JP3574882B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等の高輝度放電ランプ(以下、HIDランプと称す)を点灯させる放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハロゲンランプに比べて発光効率が高く高輝度の光が得られるHIDランプを自動車の前照灯(ヘッドランプ)等に用いることが研究されている。
ところで、HIDランプを点灯制御する場合、その明るさはHIDランプでの消費電力だけでなく、ランプ(内の蒸気)の温度にも大きく依存する。つまり、HIDランプを一定電力で点灯させると、始動直後のランプの冷えた状態では光束が少なく、温度上昇とともに光束が徐々に増加して安定点灯状態(定常モード)へ移行し、安定点灯状態では光束が略一定になる。
【0003】
このため、HIDランプを例えば自動車の前照灯等のような光束の急速な立ち上がりと光束の安定性が求められる用途に利用するには、HIDランプの温度に応じて電力を適切に制御する必要がある(つまり、HIDランプの温度が低い時には大きな電力を供給し、温度上昇とともに電力を低下させる必要がある)。しかし、HIDランプの温度を直接モニタすることは難しいので、HIDランプの温度をモニタする替わりに、点灯/消灯操作後の経過時間に応じてHIDランプの電力を制御する放電灯点灯装置が知られている。
【0004】
この種の放電灯点灯装置では、HIDランプが冷えた状態(常温)で点灯スイッチ等によって電源をオンして点灯を開始する場合(所謂コールドスタートでは)、点灯開始からの時間によってHIDランプの温度を推測することができる。また、点灯状態のランプを一旦消灯した後にあまり間を空けずに再点灯する場合(所謂ホットスタート)では、消灯前の状態と消灯時間の長さとが再始動時のHIDランプの温度の指標となる。
【0005】
上記放電灯点灯装置では、図10に示すようなコンデンサCと抵抗Rとを用いたCR充放電回路2を利用して電源のオン/オフ時間をカウントするものが知られている。図10に示した放電灯点灯装置では、図11(a)に示すような電源Vccが供給されると、コンデンサCの端子電圧VC は図11(b)のように変化する。すなわち、電源VccがオンするとコンデンサCへの充電が開始され、電源VccがオフされるとコンデンサCに蓄積された電荷の放電が行われるから、コンデンサCの端子電圧VC は図11(b)のように変化するのである。つまり、充電が終了して放電が開始されるまでの間(安定点灯状態)を除いて、コンデンサCの端子電圧VC は時間とともに変化するので、コンデンサCの端子電圧VC によって前記オン/オフ時間を求めることができるのである。結局、点灯回路(図示せず)からHIDランプ(図示せず)へ供給される電力を、コンデンサCの端子電圧VC に基づいて点灯制御回路1’によって調整するような制御を行なうことによって、HIDランプの温度を測定して制御を行なうのと同様の制御を行なうことができるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車の前照灯は、例えば、前の自動車を追い越すための所謂パッシング時において、短い間隔で電源の断続が繰り返される。しかしながら、上記従来の放電灯点灯装置では、安定点灯状態になった後に、図12(a)の区間Tに示すように短い間隔で電源Vccの断続が繰り返されると、コンデンサCの端子電圧VC が、充電時と放電時の電圧変化の違い(充電特性と放電特性との違い)により、電源Vccのオン/オフのデューティ比で決まる電圧へ低下していく(図12(b)参照)。一方、HIDランプの温度は、電源Vccのオンが断続的に繰り返されることにより安定点灯状態とほとんど変わらない温度に維持される。このため、HIDランプはホット状態であるから、HIDランプへ供給する電力は安定点灯状態における電力と略同じでよいにもかかわらず、始動電力は点滅の度(電源Vccが短時間で再びオンされる度)に増加してしまう。その結果、ホット状態において過剰な電力がHIDランプに供給されてHIDランプに過負荷がかかり、異常発光したり寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0007】
すなわち、点灯制御回路1がCR充放電回路2よりなるオン/オフ時間計測回路からの出力に基づいて電力制御を行なうような放電灯点灯装置においては、短時間間隔での電源Vccの断続が繰り返された場合、HIDランプに必要以上の電力が印加されてしまうという問題があった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、HIDランプが安定点灯状態になった後に電源のオン/オフを短時間で繰り返した時にHIDランプに必要以上の電力が供給されるのを抑制することができる放電灯点灯装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、高輝度放電ランプを点灯する点灯回路と、電源のオン/オフ時間を計測するオン/オフ時間計測回路と、前記オン/オフ時間計測回路からのデータに基づいて前記点灯回路により前記高輝度放電ランプへ供給される電力を調整する点灯制御回路と、前記オン/オフ時間計測回路のデータに基づいて前記高輝度放電ランプが所定温度よりも高いホット状態にあるか否かを判別する判別回路と、前記電源がオンされた時には所定のリセット期間が経過した後に前記点灯制御回路を動作させる電源リセット回路と、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記リセット期間中に前記オン/オフ時間計測回路のデータを前記電力が小さくなるように修正する補正回路とを備えて成ることを特徴とするものであり、高輝度放電ランプが安定点灯状態になった後に電源のオン/オフを短時間で繰り返しても、点灯制御回路が動作する前に前記オン/オフ時間計測回路のデータが修正されるから、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができる。
【0009】
ここに、前記オン/オフ時間計測回路を抵抗及びコンデンサの直列回路からなり前記電源のオン/オフにより充電/放電が行なわれる充放電回路で構成し、前記点灯制御回路は前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記高輝度放電ランプへ供給される電力の調整を行ない、前記判別回路が、前記コンデンサの端子電圧が判別基準値よりも大きい時だけ前記高輝度放電ランプがホット状態にあると判別し、前記補正回路が、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記リセット期間中に前記抵抗を介さずに前記コンデンサの充電を行なうので、高輝度放電ランプが安定点灯状態になった後に電源のオン/オフを短時間で繰り返しても、前記点灯制御回路が動作する前に前記コンデンサが前記抵抗を介さずに短時間で充電されるから、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記電源の断続的なオン/オフ繰り返し間隔時間を計測する計測回路を付加し、判別回路が、ホット状態にあるか否かの判別を行なう判別基準値を前記間隔時間の長/短に応じて低下/上昇させるので、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのをより確実に抑制することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、一定期間での前記電源の断続的なオン/オフ回数をカウントするカウンタ回路を付加し、判別回路が、前記カウンタ回路でのカウント数が所定回数になった時にはホット状態にあるか否かの判別を行なう前記判別基準値を小さくするので、電源のオン/オフが電源の端子の接続不良などにより繰り返されても、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができる。
【0012】
請求項4の発明は、高輝度放電ランプを点灯する点灯回路と、抵抗及びコンデンサの直列回路からなり電源のオン/オフ時間を計測するオン/オフ時間計測回路と、前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記点灯回路により前記高輝度放電ランプへ供給される電力を調整する点灯制御回路と、前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記高輝度放電ランプが所定温度よりも高いホット状態にあるか否かを判別する判別回路と、前記電源のオフに応じてリセット信号を出力する電源リセット回路と、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記電源がオフされた時点から前記リセット信号が入力される時点までの間における前記コンデンサの放電速度を遅くする補正回路とを備えて成ることを特徴とするものであり、高輝度放電ランプが安定点灯状態になった後に電源のオン/オフを短時間で繰り返しても、電源がオフされた時のコンデンサの端子電圧の低下を少なくできるから、電源がオンされた時に高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路ブロック図を示す。本放電灯点灯装置は、HIDランプ(図示せず)を点灯させる点灯回路(図示せず)と、抵抗R及びコンデンサCの直列回路よりなる充放電回路2と、コンデンサCの端子電圧VC の値に基づいて前記点灯回路により前記HIDランプに供給される電力を調整する点灯制御回路1と、コンデンサCの端子電圧VC が後述の判別基準値Vthよりも大きい時だけハイレベルになる安定点灯判別信号Ssを出力する安定点灯判別回路3と、電源がオンされた時には所定のリセット期間が経過した後に点灯制御回路1を動作させる電源リセット回路4と、安定点灯判別回路3からの安定点灯判別信号Ssがハイレベルである場合には前記リセット期間中にコンデンサCを充電するレベル再設定回路5とを備えている。なお、電源リセット回路4は点灯制御回路1内に設けてもよい。
【0014】
ここで、点灯制御回路1は、コンデンサCの端子電圧VC が小さい時ほど、前記点灯回路がHIDランプに大きな電力を供給するように前記点灯回路を制御し、HIDランプの光束の立上げを早くし安定点灯状態では略一定の電力を供給するように制御している。
充放電回路2におけるコンデンサCの端子電圧VC は、安定点灯状態以外は時間とともに変化するので、この端子電圧VC によって電源をオンした後の経過時間及び電源をオフした後の経過時間を知ることができるのである。つまり、充放電回路2は、電源のオン/オフ時間を計測するオン/オフ時間計測回路を構成している。
【0015】
また、安定点灯判別回路3は、コンデンサCの端子電圧VC が判別基準値Vth(V0 <Vth<V1 )よりも大きい時だけハイレベルになる安定点灯信号Ssを出力するから、コンデンサCの端子電圧VC に基づいて消灯前にHIDランプが安定点灯状態にあったか否か及び消灯後の経過時間が一定時間以内であるか否かを判断することができるのである。つまり、安定点灯判別回路3は、コンデンサCの端子電圧VC が判別基準値Vthよりも大きい時だけHIDランプがホット状態にあると判別する判別回路を構成している。
【0016】
ところで、安定点灯判別回路3は、例えば図2に示すようにコンパレータCP,基準電圧源Ef 等で構成してあり、基準電圧源Ef の電圧である判別基準値VthとコンデンサCの端子電圧VC とをコンパレータCPで比較する。そして、し端子電圧VC の方が電圧Vthよりも大きい時にコンパレータCPの出力である安定点灯判別信号Ssはハイレベルとなる。
【0017】
電源リセット回路4は、電源がオンされた時にリセット期間だけハイレベルとなるようなリセット信号Srをレベル再設定回路5へ出力している。
レベル再設定回路5は、例えば図2に示すようにトランジスタQ1 ,Q2 等で構成してあり、コンパレータCPからの安定点灯判別信号Ss及び電源リセット回路4からのリセット信号Srの両方がハイレベルの時だけ、論理積ゲートANDの出力がハイレベルになるのでトランジスタQ1 がオンする。トランジスタQ1 がオンすると、トランジスタQ2 がオンするので、コンデンサCは抵抗Rを介さずにトランジスタQ2 を介して充電される。つまり、レベル再設定回路5は、HIDランプがホット状態の場合、リセット期間中にコンデンサCの充電を行なう補正回路を構成している。ここで、コンデンサCは、抵抗Rを介して充電される場合に比べてかなり短時間で電圧V1 まで充電される(充電速度が速い)。
【0018】
以下、本放電灯点灯装置の動作を図3に基づいて説明する。なお、図3では、図示しない点灯スイッチによって図3(a)に示すようなタイミングで電源のオン(ON)/オフ(OFF)が行なわれた場合について説明する。
ランプの点灯が開始されると、コンデンサCへの充電が開始される。図3(e)に示すように、コンデンサCの端子電圧VC は時間の経過とともに徐々に増加し充電が終了した時に端子電圧VC は一定電圧V1 になる(▲1▼の区間)。この時、点灯制御回路1は、コンデンサCの端子電圧VC に基づいて前記点灯回路から前記HIDランプへ供給される電力の制御を行なっており、電源オン後に十分な時間が経過した安定点灯状態ではコンデンサCの端子電圧VC が電圧V1 になっているので、略一定電力がHIDランプに供給されるように制御を行なっている。
【0019】
▲2▼の区間では、電源がオフされたので、コンデンサCからの放電が始まり、コンデンサCの端子電圧VC は時定数CRに従って減少する。
次に、電源がオフされてから短時間で電源が再度オンされる場合(▲3▼の区間)について説明する。本放電灯点灯装置は、上述の電源リセット回路4が設けられており、電源が再度オンされた時にはリセット期間が経過した後に点灯制御回路1を動作させるようになっている。また、電源リセット回路4からはこのリセット期間の間だけハイレベルとなるような前述のリセット信号Srが出力されている(図3(b)参照)から、レベル再設定回路5では、このリセット期間中にコンデンサCの充電を行ないコンデンサCの端子電圧VC を増加させる。つまり、安定点灯判別回路3からの安定点灯判別信号Ss(図3(c)参照)がハイレベルである場合にはリセット期間中にコンデンサCの端子電圧VC を電圧V1 まで充電する。この時、レベル再設定回路5からは図3(d)に示すようなレベル再設定信号Seが出力されている。
【0020】
リセット期間が終了するとリセットが解除され点灯制御回路1が動作を開始するが、この時、コンデンサCの端子電圧VC は電圧V1 に等しくなっているので、本放電灯点灯装置では、点灯制御回路1が、HIDランプが安定点灯状態の電力レベルで制御が行なわれるように点灯回路を制御するのである(▲4▼の区間)。また、▲5▼〜▲7▼の区間では、電源のオン/オフが行なわれているが、オフの時間が長いので、コンデンサCの端子電圧VC が判別基準値Vthよりも低下する。端子電圧VC が判別基準値Vthよりも小さい時は、安定点灯判別信号Ssがローレベルになるので、電源が再度オンされた時でも、レベル再設定回路5によるコンデンサCへの充電は行なわれずに、抵抗Rを介してコンデンサCが充電される。つまり、点灯制御回路1では、そのままのコンデンサCの端子電圧VC に基づいて電力制御が行なわれる。
【0021】
而して、本放電灯点灯装置では、電源がオフされて短時間で再びオンされるような電源のオン/オフが繰り返されても、電源がオンされた時は点灯制御回路1が動作する前にコンデンサCの端子電圧VC が電圧V1 まで充電されているので、HIDランプへは安定点灯状態の時に供給されるのと同じ電力が供給されるのである。つまり、従来例で問題となった電源オン/オフの断続的な繰り返しを行なっても、必要以上の電力がHIDランプに供給されるのを抑制することができ、HIDランプに過負荷がかかるのを抑制することができるのである。言い換えれば、消灯前にHIDランプが安定点灯状態にあり、再点灯時のHIDランプがホット状態にある場合に、HIDランプに必要以上の電力が供給されるのを抑制することができるのである。
【0022】
(実施形態2)
図4に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路ブロック図を示す。本放電灯点灯装置の基本構成及び基本動作は図1に示した実施形態1と略同じであり、その特徴となるところは、実施形態1の放電灯点灯装置に、電源のオン/オフの繰り返しの有無を判別するとともに繰り返しがある場合にはその送り返し周期を計測する計測回路としての繰返し判別回路12を付加し、繰返し判別回路12の出力に基づいて安定点灯判別回路3における基準判別値Vthを変化させることにある。なお、実施形態1と同様の動作を行なう構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0023】
ところで、電源のオン/オフの間隔は、ユーザによる点灯スイッチの操作によって決まるので、一様ではない。このため、オン/オフの繰り返し周期が長い場合、実施形態1の放電灯点灯装置では、HIDランプの温度が安定点灯状態における温度とあまり変わらないにもかかわらず、電源オフ期間中にコンデンサCの端子電圧Vc が基準判別値Vthよりも小さくなって、レベル再設定回路5による補正(コンデンサCへの充電)が行なわれないので、HIDランプに必要以上の電力が供給されてしまうことがある。一方、基準判別値Vthを小さくしすぎると、電源のオン/オフの繰り返しがない通常の電力設定制御に影響が起きる。
【0024】
本放電灯点灯装置は、上述の繰返し判別回路12を付加してその出力に基づいて安定点灯判別回路3における基準判別値Vthを変化させることによって、実施形態1の不具合を解消するものである。以下、本放電灯点灯装置の特徴となる動作を図5に基づいて説明する。
図5(a)に示すように電源のオン/オフが繰り返された場合、安定点灯判別回路3は電源のオン/オフの繰り返し周期に比例して基準判別値Vthを図5(c)に一点鎖線で示すように調整する。繰返し判別回路12は、電源の1回目のオフ時間の長さを監視し、一定時間以内に2回目の電源オフが生じた時点で繰り返し有りと判別するものであり、図5(b)に示すような繰り返し判別信号Saを出力する。そして、安定点灯判別回路3では、繰返し判別回路12で監視しているオフ時間の長さに応じて基準判別値Vthを調整する。つまり、繰り返し判別信号Saがハイレベルになった時点で基準判別値Vthを初期値から小さくし、繰り返し判別信号Saがオフになった時点で基準判別値Vthを初期値に戻す。ここで、繰り返し判別信号Saがハイレベルになった後も一定時間内に電源のオン/オフが繰り返された場合は、オフの度に基準判別値Vthを変化させる。
【0025】
而して、本放電灯点灯装置では、電源のオン/オフの繰り返し周期が長くなっても、電源オンの度にレベル再設定回路5によって確実にコンデンサCへの充電が行なわれるので、HIDランプに必要以上の電力が供給されるのをより確実に抑制することができるのである。
(実施形態3)
図6に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路ブロック図を示す。本放電灯点灯装置の基本構成及び基本動作は図1に示した実施形態1と略同じであり、その特徴とするところは、実施形態1の放電灯点灯装置に、一定時間の範囲内で電源のオン/オフ回数をカウントするカウンタ回路13を付加し、カウンタ回路13の出力に基づいて安定点灯判別回路3の基準判別値Vthを制御することにある。なお、実施形態1と同様の動作を行なう構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0026】
ところで、電源のオン/オフは、ユーザによる点灯スイッチの操作以外にも生じる可能性がある。例えば、電源の端子の接続不良などにより、電源のオン/オフが長時間継続される場合がある。このような場合は、オン/オフのタイミングがランダムで不定期であるので、基準判別値Vthの設定が難しく、HIDランプに過負荷がかからない適切な電力制御を行なうことが難しい。
【0027】
本放電灯点灯装置では、これに対処するために、実施形態1の図1に示した放電灯点灯装置に、一定時間の範囲内で電源のオン/オフ回数をカウントするカウンタ回路13を付加し、カウンタ回路13の出力に基づいて安定点灯判別回路3の基準判別値Vthを制御するようにしたものである。以下、本放電灯点灯装置の特徴となる動作を図7に基づいて説明する。
【0028】
図7(a)に示すように電源のオン/オフが繰り返された場合、カウンタ回路13では一定時間内に電源のオン/オフが所定回数以上繰り返された時点でハイレベルとなるようなカウントアップ信号Sc(図7(b)参照)を出力する。
安定点灯判別回路3はカウンタ回路13からのカウントアップ信号Scがハイレベルになると、図7(d)に示すように基準判別値Vthを初始動の電圧レベルV0 まで下げてV0 に固定する。このため、カウントアップ信号Scがハイレベルになった後は、電源のオン/オフ時間の幅によらず、電源のターンオンの時点でコンデンサCの端子電圧VC は常に電圧V1 まで充電されるから、HIDランプに必要以上の電力が供給されるのを抑制することができるのである。なお、図7(c)はレベル再設定回路5の出力であるレベル再設定信号Seを示す。
【0029】
而して、本放電灯点灯装置では、一定時間内に電源のオン/オフが所定回数以上繰り返されない時には実施形態1と同様に動作し、一定時間内に電源のオン/オフが所定回数以上繰り返された時は、電源の端子の接続不良などにより電源のオン/オフが繰り返されていると判断して、電源のオンの度に常にコンデンサCをレベル再設定回路5によって電圧V1 まで充電するから、電源の端子の接続不良などにより電源のオン/オフが長時間継続されてもHIDランプに供給する電力が抑制される。その結果、HIDランプに過負荷がかかるのを抑制することができる。
【0030】
なお、カウンタ回路13からのカウントアップ信号Scがハイレベルになった時点で電源の接続不良ということで、点灯制御回路1の動作を停止する(オフする)という制御も考えられるが、例えば自動車の前照灯等では走行中に消灯すると安全上問題があるのでこのような制御はできない。これに対し、本放電灯点灯装置では、カウントアップ信号Scがハイレベルになったら、安定点灯状態における電力レベル、つまり、最小の電力レベルでHIDランプを点灯させ、HIDランプが消えるのを防ぐとともにHIDランプに過負荷がかかるのを抑制しているのである。
【0031】
(実施形態4)
図8に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路ブロック図を示す。
ところで、実施形態1の放電灯点灯装置は、電源オフ後に短時間で電源が再投入された場合に、レベル再設定回路5がリセット期間中にコンデンサCへの充電を行なう(補正を行なう)ものであった。これに対し、本放電灯点灯装置は、レベル再設定回路5よりなる補正回路が電源オフ後のコンデンサCの放電速度に対して補正を行なうものである。
【0032】
本放電灯点灯装置は、図8に示すように、電源10からICレギュレータ11を介して供給される電圧を大容量のコンデンサC0 で安定化することにより制御電源Vccとしている。充放電回路2への電源の供給は定電圧Vref を出力する基準電圧回路7によって行なわれる。ここで、基準電圧回路7の出力電圧は、電源リセット回路4から入力されるリセット信号Srがハイレベルの時には0(v)になる。なお、実施形態1と同様の動作を行なう構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0033】
以下、本放電灯点灯装置の動作を図9に基づいて説明する。
本放電灯点灯装置では、図9(a)に示すように電源10がオン/オフされた場合、大容量のコンデンサC0 を備えていることにより電源10がオフされてもある程度の時間はコンデンサC0 に電圧が維持されるから、制御電源Vccは図9(b)に示すように変化する。つまり、電源10がオフされた後もある程度の時間は制御電源Vccの電圧が点灯制御回路1の動作に必要な電圧値以上の大きさを維持しているので、点灯制御回路1の動作が可能となる。電源リセット回路4の出力であるリセット信号Srは、Vccが所定値V2 まで低下するとハイレベルになり、電源10が再度オンされて所定時間が経過したらローレベルに戻る(図9(c)参照)。
【0034】
また、本放電灯点灯装置のレベル再設定回路5は、電源10がオフされた時点からリセット信号Srがハイレベルになる時点までの期間(図中の補正区間)にハイレベルとなるようなレベル再設定信号Seを出力する(図9(e)参照)から、この補正区間において、コンデンサCの放電速度を遅くするという補正を行なうのである。したがって、レベル再設定信号Seがハイレベルである補正区間ではレベル再設定信号SeによってコンデンサCに一定の充電が行なわれコンデンサCの放電速度が遅くなるので、Vc の低下を少なくすることができる。図9(f)はコンデンサCの端子電圧Vc の時間変化を示したものであり、補正区間において実線は補正が行なわれた時の端子電圧Vc の変化を示し、一点鎖線はこのような補正が行なわれなかった時の端子電圧Vc の変化を示す。つまり、安定点灯状態付近においては充電速度よりも放電速度の方が早いため、これを遅くするためにレベル再設定回路5が一定の充電を行なうようにするものである。なお、図9(d)は安定点灯判別信号Ssの時間変化を示し、上記各実施形態と同様にコンデンサCの端子電圧Vc が判別基準値Vthよりも大きい時だけハイレベルになる。
【0035】
而して、本放電灯点灯装置では、コンデンサCの放電速度を充電速度並みに遅くすることにより、電源10のオン/オフが短期間で繰り返された時での電源10のオフによる端子電圧Vc の低下を抑制することができるから、消灯前にHIDランプが安定点灯状態にあり、再点灯時のHIDランプがホット状態にある場合にHIDランプに必要以上の電力が供給されるのを抑制することができるのである。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明は、高輝度放電ランプを点灯する点灯回路と、電源のオン/オフ時間を計測するオン/オフ時間計測回路と、前記オン/オフ時間計測回路からのデータに基づいて前記点灯回路により前記高輝度放電ランプへ供給される電力を調整する点灯制御回路と、前記オン/オフ時間計測回路のデータに基づいて前記高輝度放電ランプが所定温度よりも高いホット状態にあるか否かを判別する判別回路と、前記電源がオンされた時には所定のリセット期間が経過した後に前記点灯制御回路を動作させる電源リセット回路と、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記リセット期間中に前記オン/オフ時間計測回路のデータを前記電力が小さくなるように修正する補正回路とを備えて成ることを特徴とするものであり、高輝度放電ランプが安定点灯状態になった後に電源のオン/オフを短時間で繰り返しても、点灯制御回路が動作する前に前記オン/オフ時間計測回路のデータが修正されるから、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができるという効果がある。
【0037】
ここで、前記オン/オフ時間計測回路を抵抗及びコンデンサの直列回路からなり前記電源のオン/オフにより充電/放電が行なわれる充放電回路で構成し、前記点灯制御回路は前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記高輝度放電ランプへ供給される電力の調整を行ない、前記判別回路が、前記コンデンサの端子電圧が判別基準値よりも大きい時だけ前記高輝度放電ランプがホット状態にあると判別し、前記補正回路が、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記リセット期間中に前記抵抗を介さずに前記コンデンサの充電を行なうので、高輝度放電ランプが安定点灯状態になった後に電源のオン/オフを短時間で繰り返しても、前記点灯制御回路が動作する前に前記コンデンサが前記抵抗を介さずに短時間で充電されるから、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができるという効果がある。
【0038】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記電源の断続的なオン/オフ繰り返し間隔時間を計測する計測回路を付加し、前記判別回路が、ホット状態にあるか否かの判別を行なう前記判別基準値を前記間隔時間の長/短に応じて低下/上昇させるので、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのをより確実に抑制することができるという効果がある。
【0039】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、一定期間での前記電源の断続的なオン/オフ回数をカウントするカウンタ回路を付加し、前記判別回路が、前記カウンタ回路でのカウント数が所定回数になった時にはホット状態にあるか否かの判別を行なう前記判別基準値を小さくするので、電源のオン/オフが電源の端子の接続不良などにより繰り返されても、高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができるという効果がある。
【0040】
請求項4の発明は、高輝度放電ランプを点灯する点灯回路と、抵抗及びコンデンサの直列回路からなり電源のオン/オフ時間を計測するオン/オフ時間計測回路と、前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記点灯回路により前記高輝度放電ランプへ供給される電力を調整する点灯制御回路と、前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記高輝度放電ランプが所定温度よりも高いホット状態にあるか否かを判別する判別回路と、前記電源のオフに応じてリセット信号を出力する電源リセット回路と、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記電源がオフされた時点から前記リセット信号が入力される時点までの間における前記コンデンサの放電速度を遅くする補正回路とを備えて成ることを特徴とするものであり、高輝度放電ランプが安定点灯状態になった後に電源のオン/オフを短時間で繰り返しても、電源がオフされた時のコンデンサの端子電圧の低下を少なくできるから、電源がオンされた時に高輝度放電ランプに必要以上の電力が印加されるのを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す概略回路ブロック図である。
【図2】同上の要部の回路構成図である。
【図3】同上の動作説明図である。
【図4】実施形態2を示す概略回路ブロック図である。
【図5】同上の動作説明図である。
【図6】実施形態3を示す概略回路ブロック図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】実施形態4を示す概略回路ブロック図である。
【図9】同上の動作説明図である。
【図10】従来例を示す概略回路ブロック図である。
【図11】同上の動作説明図である。
【図12】同上の他の動作説明図である。
【符号の説明】
1 点灯制御回路
2 充放電回路
3 安定点灯判別回路
4 電源リセット回路
5 レベル再設定回路
R 抵抗
C コンデンサ
Claims (4)
- 高輝度放電ランプを点灯する点灯回路と、電源のオン/オフ時間を計測するオン/オフ時間計測回路と、前記オン/オフ時間計測回路からのデータに基づいて前記点灯回路により前記高輝度放電ランプへ供給される電力を調整する点灯制御回路と、前記オン/オフ時間計測回路のデータに基づいて前記高輝度放電ランプが所定温度よりも高いホット状態にあるか否かを判別する判別回路と、前記電源がオンされた時には所定のリセット期間が経過した後に前記点灯制御回路を動作させる電源リセット回路と、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記リセット期間中に前記オン/オフ時間計測回路のデータを前記電力が小さくなるように修正する補正回路とを備え、前記オン/オフ時間計測回路を抵抗及びコンデンサの直列回路からなり前記電源のオン/オフにより充電/放電が行なわれる充放電回路で構成し、前記点灯制御回路は前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記高輝度放電ランプへ供給される電力の調整を行ない、前記判別回路は、前記コンデンサの端子電圧が判別基準値よりも大きい時だけ前記高輝度放電ランプがホット状態にあると判別し、前記補正回路は、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記リセット期間中に前記抵抗を介さずに前記コンデンサの充電を行なうことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 前記電源の断続的なオン/オフ繰り返し間隔時間を計測する計測回路を付加し、前記判別回路が、ホット状態にあるか否かの判別を行なう前記判別基準値を前記間隔時間の長/短に応じて低下/上昇させることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 一定期間での前記電源の断続的なオン/オフ回数をカウントするカウンタ回路を付加し、前記判別回路が、前記カウンタ回路でのカウント数が所定回数になった時には、ホット状態にあるか否かの判別を行なう前記判別基準値を小さくすることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 高輝度放電ランプを点灯する点灯回路と、抵抗及びコンデンサの直列回路からなり電源のオン/オフ時間を計測するオン/オフ時間計測回路と、前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記点灯回路により前記高輝度放電ランプへ供給される電力を調整する点灯制御回路と、前記コンデンサの端子電圧に基づいて前記高輝度放電ランプが所定温度よりも高いホット状態にあるか否かを判別する判別回路と、前記電源のオフに応じてリセット信号を出力する電源リセット回路と、前記判別回路による判別結果がホット状態である場合には前記電源がオフされた時点から前記リセット信号が入力される時点までの間における前記コンデンサの放電速度を遅くする補正回路とを備えて成ることを特徴とする放電灯点灯装置。
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