JP3574588B2 - 鋼心アルミニウム電線の接合構造および溶接方法 - Google Patents

鋼心アルミニウム電線の接合構造および溶接方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼心アルミニウム電線の接合構造および溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電線の端部の接合は、例えば、特開平7−57847号公報に開示される電線の溶接方法およびその装置や特開平10−199586号公報に開示される電線の溶接方法などによって知られている。
この電線の溶接方法およびその装置においては、従来の溶接電線に比し、溶接部における気泡による凹み部や収縮による鋳巣部を覆い、凹みや鋳巣を防止することができる。
【0003】
ここで、特開平7−57847号公報に開示される電線の溶接方法およびその装置を、鋼心アルミニウム電線の溶接方法および溶接装置に適用した一例を図面に基づいて説明する。
図3において、収容部1は、例えば、セラミック製の薬包外筒2と半割の筒状鉄板製の隔壁部材3と2つの止め部材4とドーナツ状の端板8と加熱剤9と点火具7とからなる。
【0004】
この収容部1は、予め薬包外筒2と隔壁部材3と一方の端板8によって筒状体を形成した後、その内部に加熱剤9を充填するとともに、残りの端板8を取り付ける。最後に、点火具7を取り付けることによって形成される。
ドーナツ状の端板8も薬包外筒2と同様にセラミックで形成されている。
半割りの筒状鉄板製の隔壁部材3は、図1、図6に示すように、両端にフランジ3a,3bを有する。そして、一方のフランジ3aが他方のフランジ3bよりも長くしてある。
【0005】
長くした一方のフランジ3aのほぼ中央部には、図5に示すように、湯溜まり部15を形成するための凹部3cと、連通部17を形成するための凹部3dと、気体排気用の通路16を形成するための凹溝3eが設けられている。
【0006】
この半割りの筒状鉄板製の隔壁部材3は、例えば、約1.2mmの厚みの鉄板で構成されている。この半割りの筒状鉄板製の隔壁部材3は、約1500℃までは溶けずに形状保持ができるようになっている。
この半割りの筒状鉄板製の隔壁部材3は、そのフランジ3a,3bを断面略U字状の金属製の止め部材4によって被嵌されることによって、筒状体とされる。
【0007】
止め部材4は、例えば、直径2.4mmの円弧部4aが形成されるように加工されている。
これによって、図5に示すように、半割りの筒状鉄板製の隔壁部材3のフランジ3a,3bを被嵌した時、フランジ3a,3aと円弧部4aとの間に排気用の通路11が形成されるようになっている。
【0008】
加熱剤9は、テルミット反応で代表される金属酸化物と金属または金属合金との酸化還元反応を応用したものである。
本例では、加熱剤9の組成配合比としては、アルミニウム25重量%、鉄−アルミニウム合金10重量%、珪素鉄20重量%、酸化銅10重量%、四三酸化鉄20重量%、酸化第二鉄10重量%、二酸化マンガン5重量%とした。
【0009】
この加熱剤9は、熱を発するだけで、発熱中流動するものではない。
点火具7は、図示しない電源に連絡し、着火薬を点火して加熱剤9を作動させるものである。
収容部1内には、アルミニウム溶接材12が配置されている。
このアルミニウム溶接材12は、アルミニウム電線13,13と電気的に同じかもしくは良質のアルミニウム材が用いられている。
【0010】
本例では、アルミニウム溶接材12としては、純度99.9%以上のアルミニウム材が用いられている。また、融点は660℃である。
また、その大きさは、2本のアルミニウム電線13,13を溶接するに十分な大きさとしてある。
【0011】
アルミニウム溶接材12の両側には、連結すべき2本のアルミニウム電線13,13の端部13a,13aが当接されている。
アルミニウム電線13,13は、JIS H−2110(電気用アルミニウム地金)で構成されている。その組成は、Al99.65重量%以上で、Si0.10重量%以下、Fe0.25重量%以下、Cu0.005重量%以下、Mn0.005重量%以下、Ti+V0.005重量%以下である。また、融点は660℃である。
【0012】
また、アルミニウム電線13,13の端部13a,13aには、収容部1内に嵌入する長さに亘って耐熱性のセラミック製繊維を巻き付けた後に、その上をセロハンテープ、ガラス繊維を用いたテープなどによって止着することによって、湯止め具14が形成されている。
この湯止め具14,14を形成する耐熱性のセラミック製繊維は、表面が起毛状になっており、例えば、フェールト状である。このため、電線表面の凹凸になじみ易く、半割りの筒状鉄板製の隔壁部材3とアルミニウム電線13の間を塞ぎ、アルミニウム溶接材12の溶融物の流出を防ぐことができる。
【0013】
次に、このように構成された本例の作用を説明する。
まず、2つ割りの隔壁部材3のフランジ3a,3bを重ね合わせた後、止め部材10を被嵌する。ついで、薬包外筒2と隔壁部材3と一方の端板8によって筒状体を形成した後、その内部に加熱剤9を充填する。ついで、残りの端板8を取り付ける。最後に、加熱剤9が充填されている箇所に点火具7を取り付けることによって、収容部1を形成する。
【0014】
次に、収容部1内にアルミニウム溶接材12を配置する。
一方、連結すべき2本のアルミニウム電線13,13は、予めそれぞれの端部13a,13aに収容部1内に嵌入する長さに亘って耐熱性のセラミック製繊維を巻き付けるとともに、その上をセロハンテープ,ガラス繊維を用いたテープなどによって止着することによって、湯止め具14,14,を形成しておく。
【0015】
このように湯止め具14,14を設けたアルミニウム電線13,13を、収容部1の両端側から連結すべき2本のアルミニウム電線13,13の端部13a,13aを挿入し、それぞれの先端がアルミニウム溶接材12と当接したところで、その移動を停止する。
この状態で、酸化還元反応を起こす加熱剤9を充填した収容部1の点火具7を操作して、加熱剤9を反応させる。
【0016】
この加熱剤9による酸化還元反応熱が、収容部1の隔壁部材3を介してアルミニウム溶接材12に加えられて加熱溶融する。
この時、溶融したアルミニウム溶接材12がフランジ3a,3aの凹部3d,3dで形成される連通部17を通り、フランジ3a,3aの凹部3c,3cで形成される湯溜まり部15に溜まる。
【0017】
同時に、ガス,水蒸気などの気体が発生するが、この気体は湯溜まり部15に連通するフランジ3a,3aの凹溝3e,3eで形成される気体排気用の通路16を経て、隔壁部材3のフランジ3a,3aの上部側と止め部材4の円弧部4aとの間の通路11から外部へ排出される。
また、溶融した溶接材は、両電線13,13の端末部分から電線の表面を伝って流れ出す。
【0018】
また、溶融したアルミニウムは、両アルミニウム電線13,13の端部13a,13a部分から電線の表面を伝って流れ出す。
そして、溶融したアルミニウムが、湯止め具14,14の位置まで来ると、隔壁部材3と湯止め具14,14とによって外部への流出が阻止される。
その後、加熱が終わり予熱によって温度が低くなり、融着部が凝固し始めると、同時に収縮し始める。
【0019】
この時に、湯溜まり部15に貯留されていた溶接材の溶融物が、融着部の収縮部の凹み部や鋳巣部に流れこみ、融着部の凹みや鋳巣の発生を防止する。
その後、アルミニウムが冷却固化したところで、収容部1を破壊した後、半割の隔壁部材3を分解し、湯止め具14を取り除くことによって、アルミニウム溶接材の溶融物で溶接されたアルミニウム電線を得ることができる。
【0020】
以上のように、本例では、加熱剤9の反応熱によってアルミニウム溶接材12が加熱溶融した時、溶融物の一部が連通部17を介して湯溜まり部15内に流入して貯留されると同時に、加熱溶融時に生ずるガス,水蒸気などが、隔壁部材3内に止まることなく、フランジ3aに設けた凹溝3e,3eによって形成される通路16を介して外部へ通じる通路11を介して排気されるので、アルミニウム溶接材12の体積膨張に伴って流出しようとする溶融物が、無理なく湯溜まり部15内に流入することができる。
【0021】
そして、加熱溶融が終わって温度が低下し、溶融物が凝固して収縮し始めると、この収縮部位に湯溜まり部15に溜められていた溶融物が、両電線13,13の溶接部位に流し混むように構成されているから、気泡による凹み部や収縮による鋳巣部を覆い、凹みや鋳巣を防止することができる。
また、湯溜まり部15は、図4に示すように、収容部1の中心部に近い位置に配置されているので、加熱剤9による加熱が終了しても、その予熱によって加温され、内部に貯留されているアルミニウム溶接剤12の溶融物を急激に冷却することがない。
【0022】
そのため、溶接部位での冷却が始まった時に、確実に溶融状態のアルミニウム溶接材12を確実に供給することができる。
また、溶融したアルミニウム溶接材12の溶接部が収容部1の隔壁部材3と湯止め具14,14とによって外部への流出が阻止される。
また、溶接部位が湯止め具14,14によって閉塞されているので、溶接時に収容部1を水平姿勢に保持しなくとも、例えば、斜めや垂直にして使用することができる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この電線の溶接方法およびその装置でも、鋼心アルミニウムより線および鋼心耐熱アルミニウム合金より線の場合、反応熱で鋼心線(鋼心の素線)が外側に広がり、以下の問題が発生する場合がある。
これを図7に基づいて説明する。図7は、特開平7−57847号公報に開示される電線の溶接方法およびその装置によって接合された鋼心アルミニウムより線(電線)21の端部21aの接合構造を示す。
【0024】
ここでは、対向する1対の鋼心アルミニウムより線21の端部21a同士が融着部24を介して接合されている。そして、融着部24には、押し湯の湯溜まり部25が形成されている。
この接合構造では、凝縮時のアルミニウムを補充するために設けた湯溜まり部25に鋼心線22の先端部23が飛び出し、溶接後、湯溜まり部25を切断ライン26に沿って切断すると、鋼心線22の先端部23が外表面に露出する。
【0025】
そこで、これを避けるため、融着部24の外径を大きくすると、与える熱量を多く必要とするため、鋼心線22自体の強度が低下するなど、溶接強度のバラツキが大きくなる。
また、融着部24の外径を大きくすると、熱量(加熱量と放熱量)のバランスコントロールが難しくなり、溶接強度のバラツキが大きくなる。
【0026】
さらに、湯溜まり部25を切断した時、鋼心線22の先端部23が外表面に露出すると、溶接後の防錆処理が必要になる。なお、溶接後に湯溜まり部25をカットしないと、鋼心アルミニウムより線(電線)21の片側に出っ張った湯溜まり部25が次工程のアーマーロッドを巻くのに支障をきたすこととなる。
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、接合時の反応熱による鋼心線(鋼心の素線)の外側への広がりを防止することができる鋼心アルミニウム電線の接合構造および溶接方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、鋼心アルミニウム電線の端部同士を溶接部を介して連結してなる鋼心アルミニウム電線の接合構造において、前記両端部には、溶接部の温度以上の融点をもつ材質からなる拘束リングを、前記鋼心線の外側のアルミニウムより線とアルミニウムより線との間に挿入することによって取り付けられていることを特徴とする。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の鋼心アルミニウム電線の接合構造において、前記拘束リングは、鉄またはステンレスからなることを特徴とする
【0029】
請求項記載の発明は、鋼心アルミニウム電線の端部同士を溶接器内に挿入し、前記端部を溶接部を介して連結する鋼心アルミニウム電線の溶接方法において、前記溶接前に、前記両端部に前記溶接部の温度以上の融点をもつ材質からなる拘束リングを、前記鋼心線の外側のアルミニウムより線とアルミニウムより線との間に挿入することによって取り付け、該拘束リングによって前記溶接時に鋼心線の広がりを防止することを特徴とする。
【0030】
請求項記載の発明は、請求項3記載の鋼心アルミニウム電線の溶接方法において、前記拘束リングは、鉄またはステンレスからなることを特徴とする。
【0031】
本発明が適用できるアルミニウム電線としては、鋼心線に亜鉛メッキ鋼線を使用した鋼心アルミニウムより線(ACSR線)、鋼心線にアルミニウム覆鋼線を使用した鋼心アルミニウムより線(ACSR/AC線)、鋼心線に亜鉛メッキ鋼線を使用した鋼心耐熱アルミニウム合金より線(TACSR線)、鋼心線にアルミニウム覆鋼線を使用した鋼心耐熱アルミニウム合金より線(TACSR/AC線)がある。
【0032】
(作用)
本発明においては、溶接部の温度(約730℃)以上の融点をもつ材質からなる拘束リング(例えば鉄またはステンレス)を鋼心線の外側のアルミニウムより線とアルミニウムより線との間に挿入しているので、溶接時の鋼心線(鋼心の素線)の広がりを拘束リングが抑制し、鋼心線の広がりを防止することができる。
【0033】
特に、亜鉛メッキ鋼線を使用した鋼心アルミニウムより線(ACSR線)、鋼心耐熱アルミニウム合金より線(TACSR線)の場合には、熱を加えた時に亜鉛の介在により鋼心線のFeと溶接用充填Alとが反応し、反応熱で鋼心線が大きく外側に広がる現象が見られるが、拘束リングによりその外側への広がりを確実に防止することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明の鋼心アルミニウム電線の接合構造および溶接方法に係る一実施形態を示す(請求項1〜請求項に対応する)。なお、本実施形態では、図3〜図6で示す一例と同様の方法および装置を用いた。そのため、その詳細は省略し、本実施形態の特徴部分である鋼心線の広がり防止について説明する。
【0035】
図1は、溶接器である収容部1に挿入する前の鋼心アルミニウムより線50の端部50aの1層目52をほぐし、溶接部の温度(約730℃)以上の融点をもつ材質からなる拘束リング(例えば鉄またはステンレス)60を、鋼心線51の外側の1層目52と2層目53との間に挿入する処理を説明する。
【0036】
このように拘束リング60を取り付けた一対の鋼心アルミニウムより線50は、図3の電線13と同様に、収容部1内に挿入される。
そして、特開平7−57847号公報に開示される電線の溶接方法およびその装置と同様に操作される。
この結果、図2に示すように、鋼心線(鋼心の素線)51の端部50aには、溶接部の温度(約730℃)以上の融点をもつ材質からなる拘束リング(例えば鉄またはステンレス)60が鋼心線51の外側のアルミニウムより線1層目52とアルミニウムより線2層目53との間に挿入されているので、溶接後においても、鋼心線(鋼心の素線)51の広がりを防止することができる。
【0037】
従って、切断ラインで湯溜まり部を切断しても、鋼心線51の端部が露出することがなくなる。
なお、図2において、54は湯溜まり部、55は融着部を表す。
本実施形態において、拘束リング60は、金属リングに限定されない。ただし、融点が高く(溶融する部位の温度以上)、鋼心線51の広がりを防ぎ、かつ、引張強度を低下させることがなく、低コストであれば良い。アルミニウムの融点は、約660℃であるが、収容部1のアルミニウム溶融部の温度は、実測値で660〜730℃程度である。
【0038】
また、本実施形態において、拘束リング60を鋼心線51の外側のアルミニウムより線1層目52とアルミニウムより線2層目53との間に挿入したが、拘束リング60は、安価な材質で、耐食性があれば鋼心アルミニウムより線50の外側でも良い。
ただし、拘束リング60の材質が鉄の場合は、耐食性がないため、溶融させたアルミニウム内にあれば問題ないが、外表面に露出した場合は、腐食するので好ましくない。
【0039】
また、拘束リング60の材質をステンレスにして外側におくことも考えられるが、ステンレスが外表面にでた場合、アルミニウムとステンレスの電蝕の問題があるので、好ましくない。特に、送電線は、海岸部にも使用されるため、耐食性の要求は厳しい。
一方、強度を満足させるためには、図2に示すように、鋼心線51を開かせた方が良い。そこで、鋼心線51を拘束リング60で直接拘束した場合、要求規格の強度が得られない。鋼心線51が開くことにより、アンカーの働きをし、強度が上がる。
【0040】
鋼心線51を拘束リング60で直接拘束した場合、鋼心線51とアルミニウムの反応熱を直接受けるため、0.5mm以下の鉄材の拘束リング60では溶融破断し、拘束の効果を果たさない。
ところで、本発明が適用できるアルミニウム電線である鋼心アルミニウムより線、鋼心耐熱アルミニウム合金より線の場合、#610以上の太い電線は鋼心線の外側のアルミニウムより線は3層であり、#410以下の電線のアルミニウムより線は2層である。#610以上の電線の場合は外側から2層目と3層目の間に入れても良い。
【0041】
また、外側層のアルミニウムより線を削り取り、アルミニウムより線2層目または3層目の外側に拘束リング60を嵌める方法も、アルミニウム溶接材の量が少し多く必要となるが可能である。
また、本実施形態では、拘束リング60を鋼心アルミニウム電線50の端面に挿入したが、端面から10mm程度奥に挿入しても良い。
【0042】
また、#330未満の細い電線および鋼心亜鉛メッキ線(ACSR線、TACSR線)の溶接も可能となった。
また、#330以上のサイズにおいてもこの方式により溶接品質の向上を図ることができた。
また、湯溜まり部54を切断する理由は次の通りである。
【0043】
ジャンパー線で使用する場合、アーマーロッドを巻くことが多いようである。そこで、湯溜まり部54をカットしないと、このアーマーロッドを巻くことができない。アーマーロッドを巻くと、強度比で5%程度強度がアップするので好ましい。さらに、その部位で何か処理をしているという目印となり、施工者に注意を促すこととなる。
【0044】
次に、本発明を実験例および比較例に基づいてさらに具体的に説明する。
(実験例1)
#160(公称断面積mm)の鋼心アルミニウムより線においてアルミニウムより線の外側1層目と2層目の間に鉄(SS400またはS45C)またはステンレス鋼(SUS304)製の幅2mm〜4mm、肉厚0.5mmのリングを挿入した。
【0045】
表1に、#160 ACSR アルミニウムより線の外側1層目と2層目の間に鉄製の幅4mm、肉厚0.5mmのリングを挿入した場合についてその結果を示す。
表1から明らかなように、試験環境が低温0℃、常温20℃を問わず、良好であった。
【0046】
なお、鋼心アルミニウムより線の接合(融着ジョイント)は、従来の圧縮スリーブの代替え施工法であるため、従来の圧縮スリーブに対する要求規格がそのまま連用されている。
JEC−166 鋼心アルミニウムより線用接続管
JEC−199 鋼心耐熱アルミニウム合金より線用接続管
この融着ジョイントは、ジャンパー線の接続として使用しているため、使用電線の引張荷重の30%以上の規格が適用されている(JEC−199参照)。
【0047】
なお、#160SRの場合、電線の引張強度は68.40kNであり、その30%は、20.52KNである。
従って、20.52kN以上の強度を要求されるが、融着ジョイントの融着部に使用しているアルミニウム円柱は、A1050であり、その際背負う引張応力は、59N/mmである。鉄板内径20.2mmで計算すると、18.9kN(27.6%)であり、30%以上を保証することは難しい。実際の強度30%を超えるデータがあるのは、SR線での鋼心線の開きによるアンカー効果と融着時の鋼心線とアルミニウムの反応により融着アルミニウム中へ鉄分が拡散し、合金を形成するためと思われる。
【表1】
Figure 0003574588
(比較例1)
鋼心の外側に拘束リングを直接挿入する手段も検討したが、挿入できるリングの厚みは、0.5mm程度であり、溶接時に金属リングは溶断してしまい効果を果たさなかった。
溶接器の収容部1の内径と鋼心アルミニウムより線の外径の差は、例えば#410の場合、2mmで片側1mmである。#410と#310は溶接器の内径は共通である。アルミニウム溶接部の温度は730℃に達する。
【0048】
特に、亜鉛メッキ鋼線を使用した鋼心アルミニウムより線(ACSR線)、鋼心耐熱アルミニウム合金より線(TACSR線)の場合には、熱を加えた時に亜鉛の介在により鋼線のFeと溶接用充填Alとが反応し発熱する。この場合、リングを鋼心と直接接触する方式では、反応熱で金属リングは溶融する。
表2に、#160(公称断面積mm)の鋼心アルミニウムより線(ACSR)の鋼心線の外側に幅5mm、肉厚0.5mmの鉄製のリングを直接挿入した場合の結果を示す。
【0049】
表2から明らかなように、試験品は、リングの破片に邪麗されて鋼心線自体の直接の外表面への露出はなかったが、鋼心線を拘束する目的が達せられていないため、鋼心線が飛び出す確率は非常に高い。
強度は、鋼心線が外側に広がっているため、高めの値になっている。
【表2】
Figure 0003574588
また、鋼心線を直接拘束して広がりを防止すると、鋼心線が広がる場合と比較して、溶接強度が不足する問題が生じる。(データSR58)
表3に、#160(公称断面積mm)の鋼心アルミニウムより線(ACSR)のアルミニウム線部を長さ5mm段付加工後、直接鋼心線の外側に幅5mm、肉厚1mmの鉄製のリングを挿入した場合の結果を示す。
【0050】
表3から明らかなように、肉厚1mmのリングを挿入するには、アルミニウム線部を段付き加工にする必要があり、溶融部の容積を計算上で調整したが、若干アルミニウム容量不足になり上部湯溜まり部にV字凹みが発生した。
【表3】
Figure 0003574588
アルミニウムより線を削り取り、鋼心の外側に直接リングを嵌める方法は、アルミニウム溶接材の量をその分多く必要とするため、熱量コントロールが難しく、鋼心自体の強度不足等、溶接強度が不足する。
【0051】
表4に、#160(公称断面積mm)の鋼心アルミニウムより線(ACSR)のアルミニウム線部を長さ10mm段付加工後、直接鋼心の外側に幅2mm、肉厚2mmの鉄製のリングをアルミニウム段付面まで挿入し、鋼心線の先端を8mm出して鋼心先端を開かせた場合の結果を示す。
表4から明らかなように、強度も若干低く、外観NGも発生し、安定性が低かった。
【表4】
Figure 0003574588
【0052】
【発明の効果】
以上のように、請求項1〜請求項記載の発明によれば、湯溜まり部および外表面への鋼心線の飛び出しを完全に防止できる。
請求項または請求項記載の発明によれば、アルミニウムより線の外側1層目と2層目の間に拘束リングを挿入することにより、拘束リングが鋼心線から直接受ける反応熱を軽減し、拘束リングの溶融破断を防止することができる。
【0053】
また、鋼線の飛び出しを防止するとともに、鋼心線の先端部を適度に開かせることにより、溶接後の引張強度の低下率を減少させることができた。
また、溶接後、拘束リング自体は外表面に露出しないので、防錆上の問題もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における拘束リングの取付を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態における鋼心アルミニウム電線の接合構造を示す説明図である。
【図3】特開平7−57847号公報に記載の電線の溶接方法および電線の溶接装置をアルミニウムニウム電線の溶接に適用した一例を示す断面図である。
【図4】図3のA−A線に沿った断面図である。
【図5】図3の要部拡大断面図である。
【図6】図3の隔壁部材の斜視図である。
【図7】従来の融着部の状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1 収容部
2 薬包外筒
3 隔壁部材
3c,11 通路
4 止め部材
9 加熱剤
12 アルミニウム溶接材
13 アルミニウム電線
13a アルミニウム電線13の端部
14 湯止め具
15 湯溜まり部
16 気体排気用の通路
17 連通部
50 鋼心アルミニウムより線
50a 端部
51 鋼心線(鋼心の素線)
52 1層目
53 2層目
54 湯溜まり部
55 融着部
60 拘束リング

Claims (4)

  1. 鋼心アルミニウム電線の端部同士を溶接部を介して連結してなる鋼心アルミニウム電線の接合構造において、前記両端部には、溶接部の温度以上の融点をもつ材質からなる拘束リングを、前記鋼心線の外側のアルミニウムより線とアルミニウムより線との間に挿入することによって取り付けられていることを特徴とする鋼心アルミニウム電線の接合構造。
  2. 請求項1記載の鋼心アルミニウム電線の接合構造において、前記拘束リングは、鉄またはステンレスからなることを特徴とする鋼心アルミニウム電線の接合構造。
  3. 鋼心アルミニウム電線の端部同士を溶接器内に挿入し、前記端部を溶接部を介して連結する鋼心アルミニウム電線の溶接方法において、前記溶接前に、前記両端部に前記溶接部の温度以上の融点をもつ材質からなる拘束リングを、前記鋼心線の外側のアルミニウムより線とアルミニウムより線との間に挿入することによって取り付け、該拘束リングによって前記溶接時に鋼心線の広がりを防止することを特徴とする鋼心アルミニウム電線の溶接方法。
  4. 請求項3記載の鋼心アルミニウム電線の溶接方法において、前記拘束リングは、鉄またはステンレスからなることを特徴とする鋼心アルミニウム電線の溶接方法。
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