JP3575034B2 - ホスフィノプロピオネート化合物、その製法および用途 - Google Patents

ホスフィノプロピオネート化合物、その製法および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なホスフィノプロピオネート化合物、その製法およびそれの有機材料用安定剤としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然または合成ゴム、鉱油、潤滑油、接着剤、塗料などの有機材料は、製造時、加工時、さらには使用時に、熱、光、酸素などの作用により劣化し、分子切断や分子架橋、さらには軟化、脆化、変色などの現象を伴って、商品価値が著しく損なわれることが知られている。このような熱劣化、光酸化劣化および熱酸化劣化といった問題を解決する目的で、従来から各種のリン系酸化防止剤、ヒンダードピペリジン系光酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などを添加することにより、有機材料を安定化することが行われている。
【0003】
そして、従来は一般に、熱劣化および光酸化劣化の両方に対して安定化効果を発現させるためには、リン系酸化防止剤およびヒンダードピペリジン系光酸化防止剤を併用することが行われている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、有機材料の熱劣化および光酸化劣化の両方に対して、高い安定化効果を同時に発現する化合物を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、かかる化合物の製法を提供することである。
【0006】
さらに本発明の別の目的は、かかる化合物を用いて、有機材料を安定化することである。
【0007】
本発明者らは、有機材料の熱劣化および光酸化劣化に対し、従来公知の安定剤にはない複数の安定化効果を示す化合物を開発すべく、研究を続けてきた。その結果、特定構造のホスフィノプロピオネート化合物を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、次式(I)で示されるホスフィノプロピオネート化合物を提供するものである。
【0009】
【化3】
Figure 0003575034
【0010】
式中、R は水素、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から10のアルコキシ、炭素数3から10のシクロアルキルオキシ、炭素数7から18のアリールアルコキシまたは水酸基を表し、R は水素またはメチルを表し、Arは炭素数6から18のアリールまたは炭素数7から18のアルキルアリールを表し、nは1から3の整数を表す。
【0011】
また本発明は、次式(II)
【0012】
P−(Ar)3−n (II)
【0013】
(式中、Arおよびnは前記の意味を有する)
【0014】
で示されるホスフィン化合物と、次式(III)
【0015】
【化4】
Figure 0003575034
【0016】
(式中、R およびR は前記の意味を有する)
【0017】
で示されるピペリジン化合物とを反応させることにより、前記式(I)で示されるホスフィノプロピオネート化合物を製造する方法を提供するものである。
【0018】
式(I)で示されるホスフィノプロピオネート化合物は、有機材料、特に熱や光の作用によって劣化しやすい有機材料の安定剤として有用である。したがって本発明はさらに、このホスフィノプロピオネート化合物を有効成分とする有機材料用安定剤を提供し、また有機材料にこのホスフィノプロピオネート化合物を安定化有効量配合することにより、その有機材料を安定化する方法を提供し、さらには、有機材料にこのホスフィノプロピオネート化合物を含有させてなる有機材料組成物を提供するものである。
【0019】
式(I)において、R は水素、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から10のアルコキシ、炭素数3から10のシクロアルキルオキシ、 炭素数7から18のアリールアルコキシまたは水酸基である。アルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシルなどが挙げられ、炭素数3以上の場合は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。アルコキシの具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシなどが挙げられ、炭素数3以上の場合はやはり、直鎖状であっても分枝状であってもよい。シクロアルキルオキシの具体例としては、シクロヘキシルオキシなどが挙げられ、またアリールアルコキシの具体例としては、ベンジルオキシ、フェネチルオキシなどが挙げられる。なかでも好ましいR は、水素、炭素数1から3のアルキル、炭素数6から10のアルコキシおよびシクロヘキシルオキシであり、特に水素、メチル、オクチルオキシなどがより好ましい。
【0020】
式(I)におけるArは、炭素数6から18のアリールまたは炭素数7〜18のアルキルアリールであり、好ましい例として、フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−メチルフェニルなどが挙げられる。Arは、特にフェニルである場合が好ましい。また、式(I)におけるnは1から3の整数であり、特にn=1である化合物が好ましい。
【0021】
式(I)で示されるホスフィノプロピオネート化合物は、前述のように式(II)で示されるホスフィン化合物と式(III) で示されるピペリジン化合物の付加反応により製造することができる。
【0022】
ここで用いる式(II)のホスフィン化合物の例としては、 ホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、2,4−ジアルキルフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジアルキルフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。とりわけ、ジフェニルホスフィンおよびビス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィンが好ましく用いられる。
【0023】
また、式(III) のピペリジン化合物の例としては、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル メタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジル アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジル メタクリレートなどが挙げられる。なかでも、入手が容易なことから、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレートおよび1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル メタクリレートが好ましく用いられる。
【0024】
式(II) のホスフィン化合物と式(III) のピペリジン化合物との反応にあたって、式(I)におけるnが1である化合物を製造する場合は、式(II) のホスフィン化合物1モルあたり、式(III) のピペリジン化合物を1から1.2モル程度用いるのが好ましく、より好ましくはピペリジン化合物を1から1.05モル程度用いる。式(I)におけるnが2である化合物を製造する場合は、式(II) のホスフィン化合物1モルあたり、式(III) のピペリジン化合物を2から2.5モル程度用いるのが好ましく、より好ましくはピペリジン化合物を2から2.2モル程度用いる。また、式(I)におけるnが3である化合物を製造する場合は、式(II) のホスフィン化合物1モルあたり、式(III) のピペリジン化合物を3から4モル程度用いるのが好ましく、より好ましくはピペリジン化合物を3から3.3モル程度用いる。
【0025】
この反応は、一般的には有機溶媒中で行われる。使用できる有機溶媒の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、含酸素系炭化水素、ハロゲン系炭化水素などが挙げられる。芳香族炭化水素の具体例は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどであり、脂肪族炭化水素の具体例は、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどであり、含酸素系炭素水素の具体例は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどであり、ハロゲン系炭化水素の具体例は、クロロホルム、四塩化炭素などである。これらのなかでも、芳香族炭化水素、特にトルエンが好ましく用いられる。
【0026】
反応は、50〜120℃程度の温度で進行し、2〜3時間程度行われる。この反応は常圧下で進行するが、加圧下で行ってもよい。反応完了後は、溶媒を留去して式(I)のホスフィノプロピオネート化合物を単離することができるし、また公知の精製法、例えば再結晶やカラムクロマトグラフィーを施して、式(I)のホスフィノプロピオネート化合物を得ることもできる。
【0027】
かくして得られるホスフィノプロピオネート化合物の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0028】
化合物A: 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル 2−メチル−3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート
【0029】
化合物B: 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル 2−メチル−3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート
【0030】
化合物C: 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル 3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート
【0031】
化合物D: 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル 3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート
【0032】
化合物E: 2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジル 2−メチル−3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート
【0033】
化合物F: 2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリジル 3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート
【0034】
式(I)で示されるホスフィノプロピオネート化合物は、有機材料を熱劣化、熱酸化劣化および光酸化劣化から安定化するのに有効である。本発明により安定化することができる有機材料としては、例えば次のようなものが挙げられ、それぞれ単独のもの、あるいは二種以上の混合物を安定化することができるが、これらの有機材料に限定されるものではない。
【0035】
(1) ポリエチレン、例えば低密度ポリエチレン(LD−PE)、高密度ポリエチレン(HD−PE)、リニアー低密度ポリエチレン(LLD−PE);
(2) ポリプロピレン;
(3) メチルペンテンポリマー;
(4) EEA(エチレン/アクリル酸エチル共重合)樹脂;
(5) エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂;
(6) ポリスチレン類、 例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン);
(7) AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂;
(8) ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂;
(9) AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂;
(10) ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂;
【0036】
(11) 塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム;
(12) ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;
(13) メタクリル樹脂;
(14) エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂;
(15) フッ素樹脂;
(16) ポリアセタール;
(17) グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂およびポリフェニレンサルファイト樹脂;
(18) ポリウレタン;
(19) ポリアミド;
(20) ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート;
(21) ポリカーボネート;
(22) ポリアクリレート;
(23) ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン;
(24) 芳香族ポリエステル樹脂;
(25) エポキシ樹脂;
(26) ジアリルフタレートプリポリマー;
(27) シリコーン樹脂;
(28) 不飽和ポリエステル樹脂;
(29) アクリル変性ベンゾグアナミン樹脂;
(30) ベンゾグアナミン/メラミン樹脂;
(31) ユリア樹脂;
【0037】
(32) ポリブタジエン;
(33) 1, 2−ポリブタジエン;
(34) ポリイソプレン;
(35) スチレン/ブタジエン共重合体;
(36) ブタジエン/アクリロニトリル共重合体;
(37) エチレン/プロピレン共重合体;
(38) シリコーンゴム;
(39) エピクロルヒドリンゴム;
(40) アクリルゴム;
(41) 天然ゴム;
【0038】
(42) 塩素ゴム系塗料;
(43) ポリエステル樹脂塗料;
(44) ウレタン樹脂塗料;
(45) エポキシ樹脂塗料;
(46) アクリル樹脂塗料;
(47) ビニル樹脂塗料;
(48) アミノアルキル樹脂塗料;
(49) アルキド樹脂塗料;
(50) ニトロセルロース樹脂塗料;
(51) 油性塗料;
(52) ワックス;
(53) 潤滑油。
【0039】
本発明に係るホスフィノプロピオネート化合物は、これらの有機材料のなかでも、熱可塑性樹脂、とりわけポリプロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィンに対して優れた効果を発揮する。このホスフィノプロピオネート化合物を安定剤として使用する場合、有機材料に対して安定化有効量配合され、対象とする有機材料の種類によってもその好ましい配合量は当然変化するが、通常は有機材料100重量部に対して、0.01から5重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0040】
本発明により式(I)のホスフィノプロピオネート化合物を配合した有機材料組成物は、必要に応じてさらに他の添加剤、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤などを含有することもできる。これらの添加剤はもちろん、式(I)のホスフィノプロピオネート化合物と同時に配合することもできるし、またホスフィノプロピオネート化合物とは別の段階で配合することもできる。
【0041】
式(I)のホスフィノプロピオネート化合物、あるいは任意に使用されるその他の添加剤を有機材料に配合するにあたっては、均質な混合物を得るための公知のあらゆる方法および装置を用いることができる。例えば、有機材料が固体ポリマーである場合は、直接ブレンドすることもできるし、またマスターバッチの形で、固体ポリマーに配合することもできる。有機材料が合成ポリマーである場合はその他、重合途中あるいは重合直後のポリマー溶液に、溶液または分散液の形で配合することもできる。一方、有機材料が油などの液体である場合は、直接添加して溶解させることもできるし、また液状媒体に溶解または懸濁させた状態で添加することもできる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中にある部は、特にことわらないかぎり重量基準である。
【0043】
例1: 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル 2−メチル−3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート(化合物A)の製造
【0044】
200mlの四つ口フラスコに、ジフェニルホスフィンを5.0g(26.8ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレートを6.2g(27.5ミリモル)およびトルエンを100ml仕込んだ。この混合物を60℃で3時間反応させた。反応完結後、溶媒を留去し、ヘキサンで再結晶すると、白色結晶が析出した。これを濾別乾燥して、標記化合物を得た。
【0045】
質量分析(FD−MS): m/z 411(M)
元素分析:C2534NO2P
計算値 C 73.0 %; H 8.3 %; N 3.4 %; P 7.5 %
実測値 C 73.1 %; H 8.7 %; N 3.3 %; P 7.9 %
融点: 88〜90℃
【0046】
例2: 1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル 2−メチル−3−(ジフェニルホスフィノ)プロピオネート(化合物B)の製造
【0047】
例1における2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレートの代わりに、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル メタクリレートを6.5g(27.1ミリモル)用い、例1と同じ操作を施すことにより、標記化合物を得た。
【0048】
質量分析(FD−MS): m/z 425(M)
元素分析:C2636NO2P
計算値 C 73.4 %; H 8.5 %; N 3.3 %; P 7.3 %
実測値 C 73.6 %; H 8.0 %; N 3.1 %; P 7.7 %
融点: 64〜67℃
【0049】
例3
【0050】
原料のピペリジン化合物およびその量を代える以外は、例1と同じ操作を施すことにより、先に掲げた化合物CないしFを製造することができる。
【0051】
例4: ポリプロピレンの熱安定性試験
【0052】
(配 合)
未安定化ポリプロピレン 100 部
ステアリン酸カルシウム 0.05部
供試化合物 0.1 部
【0053】
上記混合物を、30mmφの単軸押出機により230℃で溶融混練して、ペレット化した。得られたペレットにつき、 JIS K 7210 に準じて、メルトインデクサー中、270℃で5分間滞留したあとの流動性(MI値:g/10分)を測定して、熱安定性の評価を行った。ポリプロピレンは熱によって分子切断を起こし、流動性が増すので、5分間滞留後のMI値が小さいほど熱安定性に優れることを意味する。結果を表1に示した。
【0054】
【表1】
Figure 0003575034
【0055】
例5: ポリプロピレンの耐候性試験
【0056】
(配 合)
未安定化ポリプロピレン 100 部
ステアリン酸カルシウム 0.05部
供試化合物 0.1 部
【0057】
上記混合物を、30mmφの単軸押出機により230℃で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを、射出成形機により230℃で成形して1mm厚のシートとし、このシートを試験片とした。この試験片を、サンシャインウェザーオーメーター(光源:カーボンアーク)中にいれ、ブラックパネル温度63℃、スプレーサイクル12分/60分の条件で光照射し、試験片の光照射面上に亀裂が発生するまでの時間で耐候性を評価した。その結果を表2に示した。
【0058】
【表2】
Figure 0003575034
【0059】
例6: ポリエチレンの熱安定性試験
【0060】
(配 合)
未安定化直鎖低密度ポリエチレン 100 部
ステアリン酸カルシウム 0.1 部
n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート 0.05部
供試化合物 0.05部
【0061】
上記混合物を、30mmφの単軸押出機により250℃で溶融混練して、ペレット化した。得られたペレットにつき、 JIS K 7210 に準じて、メルトインデクサー中、250℃で15分間滞留したあとの流動性(MI値:g/10分)を測定して、熱安定性の評価を行った。ポリエチレンは熱によって分子架橋を起こし、流動性が低下するため、15分間滞留後のMI値が大きいほど熱安定性に優れることを意味する。結果を表3に示した。
【0062】
【表3】
Figure 0003575034
【0063】
【発明の効果】
本発明のホスフィノプロピオネート化合物は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂をはじめとする各種有機材料の安定剤として優れた性能を発揮する。特に、熱および光によって劣化する性質を有する有機材料に対して有効であり、例えばこの化合物を配合した樹脂は、熱劣化および光酸化劣化に対して安定であって、高品質の製品となる。

Claims (10)

  1. 式(I)
    Figure 0003575034
    (式中、R は水素、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から10のアルコキシ、炭素数3から10のシクロアルキルオキシ、炭素数7から18のアリールアルコキシまたは水酸基を表し、R は水素またはメチルを表し、Arは炭素数6から18のアリールまたは炭素数7から18のアルキルアリールを表し、nは1から3の整数を表す)
    で示されるホスフィノプロピオネート化合物。
  2. が水素、炭素数1から3のアルキル、炭素数6から10のアルコキシまたはシクロヘキシルオキシである請求項1記載の化合物。
  3. Arがフェニルであり、nが1である請求項1または2記載の化合物。
  4. 式(II)
    P−(Ar)3−n (II)
    (式中、Arは炭素数6から18のアリールまたは炭素数7から18のアルキルアリールを表し、nは1から3の整数を表す)
    で示されるホスフィン化合物と、式(III)
    Figure 0003575034
    (式中、R は水素、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から10のアルコキシ、炭素数3から10のシクロアルキルオキシ、炭素数7から18のアリールアルコキシまたは水酸基を表し、R は水素またはメチルを表す)
    で示されるピペリジン化合物とを反応させることを特徴とする請求項1記載のホスフィノプロピオネート化合物の製法。
  5. 請求項1記載のホスフィノプロピオネート化合物を有効成分とする有機材料用安定剤。
  6. 有機材料に、請求項1記載のホスフィノプロピオネート化合物を安定化有効量配合することを特徴とする有機材料の安定化方法。
  7. 有機材料に、請求項1記載のホスフィノプロピオネート化合物を含有させてなる安定化有機材料組成物。
  8. 有機材料が熱可塑性樹脂である請求項7記載の組成物。
  9. 熱可塑性樹脂がポリプロピレンである請求項8記載の組成物。
  10. 熱可塑性樹脂がポリエチレンである請求項8記載の組成物。
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