JP3580158B2 - モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物に関するものであり、本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、例えば、DNAオリゴマーの中間原料として有機合成化学、生化学および医薬産業上において有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
これまで、DNA合成試薬としては、前記式(1)においてR1およびR2のいずれも水素原子であり、Xがジアルキルアミノ基であるホスホルアミダイト化合物が知られている[エイチ・ケスター(H. Koester)ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)、52,5843(1983).および特許協力条約(PCT) WO97/42202を参照されたい]。
前記ホスホルアミダイト化合物を、DNAオリゴマーの中間原料として用いる場合には、2−シアノエトキシジアルキルアミノホスフィン誘導体と5’−O,塩基保護−ヌクレオシドとを反応させ、DNA合成試薬とするのが一般的である。
この方法によれば、DNAの化学合成の原料を安定的に得ることができるが、純度良く目的物を得るために、生成する副生物あるいは不純物を除去することが必要であり、そのため操作上の煩雑さが生じ、コストが嵩む等の問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、DNA合成試薬の製造において単離精製工程を必要とせずに、反応液をそのままDNAオリゴマーの合成に用いることができるin situ DNA合成試薬となる、モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記式(1)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を用いた場合に、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記式(1)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物である。
【0005】
【化3】
【0006】
{式中、Bは必要に応じてヌクレオチド化学において通常の保護基で保護した塩基を示し、R1およびR2は水素原子、またはヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を示し、R3は保護基、Aは水素原子、水酸基、アルコキシ基またはトリアルキルシリルオキシ基を示し、XはHNR5で示されるモノアルキルアミノ基(R5はアルキル基またはシクロアルキル基)を示す。ただし、R1およびR2のいずれもが水素原子、メチル基またはエチル基である場合を除く。}
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、前記式(1)で表される化合物であり、式(1)におけるBは周知の塩基であり、アデニン、グアニンおよびヒポキサンチンなどのプリン誘導体、ならびにシトシン、チミンおよびウラシルなどのピリミジン誘導体などが挙げられ、具体的には、1−チミニル基、1−(N−4−ベンゾイルシトシニル)基、9−(N−6−ベンゾイルアデニニル)基および9−(N−2−イソブチリルグアニニル)基などが挙げられる。
R1およびR2としては、水素原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、シクロヘキシル基、ノルマルノニル基、2−フェニルエチル基、2−(メチルチオ)エチル基、フェニル基、1,1−ジエチル−3−ブテニル基および1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基などが挙げられる(ただし、R1およびR2のいずれもが水素原子、メチル基またはエチル基の場合を除く)。
また、R3としては、トリチル基、4−メトキシトリチル基および4,4’−ジメトキシトリチル基などが挙げられ、Xとしては、イソプロピルアミノ基、ノルマルブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ターシャリーブチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基およびシクロヘキシルアミノ基などが挙げられる。
【0008】
本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、下記式(3)で表されるヌクレオチド誘導体と下記式(4)で表される第一アルキルアミンとの反応に容易に製造することができる{下記式(5)}。
【0009】
【化4】
【0010】
{式中、A、B、R1、R2およびR3は前記式(1)と同じであり、Yはイミダゾリル基、2−メチルイミダゾリル基および4−メチルイミダゾリル基等のアゾリル基を示す。}
【0011】
【化5】
【0012】
{Xは前記式(1)と同じである。}
【0013】
【化6】
【0014】
{式中、A、B、R1、R2、R3およびXは前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。}
【0015】
一方、前記式(3)で表されるヌクレオチド誘導体は、下記式(6)で表される5’−O,塩基保護−ヌクレオシドと下記式(7)で表されるオルガノオキシビスアゾリルホスフィンとの反応により容易に製造することができる{下記式(8)}。
【0016】
【化7】
(式中、A、BおよびR3は前記式(1)と同じである。)
【0017】
【化8】
【0018】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。}
【0019】
【化9】
【0020】
{式中、A、B、R1、R2およびR3は前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。}
【0021】
前記式(8)で表される反応は、5’−O,塩基保護−ヌクレオシドを減圧乾燥するか、あるいはピリジンもしくは1,4−ジオキサン等の有機溶媒に溶解してから共沸脱水した後、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフラン、クロロホルムまたはアセトニトリル等の有機溶媒溶液中、5’−O,塩基保護−ヌクレオシドに対し0.9〜1.2当量のオルガノオキシビスアゾリルホスフィンを、−80℃〜室温の条件で混合させて反応させることにより達成される。低温で反応させた方が、前記式(3)で表される化合物の収率が良い。なお、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製したものを用いることが好ましい。この反応溶液の31P−NMRスペクトルを測定して反応が完了したことを確認することができる。
一方、前記式(5)で表される反応は、前述のようにして製造した化合物(3)の反応溶液に、第一アルキルアミンを化合物(3)に対して0.9〜1.2当量加えることにより達成される。このようにして得られたモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物は、単離精製することなく、反応溶液をそのままin situ DNA合成試薬としてオリゴヌクレオチドの合成に用いることができる。前記式(7)で表されるオルガノオキシビスアゾリルホスフィンは、下記式(9)で表されるオルガノオキシジクロロホスフィンと下記式(10)で表されるN−トリメチルシリルアゾール化合物との反応により容易に製造することができる{下記式(11)}。
【0022】
【化10】
【0023】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0024】
【化11】
【0025】
(式中、Yは前記式(3)と同じである。)
【0026】
【化12】
【0027】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。)
【0028】
前記式(11)で表される反応は、トルエンまたはクロロホルム等のハロゲン系有機溶媒溶液中、室温の条件で、前記オルガノオキシジクロロホスフィンに、これに対し2〜3当量の前記N−トリメチルシリルアゾール化合物を混合させて行なう。この反応溶液の1H−NMRスペクトルを測定して反応が完了したことを確認した後、副生したクロロトリメチルシラン、反応溶媒および過剰のN−トリメチルシリルアゾール化合物などを減圧留去すれば、オルガノオキシビスアゾリルホスフィンが得られる。なお、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製したものを用いることが好ましい。
前記式(9)で表されるオルガノオキシジクロロホスフィンは、下記式(12)で表されるオルガノオキシトリメチルシランと三塩化リンとの反応により容易に製造することができる{下記式(13)、畑辻明ら、ヌクレイック・アッシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Reserch)、17,8581(1989)}。
【0029】
【化13】
【0030】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。}
【0031】
【化14】
【0032】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0033】
前記反応は、0℃の条件で、オルガノオキシトリメチルシランとこれに対し2〜5当量の三塩化リンとを混合し、室温で1時間〜10日間静置することにより達成され、生成物を常法に従って減圧蒸留すれば、オルガノオキシジクロロホスフィンが得られる。
前記式(12)で表されるオルガノオキシトリメチルシランは、下記式(14)で表される2−シアノエタノール誘導体と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンとの反応{下記式(15)}、または下記式(16)で表されるアルデヒドもしくはケトンとシアノメチルリチウムなどのシアノメチルアルカリ金属化合物との反応生成物に、クロロトリメチルシランを反応させることにより{下記式(17)}、容易に製造することができる。
前記シアノメチルアルカリ金属化合物は、アセトニトリルのシアノ基に隣接した活性水素を、ノルマルブチルリチウムなどを用いてアルカリ金属化することにより容易に製造することができる{(下記式(18))。
【0034】
【化15】
【0035】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0036】
【化16】
【0037】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0038】
前記式(15)で表される反応は、2−シアノエタノール誘導体とこれに対し1〜2当量の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンおよび0.005〜0.1当量のイミダゾールを混合し、1〜5時間かきまぜながら加熱・還流させることにより達成され、生成物を常法に従って減圧蒸留すれば、目的のオルガノオキシトリメチルシランが得られる。
【0039】
【化17】
【0040】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。}
【0041】
【化18】
【0042】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0043】
【化19】
【0044】
前記式(17)および(18)で表される反応は以下のように行なう。まず、−80〜−60℃の条件で、ノルマルブチルリチウムのノルマルヘキサン/テトラヒドロフラン(1/2)溶液にこれに対し1.0〜1.2当量のアセトニトリルをで加えて、0.5〜2時間かき混ぜて反応させてシアノメチルリチウムのノルマルヘキサン/テトラヒドロフラン溶液を得る。これに−80〜−60℃の条件で、1.0〜1.2当量の前記アルデヒドもしくはケトンを加え、反応温度を0.5〜1時間かけて室温に戻した後、1.2〜1.5当量のクロロトリメチルシランを加えてかき混ぜることにより反応は達成される。なお、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製したものを用いることが好ましい。生成物を常法に従って減圧蒸留すれば、オルガノオキシトリメチルシランが得られる。
前記式(10)で表されるN−トリメチルシリルアゾール化合物は、
下記式 (19)で表されるアゾール類と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンとの反応により容易に製造することができる{下記式(20)}。
【0045】
【化20】
【0046】
(式中、Yは前記式(3)と同じである。)
【0047】
【化21】
【0048】
(式中、Yは前記式(3)と同じである。)
【0049】
前記反応は、前記式(19)で表されるアゾール類と、これに対し1〜2当量の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンとを混合し、3〜24時間かきまぜながら加熱・還流させることにより達成され、このものを常法に従って減圧蒸留すれば、N−トリメチルシリルアゾール化合物が得られる。
【0050】
上記の方法で製造されたモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、オリゴヌクレオチドを化学合成する際の中間原料として有用である。例えば、2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンを、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンと反応させると、同ヌクレオシドの3’−O−4−メチルイミダゾリルホスフィン誘導体を収率良く得る。この反応溶液に、イソプロピルアミンを加えると、同ヌクレオシドの3’−O−イソプロピルアミノ型ホスホルアミダイト誘導体を定量的に得る。さらに、触媒としてテトラゾールを用い、この反応溶液をそのままin situでDNA自動合成機上での固相合成に用いることにより、DNAオリゴマーを収率良く得ることができる。
【0051】
なお、本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物としては、DNAオリゴマーの収率の面から、下記条件で計算した、式(1)における置換基R1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積の和が49(オングストローム) 3 以上である化合物が好ましい。例えば、R1が水素原子であり、R2がノルマルプロピル基である場合のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物などが例示される。
ファンデルワールス(van der Waals)体積の計算方法
下記式(2)で表されるオルガノオキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホ
スフィンにおいて、まず、SPARTANTM Version4.1.1(Wavefunction,Inc.)により三次元分子構造を決定し、MM力場を使って立体的エネルギーの最適化を行った後、半経験的分子軌道法(AM1)により立体構造を確定した。次に、AM1により得られた立体構造に基づいて、TSARTM3.0(Oxford Molecular
Group)の分子体積計算プログラムにより置換基R1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積を求めた。
【0052】
【化22】
【0053】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じであり、Yは4−メチルイミダゾリル基を示す}
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
前記式(1)においてAが水素原子、Bが1−チミニル基、R1が水素原子、R2がターシャリーブチル基、R3が4,4’−ジメトキシトリチル基、Xがイソプロピルアミノ基である下記式(21)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物の製造
【0055】
【化23】
【0056】
トルエン(5ml)溶液中、アルゴン雰囲気下、室温の条件で2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシジクロロホスフィン0.332g(1.46mmol)とトリメチルシリル−4−メチルイミダゾール0.495g(3.21mmol)とを加え、5分間反応させた。副生したクロロトリメチルシランおよびトルエンを室温で10分間減圧留去した後、残留トルエンおよび過剰のトリメチルシリル−4−メチルイミダゾールを40℃の条件で2時間減圧留去し、無色透明、油状の2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンを得た。さらに、アルゴン雰囲気下、室温の条件で、前記で得られた2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンを重クロロホルム2.9mlに溶解した溶液(0.5M)を、室温で2時間減圧乾燥した5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン0.794g(1.46mmol)に加えた。均一にした後、そのまま一晩静置して反応させ、下記式(22)で表されるヌクレオチド誘導体を得た。得られた生成物の31PNMR(外部標準;(CH3O)3P =140ppm, CDCl3)δは 127.9,128.2,128.4,130.8ppm.であった( 31P−NMRスペクトルは161.7MHzNMR測定装置で測定した)。
【0057】
【化24】
【0058】
上記で得られた反応溶液にイソプロピルアミン0.086g(1.46mmol)を室温で加えて反応させ、目的物である前記式(21)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト誘導体を定量的に得た。得られた生成物の31PNMR(外部標準;(CH3O)3P =140ppm, CDCl3)δは141.8,142.4,144.5,145.8ppm.であった( 31P−NMRスペクトルは161.7MHzNMR測定装置で測定した)。
【0059】
(応用例)
前記式(21)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を用いた、固相法によるDNA自動合成機上でのd(TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT)(チミジン20量体)の合成
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンを1,4−ジオキサンに溶解後、共沸脱水し、かつ2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンとの反応溶媒としてアセトニトリルを用いてその濃度を0.1Mとした以外は、実施例1と同様にしてモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を製造した。
得られた化合物の0.1Mアセトニトリル反応溶液をそのまま原料として用いて、触媒としてテトラゾールを用いて、DNA自動合成機上でアミダイト法のプロトコールに従って固相法によりチミジンの20量体を合成した。得られた反応生成混合物を逆相HPLC分析した結果、その平均縮合収率は99.1%であった。
【0060】
(実施例2〜7)
実施例1と同様の操作により、表1および2に示したNo.2〜No.7のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を製造した。各モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物{前記式(1)}およびその前駆体であるヌクレオチド誘導体{前記式(2)}の31P−NMRスペクトルのケミカルシフト(δ)(外部標準;(CH3O)3P =140ppm、161.9MHzNMR測定装置で測定)、置換基R1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積の和(置換基体積(R1+R2))を表1に示した。また、各モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物の0.1Mアセトニトリル反応溶液をそのまま原料として用いて、触媒としてテトラゾールを用いて、固相法によりDNA自動合成機上でアミダイト法の標準的なプロトコールによりチミジン、シチジンまたはアデノシンの各20量体を合成した際の平均縮合収率(固相合成縮合収率)をそれぞれ表1に示した。なお、表1における置換基R2、XおよびYの構造は下記表2に示した。
No.2〜No.7に示したモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、前記式(1)において、Aが水素原子、R3が4,4’−ジメトキシトリチルである下記式(23)で表される化合物である。
【0061】
【化25】
【0062】
{式中、DMTrは4,4’−ジメトキシトリチル基を表し、B、R1、R2およびXは前記式(1)と同じである。}
【0063】
【表1】
【0064】
{表1において、B欄のTは1−チミニル基を、CBzは1−(N−4−ベンゾイルシトシニル)基を、およびABzは9−(N−6−ベンゾイルアデニニル)基をそれぞれ表す。}
【0065】
【表2】
【0066】
表1から明らかなように、実施例1で得られた化合物(20)は、これをin site DNA合成試薬として用いて場合、その平均縮合収率は99.1%と極めて優れたものである。
【0067】
【発明の効果】
本発明のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、オリゴヌクレオチドの中間原料として用いる場合、その製造工程において単離精製工程を省くことができるin situ DNA合成試薬として有用であり、本発明のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を利用することにより、極めて高い平均縮合収率でDNAオリゴマーを合成できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物に関するものであり、本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、例えば、DNAオリゴマーの中間原料として有機合成化学、生化学および医薬産業上において有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
これまで、DNA合成試薬としては、前記式(1)においてR1およびR2のいずれも水素原子であり、Xがジアルキルアミノ基であるホスホルアミダイト化合物が知られている[エイチ・ケスター(H. Koester)ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)、52,5843(1983).および特許協力条約(PCT) WO97/42202を参照されたい]。
前記ホスホルアミダイト化合物を、DNAオリゴマーの中間原料として用いる場合には、2−シアノエトキシジアルキルアミノホスフィン誘導体と5’−O,塩基保護−ヌクレオシドとを反応させ、DNA合成試薬とするのが一般的である。
この方法によれば、DNAの化学合成の原料を安定的に得ることができるが、純度良く目的物を得るために、生成する副生物あるいは不純物を除去することが必要であり、そのため操作上の煩雑さが生じ、コストが嵩む等の問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、DNA合成試薬の製造において単離精製工程を必要とせずに、反応液をそのままDNAオリゴマーの合成に用いることができるin situ DNA合成試薬となる、モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記式(1)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を用いた場合に、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記式(1)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物である。
【0005】
【化3】
【0006】
{式中、Bは必要に応じてヌクレオチド化学において通常の保護基で保護した塩基を示し、R1およびR2は水素原子、またはヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を示し、R3は保護基、Aは水素原子、水酸基、アルコキシ基またはトリアルキルシリルオキシ基を示し、XはHNR5で示されるモノアルキルアミノ基(R5はアルキル基またはシクロアルキル基)を示す。ただし、R1およびR2のいずれもが水素原子、メチル基またはエチル基である場合を除く。}
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、前記式(1)で表される化合物であり、式(1)におけるBは周知の塩基であり、アデニン、グアニンおよびヒポキサンチンなどのプリン誘導体、ならびにシトシン、チミンおよびウラシルなどのピリミジン誘導体などが挙げられ、具体的には、1−チミニル基、1−(N−4−ベンゾイルシトシニル)基、9−(N−6−ベンゾイルアデニニル)基および9−(N−2−イソブチリルグアニニル)基などが挙げられる。
R1およびR2としては、水素原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、シクロヘキシル基、ノルマルノニル基、2−フェニルエチル基、2−(メチルチオ)エチル基、フェニル基、1,1−ジエチル−3−ブテニル基および1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基などが挙げられる(ただし、R1およびR2のいずれもが水素原子、メチル基またはエチル基の場合を除く)。
また、R3としては、トリチル基、4−メトキシトリチル基および4,4’−ジメトキシトリチル基などが挙げられ、Xとしては、イソプロピルアミノ基、ノルマルブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ターシャリーブチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基およびシクロヘキシルアミノ基などが挙げられる。
【0008】
本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、下記式(3)で表されるヌクレオチド誘導体と下記式(4)で表される第一アルキルアミンとの反応に容易に製造することができる{下記式(5)}。
【0009】
【化4】
【0010】
{式中、A、B、R1、R2およびR3は前記式(1)と同じであり、Yはイミダゾリル基、2−メチルイミダゾリル基および4−メチルイミダゾリル基等のアゾリル基を示す。}
【0011】
【化5】
【0012】
{Xは前記式(1)と同じである。}
【0013】
【化6】
【0014】
{式中、A、B、R1、R2、R3およびXは前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。}
【0015】
一方、前記式(3)で表されるヌクレオチド誘導体は、下記式(6)で表される5’−O,塩基保護−ヌクレオシドと下記式(7)で表されるオルガノオキシビスアゾリルホスフィンとの反応により容易に製造することができる{下記式(8)}。
【0016】
【化7】
(式中、A、BおよびR3は前記式(1)と同じである。)
【0017】
【化8】
【0018】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。}
【0019】
【化9】
【0020】
{式中、A、B、R1、R2およびR3は前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。}
【0021】
前記式(8)で表される反応は、5’−O,塩基保護−ヌクレオシドを減圧乾燥するか、あるいはピリジンもしくは1,4−ジオキサン等の有機溶媒に溶解してから共沸脱水した後、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフラン、クロロホルムまたはアセトニトリル等の有機溶媒溶液中、5’−O,塩基保護−ヌクレオシドに対し0.9〜1.2当量のオルガノオキシビスアゾリルホスフィンを、−80℃〜室温の条件で混合させて反応させることにより達成される。低温で反応させた方が、前記式(3)で表される化合物の収率が良い。なお、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製したものを用いることが好ましい。この反応溶液の31P−NMRスペクトルを測定して反応が完了したことを確認することができる。
一方、前記式(5)で表される反応は、前述のようにして製造した化合物(3)の反応溶液に、第一アルキルアミンを化合物(3)に対して0.9〜1.2当量加えることにより達成される。このようにして得られたモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物は、単離精製することなく、反応溶液をそのままin situ DNA合成試薬としてオリゴヌクレオチドの合成に用いることができる。前記式(7)で表されるオルガノオキシビスアゾリルホスフィンは、下記式(9)で表されるオルガノオキシジクロロホスフィンと下記式(10)で表されるN−トリメチルシリルアゾール化合物との反応により容易に製造することができる{下記式(11)}。
【0022】
【化10】
【0023】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0024】
【化11】
【0025】
(式中、Yは前記式(3)と同じである。)
【0026】
【化12】
【0027】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じであり、Yは前記式(3)と同じである。)
【0028】
前記式(11)で表される反応は、トルエンまたはクロロホルム等のハロゲン系有機溶媒溶液中、室温の条件で、前記オルガノオキシジクロロホスフィンに、これに対し2〜3当量の前記N−トリメチルシリルアゾール化合物を混合させて行なう。この反応溶液の1H−NMRスペクトルを測定して反応が完了したことを確認した後、副生したクロロトリメチルシラン、反応溶媒および過剰のN−トリメチルシリルアゾール化合物などを減圧留去すれば、オルガノオキシビスアゾリルホスフィンが得られる。なお、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製したものを用いることが好ましい。
前記式(9)で表されるオルガノオキシジクロロホスフィンは、下記式(12)で表されるオルガノオキシトリメチルシランと三塩化リンとの反応により容易に製造することができる{下記式(13)、畑辻明ら、ヌクレイック・アッシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Reserch)、17,8581(1989)}。
【0029】
【化13】
【0030】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。}
【0031】
【化14】
【0032】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0033】
前記反応は、0℃の条件で、オルガノオキシトリメチルシランとこれに対し2〜5当量の三塩化リンとを混合し、室温で1時間〜10日間静置することにより達成され、生成物を常法に従って減圧蒸留すれば、オルガノオキシジクロロホスフィンが得られる。
前記式(12)で表されるオルガノオキシトリメチルシランは、下記式(14)で表される2−シアノエタノール誘導体と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンとの反応{下記式(15)}、または下記式(16)で表されるアルデヒドもしくはケトンとシアノメチルリチウムなどのシアノメチルアルカリ金属化合物との反応生成物に、クロロトリメチルシランを反応させることにより{下記式(17)}、容易に製造することができる。
前記シアノメチルアルカリ金属化合物は、アセトニトリルのシアノ基に隣接した活性水素を、ノルマルブチルリチウムなどを用いてアルカリ金属化することにより容易に製造することができる{(下記式(18))。
【0034】
【化15】
【0035】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0036】
【化16】
【0037】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0038】
前記式(15)で表される反応は、2−シアノエタノール誘導体とこれに対し1〜2当量の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンおよび0.005〜0.1当量のイミダゾールを混合し、1〜5時間かきまぜながら加熱・還流させることにより達成され、生成物を常法に従って減圧蒸留すれば、目的のオルガノオキシトリメチルシランが得られる。
【0039】
【化17】
【0040】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。}
【0041】
【化18】
【0042】
(式中、R1およびR2は前記式(1)と同じである。)
【0043】
【化19】
【0044】
前記式(17)および(18)で表される反応は以下のように行なう。まず、−80〜−60℃の条件で、ノルマルブチルリチウムのノルマルヘキサン/テトラヒドロフラン(1/2)溶液にこれに対し1.0〜1.2当量のアセトニトリルをで加えて、0.5〜2時間かき混ぜて反応させてシアノメチルリチウムのノルマルヘキサン/テトラヒドロフラン溶液を得る。これに−80〜−60℃の条件で、1.0〜1.2当量の前記アルデヒドもしくはケトンを加え、反応温度を0.5〜1時間かけて室温に戻した後、1.2〜1.5当量のクロロトリメチルシランを加えてかき混ぜることにより反応は達成される。なお、有機溶媒は乾燥剤で乾燥後、蒸留精製したものを用いることが好ましい。生成物を常法に従って減圧蒸留すれば、オルガノオキシトリメチルシランが得られる。
前記式(10)で表されるN−トリメチルシリルアゾール化合物は、
下記式 (19)で表されるアゾール類と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンとの反応により容易に製造することができる{下記式(20)}。
【0045】
【化20】
【0046】
(式中、Yは前記式(3)と同じである。)
【0047】
【化21】
【0048】
(式中、Yは前記式(3)と同じである。)
【0049】
前記反応は、前記式(19)で表されるアゾール類と、これに対し1〜2当量の1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンとを混合し、3〜24時間かきまぜながら加熱・還流させることにより達成され、このものを常法に従って減圧蒸留すれば、N−トリメチルシリルアゾール化合物が得られる。
【0050】
上記の方法で製造されたモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、オリゴヌクレオチドを化学合成する際の中間原料として有用である。例えば、2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンを、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンと反応させると、同ヌクレオシドの3’−O−4−メチルイミダゾリルホスフィン誘導体を収率良く得る。この反応溶液に、イソプロピルアミンを加えると、同ヌクレオシドの3’−O−イソプロピルアミノ型ホスホルアミダイト誘導体を定量的に得る。さらに、触媒としてテトラゾールを用い、この反応溶液をそのままin situでDNA自動合成機上での固相合成に用いることにより、DNAオリゴマーを収率良く得ることができる。
【0051】
なお、本発明におけるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物としては、DNAオリゴマーの収率の面から、下記条件で計算した、式(1)における置換基R1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積の和が49(オングストローム) 3 以上である化合物が好ましい。例えば、R1が水素原子であり、R2がノルマルプロピル基である場合のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイド化合物などが例示される。
ファンデルワールス(van der Waals)体積の計算方法
下記式(2)で表されるオルガノオキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホ
スフィンにおいて、まず、SPARTANTM Version4.1.1(Wavefunction,Inc.)により三次元分子構造を決定し、MM力場を使って立体的エネルギーの最適化を行った後、半経験的分子軌道法(AM1)により立体構造を確定した。次に、AM1により得られた立体構造に基づいて、TSARTM3.0(Oxford Molecular
Group)の分子体積計算プログラムにより置換基R1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積を求めた。
【0052】
【化22】
【0053】
{式中、R1およびR2は前記式(1)と同じであり、Yは4−メチルイミダゾリル基を示す}
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
前記式(1)においてAが水素原子、Bが1−チミニル基、R1が水素原子、R2がターシャリーブチル基、R3が4,4’−ジメトキシトリチル基、Xがイソプロピルアミノ基である下記式(21)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物の製造
【0055】
【化23】
【0056】
トルエン(5ml)溶液中、アルゴン雰囲気下、室温の条件で2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシジクロロホスフィン0.332g(1.46mmol)とトリメチルシリル−4−メチルイミダゾール0.495g(3.21mmol)とを加え、5分間反応させた。副生したクロロトリメチルシランおよびトルエンを室温で10分間減圧留去した後、残留トルエンおよび過剰のトリメチルシリル−4−メチルイミダゾールを40℃の条件で2時間減圧留去し、無色透明、油状の2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンを得た。さらに、アルゴン雰囲気下、室温の条件で、前記で得られた2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンを重クロロホルム2.9mlに溶解した溶液(0.5M)を、室温で2時間減圧乾燥した5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン0.794g(1.46mmol)に加えた。均一にした後、そのまま一晩静置して反応させ、下記式(22)で表されるヌクレオチド誘導体を得た。得られた生成物の31PNMR(外部標準;(CH3O)3P =140ppm, CDCl3)δは 127.9,128.2,128.4,130.8ppm.であった( 31P−NMRスペクトルは161.7MHzNMR測定装置で測定した)。
【0057】
【化24】
【0058】
上記で得られた反応溶液にイソプロピルアミン0.086g(1.46mmol)を室温で加えて反応させ、目的物である前記式(21)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト誘導体を定量的に得た。得られた生成物の31PNMR(外部標準;(CH3O)3P =140ppm, CDCl3)δは141.8,142.4,144.5,145.8ppm.であった( 31P−NMRスペクトルは161.7MHzNMR測定装置で測定した)。
【0059】
(応用例)
前記式(21)で表されるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を用いた、固相法によるDNA自動合成機上でのd(TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT)(チミジン20量体)の合成
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンを1,4−ジオキサンに溶解後、共沸脱水し、かつ2−シアノ−1−ターシャリーブチルエトキビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンとの反応溶媒としてアセトニトリルを用いてその濃度を0.1Mとした以外は、実施例1と同様にしてモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を製造した。
得られた化合物の0.1Mアセトニトリル反応溶液をそのまま原料として用いて、触媒としてテトラゾールを用いて、DNA自動合成機上でアミダイト法のプロトコールに従って固相法によりチミジンの20量体を合成した。得られた反応生成混合物を逆相HPLC分析した結果、その平均縮合収率は99.1%であった。
【0060】
(実施例2〜7)
実施例1と同様の操作により、表1および2に示したNo.2〜No.7のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を製造した。各モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物{前記式(1)}およびその前駆体であるヌクレオチド誘導体{前記式(2)}の31P−NMRスペクトルのケミカルシフト(δ)(外部標準;(CH3O)3P =140ppm、161.9MHzNMR測定装置で測定)、置換基R1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積の和(置換基体積(R1+R2))を表1に示した。また、各モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物の0.1Mアセトニトリル反応溶液をそのまま原料として用いて、触媒としてテトラゾールを用いて、固相法によりDNA自動合成機上でアミダイト法の標準的なプロトコールによりチミジン、シチジンまたはアデノシンの各20量体を合成した際の平均縮合収率(固相合成縮合収率)をそれぞれ表1に示した。なお、表1における置換基R2、XおよびYの構造は下記表2に示した。
No.2〜No.7に示したモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、前記式(1)において、Aが水素原子、R3が4,4’−ジメトキシトリチルである下記式(23)で表される化合物である。
【0061】
【化25】
【0062】
{式中、DMTrは4,4’−ジメトキシトリチル基を表し、B、R1、R2およびXは前記式(1)と同じである。}
【0063】
【表1】
【0064】
{表1において、B欄のTは1−チミニル基を、CBzは1−(N−4−ベンゾイルシトシニル)基を、およびABzは9−(N−6−ベンゾイルアデニニル)基をそれぞれ表す。}
【0065】
【表2】
【0066】
表1から明らかなように、実施例1で得られた化合物(20)は、これをin site DNA合成試薬として用いて場合、その平均縮合収率は99.1%と極めて優れたものである。
【0067】
【発明の効果】
本発明のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物は、オリゴヌクレオチドの中間原料として用いる場合、その製造工程において単離精製工程を省くことができるin situ DNA合成試薬として有用であり、本発明のモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物を利用することにより、極めて高い平均縮合収率でDNAオリゴマーを合成できる。
Claims (2)
- 下記条件で計算した、前記式(1)におけるR1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積の和が49(オングストローム) 3 以上であるモノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物。
ファンデルワールス(van der Waals)体積の計算方法
下記式(2)で表されるオルガノオキシビス(4−メチルイミダゾリル)ホスフィンにおいて、まず、SPARTANTM Version4.1.1(Wavefunction,Inc.)により三次元分子構造を決定し、MM力場を使って立体的エネルギーの最適化を行った後、半経験的分子軌道法(AM1)により立体構造を確定した。次に、AM1により得られた立体構造に基づいて、TSARTM3.0(Oxford MolecularGroup)の分子体積計算プログラムにより、置換基R1およびR2のファンデルワールス(van der Waals)体積を求めた。
Priority Applications (2)
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JP37294998A JP3580158B2 (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | モノアルキルアミノ型ホスホルアミダイト化合物 |
US09/471,802 US6380378B1 (en) | 1998-12-24 | 1999-12-23 | Nucleotide compound, nucleotide block oligonucleotide, and method for producing them |
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