JP3581021B2 - 原子炉除熱系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉異常時に作動する原子炉の冷却系に係り、特に最終的な除熱経路を大気とする原子炉除熱系に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉除熱系を対象とした従来技術としては、特開平6−222182号公報の「静的格納容器冷却系」に開示の技術、特開平7−72280 号公報の「原子炉格納容器冷却系」に開示の技術及び特開平8−201559号公報の「原子炉格納容器の冷却装置」に開示の技術が見受けられる。
【0003】
特開平6−222182号公報に開示の技術は、静的格納容器除熱系の熱交換器の性能向上に係わる技術で、熱交換器の性能向上が図れるものの、格納容器の上部に熱交換器を格納した静的格納容器除熱プール、重力落下式冷却系プール及びサプレッションチェンバが設置されるため、耐震設計上高度な技術が要求される。
【0004】
また、特開平7−72280 号公報に開示の技術は、大熱容量材を用いることで格納容器の熱容量を増加させているため、除熱性能の向上が見られるものの、特開平6−222182号公報に開示の技術と同様の設備構成であるため、耐震設計上高度な技術が要求される。
【0005】
さらに、特開平8−201559号公報に開示の技術は、静的格納容器冷却プールの位置を低くすることで、耐震設計上の支障を取り除くことに着目した技術である。ここでは、従来技術として特開平8−201559号公報に開示の技術の例を図8を用いて説明する。
【0006】
原子炉格納容器冷却系は、原子炉圧力容器1を格納した原子炉格納容器2、サプレッションプール液相部5bを水源とした炉心冷却ポンプ81、サプレッションプール液相部5bの周囲に熱交換器82を収容した冷却水プール83、ドライウェル3と熱交換器82を接続した蒸気供給管84、排気管85及び凝縮水戻り配管86で構成されている。また、熱交換器82は、サプレッションプール気相部4をもつサプレッションプール水面5aより上方に設置されている。
【0007】
例えば、原子炉格納容器2内において異常な事象が発生した場合は、炉心冷却ポンプ81の運転によりサプレッションプール液相部5bの水を原子炉圧力容器1に注入し、炉心冷却を行う。また、冷却水プール83内の熱交換器82によりドライウェル3の蒸気を吸引し冷却して凝縮させた上で重力によりサプレッションプール液相部5bに流下し、サプレッションプール水を冷却し、原子炉圧力容器1と原子炉格納容器2の冷却を行うことができる。
【0008】
さらに、冷却水プール83が低位置に設置されることから原子炉格納容器2の重心が低くなり、耐震性が向上すると共に、原子炉圧力容器1の上部に燃料プールを設けるなど、プラントレイアウトが適切に行える。
【0009】
しかし、本従来の技術は、冷却水プール83を原子炉格納容器2の周囲に配置するため、原子炉格納容器2の周囲に関するプラントレイアウトが困難となり、設備コストが過大となっていた。また、冷却水プール83を低位置に設置することで耐震性が向上されているものの、サプレッションプール水面5a以上に冷却水プール83を配置する必要があるため、依然耐震設計上の支障は残っていた。
【0010】
また、本従来の技術では、冷却水プール83の冷却水減少に対する対応方法が検討されていない。そのため、冷却水プール83の冷却水補給設備を含めた静的格納容器除熱系の概念が明確になっていなかった。
【0011】
さらに、本従来の技術では、全交流電源喪失のような事象が発生した場合に、炉心冷却ポンプが使用できなくなるため、原子炉へ長期的に注水を継続する方法が無かった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−222182号公報及び特開平7−72280 号公報に開示の従来技術は、格納容器上部に静的格納容器除熱プールを設置することにより格納容器からの除熱を図るものであるが、静的格納容器除熱プール及び重力落下式冷却系プールを原子炉圧力容器及び原子炉格納容器の上方に設置する必要があり、耐震設計上支障となっていた。
【0013】
また、特開平8−201559号公報に開示の従来技術は、冷却水プールを低い位置に設置することで耐震性能の向上を図っているが、依然耐震設計上の支障が残っている。また、耐震性能の向上を図るために、原子炉への注水を炉心冷却ポンプに頼ることとなり、全交流電源喪失事象では、長期的な原子炉への注水ができない問題点があった。
【0014】
さらに、上記の従来の技術では、原子炉出力が大きくなるにしたがって、崩壊熱を除去するために必要となる冷却水プール及び静的格納容器除熱プールの容積も大きくなるため、設備コストの増加が生じる。
【0015】
また、従来の原子炉除熱系では、最終的な除熱に際して原子炉除熱系のみならず補機冷却系を含めた機器の継続的な運転が不可欠で、高い信頼性や高度な保守・管理に加え、機器の故障を想定した多重性が要求されていた。
【0016】
上記の従来の技術に対して、最終的な除熱経路として静的除熱格納容器除熱プールや補機冷却系を介した海水以外の経路を設けることにより、除熱経路の冗長性及び多様性を確保しつつ、静的格納容器除熱プールに要求される設備コストの増大及び耐震設計上の考慮及び補機冷却系が要求する高い信頼性や高度な保守・管理を大幅に軽減することが期待される。
【0017】
上記問題点に鑑み、本発明の目的は、補機冷却系や残留熱除去ポンプの継続運転がなくとも崩壊熱除去が実施でき、かつ耐震性に優れた原子炉除熱系を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による原子炉除熱系は、特許請求の範囲の各請求項に記載の特徴を有する。特に、独立項としての請求項1に係る発明の原子炉除熱系は、原子炉圧力容器内で発生する蒸気を、熱交換器を介して冷却・凝縮し、原子炉圧力容器に戻すことで崩壊熱を除去する原子炉除熱系において、前記原子炉圧力容器内の蒸気相部から前記熱交換器の一次側の上部に至る隔離弁付きライン及び前記熱交換器の一次側の下部から注入弁を介して前記原子炉圧力容器に至るラインで形成した循環ループと、該循環ループに配設した前記原子炉圧力容器の前記蒸気相部から抽出した蒸気を駆動源とするタービン駆動ポンプと、前記熱交換器の二次側から大気へ開放した隔離弁付き大気放出ラインと、前記熱交換器の二次側に至る補給水ラインと、前記原子炉圧力容器を収納する原子炉格納容器内に前記原子炉圧力容器より高い位置に設置したプールと、前記タービン駆動ポンプの出口から前記プールに至る隔離弁付きラインと、前記プールから前記原子炉圧力容器に至る隔離弁付きラインと、を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施例について図1を用いて説明する。本発明の原子炉除熱系では、原子炉圧力容器1で発生した蒸気は、主蒸気隔離弁11a、11bを介して熱交換器6の上部に導かれる。熱交換器6の下部のライン32は、タービン駆動ポンプ7aを介して注入弁15及び逆止弁16に接続されている。
【0020】
この時、ドライウェル3及びサプレッションプール気相部4から熱交換器6上部へ接続されるライン33、34の隔離弁13、14は閉状態にあり、原子炉圧力容器1の蒸気相部から熱交換器6の上部、熱交換器6の下部から原子炉圧力容器1の液相部への循環ループが形成される。
【0021】
原子炉圧力容器1と接続する熱交換器6の一次側は、圧力調整弁21により減圧されるものの、高圧条件となるために、熱交換器6の管側を対応させている。このようにする理由は、一次側を熱交換器6の胴側としても技術的な問題はないが、胴全体が高圧仕様となるために、製作コストが高くなるからである。
【0022】
一方、熱交換器6の二次側には冷却水が内蔵されていると共に、その上部には大気開放弁18を介して大気に開放するライン35が設けられている。これらの構成により、原子炉圧力容器1で発生した蒸気は、熱交換器6の一次側から二次側の冷却水に熱を移行し、凝縮する。
【0023】
熱交換器6の上部で凝縮した蒸気は、熱交換器6の下部から、原子炉圧力容器1からの蒸気供給ライン38を介した蒸気を駆動源とするタービン駆動ポンプ7aにより昇圧され原子炉圧力容器1に戻る。
【0024】
ドライウェル3からの除熱を実施する場合は、原子炉圧力容器1及びサプレッションプール気相部4から熱交換器6上部へ接続されるそれぞれライン31、34の隔離弁12、14を閉状態に、ライン33の隔離弁13を開状態にし、ドライウェル3から熱交換器6の上部、熱交換器6の下部からライン37を介し、注入弁17を開状態にし、サプレッションプール液相部5bへの循環ループを形成する。但し、熱交換器6は、サプレッションプール水面5aより高い位置に設ける。
【0025】
上記の構成により、ドライウェル3の蒸気は、熱交換器6の一次側から二次側の冷却水に熱を移行し、凝縮する。熱交換器6の上部で凝縮した蒸気は、熱交換器6の下部から重力に従ってサプレッションプール液相部5bへ流入する。
【0026】
サプレッションプール気相部4からの除熱を実施する場合は、原子炉圧力容器1及びドライウェル3から熱交換器6上部へ接続されるそれぞれライン31、33の隔離弁12、13を閉状態に、ライン34の隔離弁14を開状態にし、サプレッションプール気相部4から熱交換器6上部、熱交換器6の下部から、ライン37を介し、注入弁17を開状態にし、サプレッションプール液相部5bへの循環ループを形成する。
【0027】
これらの構成により、サプレッションプール気相部4の蒸気は、熱交換器6の一次側から二次側の冷却水に熱を移行し、凝縮する。熱交換器6の上部で凝縮した蒸気は、熱交換器6の下部から重力に従ってサプレッションプール液相部5bへ流入する。
【0028】
熱交換器6の二次側における冷却水は、一次側からの熱を得て蒸発し、大気開放弁18を介して大気に開放される。この蒸発により熱交換器6二次側の冷却水が減少する場合は、補給水弁19を開弁し、冷却水を供給する。また、熱交換器二次側の補給水ライン36には、補給水タンク8が熱交換器6より高い位置に設けられ、補給水弁20を開弁することにより重力により冷却水を補給することもできる。 但し、補給水タンク8は原子炉格納容器2とは別の領域に設置される。
【0029】
原子炉圧力容器1へ注水しない場合は、注入弁15を閉止し、隔離弁25を開放することで、タービン駆動ポンプ7aからプール9へ注水することができる。タービン駆動ポンプ7aを使用していると、原子炉圧力容器1で発生する蒸気がいずれ喪失し、タービン駆動ポンプ7aが使用できなくなる。
【0030】
これに対して、プール9に蓄水された水は、隔離弁24を開放することにより原子炉圧力容器1へ注水され、長期間に亘って原子炉圧力容器1への補給水が確保される。また、プール9の水源としては、熱交換器6で凝縮した水だけでなく、ライン37の隔離弁27を開放することにより補給水タンク8と、ライン44の隔離弁26を開放することによりサプレッションプール液相部5bと、が使用できる。
【0031】
これによりタービン駆動ポンプ7aの駆動源である原子炉圧力容器1で発生した蒸気が喪失した場合においても長期的な安全性が確保できる。これら熱交換器6の二次側への間欠的な補給水が得られれば、弁のラインアップだけで小電力での長期的な原子炉の冷却と崩壊熱の除去が確保できる。
【0032】
本発明の第2実施例を図2を用いて説明する。熱交換器6一次側の循環ループと、サプレッションプール液相部5bからタービン駆動ポンプ7aによるプール9への注水ラインは、図1と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0033】
図2は、図1に設けた熱交換器6の二次側への補給水タンク8からの補給水ライン36にタービン駆動ポンプ7bを、該タービン駆動ポンプ7bに原子炉圧力容器1からの蒸気供給ライン39を設けている。これにより、補給水タンク8の補給水をタービン駆動ポンプ7bにより昇圧し、熱交換器6の二次側へ補給することができる。
【0034】
また、タービン駆動ポンプ7bからプール9へ接続されたライン46により、熱交換器6の二次側へ水を補給しない場合に隔離弁28を開放し、隔離弁87を閉止することにより、補給水タンク8からプール9へ注水することができ、原子炉圧力容器1への注水のための水源を確保することができる。この構成により、補給水タンク8の配置を制限することなく、弁のラインアップだけで、小電力での長期的な原子炉の冷却と崩壊熱除去が確保される。
【0035】
本発明の第3実施例を、図3を用いて説明する。熱交換器6一次側の循環ループとサプレッションプール液相部5bからタービン駆動ポンプ7aによるプール9への注水ラインは、図1と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0036】
図3は、図1に設けた熱交換器6の二次側への補給水ライン36からタービン駆動ポンプ7aへのライン40及び隔離弁88と、タービン駆動ポンプ7aの下流から熱交換器6の二次側への補給水ライン36へ接続する隔離弁23付きライン41と、補給水ライン36に隔離弁22と、を設けている。
【0037】
これにより、補給水タンク8の補給水をタービン駆動ポンプ7aで昇圧し、ライン41を介して熱交換器6の二次側へ補給することができる。この構成により、ポンプの数を低減することができ、弁のラインアップだけで小電力での崩壊熱の除去が確保できる。
【0038】
なお、本発明の弁には、次のようなインターロックが設けられていることが望ましい。
【0039】
(1) 隔離弁12の開弁時には、サプレッションプール戻りライン37の注入弁17、ドライウェル3から熱交換器6上部へ接続されるライン33の隔離弁13、サプレッションプール気相部4から熱交換器6上部へ接続されるライン34の隔離弁14が閉弁のこと。
【0040】
(2) 隔離弁13の開弁時には、隔離弁12、サプレッションプール気相部4から熱交換器6上部へ接続されるライン34の隔離弁14が閉弁のこと。
【0041】
(3) 隔離弁14の開弁時には、隔離弁12、ドライウェル3から熱交換器6上部へ接続されるライン33の隔離弁13が閉弁のこと。
【0042】
(4) 隔離弁15の開弁時には、タービン駆動ポンプ7aからプール9へ接続されるライン43の隔離弁25が閉弁のこと。
【0043】
(5) 隔離弁87の開弁時には、タービン駆動ポンプ7bからプール9へ接続されるライン46の隔離弁28が閉弁のこと。
【0044】
本発明の制御ロジックの一例を、図4を用いて説明する。図4は、ドライウェル圧力高信号(D/W圧高と略記している)50、原子炉水位高信号51、サプレッションプール圧力高信号(S/C圧高と略記している)52、ドライウェル圧力からサプレッションプール圧力を引いた差圧正信号53、スイッチ54と、ドライウェル3から熱交換器6を介してサプレッションプール液相部5bへの循環ループの形成許可信号55と、サプレッションプール4から熱交換器6を介してサプレッションプール液相部5bへの循環ループの形成許可信号56で構成される。
【0045】
原子炉圧力容器1から熱交換器6を介して原子炉圧力容器1への循環ループ形成中に、原子炉水位高51が発生し、かつドライウェル圧力高信号50が発生した場合は、スイッチ54の信号が発生すれば循環ループの形成許可信号55が成立する。
【0046】
また、原子炉圧力容器1から熱交換器6を介して原子炉圧力容器1への循環ループ形成中に、原子炉水位高51が発生し、かつサプレッションプール圧力高信号52が発生した場合は、スイッチ54の信号が発生すれば循環ループの形成許可信号56が成立する。
【0047】
但し、ドライウェル圧力高信号50、原子炉水位高信号51、サプレッションプール圧力高信号52及びスイッチ54が全て発生した場合は、差圧正信号53が発生していれば循環ループの形成許可信号55が成立するが、差圧正信号53が発生していない場合は、循環ループの形成許可信号56が成立する。この構成により、最も除熱をすることが好ましい領域からの循環ループが形成される。
【0048】
図5は、U字管形熱交換器の横置き例で、第1実施例に適用した熱交換器6の二次側水位制御系の構成例を示す。制御系は、熱交換器6胴部の水位を測定する水位計70と該水位計の信号71、任意の水位設定信号72、補給水弁19、20の制御信号73及び隔離弁の開閉を設定する制御系74とで構成される。
【0049】
熱交換器6の二次側水位制御系74の制御ロジックを、図6を用いて説明する。制御ロジックは、熱交換器6の二次側水位高信号57、所定の水位設定値以上であることを示す信号58、熱交換器6の二次側水位低信号59と、熱交換器6の二次側への補給停止要求信号60及び熱交換器6の二次側への補給開始要求信号61で構成されている。
【0050】
熱交換器6の二次側水位高信号57が発生し、かつ水位設定値以上であることを示す信号58が成立した場合は、熱交換器6の二次側への補給停止要求信号が発生する。また、水位設定値以上であることを示す信号58が発生せず、かつ熱交換器6の二次側水位低信号59が成立した場合は、熱交換器6への補給開始要求信号が発生する。このように熱交換器6の二次側の水位を制御することにより継続的に除熱をすることができる。
【0051】
図7に、上記の制御ロジックの制御特性の一例を示す。熱交換器6の二次側の水位は、熱交換器6の管束上端まで上昇しているときが、基も熱交換量が大きくなる。また、熱交換器6の管束下端以下の水位では、顕著な熱交換は期待できない。さらに、熱交換器6の二次側の過大な水位上昇は、冷却水の熱交換器6外への流出を伴い、好ましくない。
【0052】
これらのことから、熱交換器6の二次側の水位変化範囲は、水位の制御信号の増加に対して、熱交換器6の管束上端から熱交換器6の上端までの間で上限を保つように設定する。また、水位の制御信号の減少に対しては、熱交換器6の管束下端から熱交換器6の下端までの間で下限を保つよう設定する。
【0053】
熱交換器6の一次側は、原子炉圧力容器1、ドライウェル3、サプレッションプール気相部4から供給される蒸気相と、その下部に凝縮した液相が存在する。また、二次側は、上部に蒸発蒸気相、下部に冷却水相が存在する。
【0054】
このために、熱交換器6二次側の水位を上昇させると、一次側蒸気と二次側冷却水の熱交換量が増加し、除熱量を増加することができる。このように熱交換器6二次側の水位を制御することにより除熱量を制御することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、最終除熱経路として、従来の海水に加えて、大気への放熱が期待できる。これによりプラントのトラブル時における対応手段が増大し、プラントの安全性の向上が期待できる。また、補機冷却系への依存度が低くなるために、従来の補機冷却系に要求されていた高い信頼性と高度な保守・管理が軽減でき、建設や管理のコストを低減することができる。
【0056】
また、プラントの上部に隣接した冷却プールのような重量の大きな設備を省くことができ、耐震性に優れ、プラントレイアウトが容易で、建設コストを低減することができる。さらに、原子炉除熱系の動的機器を、ラインの弁及びタービン駆動ポンプに限定し、原子炉格納容器内でタービン駆動ポンプを使用して水源を確保することにより、小電力で継続的に崩壊熱除去を達成することができる。これにより、崩壊熱除去機能の信頼性の向上が得られ、プラントの安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示すプロセスフロー。
【図2】本発明の第二実施例を示すプロセスフロー。
【図3】本発明の第三実施例を示すプロセスフロー。
【図4】本発明のインターロックの制御ロジック図。
【図5】本発明の熱交換器の水位制御系の図。
【図6】本発明の水位制御ロジック図。
【図7】本発明の熱交換器の水位制御特性。
【図8】従来技術のプロセスフロー。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器 2…原子炉格納容器
3…ドライウェル 4…サプレッションプール気相部
5a…サプレッションプール水面 5b…サプレッションプール液相部
6…熱交換器 7a、7b…タービン駆動ポンプ
8…補給水タンク 9…プール
11a、11b…主蒸気隔離弁 12…隔離弁
13…隔離弁 14…隔離弁
15…注入弁 16…逆止弁
17…注入弁 18大気開放弁
19…補給水弁 20…補給水弁
21…圧力調整弁 22…隔離弁
23…隔離弁 24…隔離弁
25…隔離弁 26…隔離弁
27…隔離弁 28…隔離弁
31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46…接続される配管ライン
50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61…制御信号
70…水位計 71…水位信号
72…任意の水位設定信号 73…制御信号
74…制御系 81…炉心冷却ポンプ
82…熱交換器 83…冷却水プール
84…蒸気供給管 85…排気管
86…凝縮水戻り配管 87…隔離弁
88…隔離弁
Claims (11)
- 原子炉圧力容器内で発生する蒸気を、熱交換器を介して冷却・凝縮し、原子炉圧力容器に戻すことで崩壊熱を除去する原子炉除熱系において、
前記原子炉圧力容器内の蒸気相部から前記熱交換器の一次側の上部に至る隔離弁付きライン及び前記熱交換器の一次側の下部から注入弁を介して前記原子炉圧力容器に至るラインで形成した循環ループと、該循環ループに配設した前記原子炉圧力容器の前記蒸気相部から抽出した蒸気を駆動源とするタービン駆動ポンプと、前記熱交換器の二次側から大気へ開放した隔離弁付き大気放出ラインと、前記熱交換器の二次側に至る補給水ラインと、前記原子炉圧力容器を収納する原子炉格納容器内に前記原子炉圧力容器より高い位置に設置したプールと、前記タービン駆動ポンプの出口から前記プールに至る隔離弁付きラインと、前記プールから前記原子炉圧力容器に至る隔離弁付きラインと、を備えたことを特徴とする原子炉除熱系。 - 前記熱交換器をサプレッションプールの水面より高い位置に設置すると共に、前記原子炉格納容器内上部から前記熱交換器の一次側の上部に至る隔離弁付きラインあるいは前記サプレッションプール気相部から前記熱交換器の一次側の上部に至る隔離弁付きラインと、前記熱交換器の一次側の下部から注入弁を介してサプレッションプール液相部に至るラインと、で形成した循環ループを備えたことを特徴とする請求項1記載の原子炉除熱系。
- 前記補給水ラインに配設した補給水タンクを前記熱交換器より高い位置に設置し、前記熱交換器の二次側への補給を重力により行うことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の原子炉除熱系。
- 前記補給水ラインに配設した前記補給水タンクと、前記補給水ラインに配設した前記原子炉圧力容器の蒸気相部から抽出した蒸気を駆動源とするタービン駆動ポンプと、を備えたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の原子炉除熱系。
- 前記熱交換器の一次側の下部から注入弁を介して前記原子炉圧力容器に至るラインに配設した前記タービン駆動ポンプと注入弁との間に、前記熱交換器の二次側へ分岐する隔離弁付きラインを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の原子炉除熱系。
- 前記原子炉圧力容器内の前記蒸気相部から前記熱交換器の一次側の上部に至る隔離弁付きライン及び前記熱交換器の一次側の下部から注入弁を介して前記原子炉圧力容器に至るラインで形成した第一の循環ループと、前記原子炉格納容器内上部から前記熱交換器の一次側の上部に至る隔離弁付きライン及び前記熱交換器の一次側の下部から注入弁を介して前記サプレッションプール液相部に至るラインで形成した第二の循環ループと、前記サプレッションプール気相部から前記熱交換器の一次側の上部に至る隔離弁付きライン及び前記熱交換器の一次側の下部から注入弁を介して前記サプレッションプール液相部に至るラインで形成した第三の循環ループと、の三つの循環ループを備えた原子炉除熱系において、
第一の循環ループを使用する場合は第二の循環ループ及び第三の循環ループの使用が阻止され、第二の循環ループを使用する場合は第一の循環ループ及び第三の循環ループの使用が阻止され、第三の循環ループを使用する場合は第一の循環ループ及び第二の循環ループの使用が阻止されるようにインターロックを備えたことを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の原子炉除熱系。 - 原子炉水位と所定の設定値及び前記原子炉格納容器内上部圧力と前記サプレッションプール気相部圧力を比較し、前記三つの循環ループの内一つを使用可能にする制御系を備えたことを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれかに記載の原子炉除熱系。
- 前記熱交換器の二次側水位と所定の設定値とを比較し、前記補給水ラインに配設した注入弁の開度を調整することで前記熱交換器の二次側の水位を一定に保持する制御系を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の原子炉除熱系。
- 前記熱交換器の二次側の水位変化範囲を、上限が前記熱交換器の管束上端から前記熱交換器の上端までの間で、下限が前記熱交換器の管束下端から前記熱交換器の下端までの間に制限することを特徴とする請求項8に記載の原子炉除熱系。
- 前記第一の循環ループを使用する場合は、前記タービン駆動ポンプの出口から前記プールに至る隔離弁付きラインによる前記プールへの注水が阻止されるようにインターロックを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の原子炉除熱系。
- 前記補給水ラインから前記熱交換器二次側へ給水する場合は、前記タービン駆動ポンプの出口から前記プールに至る隔離弁付きラインによる前記プールへの注水が阻止されるようにインターロックを備えたことを特徴とする請求項4あるいは請求項6ないし請求項10のいずれかに記載の原子炉除熱系。
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