JP3580756B2 - 作業機の昇降制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業部を走行機体に対して昇降操作する昇降操作手段と、前記作業部の上昇、下降及び停止を指令する手動操作式の昇降指令手段と、前記昇降指令手段の指令情報に基づいて前記昇降操作手段を作動させる通常昇降作動を実行する制御手段とが設けられている作業機の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記作業機の昇降制御装置では、例えば特開平8−37896号公報に示されるように、作業機としてのコンバインにおいて、走行機体の前部側に作業部としての刈取部が昇降操作手段としての油圧シリンダによって揺動昇降自在に付設され、運転部に、機体前後方向に揺動操作自在な手動操作レバーが中立位置に復帰付勢された状態で設けられるとともに、その手動操作レバーが機体後方側に操作されたことを検出する上昇スイッチと、手動操作レバーが機体前方側に操作されたことを検出する下降スイッチとが設けられている。そして、この手動操作レバー、上昇スイッチ及び下降スイッチにて、手動操作式の昇降指令手段が構成され、上昇スイッチがオンしている間、刈取部の上昇が指令され、下降スイッチがオンしている間、刈取部の下降が指令され、両スイッチが共にオフ状態のときに、刈取部の昇降停止が指令され、上記通常昇降作動では、それらの指令情報に基づいて、上記油圧シリンダを伸縮作動させるように制御している。
【0003】
尚、上記作業機の昇降制御装置では、手動操作レバーに、その握り部を握った手指にて押し操作自在な自動昇降スイッチが備えられて、例えば刈取作業の開始時に、刈取部が昇降操作範囲の上限位置付近に上昇しているときに、その自動昇降スイッチを押すことによって、刈取部を上限位置から設定高さ下方側の下降目標位置まで自動的に下降操作させる一方、例えば刈取作業の終了時に、自動昇降スイッチを押すことによって、刈取部を上昇目標位置、具体的には、昇降操作範囲の上限位置まで自動的に上昇操作させるように制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、手動操作レバー等の手動式の昇降指令手段によって昇降指令を指令して作業部を昇降させる場合に、その昇降操作速度が遅過ぎると昇降作動に長い時間がかかって作業能率が低下することになるので、昇降操作速度はあまり遅い速度には設定されていない。そのため、作業部の昇降位置を目標の昇降位置に正確に合わせるように、上記手動操作レバー等の手動式の昇降指令手段によって上昇指令又は下降指令を短時間だけ指令して微調整しようとしても、その短い指令時間の間に作業部が大きく昇降操作されて、目標の昇降位置を通り過ぎてしまい、その結果、作業部の昇降位置を目標の昇降位置に正確に合わせるように微調整することが容易でないという不具合があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記従来技術の不具合を改善すべく、作業能率の低下を回避しながらも、作業部の昇降位置を微調整することが容易にできる作業機の昇降制御装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、前記作業部の上昇、下降及び停止を指令する手動操作式の補助指令手段が設けられ、前記制御手段が、前記補助指令手段の指令情報に基づいて、前記通常昇降作動における昇降操作速度よりも遅い昇降操作速度で前記作業部を昇降させるように、前記昇降操作手段を作動させる微調整昇降作動を実行するように構成されている。
つまり、手動操作式の補助指令手段の指令情報に基づいて昇降操作手段を作動させる微調整昇降作動においては、手動操作式の昇降指令手段の指令情報に基づいて昇降操作手段を作動させる通常昇降作動における昇降操作速度よりも遅い昇降操作速度で作業部が昇降操作される。
【0007】
従って、作業部の昇降位置を大きく変更させるときは、手動操作式の昇降指令手段によって昇降を指令して通常昇降作動を実行させることにより、作業部を速い速度で迅速に昇降操作して作業能率を低下させないようにする一方、作業部の昇降位置を微調整するときは、手動操作式の補助指令手段によって昇降を指令して微調整昇降作動を実行させることにより、作業部をゆっくりとした速度で昇降操作して目標の昇降位置に微調整して合わせることができ、もって、作業能率の低下を回避しながらも、作業部の昇降位置を微調整することが容易にできる作業機の昇降制御装置を提供できるに至った。
【0008】
また、請求項によれば、作業状態であるか非作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が設けられ、前記制御手段が、前記作業状態検出手段にて作業状態が検出されている場合には、前記補助指令手段の指令情報に基づく前記微調整昇降作動を実行し、前記作業状態検出手段にて非作業状態が検出されている場合には、前記補助指令手段の指令情報に基づいて、前記作業部を上昇目標位置に自動上昇させる、及び、前記作業部を下降目標位置に自動下降させる自動昇降作動を実行するように構成されている。
つまり、作業状態が検出されている場合には、前記補助指令手段の指令情報に基づく前記微調整昇降作動が実行され、非作業状態が検出されている場合には、前記補助指令手段の指令情報に基づいて、前記作業部を上昇目標位置に自動上昇させ、また、前記作業部を下降目標位置に自動下降させる自動昇降作動が実行される。
【0009】
従って、作業状態では、補助指令手段の指令情報に基づく前記微調整昇降作動を実行させて、作業部を作業用の昇降位置に正確に合わせて作業部による作業を適切に行なうようにすることができ、一方、非作業状態では、補助指令手段の指令情報に基づいて上記自動昇降作動を実行させて、例えば作業終了時に作業部を上昇目標位置に自動的に上昇させたり、作業開始時に作業部を下降目標位置に自動的に下降させるようにして、作業部を上昇側及び下降側の目標位置に昇降させる操作を極力簡単な操作によって行なうことができる
【0010】
請求項によれば、請求項1において、前記昇降指令手段が、上昇指令位置、下降指令位置及び停止指令位置の夫々に位置変更操作自在な手動操作レバーを備えて構成され、前記補助指令手段が、前記手動操作レバーの握り部を握った手指にて操作自在な状態で前記手動操作レバーに設けられた操作部を備えて構成されている。
つまり、手動操作レバーの握り部を手指で握って、手動操作レバーを上昇指令位置に位置変更操作すると作業部の上昇が指令され、手動操作レバーを下降指令位置に位置変更操作すると作業部の下降が指令され、手動操作レバーを停止指令位置に位置変更操作すると作業部の停止が指令される。さらに、上記手動操作レバーの握り部を握った手指にて、手動操作レバーに設けられた操作部を操作すると、前記微調整昇降作動における作業部の上昇、下降及び停止が指令される。
【0011】
従って、手動操作レバーの握り部を手指で握った状態で、即ち片手操作によって、通常昇降作動における作業部の昇降指令と、微調整昇降作動における作業部の昇降指令とを指令することができるので、例えば上記手動操作レバーの握り部を握っていない他方の手を他の操作に用いることが可能になり、もって、請求項1の作業機の昇降制御装置を実施する際の好適な手段が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る作業機の昇降制御装置を、作業機としてのコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1L、1Rを備えた走行機体Vの前部に、植立穀稈を刈り取り、刈取穀稈を後方に向けて搬送する刈取部2が昇降自在に備えられ、走行機体Vに、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク、搭乗運転部5等を備えて構成されている。
【0013】
刈取部2は、植立茎稈を分草する分草具6、植立穀稈を立姿勢に引起す引起し装置7、引起された穀稈の株元側を切断するバリカン型刈取装置8、刈取られた穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更させながら後方に搬送する縦搬送装置9等を備えて、油圧シリンダCYの伸縮操作により走行機体Vに対して横軸芯X1周りで昇降揺動自在に枢支されている。つまり、作業部としての刈取部2を走行機体Vに対して昇降操作する昇降操作手段が、上記油圧シリンダCYにて構成されている。尚、刈取部2の機体に対する回動支点部には、刈取部2の走行機体Vに対する昇降位置を検出するポテンショメータ形式の対機体高さセンサS3が設けられている。
又、前記縦搬送装置9の搬送入口部には、刈取穀稈が存在するか否かを検出する株元センサS0が設けられている。つまり、株元センサS0によって、作業状態(刈取作業状態)であるか非作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が構成されている。
【0014】
次に、刈取部2を昇降操作するための制御構成について説明する。
図1及び図2に示すように、搭乗運転部5には、手動操作によって刈取部2を昇降操作するための昇降レバー16が中立位置に復帰付勢された状態で揺動操作自在に設けられ、この昇降レバー16の根元部には、レバー16の揺動操作量を検出するための昇降ボリュームVRが設けられている。
【0015】
具体的に説明すると、昇降ボリュームVRの固定端子の一方には、後述の制御装置14からバイアス電圧VB(例えば+5V)が供給されるとともに、他方の固定端子は接地され、昇降レバー16の揺動操作に伴って移動する可動端子の検出電圧Vsが制御装置14に入力されている。そして、図4に示すように、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsは昇降レバー16が上昇側に操作されるほど大きくなり、その検出範囲において、昇降レバー16が中立位置から上昇側に設定量揺動操作された上昇起動位置に対応する検出電圧が上昇作動電圧Vuとして設定され、昇降レバー16が中立位置から下降側に設定量揺動操作された下降起動位置に対応する検出電圧が下降作動電圧Vdとして設定されている。尚、上記検出電圧Vsは、昇降ボリュームVRが正常で、昇降ボリュームVRと制御装置14との間の配線に断線がない正常な状態では、上記バイアス電圧VBよりも少し低い上限電圧Vg1とアースよりも少し高い下限電圧Vg2の間の値となる。
【0016】
そして、上記昇降レバー16及び昇降ボリュームVRによって、刈取部2の上昇、下降及び停止を指令する手動操作式の昇降指令手段SSが構成されている。つまり、手動操作式の昇降指令手段SSが、上昇指令位置、下降指令位置及び停止指令位置の夫々に位置変更操作自在な手動操作レバー16を備えて構成されている。具体的には、上昇指令位置は、昇降レバー16が前記上昇起動位置よりも上昇側に操作された位置であり、この上昇指令位置では、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが上昇作動電圧Vuよりも大きくなる。下降指令位置は、昇降レバー16が前記下降起動位置よりも下降側に操作された位置であり、この下降指令位置では、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが下降作動電圧Vdよりも小さくなる。停止指令位置は、昇降レバー16が前記上昇指令位置と前記下降指令位置の間に操作された位置であり、この停止指令位置では、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが上昇作動電圧Vuと下降作動電圧Vdの間の値になる。
【0017】
図3にも示すように、上記昇降レバー16に備えた握り部16aの上部には、その握り部16aを握った手指にて押し操作自在な上昇スイッチSW1及び下降スイッチSW2の夫々が、昇降レバー16の上昇操作側に上昇スイッチSW1が位置し、昇降レバー16の下降操作側に下降スイッチSW2が位置する状態で設けられている。そして、この上昇スイッチSW1及び下降スイッチSW2によって、刈取部2の上昇、下降及び停止を指令する手動操作式の補助指令手段JSが構成され、この手動操作式の補助指令手段JSが、昇降レバー16の握り部16aを握った手指にて操作自在な状態で昇降レバー16に設けられた操作部としての上昇スイッチSW1及び下降スイッチSW2を備えて構成されている。
【0018】
図2に示すように、前記油圧シリンダCYは単動型シリンダで構成され、搭載されるエンジンにて駆動される油圧ポンプPから油圧シリンダCYに対する圧油供給路18の途中に、油圧シリンダCYに対する作動油の供給状態を、圧油供給による上昇位置、中立停止位置、その他の油圧装置への供給位置の夫々に切り換える3位置切り換え式で且つ電磁操作式の上昇制御弁V1が備えられている。又、圧油供給路18の途中から並列状態で分岐されるドレン油路19に、圧油を通過させるオリフィス20と、圧油を排出させる排出位置及び圧油排出を停止させる停止位置に切り換える2位置切換え式の下降制御弁V2とが備えられている。
【0019】
そして、この油圧シリンダCYは操作速度を変更調節することができるように構成されている。つまり、上昇制御弁V1を上昇位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると高速上昇速度になり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると低速上昇速度になり、下降制御弁V2の駆動状態を排出位置と停止位置との2位置の状態を短時間毎に繰り返す、所謂、デューティ制御を実行して、デューティ比を変更調節することにより中間の上昇速度にて適宜変更調節することができる。又、上昇制御弁V1を中立停止位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると昇降停止状態となり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると高速下降速度になり、下降制御弁V2に対して上記デューティ制御を実行してデューティ比を変更調節することにより中間の下降速度にて適宜変更調節することができる。
【0020】
図2に示すように、マイクロコンピュータを利用して構成される制御装置14が設けられ、この制御装置14に、前記株元センサS0、対機体高さセンサS3、前記昇降ボリュームVR、前記上昇スイッチSW1、及び、前記下降スイッチSW2の検出情報が入力されている。又、エンジンから前記脱穀装置3への動力伝達を入り切りする脱穀クラッチの入り切り状態を検出する脱穀スイッチS1と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサS2の各検出情報も上記制御装置14に入力されている。
一方、制御装置14からは、前記上昇制御弁V1及び下降制御弁V2夫々に対する駆動信号が出力されている。
【0021】
上記制御装置14を利用して、前記昇降指令手段SSの指令情報に基づいて、前記油圧シリンダCYを作動させる通常昇降作動を実行する制御手段100が構成されている。
そして、上記制御手段100は、前記株元センサS0にて作業状態(刈取作業状態)が検出されている場合には、前記補助指令手段JS(上昇スイッチSW1及び下降スイッチSW2)の指令情報に基づいて、前記通常昇降作動における昇降操作速度よりも遅いが昇降操作速度で前記刈取部2を昇降させるように、前記油圧シリンダCYを作動させる微調整昇降作動を実行し、前記株元センサS0にて非作業状態が検出されている場合には、前記補助指令手段JS(上昇スイッチSW1及び下降スイッチSW2)の指令情報に基づいて、前記刈取部2を上昇目標位置に自動上昇させる、及び、前記刈取部2を下降目標位置に自動下降させる自動昇降作動を実行するように構成されている。
【0022】
因みに、上記通常昇降作動における昇降操作速度は、前記油圧シリンダCYの速度調節において説明した高速上昇速度及び高速下降速度に速度調節され、上記微調整昇降作動における昇降操作速度は、前記油圧シリンダCYの速度調節において説明した低速上昇速度、及びデューティ制御(例えば、停止位置と排出位置との時間比が2対1)による中間の下降速度に速度調節されて、通常昇降作動における昇降操作速度よりも遅い昇降操作速度に設定されている。
【0023】
そして、制御装置14は、上記通常昇降作動において、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが前記上昇作動電圧Vuよりも大きいときは、油圧シリンダCYを上記高速上昇速度で上昇作動させ、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが前記下降作動電圧Vdよりも小さいときは、油圧シリンダCYを上記高速下降速度で下降作動させ、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが前記上昇作動電圧Vuと前記下降作動電圧Vdの間にあるときは、油圧シリンダCYの作動を停止させる。
【0024】
制御装置14は、上記自動昇降作動において、刈取部2が対機体高さセンサS3の検出値により前記目標上昇位置にあることが検出されているときに、下降スイッチSW2が押し操作されてオン作動するに伴って、刈取部2を前記下降目標位置に下降させるべく油圧シリンダCYを上記高速下降速度で下降作動させ、刈取部2が対機体高さセンサS3の検出値により前記上昇目標位置以外の位置にあることが検出されているときに、上昇スイッチSW1が押し操作されてオン作動するに伴って、刈取部2を前記目標上昇位置に上昇させるべく油圧シリンダCYを上記高速上昇速度で上昇作動させる。尚、上昇目標位置は、刈取部2の昇降操作範囲の上限位置付近、具体的には上限位置から150mm内の範囲に設定され、下降目標位置は、上限位置から約450mm下方側の位置に設定されている。
【0025】
制御装置14は、前記微調整昇降作動において、前記上昇スイッチSW1がオンしている間、刈取部2を上昇させるべく、油圧シリンダCYを前記微調整用の低速上昇速度で上昇作動させ、前記下降スイッチSW2がオンしている間、刈取部2を下降させるべく、油圧シリンダを前記微調整用の中間下降速度で下降作動させ、上昇スイッチSW1と下降スイッチSW2が共にオフしているときは、油圧シリンダCYの作動を停止させる。
【0026】
次に、前記制御装置14による刈取昇降用の制御動作について、図5〜図10のフローチャートに基づいて説明する。
メインフロー(図5)では、先ず、昇降作動の作動条件が成立しているか否かを判断する。つまり、前記脱穀スイッチS1がオン状態で、エンジン回転数センサS2にてエンジン回転数が500rpm以上であることが検出され、且つ、前記対機体高さセンサS3の検出値が正常な値であれば、昇降作動の作動条件が成立していると判断される。上記昇降作動の作動条件が成立しているときは、さらに、作業状態であるか否かを前記株元センサS0の状態によって判断する。
【0027】
株元センサS0がオンしている作業状態では、前記昇降ボリュームVRの検出情報に基づいて手動昇降指令が指令されているか否かを判断し、手動昇降指令が指令されていれば、通常昇降作動処理を実行する。手動昇降指令が指令されていないときは、前記上昇スイッチSW1又は下降スイッチSW2がオンしているか否かを判断し、いずれかのスイッチSW1,SW2がオンしていれば、微調整昇降作動処理を実行する。
一方、株元センサS0がオフしている非作業状態では、前記昇降ボリュームVRの検出情報に基づいて手動昇降指令が指令されているか否かを判断し、手動昇降指令が指令されていれば、通常昇降作動処理を実行する。手動昇降指令が指令されていないときは、前記上昇スイッチSW1又は下降スイッチSW2がオンしているか否かを判断し、いずれかのスイッチSW1,SW2がオンしていれば、自動昇降作動処理を実行する。
【0028】
通常昇降作動処理(図6)では、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが上昇作動電圧Vuよりも大であれば、刈取部2を上昇させるべく油圧シリンダCYを上昇作動させ、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが下降作動電圧Vdよりも小であれば、刈取部2を下降させるべく油圧シリンダCYを下降作動させ、昇降ボリュームVRの検出電圧Vsが上昇作動電圧Vuと下降作動電圧Vdの間であれば、油圧シリンダCYの作動を停止させる。
【0029】
自動昇降作動処理(図7)では、上昇スイッチSW1がオンされたときは、株元センサS0がオン状態からオフ状態に変化後4秒以内の場合に限り、自動上昇フラグをセットする。下降スイッチSW2がオンされたときは、上昇目標位置にある場合に限り、自動下降フラグをセットする。
次に、自動上昇フラグがセットされているときは、自動上昇出力処理を行ない、自動下降フラグがセットされているときは、自動下降出力処理を行ない、前記昇降ボリュームVRによる手動昇降指令がなされたときは、自動上昇及び自動下降フラグをクリアするとともに、油圧シリンダCYの自動上昇及び自動下降作動を停止させる。
【0030】
自動上昇出力処理(図8)では、上昇目標位置まで上昇していない状態で、自動上昇の出力時間が5秒以上でないときにのみ、油圧シリンダCYを上昇作動させ、上昇目標位置まで上昇しているとき、及び、上昇目標位置まで上昇していないが自動上昇の出力時間が5秒以上のとき、自動上昇フラグをクリアし、且つ、油圧シリンダCYの上昇作動を停止させる。
【0031】
自動下降出力処理(図9)では、下降目標位置まで下降していない状態で、自動下降の出力時間が3秒以上でないときにのみ、油圧シリンダCYを下降作動させ、下降目標位置まで下降しているとき、及び、下降目標位置まで下降していないが自動下降の出力時間が3秒以上のとき、自動下降フラグをクリアし、且つ、油圧シリンダCYの下降作動を停止させる。
【0032】
微調整昇降作動処理(図10)では、上昇スイッチSW1がオン状態であれば、油圧シリンダCYを低速(前記低速下降速度)で上昇作動させ、下降スイッチSW2がオン状態であれば、油圧シリンダCYを低速(前記中間の下降速度)で下降作動させ、両スイッチが共にオフ状態であれば、油圧シリンダCYの作動を停止させる。
【0033】
〔別実施形態〕
上記実施形態では、本発明の作業機の昇降制御装置を、作業機としてのコンバインに適用し、作業部としての刈取部を昇降させる場合について説明したが、コンバイン以外の各種作業機において各種の作業部を昇降させる場合に適用することができる。
上記実施形態では、昇降操作手段を油圧シリンダCYにて構成したが、これ以外に、電動モータ等その他のアクチュエータで構成してもよい。
【0034】
上記実施形態では、手動操作式の昇降指令手段SSを、手動操作レバー16とその操作量を検出するボリュームVRにて構成したが、これ以外に、例えば、手動操作レバー16とその操作レバーが、上昇側及び下降側に夫々所定量操作されるとオンする上昇検出スイッチ及び下降検出スイッチにて構成してもよい。
【0035】
上記実施形態では、手動操作式の補助指令手段JSに備える操作部を、手動操作レバー16に各別に押し操作される状態で設けた2つのスイッチ(上昇スイッチSW1と下降スイッチSW2)にて構成したが、これ以外に、例えば、1つの操作部を一方に傾けると、自動上昇指令又は微調整用の上昇指令が指令され、他方に傾けると、自動下降指令又は微調整用の下降指令が指令されるシーソー式のスイッチで構成してもよい。
【0036】
上記実施形態では、作業状態検出手段を、株元センサS0にて構成したが、これ以外の検出手段にて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの前部側の側面図
【図2】制御ブロック図
【図3】昇降レバーの握り部の平面図
【図4】昇降指令手段の指令情報を説明するためのグラフ
【図5】制御動作のフローチャート
【図6】制御動作のフローチャート
【図7】制御動作のフローチャート
【図8】制御動作のフローチャート
【図9】制御動作のフローチャート
【図10】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
2 作業部
16 手動操作レバー
16a 握り部
100 制御手段
CY 昇降操作手段
JS 補助指令手段
S0 作業状態検出手段
SS 昇降指令手段
SW1,SW2 操作部
V 走行機体

Claims (2)

  1. 作業部を走行機体に対して昇降操作する昇降操作手段と、
    前記作業部の上昇、下降及び停止を指令する手動操作式の昇降指令手段と、
    前記昇降指令手段の指令情報に基づいて前記昇降操作手段を作動させる通常昇降作動を実行する制御手段とが設けられている作業機の昇降制御装置であって、
    前記作業部の上昇、下降及び停止を指令する手動操作式の補助指令手段が設けられ、
    前記制御手段が、前記補助指令手段の指令情報に基づいて、前記通常昇降作動における昇降操作速度よりも遅い昇降操作速度で前記作業部を昇降させるように、前記昇降操作手段を作動させる微調整昇降作動を実行し、
    作業状態であるか非作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が設けられ、
    前記制御手段が、前記作業状態検出手段にて作業状態が検出されている場合には、前記補助指令手段の指令情報に基づく前記微調整昇降作動を実行し、
    前記作業状態検出手段にて非作業状態が検出されている場合には、前記補助指令手段の指令情報に基づいて、前記作業部を上昇目標位置に自動上昇させる、及び、前記作業部を下降目標位置に自動下降させる自動昇降作動を実行するように構成されている作業機の昇降制御装置。
  2. 前記昇降指令手段が、上昇指令位置、下降指令位置及び停止指令位置の夫々に位置変更操作自在な手動操作レバーを備えて構成され、
    前記補助指令手段が、前記手動操作レバーの握り部を握った手指にて操作自在な状態で前記手動操作レバーに設けられた操作部を備えて構成されている請求項1記載の作業機の昇降制御装置。
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