JP3578574B2 - オイルレベルゲージの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輛用のエンジンなどの油タンク内の油量をチエックするオイルレベルゲージで、金属製のゲージ本体の後端部に樹脂製の柄部材を設けたオイルレベルゲージの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に内燃機関やトランスミッションなどの装置は油タンクを持ち、その油タンク内に潤滑油などのオイルを保持しているが、この種の装置においては、オイルレベルゲージを使用してその油タンク内のオイルの量や汚れ具合等をチエックする方法が広く採用されている。
【0003】
内燃機関1の下部には、図3に示すように、油タンク2が配置され、その内燃機関1のブロックの側部に開口した取付口1aに、図4に示すオイルレベルゲージ3を嵌入し、その油タンク2の内部に収容したオイル2aにゲージ本体4を浸漬するように配置しておき、必要に応じてこのオイルレベルゲージ3を引抜いて油タンク2内に保有されている油量や汚れ具合を検査している。
【0004】
このオイルレベルゲージ3は、内燃機関1のブロック側部の取付口1aに固定するための取付部5を有する把持部6と、この取付部5より延長されたゲージ本体4を有し、更に、この取付部5の周囲に形成したOリング溝5aにOリング7を設けた構造のものが一般に使用されている。
このゲージ本体4はバネ鋼等の金属薄板材料、あるいは棒材の一部を偏平にしたものを使用し、その先端部に前記取付口1aから点検すべき油タンク2に対応した長さで、上限マークHと下限マークLが一対で設けられており、内燃機関1から引抜いた際にゲージ本体4に付着しているオイルの範囲と前記マークH,Lとの位置関係で油量をチエックし、更に付着したオイルでオイルの汚れ具合を確認している。
【0005】
また、柄部材8には取付部5と把持部6が設けられ、取付口1aに嵌入された際にこの取付口1aを取付部5でシールするようになっている。
そして、このオイルレベルゲージを製造する際は、通常、ロール巻きされたバネ鋼などの帯状材料を、プレス金型に送込み、プレスして先端部4aの形状と下限マークLと上限マークH等を形成して、ゲージ本体を製造している。
【0006】
また、柄部材は、合成樹脂や合成ゴムなどで成形されており、この柄部材とゲージ本体との一体化は、樹脂成形時に樹脂成形型材内に予めゲージ本体をセットしておいて、ゲージ本体の周囲に樹脂を流し込んで、ゲージ本体と一体化した柄部材を成形するインサート成形工法や、もしくは、図5に示すように、挿入穴30を有する柄部材8をゲージ本体4とは別体で製造し、ゲージ本体4を柄部材8に挿入した後に、スプリットピン36を柄部材8のピン穴8hとゲージ本体4のピン穴4hに差し込んで結合するピン結合工法などで行われている。
【0007】
また、特開平7−248244号公報に、図6に示すように、ゲージ本体4の挿入部20を、予めゲージ本体4とは別個に成形した柄部材8の挿入穴30に圧入して位置決めして、この結合部分をコイル34に入れて、このコイル34に高周波電源35から高周波電流を流してコイル34内の金属部分に電磁誘導による熱を発生させて、このゲージ本体に発生する熱で周囲の樹脂を溶着して一体化する圧入加熱工法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インサート成形工法においては、柄部材の成形時にゲージ本体を型材内に、片持ち梁状に1個づつ、しかも、正確な位置決めをしてセットする必要があるため、成形作業が煩雑化すると共に、また、この柄部材の成形時に型材内に突出しているゲージ本体が溶融樹脂の抵抗を受けて振動するという問題があり、冷却固化時にその部分の柄部材の外形が変形したり、更に、ゲージ本体と柄部材との間の接合不良が生ずる等の問題がある。
【0009】
また、ピン結合工法においては、小さなピンを扱うことになるので、部品数が増加する上に、作業性が著しく悪化するという問題がある。
そして、圧入加熱方式においては、挿入部を溶融前の挿入穴に圧入してから、高周波電流を流すコイル内で挿入部に電磁誘導による熱を発生させて、溶着することから、挿入部を嵌め合い寸法の厳しい挿入穴に圧入嵌合する必要があるので、作業性が悪くなる上に、圧入嵌合のために所定位置まで押込み難く、正確な位置決めが難しいという問題がある。
【0010】
また、挿入穴が大き過ぎると溶着が不十分となり、逆にが小さ過ぎると、圧入時に大きな圧入力が必要になり、場合によっては樹脂成形部材である柄部材が破損するという問題がある。
本発明は、前記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ゲージ本体と柄部材の一体化の作業が簡便で、正確な位置決めが可能で、しかも、良好な溶着強度が確保できてゲージ本体と柄部材とが分離しにくく、さらに、外観の優れたオイルレベルゲージの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係るオイルレベルゲージの製造方法は、先端側にオイルレベルの上下限マークを有し、後端側に挿入部を有する金属製のゲージ本体の前記挿入部を、合成樹脂製の柄部材に形成した挿入穴に挿入固定するオイルレベルゲージにおいて、前記ゲージ本体の挿入部は、広巾部と、この広巾部の後端側に広巾部を縮小して形成した細巾部からなり、この細巾部は先端に前記広巾部より細巾な膨出部を形成すると共に、前記柄部材の挿入穴に、前記広巾部が挿入される案内穴と、この案内穴の奥に開口され案内穴より狭くかつ前記膨出部より挟い溶融固定穴とを形成して、前記ゲージ本体の細巾部を、前記柄部材の案内穴に配置し、更に前記細巾部が挿入される前記溶融固定穴膨出部の熱で溶融させながら押し込み、所定位置で固化して一体化する製造方法である。
【0012】
そして、前記案内穴を前記広巾部より僅かに広く形成することで、ゲージ本体の挿入部の案内穴への挿入を容易にする
【0013】
らに、前記柄部材にOリングを嵌合するためのOリング溝を設けると共に、前記膨出部を、Oリング溝の内径より狭く形成し、ゲージ本体の挿入部の押し込みに際しての柄部材の破損を防止する。
【0014】
また、前記膨出部を、先端側が縮小するように形成して、挿入穴の少なくとも一部を該細巾部の熱で溶融させながら押込む際の押込み力を少なくして、円滑に挿入部が柄部材の挿入穴の所定の位置まで押入できるようにする。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
オイルレベルゲージ3は、図4に示すように取付部5と把持部6からなる柄部材8と、オイルタンク2内のオイルの量や汚れの程度を点検するためのゲージ本体4で構成されている。
【0016】
この取付部5には、オイルレベルゲージ3を図3に示す内燃機関1等の油タンク2の取付口1aに差し込んだ時に、その差し込み位置を制限して上限、下限のマークの距離の基準となるストッパー部5bを設け、更に、オイル2aが油タンク2の外部へ洩れないように、取付部5の中間位置に形成された丸溝5aにOリング7を配設して、取付口1aをこれによって密封するようにしている。
【0017】
また、ゲージ本体4の先端部の所定の位置に、点検すべき油タンク2に対応した寸法で、油タンク2内のオイル量の上限位置を示す上限マークHと、下限位置を示す下限マークLをそれぞれ設ける。
このオイルレベルゲージ3のゲージ本体4は、通常、ロール巻きされたバネ鋼などの帯状材料を、プレス金型に送込み、プレスして先端部の形状と下限マークLと上限マークH等と後端部の挿入部20を成形し、また、合成樹脂製の柄部材8は、ゲージ本体4とは別途に、合成樹脂によって成形される。
【0018】
そして、ゲージ本体4の挿入部20には、図2(a)に示すように、広巾部21と、この広巾部21を縮小して形成した細巾部22とを設け、更に、この細巾部22の先端に矢じり状の膨出部22aを設ける。
即ち、図2(a)に示すように、挿入部20の広巾部21の巾B1より、膨出部22aの巾B3を小さく、また、膨出部22aの巾B3より、細巾部22の細い部分の巾B2を小さく形成する。このような形状としては、例えば、図2(a)に示すような「矢じり」形状がある。なお、広巾部21は通常はゲージ本体4の延長として同じ巾で形成するが、ゲージ本体4とは別の巾に形成してもよい。
【0019】
また、柄部材8には、ゲージ本体4の広巾部21が挿入される案内穴31と、この案内穴31の奥に開口され、この案内穴31より狭く、かつ、膨出部22aより狭い溶融固定穴32とからなる挿入穴30を設ける。
このように形成されたゲージ本体4の挿入部20を、柄部材8に形成した挿入穴30の案内穴31まで、即ち、図2(c)の状態まで、挿入部20を差し込んで第一段階の挿入を行い、ゲージ本体4と柄部材8との結合部分を高周波電流用のコイル内に入れる。なお、この第一段階の挿入はコイル内で行ってもよい。
【0020】
次に、このコイルに高周波電流を流すと、通常1〜2秒程度の短時間で金属製の挿入部20が約200℃に加熱されるので、この熱によって、挿入部20の周囲の樹脂を溶融する。この溶融時に、図2(c)の状態から、ゲージ本体の最終的なセット位置である(d)の状態まで、挿入部20の先端側近傍の樹脂を溶融しながら挿入部20を押し込み、第二段階の挿入を行う。
【0021】
そして、コイルの高周波電流を止めて冷却し、溶融した樹脂を固化させて、ゲージ本体4と柄部材8を一体化させる。この一体化したオイルレベルゲージ3をコイルから取り出して、溶着作業を終了する。
この挿入部20に樹脂を溶着する方法には、上記の高周波による方法の他に、ゲージ本体と柄部材の結合部分に超音波によって、摩擦熱を発生させて、金属と樹脂を溶着させる方法もあり、これを採用してもよい。
【0022】
以上のような製造方法により、柄部材8の挿入穴30へ挿入部20に押込む第2段階の挿入では、樹脂を局部的に溶融しながら押込むので、小さい押込み力で容易に押込むことができ、しかも、溶融した樹脂が膨出部22aの後部に流れ込んで、結合を強化するので、ゲージ本体4が柄部材8から抜けるのを強固に防止でき、良好な溶着強度を確保できる。
【0023】
この時に、膨出部22aと溶融固定穴32の大きさの差の樹脂部分が、膨出部22aの後側の細巾部22と溶融固定穴32との間の空間部分23に流れ込むので、溶融した樹脂が挿入穴30の外部側に流れ出すことを防止でき、見映えの良い外観の優れたオイルレベルゲージ3を得ることができる。
そして、第一段階の挿入時には、柄部材8の挿入穴30の奥側の溶融固定穴32の巾H2を、膨出部22aの巾B3よりも小さく形成しているので、図2に示すように挿入部20を挿入穴30に、矢印E方向から挿入した場合に、膨出部22aがB部分で停止されるので、高周波電流用のコイル内の適正な位置に挿入部20を配置できて、効率よく加熱することができ、次いで、第二段階の溶融挿入時には、挿入部20に広巾部21を設けてあるので、この広巾部21が溶融固定穴32の入口部分であるB部分に当接するまで、押込めば良く、ゲージ本体の最終セット位置の位置決めが容易にできる。
【0024】
そして、挿入穴30の案内穴部31の大きさを広巾部21の大きさB1よりも、僅かに大きい巾H1とする。こうすることで、ゲージ本体4の広巾部21を容易に案内穴31に挿入できるので、第一段階の挿入が容易となる。
更に、この挿入部20の膨出部22aの巾B3を、図2のOリング7を装着するOリング溝5aの溝径の内径Dより小さくすると、挿入部20の押入時に膨出部22aがOリング溝5aを破損することを防止できる。
【0025】
その上、挿入部20の膨出部22aを、先端側が縮小するように形成すると、溶融しながら押し込む時の押込力を小さくできるので、挿入時の作業性を向上できる。
また、ここでは、帯状板を例に本発明の実施の形態を説明したが、ゲージ本体4の挿入部20の挿入方向に垂直な断面形状は、巾広部21>膨出部22a>細巾部22の大小関係を維持すればよく、その断面形状は円・楕円などでも良い。要するに、挿入しやすく、成形し易い形状の中から、組立作業者の怪我防止などの安全性を考慮して選択すれば良い。
【0026】
【発明の効果】
本発明によって、ゲージ本体と柄部材の一体化の作業時に少ない押込み力で容易にゲージ本体を柄部材に挿入できる。
また、ゲージ本体の細巾部を柄部材の案内穴に挿入すると、細巾部の膨出部が案内穴の奥の溶融固定穴の入口部分に当接して細巾部を高周波電流用のコイル内の適正な位置に容易かつ確実に配置でき、次に溶融固定穴を膨出部の熱で溶融しながら、広巾部が溶融固定穴の入口部分に当接するまで細巾部を押し込めば良く、ゲージ本体の最終セット位置の位置決め作業が容易かつ正確にできる。
また、良好な溶着強度を確保できてゲージ本体と柄部材とが分離しにくい、外観の優れたオイルレベルゲージの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオイルレベルゲージの構成を示す斜視図である。
【図2】オイルレベルゲージの形状を示す図であり、(a)は、ゲージ本体の挿入部を示し、(b)は、柄部材の挿入穴の形状を示す部分断面図であり、(c)は、第一段階の挿入位置を示す部分断面図であり、(d)は、第二段階の挿入位置を示す部分断面図である。
【図3】内燃機関に装着されたオイルレベルゲージを示す説明図である。
【図4】オイルレベルゲージを示す側面図である。
【図5】従来のピン結合工法によるオイルレベルゲージの製造方法を示す斜視図である。
【図6】従来の圧入加熱工法によるオイルレベルゲージの製造方法を示す斜視図であり、(a)は圧入前、(b)は圧入後を示す。
【符号の説明】
1 … 内燃機関 1a… 取付口
2 … 油タンク 3 … オイルレベルゲージ
4 … ゲージ本体 5 … 取付部
5a… Oリング溝部 5b… ストッパー部
7 … Oリング 8 … 柄部材
20 … 挿入部 21 … 広巾部
22 … 細巾部 22a… 膨出部
30 … 挿入穴 31 … 案内穴
32 … 溶融固定穴 33 … 空間部分
34 … コイル 35 … 高周波電源
36 … スプリットピン
H … 上限マーク L … 下限マーク

Claims (4)

  1. 先端側にオイルレベルの上下限マークを有し、後端側に挿入部(20)を有する金属製のゲージ本体(4)の前記挿入部(20)を、合成樹脂製の柄部材(8)に形成した挿入穴(30)に挿入固定するオイルレベルゲージ(3)において、
    前記ゲージ本体(4)の挿入部(20)は、広巾部(21)と、この広巾部(21)の後端側に広巾部(21)を縮小して形成した細巾部(22)からなり、この細巾部(22)は先端に膨出部(22a)を形成すると共に、前記柄部材(8)の挿入穴(30)に、前記広巾部(21)が挿入される案内穴(31)と、この案内穴(31)の奥に開口され案内穴(31)より狭くかつ前記膨出部(22a)より挟い溶融固定穴(32)とを形成して、
    前記ゲージ本体(4)の細巾部(22)を、前記柄部材(8)の案内穴(31)に配置し、更に前記細巾部(22)が挿入される前記溶融固定穴(32)膨出部(22a)の熱で溶融させながら押し込み、所定位置で固化して一体化するオイルレベルゲージの製造方法。
  2. 前記案内穴(31)を前記広巾部(21)より僅かに広く形成した請求項1記載のオイルレベルゲージ(3)の製造方法。
  3. 前記柄部材(8)にOリングを嵌合するためのOリング溝(5a)を設けると共に、前記膨出部(22a)を、Oリング溝(5a)の内径より狭く形成した請求項1または2記載のオイルレベルゲージ(3)の製造方法。
  4. 前記膨出部(22a)を、先端側が縮小するように形成した請求項1からのいずれかに記載のオイルレベルゲージ(3)の製造方法
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