JP3578114B2 - 四輪駆動車両の加速スリップ検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクションコントロールなどを行う際に使用される四輪駆動車両の加速スリップ検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から車両の車体速度を推定する方法として車輪速度から車体速度を求める方法が一般的であるが、四輪駆動車においては、四輪とも加速スリップする状態が生じる場合があり、車輪速度からでは正確な車体速度を求めることができない場合がある。そのような課題に着目したものに、例えば特開平10−141104号公報などに記載されたものがある。この従来例にあっては、各輪の車輪速度の変化が基準値(検出閾値)を超えているかを判断し、全輪とも基準値を越えている場合に、全輪が加速スリップしていると判断している。たとえば、図9に示すように、従駆動輪の速度変化である加速度を検出し、該加速度度が所定の検出閾値よりも大きければ従駆動輪がスリップしていると判定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、基準値を超えないような低加速度の場合には、図10に示すように車輪速度の変化が小さいために、検出閾値未満となって全輪スリップと判定できないことから、例えば推定車体速度が実際の車体速度より大きな値となってしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、低加速度状態でのスリップも検出可能な四輪駆動車両の加速スリップ検出装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、前後輪の各左右輪の回転数差を許容する差動装置と、各車輪の車輪速度を検出する車輪速検出センサとを備え、上記前後輪のうちの一方を主駆動輪とするとともに他方を従駆動輪とし、駆動源から上記主駆動輪に伝達される出力が、上記従駆動輪に伝達される出力よりも大きくなるか同等となるように構成した四輪駆動車両での加速スリップ検出装置において、
上記車輪速検出センサの検出値に基づき、上記従駆動輪の左右輪における車輪速度の高いものから、上記主駆動輪の左右輪における車輪速度の低いものを減算した速度差が、所定閾値以上の場合に全輪が加速スリップしていると判定する加速スリップ判定手段を備えることを特徴とするものである。
【0006】
次に、請求項2に記載した発明は、前後輪の各左右輪の回転数差を許容する差動装置と、各車輪の車輪速度を検出する車輪速検出センサとを備え、
上記前後輪のうちの一方を主駆動輪とするとともに他方を従駆動輪とし、駆動源から上記主駆動輪に伝達される出力が、上記従駆動輪に伝達される出力よりも大きくなるか同等となるように構成した四輪駆動車両での加速スリップ検出装置において、
上記車輪速検出センサの検出値に基づき、上記従駆動輪の左右輪における車輪速度の高いものを、上記主駆動輪の左右輪における車輪速度の低いもので除した速度比が、所定閾値以上の場合に全輪が加速スリップしていると判定する加速スリップ判定手段を備えることを特徴とするものである。
【0007】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記閾値は、車両の走行状態に基づき、車両旋回時の前後輪又は左右輪の輪速差分の補正をして設定されることを特徴とするものである。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、一定の摩擦係数の路面で且つ一定の車体速度において上記速度差が最大となる舵角の状態で、所定摩擦係数の路面における、車体速度と上記速度差との関係を求め、その関係に基づき、車体速度毎に上記所定閾値を設定することを特徴とするものである。
【0008】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、一定の摩擦係数の路面で且つ一定の車体速度において上記速度比が最大となる舵角の状態で、所定摩擦係数の路面における、車体速度と上記速度比との関係を求め、その関係に基づき、車体速度毎に上記所定閾値を設定することを特徴とするものである。
【0009】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項4又は請求項5に記載した構成に対し、上記所定摩擦係数の路面は、高μ路の路面であることを特徴とするものである。
次に、請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載した構成に対し、車両の横方向加速度を検出する横加速度検出手段を備え、該横加速検出手段の検出値に応じて上記所定閾値を設定することを特徴とするものである。
【0010】
次に、請求項8に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載した構成に対し、車両の左右の荷重差の変化量を検出する荷重差検出手段を備え、その荷重差検出手段の検出値に応じて上記所定閾値を設定することを特徴とするものである。
次に、請求項9に記載した発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載した構成に対し、悪路を走行中か否かを判定する悪路推定手段を備え、該悪路推定手段が悪路と判定している間は、上記加速スリップの検出を中止することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、前後輪間における速度差、特に従駆動輪の左右輪における速度の高い側の車輪と、主駆動輪の左右輪における速度の低い車輪との間の速度差に基づいて加速スリップを検出するので、低加速度での全輪スリップを検出することができる。また、従来から設置される車輪速検出センサの検出値に基づいて加速スリップを検出するので、加速スリップを検出するために新たな検出要素を追加する必要がない。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、前後輪間における速度比、特に従駆動輪の左右輪における速度の高い側の車輪と、主駆動輪の左右輪における速度の低い車輪との間の速度比に基づいて加速スリップを検出するので、低加速度での全輪スリップを検出することができる。また、従来から設置される車輪速検出センサの検出値に基づいてスリップを検出するので、加速スリップを検出するために新たな検出要素を追加する必要がない。
【0013】
ここで、車両旋回時にあっては、加速スリップが生じていなくても前後輪や左右輪で車輪速度差が発生する。これに対し、請求項3に係る発明によれば、車両の走行状態に基づいて、上記車輪速度差分だけ閾値を補正するので、旋回時に前後輪速差や左右輪速差が生じることによるスリップ誤判定を防止することができる。また、車両の走行状態によって閾値を設定するので、実際に生じる加速スリップに対しての閾値を小さくすることが可能となる結果、加速スリップの検出感度が向上する。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、上記旋回時の車輪速度差が一番大きくなる舵角の状態での車体速度と速度差との関係を求め、該関係に基づいて、車体速度毎に閾値を定めることで、つまり車両の走行状態に応じて旋回時の車輪速度差分の補正をして閾値を定めることで、上記旋回時の車輪速度差を加味した閾値となって、旋回時に前後輪速差や左右輪速差が生じることによるスリップ誤判定を防止することができる。
【0015】
また、車体速度毎に閾値を設定、車体速度に応じた閾値とすることで、実際に生じる加速スリップに対しの閾値を小さくすることが可能となる結果、加速スリップの検出感度が向上する。
同様に、請求項5に係る発明は、上記旋回時の車輪速度差が一番大きくなる舵角の状態での車体速度と速度比との関係を求め、該関係に基づいて、車体速度毎の閾値を定めることで、つまり車両の走行状態に応じて旋回時の車輪速度差分の補正をして閾値を定めることで、上記旋回時の車輪速度差を加味した閾値となって、旋回時に前後輪速差や左右輪速差が生じることによるスリップ誤判定を防止することができる。
【0016】
また、車体速度毎に閾値を設定、車体速度に応じた閾値とすることで、実際に生じる加速スリップに対しての閾値を小さくすることが可能となる結果、加速スリップの検出感度が向上する。
このとき、請求項6に係る発明にあっては、上記閾値を設定するための関係を求める際の路面を、旋回時の前後輪速差や左右輪速差が一番大きくなる高μ路面とすることで、より確実に旋回時に前後輪速差や左右輪速差が生じることによるスリップ誤判定を防止することができる。
【0017】
なお、上記高μ路の摩擦係数は一般には0.7以上である。
また、請求項7に係る発明によれば、実際の旋回状態によって生じる横方向加速度に応じて閾値を設定するので、車両旋回による前後輪速差や左右輪速差による誤判定を防止することができる。
また、請求項8に係る発明によれば、実際の旋回状態によって生じる左右の荷重差の変化量に応じて閾値を設定するので、車両旋回による前後輪速差や左右輪速差による誤判定を防止することができる。
【0018】
また、請求項9に係る発明によれば、車輪速度が安定しない悪路ではスリップ判定を停止することで、誤判定を防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る四輪駆動の構成を模式的に表した図である。すなわち、エンジン1の出力が、差動装置2,3を介して前輪3FR、3FL及び後輪3RR、3RLに伝達可能となっている。
【0020】
ここで、本実施形態では、四輪駆動モードと二輪駆動モードとの切替が可能となっていて、二輪駆動の場合には、前輪3FR、3FLにだけエンジン1の出力が伝達可能となるように設定されている。そして、本実施形態では、四輪駆動モードでは、後輪3RR、3RLよりも前輪3FR、3FLにエンジン1から伝達される出力が大きくなるか同等となるように設定されることで、前輪3FR、3FLが主駆動輪を構成し、後輪3RR、3RLが従駆動輪を構成している。
【0021】
また、各車輪3FR、3FL、3RR、3RLには、ホイールブレーキなどのブレーキ装置4FR、4FL、4RR、4RLが配置され、その各ブレーキ装置4FR、4FL、4RR、4RLには、制動油圧を制御する油圧制御装置8に接続されている。さらに、各車輪3FR、3FL、3RR、3RLには、各車輪3FR、3FL、3RR、3RLの回転数(車輪速度)を検出するための車輪速検出センサ5FR、5FL、5RR、5RLが配置されている。
【0022】
車輪速検出センサ5FR、5FL、5RR、5RLは、検出した信号をコントローラ6に出力している。コントローラ6は、各種のセンサなどのからの信号を入力すると共に、上記エンジン1や油圧制御装置8に制御信号を出力する。符号7は加速度センサ等の各種のセンサを表す。
コントローラ6には、加速スリップ検出手段6Aを備え、当該加速スリップ検出手段6Aでの判定結果などに基づいて、上述のようにエンジン1や油圧制御装置8などに制御信号を出力する。例えば、図示しないスロットバルブの開度を調整して各車輪3FR、3FL、3RR、3RLの駆動トルクを制御したり、加速スリップの発生しているブレーキ装置の制動油圧を油圧制御装置8で制御して加速スリップを抑制するように制動制御する。
【0023】
次に、本発明に関わる加速スリップ検出手段の処理について説明する。加速スリップ検出手段は、所定サンプリング時間単位に起動されて、図2に示すような処理を行う。
すなわち、ステップS100にて、上記車輪速検出センサ5FR、5FL、5RR、5RLの検出信号に基づいて、前輪3FR、3FL及び後輪3RR、3RLの車輪速度を入力して、ステップS110に移行する。ステップS110では、悪路判定手段を呼び出し、該悪路判定手段から復帰したらステップS120に移行する。
【0024】
ステップS120では、上記悪路判定手段からの信号に基づき、悪路を走行中か否かを判定し、悪路と判定した場合には、処理を終了する。一方、悪路でないと判定した場合には、ステップS130に移行する。
ステップS130では、左右後輪3RR、3RLの各輪速を比較し、大きい側の輪速を選択してVsに代入し、ステップS140に移行する。
【0025】
ステップS140では、左右前輪3FR、3FLの各輪速を比較して、小さい側の輪速を選択してVmに代入し、ステップS150に移行する。
ステップS150では、下記式によって速度差ΔVを算出してステップS170に移行する。
ΔV = Vs − Vm
ステップS170では、上記速度差ΔVが所定閾値HV以上の大きさ否かを判定して、所定閾値HV以上と判定した場合にはステップS180に移行して、従駆動輪で加速スリップが生じていると判断して、加速スリップ有りフラグKーFLGをONにして処理を終了する。
【0026】
一方、ステップS170にて速度差ΔVが所定閾値HV未満と判定した場合には、従駆動輪で加速スリップが生じていないと判断して、加速スリップ有りフラグKーFLGをOFFにして処理を終了する。
また、上記悪路判定手段は、特開2000−233739号公報などに記載されているような公知の判定方法で、路面が悪路か否かを判定する。たとえば、車輪速度の変動状態(周波数など)が路面の凹凸によるものか否かで判定する。
【0027】
次に、上記構成の四輪駆動車両の加速スリップ検出の作用・効果などについて説明する。
車体速度に対して全輪が加速スリップして、各輪の車輪速度が車体速度によりも大きくなった場合、実際の路面は左右の車輪3FR、3FL、3RR、3RLが接地している路面μに差があるので、図3に示すように、車輪3FR、3FL、3RR、3RLに車輪速度差が発生する。このとき、主駆動輪の低い方の車輪速度Vmと従駆動輪の高い方の車輪速度Vsとを比較すると、一般的には、Vs>Vmとなる。これは、低加速度状態であっても同様であり、低加速度時であっても、図3(b)に示すように、検出閾値HVを超えて従駆動輪の加速スリップを検出することができる。なお、従駆動輪が加速スリップしている場合には、一般的に主駆動輪も加速スリップしている。
【0029】
ここで、上記実施形態では、従駆動輪における左右輪のうちの輪速の高い方Vsから、主駆動輪における左右輪のうちの輪速の低い方Vmを引いた速度差ΔVに基づいてスリップの有無を判定しているが、これに限定されない。例えば、従駆動輪における左右輪のうちの輪速の高い方Vsに対する、主駆動輪における左右輪のうちの輪速の低い方Vmの速度比(δV=(Vm/Vs))を求め、該速度比が所定閾値HV′以上か否かで判定するようにしても良い。作用・効果は同様である。
【0030】
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な部品には同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の基本構成は、上記第1実施形態と同様であるが、上記所定閾値HVを車輪速度によって変更する点が異なる。
すなわち、上記加速スリップ検出手段において、ステップS150とステップS170との間に、閾値HVを設定するステップS160を設けてある。
【0031】
上記ステップS160では、従駆動輪である後輪3RR、3RLの左右車輪速度の平均値を車体速度と仮定し、図4示すような実線のグラフに基づき、従駆動輪の車輪速度から閾値HVをマップ検索によって算出して設定している。
次に、上記マップ検索で使用するグラフの求め方について説明する。
まず、高μ路の路面であって且つ同一の車体速度という条件で、舵角と上記速度差ΔVとの関係を求める。速度差ΔVは、舵角によって変化し、舵角が0から大きくなるにつれて速度差ΔVも大きくなるが、ある舵角で速度差ΔVは最大となり、それ以上舵角を大きくしても、車輪速度が下がることから当該車輪速度から演算される速度差ΔVは低下する。すなわち、その舵角と上記速度差ΔVの関係は、一般に、図5に示すようになっていて、当該図で示されるような関係から、速度差ΔVが最大となる舵角θを求める。
【0032】
ここで、上記関係を求める際の車体速度は、路面μとの関係から加速スリップしない範囲で選択する。旋回時には、スリップしていなくても前後輪速差や左右輪速差が生じるため、上記のような関係が求まる。
また、上記舵角と速度差ΔVとの関係は、高μ路でなくてもほぼ同様な傾向となるため、当該舵角と速度差ΔVとの関係を求める際の路面条件を高μ路とすることは必ずしも必要はないが、高μ路での速度差ΔVの限界値(ΔVmax )を求めるために、後述の車体速度と速度差ΔVとの関係を求める場合の路面条件と同じ高μ路に揃えてある。
【0033】
なお、高μ路とは、一般にはμ(摩擦係数)が0.7以上の路面を指す。また、高μ路とするのは、旋回時の前後輪速差や左右輪速差が一番大きくなるため、その時の舵角と速度差ΔVとの関係を求めることで、確実に旋回時のスリップ誤判定を防ぐことができる。すなわち、高μ路の中でも、最もμが高い状態での舵角と速度差ΔVとの関係を求めことが一番好ましい。
【0034】
そして、上記求めた速度差ΔVが最大となる舵角θの時の、車体速度と速度差ΔVとの関係を求める。図6がその車輪速度と速度差ΔVとの関係を示すものである。上記車体速度は、例えば、従駆動輪である後輪3RR、3RLにおける左右輪の平均値を採用すればよい。
ここで、高μ路としているのは、所定車体速度に対する速度差ΔVは、路面の摩擦係数が高いほど高くなることから、十分に高い摩擦係数を持つ高μ路の路面を採用している。そして、当該高μ路にて実際に走行して、上記舵角での、車体速度に対する上記速度差ΔVを求め、図4のように、該速度差ΔVに適当な余裕代αを加えた値を閾値HVとして設定する。ここで、図6のグラフは、図4中、一点鎖線のグラフに相当する。
【0035】
このとき、路面一定で舵角一定の転舵走行にて速度を上昇すると、上記速度差ΔVは車速と共に増加するが、摩擦力の限界から所定車速以上は車両が極めて不安定となるので、実用上考慮する必要が無く、その上限以上の車速となった場合には、ΔVmax の値を基に閾値HVを設定すればよい。
なお、高μ路で、車体速度と速度差ΔVの関係を求めているので、上記限界の速度差ΔVを、実用可能な範囲内で適切に設定することできる。
【0036】
ここで、主駆動輪が後輪3RR、3RLの車両の一部の車両にあっては、明確な速度差ΔVの限界値を持たず、車体速度と速度差ΔVの関係において、速度差ΔVが常に0以下となるものがあるが、この場合には、閾値HVとして0に適当な余裕代αを加えた値を採用する。
次に、本実施形態の構成の作用・効果等について説明する。
【0037】
転舵時、つまり車両旋回時においては、加速スリップが発生していなくても前後輪の間及び左右輪の間に輪速差が生じる。このため、上記第1実施形態のように閾値HVを一定に設定する場合には、スリップ検出の誤判断を避けようとすると、転舵時における最大の輪速差を加味して上記閾値HVを十分に大きく設定する必要がある。
【0038】
これに対し、本第2実施形態の構成にあっては、車速毎に、上記車両旋回時の車輪速度差ΔVを加味した閾値HVを設定するので、実際の加速スリップ発生に対する、閾値HVの大きさを小さく設定することができる。この結果、加速スリップ検出の感度が向上する。
しかも、車両旋回時の前後輪速差や左右輪速差を加味して閾値HVを設定しているので、当該車両旋回時に前後輪速差や左右輪速差が生じることによる誤判断を防止することができる。
【0039】
他の作用・効果は上記実施形態と同様である。
ここで、本実施形態では、速度差ΔVが最大となる舵角に基づき車両旋回時の前後輪速差分や左右輪速差分を補正して閾値HVを決定しているが、これに限定されない。
例えば、車両の横加速度に基づいて上記車両旋回時の前後輪速差分や左右輪速差分を補正して閾値HVを決定しても良い。すなわち、旋回時に発生する横加速度と車輪速度差ΔVとの関係を求めておき、図7に示すような、当該関係に余裕代αを加えた値(実線のグラフ)を閾値HVとして設定して、横加速度に応じて閾値HVを設定するようにしても良い。
【0040】
なお、横加速度は、加速度センサで直接測定しても良いし、舵角と車速との関係から推定される横加速度を採用しても良い。
または、横加速度の代わりに、旋回時に生じる車両の左右荷重差によって、旋回の状態を推定して、当該車両の左右荷重差に基づいて上記車両旋回時の前後輪速差分や左右輪速差分を補正して閾値HVを決定しても良い。すなわち、旋回時に発生する車両の左右荷重差と車輪速度差ΔVとの関係を求めておき、図8に示すような、当該関係に余裕代αを加えた値(実線のグラフ)を閾値HVとして設定して、左右荷重差に応じて閾値HVを設定するようにしても良い。
【0041】
ここで、左右荷重差は、左右のサスペンションのストローク(例えば、ショックアブソーバの伸縮量、サスペンションリンクの上下方向の角度、サスペンションスプリングの撓み量などから求める)から求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る車両の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係るスリップ検出手段の処理を示す図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係るスリップ検出を説明する図であって、(a)は時間と車輪速の関係を、(b)は時間と車輪速度差ΔVとの関係を、(c)は時間とスリップの有無判断の関係を示す図である。
【図4】本発明に基づく第2実施形態に係る車体速と閾値HVの関係を示す図である。
【図5】舵角と車輪速度差ΔVとの関係を示す図である。
【図6】車体速度と車輪速度差ΔVとの関係を示す図である。
【図7】横加速度と閾値との関係を示す図である。
【図8】左右の荷重差と閾値との関係を示す図である。
【図9】従来における、高加速度時におけるスリップ検出を説明する図であって、(a)は時間と車輪速の関係を、(b)は時間と車輪加速度との関係を、(c)は時間とスリップの有無判定の関係を示す図である。
【図10】従来における、低加速度時におけるスリップ検出を説明する図であって、(a)は時間と車輪速の関係を、(b)は時間と車輪加速度との関係を、(c)は時間とスリップの有無判定の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2、3 差動装置
3FR、3FL 前輪(従駆動輪)
3RR、3RL 後輪(主駆動輪)
4FR、4FL、4RR、4RL ブレーキ装置
5FR、5FL、5RR、5RL 車輪速検出センサ
6 コントローラ
6A スリップ検出手段
8 油圧制御装置
ΔV 車輪速度差
HV 閾値
Claims (9)
- 前後輪の各左右輪の回転数差を許容する差動装置と、各車輪の車輪速度を検出する車輪速検出センサとを備え、
上記前後輪のうちの一方を主駆動輪とするとともに他方を従駆動輪とし、駆動源から上記主駆動輪に伝達される出力が、上記従駆動輪に伝達される出力よりも大きくなるか同等となるように構成した四輪駆動車両での加速スリップ検出装置において、
上記車輪速検出センサの検出値に基づき、上記従駆動輪の左右輪における車輪速度の高いものから、上記主駆動輪の左右輪における車輪速度の低いものを減算した速度差が、所定閾値以上の場合に全輪が加速スリップしていると判定する加速スリップ判定手段を備えることを特徴とする四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。 - 前後輪の各左右輪の回転数差を許容する差動装置と、各車輪の車輪速度を検出する車輪速検出センサとを備え、
上記前後輪のうちの一方を主駆動輪とするとともに他方を従駆動輪とし、駆動源から上記主駆動輪に伝達される出力が、上記従駆動輪に伝達される出力よりも大きくなるか同等となるように構成した四輪駆動車両での加速スリップ検出装置において、
上記車輪速検出センサの検出値に基づき、上記従駆動輪の左右輪における車輪速度の高いものを、上記主駆動輪の左右輪における車輪速度の低いもので除した速度比が、所定閾値以上の場合に全輪が加速スリップしていると判定する加速スリップ判定手段を備えることを特徴とする四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。 - 上記閾値は、車両の走行状態に基づき、車両旋回時の前後輪又は左右輪の輪速差分の補正をして設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。
- 一定の摩擦係数の路面で且つ一定の車体速度において上記速度差が最大となる舵角の状態で、所定摩擦係数の路面における、車体速度と上記速度差との関係を求め、その関係に基づき、車体速度毎に上記所定閾値を設定することを特徴とする請求項1に記載した四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。
- 一定の摩擦係数の路面で且つ一定の車体速度において上記速度比が最大となる舵角の状態で、所定摩擦係数の路面における、車体速度と上記速度比との関係を求め、その関係に基づき、車体速度毎に上記所定閾値を設定することを特徴とする請求項2に記載した四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。
- 上記所定摩擦係数の路面は、高μ路の路面であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載した四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。
- 車両の横方向加速度を検出する横加速度検出手段を備え、該横加速検出手段の検出値に応じて上記所定閾値を設定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載した四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。
- 車両の左右の荷重差の変化量を検出する荷重差検出手段を備え、その荷重差検出手段の検出値に応じて上記所定閾値を設定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載した四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。
- 悪路を走行中か否かを判定する悪路推定手段を備え、該悪路推定手段が悪路と判定している間は、上記加速スリップの検出を中止することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載した四輪駆動車両の加速スリップ検出装置。
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