JP3579115B2 - カラー電子写真方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、カラープリンタ、カラー複写機やカラーファックス等に応用できるカラー電子写真方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例として、発明者らが特開平7−36246号公報に出願したカラー電子写真装置を用いてその構成を説明する。図7はその従来例のカラー電子写真装置の全体構成図である。
【0003】
中央に黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色用の4組の扇型をした像形成ユニット101Bk、101C、101M、101Yが像形成ユニット群を構成し、円環状に配置されている。102は感光体、103は帯電器、104は現像剤溜、105はクリーナ、106は現像ローラである。円環状に配置されている像形成ユニット101Bk、101C、101M、101Yは支持体(図示せず)に支持されており、全体として移動手段である移動モータ107に駆動され、円筒状の固定されて回転しない軸108の周りに回転移動可能になっている。各像形成ユニットは、順次、中間転写ベルト109を支持する転写ローラ110に対向した像形成位置111に位置することができる。像形成位置111は信号光112による露光位置でもある。113はレーザ露光装置で、プリンタ部に入力された信号で変調されたレーザビームによる信号光112を発生するが、これは図7の像形成ユニット101Mと101Yの間に構成された光路を通って、軸108の一部に開けられた窓114aを通して軸108内部に固定されたミラー115に入射し、反射されて窓114bを通して像形成位置111にある像形成ユニットの感光体102に照射され潜像を形成する。図7の状態では黒用の像形成ユニット101Bkに作用する。
【0004】
次に、この装置のカラー像形成時の動作を説明する。まず最初は、像形成ユニットは図7に示すように、黒用の像形成ユニット101Bkが像形成位置111にある。レーザ露光装置113により黒の信号光が像形成ユニット101Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われる。像形成されるとともに同時に転写ローラ110の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト109に転写される。黒のトナー像がすべて転写し終わった直後に、像形成ユニット群101Bk、101C、101M、101Yは全体が移動モータ107に駆動されて一体的に回転移動し、ちょうど90度回転して像形成ユニット101Cが像形成位置近傍111に達した位置で止まる。像形成ユニット101Cが像形成位置111に到着後、前と同様に今度はシアンの信号でレーザ露光装置が像形成ユニット101Cに信号光を入力しシアンのトナー像の形成と転写が行われる。このとき中間転写ベルト109が一回転してきて、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するようにシアンの信号光の書き込みのタイミングが制御される。以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い中間転写ベルト上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成される。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて受像紙116に、第2転写ローラ117の作用で一括転写される。受像紙に転写されたトナー像は定着器118により定着される。
【0005】
以上が従来例の構成と動作の簡単な説明である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この従来例では、像形成ユニット101が像形成位置111に到着した後、感光体102が像形成のための回転を開始し、そのときから帯電器103により感光体102の帯電を始める。このときの各像形成ユニット101の感光体の表面位置と、帯電器などの各デバイスとの位置関係を図2に、そのときの感光体の各位置での帯電電位を図3に示す。図2において、119はコロナ帯電器、120は感光体(図7の102と同一)、121はレーザ信号による露光(図7の112と同一)、122は現像器、123は2成分磁気ブラシ現像剤、124は現像剤を担持する現像スリーブ、125は現像剤123を現像スリーブに吸引する磁石ローラ、126は現像スリーブ124上の現像剤123の量を規制するブレード、127は感光体120上に転写後残留したトナーを清掃するクリーナである。なお、ここでの帯電器には図7に用いた帯電ローラ103の代わりにコロナ帯電器119を用いた場合を説明する。この従来例の問題点は、コロナ帯電器を用いた場合でも帯電ローラを用いた場合と何等変わることはない。
【0007】
いま、感光体120が図7の像形成位置111に到着して、回転を開始したとする。一般に感光体は、長く冷暗所に放置した直後の帯電特性と、帯電と露光を繰り返した後の帯電特性とが異なる。これは、感光体層内部の光キャリアの残留数やトラップの状態が異なるためである。ここで帯電器119に印加する電圧は一定値であり、目標帯電電位−700Vをねらった値の−6.5kVである。このとき矢印範囲Aの範囲、すなわち帯電器119の下流端から現像位置Rまでの範囲は、帯電されない領域であるため、図3に示すように0Vのままである。次に帯電器119の直下範囲Bは、帯電幅に応じて次第に帯電電位が高くなる領域である。次の範囲Cは、感光体120が暗所に長く放置された直後の1回目の帯電のため、帯電電位は目標電位−700Vより低くなり、−600V程度しか帯電しない。次に、感光体120の2回転目に入り、動作開始時帯電器119の真下にあった部分の2回目の帯電範囲Dを通過後、範囲Eではほとんど目標電位−700Vに達し、以降この帯電電位に収束する。この例では、帯電器119はグリッド119’を設けたスコロトロン帯電器であるため、通常のコロトロン帯電器よりは一定電位に制御し易いが、帯電器を通過後の感光体の暗減衰特性が冷暗所保存直後と連続使用時とで異なるために、このように帯電電位が安定しなくなる。本発明の構成のカラー電子写真装置では、各色毎に感光体を入れ換えるために、このような現象が各色毎に発生する。像形成ユニット群を回転移動させて、像形成ユニットを像形成位置に入れ換えた直後は、このように感光体の帯電特性が1回転目と2回転目とで大きく異なる。ここで感光体120の直径は30mmでありその外周長はおおよそ94mmである。このカラー電子写真装置はA4サイズをプリントするため、1画面の長さは297mmある。従って、同一A4画面上に異なった感光体の帯電電位が存在することになり、これを同一条件で現像すると異なった画質になる。これは文字画像中心のドキュメントではさほど問題ではないが、グラフィックなどをプリンタするには、不十分な画質であった。
【0008】
この問題を解決するために、本願の第1の発明では、カラー電子写真装置で美しい均一な画像を得るために、感光体帯電電位が安定する2回転目以降の範囲Eからだけを像形成に用いる第2の像形成モードを考案した。しかし、この第2の像形成モードにおいて、各色像形成ユニットが入れ替わる毎に感光体が均一帯電するまで中間転写体を空廻しすると、各色の先頭位置を合わせるために周長の長い転写体が一周するまで次の像形成を待機しなければならなくなる。そのため、1枚のカラー画像を出すのに長い時間がかかるという欠点があった。これを防ぐため、中間転写体の回転を止めて感光体の均一帯電領域を待つと、待機時間は短くなるが、回転する感光体と静止した中間転写体とが擦れ合わさって、感光体表面に著しい損傷を与えることがわかった。
【0009】
本発明の目的は上記問題点に鑑み、感光体を各色毎に切り替えてカラー像を合成するカラー電子写真装置において、感光体の帯電の立ち上がり特性を考慮し、冷暗所放置後の感光体の最初の帯電立ち上がり特性が不安定な領域をも使用する高速画像形成モードと、その領域を使用しない高画質画像形成モードとを設けることによって、ドキュメント用にプリントするときには高速に、ピクトリアルな画像をプリントするときには速度は遅いが画質の良いプリントを得ることができるカラー電子写真方法を提供するものである。
【0010】
さらに本発明の別の目的は上記問題点に鑑み、感光体の帯電の均一な領域を使用する高画質画像形成モードにおいて、必要以上に待ち時間を浪費すること無く、しかも感光体の損傷を防ぐことのできるカラー電子写真方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、各々が感光体と帯電器とそれぞれ色の異なる現像剤を有する現像手段とを備えた複数の像形成ユニットと、前記複数の像形成ユニットを配置し移動可能に構成された像形成ユニット群と、前記感光体上に現像されたトナー像を単一の転写位置で重ね合わせて転写しカラー像を形成する転写体と、露光手段により単一の位置で像露光を行う露光位置と、前記転写位置と前記露光位置とに対応した像形成位置と、前記複数の像形成ユニットのそれぞれを前記像形成位置に順次位置せしめるため像形成ユニット群全体を移動させる移動手段と、を有するカラー電子写真装置に用いるカラー電子写真方法であって、前記像形成ユニットの感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の前記露光手段による画像書き込み動作を前記感光体の第1周目の帯電領域から行なう第1の像形成モードと、前記露光手段による画像書き込み動作を前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降から行なう第2の像形成モードとを有するカラー電子写真方法である。また、感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の感光体の第1周目の帯電領域から静電潜像形成に用いる第1の像形成モードと、前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降から静電潜像形成に用いる第2の像形成モードとを有するカラー電子写真方法である。
【0012】
また本発明は、各々が感光体と帯電器とそれぞれ色の異なる現像剤を有する現像手段とを備えた複数の像形成ユニットと、前記複数の像形成ユニットを配置し移動可能に構成された像形成ユニット群と、前記感光体上に現像されたトナー像を重ね合わせて転写する転写位置と前記感光体に非接触になる退避位置との間を移動する転写体と、露光手段により単一の位置で像露光を行う露光位置と、前記転写位置と前記露光位置とに対応した像形成位置と、前記複数の像形成ユニットのそれぞれを前記像形成位置に順次位置せしめるため像形成ユニット群全体を移動させる移動手段と、を有するカラー電子写真装置に用いるカラー電子写真方法であって、前記像形成ユニットの感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の感光体の第1周目の帯電領域から像形成に用いる第1の像形成モードと、前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降を像形成に用いる第2の像形成モードとを有し、前記第2の像形成モードの感光体の第1周目の回転時には、前記転写体が退避位置にあって静止するカラー電子写真方法カラー電子写真方法である。
【0013】
【作用】
以下本発明のカラー電子写真方法の作用効果について、図1、図2または図3を参照しながら説明する。なお、図1の詳細は実施例で述べる。
【0014】
図1のプリンタは、ドキュメントをプリントする第1の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。図1の各像形成ユニットの拡大図を図2に示す。また感光体帯電電位を図3に示す。図2において、静止状態の感光体120が回転し始めると同時に、帯電器119に−6.5kVの電圧を印加し感光体120を帯電させた。このときグリッド119’の印加電圧は−700Vに設定した。感光体120は帯電器幅のB領域(静止時帯電器直下にあった感光体の初めて帯電される領域)を通過し、C領域(感光体が初めて帯電される1回転目領域)ではその帯電電位は一定の値−600Vになった。その後C領域は図2の現像点Rを通過し、幅D領域(静止時帯電器直下にあった部分の2回転目の領域)では若干の電位上昇がある。さらにE領域(感光体が2度目に帯電される領域)ではねらいの帯電電位のおおよそ−700Vに収束した。
【0015】
このような帯電工程と同時に、こうして帯電した感光体120のC領域から、レーザビーム走査光121を照射し静電潜像を形成し、感光体120表面を現像スリーブ124の前を通過させた。感光体120の未帯電域(図3のA領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。その後、−700Vに帯電し静電潜像が書き込まれた感光体120の領域(図3のB・C・D・E領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。こうして感光体120上には黒色のトナー像が得られた。
【0016】
次に再び図1に戻る。像形成ユニット群16は図1に示す位置にあり、黒の像形成ユニット15Bkが図示のように像形成位置19にある。このとき感光体21(図2の120と同一)は中間転写ベルト3に接触している。先に説明した像形成ユニットの像形成工程により、レーザ露光装置43により黒の信号光(図2の121と同一)が像形成ユニット15Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われた。像形成と同時に第1転写ローラ4の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト3上に転写された。次に、像形成ユニット群16として全体が移動モータ17に駆動されて図1の矢印Q方向に回転移動し、像形成ユニット15Cが像形成位置19に達した位置で止まった。
【0017】
像形成ユニット群16の回転が終了し像形成ユニット15Cが像形成位置19に到達すると、前の黒のユニットと同様に今度はシアンの信号でレーザ露光装置43が像形成ユニット15Cに信号光を入力し、シアンのトナー像の形成と転写が行われた。このとき、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するように、シアンの信号光の書き込みタイミングが制御された。以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像を受像紙に一括転写し定着した。こうしてドキュメントを印字した画像を高速で得た。
【0018】
次に、本願発明の第2の画像形成モードである高画質のグラフィックモードでの画像形成を説明する。
【0019】
図1のプリンタは、グラフィックをプリントする第2の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。先と同様にこのときの図2の像形成ユニットの感光体帯電電位を図3にしめす。感光体の帯電電位の変化は前述のドキュメントを作成する第1のモードと同様であるが、レーザ露光を開始し静電潜像を記録し始める領域が点が異なる。このモードでは、レーザの露光は図3のE領域から行った。感光体120の未帯電域(図2のA領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。感光体のE領域がレーザ露光位置にさしかかったとき、初めてレーザビーム走査光121を照射し画像信号により静電潜像を形成した。その後、この静電潜像がR点を通過するとき、現像ローラ125には交流高圧電源により、−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。
【0020】
図1において、−600Vに帯電した感光体21(図2の120)のB・C・D領域の通過時には、中間転写ベルトユニット2の第1転写ローラ4は退避位置(図5の4b位置)に退避し、感光体21と非接触の状態で中間転写ベルト3を静止させた。このトナー像が中間転写ベルト2との転写位置を通過するタイミングをとって、中間転写ベルトユニット2の位置検出器11からの信号に基づき第1転写ローラ4を転写位置(図5の4a位置)に移動させ、また同時に中間転写ベルト3を停止状態から走行状態へと切り替え、トナー像を中間転写ベルトに転写した。
【0021】
以上と同様の動作を、シアン、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像を受像紙に一括転写し定着した。こうして、感光体の帯電電位の均質な領域のみを用いた第2の画像形成モードによって、高画質のグラフィック画像を得た。感光体が回転し均一帯電になるまでの間、中間転写ベルトは感光体から離間し静止していたので感光体表面がこすられて損傷することはなかった。
【0022】
このように、文字などの文書を出力するときには高速の第1モードを、そしてグラフィックなどの高画質が必要なときには、多少時間はかかるが感光体の帯電電位が均一になる領域だけを使用する高画質の第2モードを選択することによって、合理的なプリント動作が得られた。
【0023】
【実施例】
以下本発明のカラー電子写真装置について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(具体的実施例1)
図1は本発明のカラー電子写真装置の全体構成図である。1はカラー電子写真プリンタの外装筐であり、図面右端面側が前面である。1Aはプリンタ前面板であり、該前面板はプリンタ外装筐1に対して下辺側のヒンジ軸1Bを中心に倒し開き操作、起こし閉じ操作自由である。前面板1Aを倒し開いた状態を1点鎖線で示す。プリンタ内に対する中間転写ベルトユニット2の着脱操作や紙詰まり時などのプリンタ内部メンテナンス等は、前面板1Aを倒し開いてプリンタ内部を大きく解放することにより行われる。この中間転写ベルトユニット2の着脱動作は、感光体の回転軸母線方向に対し垂直方向、すなわちプリンタ前面板1Aの方向になるように設計されている。
【0025】
中間転写ベルトユニット2はユニットハウジング2aに、転写ベルト3、アルミニウムローラよりなる第1転写ローラ4、アルミニウムローラよりなる第2転写ローラ5、転写ベルト上に残ったトナー像をクリーニングするウレタンゴム製のクリーニングブレード6、回収したトナーを廃トナー溜に輸送する搬送路7、廃トナー溜8、廃トナー溜8内のトナー量が満杯になったことを検出する廃トナー満杯検出器9、クリーニングブレード6に対向するアルミニウム製のバックアップローラ10、転写ベルトの転写開始位置を検出する位置検出器11、転写ベルトの張力を調整し蛇行を防止するテンションローラ12、を内包している。13は中間転写ベルトユニット2を引き出したときにベルト3表面を保護する前カバー、14は同様の後ろカバーである。この中間転写ベルトユニット2は、図1においてプリンタ前面板1Aを倒し開いてプリンタ外装筐1内の所定の収納部に対して着脱自在である。構成や動作の詳細は後述する。
【0026】
プリンタ左側中央には黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色用の4組の扇型をした像形成ユニット15Bk、15Y、15M、15Cが像形成ユニット群16を構成し、図のように円環状に配置されている。各像形成ユニットは、図1のプリンタ左面板1Cをヒンジ軸1Dを中心に開いて像形成ユニット群16の所定の位置に着脱自在である。像形成ユニット15はプリンタ内に正規に装着されることにより、像形成ユニット側とプリンタ側の両者側の機械的駆動系統・電気回路系統が相互カップリング部材(図示せず)を介して結合して機械的・電気的に一体化する。
【0027】
円環状に配置されている像形成ユニット15Bk、15C、15M、15Yは支持体(図示せず)に支持されており、像形成ユニット群16全体として移動手段である移動モータ17に駆動され、固定されて回転しない円筒状の軸18の周りに回転移動可能に構成されている。像形成時には、各像形成ユニットは回転移動によって順次前述の中間転写ベルト3を支持する第1転写ローラ4に対向した像形成位置19に位置することができる。像形成位置19は信号光20による露光位置でもある。ここでは、像形成ユニットが円環状に配置されているカラー電子写真装置について説明したが、像形成ユニットが横や縦方向に1列に配置されている装置であっても同様に有効であることは言うまでもない。
【0028】
図4に黒用像形成ユニット15Bkを詳細に示す。各像形成ユニットは、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するため黒用の像形成ユニット15Bkについて説明し、他色については省略する。なお、各色用について同じ部分には同じ符号を付し、各色の構成の区別をつける必要がある場合は符号に各色を示す文字を付す。この説明では、通常の2成分磁気ブラシ現像法を用いているが、電子写真法に用いる現像法であればいかなるものでもよいことは言うまでもない。例えば、磁気ブラシ現像法、弾性ゴムローラ現像法、ジャンピング現像法、インプレッション現像法、磁気カスケード現像法などを用いることができる。図4において、20はレーザビーム信号光、21はフタロシアニンを感光材料に用いポリカーボネート系バインダ樹脂を主体に構成した有機感光体、22は感光体をマイナスに帯電するコロナ帯電器、23は感光体21の帯電電位を制御するグリッド電極、24はレーザビームが像形成ユニットに進入する像形成ユニットの開口部である露光窓、25は現像剤溜である。現像剤溜25内には、表面をシリコン樹脂でコートした粒径50μmのフェライトキャリヤ26Bkとポリエステル樹脂に黒顔料を分散したマイナス帯電性の黒トナー27Bkを10%混合した2成分現像剤28Bkをいれ、磁石29の磁力により現像ローラ30に付着させる。31は現像ローラ上の現像剤量を規制するドクターブレード、32は現像ローラに電圧を印加する交流高圧電源、33は転写後の感光体21表面に残ったトナーを清掃するクリーナである。感光体21の直径は30mmで、周速65mm/sで矢印方向に回転させ、現像ローラ30は直径16mmで、同じく周速65mm/sで矢印方向に回転させた。
【0029】
なお、図4の像形成ユニットは、黒用の像形成ユニットであるとともに、像形成位置にある像形成ユニットの上下位置をも示している。図で現像剤28Bkを収納した現像剤溜25は感光体21の重力方向上側に、クリーナ33は下側に位置している。そのため、現像剤溜内では、現像剤が自重で現像ローラ30上に供給され、クリーナ内では、クリーニングブレードにかきおとされたトナーが自重でクリーナ底部に落下する。現像剤溜内部やクリーナ内部に、トナーを移動させるための送り機構や撹拌機構を設けなくても、スムーズに現像やクリーニングを行うことができる。黒色以外の他の現像器15Y、15M、15Cについても同様の構成を有する。
【0030】
図5を用い中間転写ベルトユニット2の構成と動作を説明する。中間転写ベルトユニット2がプリンタ本体に装着されたときには、第1転写ローラ4は、中間転写ベルト3が感光体21と接触しない図5の退避位置4bにある。中間転写ベルトユニット2がプリンタ本体に装着され、像形成動作が開始すると、第1転写ローラ4は、転写位置4aに移動し、転写ベルト3は約1.0kgの力で感光体21に圧接される。この構成によって、像形成ユニット群が回転移動動作中には、像形成ユニットの感光体と中間転写ベルトとは接触しないため感光体が傷つくことがない。また、中間転写体ユニットの交換時に中間転写体が感光体と直接接触することがないのでメンテナンス時に感光体を傷つけることもない。
【0031】
中間転写ベルト3は、厚さ100μmのエンドレスベルト状の半導電性(中抵抗)のウレタンを基材とし、表面層はPFA・PTFE等のフッ素樹脂を用い全体で100〜500μmの厚さとしたフィルムよりなる。中間転写ベルト3は、第1転写ローラ4、第2転写ローラ5、バックアップローラ10およびテンションローラ12に巻回し、矢印Y方向に移動可能に構成される。
【0032】
ここで、転写ベルトの周長は、最大受像紙サイズであるA4受像紙の長手方向の長さ(297mm)に、感光体ドラム21(直径30mm)の周長の半分より若干長い長さ(68mm)を足した365mmに設定している。このとき、第2転写ローラ5と第3転写ローラ34の当接部からクリーニングブレード6の当接部までの中間転写ベルト3の周長は、この68mmの距離より短く、55mmになるように設定されている。
【0033】
中間転写ベルト3の移動速度は、トナー像の中抜け転写を防ぐために像形成ユニット15の像形成の速度(感光体21の周速に等しい65mm/s)より1.5%速くなるように設定されている。
【0034】
第2転写ローラ5とバックアップローラ10はともにアルミニウムで構成されており、低湿時カラートナー像転写の飛び散りを防ぐためにそれぞれ20MΩの抵抗35、36を介して接地されている。
【0035】
第1転写ローラ4は転写位置4aと退避位置4bとの間を移動可能となっており、電気信号により制御される駆動源(図示せず)により、転写位置4aに位置すると転写ベルト3は感光体21に接触し形成されたトナー像を転写することができ、また転写位置4bに位置すると転写ベルト3は感光体21から非接触の位置に離れる。
【0036】
感光体21上のトナー像を転写する際には、第1転写ローラ4とテンションローラ12とには高圧電源37により約+2.5kV(100μA)の電圧が印加される。このとき、第1転写ローラ4を直接感光体21に接触させトナー像を中間転写ベルト3に転写しようとすると、中間転写ベルト3が感光体21に接触する前にいわゆる「前飛び」現象を起こし像が乱れ、また第1転写ローラ4と感光体21との接触圧力を均一に調整することが困難になる。しかし、本発明のように第1転写ローラ4を移動させ、2本のローラ間に架張された中間転写ベルト3を感光体ドラム21に接触させる構成にすると、これら問題は発生しない。
【0037】
導電性ゴム製の第3転写ローラ34は、中間転写ベルト3を介して第2転写ローラ5と圧接されている。中間転写ベルト3上のカラー像形成途中では、ベルト上のトナー像を乱さないようにするために、転写ベルト3より約1mm離れる。またカラートナー像を受像紙38に転写する際には高圧電源39により+3kVの電圧が印加される。
【0038】
40は紙39が中間転写ベルト3から分離するときにトナー像が乱れないようにするための除電針である。この第3転写ローラ34は、トナー像を転写する際の中抜け現象を防ぐために中間転写ベルト3より1.5%遅く回転するように構成している。
【0039】
クリーニングブレード6は、中間転写ベルト3に残留したトナーを清掃する。このクリーニングブレード6は、中間転写ベルト3上のトナー像を乱さないようにするため、カラー像形成中は中間転写ベルト3から離れる構成になっている。トナー像を受像紙へ転写した後中間転写ベルト3に残留したトナーをクリーニングするときには、中間転写ベルト3に接触しトナーをかきおとす。かき落とされたトナーはすくいシール41によって中間ベルトユニット2の外へこぼれるのを防止される。このすくいシール41もクリーニングブレード6の動きに同期して中間転写ベルト3から離接する。
【0040】
図6は中間転写ベルトユニット2の内部に設けられたフォトインタラプタによる位置検出器11の構成を示す斜視図である。中間転写ベルト3の端部には検出孔42があり、位置検出器11はその検出孔42の通過を光学的に検出することによってトナー像の先端位置を決定し、中間転写ベルト3上でのカラー像の位置合わせをおこなう構成である。本願発明では、この中間転写ベルト3は移動と停止を繰り返すため、感光体との同期をとるためにこの位置検出器11の信号が基準となっている。ここで位置検出手段として透過方式の位置検出手段を用いたが、光学式以外の機械方式、電気方式、磁気方式等の検出手段を用いてもよいことは言うまでもない。
【0041】
なお、ここでの説明にはトナー像をベルト上に直接重ね合わせるカラー電子写真装置について説明したが、転写体に紙を巻き付けて紙の上でカラートナー像を重ね合わせる装置であっても本願発明は同様に有効であることはいうまでもない。
【0042】
再び図1に戻り説明する。43はプリンタ外装筐1内の上側に配設したレーザビームスキャナ部であり、半導体レーザ、スキャナモータ43a、ポリゴンミラー43b、レンズ系43c等から構成されている。該スキャナ部43からの画像情報の時系列電気画素信号に対応した画素レーザ信号光20は図1の像形成ユニット15Bkと15Cとの間に構成された光路窓口44を通って、軸18の一部に開けられた窓45を通して軸18内に固定されたミラー46に入射し、反射されて像形成位置19にある像形成ユニット15Bkの露光窓24から像形成ユニット15Bk内に進入し、像形成ユニット内に上下に配設されている現像剤溜25とクリーナ33との間の通路を通って感光体ドラム21の左側面の露光部に入射し母線方向に走査露光される。ここでミラー46までの光路は、隣接する像形成ユニットの外装壁で形成される隙間を利用し、光走査面に略平行な平面で構成したため、狭い隙間でしかも光路を妨げることなく構成できる。隣接する像形成ユニットの隙間が大きいと、光路に入りこむ迷光も多くなる。隙間の幅を20mm以下にすれば、信号光の光路に侵入する迷光を少なくすることができ、実質的に迷光による影響を皆無にできる。さらに、各像形成ユニットの外装壁を黒色にすることにより、たとえ迷光が光路内に侵入しても反射光が弱くなり、感光体帯電電位への影響を少なくできる。光路の側壁(図面前後側)は像形成ユニット群の回転支持体で形成しており、側面からの迷光の侵入を防いでいる。
【0043】
また、ミラー46は像形成ユニット群16の中央部に設けられているため、固定された単一のミラーで構成することができ、シンプルでかつ位置合わせ等が容易な構成である。またミラー46のレーザ反射面が若干下向きになるように光路が設定されているので、機内のほこり等が反射面にたまりにくい構成となっている。
【0044】
34はプリンタ前面板1Aの内側で給送ローラ47の上方に配設した第3転写ローラであり、中間転写ベルト3と第3転写ローラ34との圧接されたニップ部には、プリンタ前面板1Aの下部に設けた紙給送ローラ47により受像紙が送られてくるように受像紙搬送路が形成されている。
【0045】
48a・48bはプリンタの内側上部に設けた定着ローラで、48aの内部にはハロゲンランプ49が設けられている。48aと48bとの間にはポリイミドフィルム50が架張されている。このフィルム50はカラープリントの光沢を出す目的に用いられる。51は定着ローラ48aに対向し設けられたバックアップローラ、52は紙出口側に配設した排紙ローラ対である。以上が本発明の電子写真装置の主要構成の説明である。
【0046】
図1の状態は像形成を行っている状態である。これは、感光体21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト3に転写するために第1転写ローラ4が図5の4aの位置に移動した状態である。像形成ユニット群16が回転移動するとき、または感光体が1回転以上して帯電が安定するまで中間転写ベルトが静止して待機する間、あるいはプリンタ装置の停止状態では、第1転写ローラ4は4bの位置に退避する。この状態では、感光体21は転写ベルト3と接触しない。
【0047】
次に、像形成ユニット15および中間転写ベルトユニット2の交換時の構成と作用を説明する。退避状態4bにおいてプリンタはプリント動作を停止し、プリンタ前面板1Aを開くことによって中間転写体ユニット2の交換が取り出し可能となる。この状態で中間転写ベルトユニット2の出し入れ動作を行っても、動作中に感光体21と中間転写ベルト3とが押し当たり双方に傷をつけることはない。また同時に、プリンタ左面板1Cを開くことによって各像形成ユニット15の交換が取り出し可能となる。他の像形成ユニット15を交換するときは、像形成ユニット群16はこの状態から90゜づつ回転移動した状態で停止する。
【0048】
中間転写ベルト3は、長期の使用にともない次第に表面がトナーの固着などにより劣化する。このベルトの劣化が著しくなると画像が部分的に欠けたり画像に白筋や黒筋が発生する。このためこの中間転写ベルトは、劣化し画像に影響が出る前に交換することが望ましい。ところが、この中間転写ベルトの劣化現象をプリンタ装置内で自動的に検出することは極めて困難である。本願発明では、図5に示すように、中間転写ベルト3を廃トナー溜8とともに一体化してユニット化し、中間転写ベルト3の交換時に廃トナーを同時に捨て去る構成である。このような構成では、中間転写ベルト3が寿命になる前に廃トナー溜8が廃トナーで満杯になるようにその大きさを小さ目の容量に設計しておくとよい。こうすると、中間転写ベルトが劣化して画像欠陥が発生する前に廃トナー溜内部に設置した廃トナー満杯検出器9がトナーの満杯を検出し、ユーザに中間転写ベルトユニット2の交換を指示することができる。このような構成は、直接トナー像を上に形成する中間転写ベルトだけに有効なものではなく、受像紙を周囲に巻き付ける構成の中間転写体であっても同様に有効である。
【0049】
図1のプリンタは、ドキュメントをプリントする第1の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。図1の像形成ユニットの拡大図が図4であり、図4の感光体周辺部の拡大図が図2である。このときの像形成ユニットの感光体帯電電位が図3である。
【0050】
図2において、静止状態の感光体120(図4の感光体21と同一)が回転し始めると同時に、帯電器119に−6.5kVの電圧を印加し、感光体120を帯電させた。このときグリッド119’の印加電圧は−700Vに設定した。感光体120は帯電器幅のB領域(静止時帯電器直下にあった感光体の初めて帯電される領域)を通過し、C領域(感光体が初めて帯電される1回転目領域)ではその帯電電位は一定の値−600Vになった。その後C領域が図2の現像点Rを通過し、幅D領域(静止時帯電器直下にあった部分の2回転目の領域)において若干の電位上昇はみられ、さらにE領域(感光体が2度目に帯電される領域)ではねらいの帯電電位のおおよそ−700Vに収束した。
【0051】
このような感光体の帯電工程と同時に、感光体120のC領域からにレーザビーム走査光121を照射し静電潜像を形成した。このとき感光体の露光電位は−50Vであった。現像スリーブ124表面上に、2成分現像剤123Bkを磁力により付着させ、感光体120表面を現像スリーブ124の前を通過させた。感光体120の未帯電領域(図3のA領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。その後、−700Vに帯電し静電潜像が書き込まれた感光体120の領域(図3のB・C・D・E領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上の非画像部分にトナーが付着することなく、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。矢印方向に回転する現像スリーブ124上の現像剤は、再び現像剤溜内に戻し次の像形成に用いた。こうして感光体120上には黒色のトナー像が得られた。
【0052】
次に再び図1に戻り、装置のカラー像合成動作を説明する。像形成ユニット群16は図1に示す位置にあり、黒の像形成ユニット15Bkが図示のように像形成位置19にある。このとき感光体21は中間転写ベルト3に接触している。先に説明した像形成ユニットの像形成工程により、レーザ露光装置43により黒の信号光が像形成ユニット15Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われた。像形成と同時に第1転写ローラ4とテンションローラ12に印加された電圧の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト3上に転写された。このとき第1転写ローラ4とテンションローラ12には前述のように+2.5kVの直流電圧を印加した。
【0053】
黒のトナー像がすべて転写し終わった直後に、第1転写ローラ4は図5に示す4aの位置から4bの位置へと移動し、中間転写ベルト3は像形成ユニット15Bkに接触しない位置に戻った。次に、像形成ユニット群16として全体が移動モータ17に駆動されて図1の矢印Q方向に回転移動し、ちょうど90゜回転して像形成ユニット15Cが像形成位置19に達した位置で止まった。像形成ユニットの感光体以外の現像剤溜25やクリーナ33の部分は、感光体21先端の点線で示す回転円弧より内側に位置している。また、第1転写ローラ4の退避位置4bはこの点線円弧の外側に位置する。そのため、像形成ユニット群の回転移動中に中間転写ベルト3が像形成ユニットに接触することはない。
【0054】
像形成ユニット群16の回転が終了し像形成ユニット15Cが像形成位置19に到達すると、前の黒のユニットと同様に今度はシアンの信号でレーザ露光装置43が像形成ユニット15Cに信号光を入力し、シアンのトナー像の形成と転写が行われた。このとき、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するように、図5に示す位置検出器11からの信号に基づいてシアンの信号光の書き込みタイミングが制御された。この間、第3転写ローラ34は中間転写ベルト3と離間している。また、クリーニングブレード6も中間転写ベルト3と離間しており、転写ベルト上のトナー像を乱さない。
【0055】
以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセットから送られる受像紙(図示せず)に、第3転写ローラ34に+3kVの電圧を印加して一括転写した。受像紙に転写されたトナー像は定着ローラ48a・48bにより定着され、その後排出された。こうしてドキュメントを印字した画像が高速で得られた。
【0056】
次に、本願発明の第2の画像形成モードである高画質のグラフィックモードでの画像形成を説明する。
【0057】
いま、図1のプリンタは、グラフィックをプリントする第2の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。図2に示す像形成ユニットの感光体帯電電位を図3にしめす。静止状態の感光体120が回転し始めると同時に、帯電器119に−6.5kVの電圧を印加し感光体120を帯電させた。このときグリッド119’の印加電圧は−700Vに設定した。感光体120は帯電器幅のB領域(静止時帯電器直下にあった感光体の初めて帯電される領域)を通過し、C領域(感光体が初めて帯電される1回転目領域)ではその帯電電位は一定の値−600Vになった。その後C領域が図2の現像点Rを通過し、幅D領域(静止時帯電器直下にあった部分の2回転目の領域)において若干の電位上昇はみられ、さらにE領域(感光体が2度目に帯電される領域)ではねらいの帯電電位のおおよそ−700Vに収束した。この感光体のE領域がレーザ露光位置にさしかかったとき初めてレーザビーム走査光121を照射し始め画像信号により静電潜像を形成した。このとき感光体の露光電位は−50Vであった。
【0058】
感光体120の帯電工程と平行して同時に、現像スリーブ124表面上に、2成分現像剤123Bkを磁力により付着させ、感光体120表面を現像スリーブ124の前を通過させた。感光体120の未帯電領域(図3のA領域)の通過時は、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。その後、B・C・D・E領域がR点を通過するとき、現像スリーブ124には交流高圧電源により−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。図1に示すカラー電子写真装置で、−600Vに帯電した感光体120のB・C・D領域が転写位置を通過する時は、中間転写ベルトユニット2の第1転写ローラ4は4bの位置に退避し、感光体21(図2の感光体120)と非接触の状態で中間転写ベルト3は静止させた。E領域に形成されたトナー像が転写位置を通過するタイミングをとって、中間転写ベルトユニット2の位置検出器11からの信号に基づき第1転写ローラ4を転写位置4aに移動させ、また中間転写ベルト3を停止状態から走行状態へと切り替えた。
【0059】
以上と同様の動作を、シアン、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセットから送られる受像紙(図示せず)に、第3転写ローラ34に+3kVの電圧を印加して一括転写した。受像紙に転写されたトナー像は定着ローラ48a・48bにより定着され、その後排出された。こうして、感光体の帯電電位の均質な領域のみを用いた第2の画像形成モードによって、高画質のグラフィック画像が得られた。感光体が回転し均一帯電になるまでの間、中間転写ベルトは感光体は静止していたが離間していたので、感光体表面がこすられて損傷することはなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、感光体を各色毎に切り替えてカラー像を合成するカラー電子写真装置において、不必要に時間を浪費せず、しかも感光体の帯電の安定な領域だけを使用し、高画質のカラー画像を得ることができる。また、感光体に傷を与えること無く、均質で美しいカラー像を得ることができるカラー電子写真方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー電子写真方法を用いた装置の構成図
【図2】感光体表面の位置と帯電電位との関係を示す図4を拡大した説明図
【図3】従来例の問題点の感光体の帯電立ち上がり特性を示す説明図
【図4】図1に示す本発明の実施例のカラー電子写真装置に用いられる像形成ユニットの構成を示す構成図
【図5】本発明の実施例のカラー電子写真装置に用いられる中間転写ベルトユニットの構成を示す構成図
【図6】本発明の中間転写体ユニットのベルトの位置を検出する構成を説明する説明図
【図7】従来のカラー電子写真装置の構成図
【符号の説明】
2 中間転写体ユニット
3 中間転写ベルト
4 第1転写ローラ
5 第2転写ローラ
6 クリーニングブレード
10 バックアップローラ
12 テンションローラ
15 像形成ユニット
16 像形成ユニット群
19 像形成位置
20 レーザ信号光
21 感光体
22 帯電器
30 現像ローラ
32 現像バイアス用高圧電源
34 第3転写ローラ
43 レーザ露光装置
46 ミラー
【産業上の利用分野】
本発明は、カラープリンタ、カラー複写機やカラーファックス等に応用できるカラー電子写真方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例として、発明者らが特開平7−36246号公報に出願したカラー電子写真装置を用いてその構成を説明する。図7はその従来例のカラー電子写真装置の全体構成図である。
【0003】
中央に黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色用の4組の扇型をした像形成ユニット101Bk、101C、101M、101Yが像形成ユニット群を構成し、円環状に配置されている。102は感光体、103は帯電器、104は現像剤溜、105はクリーナ、106は現像ローラである。円環状に配置されている像形成ユニット101Bk、101C、101M、101Yは支持体(図示せず)に支持されており、全体として移動手段である移動モータ107に駆動され、円筒状の固定されて回転しない軸108の周りに回転移動可能になっている。各像形成ユニットは、順次、中間転写ベルト109を支持する転写ローラ110に対向した像形成位置111に位置することができる。像形成位置111は信号光112による露光位置でもある。113はレーザ露光装置で、プリンタ部に入力された信号で変調されたレーザビームによる信号光112を発生するが、これは図7の像形成ユニット101Mと101Yの間に構成された光路を通って、軸108の一部に開けられた窓114aを通して軸108内部に固定されたミラー115に入射し、反射されて窓114bを通して像形成位置111にある像形成ユニットの感光体102に照射され潜像を形成する。図7の状態では黒用の像形成ユニット101Bkに作用する。
【0004】
次に、この装置のカラー像形成時の動作を説明する。まず最初は、像形成ユニットは図7に示すように、黒用の像形成ユニット101Bkが像形成位置111にある。レーザ露光装置113により黒の信号光が像形成ユニット101Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われる。像形成されるとともに同時に転写ローラ110の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト109に転写される。黒のトナー像がすべて転写し終わった直後に、像形成ユニット群101Bk、101C、101M、101Yは全体が移動モータ107に駆動されて一体的に回転移動し、ちょうど90度回転して像形成ユニット101Cが像形成位置近傍111に達した位置で止まる。像形成ユニット101Cが像形成位置111に到着後、前と同様に今度はシアンの信号でレーザ露光装置が像形成ユニット101Cに信号光を入力しシアンのトナー像の形成と転写が行われる。このとき中間転写ベルト109が一回転してきて、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するようにシアンの信号光の書き込みのタイミングが制御される。以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い中間転写ベルト上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成される。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて受像紙116に、第2転写ローラ117の作用で一括転写される。受像紙に転写されたトナー像は定着器118により定着される。
【0005】
以上が従来例の構成と動作の簡単な説明である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この従来例では、像形成ユニット101が像形成位置111に到着した後、感光体102が像形成のための回転を開始し、そのときから帯電器103により感光体102の帯電を始める。このときの各像形成ユニット101の感光体の表面位置と、帯電器などの各デバイスとの位置関係を図2に、そのときの感光体の各位置での帯電電位を図3に示す。図2において、119はコロナ帯電器、120は感光体(図7の102と同一)、121はレーザ信号による露光(図7の112と同一)、122は現像器、123は2成分磁気ブラシ現像剤、124は現像剤を担持する現像スリーブ、125は現像剤123を現像スリーブに吸引する磁石ローラ、126は現像スリーブ124上の現像剤123の量を規制するブレード、127は感光体120上に転写後残留したトナーを清掃するクリーナである。なお、ここでの帯電器には図7に用いた帯電ローラ103の代わりにコロナ帯電器119を用いた場合を説明する。この従来例の問題点は、コロナ帯電器を用いた場合でも帯電ローラを用いた場合と何等変わることはない。
【0007】
いま、感光体120が図7の像形成位置111に到着して、回転を開始したとする。一般に感光体は、長く冷暗所に放置した直後の帯電特性と、帯電と露光を繰り返した後の帯電特性とが異なる。これは、感光体層内部の光キャリアの残留数やトラップの状態が異なるためである。ここで帯電器119に印加する電圧は一定値であり、目標帯電電位−700Vをねらった値の−6.5kVである。このとき矢印範囲Aの範囲、すなわち帯電器119の下流端から現像位置Rまでの範囲は、帯電されない領域であるため、図3に示すように0Vのままである。次に帯電器119の直下範囲Bは、帯電幅に応じて次第に帯電電位が高くなる領域である。次の範囲Cは、感光体120が暗所に長く放置された直後の1回目の帯電のため、帯電電位は目標電位−700Vより低くなり、−600V程度しか帯電しない。次に、感光体120の2回転目に入り、動作開始時帯電器119の真下にあった部分の2回目の帯電範囲Dを通過後、範囲Eではほとんど目標電位−700Vに達し、以降この帯電電位に収束する。この例では、帯電器119はグリッド119’を設けたスコロトロン帯電器であるため、通常のコロトロン帯電器よりは一定電位に制御し易いが、帯電器を通過後の感光体の暗減衰特性が冷暗所保存直後と連続使用時とで異なるために、このように帯電電位が安定しなくなる。本発明の構成のカラー電子写真装置では、各色毎に感光体を入れ換えるために、このような現象が各色毎に発生する。像形成ユニット群を回転移動させて、像形成ユニットを像形成位置に入れ換えた直後は、このように感光体の帯電特性が1回転目と2回転目とで大きく異なる。ここで感光体120の直径は30mmでありその外周長はおおよそ94mmである。このカラー電子写真装置はA4サイズをプリントするため、1画面の長さは297mmある。従って、同一A4画面上に異なった感光体の帯電電位が存在することになり、これを同一条件で現像すると異なった画質になる。これは文字画像中心のドキュメントではさほど問題ではないが、グラフィックなどをプリンタするには、不十分な画質であった。
【0008】
この問題を解決するために、本願の第1の発明では、カラー電子写真装置で美しい均一な画像を得るために、感光体帯電電位が安定する2回転目以降の範囲Eからだけを像形成に用いる第2の像形成モードを考案した。しかし、この第2の像形成モードにおいて、各色像形成ユニットが入れ替わる毎に感光体が均一帯電するまで中間転写体を空廻しすると、各色の先頭位置を合わせるために周長の長い転写体が一周するまで次の像形成を待機しなければならなくなる。そのため、1枚のカラー画像を出すのに長い時間がかかるという欠点があった。これを防ぐため、中間転写体の回転を止めて感光体の均一帯電領域を待つと、待機時間は短くなるが、回転する感光体と静止した中間転写体とが擦れ合わさって、感光体表面に著しい損傷を与えることがわかった。
【0009】
本発明の目的は上記問題点に鑑み、感光体を各色毎に切り替えてカラー像を合成するカラー電子写真装置において、感光体の帯電の立ち上がり特性を考慮し、冷暗所放置後の感光体の最初の帯電立ち上がり特性が不安定な領域をも使用する高速画像形成モードと、その領域を使用しない高画質画像形成モードとを設けることによって、ドキュメント用にプリントするときには高速に、ピクトリアルな画像をプリントするときには速度は遅いが画質の良いプリントを得ることができるカラー電子写真方法を提供するものである。
【0010】
さらに本発明の別の目的は上記問題点に鑑み、感光体の帯電の均一な領域を使用する高画質画像形成モードにおいて、必要以上に待ち時間を浪費すること無く、しかも感光体の損傷を防ぐことのできるカラー電子写真方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、各々が感光体と帯電器とそれぞれ色の異なる現像剤を有する現像手段とを備えた複数の像形成ユニットと、前記複数の像形成ユニットを配置し移動可能に構成された像形成ユニット群と、前記感光体上に現像されたトナー像を単一の転写位置で重ね合わせて転写しカラー像を形成する転写体と、露光手段により単一の位置で像露光を行う露光位置と、前記転写位置と前記露光位置とに対応した像形成位置と、前記複数の像形成ユニットのそれぞれを前記像形成位置に順次位置せしめるため像形成ユニット群全体を移動させる移動手段と、を有するカラー電子写真装置に用いるカラー電子写真方法であって、前記像形成ユニットの感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の前記露光手段による画像書き込み動作を前記感光体の第1周目の帯電領域から行なう第1の像形成モードと、前記露光手段による画像書き込み動作を前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降から行なう第2の像形成モードとを有するカラー電子写真方法である。また、感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の感光体の第1周目の帯電領域から静電潜像形成に用いる第1の像形成モードと、前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降から静電潜像形成に用いる第2の像形成モードとを有するカラー電子写真方法である。
【0012】
また本発明は、各々が感光体と帯電器とそれぞれ色の異なる現像剤を有する現像手段とを備えた複数の像形成ユニットと、前記複数の像形成ユニットを配置し移動可能に構成された像形成ユニット群と、前記感光体上に現像されたトナー像を重ね合わせて転写する転写位置と前記感光体に非接触になる退避位置との間を移動する転写体と、露光手段により単一の位置で像露光を行う露光位置と、前記転写位置と前記露光位置とに対応した像形成位置と、前記複数の像形成ユニットのそれぞれを前記像形成位置に順次位置せしめるため像形成ユニット群全体を移動させる移動手段と、を有するカラー電子写真装置に用いるカラー電子写真方法であって、前記像形成ユニットの感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の感光体の第1周目の帯電領域から像形成に用いる第1の像形成モードと、前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降を像形成に用いる第2の像形成モードとを有し、前記第2の像形成モードの感光体の第1周目の回転時には、前記転写体が退避位置にあって静止するカラー電子写真方法カラー電子写真方法である。
【0013】
【作用】
以下本発明のカラー電子写真方法の作用効果について、図1、図2または図3を参照しながら説明する。なお、図1の詳細は実施例で述べる。
【0014】
図1のプリンタは、ドキュメントをプリントする第1の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。図1の各像形成ユニットの拡大図を図2に示す。また感光体帯電電位を図3に示す。図2において、静止状態の感光体120が回転し始めると同時に、帯電器119に−6.5kVの電圧を印加し感光体120を帯電させた。このときグリッド119’の印加電圧は−700Vに設定した。感光体120は帯電器幅のB領域(静止時帯電器直下にあった感光体の初めて帯電される領域)を通過し、C領域(感光体が初めて帯電される1回転目領域)ではその帯電電位は一定の値−600Vになった。その後C領域は図2の現像点Rを通過し、幅D領域(静止時帯電器直下にあった部分の2回転目の領域)では若干の電位上昇がある。さらにE領域(感光体が2度目に帯電される領域)ではねらいの帯電電位のおおよそ−700Vに収束した。
【0015】
このような帯電工程と同時に、こうして帯電した感光体120のC領域から、レーザビーム走査光121を照射し静電潜像を形成し、感光体120表面を現像スリーブ124の前を通過させた。感光体120の未帯電域(図3のA領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。その後、−700Vに帯電し静電潜像が書き込まれた感光体120の領域(図3のB・C・D・E領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。こうして感光体120上には黒色のトナー像が得られた。
【0016】
次に再び図1に戻る。像形成ユニット群16は図1に示す位置にあり、黒の像形成ユニット15Bkが図示のように像形成位置19にある。このとき感光体21(図2の120と同一)は中間転写ベルト3に接触している。先に説明した像形成ユニットの像形成工程により、レーザ露光装置43により黒の信号光(図2の121と同一)が像形成ユニット15Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われた。像形成と同時に第1転写ローラ4の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト3上に転写された。次に、像形成ユニット群16として全体が移動モータ17に駆動されて図1の矢印Q方向に回転移動し、像形成ユニット15Cが像形成位置19に達した位置で止まった。
【0017】
像形成ユニット群16の回転が終了し像形成ユニット15Cが像形成位置19に到達すると、前の黒のユニットと同様に今度はシアンの信号でレーザ露光装置43が像形成ユニット15Cに信号光を入力し、シアンのトナー像の形成と転写が行われた。このとき、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するように、シアンの信号光の書き込みタイミングが制御された。以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像を受像紙に一括転写し定着した。こうしてドキュメントを印字した画像を高速で得た。
【0018】
次に、本願発明の第2の画像形成モードである高画質のグラフィックモードでの画像形成を説明する。
【0019】
図1のプリンタは、グラフィックをプリントする第2の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。先と同様にこのときの図2の像形成ユニットの感光体帯電電位を図3にしめす。感光体の帯電電位の変化は前述のドキュメントを作成する第1のモードと同様であるが、レーザ露光を開始し静電潜像を記録し始める領域が点が異なる。このモードでは、レーザの露光は図3のE領域から行った。感光体120の未帯電域(図2のA領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。感光体のE領域がレーザ露光位置にさしかかったとき、初めてレーザビーム走査光121を照射し画像信号により静電潜像を形成した。その後、この静電潜像がR点を通過するとき、現像ローラ125には交流高圧電源により、−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。
【0020】
図1において、−600Vに帯電した感光体21(図2の120)のB・C・D領域の通過時には、中間転写ベルトユニット2の第1転写ローラ4は退避位置(図5の4b位置)に退避し、感光体21と非接触の状態で中間転写ベルト3を静止させた。このトナー像が中間転写ベルト2との転写位置を通過するタイミングをとって、中間転写ベルトユニット2の位置検出器11からの信号に基づき第1転写ローラ4を転写位置(図5の4a位置)に移動させ、また同時に中間転写ベルト3を停止状態から走行状態へと切り替え、トナー像を中間転写ベルトに転写した。
【0021】
以上と同様の動作を、シアン、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像を受像紙に一括転写し定着した。こうして、感光体の帯電電位の均質な領域のみを用いた第2の画像形成モードによって、高画質のグラフィック画像を得た。感光体が回転し均一帯電になるまでの間、中間転写ベルトは感光体から離間し静止していたので感光体表面がこすられて損傷することはなかった。
【0022】
このように、文字などの文書を出力するときには高速の第1モードを、そしてグラフィックなどの高画質が必要なときには、多少時間はかかるが感光体の帯電電位が均一になる領域だけを使用する高画質の第2モードを選択することによって、合理的なプリント動作が得られた。
【0023】
【実施例】
以下本発明のカラー電子写真装置について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(具体的実施例1)
図1は本発明のカラー電子写真装置の全体構成図である。1はカラー電子写真プリンタの外装筐であり、図面右端面側が前面である。1Aはプリンタ前面板であり、該前面板はプリンタ外装筐1に対して下辺側のヒンジ軸1Bを中心に倒し開き操作、起こし閉じ操作自由である。前面板1Aを倒し開いた状態を1点鎖線で示す。プリンタ内に対する中間転写ベルトユニット2の着脱操作や紙詰まり時などのプリンタ内部メンテナンス等は、前面板1Aを倒し開いてプリンタ内部を大きく解放することにより行われる。この中間転写ベルトユニット2の着脱動作は、感光体の回転軸母線方向に対し垂直方向、すなわちプリンタ前面板1Aの方向になるように設計されている。
【0025】
中間転写ベルトユニット2はユニットハウジング2aに、転写ベルト3、アルミニウムローラよりなる第1転写ローラ4、アルミニウムローラよりなる第2転写ローラ5、転写ベルト上に残ったトナー像をクリーニングするウレタンゴム製のクリーニングブレード6、回収したトナーを廃トナー溜に輸送する搬送路7、廃トナー溜8、廃トナー溜8内のトナー量が満杯になったことを検出する廃トナー満杯検出器9、クリーニングブレード6に対向するアルミニウム製のバックアップローラ10、転写ベルトの転写開始位置を検出する位置検出器11、転写ベルトの張力を調整し蛇行を防止するテンションローラ12、を内包している。13は中間転写ベルトユニット2を引き出したときにベルト3表面を保護する前カバー、14は同様の後ろカバーである。この中間転写ベルトユニット2は、図1においてプリンタ前面板1Aを倒し開いてプリンタ外装筐1内の所定の収納部に対して着脱自在である。構成や動作の詳細は後述する。
【0026】
プリンタ左側中央には黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色用の4組の扇型をした像形成ユニット15Bk、15Y、15M、15Cが像形成ユニット群16を構成し、図のように円環状に配置されている。各像形成ユニットは、図1のプリンタ左面板1Cをヒンジ軸1Dを中心に開いて像形成ユニット群16の所定の位置に着脱自在である。像形成ユニット15はプリンタ内に正規に装着されることにより、像形成ユニット側とプリンタ側の両者側の機械的駆動系統・電気回路系統が相互カップリング部材(図示せず)を介して結合して機械的・電気的に一体化する。
【0027】
円環状に配置されている像形成ユニット15Bk、15C、15M、15Yは支持体(図示せず)に支持されており、像形成ユニット群16全体として移動手段である移動モータ17に駆動され、固定されて回転しない円筒状の軸18の周りに回転移動可能に構成されている。像形成時には、各像形成ユニットは回転移動によって順次前述の中間転写ベルト3を支持する第1転写ローラ4に対向した像形成位置19に位置することができる。像形成位置19は信号光20による露光位置でもある。ここでは、像形成ユニットが円環状に配置されているカラー電子写真装置について説明したが、像形成ユニットが横や縦方向に1列に配置されている装置であっても同様に有効であることは言うまでもない。
【0028】
図4に黒用像形成ユニット15Bkを詳細に示す。各像形成ユニットは、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するため黒用の像形成ユニット15Bkについて説明し、他色については省略する。なお、各色用について同じ部分には同じ符号を付し、各色の構成の区別をつける必要がある場合は符号に各色を示す文字を付す。この説明では、通常の2成分磁気ブラシ現像法を用いているが、電子写真法に用いる現像法であればいかなるものでもよいことは言うまでもない。例えば、磁気ブラシ現像法、弾性ゴムローラ現像法、ジャンピング現像法、インプレッション現像法、磁気カスケード現像法などを用いることができる。図4において、20はレーザビーム信号光、21はフタロシアニンを感光材料に用いポリカーボネート系バインダ樹脂を主体に構成した有機感光体、22は感光体をマイナスに帯電するコロナ帯電器、23は感光体21の帯電電位を制御するグリッド電極、24はレーザビームが像形成ユニットに進入する像形成ユニットの開口部である露光窓、25は現像剤溜である。現像剤溜25内には、表面をシリコン樹脂でコートした粒径50μmのフェライトキャリヤ26Bkとポリエステル樹脂に黒顔料を分散したマイナス帯電性の黒トナー27Bkを10%混合した2成分現像剤28Bkをいれ、磁石29の磁力により現像ローラ30に付着させる。31は現像ローラ上の現像剤量を規制するドクターブレード、32は現像ローラに電圧を印加する交流高圧電源、33は転写後の感光体21表面に残ったトナーを清掃するクリーナである。感光体21の直径は30mmで、周速65mm/sで矢印方向に回転させ、現像ローラ30は直径16mmで、同じく周速65mm/sで矢印方向に回転させた。
【0029】
なお、図4の像形成ユニットは、黒用の像形成ユニットであるとともに、像形成位置にある像形成ユニットの上下位置をも示している。図で現像剤28Bkを収納した現像剤溜25は感光体21の重力方向上側に、クリーナ33は下側に位置している。そのため、現像剤溜内では、現像剤が自重で現像ローラ30上に供給され、クリーナ内では、クリーニングブレードにかきおとされたトナーが自重でクリーナ底部に落下する。現像剤溜内部やクリーナ内部に、トナーを移動させるための送り機構や撹拌機構を設けなくても、スムーズに現像やクリーニングを行うことができる。黒色以外の他の現像器15Y、15M、15Cについても同様の構成を有する。
【0030】
図5を用い中間転写ベルトユニット2の構成と動作を説明する。中間転写ベルトユニット2がプリンタ本体に装着されたときには、第1転写ローラ4は、中間転写ベルト3が感光体21と接触しない図5の退避位置4bにある。中間転写ベルトユニット2がプリンタ本体に装着され、像形成動作が開始すると、第1転写ローラ4は、転写位置4aに移動し、転写ベルト3は約1.0kgの力で感光体21に圧接される。この構成によって、像形成ユニット群が回転移動動作中には、像形成ユニットの感光体と中間転写ベルトとは接触しないため感光体が傷つくことがない。また、中間転写体ユニットの交換時に中間転写体が感光体と直接接触することがないのでメンテナンス時に感光体を傷つけることもない。
【0031】
中間転写ベルト3は、厚さ100μmのエンドレスベルト状の半導電性(中抵抗)のウレタンを基材とし、表面層はPFA・PTFE等のフッ素樹脂を用い全体で100〜500μmの厚さとしたフィルムよりなる。中間転写ベルト3は、第1転写ローラ4、第2転写ローラ5、バックアップローラ10およびテンションローラ12に巻回し、矢印Y方向に移動可能に構成される。
【0032】
ここで、転写ベルトの周長は、最大受像紙サイズであるA4受像紙の長手方向の長さ(297mm)に、感光体ドラム21(直径30mm)の周長の半分より若干長い長さ(68mm)を足した365mmに設定している。このとき、第2転写ローラ5と第3転写ローラ34の当接部からクリーニングブレード6の当接部までの中間転写ベルト3の周長は、この68mmの距離より短く、55mmになるように設定されている。
【0033】
中間転写ベルト3の移動速度は、トナー像の中抜け転写を防ぐために像形成ユニット15の像形成の速度(感光体21の周速に等しい65mm/s)より1.5%速くなるように設定されている。
【0034】
第2転写ローラ5とバックアップローラ10はともにアルミニウムで構成されており、低湿時カラートナー像転写の飛び散りを防ぐためにそれぞれ20MΩの抵抗35、36を介して接地されている。
【0035】
第1転写ローラ4は転写位置4aと退避位置4bとの間を移動可能となっており、電気信号により制御される駆動源(図示せず)により、転写位置4aに位置すると転写ベルト3は感光体21に接触し形成されたトナー像を転写することができ、また転写位置4bに位置すると転写ベルト3は感光体21から非接触の位置に離れる。
【0036】
感光体21上のトナー像を転写する際には、第1転写ローラ4とテンションローラ12とには高圧電源37により約+2.5kV(100μA)の電圧が印加される。このとき、第1転写ローラ4を直接感光体21に接触させトナー像を中間転写ベルト3に転写しようとすると、中間転写ベルト3が感光体21に接触する前にいわゆる「前飛び」現象を起こし像が乱れ、また第1転写ローラ4と感光体21との接触圧力を均一に調整することが困難になる。しかし、本発明のように第1転写ローラ4を移動させ、2本のローラ間に架張された中間転写ベルト3を感光体ドラム21に接触させる構成にすると、これら問題は発生しない。
【0037】
導電性ゴム製の第3転写ローラ34は、中間転写ベルト3を介して第2転写ローラ5と圧接されている。中間転写ベルト3上のカラー像形成途中では、ベルト上のトナー像を乱さないようにするために、転写ベルト3より約1mm離れる。またカラートナー像を受像紙38に転写する際には高圧電源39により+3kVの電圧が印加される。
【0038】
40は紙39が中間転写ベルト3から分離するときにトナー像が乱れないようにするための除電針である。この第3転写ローラ34は、トナー像を転写する際の中抜け現象を防ぐために中間転写ベルト3より1.5%遅く回転するように構成している。
【0039】
クリーニングブレード6は、中間転写ベルト3に残留したトナーを清掃する。このクリーニングブレード6は、中間転写ベルト3上のトナー像を乱さないようにするため、カラー像形成中は中間転写ベルト3から離れる構成になっている。トナー像を受像紙へ転写した後中間転写ベルト3に残留したトナーをクリーニングするときには、中間転写ベルト3に接触しトナーをかきおとす。かき落とされたトナーはすくいシール41によって中間ベルトユニット2の外へこぼれるのを防止される。このすくいシール41もクリーニングブレード6の動きに同期して中間転写ベルト3から離接する。
【0040】
図6は中間転写ベルトユニット2の内部に設けられたフォトインタラプタによる位置検出器11の構成を示す斜視図である。中間転写ベルト3の端部には検出孔42があり、位置検出器11はその検出孔42の通過を光学的に検出することによってトナー像の先端位置を決定し、中間転写ベルト3上でのカラー像の位置合わせをおこなう構成である。本願発明では、この中間転写ベルト3は移動と停止を繰り返すため、感光体との同期をとるためにこの位置検出器11の信号が基準となっている。ここで位置検出手段として透過方式の位置検出手段を用いたが、光学式以外の機械方式、電気方式、磁気方式等の検出手段を用いてもよいことは言うまでもない。
【0041】
なお、ここでの説明にはトナー像をベルト上に直接重ね合わせるカラー電子写真装置について説明したが、転写体に紙を巻き付けて紙の上でカラートナー像を重ね合わせる装置であっても本願発明は同様に有効であることはいうまでもない。
【0042】
再び図1に戻り説明する。43はプリンタ外装筐1内の上側に配設したレーザビームスキャナ部であり、半導体レーザ、スキャナモータ43a、ポリゴンミラー43b、レンズ系43c等から構成されている。該スキャナ部43からの画像情報の時系列電気画素信号に対応した画素レーザ信号光20は図1の像形成ユニット15Bkと15Cとの間に構成された光路窓口44を通って、軸18の一部に開けられた窓45を通して軸18内に固定されたミラー46に入射し、反射されて像形成位置19にある像形成ユニット15Bkの露光窓24から像形成ユニット15Bk内に進入し、像形成ユニット内に上下に配設されている現像剤溜25とクリーナ33との間の通路を通って感光体ドラム21の左側面の露光部に入射し母線方向に走査露光される。ここでミラー46までの光路は、隣接する像形成ユニットの外装壁で形成される隙間を利用し、光走査面に略平行な平面で構成したため、狭い隙間でしかも光路を妨げることなく構成できる。隣接する像形成ユニットの隙間が大きいと、光路に入りこむ迷光も多くなる。隙間の幅を20mm以下にすれば、信号光の光路に侵入する迷光を少なくすることができ、実質的に迷光による影響を皆無にできる。さらに、各像形成ユニットの外装壁を黒色にすることにより、たとえ迷光が光路内に侵入しても反射光が弱くなり、感光体帯電電位への影響を少なくできる。光路の側壁(図面前後側)は像形成ユニット群の回転支持体で形成しており、側面からの迷光の侵入を防いでいる。
【0043】
また、ミラー46は像形成ユニット群16の中央部に設けられているため、固定された単一のミラーで構成することができ、シンプルでかつ位置合わせ等が容易な構成である。またミラー46のレーザ反射面が若干下向きになるように光路が設定されているので、機内のほこり等が反射面にたまりにくい構成となっている。
【0044】
34はプリンタ前面板1Aの内側で給送ローラ47の上方に配設した第3転写ローラであり、中間転写ベルト3と第3転写ローラ34との圧接されたニップ部には、プリンタ前面板1Aの下部に設けた紙給送ローラ47により受像紙が送られてくるように受像紙搬送路が形成されている。
【0045】
48a・48bはプリンタの内側上部に設けた定着ローラで、48aの内部にはハロゲンランプ49が設けられている。48aと48bとの間にはポリイミドフィルム50が架張されている。このフィルム50はカラープリントの光沢を出す目的に用いられる。51は定着ローラ48aに対向し設けられたバックアップローラ、52は紙出口側に配設した排紙ローラ対である。以上が本発明の電子写真装置の主要構成の説明である。
【0046】
図1の状態は像形成を行っている状態である。これは、感光体21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト3に転写するために第1転写ローラ4が図5の4aの位置に移動した状態である。像形成ユニット群16が回転移動するとき、または感光体が1回転以上して帯電が安定するまで中間転写ベルトが静止して待機する間、あるいはプリンタ装置の停止状態では、第1転写ローラ4は4bの位置に退避する。この状態では、感光体21は転写ベルト3と接触しない。
【0047】
次に、像形成ユニット15および中間転写ベルトユニット2の交換時の構成と作用を説明する。退避状態4bにおいてプリンタはプリント動作を停止し、プリンタ前面板1Aを開くことによって中間転写体ユニット2の交換が取り出し可能となる。この状態で中間転写ベルトユニット2の出し入れ動作を行っても、動作中に感光体21と中間転写ベルト3とが押し当たり双方に傷をつけることはない。また同時に、プリンタ左面板1Cを開くことによって各像形成ユニット15の交換が取り出し可能となる。他の像形成ユニット15を交換するときは、像形成ユニット群16はこの状態から90゜づつ回転移動した状態で停止する。
【0048】
中間転写ベルト3は、長期の使用にともない次第に表面がトナーの固着などにより劣化する。このベルトの劣化が著しくなると画像が部分的に欠けたり画像に白筋や黒筋が発生する。このためこの中間転写ベルトは、劣化し画像に影響が出る前に交換することが望ましい。ところが、この中間転写ベルトの劣化現象をプリンタ装置内で自動的に検出することは極めて困難である。本願発明では、図5に示すように、中間転写ベルト3を廃トナー溜8とともに一体化してユニット化し、中間転写ベルト3の交換時に廃トナーを同時に捨て去る構成である。このような構成では、中間転写ベルト3が寿命になる前に廃トナー溜8が廃トナーで満杯になるようにその大きさを小さ目の容量に設計しておくとよい。こうすると、中間転写ベルトが劣化して画像欠陥が発生する前に廃トナー溜内部に設置した廃トナー満杯検出器9がトナーの満杯を検出し、ユーザに中間転写ベルトユニット2の交換を指示することができる。このような構成は、直接トナー像を上に形成する中間転写ベルトだけに有効なものではなく、受像紙を周囲に巻き付ける構成の中間転写体であっても同様に有効である。
【0049】
図1のプリンタは、ドキュメントをプリントする第1の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。図1の像形成ユニットの拡大図が図4であり、図4の感光体周辺部の拡大図が図2である。このときの像形成ユニットの感光体帯電電位が図3である。
【0050】
図2において、静止状態の感光体120(図4の感光体21と同一)が回転し始めると同時に、帯電器119に−6.5kVの電圧を印加し、感光体120を帯電させた。このときグリッド119’の印加電圧は−700Vに設定した。感光体120は帯電器幅のB領域(静止時帯電器直下にあった感光体の初めて帯電される領域)を通過し、C領域(感光体が初めて帯電される1回転目領域)ではその帯電電位は一定の値−600Vになった。その後C領域が図2の現像点Rを通過し、幅D領域(静止時帯電器直下にあった部分の2回転目の領域)において若干の電位上昇はみられ、さらにE領域(感光体が2度目に帯電される領域)ではねらいの帯電電位のおおよそ−700Vに収束した。
【0051】
このような感光体の帯電工程と同時に、感光体120のC領域からにレーザビーム走査光121を照射し静電潜像を形成した。このとき感光体の露光電位は−50Vであった。現像スリーブ124表面上に、2成分現像剤123Bkを磁力により付着させ、感光体120表面を現像スリーブ124の前を通過させた。感光体120の未帯電領域(図3のA領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。その後、−700Vに帯電し静電潜像が書き込まれた感光体120の領域(図3のB・C・D・E領域)の通過時には、現像スリーブ124には交流高圧電源により、−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上の非画像部分にトナーが付着することなく、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。矢印方向に回転する現像スリーブ124上の現像剤は、再び現像剤溜内に戻し次の像形成に用いた。こうして感光体120上には黒色のトナー像が得られた。
【0052】
次に再び図1に戻り、装置のカラー像合成動作を説明する。像形成ユニット群16は図1に示す位置にあり、黒の像形成ユニット15Bkが図示のように像形成位置19にある。このとき感光体21は中間転写ベルト3に接触している。先に説明した像形成ユニットの像形成工程により、レーザ露光装置43により黒の信号光が像形成ユニット15Bkに入力され、黒トナーによる像形成が行われた。像形成と同時に第1転写ローラ4とテンションローラ12に印加された電圧の作用で、黒トナー像が中間転写ベルト3上に転写された。このとき第1転写ローラ4とテンションローラ12には前述のように+2.5kVの直流電圧を印加した。
【0053】
黒のトナー像がすべて転写し終わった直後に、第1転写ローラ4は図5に示す4aの位置から4bの位置へと移動し、中間転写ベルト3は像形成ユニット15Bkに接触しない位置に戻った。次に、像形成ユニット群16として全体が移動モータ17に駆動されて図1の矢印Q方向に回転移動し、ちょうど90゜回転して像形成ユニット15Cが像形成位置19に達した位置で止まった。像形成ユニットの感光体以外の現像剤溜25やクリーナ33の部分は、感光体21先端の点線で示す回転円弧より内側に位置している。また、第1転写ローラ4の退避位置4bはこの点線円弧の外側に位置する。そのため、像形成ユニット群の回転移動中に中間転写ベルト3が像形成ユニットに接触することはない。
【0054】
像形成ユニット群16の回転が終了し像形成ユニット15Cが像形成位置19に到達すると、前の黒のユニットと同様に今度はシアンの信号でレーザ露光装置43が像形成ユニット15Cに信号光を入力し、シアンのトナー像の形成と転写が行われた。このとき、前に転写された黒のトナー像に次のシアンのトナー像が位置的に合致するように、図5に示す位置検出器11からの信号に基づいてシアンの信号光の書き込みタイミングが制御された。この間、第3転写ローラ34は中間転写ベルト3と離間している。また、クリーニングブレード6も中間転写ベルト3と離間しており、転写ベルト上のトナー像を乱さない。
【0055】
以上と同様の動作を、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセットから送られる受像紙(図示せず)に、第3転写ローラ34に+3kVの電圧を印加して一括転写した。受像紙に転写されたトナー像は定着ローラ48a・48bにより定着され、その後排出された。こうしてドキュメントを印字した画像が高速で得られた。
【0056】
次に、本願発明の第2の画像形成モードである高画質のグラフィックモードでの画像形成を説明する。
【0057】
いま、図1のプリンタは、グラフィックをプリントする第2の像形成モードの状態にある。画像信号がプリンタに送られ、プリンタは静止状態から像形成状態に移行する。図2に示す像形成ユニットの感光体帯電電位を図3にしめす。静止状態の感光体120が回転し始めると同時に、帯電器119に−6.5kVの電圧を印加し感光体120を帯電させた。このときグリッド119’の印加電圧は−700Vに設定した。感光体120は帯電器幅のB領域(静止時帯電器直下にあった感光体の初めて帯電される領域)を通過し、C領域(感光体が初めて帯電される1回転目領域)ではその帯電電位は一定の値−600Vになった。その後C領域が図2の現像点Rを通過し、幅D領域(静止時帯電器直下にあった部分の2回転目の領域)において若干の電位上昇はみられ、さらにE領域(感光体が2度目に帯電される領域)ではねらいの帯電電位のおおよそ−700Vに収束した。この感光体のE領域がレーザ露光位置にさしかかったとき初めてレーザビーム走査光121を照射し始め画像信号により静電潜像を形成した。このとき感光体の露光電位は−50Vであった。
【0058】
感光体120の帯電工程と平行して同時に、現像スリーブ124表面上に、2成分現像剤123Bkを磁力により付着させ、感光体120表面を現像スリーブ124の前を通過させた。感光体120の未帯電領域(図3のA領域)の通過時は、現像スリーブ124には交流高圧電源により、+100Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。その後、B・C・D・E領域がR点を通過するとき、現像スリーブ124には交流高圧電源により−500Vの直流電圧を重畳した750V0−p(ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数2kHzの矩型波)を印加した。すると、感光体120上には画像部にのみネガポジ反転したトナー像が得られた。図1に示すカラー電子写真装置で、−600Vに帯電した感光体120のB・C・D領域が転写位置を通過する時は、中間転写ベルトユニット2の第1転写ローラ4は4bの位置に退避し、感光体21(図2の感光体120)と非接触の状態で中間転写ベルト3は静止させた。E領域に形成されたトナー像が転写位置を通過するタイミングをとって、中間転写ベルトユニット2の位置検出器11からの信号に基づき第1転写ローラ4を転写位置4aに移動させ、また中間転写ベルト3を停止状態から走行状態へと切り替えた。
【0059】
以上と同様の動作を、シアン、マゼンタ、イエロについても行い、中間転写ベルト3上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のイエロトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセットから送られる受像紙(図示せず)に、第3転写ローラ34に+3kVの電圧を印加して一括転写した。受像紙に転写されたトナー像は定着ローラ48a・48bにより定着され、その後排出された。こうして、感光体の帯電電位の均質な領域のみを用いた第2の画像形成モードによって、高画質のグラフィック画像が得られた。感光体が回転し均一帯電になるまでの間、中間転写ベルトは感光体は静止していたが離間していたので、感光体表面がこすられて損傷することはなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、感光体を各色毎に切り替えてカラー像を合成するカラー電子写真装置において、不必要に時間を浪費せず、しかも感光体の帯電の安定な領域だけを使用し、高画質のカラー画像を得ることができる。また、感光体に傷を与えること無く、均質で美しいカラー像を得ることができるカラー電子写真方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー電子写真方法を用いた装置の構成図
【図2】感光体表面の位置と帯電電位との関係を示す図4を拡大した説明図
【図3】従来例の問題点の感光体の帯電立ち上がり特性を示す説明図
【図4】図1に示す本発明の実施例のカラー電子写真装置に用いられる像形成ユニットの構成を示す構成図
【図5】本発明の実施例のカラー電子写真装置に用いられる中間転写ベルトユニットの構成を示す構成図
【図6】本発明の中間転写体ユニットのベルトの位置を検出する構成を説明する説明図
【図7】従来のカラー電子写真装置の構成図
【符号の説明】
2 中間転写体ユニット
3 中間転写ベルト
4 第1転写ローラ
5 第2転写ローラ
6 クリーニングブレード
10 バックアップローラ
12 テンションローラ
15 像形成ユニット
16 像形成ユニット群
19 像形成位置
20 レーザ信号光
21 感光体
22 帯電器
30 現像ローラ
32 現像バイアス用高圧電源
34 第3転写ローラ
43 レーザ露光装置
46 ミラー
Claims (2)
- 各々が感光体と帯電器とそれぞれ色の異なる現像剤を有する現像手段とを備えた複数の像形成ユニットと、
前記複数の像形成ユニットを配置し移動可能に構成された像形成ユニット群と、
前記感光体上に現像されたトナー像を単一の転写位置で重ね合わせて転写しカラー像を形成する転写体と、
露光手段により単一の位置で像露光を行う露光位置と、
前記転写位置と前記露光位置とに対応した像形成位置と、
前記複数の像形成ユニットのそれぞれを前記像形成位置に順次位置せしめるため像形成ユニット群全体を移動させる移動手段と、を有するカラー電子写真装置に用いるカラー電子写真方法であって、
前記像形成ユニットの感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の前記露光手段による画像書き込み動作を前記感光体の第1周目の帯電領域から行なう第1の像形成モードと、
前記露光手段による画像書き込み動作を前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降から行なう第2の像形成モードとを有するカラー電子写真方法。 - 各々が感光体と帯電器とそれぞれ色の異なる現像剤を有する現像手段とを備えた複数の像形成ユニットと、
前記複数の像形成ユニットを配置し移動可能に構成された像形成ユニット群と、
前記感光体上に現像されたトナー像を重ね合わせて転写する転写位置と前記感光体に非接触になる退避位置との間を移動する転写体と、
露光手段により単一の位置で像露光を行う露光位置と、
前記転写位置と前記露光位置とに対応した像形成位置と、
前記複数の像形成ユニットのそれぞれを前記像形成位置に順次位置せしめるため像形成ユニット群全体を移動させる移動手段と、を有するカラー電子写真装置に用いるカラー電子写真方法であって、
前記像形成ユニットの感光体が前記像形成位置に移動し像形成動作を開始した後の感光体の第1周目の帯電領域から像形成に用いる第1の像形成モードと、
前記感光体の回転の第2周目の帯電領域以降を像形成に用いる第2の像形成モードとを有し、
前記第2の像形成モードの第1周目の感光体回転時には、前記転写体が退避位置にあって静止するカラー電子写真方法。
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- 1995-04-24 JP JP09819795A patent/JP3579115B2/ja not_active Expired - Fee Related
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