JP3580131B2 - 画像形成方法、画像形成装置、及び記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタに代表される画像形成装置において、中間調をディザ法により表現する方法、この方法を採用した装置、および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディザ法により中間調を表現する際に従来より用いられているディザマトリクスの一例を図6に示す。図6(a)はディザマトリクス81の概要を示す図であり、図6(b)はディザマトリクスを構成する各セルに対応して設定されている閾値を示したものである。
【0003】
図6(a)に示すように、ディザマトリクス81はsub matrix0〜3にて示されたサブマトリクスを縦横各2個からなっており、また、各サブマトリクスは縦横各4個、計16個のセルから構成されている。つまり、ディザマトリクス81は、16×4=64個のセルから成っている。
【0004】
図6(b)に示すように、各セルは更に4つの画素位置に細分化され、それぞれの位置に対応して4つの閾値が設定されている。例えば、符号83にて示されたセルでは、0、4、8、12の4つの閾値が設定されており、外部装置(当該画像形成装置に接続されたコンピュータやイメージセンサ)から入力された画像信号の示す濃度(以下、単に入力値ともいう)に応じた濃度で各セルが示す位置に画素が形成される。例えば、セル83への入力値が10であれば、セル83は下から3番目の濃度となり、画像形成手段がこのセル83に対応する位置に、画素を形成する。同様にして、64個全てのセルについて入力値と閾値との比較が行なわれる。入力値が10の場合、例えば、sub matrix1における左上のセルには閾値として1、5、9、13が設定されているから、下から3番目の濃度となり、sub matrix2およびsub matrix3における左上のセルは、下から2番目の濃度となる。それ以外の60個のセルの濃度は一番下の濃度、つまり画素は形成されない。
【0005】
このように、各セルは4段階の濃度を表現可能にされている。これにより4×64=256階調を表現する。これよりも階調が多い場合も、1つのセル当り5段階以上の濃度を表現できる画像形成手段を用いる、ディザマトリクスを大きくする等の改良を行なうことにより、表現可能となる。
【0006】
尚、実際には図6(c)に示すように正方形ではない形状の複数のサブマトリクス(図6(c)ではsub matrix′0〜3)からディザマトリクス81′が形成され、しかも同図に示されるように、角度を持って配列されることが多い。ここでは説明の便宜上、図6(a)、図6(b)に示すように、サブマトリクスは正方形で、これを格子状に並べることによりディザマトリクスが構成されている、とする。
【0007】
また、入力値は予め256段階に離散化されたデジタル信号でなくても可能である。例えば、当該画像形成装置がアナログ信号を受け入れて、これを定期的にラッチし、それぞれを離散化して256段階にしてもよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によれば、256階調を表現するために、64個のセルに対してそれぞれ閾値を格納する必要があり、その数だけ入力値と閾値の比較が必要となる。また、256階調以外の入力値、例えば64階調や128階調の入力値にも対応させるには、その階調に応じたディザマトリクスを別途用意するなどが必要となる。
【0009】
そして一般に、外部装置から送信されて来る画像データは、出力解像度、出力階調数に応じて多数のディザにて表現されるので、その数だけ、上記の処理、および閾値を記憶するためのメモリ容量が必要となる。特に画像データがカラーの場合は、通常、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色にて表現されるため、更に処理が増える。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、ディザ法により入力画像信号を多階調で表現する際に、従来必要であった閾値の記憶のための容量を削減することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
係る課題を解決するために為された本発明は、画素位置に対応し、所定の閾値が設定された複数のセルを有するサブ閾値マトリクスを複数組み合せることで閾値マトリクスを構成し、入力される画素位置に対応した画像濃度値とこの閾値マトリクスを2つの方向に渡って周期的に比較することにより得られる出力値に基づき画像形成手段によって中間調画像を生成する画像形成方法であって、
前記各セルごとに、入力された画像濃度値を表現するのに当該セルが用いられる画像濃度値の最小値に対応する最小閾値と、入力された画像濃度値を表現するのに当該セルに対応して前記画像形成手段が最大階調の画素を生成する画像濃度値の最小値に対応する最大閾値と、を設定し、
前記出力値の出力特性を決定するために前記サブ閾値マトリクスごとに閾値補正値を設定し、
前記出力値を出力するに際し、画素位置に対応して入力された画像濃度値が、その画素位置に対応する前記サブ閾値マトリクスのセルの前記最小閾値と前記最大閾値の間にある値である場合は、該セルが属する前記サブ閾値マトリクスに対して設定された前記閾値補正値、該1つのセルに対応して前記画像形成手段が生成可能な中間階調の数、前記最小閾値、前記最大閾値および前記入力された画像濃度値に基づいて、前記入力された画像濃度値に対応する前記出力値を出力することを特徴とする。
【0012】
こうすると、セル毎に設定された最大閾値や最小閾値の値を設定し直すだけで、そのセルが属するサブ閾値マトリクスの出力特性を変更することができる。これにより閾値マトリクス全体の出力特性も変更が可能となる。もちろん、他のサブ閾値マトリクス内のセルについても、最大閾値や最小閾値の値を設定し直せば、閾値マトリクスの出力特性を更に多様に変更することができる。
【0013】
これに対し、前述したディザマトリクス81では、セル毎に4つの閾値が設定されているため、前記説明した出力特性の変更と同等の出力特性の変更をするには、1つのセル83だけでも、4つの閾値を全て変更する必要がある。なお、セル83に設定する閾値を2つにすれば、変更の手間は請求項1の画像形成方法と同等になるが、これでは、1つのセル83で明・暗の2階調しか表現できないので、1つのディザマトリクス81で表現できる階調数が減少してしまう。
【0014】
この点、請求項1の画像形成方法では、1つのセルに対応して画像形成手段が生成可能な中間階調の数、前記最小閾値、前記最大閾値および前記入力された画像濃度値に応じて出力値を出力するので、故意に階調数を減少させるような最大閾値及び/または最小閾値の設定を行なわない限り、表現できる階調数が減少することがない。
【0015】
しかも出力値を出力するに際し、サブ閾値マトリクス毎に設定されている閾値補正値をも勘案するため、任意の2つのサブ閾値マトリクスについて、閾値補正値を互いに異なる値にしておけば、これら2つのサブ閾値マトリクス間で、異なる出力特性を発揮させることもでき、ひいては、閾値マトリクス全体で表現できる階調数の増大も可能となる。
【0016】
なお、設定された最小閾値が、入力された画像濃度値よりも大きいセルについては、最小閾値の定義により、その画像濃度値を表現するのには用いられない。仮に画像形成手段が、トナーを付着させることによって画像濃度値を表現するものであれば、このセルに関しては「トナーを付着させない」に対応する出力値が発せられる。
【0017】
一方、設定された最大閾値が、入力された画像濃度値よりも小さいセルについては、最大閾値の定義により、そのセルにて表現できる最大の濃度値に対応する出力値が発せられる。
請求項2記載の本発明では、請求項1に記載の画像形成方法において、前記出力値は複数の階調を表す値としている。
【0018】
例えば画像形成手段が、1つの画素で4階調まで出力できるならば、前述のセルにこの4階調を対応させ、サブ閾値マトリクスを16個のセルから構成し、各セルに互いに異なる最大閾値および最小閾値を設定しておけば、このサブ閾値マトリクスだけで64階調を表現可能となる。その際、前述のセル毎には、各セル内の各閾値に対応する各画素位置毎に0、1(OFF、ON)の出力が得られるのでは無く、0、1、2、3、4といった値が出力され、その値に基づいて、画像形成手段の画素出力を制御する。
【0019】
例えば、電子写真方式の画像形成手段では感光体上に潜像を形成するためのレーザビームやLEDの発光時間(或いは強度)を出力値に対応づけて変化させたり、サーマルヘッド方式の場合では、通電時間を変化させたり、インクジェット方式では、吐出するインク量を制御する駆動波形を変化させるパラメータとして、この出力値を利用すれば、処理が容易になる。
【0020】
なお、閾値マトリクスをなす各サブ閾値マトリクスを構成するセル数は、サブ閾値マトリクス毎に異ならせてもよい。この場合には、各サブ閾値マトリクスに対して設定されている閾値補正値の取り扱いを、セル数に応じて異ならせた方が一般に良い。例えば、閾値マトリクス内に、8個のセルからなるサブ閾値マトリクスと24個のセルからなるサブ閾値マトリクスとが存在したとすると、これらそれぞれに対応する閾値補正値は、互いに値を異ならせるだけでなく、取り扱い(例えば、出力値を出力する際の演算式での使用のされ方)を変えた方が良いと考えられる。ところがこうすると、出力値を出力する処理が複雑化し、時間を余分に費やす虞がある。これを防ぐためには、請求項3のようにすると良い。
【0021】
すなわち、請求項3に記載の本発明では、請求項1あるいは請求項2に記載の画像形成方法において、同一なセル数を有する複数のサブ閾値マトリクスで構成し、前記閾値補正値を前記サブ閾値マトリクス毎に相違する値としている。
このようにすると、各サブ閾値マトリクスを構成するセル数を同一としたことにより、前述の閾値補正値を、これら各サブ閾値マトリクス間で同様に取り扱うことができ、これにより、出力値の算出も容易になる。
【0022】
そして、更に閾値補正値をサブ閾値マトリクス毎にすべて異なる値としている。これにより入力された同じ画像濃度値に対して、出力値が異ならせることができ、これにより各サブ閾値マトリクス間の出力特性を変化させることができる。
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の画像形成方法において、1つの前記サブ閾値マトリクス内において、各セルの最小閾値および最大閾値に対する、他のセルの最小閾値および最大閾値の大小関係が、他のいずれの前記サブ閾値マトリクスにおける、大小関係と同一となっていることを特徴とする。
【0023】
これは、サブ閾値マトリクス間で、請求項3において同じにしたセル数だけでなく、最大閾値および最小閾値についても同じにすることを意味する。こうすると、出力値の算出を更に簡易にすることができる。
また、請求項3でサブ閾値マトリクス毎に閾値補正とを異なる値としている結果、請求項4では閾値マトリクス内にあるサブ閾値マトリクスの特性がすべて異なることになり、閾値マトリクスで表現可能な最大数の階調を表現可能となる。
【0024】
しかも、これにより閾値マトリクスの記憶に要する記憶容量を小さくすることができる。
例えば、4つのサブ閾値マトリクス出構成される閾値マトリクスの場合、1つのサブ閾値マトリクスについてのみ最大閾値および最小閾値を記憶し、入力値に対応する画素位置がどのサブ閾値マトリクスの領域であるかを判断し、そのサブ閾値マトリクスの閾値補正値と記憶されているサブ閾値マトリクスと対応づけることで閾値マトリクス全部の領域にわたって処理することが可能となり、閾値を記憶するための記憶容量は4分の1程度にすることができる。
【0025】
この時、各サブ閾値マトリクスに対応して画像形成手段が形成する画像が似通ったパターンとなるため、最終的な出力結果となる画像も規則性のはっきりしたものとなり、好ましいものとなる。
また、請求項5に記載の画像形成方法のように、出力値を決定するに際し、入力値と閾値マトリクスの各セルの最小閾値と最大閾値及びサブ閾値マトリクスの閾値補正値に基づき予め決定しておいた出力値と入力値とを対応付けて記憶したテーブルを参照するようにすると、処理を高速化することができる。
【0026】
請求項6に記載の画像形成方法のように、入力され得る画像濃度値の所定の濃度値範囲における出力値が、他の濃度値範囲における出力値と濃度値変化に対して異なる変化頻度を持つように、少なくとも1つのセルにおける最大閾値と最小閾値との差が他のセルにおける最大閾値と最小閾値との差と等しくならないように設定しても良い。
【0027】
これにより画像形成手段の入力値に対する出力値の特性に応じて、望ましい入出力特性となるように補正したり、人の感覚的な感度の差を補正したりすることができ、望ましい出力結果を得ることができる。
また、請求項7に記載の画像形成方法のように、サブ閾値マトリクス内の各セルの少なくとも最小値が、そのサブ閾値マトリクス内で2つの方向の内の1つの方向に優先的に並ぶように配置しても良い。
【0028】
このようにすると、その方向に隣接する画素が連続的に形成される傾向となり、画像形成手段において、加えられたエネルギー量によって画素や潜像を形成する媒体の反応のばらつきによる画像の乱れが発生しにくくなり、出力値に忠実な階調を表現することができる。
【0029】
これらの媒体としては、例えば、光エネルギーに反応するものや熱エネルギーに反応するもの等があり、電子写真における感光体や、サーマル記録方式での感熱記録紙或いはインクリボン等がある。
ここでレーザビームが走査される方向或いは印字機構を備えたキャリッジが移動する方向であったり、ライン状のLEDやサーマルヘッドが媒体に対して相対的に移動する方向といったような、画素形成にかかわる素子の移動方向や、光ビーム等の走査方向に優先的に並ぶように配置するのがよい。このようにすると、画像形成手段が、駆動時間の長短によって、1画素位置に複数の大きさの画素を形成するような場合、この方向への連続的な画素形成が行ない易いため、好適に利用できる。
【0030】
また、この場合、比較的低濃度の画像濃度値が閾値マトリクスに入力された場合、少なくとも各サブ閾値マトリクスの境界付近に画素が形成されないように各サブ閾値マトリクスのセルの最小閾値を記憶するのがよい。
出力値を出力をするに際し、請求項15に記載の画像形成方法のように、画素位置に対応して入力された画像濃度値が、その画素位置に対応する前記サブ閾値マトリクスのセルの前記最小閾値と前記最大閾値の間にある値である場合は、該セルが属する前記サブ閾値マトリクスに対して設定された前記閾値補正値、該1つのセルに対応して前記画像形成手段が生成可能な中間階調の数、前記入力された画像濃度値と前記最小閾値との差、前記最大閾値と最小閾値との差、および前記サブ閾値マトリクスの個数に基づいて、前記入力された画像濃度値に対応する前記出力値を出力してもよい。
上述した画像形成方法を、画像形成装置として実現することは当然可能である。
【0031】
例えば、入力された画像濃度値に対応するサブ閾値マトリクスのセルの最小閾値と最大閾値と、閾値補正値に基づき、前述の比較手順を行なうことによって、画像濃度信号を表現する出力値を出力する画像濃度信号出力手段を備えさせておき、前述のように、閾値マトリクスやサブ閾値マトリクスを予め設定しておくことにより、実現できる。
【0032】
尚、このような画像形成方法を実行する機能、あるいは、このような画像形成装置の各手段をコンピュータシステムにて実現することもできる(この場合のコンピュータは、外部装置ではなく、当該画像形成方法あるいは画像形成装置が備えるマイクロプロセッサ、記憶素子などで構成されるものである)。
【0033】
このようなプログラムの場合、例えば、フロッピーディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0034】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
以下に本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
まず、図1は本発明を適用したレーザプリンタ1の内部を示す概略構成図である。本図に示すようにスキャナユニット3と、現像器を有するトナーカートリッジ5と、感光ドラム7と、転写ドラム9と、放電器11と、転写ユニット13と、融着ユニット15とを主要部として構成されている。トナーカートリッジ5は、CMYKの各色毎にそれぞれ設けられており、1色毎に感光ドラム7に潜像が形成された後、これらのトナーカートリッジ内の現像器によってトナーが感光ドラム7上に付着される。付着されたトナーは、一度転写ドラム9に転写され、必要な色についてこの動作が繰り返され、転写ドラム9上に複数のトナーが付着される。
【0035】
用紙カセット17の紙は、ピックアップローラ19により取り出され、位置決めローラ21にて送り量が制御されつつ転写ローラ23にて転写ドラム9に押しつけられ、放電器11にてトナーが転写され、融着ユニット15にて加熱されることによりトナーが表面に固定される。
【0036】
このトナーが固定された箇所が画像の中の濃度の高い部分となる。この箇所は、コンピュータなどの外部装置から入力された画像データに基づき、スキャナユニット3がレーザ光を感光ドラム7に走査することにより、指定される。また、濃度は、レーザ光を点灯する時間に応じて表現される。すなわち、濃度が高い箇所は所定領域に対して長い間、レーザ光が照射される。尚25は、転写ドラム9に残存したトナーを除去するドラムクリーナである。
【0037】
外部から入力された画像データの濃度に応じたディザパターンを発生させる処理は制御装置27にて行なわれる。
制御装置27について、図2のブロック構成図を用いて説明する。制御装置27は、ビデオコントローラ31と、エンジンコントローラ35を主要部として構成されている。更に、エンジンコントローラ35は、ビデオコントローラI/F37と、ROM39と、RAM41と、レーザ装置43を制御するためのレーザコントローラ45と、I/Oコントローラ47と、CPU49と、これら各部を結ぶバス50を備えたコンピュータシステムとして構成されている。
【0038】
I/Oコントローラ47には、感光ドラム7を回転させるメインモータ51、トナー供給用モータ53、レーザ光を走査する多面鏡(図示しない)を回転させるためのスキャナモータ55、各種センサ57が接続されている。
レーザ光の照射は、CPU49が、ビデオコントローラI/F37を介してビデオコントローラ31から受け取るデータに基づき、レーザコントローラ45に指令を発してレーザ光をPWM(パルス幅変調)制御することにより、感光ドラム7の所望の位置に為される。
【0039】
ビデオコントローラ31の内部を図3に示す。ビデオコントローラ31は、エンジンコントローラ35との間でデータの授受を行なうエンジンI/F61と、後述するように、種々のトナー付着量が得られるように、階調値に基づいてレーザ光に種々のパルス幅変調を加える回路を含むビデオコントロール用の専用IC(図3ではASICと表記)63と、パーソナルコンピュータなどとデータの送受信を行なう外部I/F65と、RAM67と、ROM69と、CPU71と、バス73とを備えたコンピュータシステムとして構成されている。端子74、75、77のいずれかを介して外部から受け取った画像データをRAM67に一旦保存し、ROM69に予め格納されているディザ発生のプログラムをCPU71が実行し、エンジンI/F61を介してエンジンコントローラ35に送信することによりプリントエンジン79を駆動する。尚、プリントエンジン79は、プロセスや紙送り機構等も含んでいる。
【0040】
ここで、ディザ発生に用いられる閾値マトリクス91を図4(a)に示す。本図に示すように閾値マトリクス91は、縦横各2個、計4個のサブ閾値マトリクスからなり、各サブ閾値マトリクスは、縦横各4個、計16個のセルから成り立っている。各セルには、最小閾値95、最大閾値97、閾値補正値99が設定されている。つまり、1つのセル当たり3つの値が閾値マトリクスの設定値として、ROM39或いはRAM41に記憶されている。最小閾値95は、そのセルに対応する位置にトナーが付着される入力信号の濃度(以下、入力値という)の最小値であり、最大閾値97は、閾値マトリクスを構成する4つのサブ閾値マトリクスにおいて、そのセルに対応する各サブマトリクス内の計4個のセルの全てに最大量のトナーが付着される入力値の最小値である。例えば、セル93では最小閾値95が0となっているから、入力値が1となったらトナーが付着される。そして最大閾値97が16となっているから入力値が16となったら、セル93と、セル93が属さない他の3つのサブ閾値マトリクス毎に同位置の1個のセル、つまり計4個のセルに最大量のトナーが付着される。
【0041】
尚、トナーの量は、レーザプリンタ1では、感光ドラム7においてレーザ光が照射される部分の長さに対応し、レーザ光の点灯時間に対応する。
そして最小閾値95および最大閾値97は、1つのサブ閾値マトリクス内では他のセルの最小閾値95および最大閾値97とそれぞれ全て異なる値に設定されているが、各サブ閾値マトリクスの同位置については共通にされてる。入力値を徐々に上げていくと、トナーが付着される量が増えていくが、そのとき、4つのサブ閾値マトリクスは、いずれも同じ順序でトナーの付着箇所を増やしていく。1つのサブ閾値マトリクスについて、この順序を示したのが図4(b)である。
【0042】
このようにサブ閾値マトリクスで処理されるような小さな領域毎に所定の規則性を持って階調処理(画素形成)が行なわれると、最終的に出力された画像についても、見た目に乱雑さが少なく感じられ好感が持ちやすい。
尚、図4(b)に示すように、以下では、左右方向をA、B、C、Dで表し、上下方向を1、2、3、4で表す。この表記によれば、セル93は、左上のサブ閾値マトリクスのセルA1と表すことができる。ここで、この左右方向は、レーザの走査方向(主走査方向)に一致しており、上下方向は用紙の搬送方向に一致している。一般的には、閾値マトリクスは処理が進められる方向(例えば主走査方向)と、所定の角度を持つように周期的に利用されることが多い。ここでは、まず、説明を分かり易くする為に、角度を持たないもので例示し、角度を持ったものについては後述する。
【0043】
一方、閾値補正値99は、1つのサブ閾値マトリクス内では同一であり、サブ閾値マトリクス毎に異なる値に設定されている。具体的には、左上のサブ閾値マトリクスが0、右上のサブ閾値マトリクスが1、右下のサブ閾値マトリクスが2、左下のサブ閾値マトリクスが3となっている。以下、この閾値補正値99の値に因んで、4つのサブ閾値マトリクスを、それぞれ、マトリクス0、マトリクス1、マトリクス2、マトリクス3と呼ぶことにする。
【0044】
尚、レーザプリンタ1は、4色のトナーを用いたカラー印刷を行なうことがでその為に、制御装置27には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色についてそれぞれ閾値マトリクスが設定されているが、ここではその内の1色について処理を示す。
【0045】
閾値マトリクス91を用いて、CPU71が、入力値に対応する出力値を決定する処理のフローチャートを図5に示す。この処理は、レーザプリンタ1に対して外部装置から画像データを印刷する旨の指示があり、画像データが外部I/Fに入力されることにより起動される。尚、図5には、1つのセルについての処理しか示されていないが、実際には、入力される画像データの画素位置に応じて閾値マトリクス91の各セルが繰り返し使用され、画像データで示された画像領域全体について同様に処理される。
【0046】
本処理が起動されると、まずステップ(以下、Sと記す)10にて外部装置から送られてきた入力値と、その入力値を持つ画素位置であり、今回の処理で出力値を算出する閾値マトリクス91のセルの位置とを対応させる座標値を取得する。
【0047】
そして、S20にて、その座標値に基づき、対応する閾値マトリクス91のセルを特定する。これは、例えば、図6(a)のようなマトリクスを周期的に用いて、画像領域全体に渡って仮想的に画素位置と閾値マトリクスのセルを対応させることによって行なう。セルが特定されるとそのセルに対応づけて記憶されている最小閾値95、最大閾値97および閾値補正値99を取得する。例えば、今回処理を行なうセルがマトリクス1のセルA1とすると、最小閾値95が0、最大閾値97が16、閾値補正値99が0となる。
【0048】
そしてS30にて入力値と最大閾値97とを比較する。入力値の方が大きければ、S40に進み、出力値を4にセットして終了する。尚、出力値4は、そのセルに対応する位置に最大量のトナーを付着することに対応し、出力値が0の場合は、トナーを全く付着させないことに対応する。
【0049】
一方、入力値が最大閾値97より小さいとき(S30でNO)は、S50に進み、入力値と最小閾値95とを比較する。入力値の方が最小閾値よりも小さければ、S60に進み、出力値を0に設定して終了する。
入力値が最小閾値95と最大閾値97の間にあると判断された場合(S50でNO)は、S70に進んで、[数1]に示す式による階調値算出をプログラム手順化した処理により、出力値(階調値)を得る。
【0050】
【数1】
Figure 0003580131
【0051】
ここでINTは、「小数点以下の切り捨て」を表す。また、階調数は、画像形成手段であるレーザプリンタ1において、1つのセルに対応して表現できる階調の数(ここでは4)であり、例えば、PWM(パルス幅変調)のパルス幅を大きくしたり小さくしたりすることで実現する。また、matrixNoは、ここでは閾値補正値に対応するものとして示す。更に、maxは最大閾値97を、minは最小閾値95に対応し、閾値マトリクス91においてはこのmax−min(閾値幅)は一定(具体的には16)であり、サブ閾値マトリクスの個数([数1]では submatrix個数と表記)は4であるから、[数1]は[数2]のようにも表現できる。
【0052】
【数2】
Figure 0003580131
【0053】
つまり、各セルの閾値幅及び階調数が一定であるという条件が設定できれば、S70の処理は、この[数2]で例示されるような簡略化された式を実現するように簡略化されたプログラム手順であってもよい。実際にセル93′つまりマトリクス0のセルA3に関して、この手順に基づいて得られる出力値は、 min=112、maxtixNo=0として処理され、[数3]で示されるような処理が行なわれる。
【0054】
【数3】
Figure 0003580131
【0055】
例えば、入力値が120であれば、階調値はINT(2.75)、すなわち、2が出力され、RAM41に記憶する。このようにして階調値が出力されると本処理を終了する。
その後、順次、入力値に基づきS10からの処理を繰り返す。そして、少なくとも主走査方向の1ライン分の出力値が得られたら、この出力値を順番にRAM41から読み出しレーザコントローラ45に入力し、その出力値に合ったPWM制御信号に変換してエンジンコントローラ35に出力する。エンジンコントローラ35では、そのPWM制御信号に基づいてレーザ光を変調し、感光体ドラム7への潜像形成等の画像形成処理を行なう。
【0056】
ここで、閾値補正値99は、必ずしもmatrixNoに対応するものとして設定する必要は無く、マトリクス毎の所定の値を持つようにすればよく、[数1]におけるINT内の右項が閾値補正値99であると考えても良い。同じサブ閾値マトリクスから構成された閾値マトリクスであっても、この閾値補正値99の設定の仕方によって、いろんな変形を容易に施すことができる。本実施の形態においては、サブ閾値マトリクスに0から3の閾値補正値99を所定の回転方向(マトリクス0から右回り)に与えることで、閾値マトリクス91全体としては、濃度があがるにつれて、右回りの規則性を持って階調出力が変化して行くようにし、細かな画像領域において規則的な階調パターンが得られるようにしている。
【0057】
また、別の表現をすれば、この閾値補正値99は、入力値に対してステップ関数的に出力される階調値を基本とした時に、それに対して入力値の変化方向に与えられる出力の遅延の度合いとも言える。すなわち、[数1]においては、INT内の左項がステップ関数の基本で、matrixNoを含んだ右項が遅延の度合いと見なせる。すなわち、この閾値補正値99によって、各サブ閾値マトリクスでの入力値に対する出力の遅延度合いも容易に設定することができる。
【0058】
また更に、閾値マトリクス内でのサブ閾値マトリクス毎への閾値補正値99の設定順(大小の順)を変更すれば、細かな画像領域において、異なる規則性を与えることができ、画像の種類等に応じて使い分けることも容易になる。この変更の方法としては、例えば、[数1]に基づく出力値算出処理において、S20で得られた閾値補正値に相当するmatrixNoを変更する処理を追加してから本来の算出処理を行なうようにすれば良い。4つのmatrixNoを相互に入れ換えたり、或いは、ランダムに変更したりすること等がある。
【0059】
このことは、カラー画像データを印刷する場合に効果的になる。カラー印刷では、各色のインクの重なり具合によって、色がくすんだり鮮やかになったりする。一般的にインクの濃度の低い時は、各色を重ならないように配置した方が良い場合がある。本発明においては、このような配置を変更する処理を、各色に同一のサブ閾値マトリクスを用意し、閾値補正値99を各色毎に異ならせることだけで実現できる。例えば、図6(a)左上のサブ閾値マトリクスから右回りに、シアン(C)はmatrixNoを0、1、2、3と設定し、マゼンタ(M)は、3、2、1、0、イエロー(Y)は1、0、3、2、ブラック(K)は、2、3、0、1のように設定すると、各色について閾値マトリクス91全体としては同様な階調特性を持ちながらも、同一位置に関して、同じ程度の入力値が与えられた場合、それぞれの色で入力値に対する出力特性に多少の遅延が出て、インクが重ならないようになる確率を高められる。
【0060】
このように、設定を色毎に変えるには、例えば、ブラックを基本とすると、ROM39にブラック(K)の閾値等を記憶しておき、ブラック以外の色に関する処理の場合は、記憶された閾値を読み出す処理(S20)において、閾値補正値99を、上記のmatrixNoの順番と対応づける処理を行ない、[数1]等の処理への入力としてのmatrixNoを変更すればよい。あるいは、色毎の処理に先だって、基本となるブラックの閾値に基づいて、上記のようにmatrixNoを変更した閾値をRAM41上に記憶し直す処理を行ない、S20の処理においては、そのRAM41に記憶された閾値を読み出すようにしても良い。
【0061】
また、本発明によれば、閾値マトリクスを記憶する為の記憶容量に関しても、図6(b)に示すようなセルあたり4個の閾値を記憶するものに比べて、閾値マトリクスのサイズ(含まれるセルの数)が大きくなればなるほど、RAMやROMといった記憶手段への負担が抑えられる。また、画像形成手段の画素形成の精度が向上して、1画素あたりの階調数が更に高くなった場合に対応して、セルあたりの階調数を増加させたい場合でも、従来のものでは、増加した分、例えば、8階調になれば、8個の閾値を記憶しなければならないが、本発明では、セルあたり3つの値(最小閾値95、最大閾値97および閾値補正値99)を記憶すればよいため、記憶手段の負荷が増加しないという効果がある。また、各セルに割り当てられた最小閾値95と最大閾値97は、4つのサブ閾値マトリクスで共通であるため、このサブ閾値マトリクスのサイズ分だけの閾値組を記憶し、閾値補正値99は画素位置との関連で別途記憶してもよい。すなわち、S20にて、入力値に対応する閾値マトリクス91のセルを特定する為の座標値が入力されたとき、その座標値に基づいて閾値マトリクス91の各セル位置と対応づけて記憶された閾値補正値99を読み出し、さらに、閾値マトリクス内でのサブ閾値マトリクスの周期性に基づいて、座標値からサブ閾値マトリクス内でのセルを特定し、そのセルに対応付けて記憶された最小閾値95と最大閾値97を読み出し、S30の処理に移行するようにすればよい。これにより、更に記憶手段の負荷を抑制できる。
また、上記の実施の形態の閾値マトリクス91では、サブ閾値マトリクスは同じサイズでしかも各セルに設定された最小閾値と最大閾値の大きさが変化する順が全てのサブ閾値マトリクスで同一のものを例示したが、それに限られる訳ではない。たとえば、図7に示すような、最小閾値95と最大閾値97の大きさが変化する順番(図中のマトリクス内に示す数字)が異なる2つのサブ閾値マトリクスを用いた閾値マトリクス101であってもよい。この閾値マトリクス101においても、各サブ閾値マトリクス毎に閾値補正値99が設定され、この閾値マトリクス101でも上述の実施の形態と同様に処理できる。この場合、入力値が低い濃度範囲において、閾値マトリクス101の中央の各サブ閾値マトリクスの境界付近に優先的に画素が形成される。この閾値マトリクス101を周期的に用いるため、最終的に出力される画像全体として、主走査方向に垂直な方向に微細な周期で線状のパターンが出力される傾向が出てくる。このように、線状に階調パターンが生成されると紙送り機構のばらつき等で発生する出力の乱れを目立ちにくくする効果がある。そして、各色でこの線状のパターンが発生する位置をずらすと効果も大きい。本発明の場合、このような効果を出すために、閾値マトリクスを色毎に設定する場合でも、記憶手段の負荷増加の割合が少ないので対応し易い。
【0062】
また、図8には、角度を持った閾値マトリクス111を例示する。各セルの位置に示された数字は、そのサブ閾値マトリクス内での最小閾値の大きくなっていく順番を示し、MX0からMX3は前述のマトリクス0からマトリクス3と同様な意味である。このような角度を持ったものでも、上述と同様に処理することができる。ただし、画像領域全体に渡って周期的な処理が容易にできるように、入力値に対応する閾値マトリクスのセルを特定するためのマトリクスとしては、図6(a)に示すように、閾値マトリクスと同じサイズではなく、2方向に渡って最小の繰り返し周期が得られるようにしてあるため、複数の同一のサブ閾値マトリクスを含むものとなっている。
【0063】
また、レーザプリンタ1がどの程度の階調数を表現できるかは、レーザ光の波長や、強度、感光ドラムの感光特性、トナーの材質や粒径等の種々な物理的特性や、用紙搬送系の精度等によって制限されるので、出力値とパルス幅が直線的に対応する訳では無い。例えば、レーザ光を出力するためにレーザダイオードにON信号を入力しても感光ドラム7上に潜像を形成できる強度になるまでに時間がかかり、パルス幅変調でのON時間が短すぎると、その強度に達する前にOFFされることになったり、感光ドラム7のレーザ光に対する反応性も照射時間に直線的に比例する訳ではなく、照射時間が短いと反応性のばらつきも発生し易い。つまり、出力値4を実現するために出力値1相当のパルス幅の画素を4個並べたものと、出力値1相当のパルス幅を4倍したパルス幅で画素を1つ形成するのでは最終的な濃度が異なってくる。
【0064】
そのため、本発明のレーザプリンタ1においては、出力したい画像濃度を得る為に、出力値に応じて適切に設定されたパルス幅を選択して使用できるようにこの閾値マトリクスから出力値に予め最適化したパルス幅(或は、パルス幅変調パターン)を記憶しておく。そして、出力値は、この最適化されたパルス幅変調パターンを選択する指標とする。
【0065】
更に、閾値マトリクス91は、入力値の増大に応じて、セルがA1からC1へ、A2からC2へ、A3からC3へと主走査方向に沿って優先的に画素が伸びるように、最小閾値95と最大閾値97が設定されている。これにより、上記の出力のばらつきを抑制することができ、解像度的にも高精細に感じられるようになる。このとき、出力値が階調数(0、1、2、3、4)として出てくるので、従来のように、位置毎のON/OFF情報を得るものに比べて、そのまま駆動時間等に反映できるため、この主走査方向に優先的に配置するといった処理に適する。
【0066】
ここで、主走査方向で駆動時間の長短で階調出力ができるものとしては、本発明のレーザプリンタの他に、サーマルヘッドをキャリッジに載せた形態のものや、記録媒体を横断するようにライン状にサーマルヘッドを設けたものや、ライン状のLED等の光源で感光ドラムに潜像を形成するものがあり、それらにおいても同様な効果が得られる。ただし、この配列方向や駆動時間の長短の方向といった上記の主走査方向に対応する方向としては、ライン状の画像形成手段と垂直な方向となる。
【0067】
また、感光ドラム上の近接した位置に潜像を形成すると、それを現像してトナーを付着させた場合、その近接した位置の間には、潜像が形成されていないにもかかわらず、トナーが付着してしまい実際よりも濃度が濃くなってしまう現象(ブリッジ)が発生し、階調が忠実に再現されないといった問題が発生する。それに対して、閾値マトリクス91では、他のサブ閾値マトリクスと接するD1からD3については、入力値が144以上にならないとトナーが付着されず、特にA4、B4、C4、D4については192以上にならないと付着されないように各閾値が設定されている。また、図8に示す閾値マトリクス111でも、入力値が最高濃度の50%付近までは、01〜16で示されるセルにおいてトナーが付着され、サブ閾値マトリクスの境界では付着されない。このようにして、ブリッジ現象を抑制している。高濃度になれば、各サブ閾値マトリクスで形成される画素が連続する箇所が増加し、ブリッジが発生し易くなるが、人の感覚では、低濃度の時ほど敏感にその差異が感じ取れないので問題は少ない。
[実施の形態2]
[数1]にて表された式に基づいて入力値と出力値の関係を予めテーブル化しておき、このテーブルを参照することにより出力値を定めてもよい。このテーブルの一部を[表1]に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0003580131
【0069】
[表1]は、図4(b)に示した順序にセル(この表ではdot と表記)を上から下へ並べ、更に各セル毎に、入力値に応じて、各サブ閾値マトリクスにおける同位置のセルが出力する出力値を示している。[表1]には示していないが、テーブルの最後の部分は最も大きな最小閾値を持つセルD4に関して、各サブ閾値マトリクスが出力する出力値となる。尚、この表ではマトリクス3を matrix3というように表記している。そして、図5のフローチャートのS70の「式より出力値を算出」するのに代えて、このテーブルを参照する処理を行なう。つまり、S10、S20でそれぞれ得た入力値とmatrixNoに基づいてこのテーブルに記憶された出力値を読み出す処理を行なう。
【0070】
例えば、入力値が9のとき、その画素位置が、 matrix3のセルA1であれば出力値は2であり、matrix2のセルA1ならば2、matrix1のセルA1ならば2、matrix0のセルA1ならば3となる。
これにより、S70の演算が不要となるので、高速化が図れる。
【0071】
[その他]
以上、本発明を適用した実施の形態について説明してきたが、本発明はこうした形態に何等限定されるものではなく様々な形態で実施しうる。
例えば、閾値マトリクス91や[表1]で示すテーブルでは、全てのセルにおいて、最小閾値95と最大閾値97の差が16になるように割り振っているが、不均一にしてもよい。このようにすると、[数1]のINT内の左項からも分かるように、階調数が画像形成手段の能力に制限されて一定値となる時、左項の分母(max−min)によって、出力値としての階調値の変化する頻度が変えられる。つまり、セル毎に入力濃度範囲の内の所定濃度範囲での出力変化を受け持つ時(この範囲外では、最大階調値の出力であるか、出力値が0であるかのいずれか)、最大閾値と最小閾値の設定を広く設定したり、狭く設定したりすることにより、その最大閾値と最小閾値で決まる濃度範囲において、入力値に対する出力値の変化の頻度を粗にしたり密にしたりできる。
【0072】
例えば、人の感覚的に鈍い濃度領域については、出力値の変化頻度を少なくするように、各セルの最小閾値95と最大閾値97の差を大きくし、入力される濃度値が大きく変化しないと出力値が変化するようにし、敏感な濃度領域については逆に、最小閾値95と最大閾値97の差を小さくして、入力される濃度値の変化に対して出力値がすぐに変化するように出力値の変化頻度を多くする。また、画像形成手段の出力特性によっては、入力値が大きく変化しないと実際の出力結果に変化が見られなかったり、逆に、少し入力値が変化しただけでも大きく出力結果が異なる出力特性を持つものもある。この場合も、入力値に対する出力結果の変化が少ない領域では、上記の、人の感覚的に鈍い領域と同様に対処して、入力値と出力結果を望ましい対応関係に補正する、いわゆるガンマ補正が行なえる。例えば、閾値マトリクス91で、濃度の低い部分のセルA1と高い部分のD4については、最小閾値95と最大閾値97の差を64とし、中間濃度付近のセルC2やセルB3ではその差を8に設定する。こうすると、例えばセルA1では、入力値が8変化しないと出力値が1変化しないのに対して、セルC2では入力値が2変化すれば、出力値が1変化するようにできるわけである。
【0073】
また、[数1]における階調数を所定濃度範囲を受け持つセルにおいて画像形成手段の能力以下(例えば、実施の形態1において4のところを3にする)に設定するようにしてもよい。例えば、濃度値の高い範囲を受け持つセルや、低い範囲を受け持つセルでは、本来の階調数よりも低い階調数で出力値を算出する。これにより、この濃度範囲においては出力濃度を低下させることができ、画像形成手段の特性によっては入出力特性を改善することが可能になる。[表1]で説明すれば、セルA1では各マトリクス(matrix0、matrix1、matrix2 )の出力値は0から4となっているが、0から3に制限されることを意味する。
【0074】
尚、最大閾値と最小閾値の幅を異ならせることと、階調数を制限することを併用すれば、さらに細かな入出力特性の改善を行なえる。
また、閾値マトリクスを構成するサブ閾値マトリクスの数は実施の形態で示した4に限定される訳ではなく、周期的な処理に利用できる形態の閾値マトリクスとして構成できる数であればどのような数でも有効である。
【0075】
さらに、各基本となるサブ閾値マトリクスのサイズ(セル数)に関しても、全て同一である必要はない。これも周期的な処理に利用できる形態に構成できれば有効である。
その他、パーソナルコンピュータ(PC)等で図5に示すような画像処理を行ない、その出力結果をPCに接続されたプリンタに出力する形態や、プリンタに限らず、イメージリーダ等で化像を読み込んで処理する複写機やファクシミリ、あるいは画像表示装置等に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたレーザプリンタ1の内部を示す概略構成図である。
【図2】制御装置27の概略を示すブロック構成図である。
【図3】ビデオコントローラ31の概略を示すブロック構成図である。
【図4】レーザプリンタ1において用いられる閾値マトリクス91の説明図である。
【図5】ビデオコントローラ31のCPU71にて実行されるディザ発生処理を示すフローチャートである。
【図6】従来の技術において用いられていたディザマトリクスの一例である。
【図7】最小閾値95の大きさが変化する順番が互いに異なる2つのサブ閾値マトリクスを用いた閾値マトリクス101の説明図である。
【図8】角度を持った閾値マトリクス111の説明図である。
【符号の説明】
1…レーザプリンタ
0、1、2、3…マトリクス (サブ閾値マトリクス)
3…スキャナユニット
5…トナーカートリッジ 7…感光ドラム
9…転写ドラム 11…放電器
13…転写ユニット 15…融着ユニット
27…制御装置 31…ビデオコントローラ
35…エンジンコントローラ
37…ビデオコントローラI/F
43…レーザ装置 45…レーザコントローラ
47…I/Oコントローラ 50、73…バス
61…エンジンI/F 65…外部I/F
79…プリントエンジン
81…ディザマトリクス
83、93、A1〜A4、B1〜B4、
C1〜C4、D1〜D4…セル
91、101、111…閾値マトリクス
95…最小閾値 97…最大閾値
99…閾値補正値

Claims (18)

  1. 画素位置に対応し、所定の閾値が設定された複数のセルを有するサブ閾値マトリクスを複数組み合せることで閾値マトリクスを構成し、入力される画素位置に対応した画像濃度値とこの閾値マトリクスを2つの方向に渡って周期的に比較することにより得られる出力値に基づき画像形成手段によって中間調画像を生成する画像形成方法であって、
    前記各セルごとに、入力された画像濃度値を表現するのに当該セルが用いられる画像濃度値の最小値に対応する最小閾値と、入力された画像濃度値を表現するのに当該セルに対応して前記画像形成手段が最大階調の画素を生成する画像濃度値の最小値に対応する最大閾値と、を設定し、
    前記出力値の出力特性を決定するために前記サブ閾値マトリクスごとに閾値補正値を設定し、
    前記出力値を出力するに際し、画素位置に対応して入力された画像濃度値が、その画素位置に対応する前記サブ閾値マトリクスのセルの前記最小閾値と前記最大閾値の間にある値である場合は、該セルが属する前記サブ閾値マトリクスに対して設定された前記閾値補正値、該1つのセルに対応して前記画像形成手段が生成可能な中間階調の数、前記最小閾値、前記最大閾値および前記入力された画像濃度値に基づいて、前記入力された画像濃度値に対応する前記出力値を出力することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記出力値は複数の階調を表す値であることを特徴とする
    請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記閾値マトリクスを同一なセル数を有する複数のサブ閾値マトリクスで構成し、前記閾値補正値を前記サブ閾値マトリクス毎に相違する値としたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 1つの前記サブ閾値マトリクス内において、各セルの最小閾値および最大閾値に対する、他のセルの最小閾値および最大閾値の大小関係が、
    他のいずれの前記サブ閾値マトリクスにおける、大小関係と同一となっていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
  5. 前記比較手順は、入力される画像濃度値と前記閾値マトリクスの各セルの最小閾値と最大閾値及び前記サブ閾値マトリクスの前記閾値補正値に基づき予め出力値を決定し、画像濃度値と対応付けて記憶したテーブルを参照する手順であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 前記閾値マトリクスは、入力される画像濃度値の所定の濃度範囲における出力値が、他の濃度範囲の出力値と異なる変化頻度を持つように、少なくとも1つのセルにおける最大閾値と最小閾値との差が他のセルにおける最大閾値と最小閾値との差と等しくならないように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 前記サブ閾値マトリクス内の各セルの少なくとも最小閾値が、そのサブ閾値マトリクス内で前記2つの方向の内の1つの方向に優先的に並ぶように配置したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 画素位置に対応し、所定の閾値が設定された複数のセルを有するサブ閾値マトリクスを複数組み合せることで閾値マトリクスを構成し、入力される画素位置に対応した画像濃度値とこの閾値マトリクスを2つの方向に渡って周期的に比較することにより得られる出力値に基づき画像形成手段によって中間調画像を生成する画像形成装置であって、
    前記サブ閾値マトリクス
    前記各セルごとに、入力された画像濃度値を表現するのに当該セルが用いられる画像濃度値の最小値に対応する最小閾値と、入力された画像濃度値を表現するのに当該セルに対応して前記画像形成手段が最大階調の画素を生成する画像濃度値の最小値に対応する最大閾値と、が設定されるとともに
    前記出力値の出力特性を決定するために前記サブ閾値マトリクスごとに閾値補正値を設定されたものであり、
    前記出力値を出力するに際し、画素位置に対応して入力された画像濃度値が、その画素位置に対応する前記サブ閾値マトリクスのセルの前記最小閾値と前記最大閾値の間にある値である場合は、該セルが属する前記サブ閾値マトリクスに対して設定された前記閾値補正値、該1つのセルに対応して前記画像形成手段が生成可能な中間階調の数、前記最小閾値、前記最大閾値および前記入力された画像濃度値に基づいて、前記入力された画像濃度値に対応する前記出力値を出力する画像形成画像濃度信号出力手段
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 前記出力値は複数の階調を表す値であることを特徴とする
    請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記閾値マトリクスを同一なセル数を有する複数のサブ閾値マトリクスで構成し、前記閾値補正値を前記サブ閾値マトリクス毎に相違する値としたことを特徴とする請求項8あるいは請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 1つの前記サブ閾値マトリクス内において、各セルの最小閾値および最大閾値に対する、他のセルの最小閾値および最大閾値の大小関係が、
    他のいずれの前記サブ閾値マトリクスにおける、大小関係と同一となっていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記比較手順は、入力される画像濃度値と前記閾値マトリクスの各セルの最小閾値と最大閾値及び前記サブ閾値マトリクスの前記閾値補正値に基づき予め出力値を決定し、画像濃度値と対応付けて記憶したテーブルを参照する手順であることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記閾値マトリクスは、入力される画像濃度値の所定の濃度範囲における出力値が、他の濃度範囲の出力値と異なる変化頻度を持つように、少なくとも1つのセルにおける最大閾値と最小閾値との差が他のセルにおける最大閾値と最小閾値との差と等しくならないように設定されていることを特徴とする請求項8から請求項12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 前記サブ閾値マトリクス内の各セルの少なくとも最小閾値が、そのサブ閾値マトリクス内で前記2つの方向の内の1つの方向に優先的に並ぶように配置したことを特徴とする請求項8から請求項13のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 前記出力値を出力するに際し、画素位置に対応して入力された画像濃度値が、その画素位置に対応する前記サブ閾値マトリクスのセルの前記最小閾値と前記最大閾値の間にある値である場合は、該セルが属する前記サブ閾値マトリクスに対して設定された前記閾値補正値、該1つのセルに対応して前記画像形成手段が生成可能な中間階調の数、前記入力された画像濃度値と前記最小閾値との差、前記最大閾値と最小閾値との差、および前記サブ閾値マトリクスの個数に基づいて、前記入力された画像濃度値に対応する前記出力値を出力することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成方法。
  16. 前記画像形成画像濃度信号出力手段は、前記出力値を出力するに際し、画素位置に対応して入力された画像濃度値が、その画素位置に対応する前記サブ閾値マトリクスのセルの前記最小閾値と前記最大閾値の間にある値である場合は、該セルが属する前記サブ閾値マトリクスに対して設定された前記閾値補正値、該1つのセルに対応して前記画像形成手段が生成可能な中間階調の数、前記入力された画像濃度値と前記最小閾値との差、前記最大閾値と最小閾値との差、および前記サブ閾値マトリクスの個数に基づいて、前記入力された画像濃度値に対応する前記出力値を出力することを特徴とする請求項8から請求項14のいずれかに記載の画像形成装置。
  17. 請求項1〜7及び請求項15のいずれか記載の画像形成方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  18. 請求項8〜14及び請求項16のいずれか記載の画像形成装置の各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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