JP2714471B2 - エンクローズアーク溶接方法 - Google Patents

エンクローズアーク溶接方法

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JP2714471B2
JP2714471B2 JP2054713A JP5471390A JP2714471B2 JP 2714471 B2 JP2714471 B2 JP 2714471B2 JP 2054713 A JP2054713 A JP 2054713A JP 5471390 A JP5471390 A JP 5471390A JP 2714471 B2 JP2714471 B2 JP 2714471B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は鉄筋等の棒状の被溶接材をその開先面間に適
長間隔をおいて配置し、開先面間の領域に当材をあてが
ったた状態でエンクローズ溶接するエンクローズアーク
溶接方法に関する。
[従来の技術] エンクローズアーク溶接法においては、接合しようと
する2本の鉄筋を適当な開先間隔を設けて同軸的に配置
し、その開先面間の領域を一部に開口部を有して囲繞す
る銅当金を配置し、更にこの銅当金の内面奥部、即ち、
鉄筋の開先面及び銅当金で囲まれた開先空間の裏部に金
属製の当材を配置する。次いで、前記開口部を介して前
記開先空間内に消耗溶接電極を挿入し、その開先空間の
奥部の底部からアーク形成を開始する。そして、このア
ークにより前記溶接電極を溶融させると共に、鉄筋の開
先面を溶融させ、発生スラグを開先外に排除しつつ、開
先空間に溶接金属を充填して継手を完成させる。このエ
ンクローズアーク溶接法は、鉄筋の継手工法として、狭
隘部への適用に極めて優れている等の利点がある。
一方、セルフシールドアーク溶接法においては、フラ
ックス入りワイヤを使用して生成するスラグにより溶融
部をシールドするものであり、外部からシールドガスを
供給しないで鉄筋を溶接する。このフラックス入りワイ
ヤは、大気を遮断するためのガス発生剤、スラグ生成
剤、脱酸剤及び脱窒剤等からなるフラックスを鋼製の外
皮内に充填したものである。このセルフシールドアーク
溶接方法は、溶接装置が簡素であり、持ち運びが容易で
あると共に、風の影響を受けにくいという利点があるた
め、屋外の溶接に適している。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、エンクローズアーク溶接法において
は、耐火材等の中の非導電性の当材を用いて溶接開始時
にアークを生成させる場合、通常、開先空間の奥部の開
先面との間でアークを発生させるが、アークが発生しに
くいときには、ワイヤ先端が鉄筋の開先面を滑り、開先
空間の裏部に配置された当材に当接してワイヤが曲が
り、ワイヤの変形によりアークの起動ができないことが
多い。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであっ
て、溶接開始時に確実にアークを発生させることがで
き、溶接ワイヤの変形を防止し、溶接作業性を向上させ
ることができるエンクローズアーク溶接方法を提供する
ことを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明に係るエンクローズアーク溶接方法は、棒状を
なす1対の被溶接材を、その接合端部の開先面間に所定
の開先間隔を設けて配置し、前記開先面間の領域を一部
に開口部を有して取り囲む当材を配置し、前記開口部か
ら溶接ワイヤを前記開先面間に挿入してアークを形成す
ることにより溶接するエンクローズアーク溶接方法にお
いて、前記当材は導電性部材が局部的に配設されて構成
されており、前記当材は全体で1100℃以上の軟化点を有
することを特徴とする。
[作用] 本発明においては、被溶接材の開先面間の領域を取り
囲むようにして当材を配設する。そして、溶接ワイヤを
この開先空間に挿入して溶接ワイヤと被溶接材との間に
アーク電圧を印加すると、開先空間の奥部に配置された
当材が導電性を有しているため、アークが確実に且つ容
易に発生する。そして、例えば、前記当材の近傍にて一
方の被溶接材側から溶接金属を盛って橋絡部を形成す
る。この場合に、開先の奥側に当材を配設してあるか
ら、溶接開始時に被溶接材の接合面の端部が溶落するこ
とはない。また、この当材を利用して被溶接材の接合面
間に容易に橋絡部を設けることができる。
また、当材は軟化点が1100℃以上の耐火性を有する材
料で成形されているので、アーク熱で溶融した溶融金属
と接してもスラグを介して、その溶融金属を保持するこ
とが可能で、最も欠陥が発生しやすい溶接開始部の健全
性を向上させることが容易となる。また、溶接後には当
材は除去されるので溶接部の外観及び性状を容易に目視
観察することができ、欠陥の有無を判定することもでき
る。しかも、耐火物製当材に接触した溶接部の接触面は
滑らかであるから、美麗な溶接部が得られる。
[実施例] 以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して
説明する。第1図(a)乃至(e)は本発明の実施例に
係るエンクローズアーク溶接方法を工程順に示す模式
図、第2図は第1図(a)のII-II線による断面図であ
る。
上方の鉄筋11と下方の鉄筋12とは、その接合面が軸方
向に対して実質的に垂直であり、従って、鉄筋11,12を
その軸方向を一致させて垂直に配置すると、両接合面は
略々水平に且つ平行に対向する。銅当金14は水平断面が
コ字形をなし、上鉄筋11と下鉄筋12との間に形成される
開先空間15を中心として鉄筋11,12を抱くようにして配
設される。両鉄筋11,12はその対向端部にてその軸心が
一致するようにいずれも銅当金14に固定された1対のク
ランパ(図示せず)に握持されており、この銅当金14及
びクランパを介して上下に対向して配設される。
鉄筋11,12間の開先空間15の背後の銅当金14には凹所1
6が形成されており、当材13が下方の鉄筋12の裏側の側
周面に接触して凹所16内に配設されている。この当材13
は銅当金14を水平方向に貫通するボルト17によりその背
後から下方鉄筋12に対して押付けられて固定されてい
る。
当材13は、第3図に示すように、平面視でU字形をな
し、電気比抵抗が5×10-1Ω・cm以下の導電性を有する
材料で成形されている。これは、例えば、セラミックに
導電性を有する黒鉛粉末を混合して焼成したもの等、種
々のものを使用することができる。また、この当材13の
厚さは例えば3mm以上であり、U字形の内面底と、U字
形先端との間の距離はU字形内面の湾曲半径の約2倍に
することが好ましい。更に、この当材13の幅は開先間隔
の1.5倍以上にすることが好ましい。当材の厚さが3mm未
満の場合には溶接金属との接触により加熱溶損し易く、
溶接金属の保持が困難となる。深さを半径の略2倍以上
とするのは被溶接鉄筋の周囲を可及的に長く囲繞して溶
接金属の保持を容易ならしめるためであり、当材の幅が
開先間隔の1.5倍未満では取付位置が開先に対して軸方
向にずれた場合に溶接金属の漏れが生じ易くなるためで
ある。
このようにして、上鉄筋11、下鉄筋12、当材13及び銅
当金14を配置した後、第1図(a)に示すように、ワイ
ヤ18を銅当金14のコ字開放側から開先空間15内に挿入
し、当材13の近傍(開先空間15の奥側)から溶接を開始
する。つまり、先ず、下方鉄筋12の接合面における当材
13の手前5乃至6mmの位置にてアークをスタートさせ、
直ちに、下方鉄筋12の接合面と当材13とのコーナー部に
アークを移動させ、アークを短くしながら、セミウィー
ビングを実施し、溶融金属の盛り上がりを待つ。この場
合に、溶接ワイヤ18としては前述の組成のセルフシール
ドアーク溶接フラックス入りワイヤを使用する。
そして、第1図(b)に示すように、溶融金属20を当
材13を利用し下方鉄筋12の接合面上に盛り付けていく。
この場合、生成するスラグ21は溶融金属20上に浮遊す
る。そして、上方鉄筋11の接合面(上開先)と溶融金属
20との間隔が2乃至3mmになったときにセミウィービン
グを停止し、アークを静止させて上開先の角部を溶融さ
せ、橋絡させる。
上鉄筋11と下鉄筋12とが橋絡した後は、第1図(c)
に示すように、セミウィービングを行いながら、発生ス
ラグを上方鉄筋11と当材13との間の間隙を利用して開先
外に排出しつつ、ワイヤ18を上方及び下方に交互に向け
て上開先側と下開先側の溶け込みを確保する。このよう
にして、第1図(d)及び第1図(e)に示すように、
開先の最前部まで溶融金属20の積層を継続する。次い
で、アークを中止し、溶融金属20を冷却させて凝固させ
た後、前記クランパを外し、当材13を溶接部から離脱さ
せて、溶接を終了する。
本実施例においては、当材13として、導電性を有する
ものを使用しているから、アークの形成が容易であり、
アークを円滑に且つ確実に形成することができる。従っ
て、溶接作業を円滑に開始することができる。
また、銅当金14の奥部に小片の当材13を下鉄筋12側に
当接させて配置することにより、上鉄筋11と下鉄筋12と
の溶接金属20の橋絡が可能になる。そして、上鉄筋11と
下鉄筋12との接合面で形成されるI形開先を横向でアー
ク溶接する。当材13を使用せずに溶接すると、I形開先
部の奥部において上鉄筋11と下鉄筋12との適正な橋絡は
形成されにくい。溶接姿勢の関係上、溶融金属20は下鉄
筋12の開先面(接合面)上に広がり易く、上鉄筋11にま
で到達し難いからである。このように、小片の当材13は
開先奥部において溶融金属20を堆積させ、上下鉄筋間で
の橋絡を促進させる機能を有する。
また、当材13は軟化点が1100℃以上の耐火性を有する
材料で成形されているから、溶接金属と接して部分的に
溶融し、いわゆる裏波ビードを形成させる。従って、溶
接終了後に当材13を溶接部から容易に離脱させることが
でき、裏波ビードが形成された溶接部の外観及び性状を
目視観察して欠陥の有無を把握することができる。更
に、当材13としてガラス質の耐火物を使用すれば、光沢
がある滑らかな表面が得られ、美麗な溶接部が得られ
る。
上述の如く、当材13を利用して橋絡を形成するために
は、当材13における下方鉄筋12の周方向の両端部が鉄筋
12の軸心となす中心角度θが30°以上であることが必要
である。
また、上鉄筋11と当材13との間隔d(mm)は、2乃至
D/2mmとすることが好ましい。但し、D(mm)は上鉄筋1
1と下鉄筋12との間の間隔である。dが2mm未満である
と、スラグ21の逃げが悪くなり、スラグの巻き込みが発
生しやすい。また、スラグ21を排出するために高度の技
能及び溶接条件の厳格な監視が必要となる。一方、dが
D/2を超えると、溶融金属20による橋絡部が形成されに
くくなる。このため、継手が完成できにくい。
本法は水平に配された鉄筋の下向き姿勢溶接にそのま
ま適用できることはいうまでもない。なお、この場合に
は当材は被溶接材にまたがるように配置するばよく、溶
接操作も前記垂直筋継手施工に準じて行うことができ
る。
次に、導電性を有する当材13の変形例について、第4
図乃至第7図を参照して説明する。なお、各図におい
て、図番(a)はいずれも正面図、図番(b)はいずれ
も平面図である。
第4図に示す当材30は、U字形の耐火物製基部31の内
面の中央に、耐火性を有する略板状の導電性部材32を埋
め込んで一体化させ、導電性部材32の内面を基部31の内
面と面一にして構成されている。
また、第5図に示す当材33は同じく耐火物製のU字形
基部34の内面略中央に溝を設け、この溝に帯状の導電性
部材35を嵌め込んで機械的に係止させたものである。
更に、第6図に示す当材36はU字形基部37の内面に、
その周方向に沿って帯状の金属性導電性部材38を貼付し
たものである。
更にまた、第7図に示す当材39はU字形をなす基部40
の内面に、導電性耐火材からなる導電性部材を敷設した
ものである。
これらのいずれの当材も、前述の当材13と同様の効果
を有する。
ところで、鉄筋継手工事は屋外で行われるのが一般的
であるが、特に高層建築工事等においては、風速が10m/
秒を超える強風の環境下において溶接施工することが必
要になる。炭酸ガスアーク溶接法による継手工法では大
掛かりな風防手段を設ける必要があり、このため、作業
が繁雑であって施工性が劣る。
これに対し、セルフシールドアーク溶接法は、耐風性
能が優れていると共に、シールドガスが不要であり、こ
のガス費用を削減できるのに加え、作業手順の簡略化と
併せて施工コストを著しく削減することができる。ま
た、このセルフシールドアーク溶接法は、能率が優れて
いるため、手溶接に比して溶接時間を短縮することがで
きるのに加え、炭酸ガス溶接法と比較しても全作業時間
の短縮を図ることができる。更に、継手性能も優れてい
ると共に、炭酸ガスアーク溶接及び被覆アーク溶接法で
は、概ね専用治具が必要なのに対し、セルフシールドア
ーク溶接法においては、単に開先に当材を粘着テープ等
で係止するだけでも事足りる。
従って、狭隘部への溶接施工に適しているエンクロー
ズアーク溶接法に、耐風性が優れているセルフシールド
アーク溶接法を適用することにより、高層建築工事等の
ように、作業環境が狭く、風の影響が強い場所での高能
率及び高品質な溶接施工が可能になる。
而して、1対の鉄筋の開先面及び銅当金に囲まれた開
先空間に通常のセルフシールドアーク溶接フラックス入
りワイヤを挿入してワイヤ及び鉄筋の開先面を溶融させ
た場合に、ワイヤの溶融により発生したスラグが溶融金
属中に巻き込まれ、スラグの存在により継手部に融合不
良等が発生しやすい。
そこで、フラックスの組成を適切に選定して生成スラ
グの流動性を高めることが好ましい。このように、フラ
ックスの組成を適切に選定してスラグの流動性を高める
ことにより、開先空間内でアークの形成により生成した
スラグは確実に上方に浮いていき、当材13と上方の鉄筋
11との間に形成された間隙から排出されるので、スラグ
の巻き込みが発生することがなく、継手部に融合不良等
の欠陥が発生することはない。なお、水平配筋の下向き
溶接継手施工においては、生成スラグは溶接金属上に常
に浮上してくるので、前記垂直筋施工の如く、当材を特
別な位置に配置するということが必要である。また、こ
のような組成のフラックス入りワイヤを使用してセルフ
シールドアーク溶接すると、鉄筋の開先面における溶け
込みが大きく、高強度の継手部が得られると共に、アー
クも安定しているので、溶接作業性が優れている。
上述の生成スラグの流動性が高いシールドアーク溶接
フラックス入りワイヤとしては、以下に示す組成のフラ
ックス成分を鋼製外皮内に充填したものがある。
フラックス組成 金属弗化物:20乃至30重量%、 金属炭酸塩:2乃至10重量%、 Al:8乃至15重量%、 Mg:5乃至10重量%、 Mn:0.5乃至8重量%、及び 鉄分:35乃至60重量%を含有し、 金属弗化物/鉄分の比を0.4乃至0.7に調整したフラック
スである。
このような組成のフラックスを鋼製外皮内に17乃至23
重量%のフラックス率で充填することによりスラグの流
動性が高く、スラグの巻き込み及び融合不良を回避する
ことができるフラックス入りワイヤを得ることができ
る。
次に、上述のごとく、フラックスの組成を限定する理
由について説明する。
金属弗化物 金属弗化物は、シールド剤であると共に主要な造滓剤
である。金属弗化物量が少ないと、作業性が向上するも
のの、過少になるとシールドが不十分になり、ピット及
びブローホール等の欠陥が発生する。このため、金属弗
化物は少なくとも20重量%以上添加する必要がある。
一方、金属弗化物の添加量が多いほどシールド効果が
向上するものの、スパッタ及びヒューム量が増大し、溶
接作業性が劣化する。特に、金属弗化物が30重量%を超
えると、スラグの融点が低下し、横向等の溶接姿勢にお
いてはビードが垂れ落ち易くなり、これがコールドラッ
プの原因となる。
従って、金属弗化物の添加量は20乃至30重量%の範囲
とする。金属シールド性及び作業性を勘案して、金属弗
化物の最適添加量は22乃至26重量%である。
なお、金属弗化物としては、種々のものを使用できる
が、スラグの剥離性及び耐吸湿性の観点から蛍石(Ca
F2)を使用することが最も望ましい。なお、蛍石量の一
部をLiF、K2SiF6、NaF又はBaF等で置換すると、溶滴移
行がスムーズになり、吹き付け等を改善できる。しか
し、LiF等による置換量が過大になるとスラグの剥離性
等が損なわれると共に、スパッタ量が増大するので、置
換量は10重量%以下にするのが好ましい。
金属炭酸塩 金属炭酸塩はスラグの剥離性及びスラグの粘性を溶接
施工上好ましいものにする成分である。従って、金属炭
酸塩をフラックスに添加すると、光沢のあるビード表面
が得られる共に、ビードの垂れ落ちが改善され、均一で
平滑なビード形状が得られる。更に、金属炭酸塩はシー
ルド剤としても作用する。このような効果を得るために
は、金属炭酸塩は少なくとも2重量%以上添加する必要
がある。金属炭酸塩の含有量が2重量%よりも少なくな
ると、スラグが焼付く傾向にあり、またスラグの粘性が
低くなるので均一且つ平滑なビード形状が得られない。
金属炭酸塩の添加量が多いほどスラグの剥離性、ビード
形状及びシールド性は改善されるが、10重量%を超えて
添加すると、溶接時に発生する分解ガス(CO2)のた
め、著しく大粒のスパッタが発生し、作業性上好ましく
ない。
従って、金属炭酸塩の添加量は2乃至10重量%の範囲
とする。上述の効果を確実に得るためには、添加量を可
及的に狭ばめて制御することが望ましく、金属炭酸塩の
最適添加量は4乃至7重量%となる。
なお、金属炭酸塩としては、CaCO3が最も適当である
が、CaCO3に加えて、又はCaCO3の外にBaCO3又はSrCO3
も使用することができる。
Al Alは脱酸剤として作用すると共に溶着金属中に侵入し
たNを固定し、ピット及びブローホールを防止する効果
がある。しかし、Al含有量が8重量%未満の場合はピッ
ト及びブローホールが発生し、健全な溶接部が得られな
い。また、Al含有量15重量%を超えると、溶着金属中に
残存するAlが増加するので結晶粒が粒大化し、著しく延
性を損なうので好ましくない。
従って、Alの添加量は8乃至15重量%の範囲とする。
なお、Al原料としては、金属Al又はFe-Al及びAl-Mg等の
合金で使用するのが好ましい。
Mg Mgは蒸気になって溶接部をシールドすると共に、脱酸
剤としても作用する。しかし、Mg含有量が5重量%未満
の場合はピット及びブローホールの抑制が困難である。
また、Mgの含有量が10重量%を超えると添加が過剰にな
り、スラグの粘性が低下し、ビードの垂れ落ちを助長す
る。また、ヒューム量も著しく増加して好ましくない。
従って、Mgの添加量は5乃至10重量%の範囲とする。
なお、Mg原料としてはMg粉末又はAl-Mg、Si-Mg及びNi-M
g等の合金を使用するのが好ましい。
Mn Mnは脱酸剤として添加するものであるが、その外に溶
着金属に適正な引張強さを与える作用がある。しかし、
Mn含有量が0.5重量%未満の場合は十分な引張強さを得
ることができない。また、Mn含有量が8重量%を超える
と引張強さが過剰になり、曲げ延性が著しく損なわれ
る。
従って、Mnの添加量は0.5乃至8重量%の範囲とす
る。なお、Mn原料としては、Mn粉末又はFe-Mn及びFe-Si
-Mn等の合金を使用することが好ましい。
鉄粉 鉄粉はフラックの流動性を増大するので、フラックス
率を安定にする作用がある。また、鉄粉がワイヤ内に存
在する場合は鉄粉は熱を伝導させる作用を有すると共
に、弗化物の溶融を促進する作用がある。従って、鉄粉
はアークを安定にし且つ溶融状態を安定化する効果があ
る。しかし、鉄粉含有量が35重量%未満の場合はフラッ
クス柱の生成が観察され、溶接欠陥の抑制上好ましくな
い。また、スパッタが増加するという問題点がある。一
方、鉄粉含有量が60重量%を超えると、金属弗化物等が
相対的に減少し、シールド性が低下する等の問題点が発
生するので好ましくない。
従って、鉄粉の添加量は35乃至60重量%の範囲とす
る。なお、鉄粉の嵩比重は2.5乃至3.7であることが望ま
しく、この範囲内であれば含有成分に対する制約は受け
ない。
金属弗化物/鉄粉の比 本願発明者等は主要な造滓剤である金属弗化物の量と
溶融現象との関係を調査したところ、金属弗化物/鉄分
の比がアーク発生状態の良否と密接な関係があることを
見い出した。この金属弗化物/鉄粉の比が0.4乃至0.7の
範囲でアークが安定して形成された。
即ち、第8図に横軸に金属弗化物/鉄粉の比をとり、
縦軸にスパッタ量及び溶着金属の全N量をとって、前記
比とスパッタ量及び溶着金属の全N量との関係の一例を
示すように、この比が0.7を超えるとアークの安定性が
損なわれ、スパッタ発生量が増大する。一方、この比が
0.4未満の場合にはシールド不良等が生じ、溶着金属中
の全N量が増加し、溶接特性が劣化する。従って、前記
比は0.4乃至0.7の範囲にする。
フラックスに関しては上述の組成において目的とする
溶接性能が得られるが、必要に応じてフラックスに以下
に示す成分を加えてフラックス入りワイヤを製造するこ
とができる。
C Cは靱性を向上させる作用があるので、ワイヤ全重量
当たり0.2乃至0.4重量%の範囲で添加することができ
る。Cの含有量が0.2重量%未満の場合では靱性の向上
効果が少なく、0.4重量%を超えると溶着金属の引張強
さが過剰となり、逆に靱性が低下するので好ましくな
い。
Ni Niは、Cと同様、靱性を向上させる効果があるので、
ワイヤ全重量当たり0.2乃至3重量%の範囲で添加する
ことができる。Ni含有量が0.2重量%未満の場合ではこ
のNi添加効果が得られず、3重量%を超えると溶着金属
の引張強さが過剰になり、靱性を損なうので好ましくな
い。
なお、ワイヤ中の水分は金属弗化物との相乗作用によ
りシールド性を向上させる作用があるので、ワイヤ中の
水分量は400乃至2000ppmに規制するのが望ましい。但
し、水分量が400ppm未満の場合はその効果が少なく、20
00ppmを超えると耐ピット性及び耐割れ性の面で問題が
生じ易くなる。
フラックス率 ワイヤ構成中のフラックス率(ワイヤ全重量に占める
フラックス重量)は17乃至23重量%である。フラックス
率が17重量%未満の場合は、必要なスラグ量が確保でき
なくなるので作業性を劣化させる。また、フラックス率
が23重量%を超えるとフラックス入りワイヤの製造工程
で伸線中に断線が発生しやすく、製造工程が非効率的に
なる。このため、フラックス率は17乃至23重量%にする
必要がある。
なお、このセルフシールドアーク溶接フラックス入り
ワイヤは上記成分を混合したフラックスを鋼製の外皮内
に充填したものであるが、外皮成分については、本発明
の性能を達成する上でSi含有量が1%以下、全N量が10
0ppm以下の鋼材を使用することが望ましい。外皮中の上
記成分を抑えることによりアーク特性が向上し、スパッ
タ発生量を更に一層低減することができる。従って、全
N量はピット及びブローホールの発生を防ぐために、10
0ppm以下にすることが好ましい。
また、上述のセルフシールドアーク溶接フラックス入
りワイヤは、通常のフラックス入りワイヤと同様の製造
方法により製造することができる。
本実施例方法においては、セルフシールドアーク溶接
フラックス入りワイヤとして、前述の組成のワイヤを使
用するから、生成したスラグの流動性が優れており、開
先空間内の溶着金属中から容易に排出される。従って、
スラグの巻き込み及び溶接金属と鉄筋との間の融合不良
等の欠陥の発生が抑制される。
次に、本発明の実施例方法により実際にI開先の立向
溶接を実施した結果について説明する。
使用鉄筋;SD35,SD40(JIS) 鉄筋形状;JIS G3112(鉄筋コンクリート用棒鋼) 鉄筋径;D21及びD38 溶接ワイヤ;SD35及びSD40のいずれの場合も、直径が2.0
mmで後述する第3表に記載のフラックス組成のものを使
用 開先間隔;D22の場合は10mm及び14mm、D38の場合は12mm
及び16mm 当材;幅が25mm、長さが20mm、厚さが10mmのコージェラ
イト(軟化点1300〜1400℃)の表面に幅が12mm、長さが
20mm、厚さが0.6mmの軟鋼帯をかしめ固定したもの(第
5図に示すもの) 溶接電流;D38の場合は290乃至310A、D22の場合は290乃
至310A。
この溶接条件により溶接した場合に得られた溶接部の
特性を下記第1表に示す。
いずれも十分な強度及び延性を有する。
また、下記第2表は直径がD41の鉄筋を使用して、本
発明の実施例方法により溶接した場合と、従来方法によ
り溶接した場合とについてその溶接結果を両者を比較し
て示す。
この第2表から明らかなように、本実施例方法によれ
ば、従来方法に比較して所要時間が著しく減少し、極め
て高能率化された。
また、上述の如く、接合面を水平にしてエンクローズ
アーク溶接することができるから、鉄筋の先組みに際
し、その方向性を考慮して鉄筋を組立てる必要はなく、
従って、迅速に先組みすることができ、先組工法のメリ
ットを十分に生かすことができる。また、鉄筋にはその
軸方向に実質的に垂直の接合面を形成すればよいから、
開先形状の形成が容易であると共に、切捨部が少ないか
ら歩留りが高い。
次に、下記第3表に示すフラックス組成のワイヤを使
用してエンクローズアーク溶接し、その作業性及び機械
的性質等を調べた結果について説明する。
この第3表に示すように、作業性及び機械的性質のい
ずれも優れていた。
[発明の効果] 本発明によれば、開先空間の奥部に配設される当材と
して、導電性を有するものを使用するから、アークを容
易に発生させることができ、溶接作業を円滑に開始する
ことができる。
また、エンクローズアーク溶接法にセルフシールドア
ーク溶接法を組み合わせた場合、更にその使用するフラ
ックス入りワイヤのフラックスの組成及びフラックス率
等を所定のものにした場合は、スラグの流動性が高く、
スラグの巻き込み及び融合不良の発生を回避することが
できる。従って、エンクローズアーク溶接の利点とセル
フシールドアーク溶接の利点とを有効に発揮させること
ができ、本発明方法は高層建築物等の鉄筋の溶接施工に
極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)乃至(e)は本発明の実施例に係るエンク
ローズアーク溶接方法を工程順に示す模式図、第2図は
第1図(a)のII-II線による断面図、第3図は当材13
を示す斜視図、第4図乃至第7図は当材の変形例を示す
図、第8図は金属弗化物/鉄粉の比とスパッタ量及び溶
着金属の全N量との関係を示すグラフ図、である。 11,12;鉄筋、13,30,33,36,39;当材、14;銅当金、15;開
先空間、23;凹所

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】棒状をなす1対の被溶接材を、その接合端
    部の開先面間に所定の開先間隔を設けて配置し、前記開
    先面間の領域を一部に開口部を有して取り囲む当材を配
    置し、前記開口部から溶接ワイヤを前記開先面間に挿入
    してアークを形成することにより溶接するエンクローズ
    アーク溶接方法において、前記当材は導電性部材が局部
    的に配設されて構成されており、前記当材は全体で1100
    ℃以上の軟化点を有することを特徴とするエンクローズ
    アーク溶接方法。
  2. 【請求項2】セルフシールドアーク溶接フラックス入り
    ワイヤにより前記開先面間にアークを形成して溶接する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンクローズアーク
    溶接方法。
  3. 【請求項3】前記導電性部材は電気比抵抗が5×10-1Ω
    ・cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載
    のエンクローズアーク溶接方法。
  4. 【請求項4】前記導電性部材は金属又は合金で形成され
    ていることを特徴とする請求項3に記載のエンクローズ
    アーク溶接方法。
  5. 【請求項5】前記フラックス入りワイヤは、金属弗化
    物:20乃至30重量%、金属炭酸塩:2乃至10重量%、Al:8
    乃至15重量%、Mg:5乃至10重量%、Mn:0.5乃至8重量
    %、及び鉄分:35乃至60重量%を含有し、金属弗化物/
    鉄分の比を0.4乃至0.7に調整したフラックスを鋼製外皮
    内に17乃至23重量%のフラックス率で充填したものであ
    ることを特徴とする請求項2に記載のエンクローズアー
    ク溶接方法。
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JPH07108457B2 (ja) * 1988-01-22 1995-11-22 株式会社神戸製鋼所 エンクローズアーク溶接方法
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