JP3578676B2 - 花挿し器付花器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は花挿し器付花器、詳しくは花などを生ける花器として用いるばかりでなく園芸用の鉢としても利用可能な花挿し器付花器に関する。
【0002】
【従来の技術】
花を生ける道具として、例えば実開平1−139766号公報などに記載された「花挿し器」が知られている。この従来の花挿し器は、花を生ける器である花器の底面に直接載置される塊形状の花挿し器本体に、その上下面を貫通して多数本の花挿し孔が穿設されたものである。なお、それぞれの花挿し孔の口径は、孔全長にわたって一定である。
この花挿し器は、剣山のように花を金属製の針に突き刺して安定させるのではなく、花の茎や幹を、花挿し器本体に穿たれた花挿し孔に挿し立てることで、その茎などを傷めずに生けることができる。よって、比較的花の寿命が長くなる。また、花挿し孔に挿すだけであるので、花の差し替えが簡単である。さらに、危険な針山がないので、取り扱い中に怪我をするおそれもない。したがって、子供や初心者でも、簡単かつ安全に生け花を楽しむことができる。
【0003】
特開平9−327235号公報には、園芸用土を収納する容器で、その上部が開口している透明の合成樹脂製容器が開示されている。この容器の底面には水抜き孔が下部には突起が設けられている。そして、この容器の上部に継ぎ足し部材を被せ、外形が花瓶と似た形状とすることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
実開平1−139766号公報で開示されている花挿し器は、上述の特長があるものの、以下の問題点があった。すなわち、
(1)各花挿し孔の口径は全て同じであった。これにより、一定の太さの茎や枝を有する花でなければ、ガタツキがなく挿し立てることはできなかった。
(2)花は、茎や幹の元側の端部だけを花挿し孔に挿すだけで全体が支持されるので、花挿し器本体は、厚肉で高さのある大型で重いものでなければ、花の安定性が悪かった。
(3)花挿し器本体の下面を、花器の底面に直に接触させて載置するために、花挿し孔の底口が塞がりやすく、茎からの水の吸い上げがうまくいかなくなるなどの不都合があった。
(4)花挿し器と花器とが別体であったので、収納時または洗浄時などに、比較的小さな花挿し器を紛失したり、落として壊したりするおそれがあった。
(5)花挿し孔は、直立した孔だけであったので、花のレイアウトの自由度が乏しく、最近流行のフラワーアレンジメントには、適していなかった。
【0005】
特開平9−327235号公報で開示されている容器(鉢)は、草木を植栽する際、透明性の容器にすることにより植栽中の草木の根の張り具合等を観察可能とするとともに、上部に継ぎ足し部材を脱着自在として、外観を花瓶のように見せる構成となっている。しかしながら、底面に設けている水抜き孔に蓋を閉め、花瓶として使用する場合は、容器自体が透明であるため、不要な幹の部分まで見えてしまい、花器と花および周辺部との調和が取りにくいと言う問題点を有している。
また、透明性であるため、容器の表面に装飾を施すことが困難であり、継ぎ足し部材に装飾を施しても、上下のバランスが取りにくいと言った問題点もある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は、まず実開平1−139766号公報記載の上記課題を解決するため、特願平10−227039号、発明の名称「花挿し器および花挿し器付き花器」において、花を挿し立てる複数の異径の花挿し孔を有する花挿し器本体と、この花挿し器本体を支持する脚部とを備えた花挿し器と、この花挿し器を備えた花挿し器付花器を開示している。また、茎や枝の太さに関係なく花を挿し立てられ、しかも花の安定性が良く、さらに茎や枝からの水の吸い上げも良好な効果があることを開示している。
【0007】
しかしながら、上記花挿し器付き花器は、花器としてのみ用いられるものであり、鉢として用いることができない。また、花器として利用する場合、生ける花の安定性は問題ないが、花の向きを自由に設定することができないと言う問題点を有している。
この問題点を解決する手段を研究した結果、鉢としても利用可能で、しかも生ける花の向きも安定可能な花挿し器付き花器を開発するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、底面に貫通孔が設けられるとともに、底面に複数の切頭円錐型の突起が突設された花器と、複数の異径の花挿し孔を有し、その脚部下端に接合された蓋を上記貫通孔に挿入して貫通孔を封止することにより、上記花器内に設置される花挿し器とを備えた花挿し器付き花器であって、上記記花挿し孔は、その下方側が拡大した形状を有するとともに、上記複数の突起は、上記貫通孔を除いた花器の底面全面に配置されている花挿し器付き花器である。
請求項2に記載の発明は、上記突起は、上記花器の底面に載置された台に立設された請求項1に記載の花挿し器付き花器である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、異径の花挿し孔を複数個設けた花挿し器と、花器の底面に蓋付きの貫通孔を複数箇所設け、この蓋に上記花挿し器の脚部を接合する構造を有しており、さらに、上記花器の底面に突起を設けた構成の花挿し器付花器である。
また上記異径の花挿し孔は、下方に行くに従い径が拡大するテーパ状となっており、この花挿し孔に花の幹を挿入する場合、花挿し孔の下部が拡大しているため、花を生ける角度の自由度が、大きくなる。
【0009】
上記花挿し器付き花器の底面に設けている突起は、図1に示すように根本の径が大きく、先端に行くに従い径が小さくなる形状となっている。このため、隣接する突起3同士が作る空間は、上部が広く下部が狭くなる形状となっている。このため、この空間部に花の幹を挿入して生ける花を固定する場合、幹の大小に対応する自由度が大きくなる。このように突起間の空間部に生ける花の幹4を挿入し固定するので、葉の付き具合、あるいは枝などの付き具合(花の幹の下端と上端とを結ぶ重心軸線と中心線との偏向)によって生ける花の向きが一定となるといった事態を回避することが可能となる。従って、花および枝などの向きをセットする自由度を大きくすることができる。
【0010】
また、上記花器を園芸用の鉢として使用する場合は、花挿し器を蓋ごと取り外し、突起の上に通水性を有し、かつ、耐腐食性を有する不織布を敷き詰め、その上に水苔または腐植土等の栽培用土を直接敷き詰める。
この花器に水を散布した場合、上記栽培用土を通過した余剰の水は、不織布を介して突起間の間隙を通り、底面に設けてある貫通孔より容易に外部に排出することができる。また、培養土を充填した花器の内部も、この培養土と花器の底面とが突起3により所定間隔を保つ構造となっており、非常に通気性良好な構造となっている。このため、特に水はけの良いことを好む洋蘭などの栽培に適している。また、この透水性の異なる不織布を積層することにより、水の通水性もコントロールすることができる。
また、貫通孔の部分には突起がないので、不織布の垂れが発生すれば、これを防ぐ目的で、この部分を覆うよう凸状の板を突起上に載置すればよい。
【0011】
上記花挿し器の材質、形状、大きさなどは限定されない。例えば、形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形以上の多角形および他の任意形状でもよい。また、材質としては、鉛、鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、銀、金などの金属が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、塩化ビニールなどの各種の合成樹脂、各種の木材、各種の石材または硝子および陶磁器等のセラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、比重が大きくて腐食し難い鉛やステンレス、或いは加工が容易な合成樹脂(プラスチック)などが好ましい。
【0012】
上記花挿し器に設ける花挿し孔は、表面より下方に行くに従って拡大するテーパ形状であり、そのテーパを形成する角度、および孔の大きさ、長さ、形成本数などは限定されない。ただし、大小異なる直径のものが必要である。なお、異径の花挿し孔の配列順序は限定されない。例えば同じ直径のもの同士、または、異なる直径のもの同士を、統一された順番または不統一な順番で、1列または2列以上の複数列に並べてもよい。具体例を挙げると、例えば、異径の花挿し孔を矩形のマトリクス状に配置してもよい。
【0013】
上記花器内の底面に設ける貫通孔の位置は、花挿し器の形状を考慮して設ける。例えば、上記花挿し器を4本の脚部で花器内に保持するのであれば、この脚部位置に合わせて花器底面に貫通孔を設ける。また、花挿し器のいずれかの外側面を花器の内側面に係合する場合には、他方の面には少なくとも1または2本の脚部を設ける必要があるので、これに合わせて貫通孔を設ける。
上記貫通孔の形状および大きさは、特に限定されるものではないが、蓋の脱着を考慮すれば、円形とすることが望ましい。また、その大きさは蓋に接合する花挿し器脚部の形状を考慮して適宜決めて良い。また、蓋はねじ込み式としてもよい。
【0014】
花器の素材、形状、大きさなどは限定されない。また、この花器は、主として使用する場所が、床の間や棚に載置され、若しくは、柱や壁などにさげる壁掛けタイプ等の屋内用、または、屋外のテラスや台、もしくは、ベランダの柵などに下げるタイプとに分けることができる。特に屋内用のものは、表面に耐久性を有する装飾が施しやすい陶磁器若しくは硝子などのセラミックス製品が好ましく、または屋内外を問わず柱または柵などの下げるタイプは、防錆処理を施した銅もしくはその合金等が軽量であり好ましい。
【0015】
以下、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器を、図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器の縦断面図である。図2は、この発明の他の実施例であり、花挿し器付き花器の底面に突起を設けた場合の縦断面図である。図3の(A)は図2に示す花器底面突起の部分拡大断面図、同(B)はその平面図である。図4は、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器を花器として使用した状態を示す斜視図である。図5は、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器を鉢として使用した状態を示す縦断面図である。
図1および図2において、1は本発明に係る花器の一例である。11は、花器1内に設置されている花挿し器である。この花挿し器11には、花を挿し立てる異径の花挿し孔12が複数個設けられており、その形状は図示するように下方に行くに従い拡大するテーパ状となっている。また、花挿し器本体11は、本図の例では一方を花器1の内壁に係合し、他方を支持する2本の脚部13を備えている。
【0016】
また、花器1の底面には、切頭円錐型の突起3が複数本、整列して配設されている。この突起3は、貫通孔がある場所を除き、底面全体に配設した方が好ましいが、少なくとも花挿し器11の下部には設けておいた方が好ましい。突起3と突起3との間隔は、花器1の形状、生ける花などの草木の種類により決まってくるので、特に限定することができない。また、突起3の素材は、比較的茎の柔らかい花などは、さほど素材を限定する必要がないので、花器1と同一素材として、底面より直接突設させても良い。しかしながら、幹の固い物を生ける場合は、図2に示すように、別素材として靭性および剛性を有し、かつ錆難いステンレス、アルミ合金、銅合金等で形成する。また、加工が容易で、かつ重量を有する鉛または鉛合金等で台を製作し、これに上記素材で形成した突起3を立設する。この突起3を立設した台2を花器1の底面に載置する。
【0017】
花挿し器11の製作方法としては、各脚部13および蓋の芯と一体的に、図外の金型に鉛、アルミ、若しくは銅およびこれら合金を流し込んで鋳造される鋳造法、または同じく図外の金型に合成樹脂の溶融物を流し込んで製作する方法、あるいは、粘土等の塑性材料で成型後焼成する方法等を例示することができる。
例えば花挿し器11には、表面内径と底面の径が15〜5mm、または表面内径が15〜5mm、底面の径が拡大する傾斜を付けた花挿し孔12が設けられている。これにより、花などを生ける角度の自由度を確保することが可能となり、レイアウトの自由度も大きくなる。
【0018】
次に、この花挿し器付き花器に花を生ける場合は、図1,図2に示すように、まず花器1の底面に設けられている貫通孔7に花挿し器の脚部下端に接合されている蓋8を挿入する。花器1内に花挿し器をセットした後、水を注ぎ、花挿し器11の花挿し孔12に、茎の太さや枝のつき具合に応じて花を挿通する。この際、花器1の底面に突起3を備えていれば、この突起3間の空間部に幹4の端部を差し込んで、花の向きおよび方向を固定する。
この際、挿し立てられた花は、その茎や枝の元部が、花器1の底面と、これより所定高さだけ上方に配置された花挿し孔12との、比較的距離が離れた2点で支持される。その結果、花の安定性が良い。
また、脚部13を設けたことで、花挿し器11と花器1の底面との間には、比較的大きな空間が形成されるとともに、花器の底面と花の幹とが直接接触することがないので、茎や枝からの水の吸い上げも良好になる。
【0019】
図3のように、上記花器1を植木用の鉢として使用する場合、まず、花挿し器11を蓋8ごと撤去し、透水性の不織布5または多孔板の上に砂利を引き、その上に水苔または腐植土等の栽培用土6を被せ、種をまくか、或いは苗木を植え込む。
【0020】
上記花器兼鉢1の底面に設けられた貫通孔7を閉止する蓋8の表面の素材は、ゴム、合成樹脂またはコルクなどの弾力性を有し、かつ、軟質弾性材料とすることが好ましい。このうち、取扱の容易さと耐久性の面よりゴム、特にシリコーンゴム製が好ましい。また、蓋を上記材料で形成し、花挿し器の脚部と接着剤などにより接合しても良い。
以上、この発明の一実施例を説明したが、この発明はこの実施例に限定されず、要旨を逸脱しない範囲での設計変更があってもこの発明に含まれる。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、花挿し器付花器は、花を挿し立てる複数の異径の花挿し孔を有しているので、茎や枝の太さや向きに関係なく花を生けることができる。
しかも、この花挿し孔は下方になるにしたがい拡大する形状となっているので、傾斜を付けた花挿し孔を設けることなく、生ける花の自由度を大きくとることができる。
さらに、上記花器兼鉢の底面にテーパ付きの突起を備えているので、生ける花の葉および枝の付き具合に影響されずに、安定して花の向きをセットすることができる。
【0022】
また、本発明の花挿し器付花器を園芸用の鉢として使用することができる。この場合、特に上記花器の底面に突起を設けた場合、花挿し器兼鉢の底面側の通気性を確保することができるため、害虫の発生を防止することができる。
本発明の花器の材質を陶磁器または硝子などのセラミックスで形成すれば、耐久性があり、しかも表面に芸術性を有する装飾を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る花挿し器付花器の縦断面図である。
【図2】この発明の他の実施例であり、花挿し器付き花器の底面に突起を設けた場合の縦断面図である。
【図3】図2の部分詳細断面図(A)と、その平面図(B)である。
【図4】この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器兼鉢を花器として使用した状態を示す斜視図である。
【図5】この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器兼鉢を鉢として使用した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:花器
3:突起
8:蓋
11:花押し器
12:花押し孔
13:脚部
【発明の属する技術分野】
この発明は花挿し器付花器、詳しくは花などを生ける花器として用いるばかりでなく園芸用の鉢としても利用可能な花挿し器付花器に関する。
【0002】
【従来の技術】
花を生ける道具として、例えば実開平1−139766号公報などに記載された「花挿し器」が知られている。この従来の花挿し器は、花を生ける器である花器の底面に直接載置される塊形状の花挿し器本体に、その上下面を貫通して多数本の花挿し孔が穿設されたものである。なお、それぞれの花挿し孔の口径は、孔全長にわたって一定である。
この花挿し器は、剣山のように花を金属製の針に突き刺して安定させるのではなく、花の茎や幹を、花挿し器本体に穿たれた花挿し孔に挿し立てることで、その茎などを傷めずに生けることができる。よって、比較的花の寿命が長くなる。また、花挿し孔に挿すだけであるので、花の差し替えが簡単である。さらに、危険な針山がないので、取り扱い中に怪我をするおそれもない。したがって、子供や初心者でも、簡単かつ安全に生け花を楽しむことができる。
【0003】
特開平9−327235号公報には、園芸用土を収納する容器で、その上部が開口している透明の合成樹脂製容器が開示されている。この容器の底面には水抜き孔が下部には突起が設けられている。そして、この容器の上部に継ぎ足し部材を被せ、外形が花瓶と似た形状とすることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
実開平1−139766号公報で開示されている花挿し器は、上述の特長があるものの、以下の問題点があった。すなわち、
(1)各花挿し孔の口径は全て同じであった。これにより、一定の太さの茎や枝を有する花でなければ、ガタツキがなく挿し立てることはできなかった。
(2)花は、茎や幹の元側の端部だけを花挿し孔に挿すだけで全体が支持されるので、花挿し器本体は、厚肉で高さのある大型で重いものでなければ、花の安定性が悪かった。
(3)花挿し器本体の下面を、花器の底面に直に接触させて載置するために、花挿し孔の底口が塞がりやすく、茎からの水の吸い上げがうまくいかなくなるなどの不都合があった。
(4)花挿し器と花器とが別体であったので、収納時または洗浄時などに、比較的小さな花挿し器を紛失したり、落として壊したりするおそれがあった。
(5)花挿し孔は、直立した孔だけであったので、花のレイアウトの自由度が乏しく、最近流行のフラワーアレンジメントには、適していなかった。
【0005】
特開平9−327235号公報で開示されている容器(鉢)は、草木を植栽する際、透明性の容器にすることにより植栽中の草木の根の張り具合等を観察可能とするとともに、上部に継ぎ足し部材を脱着自在として、外観を花瓶のように見せる構成となっている。しかしながら、底面に設けている水抜き孔に蓋を閉め、花瓶として使用する場合は、容器自体が透明であるため、不要な幹の部分まで見えてしまい、花器と花および周辺部との調和が取りにくいと言う問題点を有している。
また、透明性であるため、容器の表面に装飾を施すことが困難であり、継ぎ足し部材に装飾を施しても、上下のバランスが取りにくいと言った問題点もある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は、まず実開平1−139766号公報記載の上記課題を解決するため、特願平10−227039号、発明の名称「花挿し器および花挿し器付き花器」において、花を挿し立てる複数の異径の花挿し孔を有する花挿し器本体と、この花挿し器本体を支持する脚部とを備えた花挿し器と、この花挿し器を備えた花挿し器付花器を開示している。また、茎や枝の太さに関係なく花を挿し立てられ、しかも花の安定性が良く、さらに茎や枝からの水の吸い上げも良好な効果があることを開示している。
【0007】
しかしながら、上記花挿し器付き花器は、花器としてのみ用いられるものであり、鉢として用いることができない。また、花器として利用する場合、生ける花の安定性は問題ないが、花の向きを自由に設定することができないと言う問題点を有している。
この問題点を解決する手段を研究した結果、鉢としても利用可能で、しかも生ける花の向きも安定可能な花挿し器付き花器を開発するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、底面に貫通孔が設けられるとともに、底面に複数の切頭円錐型の突起が突設された花器と、複数の異径の花挿し孔を有し、その脚部下端に接合された蓋を上記貫通孔に挿入して貫通孔を封止することにより、上記花器内に設置される花挿し器とを備えた花挿し器付き花器であって、上記記花挿し孔は、その下方側が拡大した形状を有するとともに、上記複数の突起は、上記貫通孔を除いた花器の底面全面に配置されている花挿し器付き花器である。
請求項2に記載の発明は、上記突起は、上記花器の底面に載置された台に立設された請求項1に記載の花挿し器付き花器である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、異径の花挿し孔を複数個設けた花挿し器と、花器の底面に蓋付きの貫通孔を複数箇所設け、この蓋に上記花挿し器の脚部を接合する構造を有しており、さらに、上記花器の底面に突起を設けた構成の花挿し器付花器である。
また上記異径の花挿し孔は、下方に行くに従い径が拡大するテーパ状となっており、この花挿し孔に花の幹を挿入する場合、花挿し孔の下部が拡大しているため、花を生ける角度の自由度が、大きくなる。
【0009】
上記花挿し器付き花器の底面に設けている突起は、図1に示すように根本の径が大きく、先端に行くに従い径が小さくなる形状となっている。このため、隣接する突起3同士が作る空間は、上部が広く下部が狭くなる形状となっている。このため、この空間部に花の幹を挿入して生ける花を固定する場合、幹の大小に対応する自由度が大きくなる。このように突起間の空間部に生ける花の幹4を挿入し固定するので、葉の付き具合、あるいは枝などの付き具合(花の幹の下端と上端とを結ぶ重心軸線と中心線との偏向)によって生ける花の向きが一定となるといった事態を回避することが可能となる。従って、花および枝などの向きをセットする自由度を大きくすることができる。
【0010】
また、上記花器を園芸用の鉢として使用する場合は、花挿し器を蓋ごと取り外し、突起の上に通水性を有し、かつ、耐腐食性を有する不織布を敷き詰め、その上に水苔または腐植土等の栽培用土を直接敷き詰める。
この花器に水を散布した場合、上記栽培用土を通過した余剰の水は、不織布を介して突起間の間隙を通り、底面に設けてある貫通孔より容易に外部に排出することができる。また、培養土を充填した花器の内部も、この培養土と花器の底面とが突起3により所定間隔を保つ構造となっており、非常に通気性良好な構造となっている。このため、特に水はけの良いことを好む洋蘭などの栽培に適している。また、この透水性の異なる不織布を積層することにより、水の通水性もコントロールすることができる。
また、貫通孔の部分には突起がないので、不織布の垂れが発生すれば、これを防ぐ目的で、この部分を覆うよう凸状の板を突起上に載置すればよい。
【0011】
上記花挿し器の材質、形状、大きさなどは限定されない。例えば、形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形以上の多角形および他の任意形状でもよい。また、材質としては、鉛、鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、銀、金などの金属が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、塩化ビニールなどの各種の合成樹脂、各種の木材、各種の石材または硝子および陶磁器等のセラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、比重が大きくて腐食し難い鉛やステンレス、或いは加工が容易な合成樹脂(プラスチック)などが好ましい。
【0012】
上記花挿し器に設ける花挿し孔は、表面より下方に行くに従って拡大するテーパ形状であり、そのテーパを形成する角度、および孔の大きさ、長さ、形成本数などは限定されない。ただし、大小異なる直径のものが必要である。なお、異径の花挿し孔の配列順序は限定されない。例えば同じ直径のもの同士、または、異なる直径のもの同士を、統一された順番または不統一な順番で、1列または2列以上の複数列に並べてもよい。具体例を挙げると、例えば、異径の花挿し孔を矩形のマトリクス状に配置してもよい。
【0013】
上記花器内の底面に設ける貫通孔の位置は、花挿し器の形状を考慮して設ける。例えば、上記花挿し器を4本の脚部で花器内に保持するのであれば、この脚部位置に合わせて花器底面に貫通孔を設ける。また、花挿し器のいずれかの外側面を花器の内側面に係合する場合には、他方の面には少なくとも1または2本の脚部を設ける必要があるので、これに合わせて貫通孔を設ける。
上記貫通孔の形状および大きさは、特に限定されるものではないが、蓋の脱着を考慮すれば、円形とすることが望ましい。また、その大きさは蓋に接合する花挿し器脚部の形状を考慮して適宜決めて良い。また、蓋はねじ込み式としてもよい。
【0014】
花器の素材、形状、大きさなどは限定されない。また、この花器は、主として使用する場所が、床の間や棚に載置され、若しくは、柱や壁などにさげる壁掛けタイプ等の屋内用、または、屋外のテラスや台、もしくは、ベランダの柵などに下げるタイプとに分けることができる。特に屋内用のものは、表面に耐久性を有する装飾が施しやすい陶磁器若しくは硝子などのセラミックス製品が好ましく、または屋内外を問わず柱または柵などの下げるタイプは、防錆処理を施した銅もしくはその合金等が軽量であり好ましい。
【0015】
以下、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器を、図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器の縦断面図である。図2は、この発明の他の実施例であり、花挿し器付き花器の底面に突起を設けた場合の縦断面図である。図3の(A)は図2に示す花器底面突起の部分拡大断面図、同(B)はその平面図である。図4は、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器を花器として使用した状態を示す斜視図である。図5は、この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器を鉢として使用した状態を示す縦断面図である。
図1および図2において、1は本発明に係る花器の一例である。11は、花器1内に設置されている花挿し器である。この花挿し器11には、花を挿し立てる異径の花挿し孔12が複数個設けられており、その形状は図示するように下方に行くに従い拡大するテーパ状となっている。また、花挿し器本体11は、本図の例では一方を花器1の内壁に係合し、他方を支持する2本の脚部13を備えている。
【0016】
また、花器1の底面には、切頭円錐型の突起3が複数本、整列して配設されている。この突起3は、貫通孔がある場所を除き、底面全体に配設した方が好ましいが、少なくとも花挿し器11の下部には設けておいた方が好ましい。突起3と突起3との間隔は、花器1の形状、生ける花などの草木の種類により決まってくるので、特に限定することができない。また、突起3の素材は、比較的茎の柔らかい花などは、さほど素材を限定する必要がないので、花器1と同一素材として、底面より直接突設させても良い。しかしながら、幹の固い物を生ける場合は、図2に示すように、別素材として靭性および剛性を有し、かつ錆難いステンレス、アルミ合金、銅合金等で形成する。また、加工が容易で、かつ重量を有する鉛または鉛合金等で台を製作し、これに上記素材で形成した突起3を立設する。この突起3を立設した台2を花器1の底面に載置する。
【0017】
花挿し器11の製作方法としては、各脚部13および蓋の芯と一体的に、図外の金型に鉛、アルミ、若しくは銅およびこれら合金を流し込んで鋳造される鋳造法、または同じく図外の金型に合成樹脂の溶融物を流し込んで製作する方法、あるいは、粘土等の塑性材料で成型後焼成する方法等を例示することができる。
例えば花挿し器11には、表面内径と底面の径が15〜5mm、または表面内径が15〜5mm、底面の径が拡大する傾斜を付けた花挿し孔12が設けられている。これにより、花などを生ける角度の自由度を確保することが可能となり、レイアウトの自由度も大きくなる。
【0018】
次に、この花挿し器付き花器に花を生ける場合は、図1,図2に示すように、まず花器1の底面に設けられている貫通孔7に花挿し器の脚部下端に接合されている蓋8を挿入する。花器1内に花挿し器をセットした後、水を注ぎ、花挿し器11の花挿し孔12に、茎の太さや枝のつき具合に応じて花を挿通する。この際、花器1の底面に突起3を備えていれば、この突起3間の空間部に幹4の端部を差し込んで、花の向きおよび方向を固定する。
この際、挿し立てられた花は、その茎や枝の元部が、花器1の底面と、これより所定高さだけ上方に配置された花挿し孔12との、比較的距離が離れた2点で支持される。その結果、花の安定性が良い。
また、脚部13を設けたことで、花挿し器11と花器1の底面との間には、比較的大きな空間が形成されるとともに、花器の底面と花の幹とが直接接触することがないので、茎や枝からの水の吸い上げも良好になる。
【0019】
図3のように、上記花器1を植木用の鉢として使用する場合、まず、花挿し器11を蓋8ごと撤去し、透水性の不織布5または多孔板の上に砂利を引き、その上に水苔または腐植土等の栽培用土6を被せ、種をまくか、或いは苗木を植え込む。
【0020】
上記花器兼鉢1の底面に設けられた貫通孔7を閉止する蓋8の表面の素材は、ゴム、合成樹脂またはコルクなどの弾力性を有し、かつ、軟質弾性材料とすることが好ましい。このうち、取扱の容易さと耐久性の面よりゴム、特にシリコーンゴム製が好ましい。また、蓋を上記材料で形成し、花挿し器の脚部と接着剤などにより接合しても良い。
以上、この発明の一実施例を説明したが、この発明はこの実施例に限定されず、要旨を逸脱しない範囲での設計変更があってもこの発明に含まれる。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、花挿し器付花器は、花を挿し立てる複数の異径の花挿し孔を有しているので、茎や枝の太さや向きに関係なく花を生けることができる。
しかも、この花挿し孔は下方になるにしたがい拡大する形状となっているので、傾斜を付けた花挿し孔を設けることなく、生ける花の自由度を大きくとることができる。
さらに、上記花器兼鉢の底面にテーパ付きの突起を備えているので、生ける花の葉および枝の付き具合に影響されずに、安定して花の向きをセットすることができる。
【0022】
また、本発明の花挿し器付花器を園芸用の鉢として使用することができる。この場合、特に上記花器の底面に突起を設けた場合、花挿し器兼鉢の底面側の通気性を確保することができるため、害虫の発生を防止することができる。
本発明の花器の材質を陶磁器または硝子などのセラミックスで形成すれば、耐久性があり、しかも表面に芸術性を有する装飾を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る花挿し器付花器の縦断面図である。
【図2】この発明の他の実施例であり、花挿し器付き花器の底面に突起を設けた場合の縦断面図である。
【図3】図2の部分詳細断面図(A)と、その平面図(B)である。
【図4】この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器兼鉢を花器として使用した状態を示す斜視図である。
【図5】この発明の一実施例に係る花挿し器付き花器兼鉢を鉢として使用した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:花器
3:突起
8:蓋
11:花押し器
12:花押し孔
13:脚部
Claims (2)
- 底面に貫通孔が設けられるとともに、底面に複数の切頭円錐型の突起が突設された花器と、
複数の異径の花挿し孔を有し、その脚部下端に接合された蓋を上記貫通孔に挿入して貫通孔を封止することにより、上記花器内に設置される花挿し器とを備えた花挿し器付き花器であって、
上記記花挿し孔は、その下方側が拡大した形状を有するとともに、
上記複数の突起は、上記貫通孔を除いた花器の底面全面に配置されている花挿し器付き花器。 - 上記突起は、上記花器の底面に載置された台に立設された請求項1に記載の花挿し器付き花器。
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