャリア製造時の成形加工性、キャリアとして用いた際の帯電変化量は、下記方法によって測定した。
【0038】
(1)総転化率(重量%)
ガスクロマトグラフ〔(株)島津製作所製、形式:GC−9A〕を用いて、重合開始から30分間毎に重合液(ラテックス)を分析し、重合液中に残存する単量体濃度から消費された単量体量を算出し、最終的に重合系に供給する全単量体量を基準として総転化率を求める。
【0039】
(2)ガラス転移温度(℃)
示差走査熱量計(PERKIN−ELMER製、形式:DSC−7)を用いて、窒素雰囲気下で150℃まで昇温し、その温度で3分間放置して後、降温速度10℃/minで室温まで冷却した試料を、昇温速度5℃/minで測定した際にガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間の最大傾斜を示す接戦との交点の温度をガラス転移温度とする。
【0040】
(3)重量平均分子量
<測定方法>
単分散ポリスチレン標準試料を標準とし用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCという)により測定する。
<測定装置及び条件>
GPC:ウォーターズ(株)製、形式:150−C、カラム:昭和電工(株)製、形式:Shodex AD−80M/S×2、屈折率検出型、溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(含リチウムブロミド0.1重量%)、試料濃度:0.1重量%、注入量:200μl、流量:0.8ml/min、カラム温度:60℃。
【0041】
(4)メルトインデックス(g/10min)
ASTM D−1238に規定される方法に従い、メルトインデクサー〔(株)東洋精機製作所製、形式:S−111〕を用い、温度150℃、荷重2.16kg/cmにて測定する。
【0042】
(5)成形加工性(m・g)
<試料の調製>樹脂100部に対し、磁性粉〔(株)TDK製、商品名:MFP−2〕600部、カーボンブラック〔三菱化学(株)製、商品名:#44〕2部及びシリカ〔日本アエロジル(株)製、商品名:#200〕1.5部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して試料とする。
<評価方法>ブラベンダープラストグラフ(ブラベンダー社製、形式:PL−3000、ローラーミキサーW50型、ミキサー容量:60cm)を用いて、ジャケット温度を220℃として試料100gを3分間かけて徐々に装入し、装入後ローター回転数を30rpmとして混練したときの最大トルク(m・g)を測定する。但し、過負荷状態となり混練できないものを「×」とする。
【0043】
(6)帯電変化量(μC/g)
<キャリア粒子の調製>
前項(5)による最大トルクが4000m・g未満であった試料を二軸押出機を用いて200℃で混練し、室温まで冷却した後、フェザーミル粉砕機で粗粉砕し、更にジェットミル〔日本ニューマチック(株)製、形式:PJM100〕を用いて微粉化する。それを粉体気流分級機〔日本ニューマチック(株)製、形式:MDS〕により分級して、平均粒径が50μmのキャリア粒子を得る。
<トナーの調製>
ポリエステル樹脂(軟化点130℃、ガラス転移温度60℃)100部に、カーボンブラック〔三菱化学(株)社製 #44〕7部、荷電制御剤〔オリエント科学(株)製、商品名:ボントロンS−34〕2部を添加した混合物をボールミルで充分混合した後、二軸押出機で140℃で混練し、室温まで冷却した後、フェザーミル粉砕機で粗粉砕し、更にジェットミル〔日本ニューマチック(株)製、形式:PJM100〕を用いて微粉化する。それを粉体気流分級機〔日本ニューマチック(株)製、形式:MDS〕により分級して、平均粒径が10μmのトナー粒子を得る。得られたトナー粒子に対し、疎水性シリカ〔日本エアロジル(株)製、商品名:972〕を0.1重量%添加して、ヘンシェルミキサーで混合してトナー粒子を得る。
<帯電変化量の測定>
上記キャリア粒子とトナー粒子を後者の混合比が5重量%となるように混合し、ターブラーシェイカーミキサー(WAB社製、形式:TURBULA Type12C)で10分間、及び60分間混合攪拌した後、ブローオフ粉体帯電量測定装置〔東芝ケミカル(株)製、形式:TB−200〕を用いて、25℃、相対湿度65%の条件下で帯電量の測定を行い、10分間混合攪拌後のトナー帯電量〔Q1(μC/g)〕、及び、60分間混合攪拌後のトナー帯電量〔Q2(μC/g)〕を求め、両者の差の絶対値(|Q1−Q2|)を帯電変化量とする。
【0044】
実施例1
樹脂の製造
ステンレス製重合反応器に下記の組成の原料を仕込み、撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、そのまま30分間撹拌後、リン酸を添加し、pHを3±0.3に調節した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.08部を含む水溶液を添加して重合を開始した。
<初期添加原料成分>
アクリロニトリル14部、アクリル酸エチル6部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)1.12部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.288部、ポリビニルピロリドン0.103部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.035部、水150部。
次いで、下記の組成の原料を重合開始から起算して30分経過後から6.5時間かけて連続的に添加しながら、58℃で重合を継続した。
<後添加原料成分>
アクリロニトリル56部、アクリル酸エチル24部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)4.48部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.153部、ポリビニルピロリドン0.413部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.141部、水85部。
この添加の間、重合開始から起算して30分経過後から5時間経過するまではリン酸も連続的に添加して、7時間経過するまで重合系のpHを3±0.3に保って重合を行った。重合開始から8時間経過した後、冷却し、重合終了とした。最終転化率は92.7%であった。得られたラテックスを、硫酸アルミニウム(濃度45%)を加えて凝固させ、水洗、乾燥して粉末状のニトリル系樹脂を得た。
主要な重合条件を〔表1〕に示す。また、得られた樹脂の特性を上記方法により測定し、その結果を〔表6〕に示す。他の実施例についても同様に〔表1〕(実施例2〜6)、〔表2〕(実施例7〜12)及び〔表3〕(実施例13〜18)に示す。
【0045】
実施例2
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.8%であった。
(初期添加分)
ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.80部。
(後添加分)
ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.20部。
【0046】
実施例3
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.1%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル13部、アクリル酸エチル7部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.84部。
(後添加分)
アクリロニトリル52部、アクリル酸エチル28部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.36部。
【0047】
実施例4
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.0%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル13部、アクリル酸エチル7部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.68部。
(後添加分)
アクリロニトリル52部、アクリル酸エチル28部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.72部。
【0048】
実施例5
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.0%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル12部、アクリル酸メチル8部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.84部。
(後添加分)
アクリロニトリル48部、アクリル酸メチル32部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.36部。
【0049】
実施例6
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.8%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル12部、アクリル酸メチル8部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.64部。
(後添加分)
アクリロニトリル48部、アクリル酸メチル32部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.56部。
【0050】
実施例7
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.3%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル12部、アクリル酸エチル8部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.64部。
(後添加分)
アクリロニトリル48部、アクリル酸エチル32部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.56部。
【0051】
実施例8
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.4%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル12部、アクリル酸エチル8部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.56部。
(後添加分)
アクリロニトリル48部、アクリル酸エチル32部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.24部。
【0052】
実施例9
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.7%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル11部、アクリル酸メチル9部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.84部。
(後添加分)
アクリロニトリル44部、アクリル酸メチル36部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.36部。
【0053】
実施例10
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.5%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル11部、アクリル酸メチル9部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.68部。
(後添加分)
アクリロニトリル44部、アクリル酸メチル36部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.72部。
【0054】
実施例11
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.9%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル10部、アクリル酸メチル10部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)1.00部。
(後添加分)
アクリロニトリル40部、アクリル酸メチル40部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)4.00部。
【0055】
実施例12
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.6%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル10部、アクリル酸メチル10部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.58部。
(後添加分)
アクリロニトリル40部、アクリル酸メチル40部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.32部。
【0056】
実施例13
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.4%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル12部、アクリル酸エチル6部、スチレン2部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.80部。
(後添加分)
アクリロニトリル48部、アクリル酸エチル24部、スチレン8部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.20部。
【0057】
実施例14
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.2%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル11部、アクリル酸エチル6部、スチレン3部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.80部。
(後添加分)
アクリロニトリル44部、アクリル酸エチル24部、スチレン12部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.20部。
【0058】
実施例15
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.1%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル11部、アクリル酸エチル4部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.84部。
(後添加分)
アクリロニトリル54部、アクリル酸エチル29部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.36部。
【0059】
実施例16
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.2%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル16部、アクリル酸エチル9部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.84部。
(後添加分)
アクリロニトリル49部、アクリル酸エチル26部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.36部。
【0060】
実施例17
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.3%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル13部、アクリル酸エチル7部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.42部。
(後添加分)
アクリロニトリル52部、アクリル酸エチル28部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.78部。
【0061】
実施例18
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、実施例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.6%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル13部、アクリル酸エチル7部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)1.26部。
(後添加分)
アクリロニトリル52部、アクリル酸エチル28部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.94部。
【0062】
比較例1
重合体の製造
ステンレス製重合反応器に下記の組成の原料を仕込み、撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、そのまま30分間撹拌後、リン酸を添加し、pHを3±0.3に調節した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.08部を含む水溶液を添加して重合を開始した。
<初期添加原料成分>
アクリロニトリル15部、アクリル酸メチル5部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.32部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.288部、ポリビニルピロリドン0.103部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.035部、水150部。
次いで、下記の組成の原料を重合開始から起算して30分経過後、6.5時間かけて連続的に添加しながら、58℃で重合を継続した。
<後添加原料成分>
アクリロニトリル60部、アクリル酸メチル20部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)1.28部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.153部、ポリビニルピロリドン0.413部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.141部、水85部。
この添加の間、重合開始から起算して30分経過後から5時間経過するまではリン酸も連続的に添加して、7時間経過するまでの重合系のpHを3±0.3に保って重合を行った。重合開始から8時間経過後、冷却し、重合終了とした。最終転化率は92.9%であった。以下、実施例1(B)と同様な操作により粉末状のニトリル系樹脂を得た。
主要な重合条件を〔表4〕に示す。また、得られた重合体の特性を上記方法により測定し、その結果を〔表6〕に示す。他の比較例についても同様に〔表4〕(比較例2〜6)及び〔表5〕(比較例7〜9)に示す。
【0063】
比較例2
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.7%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル12部、アクリル酸メチル8部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.52部。
(後添加分)
アクリロニトリル48部、アクリル酸メチル32部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.08部。
【0064】
比較例3
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.0%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル17部、アクリル酸メチル3部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.64部。
(後添加分)
アクリロニトリル68部、アクリル酸メチル12部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.56部。
【0065】
比較例4
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.2%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル10部、アクリル酸エチル10部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.64部。
(後添加分)
アクリロニトリル40部、アクリル酸エチル40部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.56部。
【0066】
比較例5
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.8%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル4部、アクリル酸エチル7部、スチレン9部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.64部。
(後添加分)
アクリロニトリル16部、アクリル酸エチル28部、スチレン36部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)2.56部。
【0067】
比較例6
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は92.9%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル14部、アクリル酸エチル6部。
(後添加分)
アクリロニトリル56部、アクリル酸エチル24部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)4.00部。
【0068】
比較例7
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.1%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル14部、アクリル酸エチル6部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.04部。
(後添加分)
アクリロニトリル56部、アクリル酸エチル24部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.96部。
【0069】
比較例8
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、3.5時間経過するまで重合系のpHを3±0.3に保ったこと以外は、比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.5%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル14部、アクリル酸エチル6部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.80部。
(後添加分)
アクリロニトリル56部、アクリル酸エチル24部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)3.20部。
【0070】
比較例9
原料の初期添加分と後添加分において、組成を以下のように変更し、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)の添加時間を3時間に短縮した以外は比較例1と同様にして重合を行った。最終転化率は93.0%であった。
(初期添加分)
アクリロニトリル14部、アクリル酸エチル6部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)0.80部。
(後添加分)
アクリロニトリル56部、アクリル酸エチル24部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)1.48部。
【0071】
<表の記載について>
〔表1〕〜〔表5〕に記載した、ANはアクリロニトリル、MAはアクリル酸メチル、EAはアクリル酸エチル、STはスチレンを表わす。〔表1〕〜〔表5〕に記載した、「後添加開始時間」、「後添加終了時間」、「pH<4であった時間」、及び、「総転化率80(または90)重量%となった時間」は、いずれも重合系に重合開始剤を添加して、重合反応を開始した起点からの経過時間を意味する。また、〔表1〕〜〔表5〕の下から4段に記載した数値は、単量体混合物の総転化率が80〜90%に到る時点までの、最終的に重合系に添加される単量体混合物の総量に対する重合系内に残存する単量体混合物量の比の最大値と最小値を示す。
【0072】
【表1】
Figure 0003582959
【0073】
【表2】
Figure 0003582959
【0074】
【表3】
Figure 0003582959
【0075】
【表4】
Figure 0003582959
【0076】
【表5】
Figure 0003582959
【0077】
【表6】
Figure 0003582959
【0078】
〔実施例の考察〕
水性媒体中で不飽和ニトリル50〜80重量%及びアクリル酸アルキルエステル20〜50重量%を含む単量体混合物100重量部を共重合して得られるニトリル系樹脂は、キャリア用系樹脂として用いる場合、キャリア製造時の成形加工性を考えると、メルトインデックス(以下、MIという)値が高いことが好ましく、少なくとも2g/10minのMIを有することが好ましい。また、帯電変化量は小さいこと、具体的には3μC/g未満が好ましい。
本発明のキャリア用ニトリル系樹脂を用いた場合、キャリア製造時の成形加工性、キャリアの帯電性のバランスが良好である。すなわち、実施例1〜18で得られたニトリル系樹脂は、本願発明の範囲量の不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を重合して得られる樹脂であって、重量平均分子量が30,000〜100,000、ガラス転移温度が50〜69℃である。かかるニトリル系樹脂は、キャリア製造時の成形加工性、キャリアとしての帯電性のバランスが良好である。
一方、重量平均分子量及び/またはガラス転移温度が範囲外となった比較例1、2、添加するアクリロニトリル量比が多いためガラス転移温度が範囲外となった比較例3は、いずれもMIが低く、且つ、成形加工性も悪い。ガラス転移温度が低く範囲外となった比較例4、添加するアクリロニトリルの量比を少なくした比較例5は、いずれも帯電変化量が大きく、帯電性が不安定である。初期に分子量調節剤を添加しなかった比較例6、初期に添加する分子量調節剤量が少なかった比較例7、総転化率80〜90重量%までpH調節を行わなかった比較例8、及び、総転化率80〜90重量%まで分子量調節剤の添加を行わなかった比較例9は、重量平均分子量及び/またはガラス転移温度が範囲外となり、いずれもMIが低く、成形加工性も悪い。
【0079】
【発明の効果】
本発明のキャリア用ニトリル系樹脂は、キャリア製造時の成形加工性、キャリアの帯電性が高位にバランスしたものである。そのため、電子写真等に用いるキャリア用樹脂として好適に使用し得る。

Claims (14)

  1. 水性媒体中で不飽和ニトリル50〜80重量%及びアクリル酸アルキルエステル20〜50重量%を含む単量体混合物100重量部を共重合したキャリア用ニトリル系樹脂であって、重量平均分子量が30,000〜100,000、ガラス転移温度が50〜69℃であることを特徴とするキャリア用ニトリル系樹脂。
  2. 不飽和ニトリルが、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選ばれた少なくとも1種の単量体であることを特徴とする請求項1記載のキャリア用ニトリル系樹脂。
  3. アクリル酸アルキルエステルが、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルから選ばれた少なくとも1種の単量体であることを特徴とする請求項1記載のキャリア用ニトリル系樹脂。
  4. 単量体混合物100重量部中に対し、不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体を20重量部以下含むことを特徴とする請求項1記載のキャリア用ニトリル系樹脂。
  5. 共重合可能な単量体が、スチレンであることを特徴とする請求項4記載のキャリア用ニトリル系樹脂。
  6. 水性媒体中で不飽和ニトリル50〜80重量%及びアクリル酸アルキルエステル20〜50重量%を含む単量体混合物100重量部を共重合するキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法であって、(1)単量体混合物100重量部当たり分子量調節剤1〜10重量部を用い、(2)単量体混合物15〜30重量部、及び分子量調節剤全量の少なくとも5重量%を重合系内に添加すると共に重合系内のpHを2〜4に調節した後、(3)重合開始剤を重合系内に添加して重合反応を開始し、次いで、(4)残部の単量体混合物70〜85重量部、及び残部の分子量調節剤全量の95重量%未満を継続的に重合系内に添加し始め、(5)単量体混合物の総転化率が80〜90重量%に到る時点まで、(5−1)最終的に重合系に添加される単量体混合物の総量に対する重合系内に残存する単量体混合物の比が0.05〜0.45となるように残部の単量体混合物を継続的に添加し、且つ、(5−2)分子量調節剤を継続的に添加すると共に重合系内のpHを2〜4に調節しながら、共重合することを特徴とするキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  7. 共重合の温度が30〜70℃であることを特徴とする請求項6記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  8. 不飽和ニトリルが、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選ばれた少なくとも1種の単量体であることを特徴とする請求項6記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  9. アクリル酸アルキルエステルが、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルから選ばれた少なくとも1種の単量体であることを特徴とする請求項6記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  10. 単量体混合物100重量部に対し、不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体を20重量部以下含むことを特徴とする請求項6記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  11. 共重合可能な単量体が、スチレンであることを特徴とする請求項10記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  12. 分子量調節剤が、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルチオールアセタート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)及びリモネンジメルカプタンから選ばれた少なくとも1種のアルキルメルカプタンであることを特徴とする請求項6記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  13. pH調節を、酢酸、クエン酸、リン酸及び3−メルカプトプロピオン酸から選ばれた少なくとも1種の酸を重合系に継続的に添加して実施することを特徴とする請求項6記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
  14. キャリア用ニトリル系樹脂の重量平均分子量が30,000〜100,000、ガラス転移温度が50〜69℃であることを特徴とする請求項6〜13のいずれかに記載のキャリア用ニトリル系樹脂の製造方法。
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