JP3578822B2 - ウイング付き紙おむつ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、パンツの内側に配置される紙おむつに係り、さらに詳細には、パンツに装着された紙おむつのパンツに対する相対的なズレを防止する手段として利用されるウイングが形成された紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、上市される紙おむつにおいては、排泄物の漏れを効果的に防止するために、脚回りに立体的に起立するバリヤカフスを設けたり、おむつ側部に縦方向に配設した弾性伸縮部材によりガスケットカフスを形成したり、さらには腰部に弾性伸縮部材を配設し、腰ギャザーを形成することなど、高機能化の傾向が顕著に現れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのバリヤカフス、ガスケットカフス等の機能を有効に発揮させるためには、紙おむつのパンツに対する相対的なズレを効果的に防止する必要がある。紙おむつは、使用中の歩行や運動等によって局部との相対的位置がズレ易く、このような場合には排泄物の漏れが生じ易くなる。したがって、かかるズレを効果的に防止することが重要課題となる。
【0004】
このような課題に対して、紙おむつのズレ防止手段として、乳児などに対して紙おむつ単体で使用する場合、一般的には、紙おむつの背中側の両側に設けるテープファスナーにて着用者にフィットさせるが、おむつを離れ、夜だけおねしょをする子供や、トイレトレーニング期間の子供は、紙おむつ(テープ式)には、抵抗を感じて嫌がる。そのため、パンツ(下着)感覚で使用できるパッドタイプ(パンツに装入してからパンツをはかせる)が好ましい。これによって紙おむつ離れを促進し、かつ幼児に対して違和感を減少させることができる。
【0005】
しかし、この場合には、テープファスナーにより固定しない分、より紙おむつのズレ防止手段の必要性がある。そこで、たとえば紙おむつにおける不透液性バックシートの外面にズレ止め防止用の粘着剤を塗布し、これに離型紙を仮接着し、使用に際しては、その離型紙を剥がして、パンツの内面に粘着剤を介して固定することが考えられる。
【0006】
しかし、着用者の着用するパンツはいろんなタイプのものがあり、しかも一般的に使用されている素材は、着用者の着用感を向上させるために使用される木綿等粘着剤が粘着しにくいものが多い。このため、かかる紙おむつにおいては、いかなる素材のパンツに対しても、粘着できるように、その粘着力を強力にしなければならないものであった。また、粘着前の紙おむつの状態によっては、パンツから紙おむつが剥がれてしまう可能性もあった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、いかなる素材のパンツに対しても、確実にズレを防止することができる紙おむつを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した請求項1記載の発明は、不透液性バックシートと透液性トップシートとの間に吸収体が介在され、パンツの内側に配置される紙おむつにおいて、前記紙おむつの両側縁部における長手方向中間位置にそれぞれウイングが形成されており、これら両ウイングのうちの少なくとも一方に、このウイングと他方のウイングとを連結する連結手段を備え、前記不透液性バックシートは、ポリエチレンからなり、前記連結手段は、前記両ウイングのうちの一方のウイングの不透液性バックシートに固着された本体部と、この本体部と一体であり、他方のウイングの不透液性バックシートに粘着する粘着剤層を備えた止着部とを備えた粘着テープであり、製品状態において、粘着テープの前記本体部は前記一方のウイングの前記不透液性バックシート側にホットメルト接着されると共に、前記止着部はこの不透液性バックシート側から前記一方のウイングの側縁部で折り返され、紙おむつの使用面側に形成された剥離処理部分に仮着され、使用状態において、前記両ウイングをパンツの股間部両側縁からそれぞれ外側に回り込ませ、これら両ウイングと股間部位置の前記不透液性バックシートとの間に前記パンツの股間部を介在させると共に、前記剥離処理部分から前記粘着テープの前記止着部を引き剥がし、この止着部の粘着剤層を前記他方のウイングの不透液性バックシートに粘着させ、前記両ウイングを連結する構成とされた、ことを特徴とするウイング付き紙おむつである。
【0009】
他の実施の態様は、不透液性バックシートと透液性トップシートとの間に吸収体が介在され、パンツの内側に配置される紙おむつにおいて、前記紙おむつの両側縁部における長手方向中間位置にそれぞれウイングが形成されており、これら両ウイングのうちの少なくとも一方に、このウイングと他方のウイングとを連結する連結手段を備え、使用状態において、前記両ウイングがパンツの股間部両側縁からそれぞれ外側に回り込んで、前記連結手段によって両ウイングが連結され、これら両ウイングと前記不透液性バックシートとの間に前記パンツの股間部を介在させる構成とされ、前記両ウイングは、使用状態において平面的にみて重なりあう形態とされており、かつ前記連結手段は、前記両ウイングのうちの一方のウイングにおける他方のウイングと重なりあう部分に設けられた面ファスナー雄部と、他方のウイングにおける一方のウイングと重なりあう部分に設けられた面ファスナー雌部とからなる面ファスナーであり、製品状態において、前記面ファスナーの雄部と前記面ファスナーの雌部とを係着しておくことにより、前記両ウイングが連結され、装着時には、前記面ファスナーの雄部と前記面ファスナーの雌部とを引き剥がし、前記両ウイングを前記パンツの股間部両側縁からそれぞれ外側に回り込ませてこのパンツ外面に当てがい、それぞれの面ファスナーを再び係着することにより、前記両ウイングが連結される構成とされた、ことを特徴とするウイング付き紙おむつである。
【0010】
【作用】
本発明に係る紙おむつは、使用状態において、両ウイングがパンツ股間部のそれぞれ側縁から回り込み、パンツ股間部の外面で両ウイングが連結され、不透液性バックシートの間に股間部が介在される構成とされている。かかる構成によって、パンツ股間部は、不透液性バックシートと両ウイングとによって巻着される構造となる。そのため、紙おむつをパンツに装着した際に、その幅方向のズレを防止できることはもちろん、股間部が最も幅狭であるというパンツの形状と相俟って、長さ方向のズレをも確実に防止することができる。
【0011】
かくして、両ウイングを連結手段により連結することのみで紙おむつのズレ止めを図っており、粘着剤などによりパンツに対して直接固定するものではないので、木綿などのパンツ素材に対する粘着性を考慮する必要はなく、専らウイング相互を連結することのみを考慮すればよい。
【0012】
しかるに、連結手段として粘着テープを用いる場合には、その粘着剤層を他方のウイングの不透液性バックシートに接着する構造を採ることができ、その不透液性バックシートの材質として一般的にポリエチレンが用いられるので、高い接着強度が得られる。
【0013】
また、連結手段として面ファスナーを用いる場合には、両ウイングを高い連結力で連結することができるため、パンツとの相対的なズレを一層効果的に防止することができる。さらに、使用状態のみならず、製品状態においても、面ファスナーを係着しておくことにより、ウイングがぶらつかなくなるため、簡易に包装や保管を行うことができる。装着時には、面ファスナー雄部と雌部とを引き剥がし、パンツの股間部両側縁からそれぞれ外側に回り込ませてパンツ外面に当てがった後、再び面ファスナーの雄部と雌部とを係着することによって、剥離紙等のゴミを出すことなく紙おむつをパンツに巻着することができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。
図1〜図4は本発明の第1実施例を示したもので、この紙おむつは、ポリエチレン等からなる不透液性バックシート1と、不織布などからなる透液性トップシート2と、さらに不透液性バックシート1と透液性トップシート2との間に介在され、たとえば長方形であり、ある程度剛性を有し、綿状パルプ等からなる吸収体3とによって構成されている。なお、吸収体3はその形状保持のために図示しない吸収紙により包むこともできる。
【0015】
不透液性バックシート1は、吸収体3の周囲より外方に延在して方形をなしており、その側方の延在部は、後述するバリヤシート5および透液性トップシート2の側部とともにホットメルト接着剤などにより接合されている。
【0016】
紙おむつの両側部には、使用面側に突出するバリヤカフスB、Bが形成されている。このバリヤカフスBは、図示のように、実質的に幅方向に連続したバリヤシート5が内折りされて2重に形成されたものであり、その内方に一本の弾性伸縮部材6または必要により複数本の弾性伸縮部材が固着され、上記バリヤカフスBを起立させている。バリヤシート5の形成材料としては、プラスチックシートを使用することもできるが、肌の感触性の点で、不織布にシリコン等により撥水処理をしたものが好適に用いられる。
【0017】
また、バリヤカフスBの起立部分以外のフラップ部分には、必要により、バリヤシート5と不透液性バックシート1との間において、複数本のガスケットカフス用弾性伸縮部材7、7…をホットメルト接着剤などによって固着することができる。しかし、この弾性伸縮部材7、7…の収縮により、後述のウイングの平面性を担保しがたくかつパンツに対して固定性を悪化させる原因となるので、設けない方が好適である。
【0018】
このバリヤカフスB、Bは、着用者の脚回りに当接し、そのバリヤカフスB、Bと透液性トップシート2とで囲まれる上方開口のほぼ台形の空間によって、尿または軟便の閉じ込め空間を形成し、この空間内に排尿されると、その尿は透液性トップシート2を通過して吸収体3内に吸収されるとともに、軟便固形分については、バリヤカフスB、Bがバリヤー(障害)となってその乗り越えが防止される。仮に、バリヤカフスB、Bを乗り越えて横方向に尿が漏れたとしても、弾性伸縮部材7、7…によって形成されるガスケットカフスにより横漏れが防止される。
【0019】
さて、本発明に従って、紙おむつにおける長手方向中間の股間部位置の両側部には、不透液性バックシート1とバリヤシート5が、紙おむつ幅方向に突出する形で延在し、ウイング10A、10Bを構成している。そして、ウイング10Aには、その不透液性バックシート1側から、紙おむつ側縁を回り込み、バリヤシート5側まで延在する粘着テープ20が固着されている。この粘着テープ20は、ウイング10Aと10Bとの連結手段として用いられ、図5に示すように、製品状態においては、本体部20Aがウイング10Aに、たとえばホットメルト接着されている。そして、本体部20Aから延在し、ウイング10Aの側縁部で折り返された止着部20Bにおけるウイング10Aと対向する面には、粘着剤層20Cが形成されている。この粘着剤層20Cに対応するウイング10Aの位置には、剥離処理部分21が形成されており、止着部20Bは、粘着剤層20Cを介して剥離処理部分21に仮着されている。
【0020】
この紙おむつをパンツに装着する際には、まず両ウイング10Aと、10BとをパンツPの股間部両側縁からそれぞれ外側に回り込ませ、次いで、撮み部20aを摘んで、剥離処理部分21から粘着テープ20の止着部20Bを引き剥がす。その後、図6に示すように、止着部20Bを開いて、粘着テープ20が固着されていない側のウイング10Bに粘着剤層20Cを粘着する。このようにして粘着テープ20を介してウイング10Aと10Bとを連結し、図7に示すように、不透液性バックシート1と相俟って、パンツPの股間部に巻着する。かくして、パンツPに装着された紙おむつは、その幅方向、長手方向いずれのズレをも確実に防止される。
【0021】
他方、第2実施例に係る紙おむつにおいて、図8および図9に示すように、両ウイング10A、10Bは、使用状態において平面的にみて重なりあう形態とされており、ウイング10Aにおけるウイング10Bと重なりあう部分には面ファスナー雄部30Aが設けられているとともに、ウイング10Bにおける面ファスナー雄部30Aに対応する位置に、面ファスナー雌部30Bが設けられた構成とされている。
【0022】
かかる態様によれば、製品状態において、面ファスナーの雄部30Aと面ファスナーの雌部30Bとを係着しておくことにより、ウイング10Aとウイング10Bとが連結された状態となり、ウイングがぶらつかなくなるため、簡易に包装や保管を行うことができる。
【0023】
また、装着時には、まず面ファスナーの雄部30Aと雌部30Bとを引き剥がし、その後、図10に示すように両ウイング10Aと、10Bとをパンツの股間部両側縁からそれぞれ外側に回り込ませてパンツ外面に当てがい、面ファスナー30を再び係着することによって、剥離紙等のゴミを出すことなく紙おむつをパンツPに巻着することができる。
【0024】
なお、両ウイングを連結する連結手段としては、第1、第2実施例でそれぞれ示した粘着テープや面ファスナーの他にも、たとえば、一方のウイングにおける他方のウイングと重なり合う部分に、粘着剤層を形成しておいたり、あるいはファスナーやホックを使用したりすることなど、適宜の連結手段を用いることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、本発明によれば、いかなる素材にパンツに対しても、確実にズレを防止することができる紙おむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す平面図である。
【図2】その反対面側の平面図である。
【図3】その取りつけ前の状態を示す斜視図である。
【図4】その断面図である。
【図5】製品状態における粘着テープの断面図である。
【図6】その使用状態の断面図である。
【図7】本発明に係る紙おむつの使用状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施例を示す平面図である。
【図9】その断面図である。
【図10】その使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…不透液性バックシート、2…透液性トップシート、3…吸収体、5…バリヤシート、10…ウイング、20…粘着テープ、20A…本体部、20B…止着部、20C…粘着剤層、21…剥離処理部分、25…中間シート、30…面ファスナー、P…パンツ。
Claims (1)
- 不透液性バックシートと透液性トップシートとの間に吸収体が介在され、パンツの内側に配置される紙おむつにおいて、
前記紙おむつの両側縁部における長手方向中間位置にそれぞれウイングが形成されており、これら両ウイングのうちの少なくとも一方に、このウイングと他方のウイングとを連結する連結手段を備え、
前記不透液性バックシートは、ポリエチレンからなり、
前記連結手段は、前記両ウイングのうちの一方のウイングの不透液性バックシートに固着された本体部と、この本体部と一体であり、他方のウイングの不透液性バックシートに粘着する粘着剤層を備えた止着部とを備えた粘着テープであり、
製品状態において、粘着テープの前記本体部は前記一方のウイングの前記不透液性バックシート側にホットメルト接着されると共に、前記止着部はこの不透液性バックシート側から前記一方のウイングの側縁部で折り返され、紙おむつの使用面側に形成された剥離処理部分に仮着され、
使用状態において、前記両ウイングをパンツの股間部両側縁からそれぞれ外側に回り込ませ、これら両ウイングと股間部位置の前記不透液性バックシートとの間に前記パンツの股間部を介在させると共に、前記剥離処理部分から前記粘着テープの前記止着部を引き剥がし、この止着部の粘着剤層を前記他方のウイングの不透液性バックシートに粘着させ、前記両ウイングを連結する構成とされた、
ことを特徴とするウイング付き紙おむつ。
Priority Applications (1)
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JP02635595A JP3578822B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | ウイング付き紙おむつ |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP02635595A JP3578822B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | ウイング付き紙おむつ |
Publications (2)
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JPH08215241A JPH08215241A (ja) | 1996-08-27 |
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Family
ID=12191176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02635595A Expired - Lifetime JP3578822B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | ウイング付き紙おむつ |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP6151594B2 (ja) * | 2013-07-29 | 2017-06-21 | 大王製紙株式会社 | 吸収性物品 |
-
1995
- 1995-02-15 JP JP02635595A patent/JP3578822B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08215241A (ja) | 1996-08-27 |
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