JP3578642B2 - 陰極線管装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビ受像機やディスプレイモニタ等に用いられる陰極線管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の陰極線管装置においては、電子ビームが水平方向に走査するとき、有効画面の中央部と有効画面の短辺部とでは、偏向中心からの距離が異なるため、同じ偏向角でも電子ビームの走査距離が異なる。このことによる表示画像の歪みを補正するため、偏向電流波形である鋸歯状波の傾斜部分をS字状にするS字補正が行われている。
【0003】
この場合、S字補正量を一定にして、有効画面の水平方向の左右端部である有効画面の短辺部で左右ピン歪が零となるような補正が行われている。しかし、近年、陰極線管装置の大型化、陰極線管装置の画面のフラット化に伴い、電子ビームの偏向中心から有効画面の中央部までの距離と前記偏向中心から有効画面の短辺部までの距離との差がさらに大きくなってきたため、図6(a)に示すように、有効画面Aの中央を通り有効画面Aの短辺Ya と平行なy軸と有効画面Aの短辺Ya との中間部において左右に縦線の中間ピン歪1a、1bが生じたり、図6(b)に示すように、有効画面Aの中央を通り有効画面Aの長辺Xa に平行なx軸と有効画面Aの長辺Xa との中間部において上下に横線の中間ピン歪1e、1fが生じ、特に、CADなどの作業を行う場合に、有効画面A上で直線が曲線状に歪んだり、真円が楕円状に歪むなどの現象が現れ、作業性が低下するという問題点が生じるに至った。
【0004】
そこで、従来の陰極線管装置においては、例えば、特開平5−83585号公報に開示されているように、偏向回路に変調用トランスなどの付加回路を設けて、垂直信号と同期したパラボラ波を水平信号に重畳することにより、有効画面A上の上記縦線の中間ピン歪1a、1bの歪み量δ′を抑制するようにされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成を有する従来の陰極線管装置では、偏向回路に新たに変調用トランスなどの付加回路を設ける必要があるため、前記付加回路を有しないものに比べ、偏向電力が約10%アップしたり、装置の価格が前記付加回路分だけアップするといった問題点があった。
【0006】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、偏向電力及び装置の価格をアップさせることなく、有効画面上の中間ピン歪の歪み量を抑制することのできる陰極線管装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る陰極線管装置の第1の構成は、内面に蛍光体スクリーン面が形成された実質的に長方形状のフェースパネル、コーン部及び内部に電子銃を有するネック部を順次形成してなるガラスバルブと、前記ガラスバルブのコーン部及びネック部の外周面上に設けられた偏向コイルと、前記偏向コイルに偏向電流を印加するための偏向回路とを備えた陰極線管装置であって、
前記フェースパネル内の有効画面の形状が、中間ピン歪の歪み量を抑制する変曲点のない凹曲面であると共に、前記有効画面の長辺上の断面曲率半径をRt 、前記有効画面の中心(原点)を通り前記有効画面の長手方向に沿った軸(長軸)上の断面曲率半径をRh としたとき、Rt /Rh が1〜1.9の範囲内に設定されており、
前記有効画面の中心(原点)から前記有効画面の対角端部までの距離をD、前記有効画面の長辺の半分の長さをH、前記有効画面の短辺の半分の長さをV、前記有効画面のアスペクト比V/Hをα、前記有効画面の対角軸上の断面曲率半径をRd 、偏向角の半分の角をθD とし、δとσを下記(数7)、(数8)で定義したとき、Rt /Rh が下記(数9)の関係を満たすことを特徴とする。
【数7】
【数8】
【数9】
この陰極線管装置の第1の構成によれば、偏向回路に新たに変調用トランスなどの付加回路を設けることなく、中間ピン歪の歪み量を抑制することができるので、偏向電力を小さくすることができると共に、安価な陰極線管装置を実現することができる。この場合、フェースパネル内の有効画面の形状が、中間ピン歪の歪み量を抑制する変曲点のない凹曲面であり、かつ、前記有効画面の長辺上の断面曲率半径をRt 、前記有効画面の中心(原点)を通り前記有効画面の長手方向に沿った軸(長軸)上の断面曲率半径をRh としたとき、Rt /Rh が1〜1.9の範囲内に設定されているので、CADなどの作業を行う場合に、有効画面上で直線が曲線状に歪んだり、真円が楕円状に歪むなどの現象が現れることはない。従って、作業性が低下することのない陰極線管装置を実現することができる。
【0012】
また、前記本発明の陰極線管装置の第1の構成においては、Rd =Rh の関係を満たすのが好ましい。
また、本発明に係る陰極線管装置の第2の構成は、内面に蛍光体スクリーン面が形成された実質的に長方形状のフェースパネル、コーン部及び内部に電子銃を有するネック部を順次形成してなるガラスバルブと、前記ガラスバルブのコーン部及びネック部の外周面上に設けられた偏向コイルと、前記偏向コイルに偏向電流を印加するための偏向回路とを備えた陰極線管装置であって、
前記フェースパネル内の有効画面の形状が、中間ピン歪の歪み量を抑制する変曲点のない凹曲面であると共に、前記有効画面の短辺上の断面曲率半径をRs 、前記有効画面の中心(原点)を通り前記有効画面の短手方向に沿った軸(短軸)上の断面曲率半径をRv としたとき、Rs /Rv が1〜3.4の範囲内に設定されており、
前記有効画面の中心(原点)から前記有効画面の対角端部までの距離をD、前記有効画面の長辺の半分の長さをH、前記有効画面の短辺の半分の長さをV、前記有効画面のアスペクト比V/Hをα、前記有効画面の対角軸上の断面曲率半径をRd 、偏向角の半分の角をθD とし、εとτを下記(数10)、(数11)で定義したとき、Rs /Rv が下記(数12)の関係を満たすことを特徴とする。
【数10】
【数11】
【数12】
この陰極線管装置の第2の構成によれば、偏向回路に新たに変調用トランスなどの付加回路を設けることなく、中間ピン歪の歪み量を抑制することができるので、偏向電力を小さくすることができると共に、安価な陰極線管装置を実現することができる。この場合、フェースパネル内の有効画面の形状が、中間ピン歪の歪み量を抑制する変曲点のない凹曲面であり、かつ、前記有効画面の短辺上の断面曲率半径をRs 、前記有効画面の中心(原点)を通り前記有効画面の短手方向に沿った軸(短軸)上の断面曲率半径をRv としたとき、Rs /Rv が1〜3.4の範囲内に設定されているので、CADなどの作業を行う場合に、有効画面上で直線が曲線状に歪んだり、真円が楕円状に歪むなどの現象が現れることはない。従って、作業性が低下することのない陰極線管装置を実現することができる。
【0016】
また、前記本発明の陰極線管装置の第2の構成においては、Rd =Rv の関係を満たすのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
図1は本発明の実施の形態における陰極線管装置を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態の陰極線管装置2は、内面に蛍光体スクリーン面3が形成された実質的に長方形状のフェースパネル4、コーン部5及び内部に電子銃6を有するネック部7を順次形成してなるガラスバルブ8と、ガラスバルブ8のコーン部5及びネック部7の外周面上に設けられた偏向コイル9を有する偏向装置10と、偏向コイル9に偏向電流を印加するための偏向回路11とを備えている。フェースパネル4の内側の画像の表示を行う有効画面Aの形状は、凹曲面4aとされており、これにより中間ピン歪の歪み量を抑制することができるようにされている。すなわち、有効画面Aは、図2に実線で示すように、変曲点のない曲面状に形成されている。例えば、フェースパネル4の内側の有効画面Aの中心を原点Oとし、原点Oを通り有効画面Aの長辺Xa と平行な線をx軸、原点Oを通り有効画面Aの短辺Ya と平行な線をy軸、原点Oを通り管軸と平行な線をz軸とする直交座標系を用い、フェースパネル4の内面の任意の点(x、y、z)における原点Oから管軸方向への落差ZがZ=a1 x2 +a2 x4 +a3 y2 +a4 x2 y2 +a5 x4 y2 +a6 y4 +a7 x2 y4 の関係を満たす変曲点のない曲面状に形成されている。
【0018】
ここで、図4(a)に示すように、有効画面Aの中心(原点O)から有効画面Aの対角端部までの距離をD、原点Oから偏向中心までの距離をl、偏向角の半分の角(偏向半角)をθD 、有効画面Aの長辺Xa の半分の長さをH、有効画面Aの短辺Yaの半分の長さをV、有効画面Aのアスペクト比V/Hをαとする。また、図2に示すように、原点Oを通り有効画面Aの長辺Xa と平行な線上の断面曲率半径(以下「水平軸上曲率半径」という。)をRh 、有効画面Aの長辺Xa 上の断面曲率半径(以下「長辺上曲率半径」という。)をRt 、原点Oを通り有効画面Aの短辺Ya と平行な線上の断面曲率半径(以下「垂直軸上曲率半径」という。)をRv 、有効画面Aの短辺Ya 上の断面曲率半径(以下「短辺上曲率半径」という。)をRs 、有効画面Aの対角軸上の断面曲率半径をRd とする。
【0019】
この場合、図4(a)から明らかなように、下記(数13)の関係が成り立つ。
【0020】
【数13】
【0021】
また、偏向半角θD の水平方向成分θH は、下記(数14)で表される。
【0022】
【数14】
【0023】
また、x=βHにおける入射角θβ H は、下記(数15)で表される。
【0024】
【数15】
【0025】
上記(数13)を上記(数15)に代入すると、下記(数16)が得られる。
【0026】
【数16】
【0027】
図4(b)は有効画面Aの長辺Xa の断面を示したものであり、(1)は断面曲率半径がRt1の従来の曲面、(2)は断面曲率半径がRt2の本実施の形態の曲面を示している。
【0028】
図4(b)に示す落差Z1 、Z2 は、下記(数17)、(数18)のように表すことができる。
【0029】
【数17】
【0030】
【数18】
【0031】
これらを2次式で近似すると、それぞれの曲線(1)、(2)上の落差は、下記(数19)、(数20)のように表すことができる。
【0032】
【数19】
【0033】
【数20】
【0034】
ここで、落差Z1 と落差Z2 との差を下記(数21)のように表せば、x=βHにおける曲線(1)上の落差と曲線(2)上の落差との差γは、下記(数22)のように表すことができる。
【0035】
【数21】
【0036】
【数22】
【0037】
Rt2=kRt1とおけば、上記(数17)、(数18)、(数21)より、落差Z1 と落差Z2 との差bは下記(数23)で近似することができる。
【0038】
【数23】
【0039】
x=βHにおける縦線の中間ピン歪の補正量σβ H は、上記(数16)、(
数22)、(数23)を用い、かつ、Rt1をRh と置き換えることにより、下記(数24)のように表すことができる。
【0040】
【数24】
【0041】
よって、縦線の中間ピン歪の補正率σ′β H は、上記(数24)を有効画面
Aの短辺Ya の長さ2Vで規格化して、下記(数25)のように表すことができる。
【0042】
【数25】
【0043】
また、x=(3/4)H付近における本実施の形態の適用前の縦線の中間ピン歪の原歪み量δ′は、有効画面の形状が曲面である陰極線管装置の各品種の実績値より、下記(数26)の実験式で表すことができる。
【0044】
【数26】
【0045】
ここで、A=7.7920×10−3、B=2.9428×10−2である。
従って、縦線の中間ピン歪の補正後の歪み量ρは、下記(数27)で表すことができる。
【0046】
【数27】
【0047】
縦線の中間ピン歪の補正後の歪み量ρの規格値をL%とすると、下記(数28)でkの値を規定することができるので、β=3/4とし、また、δとσを下記(数29)、(数30)で定義し、下記(数28)を、上記(数24)、(数26)、(数27)を用いて変形すれば、k=Rt2/Rt1=Rt /Rh の範囲を規定する式として下記(数31)が得られる。
【0048】
【数28】
【0049】
【数29】
【0050】
【数30】
【0051】
【数31】
【0052】
縦線の中間ピン歪み率(縦線の中間ピン歪(1a、1b)の補正後の歪み量ρ/有効画面Aの短辺Ya 長さの半分)の許容限界値L(この値は、実際のディスプレイの官能テストで決められる)が±0.24%となるように、k=Rt2/Rt1=Rt /Rh が上記(数31)を満たす範囲内に設定される。
【0053】
以上においては、縦線の中間ピン歪みの改善について説明したが、次に、横線の中間ピン歪みの改善についての実施の形態について説明する。
横線の中間ピン歪みについても、縦線の中間ピン歪みの場合と同様であり、縦と横を逆に考えることで容易に説明することができる。つまり、VとH、Rt とRs 、Rh とRv を入れ替え、αを1/α、δをε、σをτと置き換え、また、係数Aと係数Bをy=(3/4)V付近における本実施の形態の適用前の横線の中間ピン歪の原歪み量δについての係数A′、係数B′に置き換えることにより、下記(数32)、(数33)、(数34)が得られる。
【0054】
【数32】
【0055】
【数33】
【0056】
【数34】
【0057】
横線の中間ピン歪み率(横線の中間ピン歪(1e、1f)の補正後の歪み量ρ/有効画面Aの長辺Xa 長さの半分)の許容限界値L(この値は、実際のディスプレイの官能テストで決められる)が±0.14%となるように、k′=Rs /Rv が上記(数34)を満たす範囲内に設定される。
【0058】
尚、本実施の形態においては、フェースパネル4の内側の有効画面Aの形状を、Z=a1 x2 +a2 x4 +a3 y2 +a4 x2 y2 +a5 x4 y2 +a6 y4 +a7 x2 y4 の関係式で表したが、必ずしもこの関係式を満たす形状に限定されるものではない。フェースパネル4の内側の有効画面Aの形状は、中間ピン歪の歪み量を抑制する凹曲面であればよい。
【0059】
次に、上記のような構成を有する陰極線管装置の作用効果について説明する。従来においては、S字補正量を一定にして、有効画面Aの短辺Ya の左右ピン歪が零となるような補正を行っているが、例えば、図3(b)の破線で示すように、フェースパネル内の有効画面Aは、水平軸上曲率半径及び長辺上曲率半径がともにRt1である曲面に形成されているため、図3(a)に示すように、縦線の中間ピン歪1a、1bが発生する。このとき、有効画面Aの中央(y軸)から短辺Ya までの縦線の中間ピン歪1a、1bの歪み量δ′は、図5の破線で示す分布となる。これに対し、本実施の形態においては、縦線の中間ピン歪1a、1bの歪み量δ′を抑制することができるように、フェースパネル4内の有効画面Aは、水平軸上曲率半径がRt1、長辺上曲率半径が図3(b)の実線で示すRt2(>Rt1)である凹曲面に形成されている。このため、図3(b)に示すように、長辺Xa 上のy軸と短辺Ya との中間部においては、長辺上曲率半径が従来のRt1からRt2(>Rt1)に変化したことによる曲面段差によって、電子ビーム12の到達点が従来の到達点13から到達点14にずれ、図3(a)に示すように、従来の縦線の中間ピン歪1a、1bが縦線の中間ピン歪1c、1dに補正される。このとき、図5に示す実線が縦線の中間ピン歪の補正量となり、有効画面Aの中央(y軸)から短辺Ya までの中間における縦線の中間ピン歪1a、1bの歪み量δ′は、図5の一点鎖線で示す分布に補正される。尚、長辺Xa 上の両端部15においては、上記曲面段差が生じないため、短辺Ya 上の左右ピン歪は零となる。
【0060】
以上のように、偏向回路に、従来必要であった変調用トランスなどの付加回路を設けることなく、縦線の中間ピン歪1a、1bの歪み量δ′を抑制することができるので、偏向電力を小さくすることができると共に、安価な陰極線管装置を実現することができる。
【0061】
また、フェースパネル4の凹曲面4aが、変曲点のない曲面状に形成されると共に、縦線の中間ピン歪み率(縦線の中間ピン歪の補正後の歪み量ρ/有効画面Aの短辺Ya 長さ)の許容限界値Lが±0.24%となるように、k=Rt2/Rt1=Rt /Rh が上記(数31)を満たす範囲内に設定されているので、CADなどの作業を行う場合に、有効画面A上で直線が曲線状に歪んだり、真円が楕円状に歪むなどの現象が現れることはない。その結果、作業性が低下することのない陰極線管装置を実現することができる。
【0062】
横線の中間ピン歪の補正についても、縦線の中間ピン歪の補正と比較した場合、縦線と横線の違いだけであるので、水平軸を垂直軸に、長辺を短辺に読み変えることにより、同様に作用効果を説明することができる。
【0063】
よって、偏向回路に、従来必要であった変調用トランスなどの付加回路を設けることなく、横線の中間ピン歪1e、1fの歪み量δ′を抑制することができるので、偏向電力を小さくすることができると共に、安価な陰極線管装置を実現することができる。
【0064】
また、フェースパネル4の凹曲面4aが、変曲点のない曲面状に形成されると共に、横線の中間ピン歪み率(横線の中間ピン歪1e、1fの補正後の歪み量ρ/有効画面Aの短辺Ya 長さの半分)の許容限界値Lが±0.14%となるように、k=Rs /Rv が上記(数34)を満たす範囲内に設定されているので、CADなどの作業を行う場合に、有効画面A上で直線が曲線状に歪んだり、真円が楕円状に歪むなどの現象が現れることはない。その結果、作業性が低下することのない陰極線管装置を実現することができる。
【0065】
次に、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
〈実施例1〉
本実施例の陰極線管装置においては、図1に示す構成を有する19型サイズの陰極線管装置2のフェースパネル4の内側の有効画面Aの形状を、落差Z=a1 x2 +a2 x4 +a3 y2 +a4 x2 y2 +a5 x4 y2 +a6 y4 +a7 x2 y4 の上記関係式で、a1 =4.0322×10-4、a2 =6.6465×10-11 、a3 =5.9043×10-4、a4 =−5.4220×10-9、a5 =−1.2582×10-15 、a6 =−4.4083×10-9、a7 =1.3385×10-13 と置いて規定した。このとき、有効画面Aの対角軸上の断面曲率半径Rd は1240mm、水平軸上曲率半径Rh は1240mm、垂直軸上曲率半径Rv は990mm、長辺上曲率半径Rt は1434mmであり、k=Rt /Rh =1.16となる。これは、上記(数29)、(数30)にD=228.6mm、Rd =Rh =1240mm、θD =50゜、α=0.75を代入して得られるδ及びσと縦線の中間ピン歪み率の許容限界値であるL=0.24%を上記(数31)に代入した範囲である1.028<k<1.514の内に入っている。また、実際の縦線の中間ピン歪み率も0.02%であり、規格値内に入っている。
【0066】
尚、本実施例においては、フェースパネル4の内側の有効画面の形状を規定する際に、Rd =Rh と置いたが、必ずしもRd とRh の値を同一にする必要はなく、それぞれが違う値の場合であっても所期の効果を得ることはできる。
【0067】
また、本実施例においては、k=Rt /Rh の値を1.028<k<1.514の範囲としているが、このkの範囲は計算によって求めたものであり、実用上中間ピン歪が問題とならないkの範囲は1<k<1.9である。
【0068】
〈実施例2〉
本実施例の陰極線管装置においては、図1に示す構成を有する19型サイズの陰極線管装置2のフェースパネル4の内側の有効画面Aの形状を、落差Z=a1 x2 +a2 x4 +a3 y2 +a4 x2 y2 +a5 x4 y2 +a6 y4 +a7 x2 y4 の上記関係式で、a1 =4.716847×10-4、a2 =1.069439×10-10 、a3 =4.032239×10-4、a4 =−3.482765×10-9、a5 =−2.085193×10-15 、a6 =6.606631×10-11 、a7 =−1.284873×10-15 と置いて規定した。このとき、有効画面Aの対角軸上の断面曲率半径Rd は1240mm、水平軸上曲率半径Rh は1060mm、垂直軸上曲率半径Rv は1240mm、短辺上曲率半径Rs は1758mmであり、k′=Rs /Rv =1.42となる。これは、上記(数32)、(数33)にD=228.6mm、Rd =Rv =1240mm、θD =50゜、α=0.75を代入して得られるδ及びσと横線の中間ピン歪み率の許容限界値であるL=0.14%を上記(数31)に代入した範囲である1.114<k′<3.103の内に入っている。また、実際の横線の中間ピン歪み率も0.01%であり、規格値内に入っている。
【0069】
尚、本実施例においては、フェースパネル4の内側の有効画面の形状を規定する際に、Rd =Rv と置いたが、必ずしもRd とRv の値を同一にする必要はなく、それぞれが違う値の場合であっても所期の効果を得ることはできる。
【0070】
また、本実施例においては、k′=Rs /Rv の値を1.114<k′<3.103の範囲としているが、このk′の範囲は計算によって求めたものであり、実用上中間ピン歪が問題とならないk′の範囲は1<k′<3.4である。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、偏向回路に新たに変調用トランスなどの付加回路を設けることなく、中間ピン歪の歪み量を抑制することができるので、偏向電力を小さくすることができると共に、安価な陰極線管装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における陰極線管装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における陰極線管装置のフェースパネル内の有効画面の形状を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における陰極線管装置の中間ピン歪の歪み量を抑制する作用を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態における陰極線管装置のフェースパネル内の有効画面の形状を特定するための図である。
【図5】本発明の実施の形態における陰極線管装置の中間ピン歪の歪み量の分布を示す図である。
【図6】従来技術における陰極線管装置の中間ピン歪を示す図である。
【符号の説明】
2 陰極線管装置
3 蛍光体スクリーン面
4 フェースパネル
4a 凹曲面
5 コーン部
6 電子銃
7 ネック部
8 ガラスバルブ
9 偏向コイル
11 偏向回路
Claims (4)
- 内面に蛍光体スクリーン面が形成された実質的に長方形状のフェースパネル、コーン部及び内部に電子銃を有するネック部を順次形成してなるガラスバルブと、前記ガラスバルブのコーン部及びネック部の外周面上に設けられた偏向コイルと、前記偏向コイルに偏向電流を印加するための偏向回路とを備えた陰極線管装置であって、
前記フェースパネル内の有効画面の形状が、中間ピン歪の歪み量を抑制する変曲点のない凹曲面であると共に、前記有効画面の長辺上の断面曲率半径をRt 、前記有効画面の中心(原点)を通り前記有効画面の長手方向に沿った軸(長軸)上の断面曲率半径をRh としたとき、Rt /Rh が1〜1.9の範囲内に設定されており、
前記有効画面の中心(原点)から前記有効画面の対角端部までの距離をD、前記有効画面の長辺の半分の長さをH、前記有効画面の短辺の半分の長さをV、前記有効画面のアスペクト比V/Hをα、前記有効画面の対角軸上の断面曲率半径をRd 、偏向角の半分の角をθD とし、δとσを下記(数1)、(数2)で定義したとき、Rt /Rh が下記(数3)の関係を満たすことを特徴とする陰極線管装置。
- Rd =Rh の関係を満たす請求項1に記載の陰極線管装置。
- 内面に蛍光体スクリーン面が形成された実質的に長方形状のフェースパネル、コーン部及び内部に電子銃を有するネック部を順次形成してなるガラスバルブと、前記ガラスバルブのコーン部及びネック部の外周面上に設けられた偏向コイルと、前記偏向コイルに偏向電流を印加するための偏向回路とを備えた陰極線管装置であって、
前記フェースパネル内の有効画面の形状が、中間ピン歪の歪み量を抑制する変曲点のない凹曲面であると共に、前記有効画面の短辺上の断面曲率半径をRs 、前記有効画面の中心(原点)を通り前記有効画面の短手方向に沿った軸(短軸)上の断面曲率半径をRv としたとき、Rs /Rv が1〜3.4の範囲内に設定されており、
前記有効画面の中心(原点)から前記有効画面の対角端部までの距離をD、前記有効画面の長辺の半分の長さをH、前記有効画面の短辺の半分の長さをV、前記有効画面のアスペクト比V/Hをα、前記有効画面の対角軸上の断面曲率半径をRd 、偏向角の半分の角をθD とし、εとτを下記(数4)、(数5)で定義したとき、Rs /Rv が下記(数6)の関係を満たすことを特徴とする陰極線管装置。
- Rd =Rv の関係を満たす請求項3に記載の陰極線管装置。
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