JP3577893B2 - 電力変換回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、PWMインバータ装置などの電力変換回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、PWMインバータ装置などの複数組の半導体スイッチからなる電力変換回路を構成する自己消弧形素子(IGBT,MOSFETなど)のスイッチング動作は、キャリア周波数が数KHzから数十KHz程度のパルス幅変調(PWM)された駆動信号に基づいて行われ、このスイッチング動作により輻射ノイズがこの電力変換回路から発生することが知られている。
【0003】
近年、上記輻射ノイズの周波数成分のうち、特に30MHz以上の成分が外部機器に与える悪影響を抑制するべく、当該する装置(電力変換回路)に種々の法的規制(限度値)が敷かれている。
図5は、この種の電力変換回路の従来例を示す構成図であり、1は商用電源などの交流電源、2はダイオード整流器、3は平滑コンデンサ、4は三相インバータ、5は三相インバータ4を構成するそれぞれの半導体スイッチのスナバコンデンサ、6はこの電力変換回路の負荷を示す。
【0004】
図6は、図5に示した三相インバータ4を構成する6組の半導体スイッチとして、各相アーム毎に使用される2組の半導体スイッチを内蔵したIGBTモジュール40を示し、図6(イ)はその内部の回路構成図であり、図6(ロ)はこのIGBTモジュール40を構成する半導体素子の接合容量や配線インダクタンスを考慮した等価回路図である。
【0005】
このIGBTモジュール40はIGBT41,42とダイオード43,44とから構成され、図6(ロ)に示すようにIGBT41,42にはコレクタ−エミッタ間接合容量(C11,C21)とコレクタ−ゲート間接合容量(C12,C22)とゲート−エミッタ間接合容量(C13,C23)とが存在し、ダイオードにはアノード−カソード間接合容量(C31,C41)が存在し、さらに図示の如き配線インダクタンスL〜L13が存在し、このL〜L13それぞれは概ね数nH〜数十nH程度である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示した半導体スイッチ1組当たりの容量をCO1,CO2(CO1≒CO2)とすると、式(1)〜(2)で表される。
【0007】
【数1】
O1=C11+C31+C12・C13/(C12+C13) …(1)
【0008】
【数2】
O2=C21+C41+C22・C23/(C22+C23) …(2)
IGBTモジュール40のスイッチング動作により、主としてスナバコンデンサ5を電源としてCO1,CO2が充放電し、この充放電に基づく振動周波数fは、式(3)で表される。
【0009】
【数3】
f=(1/2π)(L・CO1/2)−1/2 …(3)
ここで、Lは前記L〜L13に基づく一巡のインダクタンスを示し、fは概ね数十MHzである。
その結果、上述の規制に基づく対策をこの電力変換回路に施す必要があり、従来は電磁シールドを設ける,接続経路にフィルタを挿設するなどの処置を行っていたが、この方法ではPWMインバータ装置などを構成する電力変換回路がコストアップし、大型化するという難点があった。
【0010】
この発明の目的は上記問題点を解決する電力変換回路を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この第1の発明は、電力変換回路の主回路を構成する複数組の半導体スイッチから該スイッチのスナバ回路への経路に、1個または複数個のインダクタを挿設した電力変換回路とする。
第2の発明は、電力変換回路の主回路を構成する複数組の半導体スイッチそれぞれの間に、1個または複数個のインダクタを接続した電力変換回路とする。
【0012】
第3の発明は 電力変換回路の主回路を構成する1組又は複数組の半導体スイッチに、1個または複数個のインダクタを付加した電力変換回路とする。
第4の発明は、電力変換回路の主回路を構成する1組又は複数組の半導体スイッチを自己消弧形素子とダイオードの逆並列回路から構成し、この自己消弧形素子からダイオードへの経路に、1個または複数個のインダクタを挿設した電力変換回路とする。
【0013】
この発明によれば、電力変換回路を構成する半導体スイッチのスイッチング動作時に、前記素子容量と配線インダクタンスと、前記インダクタとによって該素子容量の充放電に基づく振動周波数を低下させ、且つその電流値も低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の第1の実施例を示す電力変換回路の部分回路図であり、図5,6に示した従来例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。すなわち図1においては、図5に示した三相インバータ4を構成する複数組の半導体スイッチのうち、各相アームを構成するIGBTモジュール40からスナバ回路としてのスナバコンデンサ5への経路に1個又は複数個のインダクタが挿設されている。図1(イ)ではインダクタ51,52がこれに該当し、図1(ロ)ではインダクタ53がこれに該当し、図1(ハ)ではインダクタ54がこれに該当する。
【0015】
図1に示した実施例回路では、IGBTモジュール40のスイッチング動作時、主としてスナバコンデンサ5を電源としてIGBT40が有する素子容量と配線インダクタンス(図6(ロ)参照)と、インダクタ(51〜54)とによる振動周波数が従来例に比して低くでき、且つこの電流値も低減する。
図2は、この発明の第2の実施例を示す電力変換回路の回路構成図であり、図5,6に示した従来例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0016】
すなわち、図2の電力変換回路では、図5に示した三相インバータ4を構成する3組のIGBTモジュール40それぞれの間に1個又は複数個のインダクタが接続されている。図2(イ)ではインダクタ61〜64がこれに該当し、図2(ロ)ではインダクタ65,66がこれに該当し、図2(ハ)ではインダクタ67,68がこれに該当する。
【0017】
図2に示した実施例回路では、3組のIGBTモジュール40それぞれのスイッチング動作時、それぞれのIGBT40が有する素子容量と配線インダクタンス(図6(ロ)参照)と、インダクタ(61〜68)とによる振動周波数が従来例に比して低くでき、且つこの電流値も低減する。
図3は、この発明の第3の実施例を示す電力変換回路の部分回路図であり、図1,2に示した実施例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0018】
すなわち図3において、IGBTモジュール40と同一機能を有するIGBT40a,40b,40cの内部には1個又は複数個のインダクタが付加されている。図3(イ)ではインダクタ71,72がこれに該当し、図3(ロ)ではインダクタ73がこれに該当し、図3(ハ)ではインダクタ74がこれに該当する。図3に示した実施例回路では、IGBTモジュール40a,40b,40cのスイッチング動作時、主としてスナバコンデンサ5を電源としてIGBT40,40b,40cが有する素子容量と配線インダクタンス(図6(ロ)参照)と、インダクタ(71〜74)とによる振動周波数が従来例に比して低くでき、且つこの電流値も低減する。
【0019】
図4は、この発明の第4の実施例を示す電力変換回路の部分回路図であり、図1,2に示した実施例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。すなわち図4において、IGBTモジュール40を構成する2組のIGBTとダイオードとの逆並列回路それぞれに、1個または複数個のインダクタが挿設される。図4(イ)ではIGBT41とダイオード43の逆並列回路のインダクタ81,82がこれに該当し、図4(ロ)ではIGBT41とダイオード43の逆並列回路のインダクタ83がこれに該当し、図4(ハ)ではIGBT41とダイオード43の逆並列回路のインダクタ84がこれに該当する。
【0020】
図4に示した実施例回路では、IGBT41のスイッチング動作に伴い、IGBT41,ダイオード43の素子容量と素子間の配線インダクタンス(図6(ロ)参照)とによる振動周波数が100MHz程度であるのに対して、インダクタ(81〜84)の挿設により30MHz以下で、且つこの電流値も低減することができる。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、電力変換回路を大型化することなく、該電力変換回路の主回路を構成する半導体スイッチのスイッチング動作時に、該スイッチを構成する半導体素子の素子容量と配線インダクタンスとに起因する振動周波数を低下させ、且つその電流値も低減することができるので、該電力変換回路からの輻射ノイズが軽減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す電力変換回路の部分回路図
【図2】この発明の第2の実施例を示す電力変換回路の回路構成図
【図3】この発明の第3の実施例を示す電力変換回路の部分回路図
【図4】この発明の第4の実施例を示す電力変換回路の部分回路図
【図5】従来例を示す電力変換回路の構成図
【図6】図5に示した電力変換回路の回路構成図
【符号の説明】
1…交流電源、2…ダイオード整流器、3…平滑コンデンサ、4…三相インバータ、5…スナバコンデンサ、40,40a,40b,40c…IGBTモジュール、41,42…IGBT、43,44…ダイオード、51〜54,61〜68,71〜74,81〜84…インダクタ。

Claims (4)

  1. 電力変換回路の主回路を構成する複数組の半導体スイッチから該スイッチのスナバ回路への経路に、該半導体スイッチの出力容量との振動周波数が30MHz以下となる1個または複数個のインダクタを挿設したことを特徴とする電力変換回路。
  2. 電力変換回路の主回路を構成する複数組の半導体スイッチそれぞれの間に、該複数組の半導体スイッチの合成出力容量との振動周波数が30MHz以下となる1個または複数個のインダクタを接続したことを特徴とする電力変換回路。
  3. 電力変換回路の主回路を構成する1組又は複数組の半導体スイッチに、該1組または複数組の半導体スイッチの合成出力容量との振動周波数が30MHz以下となる1個または複数個のインダクタを付加したことを特徴とする電力変換回路。
  4. 電力変換回路の主回路を構成する1組又は複数組の半導体スイッチを自己消弧形素子とダイオードの逆並列回路から構成し、この自己消弧形素子からダイオードへの経路に、該自己消弧素子とダイオードの合成出力容量との振動周波数が30MHz以下となる1個または複数個のインダクタを挿設したことを特徴とする電力変換回路。
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