JP3582369B2 - 加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱延鋼板および冷延鋼板は、自動車、産業機械等に広く使用されている。そして、それらの用途にはプレス加工で成形される部材が多いため、その部材の形状に応じて様々な加工性が要求される。
【0003】
しかしながら、近年の自動車、産業機械等のメーカーからの合理化の要求が厳しく、特に同メーカーでの製品の製造時での歩留まりのさらなる向上が求められている。このような背景から、材質面では特に均一性の高いことが重要となっている。
【0004】
このような観点から、材料の加工性を均一にする目的で、熱延での加熱温度を従来よりも低温とし、仕上げ圧延での圧下率を高くして圧延終了後に急冷し、比較的高温で巻取り、その後冷延および焼鈍するといった技術が提案されている(特公平7−56055号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術では、コイルの長手方向の均一性は改善されているものの、コイルの幅方向の均一性には問題がある。すなわち、この技術では熱延での加熱温度を低温とし、さらには仕上圧延で高圧下率の圧延のため、コイルのエッジおよびその近傍での温度の低下が著しく、結果としてコイルの幅方向で組織がばらつく問題が生じる。
【0006】
このように、コイルの幅方向で組織がばらつくと、材料内における加工性の面内での均一性が悪くなり、特に寸法精度の厳しいプレス加工品においては、プレス加工時のコイルの幅方向端部付近では、幅中央部に対して加工性が低いため、スプリングバックの幅方向の差によりプレス加工後における加工部品の寸法精度に問題が生じる。したがって、コイル内での板採りをコイルの幅方向端部付近を含まないような低い歩留まりで行わざる得ない。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、寸法精度の厳しいプレス加工用途にも適合し得る、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向で均一な薄鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、自動車、産業機械等のメーカーでの使用条件からみて、コイルからの製品採取を高歩留まりで行なうことができる、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向で均一な薄鋼板を得るためには、加工性の観点から組成を適正なものとした鋼の連続鋳造スラブを再加熱後または直接熱間圧延するに際して、
(1)熱延における1次圧延の圧延温度および圧下率を適正にして、1次圧延後でのオーステナイト粒径を細粒とすること
(2)引き続き、1次圧延後の素材全体を特定の温度範囲にて加熱して、さらに幅方向エッジも加熱し、1次圧延後でのオーステナイト粒径の均一性を高めること
(3)続いて、2次圧延での圧下率、温度および巻取温度を適正にして、2次圧延後における繰り返し再結晶によるオーステナイト粒径を細粒でかつ均一としてその組織を凍結すること
が必要であることを見出した。
【0009】
また、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向で均一な冷延鋼板を得るためには、上記のようにして得られた熱延鋼板を素材として用いて、冷間圧延と再結晶焼鈍を施すことが必要であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供するものである。
(1) 重量%にて、C:0.2%以下、Si:1.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.2以下、S:0.05%以下、O:0.004%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.02%以下を含有する鋼を連続鋳造した後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接熱間圧延するに際して、Ar以上の温度で70%以上の圧下率にて1次圧延を施して鋼帯とする工程と、その後に該鋼帯の全体をAr+10℃〜1150℃の範囲内で再加熱する工程と、その再加熱の前工程、または後工程、または前後工程で鋼帯の幅方向エッジを鋼帯の温度を基準として100℃以下で加熱する工程と、Ar点以上の温度で80%以上の圧下率にて2次圧延を施し、かつ該2次圧延終了温度をAr〜Ar+30℃の範囲内とする工程と、引き続き750℃以下の温度で巻き取る工程とを具備することを特徴とする、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
【0011】
(2) 重量%にて、C:0.2%以下、Si:1.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.2以下、S:0.05%以下、O:0.004%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.02%以下を含有する鋼を連続鋳造した後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接熱間圧延するに際して、Ar以上の温度で70%以上の圧下率にて1次圧延を施して鋼帯とする工程と、その後に該鋼帯の全体をAr+10℃〜1150℃の範囲内で再加熱する工程と、その再加熱の前工程、または後工程、または前後工程で鋼帯の幅方向エッジを鋼帯の温度を基準として100℃以下で加熱する工程と、Ar点以上の温度で80%以上の圧下率にて2次圧延を施し、かつ該2次圧延終了温度をAr〜Ar+30℃の範囲内とする工程と、引き続き750℃以下の温度で巻き取る工程とを具備し、その後、冷間圧延し、引き続き再結晶焼鈍することを特徴とする、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
【0012】
(3) 上記(1)、(2)において、前記2次圧延終了温度は、前記鋼帯の全体加熱を行う加熱装置の出力を調整することによりAr〜Ar+30℃の範囲内に制御されることを特徴とする、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
【0013】
(4) 上記(1)〜(3)において、さらにTi、Nb、V、Zrのうち1種または2種以上を0.01〜0.2%含有することを特徴とする、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
【0014】
(5) 上記(1)〜(4)において、さらにB:0.0001〜0.010%を含有することを特徴とする、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
上述したように、コイルからの製品採取を高歩留まりで行なうためには、まず、鋼中の成分を最適化することが必要である。
【0016】
このために本発明では、鋼の基本組成を、重量%にて、C:0.2%以下、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.2以下、S:0.05%以下、O:0.004%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.02%以下としている。
以下、これらの限定理由について説明する。
【0017】
C:0.2%以下
Cは鋼板の加工性に悪影響を及ぼす元素であるため、その含有量は少ない方が好ましい。C量が0.2%を超えると、加工性の劣化が著しくなることから、その含有量を0.2%以下とした。加工性の向上のためのより好ましい範囲は0.05%であり、加工性をさらに高いレベルとする観点からは0.005%以下であることが一層好ましい。
【0018】
Si:2.0%以下
Siは鋼板を固溶強化する作用を有するが、加工性に悪影響を及ぼす元素であるため少ないほうが好ましい。Si量が2.0%を超えると、加工性の劣化が著しくなることから、その含有量を2.0%以下とした。加工性の向上のためのより好ましい範囲は0.5%以下である。加工性をさらに高いレベルとする観点からは0.1%以下であることが一層好ましい。
【0019】
Mn:3.0%以下
Mnは鋼板の靱性を改善し、鋼板を固溶強化する作用を有するが、加工性に悪影響を及ぼす元素である。Mn量が3.0%を超えると、強度が上昇し、加工性の劣化が著しくなることから、その含有量を3.0%以下とした。加工性の向上のためのより好ましい範囲は2.0%以下である。加工性をさらに高いレベルとする観点からは0.5%以下であることが一層好ましい。
【0020】
P:0.2%以下
Pは鋼板を固溶強化する作用を有するが、その含有量が0.2%を超えると粒界偏析による粒界脆化が生じやすくなる。したがって、Pの含有量を0.2%以下とした。加工性の向上のためのより好ましい範囲は0.1%である。加工性をさらに高いレベルとする観点からは0.02%以下であることが一層好ましい。
【0021】
S:0.05%以下
Sは0.05%を超えると硫化物の析出量が多くなり、加工性が劣化する。したがって、Sの含有量を0.05%以下とした。加工性の向上のためのより好ましい範囲は0.02%以下である。加工性をさらに高いレベルとする観点からは0.005%以下であることが一層好ましい。
【0022】
sol.Al:0.01〜0.1%
sol.Alは鋼の脱酸材として使用され、さらには後述するTi、Nb、Zr、Vの添加歩留まりを上昇させるために必須な添加元素である。しかし、0.01%未満では上記した効果が得られず、一方、0.1%を超えるとその効果が飽和して不経済となる。よって、sol.Alの含有量を0.01〜0.1%とした。
【0023】
N:0.02%以下
Nはその含有量が少ないほど後述する炭窒化物形成元素の添加量が少なくなり経済的である。N量が0.02%を超えると炭窒化物形成元素を添加してNを固定しても鋼板の加工性の低下が避けられない。よって、N含有量を0.02%以下とした。加工性の向上のためのより好ましい範囲は0.005%以下である。
【0024】
O:0.004%以下
Oはその含有量が少ないほど加工性に対しては好ましい。O量が0.004%を越えると鋼板の加工性の低下が避けられない。よって、O含有量を0.004%以下とした。このような範囲のO含有量は、上記sol.Al量を制御することにより達成される。
【0025】
なお、素材鋼としては、上記した成分に加えて、さらにTi、Nb、V、Zrのうち1種または2種以上を0.01〜0.4%含有してもよい。これらの成分は炭窒化物や硫化物を形成し、鋼中のC、N、Sを減少させ、加工性をより優れたものとすることができるので、必要に応じて単独または複合で添加することが好ましい。しかし、これらの合計含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、一方、0.4%を超えると強度が上昇しすぎて加工性が劣化するため、0.01〜0.4%の範囲とした。
【0026】
さらには、本発明においては、耐縦割れ性やほうろう材における耐爪とび性の向上を目的として、Bを0.0001〜0.010%の範囲で添加してもよい。B量が0.0001%未満では耐縦割れ性やほうろう用途における耐爪とび性向上の効果が得られず、一方、0.010%を超えると、その効果が飽和する。よって、B量の範囲を0.0001〜0.010%とした。
【0027】
次に、本発明の製造条件について説明する。
自動車および産業機械等のメーカーでの使用条件からみて、コイルからの製品採取を高歩留まりで行うためには、上述のように鋼組成を適切に制御した上で、平均結晶粒径(D)およびコイルの幅方向での平均結晶粒径の変動(Dmax/Dmin)を特定の範囲内とすることが必要である。ただし、Dmaxは幅方向での平均結晶粒径の最大値、Dminは幅方向での平均結晶粒径の最小値である。
【0028】
すなわち、
(1)平均結晶粒径(D):5〜35μm
(2)コイルの幅方向での平均結晶粒径の変動(Dmax/Dmin):2.0以下であることが必要である。
【0029】
ここで、Dが5μm未満では本発明で意図する高い加工性が得られない。一方、Dが35μmを超えると加工時に肌荒れが問題となる。Dが5〜35μmであれば、高い加工性が得られ、かつ肌荒れも発生せずに、コイルからの製品採取を高歩留まりで行うことができる。加工性の向上のためのより好ましい範囲は15〜30μmであり、加工性を確保しつつ、強度を高めることができる範囲は、5〜15μmである。
【0030】
また、コイルの幅方向での平均結晶粒径の変動(Dmax/Dmin)が2.0を超えると、図1に示すように、材料内における加工性の面内での均一性が悪くなり、プレス加工時のコイルの幅方向端部付近では、幅中央部に対して加工性が低いため、プレス加工後における加工部品の寸法精度に問題が生じる。したがって、コイル内での仮採りをコイルの幅方向端部付近を含まないような低い歩留まりで行わざるを得なくなる。なお、寸法精度については、スプリングバックの幅方向の差について実際に実験を行って把握した。すなわち、スプリングバックの幅方向の差は、上述の組成を満たす鋼を用いて製造条件を変化させて作製した薄鋼板を用い、後述する実施例に示すような試験方法により求め、スプリングバックの幅方向の差が2度を超えると寸法精度が悪いと判断した。
【0031】
連続鋳造スラブを再加熱後または直接熱間圧延する製造方法において、このような平均結晶粒径およびその幅方向の変動を適切なものとするためには、上述の組成の鋼を連続鋳造した後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接熱間圧延するに際して、(1)熱延における1次圧延の圧延温度および圧下率を適正にして、1次圧延後でのオーステナイト粒径を細粒とすること、(2)引き続き、1次圧延後の素材全体を特定の温度範囲にて加熱して、さらに幅方向エッジも加熱し、1次圧延後でのオーステナイト粒径の均一性を高めること、(3)続いて、2次圧延での圧下率、温度及び巻取温度を適正にして、2次圧延後における繰り返し再結晶によるオーステナイト粒径を細粒でかつ均一としてその組織を凍結することが必要であり、そのために本発明では、Ar以上の温度で70%以上の圧下率にて1次圧延を施して鋼帯とする工程と、その後に該鋼帯の全体をAr+10℃〜1150℃の範囲内で再加熱する工程と、その再加熱の前工程、または後工程、または前後工程で鋼帯の幅方向エッジを鋼帯の温度を基準として100℃以下で加熱する工程と、Ar点以上の温度で80%以上の圧下率にて2次圧延を施し、かつ該2次圧延終了温度をAr〜Ar+30℃の範囲内とする工程と、引き続き750℃以下の温度で巻き取る工程とを具備する。
以下、製造条件の限定理由について説明する。
【0032】
熱延における1次圧延温度:Ar点以上
1次圧延の温度はまず、粗圧延材の結晶粒径の制御の観点より規定される。Ar点未満であるとフェライト域の圧延であるため、再結晶の進行よりも、回復が進行するため、結晶粒の微細化を図ることができず、結果として本発明で規定する結晶粒経を得ることができない。したがって、1次圧延温度をAr点以上とした。
【0033】
熱延における1次圧延の圧下率:70%以上
1次圧延での圧下率が70%未満では、1次圧延後でのオーステナイト粒径を細粒とすることができず、結果として本発明で規定する結晶粒径を得ることができない。圧下率が70%以上であれば、本発明で規定する結晶粒径を得ることがきるため、1次圧延の圧下率を70%以上とした。
【0034】
鋼帯の再加熱温度:Ar+10℃〜1150℃
粗圧延鋼帯または仕上げスタンド間の鋼帯をAr+10℃〜1150℃の範囲内で加熱することにより、1次圧延後でのオーステナイト粒径の均一性を高めることができ、結果として、スラブの熱履歴が鋳造ままであっても、再加熱であっても、結晶粒径の変動を本発明で意図する範囲まで小さくすることができる。Ar+10℃未満では、2次圧延において表層およびその近傍でフェライト相への変態が進行して表層が粗大粒化するため、結晶粒径の変動を本発明で意図する範囲まで低く抑えることができない。一方、1150℃を超えると、平均粒径(D)が本発明で意図する範囲を超えてしまう。したがって、1次圧延鋼帯の加熱温度をAr+10℃〜1150℃の範囲とした。
【0035】
鋼帯の幅方向エッジの加熱:100℃以下
粗圧延後の鋼帯の全体加熱の前工程、または後工程、または前後工程で、鋼帯の幅方向エッジを加熱することにより、所望の組織を得ることができる。具体的には、鋼帯の幅方向エッジを、鋼帯の温度を基準として100℃以下で加熱することにより、鋼帯の幅方向の組織、つまり幅方向での平均結晶粒径の変動を本発明で意図するものとすることができる。
【0036】
熱延における2次圧延の圧下率:80%以上
2次圧延での圧下率が80%未満では、2次圧延後でのオーステナイト粒径を細粒とすることができず、結果として、本発明で意図する結晶粒径を得ることができない。圧下率が80%以上であれば、本発明で意図する結晶粒径を得ることができるため、2次圧延の圧下率を80%以上とした。
【0037】
熱延における2次圧延の温度:Ar点以上
2次圧延での温度がAr点未満では、1次圧延後でのフェライト相の圧延部分が粗大粒化して、結果として、本発明で意図する結晶粒径を得ることができない。Ar点以上において本発明で意図する結晶粒径が得られるため、2次圧延の温度をAr点以上とした。
【0038】
2次圧延終了温度:Ar〜Ar+30℃
2次圧延終了温度がAr点未満ではフェライト変態後に仕上げ圧延が施されるため、結晶粒が粗大粒化し、一方Ar+30℃超ではオーステナイト粒径を細粒化することができず、結果として本発明で意図する結晶粒径を得ることができない。したがって、2次圧延終了温度をAr〜Ar+30℃の範囲に制御することによって、鋼帯の組織つまり結晶粒径を本発明で意図するものとすることができる。この場合に、2次圧延終了温度は、鋼帯の全体加熱を行う加熱装置の出力を調整することにより行うことができる。
【0039】
巻取温度:750℃以下
巻取温度は2次圧延後での繰り返し再結晶によるオーステナイト粒径を細粒でかつ均一とし、その組織を凍結するために制御が必要な製造条件である。巻取温度が750℃を超えると、巻取後にフェライトが粒成長し、結果として本発明で意図する結晶粒径を得ることができない。巻取温度が750℃以下であれば本発明で意図する結晶粒径が得られるため、巻取温度を750℃以下とした。
【0040】
本発明における冷延鋼板を得る方法としては、上記方法によって得られた熱延鋼板を素材として、冷間圧延と再結晶焼鈍を施すことにより得られる。
冷間圧延は鋼板を所定の板厚にするとともに、圧延集合組織を発達させて、その後の再結晶焼鈍工程において加工性の向上に好ましい集合組織を発達させるために施される。冷間圧延の条件は特に限定されるものではないが、上記目的のためには、50%以上の圧下率で最終板厚に加工することが好ましい。
【0041】
再結晶焼鈍は通常採用される条件で行えばよい。具体的には550〜900℃の温度範囲で焼鈍を行なってフェライトを再結晶させる。550℃未満の温度では、長時間の箱焼鈍でも再結晶が十分に生じない。一方、900℃を超える温度ではオーステナイト化が進行して加工性が劣化する。
再結晶焼鈍を行なう方法としては、連続焼鈍、箱焼鈍、または溶融亜鉛めっき処理に先行する連続熱処理のいずれでもよい。
【0042】
本発明によれば、上述のように、連続鋳造スラブを再加熱後または直接熱間圧延して熱延鋼板を得る場合でも、このような熱延鋼板を素材として冷延鋼板を得る場合でも、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ないものとすることができる。
【0043】
上述した組成の素材鋼は、例えば転炉、電気炉等により溶製される。鋼片の製造は造塊−分塊圧延法または連続鋳造法、薄スラブ鋳造法、ストリップ鋳造法のいずれでも構わない。なお、本発明においては、連続鋳造または造塊、分塊圧延により得られたスラブ加熱する製造方法においては、スラ部を室温以上の温度まで冷却した後、熱延加熱炉に装入する。その場合、熱延加熱炉への装入温度はAr点以下であることが組織を制御する上で好ましい。
【0044】
なお、本発明においては粗圧延鋼帯を加熱する前工程、もしくは後工程でレベラー等の矯正装置によって形状矯正を行うことが好ましい。矯正を粗圧延鋼帯を加熱する前工程で行なう場合、粗圧延鋼帯の形状が良くなることにより粗圧延鋼帯の加熱時の均一性が良くなり、粗圧延鋼帯内の組織の均一性が高くなり、さらには仕上げ圧延機に挿入される粗圧延鋼帯の形状がよいため、仕上げ圧延における塑性変形時の均一性が高くなり、結果として得られる鋼板の組織も均一になる。また、矯正を粗圧延鋼帯を加熱する後工程で行う場合、少なくとも仕上げ圧延機に挿入される粗圧延鋼帯の形状が良いため、仕上げ圧延における塑性変形時の均一性が高くなり、結果として組織が均一となる。
【0045】
本発明においては、鋼帯の全体の再加熱は、仕上げ圧延のスタンド間で行ってもよい。この場合でも本発明の効果はなんら損なわれない。
【0046】
本発明方法によって得られた冷延鋼板は、適宣、表面処理(溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電気めっき、有機被覆コーテングなど)やプレス加工を施した後、例えば、自動車、家電製品、鋼構造物などに使用されるが、特にこれらの用途において要求される高加工性と強度を有するものである。
【0047】
【実施例】
次に、本発明による具体的な実施例について、比較例と比較しながら以下に説明する。
表1に示す化学組成を有する鋼(材料No.1〜17)を、表2に示す条件で熱間圧延し、冷却して巻取り処理を行ない、材料No.1〜6については熱延板の結晶粒径を測定した。材料No.1〜15の各材は2次圧延終了温度が本発明の範囲内となるように、鋼帯の全体を加熱する加熱装置および幅方向エッジを加熱する加熱装置の出力調整を行いながら、熱間圧延を行った材料である。また、材料No.1及び材料No.7は鋳造後直接に熱間圧延を行なった。平均結晶粒径の変動(Dmax/Dmin)は熱延板の幅方向の平均粒径(D)を測定し、その最大値を最小値で割ることにより求めた。また、材料No.7〜17については、熱延板を酸洗後、表2に示す条件にて冷間圧延と焼鈍とを行い、材料No.1〜6と同様に、結晶粒径を調べた。
【0048】
プレス成形品の評価としては、上記熱延板および冷延板の幅方向中央部および端部より試験片を採取し、曲げ加工後のスプリングバック角度を測定し、その差が1度以下の場合は「プレス成形性が極めて良好」、その差が1度超えで2度以下の場合は「プレス成形性が良好」、2度超えの場合は「プレス成形性が不良」として評価した。その結果を平均結晶粒径および平均結晶粒径の変動とともに表3に示した。
【0049】
表2、表3から明らかなように、本発明に係る鋼板においては、曲げ加工において割れが生じず、加工性に優れていることが確認された。また、プリングバック角度の幅方向の差が2度以下となり、幅方向でのプレス成形性の均一性に優れていることが確認された。
【0050】
なお、本発明例のNo.10、11、14の各材は、深絞り性においても特に優れており、コイルの幅方向の端部より製品を採取した場合も、コイルの幅方向中央から採取した製品と同レベルの優れた深絞り性を有しており、プレス成形性の要求度の特に厳しい部材でも、高歩留まりで製造することができるといった効果を得ることができる。
【0051】
【表1】
Figure 0003582369
【0052】
【表2】
Figure 0003582369
【0053】
【表3】
Figure 0003582369
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない鋼板の製造方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。本発明による鋼板は自動車用、産業機器用、家電用(テレビ用のフレーム材、シャドウマスク材およびインナーシールド材、各種容器材など)、ほうろう用等に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dmax/Dminとスプリングバック角度の幅方向の差(Δθ)の関係を示す図。

Claims (5)

  1. 重量%にて、C:0.2%以下、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.2以下、S:0.05%以下、O:0.004%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.02%以下を含有する鋼を連続鋳造した後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接熱間圧延するに際して、Ar以上の温度で70%以上の圧下率にて1次圧延を施して鋼帯とする工程と、その後に該鋼帯の全体をAr+10℃〜1150℃の範囲内で再加熱する工程と、その再加熱の前工程、または後工程、または前後工程で鋼帯の幅方向エッジを鋼帯の温度を基準として100℃以下で加熱する工程と、Ar点以上の温度で80%以上の圧下率にて2次圧延を施し、かつ該2次圧延終了温度をAr〜Ar+30℃の範囲内とする工程と、引き続き750℃以下の温度で巻き取る工程とを具備することを特徴とする、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
  2. 重量%にて、C:0.2%以下、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.2以下、S:0.05%以下、O:0.004%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.02%以下を含有する鋼を連続鋳造した後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接熱間圧延するに際して、Ar以上の温度で70%以上の圧下率にて1次圧延を施して鋼帯とする工程と、その後に該鋼帯の全体をAr+10℃〜1150℃の範囲内で再加熱する工程と、その再加熱の前工程、または後工程、または前後工程で鋼帯の幅方向エッジを鋼帯の温度を基準として100℃以下で加熱する工程と、Ar点以上の温度で80%以上の圧下率にて2次圧延を施し、かつ該2次圧延終了温度をAr〜Ar+30℃の範囲内とする工程と、引き続き750℃以下の温度で巻き取る工程とを具備し、その後、冷間圧延し、引き続き再結晶焼鈍することを特徴とする、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
  3. 前記2次圧延終了温度は、前記鋼帯の全体加熱を行う加熱装置の出力を調整することによりAr〜Ar+30℃の範囲内に制御されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
  4. さらにTi、Nb、V、Zrのうち1種または2種以上を0.01〜0.2%含有することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
  5. さらにB:0.0001〜0.010%を含有することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の、加工性に優れ、かつ加工性の幅方向での変動が少ない薄鋼板の製造方法。
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