JP3582917B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーエアコン用の冷媒圧縮機として使用するのに適したスクロール型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からカーエアコン用の冷媒圧縮機を車両のエンジンによって連続的に駆動するようにして、通常はエンジンと冷媒圧縮機との間に設けられる電磁クラッチのような動力断続手段を省略することにより、構造の簡略化やコストおよび重量の低減を図る所謂「冷媒圧縮機のクラッチレス化」が試みられている。その一つとして、スクロール型圧縮機における固定スクロールの端板に逆止弁を備えた複数個のバイパス孔を開口させるとともに、吐出ポートと吸入ポートの間に電磁開閉弁を備えたバイパス通路を設けて、この電磁開閉弁を開弁させたときには、固定スクロールと旋回スクロールの間に形成される作動室内にある冷媒が圧縮されないで吐出ポートから吸入ポートへ戻ることができるようにして、旋回スクロールを連続的に駆動しながらも0%の吐出容量を達成するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来技術によれば、スクロール型圧縮機を連続的に駆動状態においていながら、バイパス通路の電磁開閉弁を単に開閉制御することによって冷媒の吐出容量を0%から100%へ、或いはその反対に自由に切り換えることができるが、0%容量の運転状態に切り換えた場合に、切り換えた後暫くは密度の低い冷媒がバイパス通路を循環するので、その間は圧縮機駆動のためのトルクは無視することができる程度の大きさになるものの、時間が経過して冷凍サイクル全体が均圧化してくると、バイパス通路を流れる冷媒の密度も次第に高くなって来て、その冷媒がスクロール端板のバイパス孔やバイパス通路を流れる際に圧力損失が増加することによって、圧縮機を駆動するトルクが無視できない程の大きさになるという新たな問題のあることが判って来た。本発明は、従来技術におけるこのような問題に対処して、新規な手段によってこの問題を解消することを発明の目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明のスクロール型圧縮機においては、通常のスクロール型圧縮機と同様に、吸入ポートから流入する冷媒のような流体が、固定スクロールの渦巻体と、それに噛み合って公転のみをする旋回スクロールの渦巻体との間に形成される作動室内で圧縮され、吐出孔を通過して吐出ポートへ排出されることになるが、制御手段によってバイパス流路を開閉する手段を開くことによってバイパス室と吸入室が連通するので、バイパス室の圧力が低下する結果、複数個のバイパス群孔の逆止弁も開き、冷媒は殆ど圧縮されることなくバイパス室に流出し、バイパス流路から吸入ポートおよび吸入室へ循環するため、スクロール型圧縮機は冷凍サイクルに対して吐出容量0%の運転状態となる。
【0005】
そのまま時間が経過すると、冷凍サイクル内部の均圧化によってバイパスされる冷媒の密度が徐々に高くなって行き、圧縮機駆動のためのトルクも増大して行くことになるが、請求項1の発明においては0%容量の運転を行うときにバイパス流路を開くだけでなく、それに先立って制御手段によって開閉手段を作動させて吸入ポートを閉じるので、吸入ポートに冷凍サイクルから冷媒が補給されることがなくなり、バイパス流路を循環する冷媒の密度が低くなって、旋回スクロールを駆動していても循環する冷媒がバイパス孔等を通過する際の圧力損失は微小なものとなる結果、圧縮機駆動のためのトルクも問題にならない程度の小さな値を維持することになる。
【0006】
具体的に、バイパス流路を開閉する手段としては、請求項2に記載しているように、吸入室の冷媒圧力と蒸発器出口の冷媒圧力との差圧によって発生する力と弾性体の付勢力との釣り合いによって移動するスプールを用いるとともに、吸入ポートを開閉する手段としては、吸入室の冷媒圧力と凝縮器入口の冷媒圧力との差圧によって発生する力と弾性体の付勢力との釣り合いによって移動するスプールを用いるのが好適である。
【0007】
さらにこの場合には、バイパス流路を開閉する手段としてのスプールと、吸入ポートを開閉する手段としてのスプールと、それらのスプールの間に挟まれる弾性体の全てを同一軸線上に配列させるとともに、前者のスプールの直径よりも後者のスプールの直径を大となし、且つ、前者のスプールの端面に蒸発器出口の冷媒圧力を導き、後者のスプールの端面に吐出側の冷媒圧力を導くとともに、それらのスプールの間に挟まれる弾性体のある空間には吸入圧力を導くという請求項3に記載した構成をとることによって、バイパス流路を開閉する手段と吸入ポートを開閉する手段とをコンパクトに纏めることができ、それらの複数の手段が円滑に関連作動するようになる。
【0008】
本発明は、前述の課題に対してこのような解決手段をもたらすので、それを実施することによってスクロール型圧縮機の0%容量運転の際に駆動トルクを従来よりも低く抑えることが可能になり、冷媒圧縮機のクラッチレス化を達成して、重くて大きく且つ高価な電磁クラッチのような動力断続手段の不要な、構造が簡単で小型軽量のカーエアコンを低コストで提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の第1実施形態としてのスクロール型圧縮機の構成を示す。図1に示すように、フロントハウジング1に保持された軸受け11にクランクシャフト5が回転自在に支持されている。クランクシャフト5は図示しないプーリを介してエンジンから動力を受け入れて回転する。クランクシャフト5と一体に、その回転軸線から所定量だけ偏心して形成されたクランク部6には、軸受10を介して旋回スクロール3が回転自在に支持され、クランクシャフト5の回転を受けて旋回スクロール3が公転運動を行う。
【0010】
さらに、旋回スクロール3の端板3aに形成された円形溝9と、フロントハウジング1の端面1aに形成された円形溝8との間には、複数個の球体14が保持され、それらによって自転防止機構が構成されるので、旋回スクロールは自転を伴わない公転運動のみを行う。
【0011】
クランクシャフト5には、旋回スクロール3およびクランク部6の偏心によるアンバランス荷重に釣り合うように、バランスウェイト7が固定されている。また、フロントハウジング1とクランクシャフト5の間にはシャフトシール13が配設され、圧縮機内部の冷媒およびそれと混合している潤滑油が外部に漏洩することを防止している。
【0012】
固定スクロール4は複数個のボルトによってフロントハウジング1に締結されている。旋回スクロール3と固定スクロール4にそれぞれ形成された渦巻き形の羽根が噛み合うことによって複数の作動室20が形成される。
【0013】
固定スクロール4には吸入ポート21が開口しており、図示しない冷凍サイクルの蒸発器と配管によって結ばれている。吸入ポート21はフロントハウジング1と旋回スクロール3および固定スクロール4によって区画形成される吸入室22と連通可能であり、それらの間は、図1において左右の方向に移動するスプール52によって連通、或いは遮断される。スプール50の両端側には制御圧室34および36が設けられ、右端側の制御圧室34は流路32により吸入室22と結ばれ、左端側の制御圧室36は流路35により吐出室25と結ばれている。また、制御圧室34にはスプリング51が格納され、スプール50を押圧している。流路35は切換弁53によって連通或いは遮断され、切換弁53と制御圧室36との間は細孔37を介して吸入室22と結ばれている。
【0014】
固定スクロール4の端板4aとリヤハウジング2との間の空間は、それらの間に挟まれたミドルプレート12によってバイパス室24と吐出室25に分割されている。固定スクロール4の端板4aには作動室20とバイパス室24とを連通する吐出孔19とバイパス孔群17が設けられ、吐出孔19とバイパス孔群17のバイパス室24側出口には、作動室20への冷媒の逆流を防止する逆止弁15と弁止板16が取り付けられている。また、ミドルプレート12によって分割されたバイパス室24と吐出室25は流路26により結ばれており、流路26の吐出室25側の出口には逆止弁27と弁止板28が設けられている。
【0015】
バイパス室24は、バイパス流路29によって吸入室22と結ばれており、図1において左右に移動するスプール50の位置によって連通或いは遮断される。スプール50の右端側には制御圧室31が、左端側には前述の制御圧室34が形成される。制御圧室31は流路30により吸入ポート21と結ばれ、制御圧室34は前述のように流路32により吸入室22と結ばれている。リヤハウジング2には吐出室25に開口する吐出ポート23が設けられており、図示しない冷凍サイクルの凝縮器と配管で結ばれている。
【0016】
図2はバイパス孔群17の配置を示すために図1のII−II断面を示したものである。複数の作動室20が、いかなる場合でもバイパス孔群17もしくは吐出孔19のいずれかと連通するように、バイパス孔群17および吐出孔19が配設されている。すなわち、作動室20は常時バイパス可能となっている。
【0017】
次に第1実施形態としてのスクロール型圧縮機の作用を説明する。上記構成における0%、および100%の容量切換機構の作動説明図を図3〜6として示す。
図3は切換弁53によって、流路35を連通しておいた状態で自動車のエンジンを始動し、100%容量運転に至る過程を示す。まず、図3の〔1)に示すように自動車エンジンが停止しているときには、スプリング51の押圧力によって、スプール50は図中右側に、スプール52は図中左側の位置にあり、それぞれバイパス流路29、吸入ポート21を遮断している。
【0018】
図3〔1〕のように切換弁53が流路35を連通している状態で自動車のエンジンが始動され、圧縮機のクランクシャフト5が回転を始めると、吸入室22の冷媒は作動室20において圧縮され、吐出孔19またはバイパス孔群17を経てバイパス室24に吐出され、さらに流路26を経て、吐出室25へと流れる。この際、細孔37が十分に細く、吸入室22への冷媒の漏れ量が非常に小さいので、吸入室22の圧力Ps は低下する。また、制御圧室31の圧力P31は蒸発器出口圧力Pevと、制御圧室34の圧力P34は吸入室圧力Ps と、制御圧室36の圧力P36は凝縮器入口圧力Pcnと等しくなる。
【0019】
この段階では、蒸発器出口圧力Pevと凝縮器入口圧力Pcnはほぼ等しい値であるが、スプール52の受圧面積A52がスプール50の受圧面積A50よりも大きいことと、P31÷P36, P36>P34の関係から、スプール52が図中右方向に受ける力、
F52=A52(P36−P34)
は、スプール50が左方向に受ける力、
F50=A50(P31−P34)
よりも大きくなるので、スプール50は移動せずに、スプール52のみがスプリング51の押圧力に抗して、図3〔2〕に示すように右側に移動して吸入ポート21を連通する。
【0020】
吸入ポート21が連通すると、圧縮機の作動室20には冷媒が吸入され、所定の圧縮が行われる。これに伴って蒸発器出口圧力Pevは低下し、吸入室圧力Ps は蒸発器出口圧力Pevよりも若干低い値(吸入ポート21での圧力損失分程度低い値)になり、凝縮器入口圧力PcnはPs ,Pevに対して十分高くなることから、スプール52が図中右方向に受ける力がさらに増加して、安定した100%容量運転が行われる。
【0021】
図4の〔1〕および〔2〕は、切換弁53によって流路35を遮断しておいた状態で自動車のエンジンを始動し、0%容量運転に至る過程を示す。ここでもまず、自動車エンジンが停止しているときには、図4(1〕に示すようにスプリング51の押圧力によって、スプール50は図中右側に、スプール52は図中左側の位置にあり、それぞれバイパス経路29、吸入ポート21を遮断している。
【0022】
図4〔1〕のように切換弁53が流路35を遮断している状態で自動車エンジンが始動されると、吸入室22の冷媒は作動室20において圧縮され、吐出孔19、バイパス孔群17、バイパス室24、流路26を経て、吐出室25へと流れ、吸入室22の圧力Ps は低下する。それによって制御圧室36の圧力P36は次第に低下して吸入室圧力Ps と等しくなり、制御圧室34の圧力P34は吸入室圧力Ps と、制御圧室31の圧力P31は蒸発器出口圧力Pevと等しくなる。
P34=P36 ,P31>P34の関係から、スプール50が図中左方向に受ける力は、
F50=A50(P31−P34)
であり、スプール52が図中右方向に受ける力は、
F52=A52(P36−P34)=0
となる。
【0023】
吸入室圧力Ps が所定の圧力まで低下すると、図4〔2〕に示すようにスプール52は移動せずに、スプール50のみがスプリング51の押圧力に抗して図中左側に移動して流路29を連通する。流路29が連通すると、バイパス室圧力Pb と吸入室圧力Ps が等しくなり、逆止弁27は閉じ、圧縮機は吐出を行わなくなる。また作動室20の冷媒はバイパス孔群17から圧縮されることなくバイパスされ、0%容量運転となる。
【0024】
このように、第1実施形態の圧縮機においては、スプール52が吸入ポート21を閉じて、吸入室圧力Ps が十分に低下してから0%容量運転が始まるため、バイパス流路29を通ってバイパスされる冷媒の密度が低くなる。また0%容量運転中は蒸発器、凝縮器からの冷媒は遮断されるため、バイパスされる冷媒密度を低く保つことができ、0%容量時のトルクをより低く抑えることができる。
【0025】
図5は、自動車のエンジンが回転していて、圧縮機が0%容量運転を行っているときに、切換弁53によって、流路35を遮断状態から連通状態に切り換えることによって、0%容量から100%容量運転に切り換えられる過程を示す。まず、図5〔1〕のように自動車エンジンが回っていて、0%容量運転されているときには、先述のように、スプール50は図中左側に、スプール52も図中左側にあり、バイパス経路29が連通状態、吸入ポート21は遮断状態になっている。このとき、制御圧室36の圧力P36と制御圧室34の圧力P34は吸入室22の圧力Ps と等しく、制御圧室31の圧力P31は蒸発器出口圧力Pevと等しい。また蒸発器出口圧力Pevは凝縮器入口圧力Pcnと等しいか、小さいかのいずれかとなる。
【0026】
この状態で切換弁53を切り換えて流路35を連通状態とすると、図5〔2〕に示すように、制御圧室36の圧力P36は凝縮器入口圧力Pcnと等しくなる。すなわち、P31≦P36 ,P31>P34の関係から、スプール50が図中左方向に受ける力は、
F50=A50(P31−P34)
スプール52が図中右方向に受ける力は、
F52=A52(P36−P34)
となり、F52≧F50となるため、スプール50,52はともに図中右方向へ移動し、バイパス流路29は遮断状態、吸入ポート21は連通状態になる。
【0027】
前述のように、バイパス流路29が遮断、吸入ポート21が連通すると、圧縮機には冷媒が吸入されて通常の圧縮が行われる。これに伴い、蒸発器出口圧力Pevは低下し、吸入室22の圧力Ps は蒸発器出口圧力Pevよりも若干低い値(吸入ポート21での圧力損失分程度低い値)になり、凝縮器入口圧力PcnはPs およびPevに対して十分に高くなることから、スプール52が図中右方向に受ける力がさらに増加して、安定した100%容量運転が行われる。
【0028】
図6は、エンジンが回転していて、圧縮機が100%容量運転を行っているときに、切換弁53によって流路35を連通から遮断状態にすることによって、100%容量から0%容量運転に切り換えられる過程を示す。
【0029】
まず、自動車エンジンが回転していて、圧縮機が100%容量運転されているときには、前述のようにスプール50および52はともに図中右側にあり、図6〔1〕に示すようにバイパス経路29は遮断状態、吸入ポート21は連通状態になっている。このとき制御圧室31の圧力P31は蒸発器出口圧力Pevと等しく、制御圧室34の圧力P34は吸入室22の圧力Ps と等しいことからP31=P34となる(100%容量時においては、吸入室圧力Ps は蒸発器出口圧力Pevとほぼ一致する。厳密にはPs はPevよりも吸入ポート21における圧力損失分の程度だけ低い値となる)。制御圧室36の圧力P36は凝縮器入口圧力Pcnと等しく、凝縮器入口圧力Pcnは吸入室圧力Ps および蒸発器出口圧力Pevよりも大きい。
【0030】
この状態で、切換弁53を切り換えて流路35を遮断状態にすると、細孔37を経て制御圧室36の冷媒は徐々に吸入室22へ放出されるため、制御圧室36の圧力P36は吸入室圧力Ps と等しくなる。すなわち、P34=P36 ,P31=P34の関係から、スプール50が図中左方向に受ける力は、
F50=A50(P31−P34)=0
スプール52が図中右方向に受ける力は、
F52=A52(P36−P34)=0
となり、図6〔2〕に示すように、スプール50は移動せず、スプール52はスプリングの押圧力によって図中左方向に移動する。バイパス通路29および吸入ポート21はともに遮断状態になる。
【0031】
前述のように、バイパス通路29および吸入ポート21が遮断されると、吸入室22の冷媒は作動室20、吐出孔19、バイパス孔群17、バイパス室24、流路26を経て、吐出室25へと流れ、吸入室22の圧力Ps は低下する。制御圧室36の圧力P36および制御圧室34の圧力P34も吸入室圧力Ps と同様に低下する。制御圧室31の圧力P31は蒸発器出口圧力Pevと等しい。
【0032】
吸入室圧力Ps が所定の値まで低下すると、P34<P31 ,P36=P34の関係から、スプール50が図中左方向に受ける力は、
F50=A50(P31−P34)
スプール52が図中右方向に受ける力は、
F52=A52(P36−P34)=0
となり、スプール52は移動せずに、スプール50のみがスプリング51の押圧力に抗して、図中左側に移動して、図6〔3〕に示すように流路29を連通する。流路29が連通するとバイパス室圧力Pb と吸入室圧力Ps が等しくなるので逆止弁27が閉じ、圧縮機は吐出を行わなくなる。また作動室20の冷媒は圧縮されることなくバイパス孔群17からバイパスされ、バイパス流路29を通って循環するので0%容量運転となる。
【0033】
以上の作用によって、本発明の実施形態としてのスクロール型圧縮機は0%−100%の切換運転ができるだけでなく、0%容量運転状態においては、バイパスされる冷媒の密度を低く保つことができるので、0%容量時の駆動トルクを従来のものよりも低く抑えることが可能になる。
【0034】
図7に本発明の第2の実施形態としてのスクロール型圧縮機を示す。第1の実施形態では、冷媒が作動室20を出た後にバイパス室24、吐出室25の順に流れるようになっているが、この実施形態では吐出室25を省略して、リヤハウジング2の中にバイパス室24′のみを形成し、該室24′から凝縮器に通じる吐出配管60の途中に逆止弁61を設けることによって、第1の実施形態よりも簡単な構成でも同等の作用、効果を奏することができる。
【0035】
また、第1の実施形態では切換弁53と制御圧室36との間の流路35途中に細孔37を設けているが、図7に示す第2の実施形態では、スプール52の側面から吸入室22へ冷媒が漏れ込むように、スプール52の周囲あるいはその一部に微小なクリアランスを設けている。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態としてのスクロール型圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【図2】バイパス孔群の配置を示すための図1におけるII−II断面図である。
【図3】停止状態から100%容量運転の状態へ移行する過程の作動を説明するための概念図である。
【図4】停止状態から0%容量運転の状態へ移行する過程の作動を説明するための概念図である。
【図5】運転中に0%容量から100%容量運転の状態へ移行する過程の作動を説明するための概念図である。
【図6】運転中に100%容量から0%容量運転の状態へ移行する過程の作動を説明するための概念図である。
【図7】第2実施形態としてのスクロール型圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…フロントハウジング
2…リヤハウジング
3…旋回スクロール
4…固定スクロール
4a…固定スクロールの端板
5…クランクシャフト
6…クランク部
12…ミドルプレート
15…逆止弁
17…バイパス孔群
19…吐出孔
20…作動室
21…吸入ポート
22…吸入室
23…吐出ポート
24,24’…バイパス室
25…吐出室
26…流路
27…逆止弁
29…バイパス流路
30…流路
31…制御圧室
32…流路
34…制御圧室
35…流路
36…制御圧室
37…細孔
50…スプール
51…スプリング
52…スプール
53…切換弁
60…吐出配管
61…逆止弁
Claims (3)
- 吸入ポートおよび吐出ポートを有するハウジングと、前記ハウジング内に形成され前記吸入ポートに連通し得る吸入室と、端板および該端板上に形成された渦巻体からなり前記ハウジング内に固定される固定スクロールと、端板および該端板上に形成された渦巻体からなり前記固定スクロールと噛み合うように組み込まれた旋回スクロールと、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの間に複数個形成される作動室と、前記旋回スクロールに公転運動を与えるクランク部を持ち前記ハウジング内に回転自在に支持されている回転軸と、前記旋回スクロールの公転運動のみを許容し自転を阻止する自転防止機構と、前記固定スクロールの後方に固定されたリヤハウジングと、前記固定スクロールと前記リヤハウジングの間に形成され前記吐出ポートと連通するバイパス室と、前記バイパス室に冷凍サイクルの凝縮器からの高圧冷媒の逆流を防止する手段と、前記固定スクロールの端板上に配設され前記バイパス室に連通する複数個のバイパス孔群および吐出孔と、前記バイパス孔群および吐出孔の前記バイパス室側に設けられた逆止弁と、前記バイパス室と前記吸入室を連通するバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉する手段と、前記吸入ポートを開閉する手段と、前記吸入ポートを閉じて前記吸入室の圧力が低下した後に前記バイパス流路を開く制御手段を有することを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 前記バイパス流路を開閉する手段として、前記吸入室の圧力と蒸発器出口圧力との差圧によって発生する力と弾性体の付勢力との釣り合いによって移動するスプールと、前記吸入ポートを開閉する手段として、前記吸入室の圧力と凝縮器入口圧力との差圧によって発生する力と弾性体の付勢力との釣り合いによって移動するスプールを有することを特徴とする請求項1記載のスクロール型圧縮機。
- 前記吸入ポートを閉じて前記吸入室の圧力が低下した後に前記バイパス流路を開く制御手段として、前記バイパス流路を開閉するスプールと、前記バイパス流路を開閉するスプールと同軸に配置されかつ前記バイパス流路を開閉するスプールよりも直径が大きい前記吸入ポートを開閉するスプールと、前記の2本のスプール間に挟持される弾性体と、前記バイパス流路を開閉するスプールの端面に蒸発器出口圧力を導びく通路と、前記吸入ポートを開閉するスプールの端面に吐出室側の圧力を導びく通路と、該通路を開閉する手段と、前記スプリングが格納される空間に吸入圧力を供給する通路を有することを特徴とする請求項2記載のスクロール型圧縮機。
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