JP3582674B2 - 次亜リン酸ニッケルの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な次亜リン酸ニッケルの製造方法、更に詳しくは、塩化ニッケルと次亜リン酸ソーダを水系において反応させる次亜リン酸ニッケルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無電解めっきにおいて、基本組成として、通常、還元剤として次亜リン酸ソーダが、ニッケル源として硫酸ニッケルが用いられている。このようなめっき液組成において、そのめっき老化液には、硫酸ソーダが蓄積されることから、その処理方法等に問題がある。この問題を軽減する方法として、特開平4−210480号公報には、還元剤として次亜リン酸ニッケル或いは次亜リン酸コバルトを用いることが開示されている。
【0003】
現在、知られている、次亜リン酸ニッケルの製造方法としては、次亜リン酸と水酸化ニッケルから得る方法(「化学大辞典」4巻、縮刷版、49頁、1993年、共立出版株式会社発行)、硫酸ニッケルと次亜リン酸ソーダを水系で複分解反応させて次亜リン酸ニッケルを得る方法(P.Breteau、Bl.Soc.Chem.、1911、Vol.9、518〜519頁)が知られている。
【0004】
しかしながら、次亜リン酸と水酸化ニッケルから次亜リン酸ニッケルを得る方法は、開示はされているが、反応条件等は全く知られていない。また、硫酸ニッケルと次亜リン酸ソーダから次亜リン酸ニッケルを複分解反応により得る方法においては、硫酸ナトリウム等の副生物が生成するため目的とする次亜リン酸ニッケルを反応液から分離回収するのに手間が掛かるという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、叙上の事実を鑑み、次亜リン酸ニッケルの複分解反応による製造方法について鋭意研究を重ねた結果、塩化ニッケルと次亜リン酸ソーダとを水系において反応させることにより、次亜リン酸ニッケルを製造することができ、かつ、反応終了後、目的とする次亜リン酸ニッケルを反応液から、容易に分離回収できることを知見し本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は簡便な操作で、かつ工業的に有利な方法で無電解めっきに有用な次亜リン酸ニッケルを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩化ニッケルと次亜リン酸ソーダとを水系において反応させ、次いで晶析分離することを特徴とする次亜リン酸ニッケルの製造方法に係わるものである。
【0008】
また、本発明において、晶析分離は、冷却晶析させて次亜リン酸ニッケル含水結晶[Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 O]として回収することを構成上の特徴とする。
【0009】
本発明の次亜リン酸ニッケルの製造方法の特徴とするところは、複分解反応により生成する塩化ナトリウムと目的生成物である次亜リン酸ニッケルの水に対する溶解度差を利用して、反応終了後、反応溶液をそのまま冷却晶析してNi(H2 PO2 )2 ・6H2 Oの結晶を簡便な操作でかつ、高純度で得ることができることである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる原料の塩化ニッケル及び次亜リン酸ソーダは、工業的に生産されるものであれば、特に制限がなく、無水塩或いは含水塩に係わらず、いかなるものでも用いることができる。
【0011】
次亜リン酸ソーダと塩化ニッケルのP元素とNi元素のモル比(P/Ni)は、通常、化学量論量の2で行うことが望ましい。
【0012】
反応に用いる水の量は、無水塩換算で、原料の塩化ニッケルに対して、19倍モル量(水/塩化ニッケル)以上であれば、特に制限がないが、通常、19〜50倍モル量、好ましくは20〜40倍モル量である。これは、加える水の量が原料の塩化ニッケルに対して19倍モル量未満では、塩化ナトリウムの結晶が反応系内に析出しやすくなるため、目的生成物の次亜リン酸ニッケルの分離回収が困難になり、高純度の次亜リン酸ニッケルが得られなくなる。
【0013】
本発明の次亜リン酸ニッケルの製造方法の態様としては、予め、反応容器に水と原料の次亜リン酸ソーダと塩化ニッケルを仕込んで、40〜80℃で反応させることにより目的とする次亜リン酸ニッケルを得ることができる。また、次亜リン酸ソーダを予め水に溶解させた後、塩化ニッケルを粉末状もしくはスラリー状として徐々に添加して、40〜80℃で反応させてもよい。
【0014】
反応温度は、通常40〜80℃、好ましくは40〜70℃である。反応温度が40℃より低くなると、反応時間が極端に長くなり、80℃より高くなると原料の次亜リン酸ソーダが亜リン酸ソーダに自己分解すると共に、生成した次亜リン酸ニッケルが亜リン酸ニッケルに自己分解するため好ましくない。
【0015】
反応は、原料の塩化ニッケルが反応系内で全量溶解した時点で反応は完了し、反応時間は、反応温度或いは原料のモル比にもよるが通常2時間以内、好ましくは30分以内で反応は終了する。
【0016】
反応終了後、反応溶液を所定の温度で冷却晶析することにより緑色のNi(H2 PO2 )2 ・6H2 Oの結晶が析出し、次いで、濾過等の通常の分離手段により反応溶液から結晶を分離回収することができる。なお、晶析温度は塩化ナトリウムと次亜リン酸ニッケルの溶解度差の大きくなる温度域であれば特に限定がないが、通常は常温以下、好ましくは10〜20℃が望ましい。
【0017】
更に、所望により、得られた緑色結晶を乾燥させることもできるが、この場合、温度を40℃以下で行う必要がある。これは、40℃を越える温度で乾燥を行うと結晶水を除々に失い、容易に変質を始めるからである。
【0018】
また、濾過分離後の濾液は、蒸留等の分離手段により濾液中に残存する塩化ナトリウムを除いた後、再び反応溶液として用いることができる。
【0019】
【作用】
本発明において、塩化ニッケルと次亜リン酸ソーダとの反応による次亜リン酸ニッケルの製造方法は、下記の反応式(1)に基づいて進行する。
【0020】
【化1】
【0021】
本発明では、原料の塩化ニッケルと次亜リン酸ソーダを水系において反応させる複分解反応により、目的とする次亜リン酸ニッケルを得るものであるが、上記反応式(1)に示すが如く、次亜リン酸ニッケルの他、塩化ナトリウムが生成する。
【0022】
塩化ナトリウムの水に対する溶解度は、温度に関係なく、ほぼ35〜40g/水100gであり、一方、目的とする次亜リン酸ニッケルの溶解度は、温度依存性が高いことから、予め、反応溶液である水の量を原料の塩化ニッケルに対して19倍モル量以上で反応を行うことにより、反応終了後、生成した塩化ナトリウムは反応溶液中に溶存する。
【0023】
従って、本発明では、反応終了後、反応溶液をそのまま所定の温度まで冷却し、両塩の溶解度差を利用して、その溶解度差の大きなところで晶析することにより、容易にNi(H2 PO2 )2 ・6H2 Oのみが析出し、目的とする次亜リン酸ニッケルを高純度でNi(H2 PO2 )2 ・6H2 Oの含水結晶として得ることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明につき、更に具体的に説明するために実施例及び比較例を挙げるが、これに限定されるものではない。
【0025】
実施例1
反応容器に、イオン交換水185.1g、塩化ニッケル・6水塩60.7g及び次亜リン酸ソーダ・1水塩54.2gをそれぞれ仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温して反応させた。水の全量は塩化ニッケル(無水塩換算)に対して48倍モル量である。約30分で原料の塩化ニッケルが全量溶解し、反応終点とした。更に、撹拌を続けながら20℃まで冷却し、2時間晶析した。得られた結晶を濾過分離し、35℃にて2時間乾燥を行って緑色結晶22gを得た。収率は94%であった。
【0026】
得られた緑色結晶をICP発光分光装置{日本ジャーレルアッシュ社製、ICAP 575 Mark(II)}と示差熱分析装置{セイコー電子工業社製、TG/DTA 300}により分析を行った。
【0027】
結晶中のP元素とNi元素のモル比(P/Ni)が2であり、かつ、約100℃で約36%の重量の減少がみられた。この重量変化は、次亜リン酸ニッケル6水和物中の水の量[6H2 O(重量:108g)/Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 O(重量;296.7g)=36%]に相当することから、この緑色結晶は次亜リン酸ニッケルの6水和物[Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 O]であることを確認した。
【0028】
また、この結晶を水に溶解し、キャピラリー電気泳動装置(Waters クウォンタ4000CEシステム)で結晶中のCl−濃度を分析した結果、130ppmであった。
【0029】
実施例2
晶析温度を10℃として、実施例1と同様な操作で実験を行って、次亜リン酸ニッケル・6水塩、Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 Oの緑色結晶35gを得た。収率は97%であった。
結晶中のCl−濃度は180ppmであった。
【0030】
実施例3
反応容器に、イオン交換水107.95g、塩化ニッケル・6水塩60.7g及び次亜リン酸ソーダ・1水塩54.2gをそれぞれ仕込み、撹拌しながら50℃まで昇温して反応させた。水の全量は塩化ニッケル(無水塩換算)に対して32倍モル量である。約1時間で原料の塩化ニッケルが全量溶解し、反応終点とした。更に、撹拌を続けながら10℃まで冷却し、2時間晶析した。得られた結晶を濾過分離し、35℃にて2時間乾燥を行って次亜リン酸ニッケル・6水塩、Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 Oの緑色結晶48gを得た。収率は97%であった。
結晶中のCl−濃度は210ppmであった。
【0031】
比較例1
反応容器に、イオン交換水178.7g、硫酸ニッケル・6水塩67.1g及び次亜リン酸ソーダ・1水塩54.2gを仕込み、撹拌しながら、60℃まで昇温して反応させた。約30分で原料の硫酸ニッケルが全量溶解し、反応終点とした。更に、撹拌を続けながら10℃まで冷却し、2時間晶析した。得られた結晶を濾過分離し、35℃にて2時間乾燥を行って次亜リン酸ニッケル・6水塩、Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 Oの緑色結晶28gを得た。収率は78%であった。
また、結晶中には硫酸ナトリウムを20%含んでいた。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明は、塩化ニッケルと次亜リン酸ソーダを水系において反応させることにより、容易に次亜リン酸ニッケルを製造でき、更に生成する塩化ナトリウムと次亜リン酸ニッケルとの水に対する溶解度差を利用して、反応液を冷却晶析することにより、Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 Oの緑色結晶を高純度で得ることができる極めて工業的に有利な製造方法である。
【0033】
本発明により得られた次亜リン酸ニッケルは、無電解めっき方法の新規な還元剤、ニッケル源として効果的な薬剤として適用できる。
Claims (3)
- 塩化ニッケルと次亜リン酸ソーダとを水系において反応させ、次いで晶析分離することを特徴とする次亜リン酸ニッケルの製造方法。
- 晶析分離は、冷却晶析させて次亜リン酸ニッケル含水結晶[Ni(H2 PO2 )2 ・6H2 O]として回収する請求項1記載の次亜リン酸ニッケルの製造方法。
- 反応に用いる水の量は塩化ニッケル(無水塩換算)に対して19倍モル量(水/塩化ニッケル)以上である請求項1記載の次亜リン酸ニッケルの製造方法。
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