JP3576696B2 - 電磁弁 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧制御を行うための電磁弁に関し、特にデューティ駆動されるデューティ弁に適した電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速装置等、自動車搭載装置の油圧制御を行うためにデューティ制御電磁弁が使用されている(「パワーデザイン」第27巻 第3号 第23頁〜第24頁、1989年発行)。かかる用途に使用される従来の電磁弁の一例を図4に示すと、図中、筒状ハウジング3内は上下2室に区画されており、下部室には底壁に供給ポート32が、側壁に出力ポート33が形成されている。側壁にリターンポート34を設けたハウジング3の上部室内にはプランジャ31が上下動自在に嵌装されており、プランジャ31先端のニードル弁31Aが、上下室を区画する隔壁に設けた連通穴35を貫通して下部室内に配したボール36に当接している。
【0003】
ハウジング3の上端には上端閉鎖の筒状ヨーク4が覆着されており、その内部に配設されるコイル41によって、上記プランジャ31が上下動されるようになしてある。上記プランジャ31はその上端部に設けた穴に保持されるバネ37にて下方に付勢されており、上記コイル41に通電しない図の状態で、プランジャ31先端のニードル弁31Aがボール36を押し下げて供給ポート32を閉鎖している。この時、出力ポート33とリターンポート34が連通している。
【0004】
上記コイル41に通電すると、上記プランジャ31がバネ37のバネ力に抗して上方に移動し、供給ポート32と出力ポート33が連通する。このように、コイル41への通電を制御することにより電磁力によってプランジャ31とヨーク4の間に引力、斥力を発生させてプランジャ31を上下動し、出力される油圧を所定値に制御している。
【0005】
ところで、上記従来の構成では、供給ポート32からの供給油圧が常にボール36にかかっており、これによりプランジャ31は常に上方向に押されている。このため、このプランジャ31にかかる力がさらに大きくなるような高圧化、大流量化ができないという問題があった。
【0006】
そこで、プランジャにかかる油圧力をキャンセルするようにバランスした電磁弁が提案されており、その構成を図5に示す。図中、筒状ハウジング5の側壁には、上方より、リターンポート54、出力ポート53、供給ポート52が形成されている。ハウジング5内に嵌装されるプランジャ51は、リターンポート54と供給ポート52に対向する部分を小径としてあり、これらの間の大径部が、出力ポート53に続くハウジング5内周壁に設けた溝55内を上下動することにより、出力ポート53とリターンポート54、または出力ポート53と供給ポート52を連通するようになしてある。
【0007】
ハウジング5の上端に覆着される筒状ヨーク6内には、上記プランジャ51を駆動する筒状のコイル61が配設されている。該コイル61に通電しない図の状態では、上記プランジャ51はその上端部の穴内に保持されるバネ56のバネ力で下方に付勢され、出力ポート53とリターンポート54が連通している。上記コイル61に通電すると、上記プランジャ51がスプリング56のバネ力に抗して上方に移動し、供給ポート52と出力ポート53が連通する。
【0008】
ここで、上記プランジャ51にかかる油圧力についてみてみる。供給ポート52からの供給圧はこれに対向する小径部に導入されるが、この時、小径部上方のプランジャ径と下方のプランジャ径はほぼ同径であるので、供給圧がプランジャ51を上方に押す力と下方に押す力がつりあう。すなわち、プランジャ51にかかる油圧力がキャンセルされ、高圧化、高流量化が可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記図5の構成では、摺動性をよくするために上記プランジャ51は先端部の径をハウジング5内径よりやや小さくしてハウジング5との間に間隙57を形成している。この時、間隙57から第2のリターンポート58へのリーク量を小さくするためには、プランジャ51とハウジング5の間隔を極力小さくするのがよいが、これを小さくすると油中の微小粒子やゴミの粒子等が上記間隙57につまりやすくなる。そこで、この間隔を大きくしOリング等でシールすることが考えられるが、応答性、耐久性が低下するという問題があった。
【0010】
しかして、本発明の目的は、プランジャにかかる油圧力をバランスさせて高圧化、大流量化を可能にするとともに、摺動部に微小粒子等がつまるのを防止し、応答性、耐久性に優れる電磁弁を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明請求項1の構成において、電磁弁は、少なくとも圧力源に連通する供給ポート、制御圧力を出力する出力ポートおよびリターンポートを備え、内部を流体流路とする筒状ハウジングと、該筒状ハウジング内に配設されて上記供給ポートと出力ポートを連通し、あるいは上記出力ポートとリターンポートを連通するように流路の切替えを行うプランジャと、該プランジャを駆動するソレノイド部とを具備している。そして、上記プランジャの、上記供給ポートからの供給圧を受ける面と反対側の端面にバネ部材を介して対向するバランスピストンを設け、このバランスピストンに上記圧力源からの供給圧を導入する手段を設けたものである。
【0012】
上記構成において、上記プランジャには一方の端面に上記供給ポートからの供給圧による力が、これと反対側の端面には、上記バランスピストンに加わる供給圧による力が上記バネ部材を介してかかっている。すなわち、バランスピストンにより上記プランジャにかかる供給圧が打ち消され、バランスしているので、高圧化、大流量化が可能となる。
【0013】
上記バランスピストンを、その外周に摺動抵抗の小さい材料よりなるリング部材を配した構成としてもよい(請求項2)。また、上記供給圧導入手段は、具体的には、上記バランスピストンの上記バネ部材との当接面と反対側の端面に対向する上記ハウジング壁にオリフィスを設けてなり、該オリフィスを介して上記圧力源からの供給圧を上記端面に導入するようになしてある(請求項3)。
【0014】
このように、リング部材を配することで上記ハウジングとの間を確実にシールし、ハウジングとの間隔を微小粒子がつまらない程度に大きくすることができる。この時、オリフィスを介して供給圧を導入することで、オリフィスのダンパ効果により上記バランスピストンが微小な上下動となり耐久性をより向上させる。また、上記プランジャに伝達される力は、供給圧による力からバランスピストンの摺動抵抗力を引いた値となるが、摺動抵抗の小さいリング部材を用いることで、摺動抵抗をごく小さくすることができ、上記プランジャへの力の伝達にはほとんど影響しない。
【0015】
さらに、上記バランスピストン周りにおいてハウジングとの間をシールしているので、プランジャとハウジングとの間隔を微小粒子がつまらない程度に大きくすることができ、Oリング等を使用する必要もないので、応答性、耐久性に優れる。
【0016】
上記ソレノイド部は、具体的には、ヨークとこれに巻回されるコイルとからなり、上記コイルに外部より一定周波数のパルス列を入力して上記プランジャをデューティー駆動するようになしている(請求項4)。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1は本発明を電気等の入力信号によって油圧制御を行う電磁弁、特にデューティ駆動されるデューティ弁に適用した例を示す。デューティ弁は流路切替部1とこれを制御するソレノイド部2とで構成されている。
【0018】
上記流路切替部1は、略円筒状の磁性体よりなる外側ハウジング11と内側ハウジング12を有する。上記外側ハウジング11は、上半部内径を下半部内径よりやや大きく形成してあって、この上半部内に内径を下半部内径と同じくした内側ハウジング12を圧入固定している。上記外側ハウジング11の周壁には、上方より油圧源に接続する供給ポート11A、制御油圧を出力する出力ポート11B、およびリターンポート11Cがそれぞれ形成され、一方、上記供給ポート11A、出力ポート11Bに対向する上記内側ハウジング12周壁にはそれぞれ連通穴12A、12Bが形成してあって、ハウジング内空間と各ポートとが連通するようになしてある。
【0019】
上記内側ハウジング12内には略円柱状の磁性体よりなるプランジャ13が上下動自在に配設されており、該プランジャ13は、先端の大径部13Aと基端の小径部13Bとを有している。上記小径部13Bは、図2に示すように内側ハウジング12内径よりやや小径として、その外周の3箇所に軸方向に延びる凸状部13Eを設けている。これら凸状部13Eにより上記内側ハウジング12内に確実に支持され、かつ、ハウジング12との間隔を大きくして油中の微小粒子等の蓄積を抑制できる。また、ハウジング12との摺動面積が小さくなり、摺動性が向上する。
【0020】
上記プランジャ13は、上記供給ポート11Aおよび連通穴12Aに対向する、大径部13A直上の外周全周に一定幅の溝13Cを有している。また、上記内側ハウジング12は先端部の内周全周に一定幅の溝12Dを有して、ここに上記出力ポート11Bに続く連通穴12Bを開口させる一方、上記プランジャ13の先端大径部13Aがこの溝12D内に位置するようになしてある。
【0021】
上記ソレノイド部2は、上端閉鎖の略円筒状の磁性体よりなるヨーク21と、その内部に配設される筒状のコイル22とからなる。上記ヨーク21は下端開口縁を上記外側ハウジング11の上端外周に突設したフランジにかしめ固定しており、このヨーク21、外側ハウジング11、内側ハウジング12、プランジャ13とで磁気回路を構成している。ヨーク21とハウジング内空間の間はOリング23にてシールされている。
【0022】
上記プランジャ13は、上記コイル22に通電してヨーク21とプランジャ13とでつくられるギャップGに引力、斥力を発生させることにより、上下動するように構成されている。すなわち、プランジャ13は、上端部に設けた穴13D内に配設されるバネ16にて下方に付勢され、上記コイル22に通電しない図の状態では、大径部13Aの下端エッジ部13Gが外側ハウジング11内周のテーパ部11Dに当接している。この時、供給ポート11Aと出力ポート11Bが連通する。上記コイル22に通電すると、プランジャ13がバネ力に抗して上方に移動して、大径部13Aの上端エッジ部13Fが内側ハウジング12内周のテーパ部12Cに当接し、出力ポート11Bとリターンポート11Cとが連通する。
【0023】
上記プランジャ13下方の外側ハウジング11内には、円筒状のバランスピストン14が配設してある。該バランスピストン14は上記プランジャ13との間に配設されるバネ15により下方に付勢されて外側ハウジング11下端に嵌着したエンドプレート17に当接しており、バネ15が圧縮する分だけ上下動が可能である。また、バランスピストン14とハウジングの間は、ピストン14の中間部外周に配したリング部材たる低摩擦パッキン14Aによってシールされている。該低摩擦パッキン14Aは、Oリングと、その外周に配設される、例えば四ふっ化エチレン樹脂等の摺動抵抗の小さい材料よりなるウェアリングとで構成される。
【0024】
また、上記エンドプレート17は中心に供給圧導入手段となるオリフィス17Aを有し、該オリフィス17Aを介して上記バランスピストン14下端面に油圧源からの供給圧を導入するように構成されている。
【0025】
以下、上記構成のデューティ弁の作動について説明する。
油圧のかかった初期状態において、上記プランジャ13には、上端面に供給圧が下方に押す力:F1とバネ16が下方に押す力:Fkがかかっており、下端面にはオリフィス17Aを通った供給圧がバランスピストン14を押す力:F2がばね部材15を介してかかっている。ここで、上記プランジャ13の大径部13Aとバランスピストン14はほぼ同径としてあるため、F1=F2であり、よってプランジャ13は見かけ上、Fkの力のみで下方に押されている。すなわち、プランジャ13は油圧バランスしており、この時、供給ポート11Aと出力ポート11Bが連通している。
【0026】
上記コイル22に通電することによりヨーク21とプランジャ13とのギャップGに吸引力が働き、その力がFk以上になると、プランジャ13は大径部13Aの上端エッジ部13Fと内側ハウジング12のテーパ部12Cが接触する位置まで上方に移動し、出力ポート11Bとリターンポート11Cが連通する。
【0027】
ここで、デューティ弁は一定周波数のパルス列(駆動信号のON−OFF)で駆動されるが、バルブの平均的な開口面積は図3に示すデューティ比(ON時間T1/駆動周期Tc)に比例する。すなわち、出力ポート11Bと供給ポート11Aを連通する開口部18の面積、および出力ポート11Bとリターンポート11Cを連通する開口部19の面積がデューティ比に応じて決定され、これにより出力油圧が決まる。
【0028】
この時、上記プランジャ13にはOリング等のシール材を使用しておらず、また、下方のバランスピストン14からはバネ15を介して力のみが伝達されるので、バランスピストン14に関係なく高応答でデューティ駆動される。しかも微小粒子が蓄積するような微小間隙が弁径全周に渡って形成されていないので、微小粒子がつまって応答性を低下させるおそれがない。
【0029】
上記バランスピストン14は外周に低摩擦パッキン14Aを有するが、オリフィス17Aのダンパ効果によりプランジャ13に対し上下動量が十分小さくなるので、耐久性に優れる。すなわち、バランスピストン14はプランジャ13に追従して上下動せず、力のみをばね部材を介してプランジャ13に伝達するので低摩擦パッキン14Aの劣化を抑制できる。なお、伝達する力は供給圧による力F2からバランスピストン14の摺動抵抗力を引いた値であるが、低摩擦パッキン14Aを使用することにより摺動抵抗をコイルの吸引力に対し微小なものとすることができ、その影響をごく小さくできる。また、低摩擦パッキン14Aを設けたことにより、ハウジングとの間隔を比較的大きくできるので微小粒子の蓄積を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施の形態を示す電磁弁の全体断面図である。
【図2】図2は図1のII−II線断面図である。
【図3】図3は本発明の一実施の形態におけるデューティ比制御方法を示す図である。
【図4】図4は従来の電磁弁の全体断面図である。
【図5】図5は従来の電磁弁の全体断面図である。
【符号の説明】
1 流路切替部
11 外側ハウジング
11A 供給ポート
11B 出力ポート
11C リターンポート
11D テーパ部
12 内側ハウジング
12A、12B 連通穴
12C テーパ部
12D 溝
13 プランジャ
13A 大径部
13B 小径部
13C 溝
14 バランスピストン
14A 低摩擦パッキン(リング部材)
15 バネ(バネ部材)
16 バネ
17 エンドプレート
17A オリフィス(供給圧導入手段)
2 ソレノイド部
21 ヨーク
22 コイル
G ギャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧制御を行うための電磁弁に関し、特にデューティ駆動されるデューティ弁に適した電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速装置等、自動車搭載装置の油圧制御を行うためにデューティ制御電磁弁が使用されている(「パワーデザイン」第27巻 第3号 第23頁〜第24頁、1989年発行)。かかる用途に使用される従来の電磁弁の一例を図4に示すと、図中、筒状ハウジング3内は上下2室に区画されており、下部室には底壁に供給ポート32が、側壁に出力ポート33が形成されている。側壁にリターンポート34を設けたハウジング3の上部室内にはプランジャ31が上下動自在に嵌装されており、プランジャ31先端のニードル弁31Aが、上下室を区画する隔壁に設けた連通穴35を貫通して下部室内に配したボール36に当接している。
【0003】
ハウジング3の上端には上端閉鎖の筒状ヨーク4が覆着されており、その内部に配設されるコイル41によって、上記プランジャ31が上下動されるようになしてある。上記プランジャ31はその上端部に設けた穴に保持されるバネ37にて下方に付勢されており、上記コイル41に通電しない図の状態で、プランジャ31先端のニードル弁31Aがボール36を押し下げて供給ポート32を閉鎖している。この時、出力ポート33とリターンポート34が連通している。
【0004】
上記コイル41に通電すると、上記プランジャ31がバネ37のバネ力に抗して上方に移動し、供給ポート32と出力ポート33が連通する。このように、コイル41への通電を制御することにより電磁力によってプランジャ31とヨーク4の間に引力、斥力を発生させてプランジャ31を上下動し、出力される油圧を所定値に制御している。
【0005】
ところで、上記従来の構成では、供給ポート32からの供給油圧が常にボール36にかかっており、これによりプランジャ31は常に上方向に押されている。このため、このプランジャ31にかかる力がさらに大きくなるような高圧化、大流量化ができないという問題があった。
【0006】
そこで、プランジャにかかる油圧力をキャンセルするようにバランスした電磁弁が提案されており、その構成を図5に示す。図中、筒状ハウジング5の側壁には、上方より、リターンポート54、出力ポート53、供給ポート52が形成されている。ハウジング5内に嵌装されるプランジャ51は、リターンポート54と供給ポート52に対向する部分を小径としてあり、これらの間の大径部が、出力ポート53に続くハウジング5内周壁に設けた溝55内を上下動することにより、出力ポート53とリターンポート54、または出力ポート53と供給ポート52を連通するようになしてある。
【0007】
ハウジング5の上端に覆着される筒状ヨーク6内には、上記プランジャ51を駆動する筒状のコイル61が配設されている。該コイル61に通電しない図の状態では、上記プランジャ51はその上端部の穴内に保持されるバネ56のバネ力で下方に付勢され、出力ポート53とリターンポート54が連通している。上記コイル61に通電すると、上記プランジャ51がスプリング56のバネ力に抗して上方に移動し、供給ポート52と出力ポート53が連通する。
【0008】
ここで、上記プランジャ51にかかる油圧力についてみてみる。供給ポート52からの供給圧はこれに対向する小径部に導入されるが、この時、小径部上方のプランジャ径と下方のプランジャ径はほぼ同径であるので、供給圧がプランジャ51を上方に押す力と下方に押す力がつりあう。すなわち、プランジャ51にかかる油圧力がキャンセルされ、高圧化、高流量化が可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記図5の構成では、摺動性をよくするために上記プランジャ51は先端部の径をハウジング5内径よりやや小さくしてハウジング5との間に間隙57を形成している。この時、間隙57から第2のリターンポート58へのリーク量を小さくするためには、プランジャ51とハウジング5の間隔を極力小さくするのがよいが、これを小さくすると油中の微小粒子やゴミの粒子等が上記間隙57につまりやすくなる。そこで、この間隔を大きくしOリング等でシールすることが考えられるが、応答性、耐久性が低下するという問題があった。
【0010】
しかして、本発明の目的は、プランジャにかかる油圧力をバランスさせて高圧化、大流量化を可能にするとともに、摺動部に微小粒子等がつまるのを防止し、応答性、耐久性に優れる電磁弁を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明請求項1の構成において、電磁弁は、少なくとも圧力源に連通する供給ポート、制御圧力を出力する出力ポートおよびリターンポートを備え、内部を流体流路とする筒状ハウジングと、該筒状ハウジング内に配設されて上記供給ポートと出力ポートを連通し、あるいは上記出力ポートとリターンポートを連通するように流路の切替えを行うプランジャと、該プランジャを駆動するソレノイド部とを具備している。そして、上記プランジャの、上記供給ポートからの供給圧を受ける面と反対側の端面にバネ部材を介して対向するバランスピストンを設け、このバランスピストンに上記圧力源からの供給圧を導入する手段を設けたものである。
【0012】
上記構成において、上記プランジャには一方の端面に上記供給ポートからの供給圧による力が、これと反対側の端面には、上記バランスピストンに加わる供給圧による力が上記バネ部材を介してかかっている。すなわち、バランスピストンにより上記プランジャにかかる供給圧が打ち消され、バランスしているので、高圧化、大流量化が可能となる。
【0013】
上記バランスピストンを、その外周に摺動抵抗の小さい材料よりなるリング部材を配した構成としてもよい(請求項2)。また、上記供給圧導入手段は、具体的には、上記バランスピストンの上記バネ部材との当接面と反対側の端面に対向する上記ハウジング壁にオリフィスを設けてなり、該オリフィスを介して上記圧力源からの供給圧を上記端面に導入するようになしてある(請求項3)。
【0014】
このように、リング部材を配することで上記ハウジングとの間を確実にシールし、ハウジングとの間隔を微小粒子がつまらない程度に大きくすることができる。この時、オリフィスを介して供給圧を導入することで、オリフィスのダンパ効果により上記バランスピストンが微小な上下動となり耐久性をより向上させる。また、上記プランジャに伝達される力は、供給圧による力からバランスピストンの摺動抵抗力を引いた値となるが、摺動抵抗の小さいリング部材を用いることで、摺動抵抗をごく小さくすることができ、上記プランジャへの力の伝達にはほとんど影響しない。
【0015】
さらに、上記バランスピストン周りにおいてハウジングとの間をシールしているので、プランジャとハウジングとの間隔を微小粒子がつまらない程度に大きくすることができ、Oリング等を使用する必要もないので、応答性、耐久性に優れる。
【0016】
上記ソレノイド部は、具体的には、ヨークとこれに巻回されるコイルとからなり、上記コイルに外部より一定周波数のパルス列を入力して上記プランジャをデューティー駆動するようになしている(請求項4)。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1は本発明を電気等の入力信号によって油圧制御を行う電磁弁、特にデューティ駆動されるデューティ弁に適用した例を示す。デューティ弁は流路切替部1とこれを制御するソレノイド部2とで構成されている。
【0018】
上記流路切替部1は、略円筒状の磁性体よりなる外側ハウジング11と内側ハウジング12を有する。上記外側ハウジング11は、上半部内径を下半部内径よりやや大きく形成してあって、この上半部内に内径を下半部内径と同じくした内側ハウジング12を圧入固定している。上記外側ハウジング11の周壁には、上方より油圧源に接続する供給ポート11A、制御油圧を出力する出力ポート11B、およびリターンポート11Cがそれぞれ形成され、一方、上記供給ポート11A、出力ポート11Bに対向する上記内側ハウジング12周壁にはそれぞれ連通穴12A、12Bが形成してあって、ハウジング内空間と各ポートとが連通するようになしてある。
【0019】
上記内側ハウジング12内には略円柱状の磁性体よりなるプランジャ13が上下動自在に配設されており、該プランジャ13は、先端の大径部13Aと基端の小径部13Bとを有している。上記小径部13Bは、図2に示すように内側ハウジング12内径よりやや小径として、その外周の3箇所に軸方向に延びる凸状部13Eを設けている。これら凸状部13Eにより上記内側ハウジング12内に確実に支持され、かつ、ハウジング12との間隔を大きくして油中の微小粒子等の蓄積を抑制できる。また、ハウジング12との摺動面積が小さくなり、摺動性が向上する。
【0020】
上記プランジャ13は、上記供給ポート11Aおよび連通穴12Aに対向する、大径部13A直上の外周全周に一定幅の溝13Cを有している。また、上記内側ハウジング12は先端部の内周全周に一定幅の溝12Dを有して、ここに上記出力ポート11Bに続く連通穴12Bを開口させる一方、上記プランジャ13の先端大径部13Aがこの溝12D内に位置するようになしてある。
【0021】
上記ソレノイド部2は、上端閉鎖の略円筒状の磁性体よりなるヨーク21と、その内部に配設される筒状のコイル22とからなる。上記ヨーク21は下端開口縁を上記外側ハウジング11の上端外周に突設したフランジにかしめ固定しており、このヨーク21、外側ハウジング11、内側ハウジング12、プランジャ13とで磁気回路を構成している。ヨーク21とハウジング内空間の間はOリング23にてシールされている。
【0022】
上記プランジャ13は、上記コイル22に通電してヨーク21とプランジャ13とでつくられるギャップGに引力、斥力を発生させることにより、上下動するように構成されている。すなわち、プランジャ13は、上端部に設けた穴13D内に配設されるバネ16にて下方に付勢され、上記コイル22に通電しない図の状態では、大径部13Aの下端エッジ部13Gが外側ハウジング11内周のテーパ部11Dに当接している。この時、供給ポート11Aと出力ポート11Bが連通する。上記コイル22に通電すると、プランジャ13がバネ力に抗して上方に移動して、大径部13Aの上端エッジ部13Fが内側ハウジング12内周のテーパ部12Cに当接し、出力ポート11Bとリターンポート11Cとが連通する。
【0023】
上記プランジャ13下方の外側ハウジング11内には、円筒状のバランスピストン14が配設してある。該バランスピストン14は上記プランジャ13との間に配設されるバネ15により下方に付勢されて外側ハウジング11下端に嵌着したエンドプレート17に当接しており、バネ15が圧縮する分だけ上下動が可能である。また、バランスピストン14とハウジングの間は、ピストン14の中間部外周に配したリング部材たる低摩擦パッキン14Aによってシールされている。該低摩擦パッキン14Aは、Oリングと、その外周に配設される、例えば四ふっ化エチレン樹脂等の摺動抵抗の小さい材料よりなるウェアリングとで構成される。
【0024】
また、上記エンドプレート17は中心に供給圧導入手段となるオリフィス17Aを有し、該オリフィス17Aを介して上記バランスピストン14下端面に油圧源からの供給圧を導入するように構成されている。
【0025】
以下、上記構成のデューティ弁の作動について説明する。
油圧のかかった初期状態において、上記プランジャ13には、上端面に供給圧が下方に押す力:F1とバネ16が下方に押す力:Fkがかかっており、下端面にはオリフィス17Aを通った供給圧がバランスピストン14を押す力:F2がばね部材15を介してかかっている。ここで、上記プランジャ13の大径部13Aとバランスピストン14はほぼ同径としてあるため、F1=F2であり、よってプランジャ13は見かけ上、Fkの力のみで下方に押されている。すなわち、プランジャ13は油圧バランスしており、この時、供給ポート11Aと出力ポート11Bが連通している。
【0026】
上記コイル22に通電することによりヨーク21とプランジャ13とのギャップGに吸引力が働き、その力がFk以上になると、プランジャ13は大径部13Aの上端エッジ部13Fと内側ハウジング12のテーパ部12Cが接触する位置まで上方に移動し、出力ポート11Bとリターンポート11Cが連通する。
【0027】
ここで、デューティ弁は一定周波数のパルス列(駆動信号のON−OFF)で駆動されるが、バルブの平均的な開口面積は図3に示すデューティ比(ON時間T1/駆動周期Tc)に比例する。すなわち、出力ポート11Bと供給ポート11Aを連通する開口部18の面積、および出力ポート11Bとリターンポート11Cを連通する開口部19の面積がデューティ比に応じて決定され、これにより出力油圧が決まる。
【0028】
この時、上記プランジャ13にはOリング等のシール材を使用しておらず、また、下方のバランスピストン14からはバネ15を介して力のみが伝達されるので、バランスピストン14に関係なく高応答でデューティ駆動される。しかも微小粒子が蓄積するような微小間隙が弁径全周に渡って形成されていないので、微小粒子がつまって応答性を低下させるおそれがない。
【0029】
上記バランスピストン14は外周に低摩擦パッキン14Aを有するが、オリフィス17Aのダンパ効果によりプランジャ13に対し上下動量が十分小さくなるので、耐久性に優れる。すなわち、バランスピストン14はプランジャ13に追従して上下動せず、力のみをばね部材を介してプランジャ13に伝達するので低摩擦パッキン14Aの劣化を抑制できる。なお、伝達する力は供給圧による力F2からバランスピストン14の摺動抵抗力を引いた値であるが、低摩擦パッキン14Aを使用することにより摺動抵抗をコイルの吸引力に対し微小なものとすることができ、その影響をごく小さくできる。また、低摩擦パッキン14Aを設けたことにより、ハウジングとの間隔を比較的大きくできるので微小粒子の蓄積を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施の形態を示す電磁弁の全体断面図である。
【図2】図2は図1のII−II線断面図である。
【図3】図3は本発明の一実施の形態におけるデューティ比制御方法を示す図である。
【図4】図4は従来の電磁弁の全体断面図である。
【図5】図5は従来の電磁弁の全体断面図である。
【符号の説明】
1 流路切替部
11 外側ハウジング
11A 供給ポート
11B 出力ポート
11C リターンポート
11D テーパ部
12 内側ハウジング
12A、12B 連通穴
12C テーパ部
12D 溝
13 プランジャ
13A 大径部
13B 小径部
13C 溝
14 バランスピストン
14A 低摩擦パッキン(リング部材)
15 バネ(バネ部材)
16 バネ
17 エンドプレート
17A オリフィス(供給圧導入手段)
2 ソレノイド部
21 ヨーク
22 コイル
G ギャップ
Claims (4)
- 少なくとも圧力源に連通する供給ポート、制御圧力を出力する出力ポートおよびリターンポートを備え、内部を流体流路とする筒状ハウジングと、該筒状ハウジング内に配設されて上記供給ポートと出力ポートを連通し、あるいは上記出力ポートとリターンポートを連通するように流路の切替えを行うプランジャと、該プランジャを駆動するソレノイド部とを具備する電磁弁において、上記プランジャの、上記供給ポートからの供給圧を受ける面と反対側の端面にバネ部材を介して対向するバランスピストンを設け、このバランスピストンに上記圧力源からの供給圧を導入する手段を設けて、上記バランスピストンに加わる力を上記バネ部材を介して上記プランジャに伝達し、上記プランジャに加わる上記供給ポートからの供給圧を打ち消すようになしたことを特徴とする電磁弁。
- 上記バランスピストンの上記バネ部材との当接面と反対側の端面に対向する上記ハウジング壁にオリフィスを設けて上記供給圧導入手段となし、該オリフィスを介して上記圧力源からの供給圧を上記端面に導入するようになした請求項1記載の電磁弁。
- 上記バランスピストンの外周に摺動抵抗の小さい材料よりなるリング部材を配して上記ハウジングとの間をシールした請求項1ないし2記載の電磁弁。
- 上記ソレノイド部が少なくともヨークとこれに巻回されるコイルを備え、上記コイルに外部より一定周波数のパルス列を入力して上記プランジャをデューティー駆動するようになした請求項1または3記載の電磁弁。
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