JP3576984B2 - 発泡成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡成形品の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、樹脂を、射出装置の射出ノズルから射出し、金型装置内のスプルー、ランナ及びゲートを介してキャビティ空間に充填(てん)して、成形品としての容器、蓋(ふた)体等を成形するようにしている。
【0003】
図2は従来の容器・蓋体ユニットの断面図である。
【0004】
図において、71は容器・蓋体ユニット、72は上端が開放させられた容器、73は該容器72の上端を覆う蓋体である。前記容器72の外周面及び内周面における上端の近傍に、環状の溝74、75が形成され、該溝74、75より上端側の部分に係止突起部76が形成される。また、前記蓋体73は、円形の頂壁77、及び該頂壁77の周縁に形成された環状の側壁78を備え、該側壁78は、所定の距離を置いて同心状に形成された外側環状体79及び内側環状体81から成り、外側環状体79の内周面、及び内側環状体81の外周面には、それぞれ、前記溝74、75と対応させて環状の突起82、83が外側環状体79及び内側環状体81における他の部分より突出させて形成される。そして、前記側壁78内の突起82、83より上端側の部分に、前記係止突起部76と係止させるための係止溝84が形成される。したがって、前記係止突起部76と係止溝84とを係止させることによって、蓋体73を容器72に対してスナップ留めすることができる。
【0005】
なお、前記容器・蓋体ユニット71の成形方法において、前記容器72及び蓋体73は、それぞれ図示されない所定の金型装置を使用することによって別の工程で成形される。そして、前記容器72において、係止突起部76は、溝74、75が形成された部分より突出させられるだけでなく、容器72の本体部分よりも突出させられるので、アンダーカット部として形成される。また、前記蓋体73において、突起82、83は、外側環状体79及び内側環状体81における他の部分より突出させられるので、アンダーカット部として形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の容器・蓋体ユニット71の成形方法において、係止突起部76は溝74、75が形成された部分より突出させられ、突起82、83は外側環状体79及び内側環状体81における他の部分より突出させられ、いずれも肉厚にされるので、冷却に伴って樹脂が収縮する量が多く、前記係止突起部76及び突起82、83自体、又は係止突起部76及び突起82、83の近傍に、ひけ、ショート等の成形不良が発生してしまうことがある。
【0007】
また、金型装置の型開きを行うときに、前記係止突起部76及び突起82、83を変形させることによって前記容器72、蓋体73等と金型装置とを分離させ、離型を行うようになっているが、係止突起部76及び突起82、83の柔軟性が低いので、離型後に係止突起部76及び突起82、83が元の形状に復元しないことがあり、その場合、容器72と蓋体73との間のシール性が低下してしまう。
【0008】
図3は従来の蓋体における成形不良の第1の例を示す断面図、図4は従来の蓋体における成形不良の第2の例を示す断面図である。
【0009】
図において、73は蓋体、77は頂壁、78は側壁、79は外側環状体、81は内側環状体、82、83は突起、84は係止溝である。
【0010】
この場合、突起82、83は、外側環状体79及び内側環状体81における他の部分より突出させられ、いずれも肉厚にされるので、冷却に伴って樹脂が収縮する量が多い。したがって、例えば、図3に示されるように、前記外側環状体79の外周面、及び内側環状体81の内周面にひけ85、86が発生してしまうことがある。
【0011】
また、金型装置の型開きを行うときに、係止突起部76(図2)及び突起82、83を変形させることによって前記容器72、蓋体73等と金型装置とを分離させ、離型を行うようになっているが、係止突起部76及び突起82、83の柔軟性が低いので、離型後に係止突起部76及び突起82、83が元の形状に復元せず、図4に示されるように、めくれ82a、83aが発生してしまうことがある。その場合、容器72と蓋体73との間のシール性が低下してしまう。
【0012】
そこで、樹脂をキャビティ空間に充填した後の保圧工程における保圧時間、及び冷却工程における冷却時間を長くすることによって、成形不良が発生するのを防止したり、アンダーカット部が変形するのを防止したりするようにしているが、保圧時間及び冷却時間を長くする分だけ成形サイクルが長くなってしまう。
【0013】
本発明は、前記従来の容器・蓋体ユニットの成形方法の問題点を解決して、成形不良が発生したり、アンダーカット部が変形したりするのを防止することができ、成形サイクルを短くすることができる発泡成形品の成形方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の発泡成形品の成形方法においては、アンダーカット部を備えた発泡成形品に適用される。
そして、樹脂に発泡材料を混入することによって得られた成形材料を、射出工程時に、射出速度VS で射出してキャビティ空間に充填時間tS で充填し、前記成形材料の充填が終了する直前のタイミングにおいて、射出工程を完了し、射出部材を停止させて発泡工程を開始し、該発泡工程時に、成形材料中の発泡材料を発泡させ、前記発泡成形品を、前記アンダーカット部を変形させて離型させる。
また、前記射出速度VS は、
200≦VS ≦1000〔mm/s〕
の範囲に設定される。
そして、前記充填時間tS は、
0.05≦tS ≦0.2〔s〕
の範囲に設定される。
また、前記タイミングで射出工程を完了したときにキャビティ空間内に形成される隙間がキャビティ空間に占める割合ζは、
1≦ζ≦5〔%〕
の範囲に設定される。
【0018】
本発明の他の発泡成形品の成形方法においては、さらに、前記発泡材料は発泡剤である。
【0019】
本発明の更に他の発泡成形品の成形方法においては、さらに、前記発泡材料は発泡用のガスである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、発泡成形品として発泡蓋体を成形する場合について説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態における射出成形機の概略図、図5は本発明の実施の形態における射出成形機の動作を示すタイムチャート、図6は本発明の実施の形態における金型装置の断面図、図7は充填時間と発泡倍率との関係図、図8は本発明の実施の形態における成形方法によって成形された発泡蓋体の断面図である。なお、図5において、SG1は射出部材としてのスクリュー12の回転方向を示す変量、SG2はスクリュー12の進退方向を示す変量である。各変量SG1、SG2は、いずれも便宜上想定されたものであり、実際の制御量を表すものではない。また、図7において、横軸に充填時間tS を、縦軸に発泡倍率を採ってある。
【0023】
図において、11はシリンダ部材としての加熱シリンダ、12は該加熱シリンダ11内において回転自在に、かつ、進退(図1における左右方向に移動)自在に配設されたスクリュー、13は第1の駆動手段としての射出シリンダ、14は第2の駆動手段としての油圧モータである。前記加熱シリンダ11には、後方(図1における右方)の所定の位置にホッパ11aが、前端(図1における左端)に射出ノズル20が形成され、前記ホッパ11aに、樹脂等に発泡材料を混入することによって得られた成形材料が投入される。該成形材料は、ホッパ11aから加熱シリンダ11内に供給され、前記射出ノズル20から射出される。また、前記スクリュー12の表面には、螺(ら)旋状にフライト12aが形成され、該フライト12aに沿って溝21が形成される。なお、本実施の形態においては、第1の駆動手段として射出シリンダ13を、第2の駆動手段として油圧モータ14を使用しているが、前記射出シリンダ13に代えて電動の射出用モータを、油圧モータ14に代えて電動の計量用モータを使用することができる。
【0024】
前記射出シリンダ13は進退自在に配設されたピストン13aを備え、該ピストン13aの後方に第1の油室16が、前方(図1における左方)に第2の油室17が形成され、第1、第2の油室16、17は図示されない切換弁を介して図示されない油圧供給源に接続される。この場合、前記第1の油室16に油圧を供給し、第2の油室17の油圧をドレーンすることによってスクリュー12を前進(図1における左方に移動)させたり、第1の油室16の油圧をドレーンし、油圧モータ14を駆動することによって、スクリュー12を回転させて計量を行ったりすることができる。また、計量を行うときに、第1の油室16に油圧を供給することによって、スクリュー12に背圧を加えることができる。
【0025】
そして、前記ピストン13aと連結させてスクリュー12の位置、すなわち、スクリュー位置を検出する位置センサ22が、第1の油室16に対応させてスクリュー12の背圧を検出する背圧センサ23が、加熱シリンダ11内の前方に成形材料の圧力を検出する圧力検出器24がそれぞれ配設される。前記位置センサ22、背圧センサ23及び圧力検出器24の各検出信号は制御部26に送られる。
【0026】
次に、前記構成の射出成形機の動作について説明する。
【0027】
まず、タイミングt0において、計量工程が開始され、該計量工程において、制御部26の図示されない計量制御手段は、油圧モータ14を駆動して前記スクリュー12を正方向に回転させる。このとき、ホッパ11aに投入された成形材料は、成形材料供給口Q1を介して加熱シリンダ11内に供給され、溝21内を前進させられ、スクリューヘッド12bの前方に蓄えられ、それに伴ってスクリュー12が後退(図1における右方に移動)させられる。なお、計量工程において、前記第1の油室16に所定の油圧が供給され、スクリュー12に背圧が加えられる。
【0028】
また、タイミングt1において前記計量工程が完了するとともに、射出工程が開始される。該射出工程において、制御部26の図示されない射出制御手段は、前記射出シリンダ13を駆動してスクリュー12を前進させる。このとき、スクリューヘッド12bの前方に蓄えられた成形材料は、射出ノズル20から射出され、金型装置61内の図示されないスプルー、ランナ62及びゲート63を介してキャビティ空間Cに充填される。なお、スクリューヘッド12bの前方に蓄えられた成形材料が逆流しないように、図示されない逆流防止装置が配設される。
【0029】
この場合、成形材料として、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン(商品名)等の樹脂に、発泡材料として、熱に反応して炭酸ガスを発生させる発泡剤を1〜5〔質量%〕混入したものを使用し、該発泡剤を発泡させながら成形を行うことによって、多数の気泡を含有する発泡蓋体93を成形することができる。前記発泡剤として、例えば、50〔質量%〕のポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等と50〔質量%〕の重炭酸ソーダとを混合させて形成されたマスターバッチ式のものを使用することができる。
【0030】
また、前記加熱シリンダ11における所定の位置(例えば、軸方向における射出ノズル20の後端(図1における右端)又はほぼ中央)において径方向内方に向けて、又はスクリュー12の所定の位置(例えば、軸方向におけるスクリュー12のほぼ中央)において径方向外方に向けて、図示されないガス注入ノズルを開口させ、図示されないガス供給源から供給された発泡材料としての炭酸ガス、窒素ガス等の発泡用のガスを、前記ガス注入ノズルを介して加熱シリンダ11内に注入し、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン等の樹脂に混入することによって得られた成形材料を使用することもできる。なお、前記ガスをあらかじめ原料としての樹脂に混入させることもできる。
【0031】
続いて、成形材料のキャビティ空間Cへの充填が終了する直前のタイミングt2において、射出工程が完了し、制御部26の図示されない発泡制御手段は、射出シリンダ13の駆動を停止させ、スクリュー12を停止させるとともに、発泡工程を開始し、該発泡工程において、成形材料中の発泡材料を発泡させる。本実施の形態において、前記タイミングt2は、キャビティ空間C内に進入した成形材料の先端、すなわち、流動末端が、キャビティ空間C内におけるゲート63から最も離れた位置に到達する直前にあらかじめ設定される。なお、前記発泡工程において、油圧モータ14の駆動は停止させられたままであり、スクリュー12は進退させられないだけでなく、回転させられない。
【0032】
そして、タイミングt3において、前記発泡工程が完了するとともに、再び計量工程が開始され、タイミングt4において、計量工程が完了する。
【0033】
ところで、前記発泡蓋体93は、円形の頂壁97、及び該頂壁97の周縁に形成された環状の側壁98を備え、該側壁98は、所定の距離を置いて同心状に形成された外側環状体99及び内側環状体101から成り、外側環状体99の内周面、及び内側環状体101の外周面には、それぞれ、環状の突起102、103が外側環状体99及び内側環状体101における他の部分より突出させて形成される。そして、前記側壁98内の突起102、103より上端側の部分に係止溝104が形成される。なお、突起102、103はアンダーカット部として形成される。
【0034】
また、前記金型装置61は、固定金型64及び可動金型65から成り、図示されない型締装置によって可動金型65を固定金型64に対して接離させることにより、金型装置61の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。そして、型閉じ及び型締めに伴って固定金型64と可動金型65との間にキャビティ空間Cが形成される。該キャビティ空間Cには、前記頂壁97、外側環状体99及び内側環状体101に対応させて、それぞれ頂壁部分C1、外側環状体部分C2及び内側環状体部分C3が形成され、前記頂壁部分C1の中央にゲート63が形成される。
【0035】
また、前記可動金型65は、前記内側環状体部分C3より径方向内方に形成された第1コア部111、該第1コア部111より径方向外方に配設され、前記係止溝104に対応する形状の環状の突起部115を備えた第2コア部112、及び該第2コア部112に対して相対的に移動自在に配設され、型開き時に前記発泡蓋体93を可動金型65から離して離型させるストリッパプレート113を備える。
【0036】
したがって、発泡蓋体93を成形する場合、まず、金型装置61の型閉じ及び型締めを行い、前記射出工程を開始する。該射出工程の開始に伴い、成形材料は、前記ゲート63を介して前記キャビティ空間C内に進入し、頂壁部分C1を流れた後、外側環状体部分C2及び内側環状体部分C3を流れる。
【0037】
続いて、金型装置61の型開きが行われ、可動金型65の全体が後退(図6における下方に移動)させられ、これに伴って、発泡蓋体93は可動金型65と共に後退させられる。そして、第2コア部112及びストリッパプレート113が停止させられ、第1コア部111だけが更に後退させられ、第1コア部111の前端(図6における上端)が内側環状体101の後端(図6における下端)より後方(図6における下方)の所定の位置に到達すると、第1コア部111は停止させられ、該第1コア部111及び第2コア部112を停止させたまま、ストリッパプレート113が前進(図における上方に移動)させられる。このとき、発泡蓋体93における外側環状体99の外周、及び内側環状体101の内周には、固定金型64及び第1コア部111がないので、発泡蓋体93は突起部115によって外側環状体99及び内側環状体101を変形させて可動金型65から離型させられる。
【0038】
この場合、前記突起102、103においては、冷却に伴って成形材料が収縮する量が多いので、突起102、103における成形材料の圧力が十分に高くならないと、突起102、103自体、又は突起102、103の周辺においてひけ、ショート等の成形不良が発生し、発泡蓋体93の外観を悪くしてしまう。
【0039】
そこで、本実施の形態においては、射出工程時のスクリュー12の速度、すなわち、射出速度VS は、成形材料が冷却されないように、しかも、剪(せん)断発熱によって溶融させられた樹脂の比容積を大きくすることができるように、成形材料中の発泡材料を発泡させないで成形する場合より高くされ、
200≦VS ≦1000〔mm/s〕
の範囲、好ましくは、
300≦VS ≦600〔mm/s〕
の範囲に設定され、スクリュー12を高速で前進させることによって高速充填が行われる。また、例えば、頂壁97、外側環状体99及び内側環状体101の肉厚が1.0〔mm〕以下である場合、充填時間tS は、
0.05≦tS ≦0.2〔s〕
の範囲、好ましくは、
0.1≦tS ≦0.15〔s〕
の範囲に設定される。
【0040】
したがって、前記射出工程中に高速充填が行われることによって、スクリューヘッド12bの前方に蓄えられた成形材料は、高速で射出ノズル20から射出され、前記スプルー及びランナ62を高速で通過し、ゲート63を介してキャビティ空間Cに充填され、キャビティ空間C内を高速で移動させられる。これに伴って、成形材料には極めて大きい剪断応力が加わり、剪断発熱によって成形材料は膨張させられ、体積が大きくなる。
【0041】
続いて、前述されたように、流動末端が、キャビティ空間C内におけるゲート63から最も離れた位置に到達する直前のタイミングt2において、射出工程が完了するとともに発泡工程が開始され、射出シリンダ13の駆動が停止させられ、スクリュー12が停止させられる。
【0042】
このとき、前記流動末端はキャビティ空間C内におけるゲート63から最も離れた位置に到達しておらず、外側環状体部分C2及び内側環状体部分C3には所定の容積の隙間が形成される。本実施の形態において、キャビティ空間Cの容積をVC とし、前記隙間の容積をVB とし、容積VB が容積VC に占める割合をζとしたとき、割合ζは、
1≦ζ≦5〔%〕
の範囲に設定される。
【0043】
そのために、前記スクリュー位置が位置センサ22によって検出され、スクリュー12があらかじめ設定された停止位置に到達すると、前記発泡制御手段は、スクリュー12を停止させる。なお、前記停止位置は、スクリュー12を停止させたときに、前記隙間が形成されるようにあらかじめ算出される。
【0044】
このように、射出工程が完了した時点で隙間が形成され、キャビティ空間C内の発泡可能量が大きくなるので、成形材料を十分に膨張させることができ、それに伴って発泡材料を十分に発泡させ、発泡倍率を高くすることができる。
【0045】
また、発泡工程において、高速充填が終了するのに伴って成形材料に剪断応力が加わらなくなるので、キャビティ空間C内の成形材料は冷却されて大きく収縮する。したがって、発泡材料を一層十分に発泡させ、発泡倍率を高くすることができる。
【0046】
例えば、発泡材料の混入量を2〔%〕とし、頂壁97、外側環状体99及び内側環状体101の肉厚を0.6〔mm〕としたとき、図7に示されるように、充填時間tS が短くなるほど発泡倍率は高くなり、充填時間tS が約0.06〔s〕で発泡倍率は1.15〜1.2倍になり、飽和する。
【0047】
なお、発泡倍率は、前記充填時間tS のほかに、型締力、型締めが終了したときの固定金型64と可動金型65との間のエアベントの隙間、加熱シリンダ11の温度、計量工程においてスクリュー12に加えられる背圧、発泡材料の混入量、発泡材料の組成等によっても異なるが、充填時間tS による影響が最も大きい。
【0048】
このように、発泡倍率を高くすることができるので、発泡蓋体93を軽量化することができ、発泡蓋体93の重量を、成形材料中の発泡材料を発泡させないときの重量の85〔%〕程度にすることができる。
【0049】
また、外側環状体部分C2及び内側環状体部分C3における成形材料の圧力を十分に高くすることができるので、突起102、103自体、又は突起102、103の周辺にひけ、ショート等の成形不良が発生することがなくなり、発泡蓋体93の外観を良くすることができる。
【0050】
そして、突起102、103の部分における発泡倍率を特に高くすることができ、突起102、103の柔軟性を高くすることができるので、離型後に突起102、103が元の形状に確実に復元する。したがって、発泡容器と発泡蓋体93との間のシール性を向上させることができる。
【0051】
そして、ひけ、ショート等の成形不良を発生させるのを防止するために、また、アンダーカット部が変形するのを防止するために、保圧時間及び冷却時間を長くする必要がない。したがって、成形サイクルを短くすることができる。
【0052】
また、充填圧力を高くする必要がないので、前記型締装置の型締力を通常の型締力の1/2〜1/3にすることができる。したがって、型締装置を小型化することができるだけでなく、型締装置のコストを低くすることができる。
【0053】
そして、発泡蓋体93の設計を変更しようとしたとき、設計の変更に伴って肉厚の部分が形成されても、ひけ、ショート、ボイド等の成形不良を発生させることがないので、設計の自由度を高くすることができる。
【0054】
次に、発泡容器について説明する。
【0055】
図9は本発明の実施の形態における成形方法によって成形された発泡容器の断面図である。
【0056】
図において、92は上端が開放させられた発泡容器であり、該発泡容器92の外周面及び内周面における上端の近傍に、環状の溝94、95が形成され、該溝94、95より上端側の部分に係止突起部96が形成される。該係止突起部96は係止溝104(図8)と係止させられ、これにより、発泡蓋体93を発泡容器92に対してスナップ留めすることができる。なお、131はフランジである。また、係止突起部96はアンダーカット部として形成される。
【0057】
この場合、発泡容器92の側壁92aにおいて、係止突起部96の肉厚をt1 とし、係止突起部96及び溝94、95以外の部分の肉厚をt0 としたとき、肉厚t1 は、
1.5t0 ≦t1 ≦2.5t0
にされる。
【0058】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0059】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、発泡成形品の成形方法においては、アンダーカット部を備えた発泡成形品に適用される。
そして、樹脂に発泡材料を混入することによって得られた成形材料を、射出工程時に、射出速度VS で射出してキャビティ空間に充填時間tS で充填し、前記成形材料の充填が終了する直前のタイミングにおいて、射出工程を完了し、射出部材を停止させて発泡工程を開始し、該発泡工程時に、成形材料中の発泡材料を発泡させ、前記発泡成形品を、前記アンダーカット部を変形させて離型させる。
また、前記射出速度VS は、
200≦VS ≦1000〔mm/s〕
の範囲に設定される。
そして、前記充填時間tS は、
0.05≦tS ≦0.2〔s〕
の範囲に設定される。
また、前記タイミングで射出工程を完了したときにキャビティ空間内に形成される隙間がキャビティ空間に占める割合ζは、
1≦ζ≦5〔%〕
の範囲に設定される。
【0060】
この場合、成形材料が前記キャビティ空間に高速で充填され、成形材料の充填が終了する直前のタイミングにおいて、射出工程が完了し、発泡工程が開始され、該発泡工程において、成形材料中の発泡材料が発泡させられるので、キャビティ空間内の発泡可能量が大きくなる。したがって、成形材料を十分に膨張させることができ、それに伴って発泡材料を十分に発泡させ、発泡倍率を高くすることができるので、発泡成形品を軽量化することができる。また、ひけ、ショート等の成形不良が発生することがなくなるので、発泡成形品の外観を良くすることができる。
【0061】
そして、アンダーカット部の柔軟性を高くすることができるので、離型後にアンダーカット部が元の形状に確実に復元する。したがって、例えば、発泡容器と発泡蓋体との間のシール性を向上させることができる。
【0062】
そして、ひけ、ショート等の成形不良を発生させるのを防止するために、また、アンダーカット部が変形するのを防止するために、保圧時間及び冷却時間を長くする必要がない。したがって、成形サイクルを短くすることができる。
【0063】
また、充填圧力を高くする必要がないので、型締装置の型締力を通常の型締力の1/2〜1/3にすることができる。したがって、型締装置を小型化することができるだけでなく、型締装置のコストを低くすることができる。
【0064】
そして、発泡成形品の設計を変更しようとしたとき、設計の変更に伴って肉厚の部分が形成されても、ひけ、ショート、ボイド等の成形不良を発生させることがないので、設計の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における射出成形機の概略図である。
【図2】従来の容器・蓋体ユニットの断面図である。
【図3】従来の蓋体における成形不良の第1の例を示す断面図である。
【図4】従来の蓋体における成形不良の第2の例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における射出成形機の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における金型装置の断面図である。
【図7】充填時間と発泡倍率との関係図である。
【図8】本発明の実施の形態における成形方法によって成形された発泡蓋体の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における成形方法によって成形された発泡容器の断面図である。
【符号の説明】
11 加熱シリンダ
12 スクリュー
13 射出シリンダ
26 制御部
61 金型装置
63 ゲート
92 発泡容器
93 発泡蓋体
96 係止突起部
102、103 突起
C キャビティ空間
Claims (3)
- アンダーカット部を備えた発泡成形品の成形方法において、
(a)樹脂に発泡材料を混入することによって得られた成形材料を、射出工程時に、射出速度V S で射出してキャビティ空間に充填時間t S で充填し、
(b)前記成形材料の充填が終了する直前のタイミングにおいて、射出工程を完了し、射出部材を停止させて発泡工程を開始し、該発泡工程時に、成形材料中の発泡材料を発泡させ、
(c)前記発泡成形品を、前記アンダーカット部を変形させて離型させるとともに、
(d)前記射出速度V S は、
200≦V S ≦1000〔mm/s〕
の範囲に設定され、
(e)前記充填時間t S は、
0.05≦t S ≦0.2〔s〕
の範囲に設定され、
(f)前記タイミングにおいて射出工程を完了したときにキャビティ空間内に形成される隙間がキャビティ空間に占める割合ζは、
1≦ζ≦5〔%〕
の範囲に設定されることを特徴とする発泡成形品の成形方法。 - 前記発泡材料は発泡剤である請求項1に記載の発泡成形品の成形方法。
- 前記発泡材料は発泡用のガスである請求項1に記載の発泡成形品の成形方法。
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