JP2007173168A - カラー受像管 - Google Patents
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Abstract
【課題】大幅なコストアップを招くことなく、X軸方向中間部での左右のラスターのピンクッション歪みを抑制する。
【解決手段】X=Lmの地点を通りYZ面と平行な面とパネル1の有効領域1aの内面とが交差して形成される曲線をCm、曲線CmとXZ面とが交差する点をPm0、曲線Cmと有効領域1aの長辺1Lとが交差する点をPmL、点Pm0と点PmLとのZ軸方向に沿った距離をΔZm、X軸端Pxと対角軸端PdとのZ軸方向に沿った距離をΔZlとしたとき、有効領域1aの内面は曲面形状を有し、−Lh/2≦Lm≦Lh/2の範囲内において、ΔZm/ΔZl≧1.9、且つ、0.1≧ΔZm/Lv≧0.067を満足する。
【選択図】 図2
【解決手段】X=Lmの地点を通りYZ面と平行な面とパネル1の有効領域1aの内面とが交差して形成される曲線をCm、曲線CmとXZ面とが交差する点をPm0、曲線Cmと有効領域1aの長辺1Lとが交差する点をPmL、点Pm0と点PmLとのZ軸方向に沿った距離をΔZm、X軸端Pxと対角軸端PdとのZ軸方向に沿った距離をΔZlとしたとき、有効領域1aの内面は曲面形状を有し、−Lh/2≦Lm≦Lh/2の範囲内において、ΔZm/ΔZl≧1.9、且つ、0.1≧ΔZm/Lv≧0.067を満足する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、パネルの外面がほぼ平面状のカラー受像管に関する。特にラスター歪み特性が向上されたカラー受像管に関する。
一般にカラー受像管は、ガラス製パネルと漏斗状のガラス製ファンネルとからなる真空外囲器を有する。ファンネルのネック内に配置された電子銃から放出された3電子ビームは、ファンネルの外側に装着された偏向ヨークが発生する磁界により偏向され、シャドウマスクを通過して、パネルの有効領域の内面に形成された3色蛍光体層からなる蛍光スクリーンを水平方向及び垂直方向に走査することにより、カラー画像が表示される。
このようなカラー受像管のパネルでは、一般に実質的に矩形状の有効領域の周囲に、ファンネルと接合される側壁が設けられている。真空外囲器に加わる大気圧荷重に耐えられる強度を得るべく、有効領域の肉厚は、その中央部で薄く、周辺部で厚い。その結果、有効領域の内外面は異なる曲面で形成されている。
パネルの有効領域の外面形状は、近年、視認性向上のため、平面化される傾向にある。一方、パネルの有効領域の内面形状は、種々あるものの、外面がほぼ平面の場合でも大気圧に対する強度を得るために曲面に形成されている。一般には、球面を基本としてパネルの有効領域の内面に近似した形状をとるシャドウマスクの強度を保つため、パネルの有効領域の周辺部での曲率半径は小さくされることが多い。このとき、有効領域の内面の曲面形状を簡単化するため、略矩形状の有効領域の長辺近傍及び短辺近傍がほぼ単一の曲率半径にされる場合もある。
電子銃から出射した電子ビームのうちの約70%はシャドウマスクに衝突するので、シャドウマスクは加熱され熱膨張する(これを「ドーミング」という)。このため、シャドウマスクに形成された電子ビーム通過孔とパネルの有効領域に形成された3色蛍光体層との相対的位置が変化し、画面の色純度が劣化する。従って、シャドウマスクは、この熱膨張が生じにくい形状とされることが多い。一般に、有効領域内においてシャドウマスクとの間隔をほぼ一定にするために、パネルの有効領域の内面もシャドウマスクと同様の曲面形状にされる。従って、シャドウマスクの熱膨張による色純度の劣化が最も大きい水平軸(有効領域の長辺方向と平行で、管軸(Z軸)と直交する軸、以下「X軸」という)上の、有効領域の中央(管軸が通過する点)とX軸端(X軸と有効領域の周縁とが交差する有効領域の内面上の点)とのほぼ中間領域(以下、「X軸方向中間部」という)での垂直軸(有効領域の短辺方向と平行で、管軸と直交する軸、以下「Y軸」という)と平行な方向における曲率半径が小さくされる。
上記のように、パネルの有効領域の外面がほぼ平面であるカラー受像管において、有効領域の内面はシャドウマスクの強度や熱膨張を考慮した曲面に形成されている。また、有効領域の外面がほぼ平面化されたパネルでは、従来の有効領域の外面が球面であるパネルに比べて、有効領域の内面は、曲面形状を維持しつつも、その曲率半径は大きくなっている。
一方、図3に示すように、電子ビームがパネル内面の有効領域1aをX軸方向及びY軸方向に走査するとき、有効領域1aのX軸端Px、Y軸端(Y軸と有効領域1aの周縁とが交差する有効領域1aの内面上の点)Pyに比べて対角部端Pd(有効領域1aの長辺と短辺とが交差する有効領域1aの内面上の点)は、電子ビームの偏向中心Oから遠く離れている。従って、表示画面上に、Y軸を挟む左右のラスター及びX軸を挟む上下のラスターがいずれも本来直線であるべきところがピンクッション形状に歪んだピンクッション歪み31,32が発生する。
通常、上下のラスターのピンクッション歪み32は偏向ヨークの磁界を調整することにより補正され、左右のラスターのピンクッション歪み31は偏向ヨークの磁界やTVセットの偏向回路に補正用回路を追加することにより補正される。
しかし、有効領域の外面が平面になった場合、その内面の曲率半径も大きくなり、ピンクッション歪み31,32の歪み量も増大する。特に、偏向角が大きくなった場合は顕著である。
歪み量が大きなピンクッション歪み31,32を上記の方法で補正した場合、有効領域1aの周辺で歪み量を低減できても、中央と周辺部との中間領域では歪み量が十分に低減できないという問題がある。
特に、左右のラスターのピンクッション歪み31をTVセットの偏向回路に補正用回路を追加することにより補正した場合、図4に示すように、短辺近傍のラスター33a,33bはほぼ直線状に補正できるが、X軸方向中間部のラスター34a,34bのピンクッション歪みは補正できない。このラスター34a,34bのピンクッション歪みは、TVセットの偏向回路に補正用回路を更に追加することにより補正することは可能であるが(例えば特許文献1参照)、回路が複雑になり、大幅なコストアップを招く。
特開平5−83585号公報
本発明は、従来の上記問題を鑑みてなされたものであり、大幅なコストアップを招くことなく、X軸方向中間部での左右のラスターのピンクッション歪みが抑制されたカラー受像管を提供することを目的とする。
本発明のカラー受像管は、実質的に矩形状の有効領域を有するパネルを備える。前記有効領域の外面がほぼ平面状であり、前記有効領域の内面に蛍光体スクリーンが形成されている。
管軸をZ軸、前記有効領域の長辺方向と平行でZ軸と直交する軸をX軸、前記有効領域の短辺方向と平行でZ軸と直交する軸をY軸、X軸と前記有効領域の周縁とが交差する前記有効領域の内面上の点をX軸端、前記有効領域の長辺と短辺とが交差する前記有効領域の内面上の点を対角軸端、X軸上においてZ軸が交差する点をX=0、前記有効領域の長辺のX軸方向に沿った長さの半分の長さをLh、前記有効領域の短辺のY軸方向に沿った長さの半分の長さをLvとし、X=Lmの地点を通りY軸及びZ軸を含む面と平行な面と前記有効領域の内面とが交差して形成される曲線をCm、前記曲線CmとX軸及びZ軸を含む面とが交差する点をPm0、前記曲線Cmと前記有効領域の内面上の長辺とが交差する点をPmL、前記点Pm0と前記点PmLとのZ軸方向に沿った距離をΔZmとし、前記X軸端と前記対角軸端とのZ軸方向に沿った距離をΔZlとしたとき、前記有効領域の内面は曲面形状を有し、−Lh/2≦Lm≦Lh/2の範囲内において、下記の式1及び式2を満足する。
式1: ΔZm/ΔZl≧1.9
式2: 0.1≧ΔZm/Lv≧0.067
式2: 0.1≧ΔZm/Lv≧0.067
本発明によれば、視認性が良好で、画像歪みを補正するための余分な補正用回路を簡単化できるカラー受像管を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るカラー受像管の断面図である。
カラー受像管は、実質的に矩形状の有効領域1aと、この周囲に連設されたスカート部1bとを備えたパネル1と、スカート部1bに接合された漏斗状のファンネル2とからなる真空外囲器9を有する。パネル1の有効領域1aの内面には、黒色非発光物質層とこの黒色非発光物質層が形成されていない領域に設けられた3色蛍光体層とからなる蛍光体スクリーン3が形成されている。蛍光体スクリーン3に対向して、シャドウマスク4が配置されている。シャドウマスク4は矩形枠状のマスクフレーム11に保持されており、マスクフレーム11はパネル1のスカート部1bの内壁面に取り付けられている。ファンネル2のネック部5内に3電子ビーム6B,6G,6Rを放出する電子銃7が配設されている。ファンネル2の径大部の内側に、マスクフレーム11に取付けられた内部磁気シールド10が配置されている。ファンネル2の外側には偏向ヨーク8が設けられている。電子銃7から放出された3電子ビーム6B,6G,6Rは偏向ヨーク8が発生する磁界により偏向されて、シャドウマスク4に形成された電子ビーム通過孔を通過して蛍光体スクリーン3を水平方向及び垂直方向に走査して、カラー画像が表示される。
本発明において、有効領域1aとは、蛍光体スクリーン3が形成されたパネル1の内面上の領域及びこれに対応するパネル1の外面上の領域を意味する。
図2は、パネル1の有効領域1aの内面の形状を示した斜視図である。以下の説明の便宜のために、カラー受像管の管軸をZ軸、有効領域1aの長辺1L方向と平行でZ軸と直交する軸をX軸、有効領域1aの短辺1S方向と平行でZ軸と直交する軸をY軸とするXYZ直交座標系を設定する。X軸上及びY軸上においてZ軸が交差する点をX=0,Y=0とする。図2では、図面を簡略化するために1/4象限のみを示している。有効領域1aの内面の形状は、XZ面(X軸及びZ軸を含む面)及びYZ面(Y軸及びZ軸を含む面)に対してそれぞれ対称である。
また、X軸と有効領域1aの周縁(又は短辺1S)とが交差する有効領域1aの内面上の点をX軸端Px、Y軸と有効領域1aの周縁(又は長辺1L)とが交差する有効領域1aの内面上の点をY軸端Py、長辺1Lと短辺1Sとが交差する有効領域1aの内面上の点を対角軸端Pd、Z軸が交差する有効領域1aの内面上の点を中央Pcとする。4つの対角軸端Pdのうち、中央Pcを挟んで互いに対向する2つの対角軸端Pdを結ぶ方向と平行で、且つ、Z軸と直交する軸を対角軸(図示せず)とする。
パネル1の有効部1aの外面は視認性を向上させるために、曲率半径が10,000mm以上のほぼ平面状である。従って、外囲器9の大気圧に対する強度及び視認性の観点から、有効領域1aの内面の曲率半径も大きくする必要がある。これに伴い、図3に示したように、偏向ヨーク8の偏向中心Oから有効領域1aのX軸端Px及び対角軸端Pdまでの距離差、及び、偏向ヨーク8の偏向中心Oから有効領域1aのY軸端Py及び対角軸端Pdまでの距離差がいずれも大きくなる。これにより、表示画面上の短辺1S及び長辺1Lの近傍に発生するピンクッション歪み31,32の歪み量が増大する。これを、偏向ヨークの磁界又はTVセットの偏向回路に補正用回路を追加することにより補正しようとしても、図4に示したように、X軸方向中間部の左右のラスターのピンクッション歪み34a,34bは残存してしまう。
本発明はこのような問題を解決する。その一実施例を画面対角サイズが68cm、アスペクト比4:3、偏向角が120°、パネル1の有効領域1aの外面の対角軸方向の曲率半径が25,000mmのカラー受像管(以下、「実施例」という)の場合で説明する。
本実施例のパネル1の有効領域1aの内面は、パネル1の強度を確保する観点から、対角軸方向の平均曲率半径が3,200mmの曲面形状とした。ここで、「対角軸方向の平均曲率半径」とは、有効領域1aの内面上の中央Pcとこれを挟む一対の対角軸端Pdとにより定義される円弧の半径を意味する。この有効領域1aの内面(図2参照)において、中央Pcに対するY軸端Py、X軸端Px、対角軸端PdのZ軸方向に沿った距離は、順に15.15mm、10.61mm、18mmであった。
図2に示したように、有効領域1aの長辺1LのX軸方向に沿った長さの半分の長さ(即ち、対角軸端PdのY軸からの距離)をLh、有効領域1aの短辺1SのY軸方向に沿った長さの半分の長さ(即ち、対角軸端PdのX軸からの距離)をLvとする。また、XZ面と有効領域1aの内面とが交差して形成される曲線をCx、YZ面と有効領域1aの内面とが交差して形成される曲線をCy、X=Lmの地点を通りYZ面と平行な面と有効領域1aの内面とが交差して形成される曲線をCmとする。曲線CmとXZ面(又は曲線Cx)とが交差する点をPm0、曲線Cmと有効領域1aの内面上の長辺1Lとが交差する点をPmLとする。更に、点Pm0と点PmLとのZ軸方向に沿った距離をΔZm、X軸端Pxと対角軸端PdとのZ軸方向に沿った距離をΔZlとする。
本発明のカラー受像管は、−Lh/2≦Lm≦Lh/2の範囲内において、下記の式1及び式2を満足する。
式1: ΔZm/ΔZl≧1.9
式2: 0.1≧ΔZm/Lv≧0.067
更に、下記の式3を満足することが好ましい。
式2: 0.1≧ΔZm/Lv≧0.067
更に、下記の式3を満足することが好ましい。
式3: 0.053≧ΔZl/Lv≧0.032
実施例では、−Lh/2≦Lm≦Lh/2の範囲内におけるΔZmの最小値ΔZmMIN及び最大値ΔZmMAXは、ΔZmMIN=14.8mm、ΔZmMAX=15.15mmであった。また、ΔZl=7.39mm、Lv=203.4mmであった。
実施例では、−Lh/2≦Lm≦Lh/2の範囲内におけるΔZmの最小値ΔZmMIN及び最大値ΔZmMAXは、ΔZmMIN=14.8mm、ΔZmMAX=15.15mmであった。また、ΔZl=7.39mm、Lv=203.4mmであった。
従って、
2.05>ΔZm/ΔZl>2
0.074>ΔZm/Lv>0.073
ΔZl/Lv=0.036
であり、上記の式1、式2、式3を満足していた。
2.05>ΔZm/ΔZl>2
0.074>ΔZm/Lv>0.073
ΔZl/Lv=0.036
であり、上記の式1、式2、式3を満足していた。
有効領域1aの内面の対角軸方向の平均曲率半径を3,200mmで一定としたまま、この内面の形状を、球面から、ΔZm/ΔZlを変化させることにより3通りの非球面形状に変化させた。それぞれの場合において、表示画面上での左右のラスターの歪み量を求めた。結果を表1に示す。表1において、「X軸周辺」はX軸方向周辺部に相当するX=0.9×Lhの地点近傍での左右のラスターの歪み量を示し、「X軸中間」はX軸方向中間部に相当するX=0.55×Lh近傍での左右のラスターの歪み量を示す。また、これらの差も併せて示した。いずれも、有効領域1aの内面が球面である場合のピンクッション歪み量を基準とした相対値(%)で表示しており、符号が負であることは、ラスターの歪みが、基準のピンクッション歪みに対してピンクッション歪みが小さくなる(ピンクッション歪み量が減少する)ように変化したことを意味し、符号が正であることは、ラスターの歪みが、基準のピンクッション歪みに対してピンクッション歪みが大きくなる(ピンクッション歪み量が増加する)ように変化したことを意味する。
表1より、ΔZmMIN/ΔZl=2、ΔZmMIN/Lv=0.073である曲面1の場合は、球面の場合に比べて、X軸方向中間部において2.96%だけピンクッション歪みが緩和され、X軸方向周辺部において1.21%だけピンクッション歪みが緩和され、画面全体でピンクッション歪みが緩和されるように変化することで左右のラスター歪みが補正された。更に、曲面1では、X軸方向中間部でのピンクッション歪みは、X軸方向周辺部でのピンクッション歪みに比べて1.75%だけ緩和量が大きい。即ち、X軸方向中間部での残存ピンクッション歪み量は相対的に小さい。従って、X軸方向周辺部でのピンクッション歪みを補正用回路によって補正した場合、X軸方向中間部でのピンクッション歪みも同時に補正することができ、X軸方向中間部でのピンクッション歪みをほぼ解消できる。よって、X軸方向中間部でのピンクッション歪みを補正するための特別な補正回路が不要である。
表1に示すように、有効領域1aの内面形状が球面である場合にはΔZmMIN/ΔZl=1であり、ΔZmMIN/ΔZlがこれより大きくなるにしたがって、X軸方向中間部でのピンクッション歪みに比べてX軸方向周辺部でのピンクッション歪みの方が、歪み量が相対的により大きくなる。偏向角が小さいカラー受像管以外では、左右のラスターのピンクッション歪みは、通常、TVセットの偏向回路に補正用回路を追加することで補正される。この補正では、X軸方向中間部でのピンクッション歪みに対しては補正不足となりがちである。従って、X軸方向周辺部でのピンクッション歪みを補正しても、X軸方向中間部でのピンクッション歪みは残存し、画像品位が低下する。このX軸方向中間部に残存したピンクッション歪みを補正するためには更に補正用回路を追加する必要がある。これに対して、上記曲面1のように、X軸方向周辺部でのピンクッション歪み量がX軸方向中間部でのピンクッション歪み量よりも大きい場合には、X軸方向周辺部でのピンクッション歪みを補正すれば、X軸方向中間部でのピンクッション歪みも十分に補正することができるので、更なる補正用回路を追加することなく、画像品位の低下を防止できる。
通常、X軸方向周辺部でのピンクッション歪みを補正用回路により補正した場合、X軸方向中間部には1.5〜2%程度のピンクッション歪みが残存してしまう。従って、X軸方向周辺部でのピンクッション歪み量がX軸方向中間部でのピンクッション歪み量に比べて1.5%以上大きければ、X軸方向周辺部でのピンクッション歪みを補正するための回路とは別に、X軸方向中間部でのピンクッション歪みを補正するための回路を更に設ける必要がない。このため、ΔZmMIN/ΔZl≧1.9を満足することが必要である。
一方、ΔZm/Lvが大きいほど、X軸方向中間部でのピンクッション歪み量が小さくなるので、回路による補正量を小さくすることができる。通常、有効領域1aの外面がほぼ平面であるカラー受像管で補正用回路を設けない場合には、X軸方向中間部で10%近くのピンクッション歪みが発生する。これをすべてパネル形状を変更することで補正できれば良いが、実際にはパネルの肉厚を考慮するとΔZm/Lvの最大値は0.1程度となる。即ち、ΔZm/Lv=0.1のとき、YZ面に平行な断面において、有効領域1aの長辺1L付近とX軸付近とでの肉厚差は68cm管の場合20mm程度となり、パネルの曲面を安定して精度よく製造する観点からはこれが限界である。
一方、通常、ピンクッション歪みの補正量が大きくなるほど、ピンクッション歪みを補正する回路に対する負担は増加する。有効領域1aの外面がほぼ平面であるカラー受像管では、X軸方向中間部でのピンクッション歪み量は10%近くであるが、このうち概略2.5%以上をパネル形状を変更することで補正できれば、補正用回路に対する負担は軽減できる。このためには、表1より、ΔZmMIN/Lv≧0.067である必要がある。
ΔZl/Lvは、表1に示した曲面1〜3では0.036で一定としたが、対角軸端PdのZ軸方向に沿った距離が18mmと同一の球面では0.032となる。このΔZl/Lvは、
式3: 0.053≧ΔZl/Lv≧0.032
を満たすことが好ましい。ΔZl/Lvが式3の下限値未満であると、X軸方向周辺部でのピンクッション歪み量が、有効領域1aの内面が球面である場合に比べて増加する。式3においてΔZl/Lvの上限値は、式1を変形して得たΔZm≧1.9×ΔZlを式2の0.1≧ΔZm/Lvに代入してΔZmを消去することで求められる。
式3: 0.053≧ΔZl/Lv≧0.032
を満たすことが好ましい。ΔZl/Lvが式3の下限値未満であると、X軸方向周辺部でのピンクッション歪み量が、有効領域1aの内面が球面である場合に比べて増加する。式3においてΔZl/Lvの上限値は、式1を変形して得たΔZm≧1.9×ΔZlを式2の0.1≧ΔZm/Lvに代入してΔZmを消去することで求められる。
有効領域1aの内面の曲面形状が表1に示したそれぞれの場合において、表示画面上での上下のラスターの歪み量を求めた。結果を表2に示す。表2において、「Y軸周辺」はY軸方向周辺部に相当するY=0.9×Lvの地点近傍での上下のラスターの歪み量を示し、「Y軸中間」はY軸方向中間部に相当するY=0.55×Lv近傍での上下のラスターの歪み量を示す。また、これらの差も併せて示した。いずれも、有効領域1aの内面が球面である場合のピンクッション歪み量を基準とした相対値(%)で表示しており、符号が負であることは、ラスターの歪みが、基準のピンクッション歪みに対してピンクッション歪みが小さくなる(ピンクッション歪み量が減少する)ように変化したことを意味し、符号が正であることは、ラスターの歪みが、基準のピンクッション歪みに対してピンクッション歪みが大きくなる(ピンクッション歪み量が増加する)ように変化したことを意味する。
表2より、左右のラスターのみならず、上下のラスターについても、ΔZmMIN/ΔZlが1(有効領域1aの内面形状が球面である場合)から大きくなるにしたがって、Y軸方向中間部でのピンクッション歪みに比べてY軸方向周辺部でのピンクッション歪みの方が、歪み量が相対的により大きくなる。上下のラスターのピンクッション歪みは、通常、偏向ヨークの磁界を調整することにより補正される。Y軸方向周辺部でのピンクッション歪み量がY軸方向中間部でのピンクッション歪み量よりも大きい場合には、上記の方法によって上下のラスターのピンクッション歪みを補正すれば、Y軸方向中間部にピンクッション歪みが残存しにくくなる。従って、偏向ヨークの磁界設計が容易になる。
特に、式1及び式2を満足する曲面1,2では、Y軸方向周辺部とY軸方向中間部との差(C−D)が0.75%以上となる。従来のカラー受像管では、一般に、Y軸方向中間部でのピンクッション歪み量はY軸方向周辺部でのピンクッション歪み量よりも1%近く大きくなる場合が多く、これが画像品位の低下の原因となっていた。本発明によれば、これとは逆に、Y軸方向中間部でのピンクッション歪み量はY軸方向周辺部でのピンクッション歪み量よりも0.75%以上小さいので、偏向ヨークの磁界を調整することにより良好な画像を表示できる。
尚、ラスター歪みと、ΔZm/ΔZl及びΔZm/Lvとの関係は、パネルの有効領域1aの内面の形状や偏向角等により若干変化するが、有効領域1aの内面形状を球面と大幅に異なる本発明の式1及び式2を満足する形状にすれば、TVセットの歪み補正用回路を軽減でき、良好な歪み特性を有するカラー受像管を実現できる。
さらに、パネルの有効領域1aの内面が本発明の式1及び式2を満足する形状であることは、ドーミングの改善に対しても有効である。理由は以下の通りである。通常、シャドウマスクの曲面形状はパネルの有効領域1aの内面形状と類似した形状とされる。色純度の劣化に影響するドーミングによるシャドウマスクのX軸方向の変位量は、X軸方向中間部とX軸方向周辺部との中間領域で最も大きい。一方、X軸方向において、X軸方向の画素ピッチは、通常、中央で最も小さく周辺にいくにしたがって大きくなるように、2次関数或いはそれ以上の高次関数的に変化している。このため、電子ビームの蛍光体スクリーンへのランディング位置のドーミングによる変化に対する余裕度は、中央に近いほど小さい。シャドウマスクの変位量と電子ビームのランディング位置の余裕度とを考えると、ドーミングによって最も色純度が劣化しやすいのはX軸方向中間部付近であることが多い。これに対して、本発明では、パネルの有効領域1aの内面は、Y軸とX軸方向中間部までの範囲内において、YZ面と平行な断面での曲線Cxと長辺1LとのZ軸方向に沿った距離ΔZm(図2参照)が大きくなるような形状を有している。ドーミングを改善するためには、この曲線Cx及び長辺1Lにそれぞれ対応するシャドウマスク上の2曲線のZ軸方向に沿った距離を大きくすることが有効である。従って、本発明は、ドーミングの改善に対しても有効である。
本発明によれば、パネルの有効領域の外面がほぼ平面であるので視認性に優れ、また、ラスター歪みを補正するための回路を簡略化できるので、安価でありながら高品位画像を表示できる。従って、本発明の利用分野は特に制限はないが、例えばテレビジョン受像機やコンピュータディスプレイ用のカラー受像管として広範囲に利用することができる。
1 パネル
1a パネルの有効領域
1b パネルのスカート部
1L 有効領域の長辺
1S 有効領域の短辺
2 ファンネル
3 蛍光体スクリーン
4 シャドウマスク
5 ネック部
6B,6G,6R 電子ビーム
7 電子銃
8 偏向ヨーク
9 外囲器
10 内部磁気シールド
11 マスクフレーム
31,32 ピンクッション歪み
33a,33b X軸方向周辺部でのラスター
34a,34b X軸方向中間部でのラスター
1a パネルの有効領域
1b パネルのスカート部
1L 有効領域の長辺
1S 有効領域の短辺
2 ファンネル
3 蛍光体スクリーン
4 シャドウマスク
5 ネック部
6B,6G,6R 電子ビーム
7 電子銃
8 偏向ヨーク
9 外囲器
10 内部磁気シールド
11 マスクフレーム
31,32 ピンクッション歪み
33a,33b X軸方向周辺部でのラスター
34a,34b X軸方向中間部でのラスター
Claims (2)
- 実質的に矩形状の有効領域を有するパネルを備え、前記有効領域の外面がほぼ平面状であり、前記有効領域の内面に蛍光体スクリーンが形成されたカラー受像管であって、
管軸をZ軸、前記有効領域の長辺方向と平行でZ軸と直交する軸をX軸、前記有効領域の短辺方向と平行でZ軸と直交する軸をY軸、X軸と前記有効領域の周縁とが交差する前記有効領域の内面上の点をX軸端、前記有効領域の長辺と短辺とが交差する前記有効領域の内面上の点を対角軸端、X軸上においてZ軸が交差する点をX=0、前記有効領域の長辺のX軸方向に沿った長さの半分の長さをLh、前記有効領域の短辺のY軸方向に沿った長さの半分の長さをLvとし、
X=Lmの地点を通りY軸及びZ軸を含む面と平行な面と前記有効領域の内面とが交差して形成される曲線をCm、前記曲線CmとX軸及びZ軸を含む面とが交差する点をPm0、前記曲線Cmと前記有効領域の内面上の長辺とが交差する点をPmL、前記点Pm0と前記点PmLとのZ軸方向に沿った距離をΔZmとし、
前記X軸端と前記対角軸端とのZ軸方向に沿った距離をΔZlとしたとき、
前記有効領域の内面は曲面形状を有し、
−Lh/2≦Lm≦Lh/2の範囲内において、下記の式1及び式2を満足することを特徴とするカラー受像管。
式1: ΔZm/ΔZl≧1.9
式2: 0.1≧ΔZm/Lv≧0.067 - 更に、下記の式3を満足する請求項1に記載のカラー受像管。
式3: 0.053≧ΔZl/Lv≧0.032
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005372463A JP2007173168A (ja) | 2005-12-26 | 2005-12-26 | カラー受像管 |
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