JP3576983B2 - 磁気記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体(フロッピーディスク等)への情報記録手段としてインダクティブヘッドを有する磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の磁気記録装置の一構成例を示すブロック図である。本図に示す磁気記録装置において磁気記録媒体に対する情報の記録を行う際には、ホスト(図示せず)からライトドライバ100に対してライトデータDWRが入力される。ライトドライバ100は入力されたライトデータDWRに基づいて、インダクティブヘッド110(以下、ヘッド110と呼ぶ)に供給するライト電流IWRの向きを切り換える。このような動作により、磁気記録媒体はヘッド110のライト電流IWRに応じた方向に磁化され、ライトデータDWRの書き込みが行われる。
【0003】
上記したライト電流IWRの電流値は、ライト電流設定回路101からライトドライバ100に供給される制御電流IWRrefの電流値に比例している。なお、ライト電流設定回路101はホストから与えられる制御信号CNTに基づいて制御電流IWRref(すなわちライト電流IWR)の電流値を変化させる回路である。
【0004】
また、従来の磁気記録装置には、比較器102、103を入力段に有する第1ライトアンセーフ検出回路105(以下、第1WUS回路105と呼ぶ)と、比較器106、107を入力段に有する第2ライトアンセーフ検出回路109(以下、第2WUS回路109と呼ぶ)を始めとする多数の検出回路が設けられている。これら多数の検出回路は、ヘッド110の両端に現れるヘッド電圧HX、HYと所定の基準電圧(第1、第2WUS回路105、109については第1、第2基準電圧Vref1、Vref2)との比較結果に基づいてヘッド110の各種異常を検出する回路である。
【0005】
本図に示すように、比較器102、103の非反転入力端子(+)には第1直流電圧源104(第1基準電圧Vref1)が接続されており、比較器106、107の非反転入力端子(+)には第2直流電圧源108(第2基準電圧Vref2)が接続されている。また、比較器102、106の各反転入力端子(−)にはヘッド110の一端(ヘッド電圧HX)が接続されており、比較器103、107の各反転入力端子(−)にはヘッド110の他端(ヘッド電圧HY)が接続されている。一方、比較器102、103の出力端子はそれぞれ第1WUS回路105の入力端子に接続されており、比較器106、107の出力端子はそれぞれ第2WUS回路109の入力端子に接続されている。
【0006】
第1WUS回路105では、ヘッド電圧HX、HYと第1基準電圧Vref1との比較結果に基づいて、ライトデータDWRの低周波数異常、ヘッド110のVcc短絡異常、及びヘッド110のGND短絡異常の検出が行われる。なお、これらの異常検出は、ライトデータDWRに応じてヘッド電圧HX、HYに現れる逆起電圧の立ち下がりを捉えることで行われる。従って、比較器102、103の閾値レベル(第1基準電圧Vref1)としては、上記した各種異常をできる限り正確に検出するための最適値を選択する必要がある。或いは、上記と同様な回路を複数設けて、各種異常を検出するのに最適な基準電圧を個別に設定する必要がある。
【0007】
一方、第2WUS回路109では、ヘッド電圧HX、HYと第2基準電圧Vref2との比較結果にライトデータDWRでラッチをかけ、そのラッチ出力に基づいてロジカルにヘッド110のオープン異常の検出が行われる。この場合、比較器106、107における比較動作では、ヘッド電圧HX、HYが異常波形であることを検出できれば足りるため、その閾値レベル(第2基準電圧Vref2)は前述した第1基準電圧Vref1ほど重要ではない。そこで、第2基準電圧Vref2の電圧値は、ヘッド電圧HX、HYの立ち下がりを遅延なく検出するためにできるだけ高レベル(電源電圧Vcc付近)に設定されている。
【0008】
第1、第2WUS回路105、109は、上記した異常検出動作の結果をそれぞれ異常検出信号WUS1、WUS2としてホストに送出する。これらの異常検出信号WUS1、WUS2に基づいて、ホストがヘッド110の異常を検出した場合には、磁気記録媒体への書き込みを保障する動作(例えば、書き込み禁止やリセット動作)が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図7は従来におけるヘッド電圧Va〜Vd及び第1、第2基準電圧Vref1、Vre f2とライト電流IWRとの関係を示す図である。なお、本図中のVaはヘッド電圧HX、HYが逆起電圧によって立ち下がる際のピーク電圧を示しており、Vbはヘッド110の一端が電源電圧Vccに短絡した際に現れる短絡電圧を示している。また、Vcはヘッド110の一端がグランドに短絡した際に現れる短絡電圧を示しており、Vdはヘッド110がオープンした際に現れるオープン電圧を示している。
【0010】
本図に示すように、ヘッド電圧HX、HYの挙動(各電圧Va〜Vdの電圧値)はライト電流IWRの電流値に依存して大きく変化する。それに対して、ヘッド110の異常検出動作を行うために設けられた第1、第2基準電圧Vref1、Vref2の電圧値は、前述の通り、ライト電流IWRの電流値に依らず一定値に固定されていた。そのため、ライト電流IWRの電流値にはヘッド110の異常検出動作を正しく行うための制限範囲が存在し、その制限範囲を超えてライト電流IWRの電流値を変化させると、異常検出動作が正しく行えなくなるといった課題があった。
【0011】
具体的に説明すると、ライト電流IWRを所定値よりも上げた場合、電源電圧Vccへの短絡電圧Vbが第1基準電圧Vref1を下回る。そのため、ヘッド110の一端が電源電圧Vccに短絡していても、ヘッド110は正常であると判断されていた。逆に、ライト電流IWRを所定値よりも下げた場合、逆起電圧のピーク電圧値Vaが第1基準電圧Vref1を上回る。そのため、ヘッド110が正常状態であっても、ヘッド110は電源電圧Vccへの短絡状態であると判断されていた。
【0012】
なお、ヘッド電圧HX、HYの挙動は電源電圧Vccの電圧値にも依存して変化するため、上記したライト電流IWRと同様、電源電圧Vccの電圧値にもヘッド110の異常検出動作を正しく行うための制限範囲が存在していた。
【0013】
また、従来の磁気記録装置は、ヘッド110の両端に現れるヘッド電圧HX、HYと少なくとも2種類の基準電圧(第1、第2基準電圧Vref1、Vref2)との比較結果に基づいてヘッド110の各種異常を検出する構成であり、その異常検出手段として少なくとも2つのライトアンセーフ検出回路(第1、第2WUS回路105、109)が設けられていた。そのため、従来の磁気記録装置では、チップ面積の拡大や素子数の増大、及びそれに伴うコストアップが課題であった。
【0014】
本発明は上記の問題点に鑑み、インダクティブヘッドのライト電流の電流値や電源電圧の電圧値に依存することなく、常に正しい異常検出動作が可能な磁気記録装置を提供することを目的とする。また、本発明ではインダクティブヘッドの異常を検出するための回路(比較器及びライトアンセーフ検出回路)の回路規模を従来より縮小することも目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る磁気記録装置においては、磁気記録媒体への情報記録手段であるインダクティブヘッドと、該インダクティブヘッドに流すライト電流の大きさを制御する手段と、前記インダクティブヘッドの両端に現れるヘッド電圧と所定の基準電圧との比較結果に基づいて前記インダクティブヘッドの異常を検出する手段と、を有する磁気記録装置において、前記ライト電流の電流値に応じて前記基準電圧の電圧値を変化させる構成としている。
【0016】
なお、前記基準電圧を発生する回路は、前記ライト電流に比例した電流を一端が電源電圧に接続された抵抗に流し、該抵抗の他端から前記基準電圧を取り出すことにより、前記ライト電流の電流値及び前記電源電圧の電圧値に応じて前記基準電圧の電圧値を変化させる構成にするとよい。また、前記抵抗の他端には、前記ライト電流に比例した電流を流す第1電流源と、所定の定電流を流す第2電流源と、をそれぞれ接続するとよい。
【0017】
また、上記構成から成る磁気記録装置において、前記基準電圧の電圧値は、常に前記ヘッド電圧が立ち下がる際のピーク電圧値より高く、かつ前記インダクティブヘッドの一端が前記電源電圧に短絡した際に現れる短絡電圧の電圧値より低くなるように調整するとよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る磁気記録装置として、ここではフロッピーディスクドライブ装置(以下、FDD装置と呼ぶ)を例に挙げて説明を行う。FDD装置は磁気記録媒体であるフロッピーディスク(以下、ディスクと呼ぶ)に対し、インダクティブヘッドを介して情報の記録/再生を行う装置である。なお、FDD装置はホスト(CPU)からの命令信号に基づいて動作し、その制御はFDD装置に設けられた1チップのFDDコントロールLSIによって行われる。
【0019】
図1は本実施形態のFDD装置に搭載されるFDDコントロールLSIの要部構成を示すブロック図である。本図に示す通り、FDDコントロールLSI1にはコントロール回路2と信号処理回路3とが組み込まれている。コントロール回路2はホスト(CPU)側からの命令信号等に基づいて信号処理回路3のコントロールを行うロジック部である。
【0020】
信号処理回路3はディスクへ書き込まれるライトデータDWR、及びディスクから読み出されるリードデータ(図示せず)を処理する回路であり、ディスクへの情報記録再生手段であるインダクティブヘッド4(以下、ヘッド4と呼ぶ)の動作を制御するリードライト部としての機能を有する。
【0021】
さらに信号処理回路3についての詳細な説明を行う。ディスクに対する情報の記録を行う際には、コントロール回路2からライトドライバ10に対してライトデータDWRが入力される。ライトドライバ10は入力されたライトデータDWRに基づいて、ヘッド4に供給するライト電流IWRの向きを切り換える。このような動作により、ディスクはヘッド4のライト電流IWRに応じた方向に磁化され、ライトデータDWRの書き込みが行われる。
【0022】
上記したライト電流IWRの電流値は、ライト電流設定回路11からライトドライバ10に供給される制御電流IWRrefの電流値に比例している。なお、ライト電流設定回路11はホスト(CPU)から与えられる制御信号CNTに基づいて制御電流IWRref(すなわちライト電流IWR)の電流値を変化させる回路である。また、ライト電流設定回路11は後述する基準電圧設定回路14に対して、制御電流IWRrefに比例した電流I2を送出する。
【0023】
さらに、本実施形態のFDD装置は、比較器12、13を入力段に有するライトアンセーフ検出回路15(以下、WUS回路15と呼ぶ)を有している。WUS回路15は、ヘッド4の両端に現れるヘッド電圧HX、HYと基準電圧Vrefとの比較結果に基づいてヘッド4の各種異常を検出し、その検出結果を異常検出信号WUSとしてホスト(CPU)に送出する回路である。
【0024】
本図に示すように、比較器12、13の非反転入力端子(+)はともに基準電圧設定回路14の出力端子に接続されている。基準電圧設定回路14は、ライト電流設定回路11から入力された電流I2の電流値、及びFDDコントロールLSI1を駆動する電源電圧Vccの電圧値に応じてその電圧値が変化する基準電圧Vrefを生成し、該基準電圧Vrefを比較器12、13の各非反転入力端子(+)にそれぞれ供給する。
【0025】
また、比較器12の反転入力端子(−)はヘッド4の一端に接続されており、該端子にはヘッド電圧HXが印加されている。一方、比較器13の反転入力端子(−)はヘッド4の他端に接続されており、該端子にはヘッド電圧HYが印加されている。なお、比較器12、13の出力端子はそれぞれWUS回路15の入力端子に接続されている。
【0026】
従って、ヘッド電圧HX、HYはそれぞれ比較器12、13によって基準電圧Vrefと比較され、その比較出力はヘッド電圧HX、HYの電圧レベルが基準電圧VRefより低ければHレベルとなり、高ければLレベルとなる。
【0027】
次に、WUS回路15によるヘッド4の異常検出動作について説明する。図2はヘッド4の異常検出動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、本図では説明を簡略化するために、ヘッド電圧としてヘッド電圧HXのみを示し、比較出力として比較器12の出力のみを示している。
【0028】
図中(a)はヘッド4が正常動作を行っている場合を示している。この場合、ヘッド電圧HXにはライトデータDWRの立ち上がり/立ち下がりに応じて若干遅延した逆起電圧のパルスが現れる。このとき、逆起電圧の立ち下がりピーク電圧Vaは基準電圧Vrefを下回るため、比較器12の出力は逆起電圧の立ち下がりに応じてHレベルとなる。また、ライトデータDWRの周波数には装置の規格に応じて予め最低値が設定されているため、その周波数が正常である場合、比較器12の出力がHレベルとなる間隔も所定期間内となる。また、ヘッド電圧HXに現れる逆起電圧のパルス幅は非常に狭いため、比較器12の出力にライトデータDWRの立ち下がりでラッチをかければ、そのラッチ出力は常にLレベルとなる。
【0029】
図中(b)はライトデータDWRに低周波数異常が発生した場合を示している。この場合でも、ヘッド電圧HXにはライトデータDWRの立ち上がり/立ち下がりに応じて若干遅延した逆起電圧のパルスが現れる。しかし、ライトデータDWRの周波数が低いと逆起電圧のパルス間隔が長くなるため、比較器12の比較出力がHレベルとなる間隔も長くなる。従って、WUS回路15では比較器12の出力がHレベルとなる間隔が所定間隔よりも長くなった時点で、ライトデータDWRに低周波数異常が発生したと判断することができる。
【0030】
図中(c)はヘッド4の一端が電源電圧Vccに短絡した場合を示している。この場合でも、ヘッド電圧HXにはライトデータDWRの立ち上がり/立ち下がりに応じて若干遅延した逆起電圧のパルスが現れる。しかし、その逆起電圧の立ち下がりピーク電圧Vbは正常時に比べて小さく、基準電圧Vrefを下回るまでには至らない。よって、比較器12の出力は常にLレベルとなる。従って、WUS回路15では比較器12の出力が常にLレベルとなった時点で、ヘッド4の一端が電源電圧Vccに短絡したと判断することができる。
【0031】
図中(d)はヘッド4の一端がグランドに短絡した場合を示している。この場合、ヘッド電圧HXはグランド短絡電圧Vcに張り付いてしまい、基準電圧Vrefを常に下回るため、比較器12の出力は常にHレベルとなる。従って、WUS回路15では比較器12の出力が常にHレベルとなった時点で、ヘッド4の一端がグランドに短絡したと判断することができる。
【0032】
図中(e)はヘッド4がオープンした場合を示している。この場合、ヘッド電圧HXにはライトデータDWRに応じた矩形パルスが現れる。このとき、矩形パルスの立ち下がりピーク電圧Vdは基準電圧Vrefを下回るため、比較器12の出力は矩形パルスの立ち下がりに応じてHレベルとなる。ここで、矩形パルスの立ち上がり/立ち下がりはライトデータDWRの立ち下がり/立ち上がりに応じて若干遅延したものとなるため、比較器12の出力にライトデータDWRの立ち下がりでラッチをかければ、そのラッチ出力は正常時のようにLレベルとはならない。従って、WUS回路15では前記ラッチ出力がLレベルでなければ、ヘッド4がオープンしたと判断することができる。
【0033】
上記に説明した各状態で発生するヘッド電圧Va〜Vdは、ヘッド4に流れるライト電流IWRや電源電圧Vccに依存して、後述の図3に示すように大きく変化する。そのため、ライト電流IWRや電源電圧Vccに依存することなく、常に正しいヘッド4の異常検出動作を行うためには、基準電圧Vrefをライト電流IWRや電源電圧Vccに応じて変化させる必要がある。
【0034】
図3は本実施形態におけるヘッド電圧Va〜Vd及び基準電圧Vrefとライト電流IWRとの関係を示す図である。なお、本図中の実線Va〜Vdは図2に示した電圧Va〜Vdをそれぞれ示している。すなわち、Vaはヘッド電圧HX、HYが逆起電圧によって立ち下がる際の下側のピーク電圧を示しており、Vbはヘッド4の一端が電源電圧Vccに短絡した際に現れる短絡電圧を示している。また、Vcはヘッド4の一端がグランドに短絡した際に現れる短絡電圧を示しており、Vdはヘッド4がオープンした際に現れるオープン電圧を示している。
【0035】
本図に示すように、各状態で発生するヘッド電圧Va〜Vdは、ライト電流IWRの電流値が増大するにつれて低下する。そこで、本実施形態のFDD装置では、基準電圧Vrefの電圧値を常にヘッド電圧HXが立ち下がる際の下側のピーク電圧Va、Vdより高く、上側のピーク電圧よりは低く、かつヘッド4の一端が電源電圧Vccに短絡した際に現れる短絡電圧Vbより低くなるように、ライト電流IWRの電流値が増大するにつれて基準電圧Vrefが低下するように調整している。
【0036】
このような構成とすることにより、従来(図7参照)のようにライト電流IWRが所定値以上となった時点で短絡電圧Vbが基準電圧Vrefを下回ったり、ライト電流IWRが所定値以下となった時点でピーク電圧Va、Vdが基準電圧Vrefを上回ったりすることがない。従って、他の基準電圧及びそれを比較するための回路を別途設けなくても、ライト電流IWRの電流値を広範囲に変化させても、正しくヘッド4の異常検出動作を行うことができる。
【0037】
また、本図には示されていないが、各状態で発生するヘッド電圧Va〜Vdは電源電圧Vccにも依存して変化する。そこで、本実施形態のFDD装置では、基準電圧Vrefの電圧値を電源電圧Vccの電圧値に応じて変化させている。より具体的に言えば、電源電圧Vccの上昇/下降に応じて基準電圧Vrefも上昇/下降させている。このような構成とすることにより、たとえ電源電圧Vccが変化しても正しくヘッド4の異常検出動作を行うことができる。
【0038】
なお、本実施形態のように、基準電圧Vrefの電圧値をライト電流IWRや電源電圧Vccに応じて変化させる構成とすることにより、従来のように固定された基準電圧を複数設ける必要がなくなるため、インダクティブヘッドの異常を検出するライトアンセーフ検出回路の回路規模を縮小することが可能となる。
【0039】
次に、ライト電流設定回路11及び基準電圧設定回路14の具体的な回路構成及び動作について説明する。図4はライト電流設定回路11及び基準電圧設定回路14の一構成例を示す回路図である。
【0040】
まず、ライト電流設定回路11の回路構成及び動作について説明する。カレントミラーを構成するpnp型トランジスタ23、24、25の各エミッタはそれぞれ抵抗20、21、22を介して電源電圧Vccに接続されている。また、各ベースは互いに接続されるとともに、pnp型トランジスタ26のエミッタにも接続されている。トランジスタ26のコレクタはグランドに接続されており、ベースはトランジスタ23のコレクタ及びnpn型トランジスタ27のコレクタに接続されている。
【0041】
トランジスタ27のベースはオペアンプ28の出力端に接続されており、エミッタはオペアンプ28の反転入力端子(−)に接続される一方で、所定の定電流I1を生成する定電流源30を介してグランドに接続されている。なお、定電流源30にはコントロール回路2から制御信号CNTが入力されており、定電流I1の電流値は該制御信号CNTに基づいて変化される。また、オペアンプ28の非反転入力端子(+)には直流電圧源29が接続されている。これにより、定電流I1の電流値が安定化される。
【0042】
一方、カレントミラーを構成するトランジスタ24のコレクタはライトドライバ10に接続されており、定電流I1に比例する制御電流IWRrefがライトドライバ10に対して供給される。前述した通り、ヘッド4に流れるライト電流IWRの電流値は制御電流IWRrefの電流値に比例する。従って、定電流I1を制御することでライト電流IWRを変化させることができる。また、トランジスタ25のコレクタは基準電圧設定回路14に接続されており、定電流I1(さらに言えばライト電流IWR)に比例する電流I2が基準電圧設定回路14に対して供給される。
【0043】
次に、基準電圧設定回路14の回路構成及び動作について説明する。カレントミラーを構成するnpn型トランジスタ41、42の各ベースは互いに接続されるとともに、npn型トランジスタ40のエミッタにも接続されている。また、トランジスタ41、42の各エミッタはそれぞれ抵抗43、44を介してグランドに接続されている。トランジスタ40のコレクタは電源電圧Vccに接続されており、ベースはトランジスタ41のコレクタに接続されている。なお、トランジスタ40のベースとトランジスタ41のコレクタの接続ノードは、ライト電流設定回路11を構成するトランジスタ25のコレクタに接続されている。従って、トランジスタ42のコレクタには電流I2(さらに言えばライト電流IWR)に比例した電流I3が流れる。
【0044】
トランジスタ42のコレクタは抵抗45を介して電源電圧Vccに接続される一方で、所定の定電流I4を生成する定電流源46を介してグランドに接続されている。また、トランジスタ42のコレクタは基準電圧設定回路14の出力端子に相当しており、バッファ47を介して比較器12、13の非反転入力端子(+)に接続されている。すなわち、基準電圧設定回路14によって生成される基準電圧Vrefの電圧値は、次の(1)式によって求めることができる。
【数1】
【0045】
なお、上式中において、Rは抵抗45の抵抗値を示しており、aはライト電流設定回路11及び基準電圧設定回路14の回路定数によって任意に調整可能な比例定数(I3=a・IWR)を示している。
【0046】
上記した(1)式から、基準電圧設定回路14で生成される基準電圧Vrefの電圧値は、ライト電流IWRの電流値、及び電源電圧Vccの電圧値に応じて変化することが分かる。また、(1)式中の比例定数a及び定電流I4を予め調整することにより、前述したように、基準電圧Vrefの電圧値を常にヘッド電圧HXが立ち下がる際の下側のピーク電圧Va、Vdより高く、上側のピーク電圧よりは低く、かつヘッド4の一端が電源電圧Vccに短絡した際に現れる短絡電圧Vbより低くなるように調整することができる。
【0047】
図5は基準電圧Vrefの調整方法の一例を示す図である。図中(a)で示すように、ライト電流設定回路11及び基準電圧設定回路14の回路定数を任意に設定して比例定数aを調整することにより、ライト電流IWRに対する基準電圧Vrefの変化率(傾き)を調整することができる。具体的に言えば、比例定数aを大きくするほど、基準電圧Vrefはライト電流IWRに対して急峻に変化するようになる。また、図中(b)で示すように、定電流I4の電流値を調整することにより、基準電圧Vrefの絶対値を調整することができる。具体的に言えば、定電流I4の電流値を大きくするほど、基準電圧Vrefの絶対値を低く抑えることができる。
【0048】
なお、上記した実施形態では、本発明をFDD装置に適用した例を挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘッド電圧と所定の基準電圧との比較結果に基づいてインダクティブヘッドの異常検出を行う磁気記録装置に広く適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
上記したように、本発明に係る磁気記録装置においては、磁気記録媒体への情報記録手段であるインダクティブヘッドと、該インダクティブヘッドに流すライト電流の大きさを制御する手段と、前記インダクティブヘッドの両端に現れるヘッド電圧と所定の基準電圧との比較結果に基づいて前記インダクティブヘッドの異常を検出する手段と、を有する磁気記録装置において、前記ライト電流の電流値に応じて前記基準電圧の電圧値を変化させる構成としている。
【0050】
このような構成とすることにより、ライト電流の電流値に依存することなく、常に正しくインダクティブヘッドの異常検出動作を行うことができる。また、上記構成から成る磁気記録装置であれば、ヘッドの異常を検出するために基準電圧を複数設ける必要がなくなるため、インダクティブヘッドの異常を検出するライトアンセーフ検出回路の回路規模を従来より縮小することも可能となる。
【0051】
また、上記構成から成る磁気記録装置において、前記基準電圧を発生する回路は、前記ライト電流に比例した電流を一端が電源電圧に接続された抵抗に流し、該抵抗の他端から前記基準電圧を取り出すことにより、前記ライト電流の電流値及び前記電源電圧の電圧値に応じて前記基準電圧の電圧値を変化させる構成としている。このような構成とすることにより、基準電圧の電圧値を回路定数や抵抗値等の変更によって容易に調整することが可能である。
【0052】
また、上記構成から成る磁気記録装置において、前記抵抗の他端には、前記ライト電流に比例した電流を流す第1電流源と、所定の定電流を流す第2電流源とをそれぞれ接続するとよい。このような構成であれば、第2電流源に流す定電流を予め調整することにより、基準電圧の絶対値を任意に調整することができる。
【0053】
なお、上記構成から成る磁気記録装置において、前記基準電圧の電圧値は、常に前記ヘッド電圧が立ち下がる際の下側のピーク電圧値より高く、上側のピーク電圧よりは低く、かつ前記インダクティブヘッドの一端が前記電源電圧に短絡した際に現れる短絡電圧の電圧値より低くなるように、前記ライト電流の電流値が増大するにつれて低下するように調整するとよい。
【0054】
このような構成とすることにより、ライト電流が所定値以上となった時点で短絡電圧が基準電圧を下回ったり、逆にライト電流が所定値以下となった時点でピーク電圧が前記基準電圧を上回ったりすることがない範囲を従来よりも大幅に拡大できるようになるので、ライト電流の電流値を広範囲に変化させても、正しくインダクティブヘッドの異常検出動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のFDD装置に搭載されるFDDコントロールLSIの要部構成を示すブロック図である。
【図2】ヘッド4の異常検出動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】本実施形態におけるヘッド電圧Va〜Vd及び基準電圧Vrefとライト電流IWRとの関係を示す図である。
【図4】ライト電流設定回路11及び基準電圧設定回路14の一構成例を示す回路図である。
【図5】基準電圧Vrefの調整方法の一例を示す図である。
【図6】従来の磁気記録装置の一構成例を示すブロック図である。
【図7】従来におけるヘッド電圧Va〜Vd及び第1、第2基準電圧Vref1、Vref2とライト電流IWRとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 FDDコントロールLSI
2 コントロール回路
3 信号処理回路
4 インダクティブヘッド
10 ライトドライバ
11 ライト電流設定回路
12、13 比較器
14 基準電圧設定回路
15 ライトアンセーフ検出回路(WUS回路)
Claims (2)
- 磁気記録媒体への情報記録手段であるインダクティブヘッドと、該インダクティブヘッドに流すライト電流の大きさを制御する手段と、前記インダクティブヘッドの両端に現れるヘッド電圧と所定の基準電圧との比較結果に基づいて前記インダクティブヘッドの異常を検出する手段と、を有する磁気記録装置において、
前記基準電圧を発生する回路は、前記ライト電流に比例した電流を一端が電源電圧に接続された抵抗に流し、該抵抗の他端から前記基準電圧を取り出すことにより、前記ライト電流の電流値及び前記電源電圧の電圧値に応じて前記基準電圧の電圧値を変化させるものであり、前記抵抗の他端には、前記ライト電流に比例した電流を流す第1電流源と、所定の定電流を流す第2電流源と、がそれぞれ接続されていることを特徴とする磁気記録装置。 - 前記基準電圧の電圧値は、常に前記ヘッド電圧が立ち下がる際のピーク電圧値より高く、かつ前記インダクティブヘッドの一端が前記電源電圧に短絡した際に現れる短絡電圧の電圧値より低いことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
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