JP3573837B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品に関し、更に詳細には、防漏性に優れ、更には使用感にも優れた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、生理用ナプキンなどの吸収性物品においては、排泄された体液が、(a) 吸収体に吸収されずにトップシートの表面を流れたり、(b) トップシート中を吸収性物品の横方向ににじんだり、(c) 一旦吸収した体液が吸収性物品のトップシートに滲み出して横方向ににじんだりして、側面からの液モレとなるという問題があった。
このため、このような問題を解決するために、▲1▼特開昭64ー45801号公報、特公昭57ー45178号公報、及び実公平2ー88625号公報などにおいて、吸収性物品の長手方向に沿って溝を設けてなる吸収性物品が、また、▲2▼実開平3ー33622号公報、及び特開平2ー277453号公報などにおいて、吸収性物品の側縁部に防漏壁を形成してなる吸収性物品が提案されている。
【0003】
しかし、上記の▲1▼及び▲2▼の提案に係る吸収性物品は、未だに上記問題を十分に満足するものではなかった。
即ち、上記▲1▼及び▲2▼の提案に係る吸収性物品は、上記溝の形状が装着前と同様に溝の形状で安定化される様な理想的な装着状態の場合には、表面を流れた体液を該溝でトラップすることにより横モレをある程度抑制できるものの、該溝を有することにより、トップシートと吸収体との距離が減少してしまい、一旦吸収した体液が容易に吸収体からトップシートに液戻りして、トップシートをにじんで漏れてしまうという問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記横モレの原因となる表面液流れ及びトップシート中の液にじみを抑制し、極めて横モレ防止性を向上させた吸収性物品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、表面の左右両側にバックシート等の防漏材が配され、一対の疎水性領域が形成されており、該疎水性領域が吸収性物品の長手方向に沿って形成された孔部を有する溝を具備する吸収性物品が上記目的を達成しうることを知見した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、該トップシート及び該バックシートの間に介在された吸収体とを備え、実質的に縦長に形成されてなる吸収性物品において、上記吸収性物品は、その表面における左右両側において、側縁から内方に向けて上記バックシート又は他の防漏材が配されて、一対の疎水性領域が形成されており、上記疎水性領域においては、上記表面シートと、上記側縁から内方に向けて配された上記バックシート又は上記他の防漏材とが重なって配されており、上記疎水性領域は、吸収性物品の長手方向に沿って形成された、連続又は非連続の防漏溝を有しており、上記防漏溝は、上記表面シートと、上記側縁から内方に向けて配された上記バックシート又は上記他の防漏材とを貫通する孔部を有しており、該孔部を通じて体液を上記吸収体に導けるようになされている 、ことを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、上記防漏溝の深さが、0.3〜3mmである、ことを特徴とする上記吸収性物品を提供するものである。
また、本発明は、上記防漏溝が、底面部及び周壁部からなり、上記孔部は、該底面部と該周壁部との連結部分に形成されている、ことを特徴とする上記吸収性物品を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記吸収性物品の製造方法であって、トップシートとバックシートと吸収体とを備え、上記疎水性領域が形成されてなる吸収性物品前駆体に、更に防漏溝を形成する防漏溝形成工程を具備し、上記防漏溝形成工程は、上記吸収性物品前駆体をエンボスロールにかけて上記疎水性領域をエンボス加工することにより行う、ことを特徴とする吸収性物品の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明の吸収性物品としての生理用ナプキンの一形態を示す一部破断斜視図であり、図2は、図1に示す生理用ナプキンのII−II 断面図である。
【0010】
図1及び図2に示す本形態の吸収性物品としての生理用ナプキン1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、該トップシート2及び該バックシート3の間に介在された吸収体4とを備え、実質的に縦長に形成されてなる。このような構成は、従来公知の生理用ナプキンと同じである。
【0011】
更に詳述すると、図1及び図2に示すように、上記生理用ナプキン1において、上記トップシート2は、吸収体4の表面、左右両側面及び裏面側を覆って設けられており、上記バックシート3は、吸収体4の裏面側において該トップシート2に接着剤を介して固定されている。また、吸収体4とトップシート2との間には、他の防漏材5が設けられている。
また、上記バックシート3の表面には、粘着剤が塗布されてズレ止め部(図示せず)が形成されている。
【0012】
ここで、上記トップシート2、上記バックシート3及び上記吸収体4の形成材料としては、通常公知の材料を特に制限なく用いることができ、また、上記防漏材5の形成材料としては、通常生理用ナプキンなどにおいて防漏材として用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。
【0013】
而して、上記生理用ナプキン1は、その表面における左右両側において、側縁7から内方(後述する吸水性領域B側)に向けて上記防漏材5が配されて、一対の疎水性領域Aが形成されており、上記疎水性領域Aは、生理用ナプキンの長手方向に沿って形成された、非連続の防漏溝10を有しており、上記防漏溝10は、孔部11を有しており、該孔部11を通じて体液を上記吸収体4に導けるようになされている。
【0014】
更に詳述すると、上記防漏材5は、吸収体4とトップシート2との間において、吸収体4の裏面、左右両側縁及び表面の左右両側を覆って配されている。
これにより生理用ナプキンの表面の左右両側に一対の疎水性領域Aが形成されていると共に、該疎水性領域間に位置する吸水性領域Bが形成されている。
また、上記防漏溝10は、形状パターン等は特に限定しないが、図1はそれぞれが同型の平行四辺形状であり、その長手方向側縁が生理用ナプキンの長手方向に沿って且つその幅方向側縁が生理用ナプキンの幅方向に対して斜めになるように、それぞれ、配されている。
該防漏溝10を設ける個数及びピッチは特に制限されないが、生理用ナプキンの長手方向に対して防漏溝10の存在しない部分がないように(即ち、本形態の如く、斜めになされた部分が相重なるように)設けるのが好ましい。
【0015】
また、図2に示すように、上記防漏溝10は、底面部12及び周壁部13からなり、上記孔部11は、該底面部13と該周壁部12との連結部分に形成されている。孔部の形状については特に限定しないが、孔部の大きさ/面積は、0.1〜20mm2 が好ましく、0.2〜10mm2 がより好ましい。
0.1mm2 未満では、孔部から体液を吸収する能力に劣り、20mm2 を超えると、圧力が加わった場合、吸収体側から表面へ液戻りする場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0016】
また、上記防漏溝10の幅wは、好ましくは0.1〜20.0mm、更に好ましくは0.1〜10.0mmである。
また、該防漏溝10の深さDの、該防漏溝10の形成されていない部分の生理用ナプキン1の厚さT0に対する比(D/T0)は、0.01〜0.8であるのが好ましく、0.01〜0.5であるのが更に好ましく、0.03〜0.5であるのが最も好ましい。
また、該防漏溝10の深さDは、0.3〜3mmであるのが好ましく、0.5〜2mmであるのが更に好ましい。
【0017】
上記防漏溝10の幅wが、0.1mm未満であると、該防漏溝10におけるトップシート2の表面を流れた体液若しくはトップシート2中をにじんだ体液の液拡散を抑制する能力が劣り、20.0mmを超えると、装着感を悪化させる場合があるので好ましくない。
また、該防漏溝10の深さDの、該防漏溝10の形成されていない部分の生理用ナプキン1の厚さT0に対する比が、0.01未満であると、防漏溝10の深さが浅すぎ、表面を流れた体液若しくは滲んだ体液を効果的にトラップさせることができず、0.8を超えると、溝の部分が強く圧縮されるために防漏溝10の剛性が向上しすぎ、装着感が悪化する場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。
また、該防漏溝10の深さDが、0.3mm未満であると、溝が浅すぎ効果的に液拡散を抑制できず、3mmを超えると、装着感を悪化させる場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0018】
また、上記疎水性領域Aの幅Waは3〜30mmであるのが好ましく、一対の該疎水性領域A間に位置する上記吸水性領域Bの幅Wbは30〜70mmであるのが好ましい。上記疎水性領域Aの幅Waが3mm未満であると、疎水性領域の幅が狭く、該疎水性領域Aの上に溝を形成するのが加工上難しく、30mmを超えると、吸収性領域Bの幅が狭くなってしまい吸収性が悪化する場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。上記吸水性領域Bの幅Wbが、30mm未満であると、吸収面積が狭すぎ種々の装着状態において、安定に吸収出来ない場合があり、70mmを超えると、所要の疎水性領域を設けると吸収性物品全体が幅広になり装着感が悪化する場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0019】
また、上記疎水性領域Aの内側縁から上記防漏溝10までの距離d1は、1〜20mmであるのが好ましく、上記疎水性領域Aの外側縁(生理用ナプキンの側縁)から上記防漏溝10までの距離d2は、1〜20mmであるのが好ましい。上記距離d1が1mm未満であると、吸収性領域Bから防漏溝10に達するまでの疎水性領域Aが狭く、防漏溝10に拡散する体液量も多くなり、漏れの原因となる場合があり、20mmを超えると、吸収性領域Bから防漏溝10までの疎水性領域Aが広すぎ、これにより吸収性領域Bの面積が減少する場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。上記距離d2が1mm未満であると、防漏溝10から吸収性物品の左右両側縁までの距離が短く、装着状態によっては、下層が該防漏溝10に接触して横モレする場合があり、20mmを超えると、防漏溝10より外側に形成された疎水性領域Aが、装着中に該防漏溝10をおおってしまう場合があり、上記範囲内とするのが好ましい。
【0020】
本発明の生理用ナプキンは、上記疎水性領域Aにおいて上記防漏溝10を有しているので、効果的に液にじみを抑制させる。
また防漏溝10により、表面材上を液流れにした体液も、防漏溝で一時ストックし、その後、該防漏溝は、吸収体に通ずる孔部を有しているので該孔から吸収体に体液を導き、吸収性物品の横モレの原因となる表面流れ、トップシート中の液にじみ等を、極めて効果的に抑制し、横モレの少ない吸収性物品を提供できる。また、上述の構成の防漏溝10を有しているので、生理用ナプキンの使用状態によりナプキンが捻れたりしても、該防漏溝の空間及び段差を維持でき、防漏性能が使用状態により低下することがない(特に、上記の幅及び深さの範囲を満足する防漏溝である場合にはこの効果が顕著である)。
また、上述の如く上記疎水性領域を有しているので、液の滲み出しがなく、また、表面を流れた液も上記防漏溝において、上記孔部を通じて吸収体に吸収されるので、液漏れを効果的に防止することができる。
従って、本発明の吸収性物品は、防漏性に富み、しかも、使用感に優れた清潔なものである。
【0021】
次いで、本発明の吸収性物品の製造方法について、図面を参照して説明する。
ここで、図3は、本発明の製造方法の要部を示す概略斜視図である。
本発明の吸収性物品の製造方法は、図3に示すように、トップシートとバックシートと吸収体とを備え、上記疎水性領域が形成されてなる吸収性物品前駆体1’に、更に防漏溝10を形成する防漏溝形成工程を具備し、上記防漏溝形成工程は、上記吸収性物品前駆体1’をエンボスロール20にかけて上記疎水性領域Aをエンボス加工することにより実施される。
【0022】
更に詳述すると、上記吸収性物品前駆体1’は、多数の凸部21が左右両側に設けられたエンボスロール20と、該エンボスロール20の下方において上記吸収性物品前駆体1’に所定の圧力を加えられるように配された押さえロール30に供給されてエンボス加工が施される。
【0023】
そして、該エンボス加工により、上記凸部21により上記吸収性物品前駆体1’に加えられる剪断力によって、上記防漏溝10が形成されると共に、該防漏溝10の底面部13と周壁部12との連結部分に上記孔部11が形成される。
この際用いられる上記エンボスロールとしては、鉄、ステンレス又は合金等の金属からなる金属ロール等が好ましく用いられ、また、上記押さえロールとしては、上記金属ロール及びシリコンやウレタン等のゴムロール、コットンロール等が好ましく用いられる。
【0024】
また、上記エンボス加工は、加熱エンボス加工、即ち、上記エンボスロールを加熱してエンボス加工を行うのが好ましく、加熱エンボス加工とすることにより、上記トップシート2、上記防漏材5及び上記吸収体4を一体化しつつ、上記孔部11の形成を行うことができ、よりスムーズに上記防漏溝10に流れてきた液を吸収体4へ導くことができる。
【0025】
また、上記加熱エンボス加工の条件は、以下の通りとするのが好ましい。
即ち、エンボスロール20の温度は、100〜180℃とするのが好ましく、エンボスロール20及び押さえロール30による吸収性物品前駆体1’に加える圧力は、0.5〜50kgfとするのが好ましい。
また、上記凸部21の大きさやピッチは、所望の防漏溝10の大きさやピッチにより任意である。
尚、上記吸収性物品前駆体1’は、通常公知の方法により、上記トップシート2、上記バックシート3、上記吸収体4及び上記防漏材5を、それぞれ図1及び図2に示す構成となるように重ね合わせ、接着させることにより、容易に製造できる。
【0026】
次いで、図4を参照して、本発明の吸収性物品としての生理用ナプキンの他の形態について説明する。尚、特に説明しない点については、上述した図1及び2に示す形態においてした説明が適宜適用される。
ここで、図4は、本発明の吸収性物品としての生理用ナプキンの他の形態を示す幅方向断面図(図2相当図)である。
図4に示す形態の生理用ナプキン1は、トップシート2は、吸収体4の表面側にのみ設けられており、バックシート3が、吸収体4の裏面側からトップシートの左右両側縁部を覆って配されている。これにより生理用ナプキンの表面の左右両側に一対の疎水性領域Aが形成されていると共に、該疎水性領域間に位置する吸水性領域Bが形成されている。
【0027】
尚、本発明の吸収性物品は、上述の形態には何ら制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述した形態においては、非連続の防漏溝を有するもので説明したが、連続した一つの防漏溝とすることもでき、また、非連続の防漏溝の形状(平面形状)も上述した例に限定されず、長方形状、円形状等の形状とすることもでき、また、図1に示す平行四辺形の角を丸くした楕円形状等とすることもできる。また、該防漏溝の断面形状も、図1及び2に示す形態においては、四角形状のものを例示して説明したが、図5(a)に示すように、防漏溝の底面部が起伏した形状、図5(b)に示すように、断面形状が3角形状の形状、図5(c)に示すように、防漏溝の底面部が更に下方に向けて凹状になされた形状とすることもでき、また、上記孔部の位置も、図5(b)〜(d)に示すように該防漏壁の幅方向中央部とすることもできる。
また、吸収性物品の形態も限定されず、上記防漏材を設けずに上記バックシートを吸収性物品の表面側に巻き上げた形態のものや上記バックシートの左右両側縁を外方に向けて延出して形成された左右一対のフラップを有する形態のものなどとすることもできる。
【0028】
【発明の効果】
従って、本発明の吸収性物品は、装着状態などに左右されることなく、液漏れ防止性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品としての生理用ナプキンの一形態を示す一部破断斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す生理用ナプキンのII−II 断面図である。
【図3】図3は、本発明の吸収性物品の製造方法の要部を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本発明の吸収性物品としての生理用ナプキンの他の形態を示す幅方向断面図(図2相当図)である。
【図5】図5(a)〜(d)は、それぞれ、防漏溝の他の形態を示す本発明の吸収性物品の幅方向断面の拡大図である。
【符号の説明】
1 吸収性物品(生理用ナプキン)
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 防漏材
10 防漏溝
20 エンボスロール
Claims (4)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、該トップシート及び該バックシートの間に介在された吸収体とを備え、実質的に縦長に形成されてなる吸収性物品において、
上記吸収性物品は、その表面における左右両側において、側縁から内方に向けて上記バックシート又は他の防漏材が配されて、一対の疎水性領域が形成されており、
上記疎水性領域においては、上記表面シートと、上記側縁から内方に向けて配された上記バックシート又は上記他の防漏材とが重なって配されており、
上記疎水性領域は、吸収性物品の長手方向に沿って形成された、連続又は非連続の防漏溝を有しており、
上記防漏溝は、上記表面シートと、上記側縁から内方に向けて配された上記バックシート又は上記他の防漏材とを貫通する孔部を有しており、該孔部を通じて体液を上記吸収体に導けるようになされている、
ことを特徴とする吸収性物品。 - 上記防漏溝の深さが、0.3〜3mmである、ことを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
- 上記防漏溝は、底面部及び周壁部からなり、上記孔部は、該底面部と該周壁部との連結部分に形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
- 請求項1記載の吸収性物品の製造方法であって、
トップシートとバックシートと吸収体とを備え、上記疎水性領域が形成されてなる吸収性物品前駆体に、更に防漏溝を形成する防漏溝形成工程を具備し、
上記防漏溝形成工程は、上記吸収性物品前駆体をエンボスロールにかけて上記疎水性領域をエンボス加工することにより行う、
ことを特徴とする吸収性物品の製造方法。
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