JP3577439B2 - レーザ光照射プローブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を皮膚面に照射して脱毛や美肌などのトリートメントを行うレーザ光照射プローブに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
脱毛クリームで毛を除去した後の皮膚にレーザ光を照射するとレーザ光が表皮内メラニンに吸収されて発熱し、皮膚組織にたんぱく変性が起こる。これにより皮脂腺や毛乳頭部がダメージを受け、毛包の組織が硬くなって毛の発育が抑制される脱毛効果を発揮する。
【0003】
あるいは、シミ・ソバカスなど皮膚の表皮や真皮に散在する異常な色素細胞に
レーザ光を照射すると、これらの色素細胞が発熱して細かい粒子に分散する。分散した異常色素細胞は表面に浮き上がったり、老廃物となって血管やリンパ管に吸収されて消滅し、正常な色の皮膚が蘇る美肌効果を発揮する。
【0004】
レーザ光を照射して脱毛や美肌などのトリートメントを行うときは、毛穴や異常な色素細胞に対して的確にレーザ光を照射する必要がある。ところが、従来はレーザ光を照射する皮膚表面がプローブの影に隠れるため、正確に毛穴や異常な色素細胞の位置を確認できなかった。このため、レーザ光を正確に目標に命中させるのが難しく、効果的なトリートメントができない上に、毛穴や異常な色素細胞以外の皮膚を傷めてしまうという危険性があった。
【0005】
一方、レーザ光は通常の光源に比べてエネルギー密度が桁違いに大きいので、レーザ光が生体組織に照射されると大きな光エネルギーが吸収され、パワーが集中する部分では高温になって焼けたり蛋白質の変成が起こる。特に光に対して敏感な感覚器官である目への障害は無視できず、レーザ光を直接目に入れたりすると大変危険である。
【0006】
また、レーザ光は高い指向性をもち、光源から遠く離れても光パワーが至近距離と変わらないので、離れた所から照射したレーザ光を目に入れて損傷するなどの事故が発生しやすくなる。このような事故を防止するため、プローブの先端にタッチセンサを取り付けてプローブの先端が皮膚に接触したときだけレーザ光を照射する安全対策を施したプローブが製品化されている。
【0007】
ところが従来のタッチセンサ付きプローブは、現在タッチセンサが皮膚への接触を検知してレーザ光を照射できる状態かどうか分からないので、スイッチを押しても接触状態によっては意図に反してレーザ光が照射されないことがある。このため故障との区別がつかず、快適な操作の妨げになっていた。
【0008】
そこで本発明は、プローブの先端にCCDカメラを取り付けてレーザ光を照射する皮膚表面をモニタで観察できるようにすることを第一目的とし、モニタの表示画面にレーザ光を照射できる状態かどうかを表示することにより、レーザ光照射プローブの操作性を高めることを第二の目的になされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は以下のように構成した。
【0010】
すなわち、請求項1の発明は、レーザ光を皮膚に照射する照射ヘッドを有する照射スイッチ付きレーザ光照射プローブであって、
前記照射ヘッド内には、半導体レーザ光源と、照明光源と、照射範囲の映像を捉えるCCDカメラとが内蔵され、
前記照射ヘッドのレーザ照射口の先端に、照射口が皮膚に接触したことを検知する接触センサを設け、
前記プローブ内に、安全回路と映像信号処理回路とを有し、
前記安全回路は、照射スイッチからのオン信号と接触センサからの皮膚接触信号とが入力され、両者の信号が同時に入力された場合のみ、前記半導体レーザ光源へ照射開始信号を出力するものであり、
前記映像信号処理回路は、前記CCDカメラからの撮像信号と前記接触センサからの皮膚接触信号とが入力され、プローブに外部接続されたモニタ画面に対し、撮像された画像及び皮膚接触信号の入力により形成出力されるレーザ照射可能マーク画像の双方を出力するものであるレーザ光照射プローブである。
請求項2の発明は、前記請求項1のレーザ照射可能マークのモニタ画面への出力に代えて、
映像信号処理回路は、プローブに外部接続されたモニタ画面に対し、撮像された画像の出力信号自体を皮膚接触信号の入力を条件として出力することで、レーザ照射可能か否かをモニタ画像の発生/非発生にて操作者に報知せしめたレーザ光照射プローブである。
請求項3の発明は、請求項1又は2のモニタ画面が家庭用テレビであって、この家庭用テレビに撮像された画像を表示するための接続機構を備えてなるレーザ光照射プローブである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1に、本発明を実施したレーザ光照射プローブの接続構成図を示す。
レーザ光照射プローブ1は、基端部にビデオ端子V1と電源端子P1を有し、ビデオ端子V1をコードV2を介して家庭用のテレビMに接続し、電源端子P1をコードP2を介してACアダプタAに接続する。
【0013】
図2と図3に、本発明を実施したレーザ光照射プローブの正面図と縦断面図を
示す。
レーザ光照射プローブ1は、ケース11の正面に先筒12を一体に取り付け、先筒12の内側に断面台形のヒートシンク13の基底部を挿嵌する。
また、基板Kを内蔵して制御回路とファン3、LEDランプ4および押しボタン式の照射スイッチ5を取り付ける。
ファン3は、先筒12の後方に設置してヒートシンク13を空冷する。
LEDランプ4と照射スイッチ5は、ケース11の対向面を開口して先端を外側に露出する。
【0014】
先筒12は、外周にスクリューねじaを刻設し、スクリューねじaを介して先細形状のキャップ14を取り付ける。
キャップ14は、先端に皮膚に接触すべきレーザ照射口bを開口し、開口端面から側面に沿って基端を制御回路に接続する導電性の薄膜を接着あるいは蒸着して上下2本の接触センサT1、T2を形成する。
キャップ14は、ヒートシンク13の先端と皮膚との間のスペーサとしての役割を果たし、スクリューねじaを廻してヒートシンク13の先端と皮膚との間の距離を調節する。
【0015】
ヒートシンク13は、中心に通孔cを明け、通孔cの最奥部にレーザ照射口bに向けて拡大レンズ15を設置し、拡大レンズ15の後方にCCDカメラ16の撮像面を臨ませる。
これにより、CCDカメラ16の光軸をレーザ照射口bの開口端面に直交させる。
また、通孔cの上方にヒートシンク13の中心線に対し傾斜した方向に沿って通孔dを明け、通孔dの開口端面にレーザ照射口bに向けて球レンズ17を取り付け、球レンズ17の後方にレーザダイオード18を挿嵌する。
これにより、レーザダイオード18のレーザ光をレーザ照射口bに対して斜めに照射する。
また、通孔cの外周に複数の通孔eを明け、通孔eに照明用の高輝度白色発光ダイオード19を挿嵌する。
これにより、外周方向からレーザ照射口bに向けて高輝度白色発光ダイオード19の照明光を照射する。
【0016】
ヒートシンク13は、レーザダイオード18の動作時の発熱を熱伝導によって拡散させて性能の低下を抑える。
このため、熱伝導効率のよいアルミあるいはその合金で鋳造し、ダミーの通孔をいくつか設けて放熱効率を高める。
【0017】
球レンズ17は、レーザダイオード18のレーザ光を集光して前方の焦点にビームウエストを形成するが、焦点距離が通常のレンズより短いので、焦点深度もわずかで狭い範囲に光パワーを絞り込むことができる。
また、焦点を過ぎた位置からは逆に同じ角度で広がり、広い範囲に光パワーが分散する。
このため、焦点を過ぎた位置ではエネルギー密度が低くなって光パワーが衰えるので、誤って照射しても生体を損傷する危険性が少なくなる。
【0018】
レーザダイオード18は、GaAs(ガリウムアルセナイド)などの化合物半導体を用いたPN接合ダイオードに直接電流を流して励起し、レーザ発振を得る。また、ピーク波長600〜1600nm、光出力5mW〜3Wのレーザ光を出力し、熱効率が良くて皮膚に十分な光熱反応を起こす。
さらに、熱反応のほか、光電気反応、光磁気反応、光力学反応、光化学反応、光免疫反応、光酵素反応などがあり、光生物学的活性化により生体組織の新陳代謝を促して皮膚血行を高め、水分や血液に吸収されにくいため、優れた皮膚深達性を持つ。
【0019】
制御回路は、接触センサT1、T2の皮膚への接触を検出するタッチセンサ回路と、レーザダイオード18の間欠照射のオンタイムをタイマ制御するタイマ制御回路と、レーザダイオード18へ照射開始信号を出力する安全回路で構成する。
安全回路は、照射スイッチ5からのオン信号とタッチセンサ回路からの皮膚接触信号とが入力され、両者の信号が同時に入力された場合のみ、レーザダイオード18へ照射開始信号を出力して、レーザダイオード18の点灯をオン・オフする。
すなわち、照射スイッチのオン信号とタッチセンサ回路の皮膚接触信号の両方が出力しているとき、はじめてレーザダイオード18を点灯する。
従って、タッチセンサ回路が皮膚接触信号を出力していないときは、誤って照射スイッチ5を押してもレーザダイオード18は点灯されない。
【0020】
図4に、タッチセンサ回路のブロック図を示す。
タッチセンサ回路は、接触センサT1、T2が皮膚に接触したときに発生する微弱な交流電圧をそれぞれ帯域フィルタ21、整流回路22、増幅器23を介して直流電圧に変換し、波形整形、レベル調整、オフセット調整した後、A/D変換器24、I/Oインターフェース25を介してCPU26に入力する。
また、CPU26にI/Oインタフェース25を介してレーザダイオード18へ照射開始信号を出力する安全回路27を接続する。
【0021】
タッチセンサ回路は、接点式の他、静電容量や抵抗などのインピーダンス変化を検知するものや、圧電素子によって圧力変化を検知するものでもよい。
【0022】
タッチセンサ回路は以上のような構成で、接触センサT1、T2の電圧値を読み込んで所定の交流電圧が発生しているかどうかを判定し、接触センサT1、T2の両方に所定の交流電圧が発生しているとき、レーザダイオード18の安全回路27に皮膚接触信号を出力する。
接触センサの接点を2箇所以上設けるときは、それぞれの接点に所定の交流電圧が発生しているかどうかを判定し、すべての接点に所定の交流電圧が発生しているときはじめてレーザダイオード18の安全回路27に皮膚接触信号を出力する。
【0023】
LEDランプ4は、赤と緑のLEDチップを1つのランプの中に入れ、それぞれ片方ずつ、あるいは両方同時に点灯して、赤、緑、黄色、または、橙色(アンバー)の3色発光ができるものを使用する。
【0024】
照射スイッチ5は、本実施例では、電源のオン・オフと間欠照射のオンタイムを切換える操作を兼ねるものである。
すなわち、照射スイッチ5を1回押す毎に電源オンと、オンタイムの切換え(1秒〜6秒)と、電源オフの順にモードが切換わる。
このとき、LEDランプ4は1秒〜6秒のオンタイムに対応して緑色点灯から緑色点滅、橙色点灯、橙色点滅、赤色点灯、赤色点滅の順に表示が切換わる。
最後に照射スイッチ5をロングオン(1.5秒)すると、電源がオフとなりレーザ光の照射が停止する。
オンタイムの長さは、皮膚に一過性のダメージを与えないために、ごく短い1〜6秒に 設定されている。
【0025】
本発明のレーザ光照射プローブは以上のような構成で、トリートメントを行うときは、まず、照射スイッチ5を押して電源をオンにする。
次に、キャップ14の先端を皮膚に押し当て、テレビMの画面に映ったレーザ光照射位置の拡大画像を見ながらプローブを移動させる。
このとき、キャップ14の先端が皮膚に接触していれば、タッチセンサ回路が接触センサT1、T2の皮膚への接触を検知し、安全回路27に皮膚接触信号を出力する。
これと同時に、皮膚接触信号は映像信号処理回路にも入力されて、映像信号処理回路はレーザ照射可能マークと撮像された画像の双方をテレビ M に出力して、撮像された画像が映ったテレビMの画面にレーザ照射可能マークを表示する。
このレーザ照射可能マークにより現在レーザ光を照射できる状態にあることが分かる。そこで照射スイッチ5を押して目標に向けてレーザ光を照射する。
【0026】
他の実施形態として、レーザ照射可能マークの代わりに、レーザ照射可能か否かをテレビMの画面映像の発生・非発生によって表示してもよい。
すなわち、タッチセンサ回路が接触センサT1、T2による皮膚接触信号の出力を契機として、映像信号処理回路がテレビMに撮像された画像を出力することで、皮膚接触信号の出力がない場合には画像の出力も行われないので、テレビMには空白画像が表示される。
これにより、テレビMの画面に撮像された映像が表示されている間は、レーザ光を照射できる状態にあることを利用者に知らせることができる。
【0027】
照射スイッチ5を押すと、タイマ制御回路により、レーザダイオード18は既定の1秒間点灯し、その後1秒間休止する。そして、この照射と休止を繰り返しながら間欠的にレーザ光を照射する。
オンタイムを変更する場合は、照射スイッチ5を押してオンタイムを切換え、所望のオンタイムのところで照射スイッチ5を押すのを止める。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のレーザ光照射プローブは、プローブ内に安全回路と映像信号処理回路とを有し、安全回路は、プローブに取り付けた照射スイッチからのオン信号と接触センサからの皮膚接触信号とが両方同時に入力された場合にのみ、半導体レーザ光源へ照射開始信号を出力し、また映像信号処理回路は、プローブに外部接続されたモニタ画面に対し、プローブ内のCCDカメラによる撮像された画像と、前記皮膚接触信号の入力により形成出力されるレーザ照射可能マーク画像の双方を出力するから、映像信号処理回路に接触センサの皮膚接触信号が入力すると、撮像された画像を映すモニタ画面にレーザ照射可能マークが表示される。
従って、本発明によれば、第一に、CCDカメラで撮影した画像を見ながらプローブのスイッチを操作できるので、確実に目標に向けてレーザ光を照射でき、このため、トリートメント効率が向上すると共に、目標の部位以外にレーザ光を照射して皮膚を傷めるような危険性が少なくなる。
また一度レーザ光を照射した皮膚には変化が現れるので、モニタ画面により次に処理すべき部位をすぐに見分けることができる。
さらに、皮膚の状態を拡大して詳しく観察できるので、皮膚の健康状態を把握できるメリットもある。
【0029】
第二に、本発明によれば、接触センサが身体に接触したとき以外は、レーザ光が照射されないので安全性が高まるのみならず、レーザ照射可能マークがモニタ画面に表示されて現在レーザ光を照射できる状態にあることが明瞭に識別できるので、照射スイッチを押し てよいかどうかモニタ画面を見れば直ちに判断でき、照射スイッチの操作ミスがないという効果を奏する。
このため、従来は照射スイッチを押してもレーザ光が照射されない場合、接触センサが身体に接触していないためか、それとも機械の故障なのか、区別がつかなかったが、本発明によればそのような誤解を与えないため、操作性が従来に比べ格段に向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したレーザ光照射プローブの接続構成図である。
【図2】本発明を実施したレーザ光照射プローブの正面図である。
【図3】図2の縦断面図である。
【図4】本発明を実施したタッチセンサ回路のブロック図である。
【符号の説明】
1 レーザ光照射プローブ
11 ケース
12 先筒
13 ヒートシンク
14 キャップ
15 拡大レンズ
16 CCDカメラ
17 球レンズ
18 レーザダイオード
19 高輝度白色発光ダイオード
21 帯域フィルタ
22 整流回路
23 増幅器
24 A/D変換器
25 I/Oインタフェース
26 CPU
27 安全回路
3 ファン
4 LEDランプ
5 照射スイッチ
a スクリューねじ
b レーザ照射口
c、d、e 通孔
A ACアダプタ
K 基板
M テレビ
P1 電源端子
P2 コード
V1 ビデオ端子
V2 コード
Claims (3)
- レーザ光を皮膚に照射する照射ヘッドを有する照射スイッチ付きレーザ光照射プローブであって、
前記照射ヘッド内には、半導体レーザ光源と、照明光源と、照射範囲の映像を捉えるCCDカメラとが内蔵され、
前記照射ヘッドのレーザ照射口の先端に、照射口が皮膚に接触したことを検知する接触センサを設け、
前記プローブ内に、安全回路と映像信号処理回路とを有し、
前記安全回路は、照射スイッチからのオン信号と接触センサからの皮膚接触信号とが入力され、両者の信号が同時に入力された場合のみ、前記半導体レーザ光源へ照射開始信号を出力するものであり、
前記映像信号処理回路は、前記CCDカメラからの撮像信号と前記接触センサからの皮膚接触信号とが入力され、プローブに外部接続されたモニタ画面に対し、撮像された画像及び皮膚接触信号の入力により形成出力されるレーザ照射可能マーク画像の双方を出力するものであるレーザ光照射プローブ。 - 前記請求項1のレーザ照射可能マークのモニタ画面への出力に代えて、
映像信号処理回路は、プローブに外部接続されたモニタ画面に対し、撮像された画像の出力信号自体を皮膚接触信号の入力を条件として出力することで、レーザ照射可能か否かをモニタ画像の発生/非発生にて操作者に報知せしめたレーザ光照射プローブ。 - 前記請求項1又は2のモニタ画面が家庭用テレビであって、この家庭用テレビに撮像された画像を表示するための接続機構を備えてなるレーザ光照射プローブ。
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