JP3582818B2 - 船舶用耐熱塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶用耐熱塗料に関するものであり、特に耐熱性、防食性、耐白錆性を著しく向上せしめた船舶用耐熱塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、船舶の建造に際しては、加工や組立期間中における鋼板の錆発生を防止するため、加工前の鋼板にブラスト処理を施しミルスケールや錆を取り除いた後、一次防錆プライマーを塗装するのが通常である。その後、切断・曲げ加工・溶接にてブロックを作り、この段階で塗装が行われる。そして、ブロックを船台へ移し、随時ブロック同志溶接され船体が建造される。しかし、溶接には歪みが生じるため、歪み取りをしなければならず、この溶接及び歪み取りにより裏面が熱影響を受け、ブロックにて塗装された塗膜に焼けが生じ、その補修に多大な工数・費用が費やされている。
【0003】
また、機関室の天井部には、上部ブロックとなる居住区へ機関室から発生する熱が伝わらないように、断熱材が取り付けられる。断熱材を取り付けるには補修塗装が終わっていなければならず、補修塗装をするには溶接・歪み取りが終わっていなければならない。
【0004】
このように、現建造工程では補修塗装及び断熱材の取り付けは船内工事となり、作業のために足場が必要となる。
【0005】
ところが、この足場の架設及び撤去の費用は莫大なものとなっている。また、このような区画は溶接、塗装、電気工事、配管、内装材の取り付け等多くの仕事が輻輳しており、火災等の事故の無いように工程管理、安全性に細心の注意が払われている。
【0006】
これらの作業をブロック段階で施工できるならば、足場は不必要となりまた安全性が向上する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
最近市場には、これらの問題に対処するために熱影響によっても焼けない耐熱塗料が使用され始めている。しかしこの塗料は、主剤に亜鉛末が使用され、結合剤にはテトラアルコキシシリケート、アルキルトリアルコキシシリケート及び/又はそれらの加水分解初期縮合物が使用されている無機塗料であるが、効果は不十分である。これは、居住区・機関室を構成する鋼材の板厚にもよるが、薄い部材(板厚6〜9mm)となると、裏焼け部の表面温度は750℃〜800℃まで上昇し、塗膜中の亜鉛が溶融し始める。この溶融した亜鉛が冷却により再凝固し、そのときに塗膜にワレ、ハガレが生じるからである。また、亜鉛を含有しているため、熱影響部は早期に白錆を発生する。
【0008】
従って、本発明の目的は、特に耐熱性、防食性、耐白錆性を著しく向上せしめた船舶用耐熱塗料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討の結果、アルミニウム粉末、マイカ、酸化チタン、テトラアルコキシシリケート、アルキルトリアルコキシシリケート及び/又それらの加水分解初期縮合物を主成分とすることで、上記の目的が達成することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の船舶用耐熱塗料は、テトラアルコキシシリケート、アルキルトリアルコキシシリケート及びそれらの加水分解初期縮合物から選ばれる少なくとも1種を結合剤とし、塗料固形分中にアルミニウム粉末を10〜30重量%、酸化チタンを5〜20重量%、マイカを5〜20重量%それぞれを含むように配合することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明に用いられるテトラアルコキシシリケートとしては、具体的には、テトラメトキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラプロポキシシリケート、テトライソプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケート等が挙げられる。アルキルトリアルコキシシリケートとしては、具体的には、メチルトリメトキシシリケート、メチルトリエトキシシリケート、メチルトリプロポキシシリケート、エチルトリエトキシシリケート等が挙げられる。テトラアルコキシシリケート及びアルキルトリアルコキシシリケートの加水分解初期縮合物は、無機ジンクリッチペイント等に用いられる公知の展色剤であり、常法に従い、酸性触媒下で加水分解することにより得られる。
【0013】
本発明に用いられる結合剤成分としては、テトラアルコキシシリケートの一部をアルキルトリアルコキシシリケート及び/又はそれらの加水分解初期縮合物で置換していてもよい。アルキルトリアルコキシシリケートの含有量は、乾燥塗膜基準に於いて、テトラアルコキシシリケート100重量部に対して好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。50重量部より多量に含有すると、塗膜の乾燥性が低下する傾向がある。加水分解初期縮合物の含有量は、乾燥塗膜基準に於いて、テトラアルコキシシリケート100重量部に対して好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。40重量部より多量に含有すると、塗膜乾燥過程に於いて、塗膜の歪みが大きくなり易く、塗膜にワレ、ハガレを生じる傾向がある。
【0014】
本発明で用いられるアルミニウム粉末としては、水面拡散面積10,000〜30,000(cm2 /g)のものが好ましく使用される。例えば、固形分65%前後のアルミペーストなどが挙げられる。
【0015】
本発明で用いられる酸化チタンとしては、通常用いられているもので問題ない。
【0016】
本発明で用いられるマイカとしては、粒径5〜20μmのものが好ましく使用される。
【0017】
本発明の船舶用耐熱塗料には、上記の結合剤、アルミニウム粉、酸化チタン、マイカ以外に通常の塗料に使用される各種の顔料、溶剤、添加剤などを必要に応じて配合することができる。
【0018】
これらのうち、顔料としては、体質顔料、防錆顔料、着色顔料があり、具体的には、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、亜鉛華、ベンガラ、カーボンブラック、シリカ粉、シアニン系着色顔料、酸化クロム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、メタホウ酸バリウム等が挙げられ、目的に応じて1種又は2種以上の混合物として使用する。
【0019】
さらに顔料としては、無水防錆顔料を配合することで耐熱性・耐白錆性に優れた塗膜を形成することができる。
【0020】
無水防錆顔料としては、具体的には、オルトリン酸アルミニウムが挙げられる。
【0021】
無水防錆顔料は、塗料固形分中に、2〜30重量%配合することが好ましく、より好ましくは、5〜15重量%配合する。
【0022】
また、溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、トルエン等があり、塗装作業性や塗膜乾燥性が最適になるように1種又は2種以上の混合物として使用する。
【0023】
さらに、添加剤としては、タレ止め剤、湿潤剤、反応促進剤、沈澱防止剤などを必要に応じて配合することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお実施例中「部」、「%」は重量を基準として示す。
【0025】
〈テトラアルコキシシリケートの加水分解縮合物溶液の調整〉
テトラエトキシシリケート〔「エチルシリケート40」(日本コルコート社製商品名)」35部とイソプロピルアルコール61部を40℃で攪拌混合し、次いで、これに1N−塩酸1部と水3部からなる混合物を90分間かけて滴下した。滴下後40℃でさらに4時間攪拌し、テトラエトキシシリケート加水分解縮合物溶液〔以下展着剤Iという〕を得た。なお、該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は13,000であった。
【0026】
〈アルキルトリアルコキシシリケートの加水分解物溶液の調整〉
メチルトリエトキシシリケート40部とイソプロピルアルコール54部を40℃で攪拌混合し、次いで、これに0.1N−塩酸0.3部と水5.7部からなる混合物を90分間かけて滴下した。滴下後40℃でさらに4時間攪拌し、メチルトリエトキシシリケート加水分解縮合物溶液〔以下展着剤IIという〕を得た。なお、該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は10,000であった。
【0027】
〈塗料の調整〉
表1に示す成分を充分に攪拌分散させて調整した。分散方法は通常用いられるディスパー、サンドミル等を用いる。
【0028】
〈テストピース作成方法〉
ショットブラスト鋼材(JIS G 3101,70×150×3.2mm)の表面をキシレンで脱脂し、乾燥させた。この鋼材の表面に一次防錆プライマー(無機系)を乾燥膜厚約15μmになるようエアースプレーにて塗装し7日間20℃相対湿度65%の条件下自然乾燥させた。次いで、実施例▲1▼〜▲4▼、比較例▲1▼〜▲4▼の計8種類の塗料組成物をエアースプレーにて乾燥膜厚約40μmになるように塗装し、7日間自然乾燥させた。得られたテストピースを用いて、耐熱試験前後の付着性、防食性、塗膜の硬度、塗膜外観の評価を下記方法にて実施した。
【0029】
〈耐熱試験〉
850℃に設定した電気炉内に、上記テストピースを6分間静置させる。
6分後に炉外に出し、自然放冷させた。
【0030】
〈付着性試験〉
ごばん目クロスカット(2mm間隔、25マス)後、セロハン粘着テープ剥離試験し、残存塗膜数を測定した。
【0031】
〈防食性試験〉
塩水噴霧試験240時間後、発錆状態をASTM D610により判定した。
【0032】
〈塗膜の硬度〉
実用上問題のないレベルかどうかを、テストピース上を歩き、そのときの塗膜表面の傷の付く程度で評価し、3段階評価(○、△、×)で示した。
〈塗膜外観〉塗膜の外観(われ、はがれの有無)を評価し、○、×で示した。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示す結果からも明らかなように、本発明の船舶用耐熱塗料組成物である実施例▲1▼〜▲4▼の塗料組成物は優れた耐熱性及び実用上問題ない防食性を有している。一方、アルミニウム粉末30重量%より多量に、及びマイカ20重量%より多量に配合している比較例▲1▼及び▲2▼は塗膜の硬度が低く、亜鉛末を配合している比較例▲3▼、▲4▼は耐熱性が悪くなっている。
【0035】
【発明の効果】
本発明の方法により以下のような従来技術に無い効果が得られる。
(i)本発明は、従来の無機質系耐熱塗料のように、亜鉛を含まないので
750〜800℃ぐらいの高温にも耐え、加熱後の付着性も良好である。
(ii)焼成処理された無水防錆顔料を用いるので、加熱後の組成変化が無く、加熱前後の防食性が良好である。
(iii) 溶接・歪み取り等の熱影響に耐えるので、ブロック段階にて塗装でき、後工程での補修が無くなる。
Claims (2)
- テトラアルコキシシリケート、アルキルトリアルコキシシリケート及びそれらの加水分解初期縮合物から選ばれる少なくとも1種を結合剤とし、塗料固形分中にアルミニウム粉末を10〜30重量%、酸化チタンを5〜20重量%、マイカを5〜20重量%それぞれを含むように配合された船舶用耐熱塗料。
- 無水防錆顔料をさらに配合することを特徴とする請求項1に記載の船舶用耐熱塗料。
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