JP3577327B2 - Zn・Pb製錬用フラッシュ還元炉とその操業方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ZnまたはPbまたはその両者の製錬用の還元炉とその操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非鉄製錬炉は大きくはバス製錬炉とフラッシュ製錬炉に分けることができる。後述の吹込み熔錬炉とフレームリアクターはそれぞれバス製錬炉とフラッシュ製錬炉に分類される。
【0003】
バス製錬炉では、主反応が起きる場所が熔融スラグ中であり、反応温度はスラグ温度に等しくなる様に規定される。一方フラッシュ製錬炉では、主反応がガス中で起こるため、反応温度としてはスラグ温度よりもかなり高い温度を選ぶことができる。
【0004】
ZnとPbの酸化物を含有する原料から、炭素系固体燃料を用いてこれらの金属を蒸気に変えて、還元性ガスとともに次工程に送る製練炉あるいは還元炉としては、ISF(ISP熔鉱炉)が良く知られている。しかしISFは、高価な塊コークスならびに生産効率の悪い焼結工程において製造される焼結塊を必要とする。従って、安価な炭素系粉状固体燃料(以下、粉状燃料という)及び粉状原料を処理することのできる還元炉が望まれていた。
【0005】
この様な還元炉の1つとして、吹込み熔錬法(特公昭61−28004号)に記載された吹込み熔錬炉を挙げることができる。この炉は、粉状Zn原料と粉状還元剤とを、酸素または酸素富化空気とともにランスを介して、熔錬炉に貯えられたスラグ中に吹込むものである。
【0006】
原料と還元剤をスラグ中に吹込む為、熔融し易い原料の排ガスへの飛散は非常に少ない。しかし次のような欠点を吹込み熔錬法は有している。すなわち、還元剤については、主成分のカーボンの融点がスラグ温度よりもはるかに高く、またカーボンとスラグのぬれ性も非常に悪い為、ガス化しないカーボンは容易に排ガスへ飛散する状況にある。
【0007】
また、還元剤のガス化はスラグ中で起こるが、炉体煉瓦の保護の為、スラグ温度は通常1400℃前後に保たれており、この温度での還元剤のガス化は十分でない。その結果、多量の未利用還元剤の粉体(投入量の10〜20%)が次工程に飛散し、そこでの操業に悪影響を及ぼし、Znの実収率が低い。
【0008】
ISFの欠点を解消する他の還元炉としては、フレームリアクター(米国特許第4654077号、1987年3月31日)がある。このフレームリアクターの主要部は第1反応器と第2反応器から構成されており、第1反応器は第2反応器の頂部に設置されている。第1反応器には還元剤と酸化性ガスを供給して、原料の還元に必要な高温還元性ガスを発生させ、次いでこの高温還元性ガスを第2反応器へ導入するとともに、第2反応器の頂部に近い側壁より第2反応器の中心軸方向に粉状原料を吹込み、粉状原料中に酸化物として存在するZnとPbを高温還元性ガスによって還元揮発させるとともに、他の成分を熔融してスラグ化させる。
【0009】
しかし、フレームリアクターには次の欠点がある。
【0010】
第1に、還元剤のガス化が十分でない。製錬反応に必要な還元剤と酸化性ガスを全て第1反応器に供給して高温還元性ガスを作るが、次の理由により還元剤のガス化が十分でなく、前記吹込み熔錬炉と同様の問題を有する。すなわち、還元性ガスを作るため、第1反応器に供給する酸化性ガス中の酸素量は還元剤を完全燃焼するのに必要な酸素量よりも当然少ない。この様な条件下で還元剤と酸化性ガスを混合した後第1反応器に供給すると、次の2つの反応が同時に起こる。
【0011】
【式4】
C(S)+O2(g)=CO2(g)
【0012】
【式5】
C(S)+CO2(g)=2CO(g)
【0013】
式4は発熱反応であるが、式5は吸熱反応であるからガス温度が低下して、式5の反応に従うカーボン量が増加しない。もちろん式4と式5の反応が同時に起こっても、ガス温度は吹込み熔錬炉のスラグ温度よりもはるかに高いが、滞留時間は極めて短い為、還元剤のガス化率が吹込み熔錬炉に比べて顕著に高いことはない。
【0014】
還元剤のガス化率を向上するには式5の反応に従うカーボン量を増やさなければならない。その為にはガス温度を上げるか、還元剤の第1反応器での滞留時間を長くする必要がある。ガス温度の上昇については、前述の如く全ての還元剤と全ての酸化性ガスを混合した後、第1反応器に吹込むフレームリアクター方式では達成できない。まして酸化性ガスの一部を第1反応器の下端側壁より第1反応器の中心軸方向に吹込むこともフレームリアクターの特徴の1つであるが、この場合には、式4の反応に従うカーボン量が低下して、さらにガス温度が下がることになる。
【0015】
滞留時間の延長についても、フレームリアクター方式では再循環流の形式が第1反応器の形状と操業条件によって一意的に定まり、再循環流領域に存在する還元剤の量を変化させることができない為、不可能である。
【0016】
以上説明したようにフレームリアクターの欠点の1つは還元剤のガス化が十分でないことであるが、別の表現を用いると、ガス化率を90%以上の水準に維持した状態では、還元性ガスの還元度(例えばCO2/CO比)をCO2/CO=0.5〜0.7まで低下することができないと言える。事実、フレームリアクターの前述の米国特許に記載されている還元剤のガス化率とCO2 /CO比は(81%、1.70)、(97%、3.66)、(90%、5.34)である。因みにCO2 /CO=0.5〜0.7という還元度は、Zn蒸気を含んだ還元性ガスをPbスプラッシュコンデンサーで処理して熔融Znを回収する際に、該還元性ガスに要求される還元度であり、これより高いCo2 /Co比のガスをPbスプラッシュコンデンサーで処理することは実際上不可能である。
【0017】
第2に、原料からのZn、Pbの回収率が低い。
【0018】
フレームリアクターでは、原料は第2反応器に吹き込まれる。これは、第1反応器内のガス温度をできるだけ高く保って、還元剤のガス化率を高くする為と考えられるが、高温還元性ガスと原料の接触時間を長くして、ZnとPbの還元揮発を促進する点においては反対の効果となる。
【0019】
第3に、熔融原料を処理できない。ISFやPb熔鉱炉から生成するZn品位が7〜20%の棄却スラグに対し、フレームリアクターでは粉状原料しか処理できないから、熔融スラグを一旦冷却凝固させた後、粉砕しなければならず、手間と多くのエネルギーの消費(粉砕)と損失(凝固)を招く。従ってフレームリアクターはスラグフューシング炉としては使用できない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、フラッシュ製錬炉を開発の対象とし、粉状燃料のガス化率の向上が主目的の1つである。
【0021】
さらに、前記フレームリアクターの欠点を解消し、原料が粉状または熔融状またはその両者のいずれでも良く、粉状燃料のガス化率が90%以上において、生成ガスの還元度(CO2/CO比)がCO2/CO≧0.5の範囲で任意に調整でき、Zn品位50%程度の原料を処理した場合に、棄却スラグのZn品位を3%以下にできるZn・Pb製錬用還元炉とその操業方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、Zn及び/またはPbの酸化物を含有する粉体原料または熔融スラグを処理して、前記粉体原料または熔融スラグ中のZnとPbを蒸気として還元性ガスとともに炉外に取り出すZn・Pb製錬用フラッシュ還元炉において、該フラッシュ還元炉は、セトラー及びその頂部に配置されたシャフト及びアップテークからなり、前記シャフトの天井部に製錬バーナーを1基以上設置し、前記製錬バーナーが燃焼筒と予混合管と副混合管と装入管とからなり、燃焼筒の天井の中央部に予混合管用孔と、その周りに1つ以上の原料装入用孔と副混合管用孔が設けられ、予混合管は、その上端に装入口が設けられるとともに、上部側面にノズルが設けられ、且つ下端が前記予混合管用孔に接合され、装入管の下端が前記原料装入用孔に接合され、副混合管の下端が前記副混合管用孔に接合され、粉体原料または熔融スラグは装入管から燃焼筒に入れられ、還元剤及び粉状固体燃料が予混合管の上端装入口から燃焼筒に入れられ、酸化性ガスが予混合管のノズルから予混合管用孔を介して燃焼筒に入れられ、該副混合管から粉状固体燃料もしくは酸化性ガスもしくはその両者が燃焼筒に入れられるようになっていて、該予混合管と前記燃焼筒とが同心円的に設けられ、予混合管の下端が予混合管の中心軸に対して実質的に直角をなすように配置され、予混合管の内径をdmm、予混合管上部側面のノズルの中心線と予混合管の中心線との交点より予混合管下端までの距離をlmmとし、燃焼筒の内径をDmm、長さをLmmとしたときにl≧5dとなり、下記式6により求めたαが5〜20度となることを特徴とする。
【0023】
【式6】tanα=(D−d)/2L
【0024】
前記還元炉は、前記製錬バーナーの燃焼筒の天井において、複数の副混合管と装入管が燃焼筒外周と予混合管との間に、かつ予混合管に対して同心円状に、かつ互いに等間隔になるように配置されたことを特徴とする。
【0025】
前記還元炉の操業方法は、酸素比mを式7で得られる値としたときに、前記予混合管の酸素比mを前記副混合管の酸素比m以上とすることを特徴とする。
【0026】
【式7】m=(実際に供給する酸素量)/(燃料中のCとHの全量をCO2とH2Oとに酸化するのに必要とされる酸素量)
【0027】前記還元炉の操業方法は、酸素比mを式7で得られる値としたときに、前記副混合管に供給する粉状固体燃料を酸化性ガスで気体流送し、原料の還元に必要な量の酸化性ガスのうち、前記気体流送に必要な酸化性ガスを除いた残り全ての酸化性ガスを前記予混合管に供給し、予混合管における酸素比mが前記副混合管の酸素比m以上で0.9〜1.0となるように粉状固体燃料を予混合管に供給し、前記気体流送に用いる酸化性ガスと粉状固体燃料の残部とを副混合管に供給することを特徴とする。
【0028】
【作用】
本願発明のフラッシュ製錬炉は、基本的には、ZnとPbの還元揮発が起こるシャフト、生成したスラグを貯えるセトラー、そしてZnとPb蒸気を含んだ還元性ガスを次工程に導く為のアップテークから成り立っている。
【0029】
乾式還元炉では燃料の発熱量が酸化炉に比べて少ない為、特に炉体の放散熱を少なくする必要がある。そこで、シャフト、セトラー、アップテークの内面を耐火物で覆うが、シャフト側壁やセトラー天井あるいは側壁等に耐火物や煉瓦受鉄板等を守るために水冷ジャケットや水冷銅管を使用する場合でも、これらの表面はキャスター等の耐火物の施工によって直接炉ガスと接触しないようにする。炉ガス温度を下げないためである。
【0030】
シャフト天井部には、粉状または溶融状またはその両者の原料を粉状燃料と酸化性ガスと一緒に処理する製錬バーナーが1基以上設置されている。製錬バーナーは、燃焼筒、燃焼筒天井部の予混合管及び原料装入管から構成されている。燃焼筒は予混合管と同心円状に接続され、且つ径が大きい。さらに、予混合管の周囲に副混合管を設けるのが好ましい。
【0031】
酸化性ガスとは、純酸素、工業用酸素、空気、酸素富化空気をいう。
【0032】
粉状燃料と酸化性ガスは、予混合管、あるいは予混合管と副混合管に供給され、予混合管や副混合管を介して燃焼筒へ装入される。
【0033】
一方、Zn・Pb原料は装入管を通じて燃焼筒に供給される。燃焼筒シャフト空間でZn・Pb原料中のZnとPbが還元し、ZnとPbとの混合蒸気がセトラーを通り、アップテークから炉外へ排出され、コンデンサーで冷却されて粗亜鉛を得ることができる。
【0034】
本願発明に係る製錬バーナーの予混合管と副混合管の見掛の機能はどちらも同じであり、粉状燃料と酸化性ガスを燃焼筒に導く為のものである。但し、予混合管には副混合管よりも多くの粉状燃料と酸化性ガスが供給される為、それらを燃焼筒に供給するに先立って、互いに良く混ぜ合わせる機能も持たせている。
【0035】
副混合管の本来の機能は、以下に説明するように、粉状燃料の燃焼筒内の滞留時間を延長して、ガス化率を向上させることである。
【0036】
予混合管から燃焼筒内に吹込まれた粉状燃料と酸化性ガスの2相混合流は、典型的には燃焼筒内で約25°の頂角(広がり角)をもった円錐体内に分布する。燃焼筒内面と円錐体外面で囲まれた空間は再循環流領域と呼ばれる。円錐体内に分布していた粉状燃料とガスの一部が再循環流領域に再び戻ってきて、再循環流を形成し結局燃焼筒の全容積が粉状燃料と酸化性ガスと燃焼ガスで占められることになる。
【0037】
しかしながら、再循環流領域に存在することのできる粉状燃料の量は、予混合管と燃焼筒の幾何学的形状及び操業条件によって一意的に決まり、調整することができないばかりか、実質上再循環流が生じない場合もある。再循環流が生じない場合は、燃焼筒の実質体積が減少することを意味し、滞留時間が著しく減少する。
【0038】
副混合管はこれらの問題を解決する。即ち、再循環流が生じない場合には、副混合管から供給された2相混合流は、再循環流が生ずべき空間部分の一部を占めて、滞留時間の延長に寄与するし、再循環流が生じている場合には、そこに存在する粉状燃料の量を調整して、ガス化率の向上に寄与する。
【0039】
本発明者らは粉状燃料と酸化性ガスの反応過程、さらにこれらとZn・Pb原料の反応過程を調べ、以下の結果を得た。
【0040】
第1に、製錬バーナーに供給する粉状燃料と酸化性ガスを全て予混合管を介して燃焼筒に供給した処、ガス化率はm値が大きくなる程良くなり、m≧0.9でガス化率はほぼ100%となった。
【0041】
第2に、上記の条件において、燃焼筒内の水平断面における半径方向のCO2 とCO濃度を調べた処、再循環流領域のCO濃度が一番高かった。
【0042】
以上の結果より、製錬バーナーの構造及び使用法を以下のように構成した。即ち、副混合管に供給する粉状燃料の流送に使用する以外の酸化性ガスは全て、予混合管に供給する。予混合管に供給された酸化性ガスに含まれる酸素量に対して、m値が0.9〜1.0となる範囲で製錬バーナーに供給する全ての粉状燃料の一部を予混合管に供給すると、この粉状燃料のガス化率は前述のように100%となり、COを殆ど含まないCO2 濃度の高い高温ガスが得られる。残った粉状燃料は全て副混合管を介して再循環流領域に供給すると、前記高温CO2 ガスとのブルドワ反応式5によりCOガスを発生し、所望の還元度をもったガスが得られる。
【0043】
第3に、上記操業において、Zn・Pb原料を再循環流領域へ、あるいは再循環流領域を経由して、高温CO2 ガス中へ装入しても、ガス化率は悪化しなかった。
【0044】
【実施例】
本願発明に係る実施例について、図1、図2、図3、図4に基づいて説明する。図3は、本願発明に係る実施例の中央縦断面図であり、内面が耐火物(煉瓦6または不定形耐火物7)で覆われたシャフト1、セトラー2、アップテーク3からなる還元炉であって、シャフト天井部4に製錬バーナー5が図4の如く4基設置されている。
【0045】
図1は製錬バーナー5の本願発明に係る実施例についての中央縦断面図である。製錬バーナー5は予混合管20、燃焼筒21、燃焼筒の天井22に設けられた副混合管23及び装入管24から構成されている。
【0046】
燃焼筒21と燃焼筒の天井22は水冷ジャケットとなっており、予混合管20も必要に応じて水冷構造としても良い。
【0047】
副混合管23と装入管24の数、取付け角度等については特に規定はないが、副混合管23については燃焼筒21の天井面に対して垂直に取付け、装入管24については垂直または予混合管20の中心軸上の点であって燃焼筒21の内部に存在する点に全装入管24の中心軸を一致させるのが良い。
【0048】
副混合管23と装入管24の数を一致させる必要はないが、燃焼筒天井部22の予混合管20の周りに対称に設けるのが良い。図2の実施例では各2本の副混合管23と装入管24が交互に配置されている。
【0049】
製錬バーナーの使用法の一例を以下に図1に基づいて説明する。工業用酸素Bは全て装入口25より予混合管20に供給する。予混合管内のm値が0.9〜1.0となるように粉状燃料Aを、空気または窒素で流送して、装入口26より予混合管20に供給する。粉状燃料Aと工業用酸素B、及び空気または窒素は予混合管内で混合された後、燃焼筒21に広がり角(頂角)2α=約25°で吹き出し、直ちに燃焼して高温CO2ガスを生成するとともに再循環流領域27を形成する。
【0050】
予混合管20に供給した残りの粉状燃料は空気または窒素で流送し、あるいはロータリーバルブ等より切出して、副混合管23から再循環流領域27へ投入し、そこで前記高温CO2 ガスとブルドワ反応を起こさせ、所定の還元度をもった高温還元性ガスを発生させる。
【0051】
一方Zn・Pb原料Cは、粉体の場合は空気で流送するかロータリーバルブ等により、融体の場合は樋を経て装入管24を介して、再循環流領域27(垂直装入管の場合)または再循環流領域を通過して高温CO2 ガス中(傾斜装入管の場合)へ供給される。
【0052】
そこで高温還元性ガスから受熱しかつ還元されながら、シャフト空間8へ放出される。
【0053】
Zn・Pb原料Cの還元熔融反応(原料が熔融している場合は還元反応のみ)及び粉状燃料Aに含まれる灰分の熔融スラグ化反応はシャフト空間内で完了し、Zn・Pb蒸気を含む還元性ガスは少量のダスト(微小スラグ粒、未反応原料粉、未燃料粉、未熔融灰分等から成る)とともにセトラー空間9へ移行する。また、熔融スラグは、操業条件によって形成されるかもしれない少量のメタルとともにセトラーに落下し、熔体10(主としてスラグ)を形成する。前記ダストは、セトラー空間9及びアップテーク3を飛行している間に、その大部分が熔体10上に落下し、アップテーク外にはZn・Pb蒸気を含んだ還元性ガスが少量のダストとともに取り出される。還元性ガスの温度が下がると、次の式8に従って、蒸気の再酸化が起きる為、炉体の放散熱は極力少なくしなければならず、シャフト1、セトラー2、アップテーク3の内面は煉瓦6もしくは不定形耐火物7で覆われている。
【0054】
【式8】
Zn(g)+CO2(g)=ZnO(S)+CO(g)
【0055】
水冷銅管11はシャフト下部の不定形耐火物を冷却して、シャフト内を降下する熔融スラグ滴による熔損を弱める為に用いられているが、放散熱を少なくする為、シャフト内のガスと直接には接触しないようになっている。煉瓦についても同様であり、図には示してないが、水冷ジャケット等で煉瓦を冷却するにしても、該ジァケットが炉内ガスと接しないようにしなければならない。
【0056】
図3に示す様に、その内側が煉瓦もしくは不定形耐火物でライニングされた試験炉(シャフト内径=1.5m、シャフト高さ=2.5m、セトラー内径=1.5m、セトラー長さ=5.25m)を構成した。そして、そのシャフト天井に、図1のバーナー1基を設けて、表1に示す組成を有する原料等を、表2に示す試験条件で処理した。Case−1はZn品位の高い粉状原料を処理した場合、Case−2はZn品位の低い粉状原料を処理した場合、Case−3は熔融原料を処理した場合である。Case−3については、Znを含んだ熔融スラグ(原料−3)をレードルに溜め、樋を介して装入管に流し込んだ。この時、窒素を高速で吹き出して、熔融スラグが燃焼筒内で粒子状に分散するようにした。
【0057】
結果を表3に示す。どの場合にも排出スラグ中のZn品位がISPスラグ(Zn品位=7〜9%)よりも低くなっており、本願発明の優位性が確認された。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】
本願発明によると次のような効果を得る。
【0062】
(1)燃焼筒内の全容積が実質的に燃焼反応に寄与され、フラッシュ製特性の熱効率を高められる。
【0063】
(2)粉コークスを用いて、粉状または熔融またはその両者のZn含有原料から有効にZnをガス中に抽出でき、粉コークスのガス化率を90%以上とすることができる。
【0064】
(3)棄却スラグのZn品位を3%以下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例に係る製錬バーナー中央縦断面図である。
【図2】本願発明の実施例に係る予混合管、副混合管、装入管の燃焼筒への取付位置平面図である。
【図3】本願発明の実施例に係る還元炉中央縦断面図である。
【図4】本願発明の実施例に係る製錬バーナー取付位置平面図である。
【符号の説明】
1 シャフト
2 セトラー
3 アップテーク
4 シャフト天井
5 製錬バーナー
6 煉瓦
7 不定形耐火物
8 シャフト空間
10 熔体
11 水冷銅管
20 予混合管
21 燃焼筒
22 燃焼筒天井
23 副混合管
24 装入管
25 工業用酸素の装入口
26 粉状燃料の装入口
27 再循環流領域
【産業上の利用分野】
本発明は、ZnまたはPbまたはその両者の製錬用の還元炉とその操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非鉄製錬炉は大きくはバス製錬炉とフラッシュ製錬炉に分けることができる。後述の吹込み熔錬炉とフレームリアクターはそれぞれバス製錬炉とフラッシュ製錬炉に分類される。
【0003】
バス製錬炉では、主反応が起きる場所が熔融スラグ中であり、反応温度はスラグ温度に等しくなる様に規定される。一方フラッシュ製錬炉では、主反応がガス中で起こるため、反応温度としてはスラグ温度よりもかなり高い温度を選ぶことができる。
【0004】
ZnとPbの酸化物を含有する原料から、炭素系固体燃料を用いてこれらの金属を蒸気に変えて、還元性ガスとともに次工程に送る製練炉あるいは還元炉としては、ISF(ISP熔鉱炉)が良く知られている。しかしISFは、高価な塊コークスならびに生産効率の悪い焼結工程において製造される焼結塊を必要とする。従って、安価な炭素系粉状固体燃料(以下、粉状燃料という)及び粉状原料を処理することのできる還元炉が望まれていた。
【0005】
この様な還元炉の1つとして、吹込み熔錬法(特公昭61−28004号)に記載された吹込み熔錬炉を挙げることができる。この炉は、粉状Zn原料と粉状還元剤とを、酸素または酸素富化空気とともにランスを介して、熔錬炉に貯えられたスラグ中に吹込むものである。
【0006】
原料と還元剤をスラグ中に吹込む為、熔融し易い原料の排ガスへの飛散は非常に少ない。しかし次のような欠点を吹込み熔錬法は有している。すなわち、還元剤については、主成分のカーボンの融点がスラグ温度よりもはるかに高く、またカーボンとスラグのぬれ性も非常に悪い為、ガス化しないカーボンは容易に排ガスへ飛散する状況にある。
【0007】
また、還元剤のガス化はスラグ中で起こるが、炉体煉瓦の保護の為、スラグ温度は通常1400℃前後に保たれており、この温度での還元剤のガス化は十分でない。その結果、多量の未利用還元剤の粉体(投入量の10〜20%)が次工程に飛散し、そこでの操業に悪影響を及ぼし、Znの実収率が低い。
【0008】
ISFの欠点を解消する他の還元炉としては、フレームリアクター(米国特許第4654077号、1987年3月31日)がある。このフレームリアクターの主要部は第1反応器と第2反応器から構成されており、第1反応器は第2反応器の頂部に設置されている。第1反応器には還元剤と酸化性ガスを供給して、原料の還元に必要な高温還元性ガスを発生させ、次いでこの高温還元性ガスを第2反応器へ導入するとともに、第2反応器の頂部に近い側壁より第2反応器の中心軸方向に粉状原料を吹込み、粉状原料中に酸化物として存在するZnとPbを高温還元性ガスによって還元揮発させるとともに、他の成分を熔融してスラグ化させる。
【0009】
しかし、フレームリアクターには次の欠点がある。
【0010】
第1に、還元剤のガス化が十分でない。製錬反応に必要な還元剤と酸化性ガスを全て第1反応器に供給して高温還元性ガスを作るが、次の理由により還元剤のガス化が十分でなく、前記吹込み熔錬炉と同様の問題を有する。すなわち、還元性ガスを作るため、第1反応器に供給する酸化性ガス中の酸素量は還元剤を完全燃焼するのに必要な酸素量よりも当然少ない。この様な条件下で還元剤と酸化性ガスを混合した後第1反応器に供給すると、次の2つの反応が同時に起こる。
【0011】
【式4】
C(S)+O2(g)=CO2(g)
【0012】
【式5】
C(S)+CO2(g)=2CO(g)
【0013】
式4は発熱反応であるが、式5は吸熱反応であるからガス温度が低下して、式5の反応に従うカーボン量が増加しない。もちろん式4と式5の反応が同時に起こっても、ガス温度は吹込み熔錬炉のスラグ温度よりもはるかに高いが、滞留時間は極めて短い為、還元剤のガス化率が吹込み熔錬炉に比べて顕著に高いことはない。
【0014】
還元剤のガス化率を向上するには式5の反応に従うカーボン量を増やさなければならない。その為にはガス温度を上げるか、還元剤の第1反応器での滞留時間を長くする必要がある。ガス温度の上昇については、前述の如く全ての還元剤と全ての酸化性ガスを混合した後、第1反応器に吹込むフレームリアクター方式では達成できない。まして酸化性ガスの一部を第1反応器の下端側壁より第1反応器の中心軸方向に吹込むこともフレームリアクターの特徴の1つであるが、この場合には、式4の反応に従うカーボン量が低下して、さらにガス温度が下がることになる。
【0015】
滞留時間の延長についても、フレームリアクター方式では再循環流の形式が第1反応器の形状と操業条件によって一意的に定まり、再循環流領域に存在する還元剤の量を変化させることができない為、不可能である。
【0016】
以上説明したようにフレームリアクターの欠点の1つは還元剤のガス化が十分でないことであるが、別の表現を用いると、ガス化率を90%以上の水準に維持した状態では、還元性ガスの還元度(例えばCO2/CO比)をCO2/CO=0.5〜0.7まで低下することができないと言える。事実、フレームリアクターの前述の米国特許に記載されている還元剤のガス化率とCO2 /CO比は(81%、1.70)、(97%、3.66)、(90%、5.34)である。因みにCO2 /CO=0.5〜0.7という還元度は、Zn蒸気を含んだ還元性ガスをPbスプラッシュコンデンサーで処理して熔融Znを回収する際に、該還元性ガスに要求される還元度であり、これより高いCo2 /Co比のガスをPbスプラッシュコンデンサーで処理することは実際上不可能である。
【0017】
第2に、原料からのZn、Pbの回収率が低い。
【0018】
フレームリアクターでは、原料は第2反応器に吹き込まれる。これは、第1反応器内のガス温度をできるだけ高く保って、還元剤のガス化率を高くする為と考えられるが、高温還元性ガスと原料の接触時間を長くして、ZnとPbの還元揮発を促進する点においては反対の効果となる。
【0019】
第3に、熔融原料を処理できない。ISFやPb熔鉱炉から生成するZn品位が7〜20%の棄却スラグに対し、フレームリアクターでは粉状原料しか処理できないから、熔融スラグを一旦冷却凝固させた後、粉砕しなければならず、手間と多くのエネルギーの消費(粉砕)と損失(凝固)を招く。従ってフレームリアクターはスラグフューシング炉としては使用できない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、フラッシュ製錬炉を開発の対象とし、粉状燃料のガス化率の向上が主目的の1つである。
【0021】
さらに、前記フレームリアクターの欠点を解消し、原料が粉状または熔融状またはその両者のいずれでも良く、粉状燃料のガス化率が90%以上において、生成ガスの還元度(CO2/CO比)がCO2/CO≧0.5の範囲で任意に調整でき、Zn品位50%程度の原料を処理した場合に、棄却スラグのZn品位を3%以下にできるZn・Pb製錬用還元炉とその操業方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、Zn及び/またはPbの酸化物を含有する粉体原料または熔融スラグを処理して、前記粉体原料または熔融スラグ中のZnとPbを蒸気として還元性ガスとともに炉外に取り出すZn・Pb製錬用フラッシュ還元炉において、該フラッシュ還元炉は、セトラー及びその頂部に配置されたシャフト及びアップテークからなり、前記シャフトの天井部に製錬バーナーを1基以上設置し、前記製錬バーナーが燃焼筒と予混合管と副混合管と装入管とからなり、燃焼筒の天井の中央部に予混合管用孔と、その周りに1つ以上の原料装入用孔と副混合管用孔が設けられ、予混合管は、その上端に装入口が設けられるとともに、上部側面にノズルが設けられ、且つ下端が前記予混合管用孔に接合され、装入管の下端が前記原料装入用孔に接合され、副混合管の下端が前記副混合管用孔に接合され、粉体原料または熔融スラグは装入管から燃焼筒に入れられ、還元剤及び粉状固体燃料が予混合管の上端装入口から燃焼筒に入れられ、酸化性ガスが予混合管のノズルから予混合管用孔を介して燃焼筒に入れられ、該副混合管から粉状固体燃料もしくは酸化性ガスもしくはその両者が燃焼筒に入れられるようになっていて、該予混合管と前記燃焼筒とが同心円的に設けられ、予混合管の下端が予混合管の中心軸に対して実質的に直角をなすように配置され、予混合管の内径をdmm、予混合管上部側面のノズルの中心線と予混合管の中心線との交点より予混合管下端までの距離をlmmとし、燃焼筒の内径をDmm、長さをLmmとしたときにl≧5dとなり、下記式6により求めたαが5〜20度となることを特徴とする。
【0023】
【式6】tanα=(D−d)/2L
【0024】
前記還元炉は、前記製錬バーナーの燃焼筒の天井において、複数の副混合管と装入管が燃焼筒外周と予混合管との間に、かつ予混合管に対して同心円状に、かつ互いに等間隔になるように配置されたことを特徴とする。
【0025】
前記還元炉の操業方法は、酸素比mを式7で得られる値としたときに、前記予混合管の酸素比mを前記副混合管の酸素比m以上とすることを特徴とする。
【0026】
【式7】m=(実際に供給する酸素量)/(燃料中のCとHの全量をCO2とH2Oとに酸化するのに必要とされる酸素量)
【0027】前記還元炉の操業方法は、酸素比mを式7で得られる値としたときに、前記副混合管に供給する粉状固体燃料を酸化性ガスで気体流送し、原料の還元に必要な量の酸化性ガスのうち、前記気体流送に必要な酸化性ガスを除いた残り全ての酸化性ガスを前記予混合管に供給し、予混合管における酸素比mが前記副混合管の酸素比m以上で0.9〜1.0となるように粉状固体燃料を予混合管に供給し、前記気体流送に用いる酸化性ガスと粉状固体燃料の残部とを副混合管に供給することを特徴とする。
【0028】
【作用】
本願発明のフラッシュ製錬炉は、基本的には、ZnとPbの還元揮発が起こるシャフト、生成したスラグを貯えるセトラー、そしてZnとPb蒸気を含んだ還元性ガスを次工程に導く為のアップテークから成り立っている。
【0029】
乾式還元炉では燃料の発熱量が酸化炉に比べて少ない為、特に炉体の放散熱を少なくする必要がある。そこで、シャフト、セトラー、アップテークの内面を耐火物で覆うが、シャフト側壁やセトラー天井あるいは側壁等に耐火物や煉瓦受鉄板等を守るために水冷ジャケットや水冷銅管を使用する場合でも、これらの表面はキャスター等の耐火物の施工によって直接炉ガスと接触しないようにする。炉ガス温度を下げないためである。
【0030】
シャフト天井部には、粉状または溶融状またはその両者の原料を粉状燃料と酸化性ガスと一緒に処理する製錬バーナーが1基以上設置されている。製錬バーナーは、燃焼筒、燃焼筒天井部の予混合管及び原料装入管から構成されている。燃焼筒は予混合管と同心円状に接続され、且つ径が大きい。さらに、予混合管の周囲に副混合管を設けるのが好ましい。
【0031】
酸化性ガスとは、純酸素、工業用酸素、空気、酸素富化空気をいう。
【0032】
粉状燃料と酸化性ガスは、予混合管、あるいは予混合管と副混合管に供給され、予混合管や副混合管を介して燃焼筒へ装入される。
【0033】
一方、Zn・Pb原料は装入管を通じて燃焼筒に供給される。燃焼筒シャフト空間でZn・Pb原料中のZnとPbが還元し、ZnとPbとの混合蒸気がセトラーを通り、アップテークから炉外へ排出され、コンデンサーで冷却されて粗亜鉛を得ることができる。
【0034】
本願発明に係る製錬バーナーの予混合管と副混合管の見掛の機能はどちらも同じであり、粉状燃料と酸化性ガスを燃焼筒に導く為のものである。但し、予混合管には副混合管よりも多くの粉状燃料と酸化性ガスが供給される為、それらを燃焼筒に供給するに先立って、互いに良く混ぜ合わせる機能も持たせている。
【0035】
副混合管の本来の機能は、以下に説明するように、粉状燃料の燃焼筒内の滞留時間を延長して、ガス化率を向上させることである。
【0036】
予混合管から燃焼筒内に吹込まれた粉状燃料と酸化性ガスの2相混合流は、典型的には燃焼筒内で約25°の頂角(広がり角)をもった円錐体内に分布する。燃焼筒内面と円錐体外面で囲まれた空間は再循環流領域と呼ばれる。円錐体内に分布していた粉状燃料とガスの一部が再循環流領域に再び戻ってきて、再循環流を形成し結局燃焼筒の全容積が粉状燃料と酸化性ガスと燃焼ガスで占められることになる。
【0037】
しかしながら、再循環流領域に存在することのできる粉状燃料の量は、予混合管と燃焼筒の幾何学的形状及び操業条件によって一意的に決まり、調整することができないばかりか、実質上再循環流が生じない場合もある。再循環流が生じない場合は、燃焼筒の実質体積が減少することを意味し、滞留時間が著しく減少する。
【0038】
副混合管はこれらの問題を解決する。即ち、再循環流が生じない場合には、副混合管から供給された2相混合流は、再循環流が生ずべき空間部分の一部を占めて、滞留時間の延長に寄与するし、再循環流が生じている場合には、そこに存在する粉状燃料の量を調整して、ガス化率の向上に寄与する。
【0039】
本発明者らは粉状燃料と酸化性ガスの反応過程、さらにこれらとZn・Pb原料の反応過程を調べ、以下の結果を得た。
【0040】
第1に、製錬バーナーに供給する粉状燃料と酸化性ガスを全て予混合管を介して燃焼筒に供給した処、ガス化率はm値が大きくなる程良くなり、m≧0.9でガス化率はほぼ100%となった。
【0041】
第2に、上記の条件において、燃焼筒内の水平断面における半径方向のCO2 とCO濃度を調べた処、再循環流領域のCO濃度が一番高かった。
【0042】
以上の結果より、製錬バーナーの構造及び使用法を以下のように構成した。即ち、副混合管に供給する粉状燃料の流送に使用する以外の酸化性ガスは全て、予混合管に供給する。予混合管に供給された酸化性ガスに含まれる酸素量に対して、m値が0.9〜1.0となる範囲で製錬バーナーに供給する全ての粉状燃料の一部を予混合管に供給すると、この粉状燃料のガス化率は前述のように100%となり、COを殆ど含まないCO2 濃度の高い高温ガスが得られる。残った粉状燃料は全て副混合管を介して再循環流領域に供給すると、前記高温CO2 ガスとのブルドワ反応式5によりCOガスを発生し、所望の還元度をもったガスが得られる。
【0043】
第3に、上記操業において、Zn・Pb原料を再循環流領域へ、あるいは再循環流領域を経由して、高温CO2 ガス中へ装入しても、ガス化率は悪化しなかった。
【0044】
【実施例】
本願発明に係る実施例について、図1、図2、図3、図4に基づいて説明する。図3は、本願発明に係る実施例の中央縦断面図であり、内面が耐火物(煉瓦6または不定形耐火物7)で覆われたシャフト1、セトラー2、アップテーク3からなる還元炉であって、シャフト天井部4に製錬バーナー5が図4の如く4基設置されている。
【0045】
図1は製錬バーナー5の本願発明に係る実施例についての中央縦断面図である。製錬バーナー5は予混合管20、燃焼筒21、燃焼筒の天井22に設けられた副混合管23及び装入管24から構成されている。
【0046】
燃焼筒21と燃焼筒の天井22は水冷ジャケットとなっており、予混合管20も必要に応じて水冷構造としても良い。
【0047】
副混合管23と装入管24の数、取付け角度等については特に規定はないが、副混合管23については燃焼筒21の天井面に対して垂直に取付け、装入管24については垂直または予混合管20の中心軸上の点であって燃焼筒21の内部に存在する点に全装入管24の中心軸を一致させるのが良い。
【0048】
副混合管23と装入管24の数を一致させる必要はないが、燃焼筒天井部22の予混合管20の周りに対称に設けるのが良い。図2の実施例では各2本の副混合管23と装入管24が交互に配置されている。
【0049】
製錬バーナーの使用法の一例を以下に図1に基づいて説明する。工業用酸素Bは全て装入口25より予混合管20に供給する。予混合管内のm値が0.9〜1.0となるように粉状燃料Aを、空気または窒素で流送して、装入口26より予混合管20に供給する。粉状燃料Aと工業用酸素B、及び空気または窒素は予混合管内で混合された後、燃焼筒21に広がり角(頂角)2α=約25°で吹き出し、直ちに燃焼して高温CO2ガスを生成するとともに再循環流領域27を形成する。
【0050】
予混合管20に供給した残りの粉状燃料は空気または窒素で流送し、あるいはロータリーバルブ等より切出して、副混合管23から再循環流領域27へ投入し、そこで前記高温CO2 ガスとブルドワ反応を起こさせ、所定の還元度をもった高温還元性ガスを発生させる。
【0051】
一方Zn・Pb原料Cは、粉体の場合は空気で流送するかロータリーバルブ等により、融体の場合は樋を経て装入管24を介して、再循環流領域27(垂直装入管の場合)または再循環流領域を通過して高温CO2 ガス中(傾斜装入管の場合)へ供給される。
【0052】
そこで高温還元性ガスから受熱しかつ還元されながら、シャフト空間8へ放出される。
【0053】
Zn・Pb原料Cの還元熔融反応(原料が熔融している場合は還元反応のみ)及び粉状燃料Aに含まれる灰分の熔融スラグ化反応はシャフト空間内で完了し、Zn・Pb蒸気を含む還元性ガスは少量のダスト(微小スラグ粒、未反応原料粉、未燃料粉、未熔融灰分等から成る)とともにセトラー空間9へ移行する。また、熔融スラグは、操業条件によって形成されるかもしれない少量のメタルとともにセトラーに落下し、熔体10(主としてスラグ)を形成する。前記ダストは、セトラー空間9及びアップテーク3を飛行している間に、その大部分が熔体10上に落下し、アップテーク外にはZn・Pb蒸気を含んだ還元性ガスが少量のダストとともに取り出される。還元性ガスの温度が下がると、次の式8に従って、蒸気の再酸化が起きる為、炉体の放散熱は極力少なくしなければならず、シャフト1、セトラー2、アップテーク3の内面は煉瓦6もしくは不定形耐火物7で覆われている。
【0054】
【式8】
Zn(g)+CO2(g)=ZnO(S)+CO(g)
【0055】
水冷銅管11はシャフト下部の不定形耐火物を冷却して、シャフト内を降下する熔融スラグ滴による熔損を弱める為に用いられているが、放散熱を少なくする為、シャフト内のガスと直接には接触しないようになっている。煉瓦についても同様であり、図には示してないが、水冷ジャケット等で煉瓦を冷却するにしても、該ジァケットが炉内ガスと接しないようにしなければならない。
【0056】
図3に示す様に、その内側が煉瓦もしくは不定形耐火物でライニングされた試験炉(シャフト内径=1.5m、シャフト高さ=2.5m、セトラー内径=1.5m、セトラー長さ=5.25m)を構成した。そして、そのシャフト天井に、図1のバーナー1基を設けて、表1に示す組成を有する原料等を、表2に示す試験条件で処理した。Case−1はZn品位の高い粉状原料を処理した場合、Case−2はZn品位の低い粉状原料を処理した場合、Case−3は熔融原料を処理した場合である。Case−3については、Znを含んだ熔融スラグ(原料−3)をレードルに溜め、樋を介して装入管に流し込んだ。この時、窒素を高速で吹き出して、熔融スラグが燃焼筒内で粒子状に分散するようにした。
【0057】
結果を表3に示す。どの場合にも排出スラグ中のZn品位がISPスラグ(Zn品位=7〜9%)よりも低くなっており、本願発明の優位性が確認された。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】
本願発明によると次のような効果を得る。
【0062】
(1)燃焼筒内の全容積が実質的に燃焼反応に寄与され、フラッシュ製特性の熱効率を高められる。
【0063】
(2)粉コークスを用いて、粉状または熔融またはその両者のZn含有原料から有効にZnをガス中に抽出でき、粉コークスのガス化率を90%以上とすることができる。
【0064】
(3)棄却スラグのZn品位を3%以下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例に係る製錬バーナー中央縦断面図である。
【図2】本願発明の実施例に係る予混合管、副混合管、装入管の燃焼筒への取付位置平面図である。
【図3】本願発明の実施例に係る還元炉中央縦断面図である。
【図4】本願発明の実施例に係る製錬バーナー取付位置平面図である。
【符号の説明】
1 シャフト
2 セトラー
3 アップテーク
4 シャフト天井
5 製錬バーナー
6 煉瓦
7 不定形耐火物
8 シャフト空間
10 熔体
11 水冷銅管
20 予混合管
21 燃焼筒
22 燃焼筒天井
23 副混合管
24 装入管
25 工業用酸素の装入口
26 粉状燃料の装入口
27 再循環流領域
Claims (1)
- Zn及び/またはPbの酸化物を含有する粉体原料または熔融スラグを処理して、前記粉体原料または熔融スラグ中のZnとPbを蒸気として還元性ガスとともに炉外に取り出すZn・Pb製錬用フラッシュ還元炉において、該フラッシュ還元炉は、セトラー及びその頂部に配置されたシャフト及びアップテークからなり、前記シャフトの天井部に製錬バーナーを1基以上設置し、前記製錬バーナーが燃焼筒と予混合管と副混合管と装入管とからなり、燃焼筒の天井の中央部に予混合管用孔と、その周りに1つ以上の原料装入用孔と副混合管用孔が設けられ、予混合管は、その上端に装入口が設けられるとともに、上部側面にノズルが設けられ、且つ下端が前記予混合管用孔に接合され、装入管の下端が前記原料装入用孔に接合され、副混合管の下端が前記副混合管用孔に接合され、粉体原料または熔融スラグは装入管から燃焼筒に入れられ、還元剤及び粉状固体燃料が予混合管の上端装入口から燃焼筒に入れられ、酸化性ガスが予混合管のノズルから予混合管用孔を介して燃焼筒に入れられ、該副混合管から粉状固体燃料もしくは酸化性ガスもしくはその両者が燃焼筒に入れられるようになっていて、該予混合管と前記燃焼筒とが同心円的に設けられ、予混合管の下端が予混合管の中心軸に対して実質的に直角をなすように配置され、予混合管の内径をdmm、予混合管上部側面のノズルの中心線と予混合管の中心線との交点より予混合管下端までの距離をlmmとし、燃焼筒の内径をDmm、長さをLmmとしたときにl≧5dとなり、下記式1により求めたαが5〜20度となることを特徴とするフラッシュ還元炉。
【式1】tanα=(D−d)/2L
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