JP3581961B2 - 昇降式収納棚 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇降式収納棚に関し、特に、家庭内キッチンで食器を収容し、レストランの厨房で料理用道具を収容し、図書館、オフィスで書類、コンピュータを収納するために便利である昇降式収納棚に関する。
【0002】
【従来の技術】
台所の天井側に配置されている収容棚には、滅多に用いない食器、鍋のような調理用道具が収納されている。背伸びしても手が届かない高い所に収納されているこのような道具を取り出すために用いる踏み台は、これを収容する場所がない。手が届き難い高さ位置の道具を指を立てて上げ下げすることは、困難であり危険を伴う。コンピュータが置かれる机には、書類を広げるスペースが乏しい。油圧式に昇降する昇降台は知られている。バランサーで重力的な釣り合いを持ってエレベータのように昇降する昇降台は知られている。油圧機構を設けることは、目障りな機械要素が露出的に増えて台所では似つかわしくない。狭い収納容器の中にバランサーを配置することは、昇降台の上昇に対応してバランサーが下降し、そのバランサーを隠蔽的に収納する収容壁を設けるためのスペースが鉛直方向に拡大して好ましくない。
【0003】
特定の昇降位置、特に、連続的昇降位置で力学的に昇降台を均衡させるメカ部分をコンパクトにまとめることができることが望まれる。そのメカ部分ができるだけ見えずに見かけがよいことが更に求められる。昇降台に載置する品物の質量の変化に対応した均衡を簡易に実現することができることが更に求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特定の昇降位置、特に、連続的昇降位置で昇降台を力学的に均衡させるメカ部分をコンパクトにまとめることができる昇降式収納棚を提供することにある。
本発明の他の課題は、そのメカ部分ができるだけ見えずに見かけがよい昇降式収納棚を提供することにある。
本発明の更に他の課題は、昇降台に載置する品物の質量の変化に対応した均衡を簡易に実現することができる昇降式収納棚を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数・形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0006】
本発明による昇降式収納棚は、本体(1)と、本体(1)の基準高さ位置とその基準高さ位置より低い下方位置との間で往復運動する昇降台(4)と、本体(1)から昇降台(4)を吊り下げる吊下げ索(29)と、本体(1)に回転自在に支持される回転体とから構成されている。その回転体は、第1カム(回転)輪(22)と、第1回転輪(22)の回転に対応して回転する第2カム(回転)輪(21)とから形成されている。その吊下げ索は、第1回転輪(22)に巻き付く第1吊下げ索(29)と、第2回転輪(21)に巻き付く第2吊下げ索(26)とを備えている。昇降台(4)は、第1吊下げ索(29)を介して第1回転輪(22)に重力的に支持され、第2吊下げ索(26)は、伸縮により伸縮力が変化する伸縮体を介して本体(1)に結合している。第1吊下げ索(29)と第1回転輪(22)との間の第1モーメントは、昇降台(4)の特定の高さ位置で第2吊下げ索(26)と第2回転輪(21)との間の第2モーメントに力学的に概ね均衡する。2つの吊り下げ索の張力に基づく2つの回転輪の回転モーメントが特定の高さ位置で釣り合って均衡し、その特定の高さ位置で、昇降台は停止し、自ら動き始めることはない。そのような静止点は、1点に限られず、数点が設定され得る。
【0007】
このような均衡関係を実現する機構は、好ましい場合である特別の場合として、特定の高さ位置を連続化し得る。このような場合、昇降台(4)は、ある高さ範囲又は全高さ範囲で、停止した後に自ら動き始めることはない。ばねの張力は、昇降台の高さ位置の変化に対応して時々刻々に変化するが、モーメントの変化に即応して、昇降台はばね力と重力との均衡点で停止制御を受ける。高い位置に収容されている昇降台に手を伸ばして昇降台を引き下げれば、その昇降台は軽い力で引き下ろすことができ、任意の高さ位置で手から離された昇降台は、その任意の位置で停止し、重力により更に下降するこがなく、且つ、ばね力により上昇することがない。
【0008】
第2回転輪(21)の回転中心線は第1回転輪(22)の回転中心線に一致し、第1吊索(29)が巻き付く第1回転輪(22)の巻き付きカム線は非円形であり、第2吊索(26)が巻き付く第2回転輪(21)の巻き付きカム線は円形であり得る。一方(21)のカム形状を円形とすることにより、第1回転輪(22)の作図的設計が容易である。
【0009】
伸縮体としては、コイルスプリング(17)が好適に例示される。コイルスプリング(17)の有効長さは、昇降台(4)に載せられる物品の質量の変化に対応することができる点で、調整可能であることが特に好ましい。コイルスプリング(17)の有効長さを調整する可変長機構が追加される。可変長機構は、スプリングの螺旋に接触して回転する部分(41又は44)を有し、スプリング(17)の中心軸線を回転中心線として回転する回転軸(43)と、回転軸(43)を任意の前進後退位置で本体(1)固定する固定具(42)とを備えている。
【0010】
昇降台(4)は、食器の傾倒を防止する仕切り(7)を有している。停止している昇降台(4)の鉛直方向の自発的運動を制止するブレーキが追加されることは好ましい。ブレーキは、第1回転輪又は第2回転輪の回転を制動するものであることが、力学的構造を簡素化する点で特に好ましい。本体(1)は、昇降台(4)の昇降を案内する案内を備えることが昇降台(4)の揺れを防止する点で好ましい。その案内は、昇降台(4)が有する転輪を案内する軌道として形成され得る。その軌道は、水平方向成分を持って曲がるように設計されることがある。本体(1)が昇降台(4)を特定の高さ位置で固定する固定具を備えることは好ましい。
【0011】
昇降台(4)に収容される物品としては様々なものが例示され得るが、特に、食器、鍋、TVセット、コンピュータ、CDロム、書籍、書類を含む集合から選択される1又は複数の要素が特に好適に例示される。
【0012】
本発明による昇降式収納棚は、物品を収容する収容具本体(1)と、昇降台を収容具本体(1)から重力的に吊り下げる第1吊り索(29)と、第1吊り索(29)を巻き付ける第1輪(22)と、第1輪(22)に同期的に回転して第1輪(22)に結合する第2輪(21)と、第2輪(21)に巻き付く第2吊り索(26)と、第2吊り索(26)の一端と収容具本体(1)との間に介設され伸張力が伸張により変化する伸張体(17)とから構成されている。第1吊り索(29)の張力が第2吊り索(26)の張力と異なり、且つ、第1吊り索(29)の張力が昇降台(4)の重力に均衡する変速関係が第1輪(22)と第2輪(21)の間に与えられている。
【0013】
このような関係を実現する周知機構として複数が知られている。変速関係は、第1吊り索が第1輪から離脱する離脱長さの離脱速度と第2吊り索が前記第2輪から離脱する離脱長さの離脱速度との間の変速関係である。この場合、回転角速度はおなじであるが周速度が相対的に可変である。他の変速関係は、第1輪の回転角速度と第2輪の回転角速度との間の変速関係である。この場合、通常、変速歯車が用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図に対応して、本発明による昇降式収納棚の実施の形態は、キッチンに本体が配置されて設けられている。その本体1は、図1に示されるように、その上面がキッチン10の天井壁の下面に接するようにキッチン構成壁に固定されて取り付けられている。本体1は、図2に示されるように、表装パネルを有し、その表装パネルは、2つの木製四方枠2と木製四方枠2に内側から嵌め込まれている鏡板ガラス3とから形成されている。木製四方枠2と鏡板ガラス3に代えられて、多様な家具用・調度品用の既製品が用いられ得る。
【0015】
図3は、本体1から鉛直下方に引き下ろされた昇降台4を示している。昇降台4は、本体1から吊り下げられている。昇降台4は、最上昇位置で本体1の内側又は本体1の裏面側に完全に隠れ、最下降位置でその全容が現れる。昇降台4は、左右の昇降台形成板枠5を備えている。
【0016】
2段の載置台6が左右の昇降台形成板枠5の間に渡されて昇降台形成板枠5に支持されている。載置台6の手前端部位には、載置台6に載置されるキッチン用品の手前側端が規定面から手前にはみ出すことがないようにそのキッチン用品の手前方向の限界位置を制限する仕切板7が取り付けられている。仕切板7は、その手前側の高さ幅が狭くその奥側の高さ幅が広い。昇降台4の左右両側には、図4に示されるように、化粧パネル9が張り付けられている。
【0017】
昇降台形成板枠5の下端側にハンドル11が取り付けられている。ハンドル11は、図3又は図4に示されるように、その手前部分12が指で握りやすいように手前側に延び出している。ハンドル11は、手前部分12の左右両端部位で奥側に折れ曲がって奥側に延びる左右部分13を有している。左右部分13の最奥部位が、昇降台形成板枠5に同体に固着されている。
【0018】
図5は、昇降台4を本体1から吊下げて昇降させる吊下げ昇降機構を示している。その吊下げ昇降機構は、吊下げ力を発生する吊下げ力発生機構14と、吊下げ索の吊下げ張力を一定化する吊下げ張力制御機構15と、その吊下げ索を誘導する吊下げ索誘導機構16とから構成されている。
【0019】
吊下げ力発生機構14は、伸縮することが可能であり伸縮力がその伸縮により変化する伸縮体を備えている。そのような伸縮体として、コイルスプリング17が最適である。コイルスプリング17の一端部位は、第1ばね端固着具18に固着されている。コイルスプリング17の他端部位は、第2ばね端固着具19に固着されている。第1ばね端固着具18は、本体1の上層部として形成されている機構設置箱1’のコーナー部位20に固定されている。水平方向に伸縮するコイルスプリング17の端部を固着する第2ばね端固着具19は、1軸線上で矢aで示される双方向の水平方向に移動自在である。
【0020】
吊下げ張力制御機構15は、2つの回転輪を備えている。その2つの回転輪のうちの1つの回転輪は、第1カム輪21を形成し、その2つの回転輪のうちの他の1つの回転輪は、第2カム輪22を形成している。第1カム輪21と第2カム輪22とは、機械的に回転的に連結し、特に、同軸結合し、共通の回転軸23を有している。回転軸23は、鉛直方向に向いていて、機構設置箱1’に回転自在に支持されている。
【0021】
第2カム輪22は、第1カム輪21に対して相対的に偏心したカム周面を有していて、特に、第1カム輪21は円筒状カム周面24を有し、第2カム輪22は数学的に包絡線又は包絡面として規定される偏心カム周面25を有している。回転軸23は、コーナー部位20に対して反対側に位置する離隔位置で機構設置箱1’に支持されている。
【0022】
コイルスプリング17のばね力T1を伝達するばね力伝達紐である第1吊下げ索26が、第2ばね端固着具19と第1カム輪21の間に渡されている。第1吊下げ索26の一端は、第2ばね端固着具19に固着され、第1吊下げ索26の他端は第1カム輪21の周囲の円筒状カム周面24を周回して第1カム輪21に固着されている。第2ばね端固着具19と第1カム輪21との間には、第1吊下げ索26の張力を受けて第1吊下げ索26を方向転換させる転輪27が介設されている。
【0023】
第2カム輪22の偏心カム周面25には、第2吊下げ索29が巻き付いている。第2吊下げ索29の一端部は、第2カム輪22の偏心カム周面25に巻き付いて、その端部は第2カム輪22に固着されている。第2吊下げ索29の他端部は、第2カム輪22から離れて真っ直ぐに吊下げ索誘導機構16に向かう方向に延びていて、吊下げ索誘導機構16を介して更に延び、吊下げ索誘導機構16により鉛直方向下方に方向転換し、昇降台4の上端部位に結合して固着されている。
【0024】
回転軸23は、図6に示されるように、その上下部位が機構設置箱1’の天井壁31と底壁32とに回転自在に支持されている。第1カム輪21は、回転軸23に同体に強固に同軸に結合している。第2カム輪22は、回転軸23と第1カム輪21とに同体に強固に同軸に結合している。第1カム輪21の周面には第1溝面が形成され、その第1溝面が円筒状カム周面24に一致している。
【0025】
その第1溝面に第1吊下げ索26が安定的に落とし込まれている。第2カム輪22の周面には第2溝面が形成され、その第2溝面が偏心カム周面25に一致している。その第2溝面に第2吊下げ索29が安定的に落とし込まれている。第1カム輪21と第2カム輪22とは、回転軸23の回転軸心線Lを共有している。
【0026】
吊下げ索誘導機構16は、図5に示されるように、水平方向転換輪33と案内輪34と一方側(右側)水平方向鉛直方向転換輪35と、他方側(左側)水平方向鉛直方向転換輪36を備えている。水平方向転換輪33の回転中心線は鉛直方向に向き、案内輪34の回転中心線は鉛直方向に向いているが、一方側水平方向鉛直方向転換輪35の回転中心線は水平方向を向き、他方側水平方向鉛直方向転換輪36の回転中心線は水平方向を向いている。水平方向転換輪33と一方側水平方向鉛直方向転換輪35は機構設置箱1’の右側端に近い位置に配置され、他方側水平方向鉛直方向転換輪36は機構設置箱1’の左側端に近い位置に配置されている。
【0027】
第2吊下げ索29は、右側第2吊下げ索29−Rと左側第2吊下げ索29−Lの2本の索条として形成されている。右側第2吊下げ索29−Rは、第2カム輪22から離脱して水平方向転換輪33で方向転換し案内輪34で更に方向転換し、一方側水平方向鉛直方向転換輪35で水平方向から鉛直方向に方向転換して、その方向転換先は昇降台4の右側上方部位に結合して固着されている。
【0028】
左側第2吊下げ索29−Lは、第1カム輪21から離脱して、水平方向転換輪33で約180度の方向転換をし、他方側水平方向鉛直方向転換輪36で水平方向から鉛直方向に方向転換して、その方向転換先は昇降台4の左側上方部位に結合して固着されている。右側第2吊下げ索29−Rと左側第2吊下げ索29−Lとで吊り下げられる昇降台4の揺らぎを防止するために、本体1と昇降台4との間に案内軌道(図示されず)を設けることが好ましい。
【0029】
図7は、本発明による昇降式収納棚の実施の形態の力学関係を示している。第1吊下げ索26の張力T1は、コイルスプリング17の弾性力により次式で表される。
T1=kS(Sは、自然状態のコイルスプリング17が伸びた長さ)
右側第2吊下げ索29−Rと左側第2吊下げ索29−Lの張力の合計T2は、次式で表される。
【0030】
T2=W(Wは昇降台4が受ける重力)
昇降台4の昇降位置に対応して定まるストロークSは連続的に可変であるから、張力T1は一定ではないが、張力(合計)T2は昇降台4に載置されている品物が同じであれば一定である。従って、一般的には、
T1≠T2
【0031】
第1吊下げ索26が第1カム輪21から離脱する点と第1カム輪21の回転中心軸線との間の距離はrで示され、そのrは一定である。第1カム輪21が第1吊下げ索26から受ける第1回転モーメントは、rT1で表される。右側第2吊下げ索29−Rと左側第2吊下げ索29−Lとが第1カム輪21から離脱する点(同じ点)と第2カム輪22の回転中心軸線との間の距離はRで示され、そのRは連続的に可変である。第2カム輪22が右側第2吊下げ索29−Rと左側第2吊下げ索29−Lとから受ける合計の第2回転モーメントは、RW(R(W/2+W/2))で表される。
【0032】
昇降台4が任意の昇降位置で加速度を受けない条件は、次式で表される。
kSr=RW・・・(1)
従って、
R=W/kSr
ストロークSの変化に対応して第2カム輪22の偏心カム周面25の任意の点又は部位と回転中心軸心線Lとの間の距離Rが変化するように、数学的に規定されている。
【0033】
Rがこのように変化するので、式(1)は、昇降台4の任意の昇降位置で成立し、ばね力と重力とは回転モーメントとして釣り合って均衡し、昇降台4は鉛直方向力を受けない。第1カム輪21と第2カム輪22とは、偏心的連続変速機構を構成している。2つの歯車の変速比は一定であるが、第1カム輪21と第2カム輪22との間の変速比は連続的に時々刻々に変化する。
【0034】
図8は、第2カム輪22の周面の幾何学的形成方法を示している。この形成方法は、式(1)を完全に充足しないが、回転軸23と水平方向転換輪33との間の距離が無限であれば、式(1)を完全に充足する。回転軸23と水平方向転換輪33とは、設計的に十分に遠方に離隔している。
【0035】
回転軸新線Lを中心とする円Cは、第1カム輪21の円筒状カム周面24の部分である円周を等分割する角度で複数の放射線Lnが引かれる。放射線L1と円Cとの交点P1を通り円Cに外接する接線K1を引く。円Cの半径は、rである。放射線L2上に、中心Lから距離が(r+Δr)である点P2をを採る。点P2を通り放射線L2に直交する線K2を引く。放射線L3上に、中心Lから距離が(r+2Δr)である点P3をを採る。点P3を通り放射線L3に直交する線K3を引く。放射線L29上に、中心Lから距離が(r+28Δr)である点P29を採る。点P29を通り放射線L29に直交する線K29を引く。線K1〜線K29に接する包絡線が、第2カム輪22の偏心カム周面25の部分である。
【0036】
点P1〜点P29は、包絡線に近似的に載っている。線K29は、点P29の近傍で偏心カム周面25に対して近似的に外接線になっている。放射線の間隔を極端に狭くしてΔrを極端に小さくすれば、近似解でなく厳密解が得られる。実用的には、図8に示される程度の近似で十分である。
【0037】
点P29と中心Lとの間の距離R29は、(r+28Δr)である。左側第2吊下げ索29−Lが放射線L29に直交しているものと仮定される。円筒状カム周面24と偏心カム周面25とが既述の等分割角度だけ反時計回りに回転すれば、半径R28の放射線は、半径R29を持つ回転前の放射線に重なる。左側第2吊下げ索29−Lは近似的にその方向が一定であるから、左側第2吊下げ索29−Lは半径R28の回転後の放射線に直交している。回転モーメントは、R29・WからR28・Wに変化する。このような変化に対応して、コイルスプリング17の伸縮距離が変動していて、
k(S0+n・ΔS)r
=RW
=(r+nΔr)W・・・(2)
が常に成立する。ここで、ΔSとΔrは設計定数である。S0は初期位置のコイルスプリング17の伸び長さである。
【0038】
コイルスプリング17のこのような初期的伸び長さS0又はバネ定数kは、コイルスプリング17の有効長さを変更することにより調整可能である。図9は、コイルスプリング17の有効長さを可変する可変長機構37を示している。可変長機構37は、機構設置箱1’に開けられた孔38に通されるねじ形成ハンドル39と、スプリング螺旋に案内されねじ形成ハンドル39と同体に回転する引っかけ具41と、ねじ固定用ナット42とから構成されている。
【0039】
ねじ形ハンドル39は、ねじ溝が着られている螺軸部分43を有している。螺軸部分43が、孔38に水平方向に通されている。ねじ固定用ナット42は、螺軸部分43に螺合している。引っかけ具41は、螺軸部分43の先頭部分に固着されている。引っかけ具41は、互いに180度の回転位置にありそれぞれにコイルスプリング17の螺旋条に嵌まり込む2つのボール、又は、概ね1周してコイルスプリング17の螺旋条に嵌まり込む螺条44を有している。螺条44は、引っかけ具41に固着されている。
【0040】
ねじ固定用ナット42を緩めてねじ形成ハンドル39をコイルスプリング17に対して回転的に押し込み、次に、ねじ形成ハンドル39を回転せずに引き戻せば、螺条44がコイルスプリング17に引っかかっている部位が後退し、その部位より後方側にあるスプリング部分は限度まで圧縮される。そのような圧縮の状態で、ねじ固定用ナット42を前進させてコイルスプリング17にねじ固定用ナット42を接合すれば、コイルスプリング17の有効長さが簡易に調整される。
【0041】
このような調整は、コイルスプリング17の初期的ばね力を強くする。逆操作により、コイルスプリング17の初期的ばね力を弱くすることができる。昇降台4に載置される物体の質量が変更された場合、ねじ形成ハンドル39とねじ固定用ナット42とによりばね定数と初期的伸び長さS0を質量変化分に対応させて可変することにより、再び、昇降台の重力に基づく回転モーメントとばね力に基づく回転モーメントとを昇降台の任意の位置で均衡させることができる。
【0042】
昇降台の重力に基づく回転モーメントとばね力に基づく回転モーメントとが昇降台4の任意の高さ位置で均衡するように設計することが可能であるが、2つの回転モーメントが昇降台4の1つ又は2つの特定の高さ位置で均衡するように、第1カム輪21と第2カム輪の形状を設計することができる。特に、ある特定の高さ位置で、昇降台が上向きに位置変位すれば下向き力(重力)が勝勢になり、逆に、昇降台が下向きに位置変位すれば上向き力(バネ力)が勝勢になるように設計することができる。このような設計によっても昇降台4の鉛直方向の揺れを完全に抑制することはできない。
【0043】
このような揺れを完全に回避するために、第1カム輪21と第2カム輪22の共通の回転軸23にブレーキを設けて、第1カム輪21と第2カム輪22の回転を強制的に制止することが望ましい。第1カム輪21のカム線と第2カム輪22のカム線が数学的に完全に規定されていない場合、又は、21のカム線と第2カム輪22のカム線を数学的に完全に規定せず動作の円滑性を優先する場合、ブレーキを設けることは特に好ましい。回転動作中はブレーキ力がほとんどなく回転停止中はブレーキ力が働く下死点機構が、よく知られている。このような下死点機構が、ブレーキ機構として回転軸23に付加的に装備され得る。降下位置の昇降台をキッチンの壁に開放自在に積極的に引っかけて固定する固定手段を設けることは、禁止されない。本発明による昇降式収納棚は、昇降するバランサーを¥設ける必要がないので、コンパクトに力学的均衡を実現することができる。
【0044】
力学的均衡機構は、カム輪の結合によらずに多様な周知機構が好適に適用され得る。一般的には、変速機構が適用される。変速機構として、周速度に関する変速機構と、回転角速度に関する変速機構が知られている。周速度に関する変速機構として摩擦接触式機構が知られ、回転角速度に関する変速機構として歯車機構が知られている。時々刻々の変速を実現するためには、周速度が変換されるカム機構が優れている。回転角速度の連続変速機構は、多段式変速機構で代替されることが普通である。
【0045】
【発明の効果】
本発明による昇降式収納棚は、コンパクトに力学的均衡を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による昇降式収納棚の実施の形態を示す斜軸投影図である。
【図2】図2は、図1の一部の収容状態を示す正面図である。
【図3】図3は、図1の一部の他の状態を示す正面図である。
【図4】図4は、図3の一部の側面断面図である。
【図5】図5は、本体の上方部分を示す平面断面図である。
【図6】図6は、図5の一部を示すを示す正面断面図である。
【図7】図7は、力学関係を示す解析図である。
【図8】図8は、カム線の作図方法を示す幾何学図である。
【図9】図9は、図5の一部を示す平面図である。
【符号の説明】
1…本体
4…昇降台
7…仕切り
17…コイルスプリング
21…第2回転輪(第2輪)
22…第1回転輪(第1輪)
26…第2吊下げ索
29…第1吊下げ索
41,44…回転する部分
42…固定具
43…回転軸
Claims (13)
- 本体と、
前記本体の基準高さ位置と前記基準高さ位置より低い下方位置との間で往復運動する昇降台と、
前記本体から前記昇降台を吊り下げる吊下げ索と、
前記本体に回転自在に支持される回転体とを含み、
前記回転体は、
第1カム輪と、
前記第1カム輪の回転に対応して回転する第2カム輪とを備え、
前記吊下げ索は、
前記第1カム輪に巻き付く第1吊下げ索と、
前記第2カム輪に巻き付く第2吊下げ索とを備え、
前記昇降台は、前記第1吊下げ索を介して前記第1カム輪に重力的に支持され、
前記第2吊下げ索は、伸縮により伸縮力が変化する伸縮体を介して前記本体に結合し、
前記第1吊下げ索と前記第1カム輪との間の第1モーメントは、前記昇降台の特定の高さ位置で前記第2吊下げ索と前記第2カム輪との間の第2モーメントに力学的に概ね均衡し、
前記伸縮体はコイルスプリングであり、
前記コイルスプリングの有効長さを変更する可変長機構を更に含む
昇降式収納棚。 - 前記特定の高さ位置は連続的である
請求項1の昇降式収納棚。 - 前記第2カム輪の回転中心線は前記第1回転輪の回転中心線に一致し、
前記第1吊索が巻き付く前記第1カム輪の巻き付きカム線は非円形であり、
前記第2吊索が巻き付く前記第2カム輪の巻き付きカム線は円形である
請求項1の昇降式収納棚。 - 前記伸縮体はコイルスプリングである
請求項3の昇降式収納棚。 - 前記コイルスプリングの有効長さは調整可能である
請求項4の昇降式収納棚。 - 前記コイルスプリングの有効長さを調整する可変長機構を更に含み、
前記可変長機構は、前記スプリングの螺旋に接触して回転する部分を有し前記スプリングの中心軸線を回転中心線として回転する回転軸と、
前記回転軸を任意の前進後退位置で固定する固定具とを備える
請求項4の昇降式収納棚。 - 前記昇降台は、食器の傾倒を防止する仕切りを含む
請求項1〜6から選択される1請求項の昇降式収納棚。 - 停止している前記昇降台の鉛直方向の自発的運動を制止するブレーキ を更に含み、
前記ブレーキは前記第1カム輪又は前記第2カム輪の回転を制動する
請求項1〜7から選択される1請求項の昇降式収納棚。 - 前記本体は、前記昇降台の昇降を案内する案内を備える
請求項1の昇降式収納棚。 - 前記案内は、前記昇降台が有する転輪を案内する軌道である
請求項9の昇降式収納棚。 - 前記軌道は、水平方向成分を持って曲がっている
請求項9の昇降式収納棚。 - 前記本体は、
前記昇降台を前記特定の高さ位置で固定する固定具を備える
請求項1の昇降式収納棚。 - 前記昇降台に収容される物品は、
食器、鍋、TVセット、コンピュータ、CDロム、書籍、書類を含む集合から選択される1又は複数の要素である
請求項1〜12から選択されるの請求項の昇降式収納棚。
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