JP3577366B2 - 採便容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査用の糞便を採取する採便容器に関し、さらに詳しくは、糞便を定量的に採取し、検査時に糞便検査用懸濁液として滴下できるようにした採便容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
糞便は、体内の病理検査試料として汎用されており、特に、糞便中の潜血の検出は、胃や十二指腸の潰瘍ならびに癌などの診断上非常に重要なものである。
このため、糞便を定量的に採取し、検査時に糞便検査用懸濁液として滴下できるようにした採便容器が種々開発されており、たとえば、内部に糞便を懸濁させるための液体を収容しうる容器本体に、先端付近に切欠部、凹部、又は貫通孔の少なくとも一つを有する採取棒を備えかつ容器本体に密封可能な手段を介して連結できる蓋体を被嵌し、試料を滴下するとき糞便懸濁液が通過する位置にフィルタ−を設置した糞便採取用容器が提案されている。(実公平2−13977号公報、実公平5−17652号公報)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種の従来の糞便採取用容器は、容器本体から採取棒を備えた蓋体を取り外し、蓋体と一体の採取棒で糞便を採取した後、この採取棒を再度容器本体に挿入しなければならないため、操作が面倒である上、蓋体を持った手で糞便を採取した採取棒を挿入する際、採取棒が容器本体を固定した他方の手指や袖口の衣服などに触れたりして、衣服や身体に採取した糞便がついたりする場合がある。
【0004】
本発明は、かかる欠点を除去するため種々検討を行った結果なされたもので、糞便を採取する採便棒を蓋体ではなく、手で固定する側の液体収容容器に摺動自在に取り付け、採便棒を被嵌する摺動調整蓋で採便棒を摺動調整するようにして、簡単な操作で液体収容容器内への糞便の定量的な採取が行えるようにし、採便棒で採取した糞便が誤って衣服や身体についたりすることがないようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明採便容器は、液体収容容器の下端部に液体滴下部を設け、液体収容容器の上端に採便棒挟持弁を嵌合して採便量調整凹所を上端部に設けた採便棒を摺動自在に挟持させるとともに、採便棒を液体収容容器の上端から突出した状態で収納する被嵌部と採便棒を採便棒挟持弁内に嵌入させる被嵌部とを区画壁で上下に分離形成した摺動調整蓋を、採便前は液体収容容器の上端から突出した採便棒を被嵌する被嵌部で被嵌し、また、採便後は採便棒を採便棒挟持弁内に嵌入させる被嵌部で被嵌するように液体収容容器の上端部に嵌着している。
【0009】
さらに、液体収容容器の下端部に液体滴下部を設け、液体収容容器の上端に採便棒挟持弁を嵌合して採便量調整凹所を上端部に設けた採便棒を摺動自在に挟持させるとともに、液体収容容器の上端から突出した採便棒を被嵌する筒状被嵌部に採便棒を採便棒挟持弁内に嵌入させる天板を摺動自在に取り付けた摺動調整蓋を液体収容容器の上端部に嵌着している。
【0012】
本発明採便容器は、上記のようにして構成され、糞便を採取する採便棒を液体収容容器に摺動自在に取り付け、採便棒を被嵌する摺動調整蓋で採便棒を摺動調整するようにしているため、簡単な操作で液体収容容器内への糞便の定量的な採取が行えて使い勝手がよく、採便棒で採取した糞便が誤って衣服や身体についたりすることがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明採便容器の実施例を示す図面に基づいて説明する。
図1ないし図3において、1は液体収容容器であり、下端に液体滴下用中栓2を嵌合して、液体収容容器1を指で圧縮すると、中栓2内に内設したフィルタ−3を介し、中栓2の下端に設けた滴下孔4から、液体収容容器1内の液体が滴下するようにしている。
【0014】
5は液体収容容器1の下端部に螺着した蓋体で、天板内面中央部に突起6を突設し、この突起6を中栓2下端の滴下孔4に嵌合して滴下孔4を閉塞するようにしている。
【0015】
7は液体収容容器1の上端に嵌合した採便棒挟持弁で、中央部に設けた弁兼用貫通孔8に採便棒9を摺動自在に嵌入させて挟持させ、採便棒9の下端拡開部10を採便棒挟持弁7内に嵌合挟持させている。
【0016】
11は採便棒9の上端部に複数に設けたリング状の採便量調整溝で、糞便を採取した採便棒9を、図3に示すように、採便棒挟持弁7の弁兼用貫通孔8内に嵌入すると、弁兼用貫通孔8によって採便棒9の採便量調整溝11内にある糞便のみが液体収容容器1内に収容され、糞便が定量的に採取される。
【0017】
12は液体収容容器1の上端部に螺着する摺動調整蓋で、区画壁13でもって採便棒9を液体収容容器1の上端から突出した状態で収納する被嵌部14と、採便棒9を採便棒挟持弁7内に嵌入させる被嵌部15とが分離形成され、採便前は図1に示すように、液体収容容器1の上端から突出した採便棒9を被嵌部14で被嵌するように液体収容容器1の上端部に螺着されている。
【0018】
そして、採便棒9でもって糞便を採取した後は、図3に示すように、摺動調整蓋12の上下を逆にして、区画壁13で採便棒9を押圧摺動し、採便棒挟持弁7の弁兼用貫通孔8内に嵌入して液体収容容器1内に収容し、液体収容容器1の上端部に被嵌部15を被嵌し螺着する。
【0019】
この被嵌部15の被嵌螺着により、弁兼用貫通孔8によって採便棒9の採便量調整溝11内にある糞便のみが液体収容容器1内に収容され、糞便が定量的に採取され、余分な糞便は被嵌部15内に収容される。
【0020】
しかして、採便棒9で糞便を採取するときは、摺動調整蓋12を液体収容容器本体1の上端部から取り外し、液体収容容器1に採便棒挟持弁7を介して摺動自在に取り付けた採便棒9を糞便に突き入れて行われ、採便後は、摺動調整蓋12の区画壁13で採便棒9を押圧摺動し、液体収容容器1の上端部に被嵌部15を被嵌螺着するだけの簡単な操作で、液体収容容器1内への糞便の定量的な採取が容易に行える。
【0021】
このとき、採便棒9は蓋体ではなく、手で固定する側の液体収容容器1に取りつけられているため、採便棒9で採取した糞便が誤って衣服や身体についたりすることがなく、使い勝手もよい。また、採便棒9が糞便に突き入れられるときは、液体収容容器1の側壁を手指で挟持しながら行われるため、採便棒9の下端拡開部10が手指で挟持された液体収容容器1の側壁で締めつけられてしっかりと支持固定され、糞便に突き入れられる採便棒9の先端に押圧力が加わったりしても採便棒9が液体収容容器1内に押し込まれたりすることがない。
【0022】
液体収容容器1内に糞便を定量的に採取した後は、液体収容容器1を手でよく振って液体収容容器1内の液体中に糞便を懸濁させ、液体収容容器1下端部に螺着した蓋体5を取り外して液体収容容器1を圧縮すれば、フィルタ−3で濾過済みの懸濁液が中栓2の滴下孔4から滴下され、糞便中の潜血の検出などに利用される。
【0023】
ここで、液体収容容器1を手でよく振って液体収容容器1内の液体中に糞便を懸濁させるとき、摺動調整蓋12の区画壁13で押圧摺動されて採便棒挟持弁7内に嵌入された採便棒9は、液体収容容器1内に落下して糞便を懸濁する際の攪拌棒の作用をし、糞便の懸濁が良好に行われる。
【0024】
なお、以上の実施例では、中栓2内にフィルタ−3を内設しているが、フィルタ−3は必ずしも必要でなく、中栓2の滴下孔4の径を調整したり、あるいは複数に滴下孔を設けたりして、糞便懸濁液を良好に滴下することもできる。
【0025】
また、フィルタ−3を使用する場合、フィルタ−3としては、スポンジ、濾紙、グラスウ−ル、脱脂綿など、固液の分離ができ、糞便懸濁液を滴下して検査する際、未消化固形分を濾過し得て、検査対象物を吸収することがないものであれば、特に限定されることなく使用される。
【0026】
さらに、採便棒9も、リング状の採便量調整溝11を設けたものに限定されず、上端部に切欠部、螺旋状溝などの凹部あるいは貫通孔など、糞便を所定量取り込むことができる凹所を有するものであれば、材質、形状を問わず使用することができる。
【0027】
図4および図5は、本発明採便容器の他の例を示したもので、この採便容器は、被嵌部16の天板上に嵌合筒17を立設した摺動調整蓋18を、採便前は、図4に示すように、液体収容容器1の上端から突出した採便棒9の上端に摺動調整蓋18の嵌合筒17を嵌合し、採便後は、図5に示すように、被嵌部16の天板で採便棒9を押圧摺動して液体収容容器1内に収容し、液体収容容器1の上端部に螺着するようにした以外は、図1ないし図3に示した採便容器と同様にして構成されている。
【0028】
しかして、この場合も、採便棒9で糞便を採取するときは、摺動調整蓋18を液体収容容器本体1の上端から突出した採便棒9から取り外し、採便棒9を糞便に突き入れて行われ、採便後は、被嵌部16の天板で採便棒9を押圧摺動して、液体収容容器1の上端部に螺着するだけの簡単な操作で、液体収容容器1内への糞便の定量的な採取が容易に行えて使い勝手もよく、このとき、採便棒9は蓋体ではなく、手で固定する側の液体収容容器1に取りつけられているため、採便棒9で採取した糞便が誤って衣服や身体についたりすることもない。
【0029】
また、この場合も液体収容容器1を手でよく振って液体収容容器1内の液体中に糞便を懸濁させるとき、被嵌部16の天板で押圧摺動されて採便棒挟持弁7内に嵌入された採便棒9は、液体収容容器1内に落下して糞便を懸濁する際の攪拌棒の作用をし、糞便の懸濁が良好に行われる。
【0030】
図6ないし図8は、本発明採便容器のさらにその他の例を示したもので、この採便容器は、液体収容容器1の上端から突出した採便棒9を採便棒挟持弁2内に嵌入させる天板19を筒状被嵌部20に摺動自在に取り付けた摺動調整蓋21を、液体収容容器1の上端部に螺着した以外は図1ないし図3に示した採便容器と同様にして構成されている。
【0031】
ここで、摺動調整蓋21の筒状被嵌部20は、図7に示すように、周壁に軸心方向の対向する一対の摺動案内溝22,22が凹設され、この一対の摺動案内溝22,22に、天板19の周壁から突設した突起23,23が嵌合されて摺動自在に取りつけられ、さらに天板19の下面に筒状被嵌部20内壁に水密に嵌合した弁蓋24が一体的に連結されて、天板19を手で下方に押圧すると、この弁蓋24で採便棒9が押圧摺動されるようにしている。
【0032】
しかして、この場合も、採便棒9で糞便を採取するときは、摺動調整蓋21を液体収容容器本体1の上端部から取り外し、採便棒9を糞便に突き入れて行われ、採便後は、天板20の下面の弁蓋24で採便棒9を押圧摺動して、液体収容容器1の上端部に螺着するだけの簡単な操作で、液体収容容器1内への糞便の定量的な採取が容易に行えて使い勝手もよく、このとき、採便棒9は蓋体ではなく、手で固定する側の液体収容容器1に取りつけられているため、採便棒9で採取した糞便が誤って衣服や身体についたりすることもない。
【0033】
また、この場合も液体収容容器1を手でよく振って液体収容容器1内の液体中に糞便を懸濁させるとき、弁蓋24で押圧摺動されて採便棒挟持弁7内に嵌入された採便棒9は、液体収容容器1内に落下して糞便を懸濁する際の攪拌棒の作用をし、糞便の懸濁が良好に行われる。
【0034】
なお、前記図1ないし図8で示した採便容器では、いずれも液体収容容器1の下端に液体滴下用中栓2を嵌合して、中栓2の下端に設けた滴下孔4から、液体収容容器1内の液体が滴下するようにし、液体収容容器1の下端部に蓋体5を螺着しているが、液体収容容器1の下端から内部の液体を滴下できれば、これらの構成に限定されず、たとえば、蓋体を省いて、液体収容容器の下端に液体滴下孔のない中栓を嵌着し、使用時に中栓の先端部を切除して液体収容容器内の液体が滴下するようにしたり、さらに、中栓をも省いて、使用時に液体収容容器の細くした先端部を切除して液体収容容器内の液体が滴下するようにしたりして、液体収容容器の下端に液体滴下部を設けてもよい。
【0035】
また、摺動調整蓋12,18,21は、いずれも液体収容容器1の上端部に螺着しているが、螺着に限定されるものではなく、たとえば、液体収容容器上端部外周壁と摺動調整蓋内周壁とにそれぞれ掛合用突条を周設するなどして、ワンタッチ操作で掛脱自在に嵌合できるようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明採便容器にあっては、糞便を採取する採便棒を蓋体ではなく、手で固定する側の液体収容容器に摺動自在に取り付け、採便棒を被嵌する摺動調整蓋で採便棒を摺動調整するようにしているため、簡単な操作で液体収容容器内への糞便の定量的な採取が行えて、使い勝手もよく、採便棒で採取した糞便が誤って衣服や身体についたりすることがない。
【0037】
また、液体収容容器を手でよく振って液体収容容器内の液体中に糞便を懸濁させるとき、摺動調整蓋の作用で押圧摺動されて採便棒挟持弁内に嵌入された採便棒は、液体収容容器内に落下して糞便を懸濁する際の攪拌棒の作用をするため、糞便の懸濁が良好に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明採便容器の採便棒を液体収容容器から突出した状態の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す採便容器の分解斜視図である。
【図3】図1に示す採便容器の採便棒を液体収容容器内に収納した状態の縦断面図である。
【図4】本発明採便容器の採便棒を液体収容容器から突出した状態の他の実施例を示す縦断面図である。
【図5】図4に示す採便容器の採便棒を液体収容容器内に収納した状態の縦断面図である。
【図6】本発明採便容器の採便棒を液体収容容器から突出した状態のその他の実施例を示す縦断面図である。
【図7】図6に示す採便容器の分解斜視図である。
【図8】図6に示す採便容器の採便棒を液体収容容器内に収納した状態の縦断面図である。
【符号の説明】
1 液体収容容器
2 中栓
3 フィルタ−
4 滴下孔
5 蓋体
7 採便棒挟持弁
8 弁兼用貫通孔
9 採便棒
11 採便量調整溝(採便量調整凹所)
12,18,21 摺動調整蓋
13 区画壁
14,15,16 被嵌部
17 嵌合筒
19 天板
20 筒状被嵌部
22 摺動案内溝
23 突起
24 弁蓋

Claims (2)

  1. 液体収容容器の下端に液体滴下部を設け、液体収容容器の上端に採便棒挟持弁を嵌合して採便量調整凹所を上端部に設けた採便棒を摺動自在に挟持させるとともに、採便棒を液体収容容器の上端から突出した状態で収納する被嵌部と採便棒を採便棒挟持弁内に嵌入させる被嵌部とを区画壁で上下に分離形成した摺動調整蓋を、液体収容容器の上端部に嵌着してなり、該摺動調整蓋が、採便前は液体収容容器の上端から突出した採便棒を被嵌する被嵌部で被嵌し、また、採便後はその上下を逆にして液体収容容器の上端部に嵌着されることにより、採便棒を採便棒挟持弁内に嵌入させる被嵌部で被嵌するようになされたことを特徴とする採便容器。
  2. 液体収容容器の下端に液体滴下部を設け、液体収容容器の上端に採便棒挟持弁を嵌合して採便量調整凹所を上端部に設けた採便棒を摺動自在に挟持させるとともに、液体収容容器の上端から突出した採便棒を筒状被嵌部で被嵌するように摺動調整蓋を液体収容容器の上端部に嵌着し、かつ、該筒状被嵌部には、液体収容容器の上端から突出した採便棒を採便棒挟持弁内に嵌入させる天板が摺動自在に取り付けられたことを特徴とする採便容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101907529A (zh) * 2010-07-07 2010-12-08 吴白平 一次性大便定量采集、预处理器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101907529A (zh) * 2010-07-07 2010-12-08 吴白平 一次性大便定量采集、预处理器

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