JP3581139B2 - 流体機械の流量制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を圧送する送風機および圧縮機などの流体機械の流量制御方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、流体を圧送する流体機械の入口に設けられる可変入口案内羽根の開度および流体機械の被駆動軸の回転速度を制御することによって流体機械の運転を制御する運転制御方法がいくつか提案されている。
【0003】
例えば、この種の従来技術である、特開昭56−66490号公報では、流体機械の運転状態に対応した運転効率が最適になるように、流体機械の入口に備える可変入口案内羽根の開度と流体機械の被駆動軸の回転速度とを演算して、この演算結果に基づいて可変入口案内羽根の開度と流体機械の被駆動軸の回転速度とを制御している。
【0004】
また、特開平9−133093号公報では、流体機械の設計流量より小流量で発生するサージングなどの運転状態の変動を迅速かつ精度良く検出して安定な作動を行わせるように、流体機械の可変入口案内羽根の開度と流体機械の被駆動軸の回転速度とを制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の流体機械の運転制御方法は、いずれも流体機械の効率または運転の安定性のみに着目されたものであり、流体機械の流量制御範囲を広くすることについて考慮されていない。しかしながら、上記の流体機械が使用される曝気設備などの定圧力特性を持ったプラントでは、流体機械の効率および運転の安定性だけでなくさらに広い流量制御範囲を確保することについても要望がある。特に、流体機械に吸い込まれる流体の流量が少ない場合または流体機械に吸い込まれる流体の吸込温度が上昇する場合において、流体機械から圧送される流体の吐出圧力がプラントに必要な圧力に維持されることが重要である。
【0006】
また、従来の流体機械の流量制御方法のように、流体機械の被駆動軸の回転速度を常に制御する場合、この被駆動軸の回転速度が頻繁に変化するので、流体機械の羽根車またはこれに接続する被駆動軸に疲労を生じさせる虞もある。
【0007】
本発明は、以上の要望に鑑みてなされたものであり、流体機械の運転状態に応じてその被駆動軸の回転速度を選択的に変更することによって、簡単に広い流量制御範囲を確保することができる流体機械の流量制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、流体機械に設けられた可変入口案内羽根の開度を制御することによって流体機械に吸い込まれる流体の流量を調整する流体機械の流量制御方法において、流体機械に吸い込まれる流体の吸込容積流量を計測し、流体機械が流体を圧縮することによって得られる流体機械の等エントロピーヘッドを演算し、計測された吸込容積流量および演算された等エントロピーヘッドのいずれかが、予め流体機械に応じて吸込容積流量と等エントロピーヘッドとの関係から設定された回転速度変更境界値を越えるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、前記吸込容積流量および前記等エントロピーヘッドのいずれかが前記回転速度変更境界値を超える場合にはこれに対応する選択回転速度を選択し、前記回転速度変更境界値を超えない場合にはこれに対応する選択回転速度を選択して、前記流体機械の被駆動軸の回転速度を選択された選択回転速度に変更することを特徴とする。ここで、等エントロピーヘッドとは、流体機械に吸い込まれる流体が等エントロピー圧縮される過程において加えられる流体の単位重量あたりの最少仕事量である。
【0009】
この構成によれば、計測された吸込容積流量および演算された等エントロピーヘッドのいずれかが前記回転速度変更境界値を超えるか否かの判定結果に基づいて、前記回転速度変更境界値を超える場合にはこれに対応する選択回転速度を選択し、前記回転速度変更境界値を超えない場合にはこれに対応する選択回転速度を選択して、流体機械の被駆動軸の回転速度を当該選択された選択回転速度に変更するので、少ない流体機械の被駆動軸の回転速度の変更により流体機械の流量制御範囲を拡張することができる。
【0010】
具体的には、まず、計測された吸込容積流量と予め設定された「流体機械の吸込容積流量と等エントロピーヘッドとの関係」とから等エントロピーヘッドに関する回転速度変更境界値を算出し、該回転速度変更境界値と、演算された等エントロピーヘッドとを比較する。または、これに替えて、演算された等エントロピーヘッドと予め設定された「流体機械の吸込容積流量と等エントロピーヘッドとの関係」とから吸込容積流量に関する回転速度変更境界値を算出し、該回転速度変更境界値と、計測された吸込容積流量とを比較することも可能である。ここで、予め設定された「流体機械の吸込容積流量と等エントロピーヘッドの関係」は流体機械固有のものであり、その特性は回転速度一定の下では流体機械に吸い込まれる流体の吸込温度および吸込圧力など(吸込状態)に影響されない一定の関係を有する。また、流体機械の吸込容積流量は、流体機械の被駆動軸の回転速度比に略比例し、流体機械の等エントロピーヘッドは、流体機械の被駆動軸の回転速度比の2乗に略比例する。以上より、流体機械の吸込状態が変化した場合であっても、流体機械の非駆動軸の回転速度変更を容易に判断することができる。なお、上記の吸込容積流量と等エントロピーヘッドとの関係は、流体機械の性能試験によって予め作成され、流体機械を制御する制御器に記憶されている。
【0011】
上記比較の結果、演算された等エントロピーヘッドが、その回転速度変更境界値を越える領域にある場合、流体機械の運転が不安定になるので、この状態を回避するため流体機械の被駆動軸の回転速度を所定の回転速度に増加させる。また、流体機械の運転条件が変更され、演算された等エントロピーヘッドが、その回転速度変更境界値を下回る領域にある場合、流体機械の被駆動軸の回転速度を変更前の回転速度に戻す。このように、流体機械の被駆動軸の回転速度を例えば2つの回転速度から選択して変更することにより、流体機械の被駆動軸の回転速度を無段階に制御する場合に比べて流体機械の流量制御方法を簡単化することができる。さらに、流体機械の被駆動軸の回転速度を常に制御する場合に比べて、流体機械の被駆動軸の回転速度を変更する回数が少ないので、流体機械の羽根車またはこれに接続する被駆動軸に疲労が発生することを防止することもできる。
【0012】
本発明では、流体機械の被駆動軸の回転速度を、定格回転速度と該定格回転速度よりも増速した増速回転速度または減速した減速回転速度とから選択して変更することができる。ここで、「定格回転速度」とは、流体機械の設計時の回転速度(100%)である。一方、「増速回転速度」とは、定格回転速度を、例えば、5%程度増した回転速度(105%)である。また、「減速回転速度」とは、例えば、5%程度減速した回転速度(95%)である。なお、これらの回転速度は、流体機械の特性および該流体機械が適用されるプラントの特性によって適宜設定される。
【0013】
以上示したように、流体機械の被駆動軸の回転速度を増速または減速することができるので、流体機械の流量制御範囲も拡張することができる。これにより、流体機械が適用される、例えば、曝気設備などの定圧力特性を有するようなプラントにおいて、該プラントが要求する要求流量が大きく変更される場合であっても本発明に係る流体機械の流量制御方法は十分対応することができる。
【0014】
また、本発明は、流体機械に吸い込まれる流体の吸込温度を計測し、該吸込温度によって流体機械の被駆動軸の回転速度を修正してもよい。
【0015】
この構成によれば、流体機械の被駆動軸の回転速度が流体機械に吸い込まれる流体の吸込温度によって修正されるので、流体機械に吸い込まれる流体の流量制御を精度良く行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
別紙図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る流量制御方法が適用される流体機械の縦断面図である。なお、ここでは、流体機械である送風機の一例として、ターボ形単段ブロワを例に説明するが、その他の流体機械に適用しても構わない。
【0018】
流体機械1は、渦巻き状のケーシング11を有し、該ケーシング11内には、径方向外方に向けて複数の羽根を備え、回転することによって流入する流体を昇圧する羽根車12が収納されている。ケーシング11の略中央部には、流体が流入する流入通路13が接続されている。その途中に略扇形状をなし、羽根車12に流入する流体の流入方向と流入通路13の開口面積とを調整する入口案内羽根14(可変入口案内羽根)が、流入通路13の周方向に複数配置されている。また、羽根車12の径方向外方には、羽根車12で昇圧された流体が滑らかに流出する方向に沿って複数の出口案内羽根15が周設されている。各出口案内羽根15間には、径方向外方に滑らかな拡大流路が形成されている。ケーシング11には、流体が流出する流出通路16が取り付けられている。
【0019】
このような構成によれば、流体機械1の羽根車12が回転することによって吸い込まれる流体は、図1の矢符GINが示すように流入通路13に流入した後、入口案内羽根14に導入される。該入口案内羽根14を流体の流入方向に対して開閉することにより、入口案内羽根14の下流の羽根車12に流体が流入する方向を調整する。これにより、流体機械1の効率の良い流量制御を行うことができる。そして、羽根車12に流入した流体は、径方向外方に向かって昇圧され、出口案内羽根15に流入する。出口案内羽根15から流出した流体は、流出通路16に流入して、図1の矢符GOUTが示すように流出通路16から下流に連設される通路(図示せず)に流出する。
【0020】
図2は、流体機械1の制御系の構成について示している。流体機械1の流入通路13には、流量計測器30、圧力計測器31および温度計測器32が設けられ、流出通路16には、圧力計測器33が設けられている。羽根車12には、被駆動軸17を介して駆動機18が取り付けられており、被駆動軸17には、回転速度計34が設けられている。これらの計測器30〜34は、それぞれ回線51〜55を介して制御器50に接続され、各計測器からの信号が制御器50に入力されている。該制御器50は、回線58を介してアクチュエータ22と接続され、該アクチュエータ22は、制御器50からの信号に基づいて入口案内羽根14を伝達機構21を介して開閉する。また、制御器50は、駆動機18と回線56を介して接続され、制御器50からの信号に基づいて駆動機18に接続される被駆動軸17の回転速度を制御する。
【0021】
以上のように構成される流体機械1の流量制御方法について図2および図3を参照しながら以下に説明する。
【0022】
図3は、本発明に係る流量制御方法のフローチャートである。まず、ステップS1では、流体機械1に吸い込まれる流体の基準状態における吸込流量Qを設定する。「基準状態」とは、流体機械1に吸い込まれる流体の温度および圧力が、例えば、0℃、1atmのように所定の温度および圧力である場合をいう。ここでは、説明簡単化のため基準状態として「基準温度」を用いる。
【0023】
次に、ステップS2では、流量計測器30、圧力計測器31および温度計測器32を用いて、流体機械1に吸い込まれる流体の吸込容積流量FI、吸込圧力PIおよび吸込温度TIをそれぞれ計測する。同様に、流体機械1から圧送される流体の吐出圧力POおよび流体機械1の被駆動軸17の回転速度SIをそれぞれ計測する。
【0024】
その後ステップS3〜S6およびステップS7〜S16が並行して処理される。
【0025】
具体的には、ステップS3では、ステップS1において設定した吸込流量Qを〔数1〕に基づいて吸込温度TIにより修正した設定吸込容積流量Qtを算出する。
【0026】
【数1】
Qt=QxTI/基準温度
ステップS4では、ステップS3で算出した設定吸込容積流量Qtと計測された吸込容積流量FIとを比較して、前者が後者より大きい場合には、ステップS5に示すように入口案内羽根14を開け、前者が後者より小さい場合には、ステップS6に示すように入口案内羽根14を閉める。その後、ステップS2に戻り、同様に、ステップS3〜S6が繰り返し行われる。
【0027】
以上のステップと並行して、ステップS7では、計測された吸込温度TI、吸込圧力PIおよび吐出圧力POから等エントロピーヘッドHが〔数2〕に基づいて算出される。
【0028】
【数2】
【0029】
ここで、g:重力加速度、n:等エントロピー体積指数、R:ガス定数である。
【0030】
ステップS8では、等エントロピーヘッドHから流体機械1の被駆動軸17の回転速度SIを変更するか否かを判断するために、流体機械1の吸込容積流量の限界値Q1(回転速度変更境界値)を算出する。該吸込容積流量の限界値Q1は、流体機械1の性能試験によって予め作成された等エントロピーヘッドと吸込容積流量との関係から算出される。その関係を示す特性曲線Lは、例えば、図4のように示すことができる。図示するように、上記の吸込容積流量の限界値Q1は、特性曲線L上の等エントロピーヘッドHに対応する値として算出される。なお、流体機械1の等エントロピーヘッドと吸込容積流量との関係は、関数式またはデータなどとして制御器50に予め記憶されている。
【0031】
ステップS9では、ステップS3において算出された設定吸込容積流量QtとステップS8において算出された吸込容積流量の限界値Q1とを比較する。前者が後者より小さい場合、ステップS10に示すように流体機械1の被駆動軸17の目標回転速度として選択回転速度N2を選択する。また、前者が後者より大きい場合、ステップS12に示すように流体機械1の被駆動軸17の目標回転速度として選択回転速度N1を選択する。すなわち、図4に示すように、等エントロピーヘッドHに対して、流体機械1の設定吸込容積流量Qtが特性曲線Lの左側の領域(選択回転速度N2領域)にある場合、流体機械1の被駆動軸17の目標回転速度として選択回転速度N2を選択する。一方、流体機械1の設定吸込容積流量Qtが特性曲線Lの右側の領域(選択回転速度N1領域)にある場合、流体機械1の被駆動軸17の目標回転速度として選択回転速度N1を選択する。この実施の形態では、選択回転速度N1として、流体機械1を駆動する駆動機18の定格回転速度を選択し、選択回転速度N2として、前記定格回転速度を5%程度増した増速回転速度を選択している。なお、ここでは、流体機械1の被駆動軸17の回転速度を増速する場合について示すが、流体機械1から圧送される流体の昇圧能力が必要とされる吐出圧力より高い場合には、流体機械17の回転速度を減速しても構わない。その場合、流体機械1の被駆動軸17の回転速度を増速する場合と同様、予め減速する選択回転速度(図示せず)を設定しておく。具体的には、流体機械1を駆動する駆動機18の定格回転速度を5%程度減速した選択回転速度を選定する。ただし、これらの数値は、流体機械1の特性および流体機械1が適用されるプラント(図示せず)の特性などに応じて設定されるものであるので、上記の数値に限定されるものではない。
【0032】
また、ここでは、ステップS8、S9において計測された等エントロピーヘッドHから吸込容積流量の限界値Q1を算出し、この値と流体機械1の設定吸込容積流量Qtとを比較しているが、これに替えて、流体機械1の設定吸込容積流量Qtから等エントロピーヘッドの限界値を算出し、ステップS7において算出された等エントロピーヘッドHと比較しても構わない。
【0033】
その後、ステップS11およびステップS13では、〔数3〕または〔数4〕に基づいてステップS10またはステップS12において選択された選択回転速度N1、N2を流体機械1の吸込温度TIによって修正し、目標回転速度Nを算出する。
【0034】
【数3】
【0035】
【数4】
【0036】
ここで、N1、N2:ステップS10またはステップS12において選択された選択回転速度、Ts:設計点における流体機械1の吸込温度である。なお、流体機械1の吸込温度TIの変動が少ない場合、ステップS11、S13を省略しても構わない。
【0037】
その後、ステップS14では、ステップS11またはステップS13において算出された目標回転速度NとステップS2において計測された回転速度SIとを比較する。前者が後者より大きい場合には、ステップS15に示すように流体機械1の被駆動軸17の回転速度SIを上昇させ、前者が後者より小さい場合には、ステップS16に示すように流体機械1の被駆動軸17の回転速度SIを下降させる。
【0038】
その後、ステップS2に戻り、同様に、ステップS7〜S16が繰り返し行われる。
【0039】
以上のように、ステップS2〜S16が繰り返し行われるフィードバック制御を行うことにより、計測される吸込容積流量FIがステップS1において設定した吸込流量Qになるように制御される。
【0040】
次に、本発明に係る流量制御方法の効果について図5に基づいて説明する。図5の横軸の流量(%)は、設計点における流体機械1に吸い込まれる流体の吸込容積流量と流体機械1に実際に吸い込まれる吸込容積流量との比を示している。また、縦軸は、流体機械1の吐出圧力POを示している。
【0041】
図5では、流体機械1の入口案内羽根14の開度のみを制御パラメータとして流体機械1の流量制御を行う場合の特性曲線を破線で示している。該特性曲線は、流体機械1の被駆動軸17の目標回転速度が選択回転速度N1(例えば、定格回転速度の100%)である場合に対応する。該特性曲線は、図中右側の特性曲線CV1とその左側の特性曲線CV3とこれらの特性曲線CV1、CV3の上端を繋ぐサージ防止ラインSL1などから構成される。これらの特性曲線(CV1、CV3、SL1)に囲まれる部分では、流体機械1を安定に運転することができる。ここで、特性曲線CV1は、入口案内羽根14の開度が、例えば、100%である場合に対応し、特性曲線CV3は、入口案内羽根14の開度が、例えば、0%である場合に対応する。また、サージ防止ラインSL1は、流体機械1がサージングを起こす限界に対して一定の余裕を取り設定された線である。流体機械1が吐出圧力P1で運転されている場合、区間A2(特性曲線CV1との交点)〜A3(サージ防止ラインSL1との交点)の間で、流体機械1に吸い込まれる流体の流量が制御される。具体的には、区間A2〜A3は、例えば、流量(%)が60〜100%に対応する。
【0042】
一方、本発明に係る流量制御方法に対応する特性曲線は実線で示される。該特性曲線は、流体機械の被駆動軸の目標回転速度がN2(例えば、定格回転速度の105%、N2>N1)である場合に対応する。図5に示すように、流体機械1の被駆動軸17の回転速度SIをN1からN2に上昇させることによって、破線で示される流体機械1の特性曲線(CV1、CV3、SL1)が、実線で示す特性曲線に変更される。なお、特性曲線CV2、CV4およびサージ防止ラインSL2は、上記の特性曲線CV1、CV3およびサージ防止ラインSL1にそれぞれ対応している。実線で示す特性曲線は、図5に示すように破線で示す特性曲線に比べて、流体機械1の流量(%)および吐出圧力が全体的に上昇している。その結果、流体機械1の吐出圧力P1に対応する流量制御範囲が、区間A2〜A3から区間A1〜A4に拡張される。具体的には、例えば、流体機械1の流量(%)が60〜100%から50〜115%に拡張される。従って、通常使用される流量制御範囲である60〜100%では、流体機械1の被駆動軸17の回転速度SIをN1(定格回転速度)で運転し、流体機械1の入口案内羽根14の開度のみにより流体機械1の流量制御を安定的に行い、その範囲を外れる場合のみ流体機械1の被駆動軸17の回転速度SIをN2に上昇し必要な流体機械1の吐出圧力P1を得るような運転を行う。このように、本発明に係る流量制御方法を使用することにより、簡単に流体機械1の流量制御範囲を拡張することができる。
【0043】
また、図3で示したステップS11、S13のように流体機械1の目標回転速度Nを吸込温度TIを用いて修正する工程を入れることにより、流体機械1に吸い込まれる流体の流量制御を精度良く行うことができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明に係る流量制御方法によれば、流体機械に吸い込まれる流体の吸込容積流量および流体機械が流体を圧縮することによって得られる流体機械の等エントロピーヘッドのいずれかがこれらの回転速度変更境界値を越えるか否かの判定結果に基づいて、当該回転速度変更境界値を超える場合にはこれに対応する選択回転速度を選択し、当該回転速度変更境界値を超えない場合にはこれに対応する選択回転速度から選択して、流体機械の被駆動軸の回転速度を当該選択された選択回転速度に変更することができる。その結果、簡単に広い流量制御範囲を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流量制御方法が適用される流体機械の縦断面図である。
【図2】本発明に係る流量制御方法が適用される流体機械の制御系の系統図である。
【図3】本発明に係る流量制御方法のフローチャートである。
【図4】流体機械1の等エントロピーヘッドと吸込容積流量との関係を示す図である。
【図5】本発明に係る流量制御方法を用いた場合の流体機械の特性を示す図である。
【符号の説明】
1 流体機械
12 羽根車
14 入口案内羽根
15 出口案内羽根
17 被駆動軸
18 駆動機
22 アクチュエータ
30 流量計測器
31 圧力計測器
32 温度計測器
33 圧力計測器
34 回転速度計
50 制御器
Q 吸込流量
Qt 設定吸込容積流量
Q1 吸込容積流量の限界値
H 等エントロピーヘッド
N 目標回転速度
N1、N2 選択回転速度
Claims (3)
- 流体機械に設けられた可変入口案内羽根の開度を制御することによって流体機械に吸い込まれる流体の流量を調整する流体機械の流量制御方法において、
前記流体機械に吸い込まれる前記流体の吸込容積流量を計測し、
前記流体機械が前記流体を圧縮することによって得られる前記流体機械の等エントロピーヘッドを演算し、
計測された前記吸込容積流量および演算された前記等エントロピーヘッドのいずれかが、予め前記流体機械に応じて吸込容積流量と等エントロピーヘッドとの関係から設定された回転速度変更境界値を越えるか否かを判定し、
その判定結果に基づいて、前記吸込容積流量および前記等エントロピーヘッドのいずれかが前記回転速度変更境界値を超える場合にはこれに対応する選択回転速度を選択し、前記回転速度変更境界値を超えない場合にはこれに対応する選択回転速度を選択して、前記流体機械の被駆動軸の回転速度を選択された選択回転速度に変更することを特徴とする流体機械の流量制御方法。 - 請求項1記載の流体機械の流量制御方法において、
前記流体機械の被駆動軸の回転速度を、定格回転速度と該定格回転速度よりも増速した増速回転速度または減速した減速回転速度とから選択して変更することを特徴とする流体機械の流量制御方法。 - 請求項1または2記載の流体機械の流量制御方法において、
前記流体機械に吸い込まれる前記流体の吸込温度を計測し、
該吸込温度によって前記流体機械の被駆動軸の回転速度を修正することを特徴とする流体機械の流量制御方法。
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