JP3573853B2

JP3573853B2 - 密閉型電池

Info

Publication number: JP3573853B2
Application number: JP31234995A
Authority: JP
Inventors: 誠二森田
Original assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Current assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Priority date: 1995-11-30
Filing date: 1995-11-30
Publication date: 2004-10-06
Anticipated expiration: 2015-11-30
Also published as: JPH09153351A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
発電要素が内蔵された有底筒状の一極性端子兼用外装缶とこの外装缶の開口部に固定された金属封口蓋とを備え、外装缶と金属封口蓋とが溶着固定された構造の密閉型電池に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
この種密閉型電池の一例としては、実開昭５８−６０８６２号公報に示されるものが提案されている。当該公報に示される電池は、図８に示すように、金属封口蓋２１の透孔２１ａに絶縁ガスケット２２を介して断面Ｔ字状の他極性端子ピン２３が挿通され、この他極性端子ピンの軸部２３ａに金属ワッシャ２４が嵌合された状態で軸部２３ａの先端部をかしめることにより、上記金属封口蓋２１と絶縁ガスケット２２とを挾持する構造である。
【０００３】
また、他極性端子ピン２３における絶縁ガスケット２２と接触する側には環状突起部２３ｂが形成されており、この環状突起部２３ｂが絶縁ガスケット２２を押圧することにより絶縁ガスケット２２と金属封口蓋２１との間で高い固着力を得ようとする構造である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構造の密閉型電池では、長時間経過した場合には、環状突起部２３ｂよりも外側に位置する絶縁ガスケット２２が、環状突起部２３ｂの押圧力により外方に押圧されて、絶縁ガスケット２２が外方（図８の矢符方向）に移動する。このため、絶縁ガスケット２２と金属封口蓋２１との固着力が徐々に低下し、クリープ現象を起こし、電池内の電解液が外部に漏れるという課題を有していた。また、更に長時間経過した場合には、絶縁ガスケット２２が外方に移動する結果、絶縁ガスケット２２の周方向に大きな圧力が加わり、図９に示すように（尚、図９では、理解の容易のために絶縁ガスケット２２にハッチングを描いている）絶縁ガスケット２２にクラック２６が生じることがある。この結果、このクラック２６から多量の電解液が外部に漏れるという課題を有していた。尚、この種の電池においては絶縁ガスケットとしてポリプロピレン、ポリエチレン等から成る射出成型した樹脂が一般的に用いられるが、射出成型の際、金型内を流れる樹脂の先端同士が接合する所謂ウェルド部が存在する。当該ウェルド部は樹脂同士の接合力が他の部分に比べて弱いため、当該部位で特に上記クラック２６が発生し易い。また、電池の環境温度が高くなるほど、上記固着力の低下やクラックの発生等が生じ易くなる。
【０００５】
本発明は、斯かる知見に基づきなされたものであって、その目的とするところは、長期間或いは高温で電池を保存、使用した場合であっても、固着力の低下やクラックの発生による電解液の漏出を防止することができる密閉型電池を提供するにある。
【０００６】
上記目的を達成するために、第一の態様の本発明は、発電要素が内蔵された有底筒状の一極性端子兼用外装缶と、この外装缶の開口部に固定された金属封口蓋とを備え、この金属封口蓋に設けられた透孔に、鍔部と軸部とから成る他極性端子ピンの軸部が挿通され、この軸部に嵌められた金属ワッシャと上記他極性端子ピンの鍔部とで、上記金属封口蓋と、上記金属封口蓋と上記他極性端子ピンの鍔部との間に介在する外部絶縁ガスケットと、上記金属封口蓋と上記金属ワッシャとの間に介在する内部絶縁ガスケットとが挟持される密閉型電池において、上記外部絶縁ガスケットと内部絶縁ガスケットのうち少なくとも一方の絶縁ガスケットに対応する他極性端子ピンの鍔部又は金属ワッシャには、上記絶縁ガスケットを押圧する環状の第１突起と、この第１突起の外側に位置し上記絶縁ガスケットの外周端を押圧する第２突起とを有することを特徴とする。
【０００７】
ここで、前記第２突起を環状とすることができる。
また、前記第１突起と前記第２突起に押圧される前記外部絶縁ガスケット及び／又は内部絶縁ガスケットの外周端に、薄肉のフランジ部を一体形成することができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図１〜図７に基づいて、以下に説明する。
図１に示すように、一極性端子を兼用する有底筒状の外装缶１内には、正極と、負極と、電解液が含浸されたセパレータとから成る発電要素（図示せず）が内蔵されている。上記外装缶１の開口縁１ａには金属封口蓋２の曲げ部２ａが溶着されており、電池を封口する構成となっている。上記金属封口蓋２の中央には透孔２ｂが形成されており、この透孔２ｂには絶縁ガスケット３の筒部９を介して、軸部４ａと鍔部４ｂとから成る他極性端子ピン４の軸部４ａが挿通されている。上記絶縁ガスケット３は前記金属封口蓋２の上下両面に一体形成され、金属封口蓋２の上部（電池外方）に形成された外部絶縁ガスケット７と金属封口蓋２の下部（電池内方）に形成された内部絶縁ガスケット８とを有する。また、上記軸部４ａの先端近傍には更に金属ワッシャ５の挿通孔５ａが挿通され、その先端部はかしめ固定されている。これによって、上記金属ワッシャ５と上記他極性端子ピン４の鍔部４ｂとで、前記金属封口蓋２及び前記絶縁ガスケット３を挾持する構造となっている。
【０００９】
ここで、上記内部絶縁ガスケット８は前記金属ワッシャ５より若干大径となるように構成されている。一方、上記外部絶縁ガスケット７は、図２に示すように、前記他極性端子ピン４の鍔部４ｂと略同径の厚肉部７ａと、この厚肉部７ａと繋がって中心から外方に延びる薄肉部７ｂとから成る。
【００１０】
一方、上記他極性端子ピン４の鍔部４ｂの略中央部には環状の第１突起４ｃが形成されており、この第１突起４ｃにより、上記厚肉部７ａの中央部が押圧される。具体的には、上記厚肉部７ａの中央部は、金属封口蓋２方向（図１の矢符Ｃ方向）に押圧されると共に、第１突起４ｃより中心側にある厚肉部７ａは電池の中心方向（図１の矢符Ａ方向）に、第１突起４ｃより外側にある厚肉部７ａは電池の外方向（図１の矢符Ｂ方向）に押圧される。更に、上記他極性端子ピン４の鍔部４ｂの最外周部には環状の第２突起４ｄが形成されており、この第２突起４ｄにより上記厚肉部７ａの外周端が押圧される。具体的には、上記厚肉部７ａの外周端は、金属封口蓋２方向（図１の矢符Ｃ方向）に押圧されると共に、電池の中心方向（図１の矢符Ａ方向）に押圧されることになる。
【００１１】
上記の構成であれば、第１突起４ｃよりも外側にある厚肉部７ａが電池の外方向（図１の矢符Ｂ方向）に押圧されても、厚肉部７ａの外周端には厚肉部７ａが外方向に移動するのを阻止する第２突起４ｄが存在するため、外部絶縁ガスケット７の押圧力が低下したり、外部絶縁ガスケット７にクラックが生じたりするのを防止することができる。したがって、電池を長期間放置、使用したり、高温で放置、使用したりしても、クリープ現象を起こして電解液が電池外部に漏出するのを抑制することができる。
【００１２】
ここで、上記厚肉部７ａの外周端を押圧する第２突起４ｄは他極性端子ピン４の鍔部４ｂに形成されることに限られるものではなく、図３に示すように金属ワッシャ５に第２突起５ｄを形成しても良く（この場合には、内部絶縁ガスケット８に厚肉部８ａと薄肉部８ｂとが形成される）、図４に示すように他極性端子ピン４の鍔部４ｂと金属ワッシャ５とに第２突起４ｄ・５ｄを形成しても良い（この場合には、外部絶縁ガスケット７と内部絶縁ガスケット８とに厚肉部７ａ・８ａと薄肉部７ｂ・８ｂとが形成される）。特に、図４に示すように他極性端子ピン４と金属ワッシャ５とに第２突起４ｄ・５ｄ形成すれば、電解液の漏出を一層抑制することが可能となる。
【００１３】
また、図１〜図４に示す例では、両絶縁ガスケット７・８の少なくとも一方に厚肉部７ａ・８ａと薄肉部７ｂ・８ｂとが形成されているが、本発明はこのような構造の両絶縁ガスケット７・８に限定されるものではなく、図５〜図７に示すように、絶縁ガスケットに薄肉部と厚肉部とが存在しない（即ち、絶縁ガスケットが同一厚みとなっている）電池にも適用できる。この場合には、第２突起４ｄ・５ｄが、少なくとも一方の両絶縁ガスケット７・８の外周端を押圧するような構造とすれば良い。具体的には、図５に示すように他極性端子ピン４の鍔部４ｂに第２突起４ｄを形成しても良く、図６に示すように金属ワッシャ５に第２突起５ｄを形成しても良く、また、図７に示すように他極性端子ピン４の鍔部４ｂと金属ワッシャ５とに第２突起４ｄ・５ｄを形成しても良い。
【００１４】
更に、上述の態様では、第２突起４ｄを環状としているが、これに限定されるものではなく、他極性端子ピン４の鍔部４ｂ又は金属ワッシャ５の少なくとも２箇所に単なる突起を形成すれば本発明の目的は達成される。但し、突起を多数形成し、或いは環状とした方が、本発明の目的はより十分に達成されることになる。
【００１５】
加えて、図１〜図７では第１突起４ｃを１つしか設けていないが、第１突起４ｃが複数あっても良いことは勿論のことである。
【００１６】
また、上記両極とセパレータとから成る発電要素、外装缶１、金属封口蓋２、絶縁ガスケット３、他極性端子ピン４及び金属ワッシャ５としては以下のようなものが例示されるが、上記本発明の作用を鑑みればこれらのものに限定されるものではない。
【００１７】
発電要素としては、ＬｉＮｉＯ_２、ＬｉＣｏＯ_２、ＭｎＯ_２等を主体とする正極と、炭素材料、金属リチウム等を主体とする負極と、ポリプロピレン製の微多孔膜から成るセパレータとから構成される非水電解液電池、ニッケルを主体とする正極と、水素吸蔵合金を主体とする負極と、ナイロン不織布から成るセパレータとから構成される金属−水素アルカリ電池等が例示される。
【００１８】
また、本発明は一次電池、二次電池を問わず全ての密閉型電池に適用し得る。
【００１９】
外装缶１及び金属封口蓋２の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス又は鉄等が例示される。
【００２０】
絶縁ガスケット３の材料としては、ポリプロピレン又はポリエチレン等が例示される。
【００２１】
他極性端子ピン４及び金属ワッシャ５の材料としては、金属ニッケル、ステンレス等が例示される。
【００２２】
【実施例】
図１及び図２に示す本発明電池と、図８及び図９に示す従来電池とを、環境温度９０℃で保存し、絶縁ガスケットのクラック発生状況と電解液の漏液状況とを調べたので、それらの結果を下記表１に示す。
尚、各電池のサンプル数は５０個である。
【００２３】
【表１】

【００２４】
上記表１から明らかなように、本発明の電池では１００日経過しても全くクラック発生や電解液の漏液が認められないのに対して、従来の電池では５０日経過時点でクラック発生と電解液の漏液とが認められ、１００日経過後には多数の電池にクラック発生と電解液の漏液とが認められる。
【００２５】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、絶縁ガスケットがクリープ現象を起こして絶縁ガスケットの押圧力が低下したり、絶縁ガスケットにクラックが生じたりするのを防止することができる。したがって、密閉型電池を長期間放置、使用したり、高温で放置、使用したりしても電解液が電池外部に漏出するのを抑制することができる。
【００２６】
特に、絶縁ガスケットの外周端を押圧する第２突起が環状に形成されていれば、上記の効果が一層発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明電池の断面図である。
【図２】本発明電池の要部分解断面図である。
【図３】本発明電池の第１変形例の要部断面図である。
【図４】本発明電池の第２変形例の要部断面図である。
【図５】本発明電池の第３変形例の要部断面図である。
【図６】本発明電池の第４変形例の要部断面図である。
【図７】本発明電池の第５変形例の要部断面図である。
【図８】従来電池の断面図である。
【図９】従来電池の平面図である。
【符号の説明】
１：外装缶
２：金属封口蓋
２ｂ：透孔
３：絶縁ガスケット
４：他極性端子ピン
４ａ：軸部
４ｂ：鍔部
４ｃ：第１突起
４ｄ：第２突起
５：金属ワッシャ
７：外部絶縁ガスケット
７ａ：厚肉部
７ｂ：薄肉部
８：内部絶縁ガスケット

Claims

発電要素が内蔵された有底筒状の一極性端子兼用外装缶と、この外装缶の開口部に固定された金属封口蓋とを備え、この金属封口蓋に設けられた透孔に、鍔部と軸部とから成る他極性端子ピンの軸部が挿通され、この軸部に嵌められた金属ワッシャと上記他極性端子ピンの鍔部とで、上記金属封口蓋と、上記金属封口蓋と上記他極性端子ピンの鍔部との間に介在する外部絶縁ガスケットと、上記金属封口蓋と上記金属ワッシャとの間に介在する内部絶縁ガスケットとが挟持される密閉型電池において、
上記外部絶縁ガスケットと内部絶縁ガスケットのうち少なくとも一方の絶縁ガスケットに対応する他極性端子ピンの鍔部又は金属ワッシャには、上記絶縁ガスケットを押圧する環状の第１突起と、この第１突起の外側に位置し上記絶縁ガスケットの外周端を押圧する第２突起とを有することを特徴とする密閉型電池。
前記第２突起が環状であることを特徴とする請求項１記載の密閉型電池。
前記第１突起と前記第２突起に押圧される前記外部絶縁ガスケット及び／又は内部絶縁ガスケットの外周端には、薄肉のフランジ部が一体形成されていることを特徴とする請求項１又は２記載の密閉型電池。