JP3575084B2 - 殺菌消毒剤配合組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、ヨウ素を含有するヨウ素系殺菌消毒剤を配合した殺菌消毒剤配合組成物に関し、詳しくは、強い殺菌力を有し、かつ皮膚や粘膜に対する刺激の低い殺菌消毒剤配合組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より手指、皮膚、粘膜等の殺菌消毒剤としてヨードチンキ、ポピドンヨード等のヨウ素系殺菌消毒剤がよく使用されている。しかしながら、このヨウ素系殺菌消毒剤は、殺菌力は強いものの皮膚や粘膜に対して刺激が強く手荒れを起こしやすい、他の殺菌消毒剤や手荒れ防止のための保湿剤等と併用すると殺菌力が低下してしまうといった問題点があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ヨウ素系殺菌消毒剤の殺菌力を低下することなく、皮膚や粘膜に対する刺激の低い殺菌消毒剤配合組成物を提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヨウ素系殺菌消毒剤にＮα−長鎖アシルアルギニンエステルまたはその塩を添加することで、殺菌力を低下させることなく、むしろ増強させ、かつ皮膚や粘膜に対する刺激を抑制させることができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【０００５】
すなわち本発明は、ヨウ素系殺菌消毒剤および下記一般式（Ｉ）で表されるＮα−長鎖アシルアルギニンエステルまたはその塩を配合することを特徴とする殺菌消毒剤配合組成物に関するものである。
【０００６】
【化２】

（式中、Ｒ^１ ＣＯ−は、炭素原子数８〜２２の飽和または不飽和の脂肪酸アシル基を、Ｒ^２ は、炭素原子数１〜８の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。）
【０００７】
本発明に用いられるヨウ素系殺菌消毒剤としては、殺菌成分としてヨウ素を含有するものでヨードチンキ、ポピドンヨード、ポロクサマーヨードなどがあげられる。
【０００８】
また、上記一般式（Ｉ）で表されるＮα−長鎖アシルアルギニンエステルまたはその塩のアシル基としては、炭素原子数８〜２２の飽和もしくは不飽和の天然または合成脂肪酸から誘導されるアシル基であり、例えばラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等の単一脂肪酸残基のほか、ヤシ油脂肪酸アシル、牛脂脂肪酸アシル等の天然の混合脂肪酸アシル基であってもよい。エステルとしては、炭素原子数１〜８の直鎖または分岐鎖のアルキルエステルであり、例えばメチル、エチル、プルピル、イソプロピル、イソブチル、ｔｅｒｔ− ブチル、２−エチルヘキシル等のエステルがあげられる。
【０００９】
また、塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の無機塩、酢酸塩、クエン酸塩、ｐ−トルエンスルホン酸塩、脂肪酸塩、酸性アミノ酸塩、Ｌ−またはＤＬ−ピロリドンカルボン酸塩等の有機酸が用いられ、その中でも塩酸塩、Ｌ−またはＤＬ−ピロリドンカルボン酸塩が好ましい。
【００１０】
このようなＮα−長鎖アシルアルギニンエステルは公知の方法、例えば脂肪酸クロライドをアルギニンのアルカリ溶液に加えることによりＮα−長鎖アシルアルギニンとした後、アルコールと酸触媒存在下に脱水エステル化を行うことにより容易に製造することができる。
【００１１】
Ｎα−長鎖アシルアルギニンエステルまたはその塩は、リンス剤、柔軟剤、防錆剤、帯電防止剤、防腐剤等としての用途（例えば、特公昭５１−５４１３号公報）、界面活性剤系殺菌消毒剤に添加して効力を増強する方法が（特開昭５７−１６５３０３号公報）が知られているが、ヨウ素系殺菌消毒剤と組み合わせて使用された例はなく、グリセリン、プロピレングリコール、１，３−ブチレングリコール、ソルビトール等のポリオール、ヒアルロン酸、たんぱく質分解物などの他の保湿剤とは異なり、殺菌力を低下させることなく、皮膚または粘膜への刺激を低減させ手荒れ等を防止することができるものである。
【００１２】
ヨウ素系殺菌消毒剤とＮα−長鎖アシルアルギニンエステルまたはその塩の配合比は、ヨウ素系殺菌消毒剤１重量部に対して、０．０１〜２０重量部、好ましくは０．１〜１０重量部である。
【００１３】
本発明の殺菌消毒剤配合組成物は、液状、クリーム状、練り状、固形状等の形態をとることが可能である。また、上記必須成分以外に製剤学的に常用の薬剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【００１４】
【発明の効果】
本発明によれば、強い殺菌力を有し、かつ皮膚や粘膜に対する刺激の低い殺菌消毒剤配合組成物を提供することができる。
【００１５】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【００１６】
試験例１
表１に示す組成の殺菌消毒剤配合組成物を調製し、その殺菌消毒作用を試験した。試験方法は、日本化学療法学会改訂法（寒天平板希釈法）に準じて行い、コロニー数で評価した。試験には、Ｍｅｔｈｉｃｉｌｌｉｎ−ｒｅｓｉｓｔａｎｔ Ｓｔａｐｈｙｌｏｃｏｃｃｕｓ ａｕｒｅｕｓ （ＭＲＳＡ Ｍ−１）およびＰｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ａｅｒｕｇｉｎｏｓａ （ＰＡＯ−１）を用いた。Ｎα−長鎖アシルアルギニンエステル塩としては、Ｎα−椰子油脂肪酸−Ｌ−アルギニンエチルエステル・ＤＬ−ピロリドンカルボン酸塩（以下、ＣＡＥと略す。）を用い、加水分解コラーゲンと比較した。
【００１７】
【表１】

【００１８】
本発明の殺菌消毒剤配合組成物は、加水分解コラーゲンを配合したものと比較してポピドンヨードの殺菌力を低下させず、むしろ増強されたものとなっている。
【００１９】
試験例２
表２に示す組成の殺菌消毒剤組成物を調製し、実使用における使用感及び一週間連続使用における手指の状態について評価した。評価は、下記の基準により行い平均値を求め、０〜１を×、１．１〜２を△、２．１〜３を○で表した。
【００２０】
ａ）使用感：非常によい（３）、よい（２）、あまりよくない（１）、悪い（０）
ｂ）手指の状態：非常に良好（３）、良好（２）、やや悪い（１）、悪い（０）
【００２１】
【表２】

【００２２】
表２に示す結果より、本発明の殺菌消毒剤配合組成物は、使用感及び手荒れの防止においても有効であることが明らかである。

Claims (2)

1. ヨウ素系殺菌消毒剤および下記一般式（Ｉ）で表されるＮα−長鎖アシルアルギニンエステルまたはその塩を配合することを特徴とする殺菌消毒剤配合組成物。
   

   

   （式中、Ｒ^１ ＣＯ−は、炭素原子数８〜２２の飽和または不飽和の脂肪酸アシル基を、Ｒ^２ は、炭素原子数１〜８の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。）
2. 配合比が、ヨウ素系殺菌消毒剤１重量部に対して、上記一般式（Ｉ）で表されるＮα−長鎖アシルアルギニンエステルまたはその塩が０．０１〜２０重量部である請求項１記載の殺菌消毒剤配合組成物。