JP3573655B2 - 写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体 - Google Patents

写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブローニーフィルムなどのような写真ロールフィルムを製造するための長尺遮光紙ロールをプラスチックフィルム製袋に収容した遮光紙ロール包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にブローニーフィルムと呼ばれている120型、220型写真ロールフィルムでは、写真フィルムには写真ロールフィルム用遮光紙が付設されている。そして、その遮光紙は、写真フィルムともにスプールに巻き付けられ、写真フィルムを感光させないように遮光保護する役割を有する。このような写真ロールフィルム用遮光紙としては、遮光性黒色紙、パルプシートの表面にカーボンブラックを添加した高密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂とからなるポリエチレン樹脂層(遮光層)を熱溶融押出しラミネートにより成形したもの(特開昭60−35728号公報参照)、パルプシートの表面にカーボンブラックの含有量が5重量%未満、酸変性接着性ポリオレフィン樹脂の含有量が5〜90重量%である接着層とカーボンブラックの含有量が3重量%以上、メルトインデックスが2g/10分以上のエチレン共重合体樹脂の含有量が10重量%以上である表面層(エクストルージョンラミネート層:遮光層)を形成したもの(特開平6−51450号公報参照)などが知られている。
【0003】
なお、写真ロールフィルム用遮光紙とスプールのフランジ部との間に隙間があるとその隙間から光が侵入して、写真フィルムが感光しやすくなるという問題があるため、遮光紙の幅とスプールのフランジ部の間隔を最適化した写真ロールフィルムが提案されている(特開平4−136842号公報、特開平9−288335号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
写真ロールフィルム用遮光紙は、広幅の長尺パルプシートの表面に遮光性樹脂層を形成して製造した広幅の長尺遮光シートを低透湿性の袋に収容して保管しておき、写真ロールフィルムとの組合わせ作業を始めるに際して、その広幅長尺遮光シートを袋から取りだし、これを長さ方向に沿ってスリットすることにより、細幅の長尺遮光紙を得て、ついでこの細幅長尺状遮光紙を巻芯の周囲に巻き回して長尺遮光紙ロールとし、これを改めてプラスチックフィルム製の袋に収容した状態で保管し、速やかに写真ロールフィルムとの組合わせ作業を行なうことが一般的である。本発明者は、この細幅にスリットした長尺遮光紙の保管後にしばしば見出される遮光紙の高い含水率の原因を調べた。この遮光紙の含水率が高くなりすぎると、遮光紙の幅が設定した値よりも広くなるため、写真ロールフィルムと組み合わせた状態でスプールに巻き付ける際、あるいはその後の保存時において、遮光紙とスプールのフランジとが接触して巻きずれができて、写真ロールフィルムに巻き太りが発生したり、あるいは遮光が不充分になりやすくなるという問題が発生する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、広幅の長尺パルプシートの表面に遮光性樹脂層が形成されてなる広幅の長尺遮光シートを長さ方向に沿ってスリットすることにより得られた細幅の長尺遮光紙を巻芯の周囲に巻き回して形成された、写真ロールフィルム製造用の長尺遮光紙ロールがプラスチックフィルム製袋(プラスチックフィルムを主な基材とする袋)に収容されてなる遮光紙ロール包装体であって、該長尺遮光紙ロールの平均含水率が、ロールの長さ方向の両側端部からロールの全長の1/10までの領域では共に3重量%以下(通常は、0.5重量%以上)であり、該両側端部領域以外のロール中央領域では2重量%以下(通常は、0.5重量%以上)であり、該プラスチックフィルム製の袋が3g/m2(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低い透湿度を有することを特徴とする写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体にある。長尺遮光紙ロールの、ロールの長さ方向の両側端部からロールの全長の1/10までの領域での平均含水率と、該両側端部領域以外のロール中央領域の平均含水率との差が、0.1〜1.0重量%の範囲にあることが好ましい。
【0006】
上記の本発明の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体は、平均含水率が、シートの長さ方向の両側の端部から、シートの全長の1/10までの領域では共に3重量%以下であり、該両側端部領域以外のロール中央領域では2重量%以下である広幅の長尺遮光シートを、その長さ方向に沿ってスリットすることにより得られた細幅の長尺遮光紙を巻芯の周囲に巻き取って形成した、写真ロールフィルム製造用の円盤状の細幅長尺遮光紙ロールを、3g/m(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低い透湿度を有する、一辺において開口したプラスチックフィルム製袋に挿入し、ついで、そのプラスチックフィルム製袋の開口部を折り重ねた後、封止具を用いて封止する方法を利用することにより有利に製造することができる。
【0007】
なお、本発明の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体で用いる巻芯の透湿度は、9g/m(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低いことが好ましい。
【0008】
本発明の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体の製造に用いる広幅の長尺遮光シートとしては、平均含水率が、シートの長さ方向の両側の端部から、シートの全長の1/10までの領域では共に3重量%以下(通常は、0.5重量%以上)であり、該両側端部領域以外のロール中央領域では2重量%以下(通常は、0.5重量%以上)である長尺遮光シートを用いることが好ましい。また、広幅の長尺パルプシートとして、平均含水率が、シートの長さ方向の両側の端部から、シートの全長の1/10までの領域では共に4重量%以下(通常は、0.5重量%以上)であり、該両側端部領域以外のシート中央領域では3.5重量%以下(通常は、0.5重量%以上)である長尺パルプシートを用いることが好ましい。
【0009】
なお、本発明で規定している透湿度は、JIS−Z−0208(カップ法)に記載されている方法に従って測定した値であって、温度40℃、相対湿度90%RHの雰囲気下で測定した、面積1m当たり、24時間の間に透過する水蒸気の量を意味する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体の構成を添付図面を参照しながら次に詳しく説明する。
【0011】
本発明の写真ロールフィルム製造用の細幅の長尺遮光紙ロールの斜視図を図1に、そして遮光紙ロール包装体の斜視図を図2に示す。図1に示すように、長尺遮光紙ロール1は、細幅にスリットした長尺状の遮光紙2を巻芯3に巻き回した円盤状の形状にある。そして、この円盤状の長尺遮光紙ロール1が、低透湿性プラスチックフィルム製袋4に収容され、かつ紙製のガムテープ、紐などの封止具5により封止されている。
【0012】
図3に、遮光紙の代表的な構成の例を示す。遮光紙1は、パルプシート6の一方の面に一層の遮光層7が形成され、他方の面には機能上必要な文字や記号あるいは、商品価値を高めるための印刷層8と、さらにその上に表面の光沢及び印刷層の保護のために保護層(ラッカーコート層またはニスともいう)9が形成されている。
【0013】
パルプシート6の材質は、写真フィルムに悪影響を与えなければ特に制限はなく、例えば、上記特開平6−51450号公報、特開平9−288335号公報に記載されているように天然パルプ、合成繊維、合成パルプ、再生パルプや故紙などを任意の比率に混合したものなどを用いることができる。パルプシートとしては通常、幅が50〜150cm、そして長さが500〜5000m程度の広幅のものが用いられ、このパルプシートを用いて製造される広幅の遮光紙シートを、その長さ方向に沿ってスリットし、幅が1.5〜15cm程度の細幅の遮光紙シートにして、これを写真ロールフィルムと組合わせて用いる。
【0014】
遮光層7は、遮光性物質とそれを分散させた樹脂材料(結合剤)とからなる層である。遮光性物質及び樹脂材料は、写真フィルムに悪影響を与えなければ特には制限はなく、上記特開平6−51450号公報、特開平9−288335号公報に記載されているものを使用することができる。具体的には、遮光性物質としては、カーボンブラック、窒化チタン、グラファイト等が挙げられる。遮光性、コスト等の観点から、カーボンブラックが好ましく、特にファーネスカーボンブラック、帯電防止効果を有するアセチレンカーボンブラック、変性副生カーボンブラックであるケッチェンカーボンブラック等が好ましい。樹脂材料の例としては、低密度、中密度、高密度、直鎖状の各種ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系、エチレン酢酸ビニルなどのポリビニル系、エチレンエチルアクリレートやエチレンメチルアクリレートなどのアクリル系、スチレン・ブタジエンなどのゴム系、アイオノマなどの単体、グラフト重合体ポリアミド系、ポリエチレン・テレフタレートなどのポリエステル系、などの単体、二種以上のブレンド、あるいはコポリマーなどが挙げられる。上記遮光層は、二層以上設けても良い。
【0015】
印刷層8に用いられるインク材料としては、写真フィルムに悪影響を与えなければ特には制限はなく、公知のものが使用できる。具体的な例としては、上記特開平6−51450号公報、特開平9−288335号公報に記載されている塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリエステル、ポリアミドウレタン、ポリアクリル、ロジン変性マレイン酸、エチレン酢酸ビニル、ビニルエーテル、ウレタン酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルウレタン樹脂、変性アルキッド樹脂、変性フェノール樹脂、アルカリ可溶型樹脂(ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、ハイドロゾル型樹脂(スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、α−メチルスチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、エマルジョン型樹脂(スチレン樹脂、スチレンアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合体樹脂、メタクリル酸エステル共重合体樹脂)、UVインキ用樹脂として、アクリル系不飽和基を持つポリマーが一般に使用されており、代表的な例としては、ポリエステル/アクリル酸エステル、ポリエステル/ウレタン樹脂/アクリル酸エステル、エポキシ樹脂/アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0016】
これらのインキに併用され得る着色剤としては、特開昭63−44653号公報、上記特開平6−51450号公報、特開平9−288335号公報に記載されている各種顔料及びアゾ顔料または無機顔料などが挙げられる。その他、インキを構成する原材料として必要に応じて、各種溶剤、分散材、湿潤材、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、安定剤、架橋剤、ワックス、ドライヤーなどの添加剤を使用しても良い。
【0017】
保護層9の材質としては、写真フィルムに無害であれば特には制限はなく、公知のものが使用できる。具体的な例としては、上記特開平6−5145号公報、特開平9−288335号公報に記載されているアクリル樹脂、酢酸繊維素などのセルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマ樹脂、EEA樹脂、各種ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。またワックスなども使用できる。
【0018】
本発明の対象である細幅の遮光紙ロールは、その基体層としてパルプシート(原紙ともいう)を用いている。従って、空気中の水分を吸収保持しやすい。ところが、パルプシートが過度の水分含量(含水率)を持つようになると、前述のように、寸法安定性が低下し、スプールに巻き付ける際にトラブルが発生しやすくなる。従って、本発明の細幅の遮光紙ロールの水分含量は、ロールの長さ方向の両側端部からロールの全長の1/10までの領域では共に3重量%以下(通常は、0.5重量%以上)であり、該両側端部領域以外のロール中央領域では2重量%以下(通常は、0.5重量%以上)であるように調整されている。遮光紙ロールの両端側の領域は、周囲の雰囲気に接触する面積が大きくなる傾向が有り、従って中央部領域よりも水分含量が高く成りがちである。
【0019】
本発明の細幅の遮光紙ロールの長さ方向に沿った含水率の代表的な分布を、グラフとして図4に示す。このグラフは、全長2500mの遮光紙ロールとした本発明の細幅の遮光紙ロールについて、その巻芯側(グラフの右側)から長さ方向に沿った各位置で測定した含水率(重量%)を表示している。なお、比較のために、公知の代表的な細幅遮光紙ロールの長さ方向に沿った含水率の分布を示すグラフを一緒に示す。
【0020】
本発明の細幅の遮光紙ロールの低含水率を維持させるために、それを収容するプラスチックフィルム製の袋は、3g/m(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低い透湿度を有する必要がある。そのような低透湿度を示すプラスチックフィルム製の袋を製造するための材料としては、LDPE(低密度ポリエチレン)、CPP(未延伸ポリプロピレン)、OP(二軸延伸ポリプロピレン)などのような低透湿性プラスチック材料のフィルムの表面に蒸着などの手段によりアルミニウム金属薄層を形成した積層フィルムが好ましく用いられる。
【0021】
また、本発明の細幅の遮光紙ロールの巻芯もまた、遮光紙ロールの低含水率を維持させるために、9g/m(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低い透湿度を示すものであることが好ましい。そのような低透湿度を示す巻芯を製造するための材料の例としては、LDPE(低密度ポリエチレン)、CPP(未延伸ポリプロピレン)、OP(二軸延伸ポリプロピレン)などのような低透湿性プラスチック材料を挙げることができる。
【0022】
次に、本発明の細幅の遮光紙ロールを収容している遮光紙ロール包装体の製造方法について説明する。
【0023】
図5は、本発明の細幅の遮光紙ロールを製造するために用いられるロール状のパルプシート(パルプシートロール)6の例の斜視図である。このパルプシートロール6は、巻芯10の周囲に巻き付けられている。本発明の低含水率の細幅遮光紙ロールを製造するためには、このパルプシートロールの段階から低含水率に調整しておくことが望ましい。そのようなパルプシートロールの長さ方向に沿った含水率の代表的な分布を、グラフとして図6に示す。このグラフは、全長2500mのパルプシートロールについて、その巻芯側(グラフの右側)から長さ方向に沿った各位置で測定した含水率(重量%)を表示している。
【0024】
低含水率に調整したパルプシートロールであっても、大気中に放置すると空気中の水分を吸収して含水率が高くなる。従って、このパルプシートロールについても、透水性の低いプラスチックシート製の包装材料(例えば、前述した細幅の遮光紙ロールの包装に使用した袋の材料と同様な低透湿性材料から形成された包装材料)で包装した状態において保管することが望ましい。そのような保管形態の例を、図7と図8とに示す。
【0025】
図7は、パルプシートロール6の巻芯10を、パルプシートロール6の幅よりも長くしておき、パルプシートロール6の周囲を覆うように被せた包装シート11の側面を巻芯10の両端部の回りに巻き付け、紐やテープなどの結束材12で封止状態となるように包装シート11を固定して保管する方法を示す。この場合の巻芯もまた、低透湿性のプラスチック材料から形成することが望ましい。
【0026】
図8は、パルプシートロール6の巻芯10の長さを、パルプシートロール6の幅と略同等としておき、パルプシートロール6の周囲を覆うように被せた包装シート11の側面を巻芯10の内側に収容した上で、その巻芯の両端部に透湿性の低い材料からなるキャップ13をはめ込むことにより包装シート11を固定して保管する方法を示す。この場合の巻芯もまた、低透湿性のプラスチック材料から形成することが望ましい。
【0027】
図7あるいは図8に示すような構成で保管されているパルプシートロールの表面には、公知の方法で遮光層や印刷層、そして保護層などが付設され、図9に示すような広幅の遮光紙ロール14とされる。この広幅遮光紙ロール14は、巻芯15の周囲に巻き付けられている。本発明の低含水率の細幅遮光紙ロールを製造するためには、この広幅の遮光紙ロールの段階においても低含水率に調整しておくことが望ましい。そのような広幅遮光紙ロールの長さ方向に沿った含水率の代表的な分布を、グラフとして図10に示す。このグラフは、全長2500mの広幅遮光紙ロールについて、その巻芯側(グラフの右側)から長さ方向に沿った各位置で測定した含水率(重量%)を表示している。
【0028】
含水率を低く調整した広幅遮光紙ロールであっても、大気中に放置すると空気中の水分を吸収して含水率が高くなる。従って、この広幅遮光紙ロールについても、透水性の低いプラスチックシート性の包装材料(例えば、前述した細幅の遮光紙ロールの包装に使用した袋の材料と同様な低透湿性材料から形成された包装材料)で包装した状態で保管することが望ましい。そのような保管形態の例を、図11と図12とに示す。
【0029】
図11は、広幅遮光紙ロール14の巻芯15を、広幅遮光紙ロール14の幅よりも長くしておき、広幅遮光紙ロール11の周囲を覆うように被せた包装シート16の側面を巻芯15の両端部の回りに巻き付け、紐やテープなどの結束材17で封止状態となるように包装シート16を固定して保管する方法を示す。この場合の巻芯もまた、低透湿性のプラスチック材料から形成することが望ましい。
【0030】
図12は、広幅遮光紙ロール14の巻芯15の長さを、広幅遮光紙ロール14の幅と略同等としておき、広幅遮光紙ロール14の周囲を覆うように被せた包装シート16の側面を巻芯15の内側に収容した上で、その巻芯の両端部に透湿性の低い材料からなるキャップ18をはめ込むことにより包装シート16を固定して保管する方法を示す。この場合の巻芯もまた、低透湿性のプラスチック材料から形成することが望ましい。
【0031】
図11または図12に示すような構成で保管されている広幅遮光紙ロール14は、公知の方法でその長さ方向に沿ってスリットされ、写真フィルムと組合わせるための円盤状の細幅遮光紙ロール(図1参照)とされる。そして、この細幅遮光紙ロールは、前述のように、低透湿性のプラスチック製袋に収容される。
【0032】
なお、円盤状の細幅遮光紙ロールであっても、前述のように、長尺の細幅遮光紙からなるため、その重量は、通常の人間の手で運搬移動するのに困難を伴うことが多く、また、円盤状の細幅遮光紙ロールを低透湿性のプラスチックフィルム製袋に手で収容する作業を人間の手で行う場合、細幅遮光紙ロールに傷が付いたり、プラスチックフィルム製袋が破れたりすることもある。従って、そのような重い円盤状の細幅遮光紙ロールの低透湿性のプラスチックフィルム製袋への収容は、円盤状の細幅遮光紙ロールを垂直に立たせた状態で運搬するベルトコンベア(コンベアベルトあるいはコンベアシート)、一辺が開口した低透湿性のプラスチックフィルム製袋を供給する袋供給機、袋に挿入された細幅遮光紙ロールを寝かせた状態にするための反転テーブル、袋の開口部を封止具を用いて封止する封止機とを備えた円盤状細幅遮光ロールの袋詰めのための装置を用いることが好ましい。
【0033】
上記の円盤状細幅遮光ロールの袋詰めのための装置に、備えられている封止機は、袋の開口部を折り重ねる工程と、封子具(紙ガムテープ)を用いて封止する工程とを自動的に行うものである。以下各工程について、図を参照しながら説明する。
【0034】
袋の開口部を折り重ねる一連の工程の一例を図13に示す。図13において(A)〜(F)は、袋の開口部を折り重ねる各工程を順に図示したものである。図に示すように、それぞれが長さ方向で平行になるように固定された二本の折り曲げバー19a、19bの中間点を中心として、二本の折り曲げバーを回転させながら移動させることにより、袋4の開口部を折り重ねることができる。すなわち、図13(A)に示すように、折り曲げバー19aを袋4の開口部の下面側に接触させて、ついで、二本の折り曲げバーを時計回りに回転させながら、袋4の遮光紙ロール1側に移動させることにより袋開口部折り重ねることができる[図12(B)〜(F)]。
【0035】
紙ガムテープを用いて開口部が折り重ねられた袋の開口部を封止する一連の工程の一例を図14に示す。図14において(A)〜(C)は、袋の開口部を封止する各工程を順に図示したものである。図14(A)に示すように、図示しない紙ガムテープ供給機により、所定の長さに切断された紙ガムテープ5aを、支持ローラ21a、21bと押し付けローラ20とで支持しながら、袋4の開口部近傍に支持ローラ21a、21bと袋4とが接触するまで移動させる。次に、図14(B)に示すように、押し付けローラ20を紙ガムテープの末端部まで移動させ、次いで、紙ガムテープ末端部を押し付けローラ20で袋4に押し付けながら、支持ローラ21a、21bと押し付けローラ20とを紙ガムテープ5aのもう一方の末端部に移動させる。そして、図14(C)に示すように、紙ガムテープ5aのもう一方の末端部まで、押し付けローラ20を移動させることにより、紙ガムテープ5aにより、袋4の開口部を封止することができる。
【0036】
上記の円盤状細幅遮光ロールの袋詰めのための装置を用いることによって、含水率を調整した広幅の長尺遮光紙ロールをスリットして円盤状の細幅遮光ロールを、垂直に立たせた状態で運搬するベルトコンベアに載せて移動させ、そのままの状態で袋供給機から供給された一辺が開口した低防湿性のプラスチックフィルム製袋に挿入し、ついで、反転テーブルを用いて、長尺遮光紙ロールを袋ごと寝かせた状態にした後、袋の開口部を封止することにより、本発明の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体を工業的に有利に製造することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の写真ロールフィルム用遮光紙ロール包装体に収容された細幅遮光紙ロールは、長期間保管しても含水率の増加が起こりにくいため、写真ロールフィルムの製造時に巻きづれが起こりにくくなり、また非撮影時の不本意な露光の発生も起こりにくくなる。また、円盤状の細幅遮光紙ロールを低透湿性プラスチック製袋に収容する作業を自動化することにより、重筋作業の低減、作業効率が向上し、さらに、人間の手で細幅遮光紙ロールを袋に収容する作業を行うよりも細幅遮光紙ロールに傷が付いたり、プラスチックフィルム製袋が破れたりする確率が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細幅遮光紙ロールの例の斜視図である。
【図2】図1に示した細幅遮光紙ロールを収容した本発明の包装体の斜視図である。
【図3】本発明に用いられる写真ロールフィルム用遮光紙の一例の層構成を示す模式図である。
【図4】本発明の細幅の遮光紙ロールの長さ方向に沿った含水率の代表的な分布を示すグラフである。
【図5】本発明の細幅の遮光紙ロールの製造に用いられるパルプシートロールの斜視図である。
【図6】図5に示したパルプシートロールの長さ方向に沿った含水率の代表的な分布を示すグラフである。
【図7】図5に示したパルプシートロールを保管する包装体の構造の例を示す断面図である。
【図8】図5に示したパルプシートロールを保管する包装体の別の構造の例を示す断面図である。
【図9】本発明の細幅の遮光紙ロールの製造に用いられる広幅の遮光紙ロールの斜視図である。
【図10】図9に示した広幅遮光紙ロールの長さ方向に沿った含水率の代表的な分布を示すグラフである。
【図11】図9に示した広幅遮光紙ロールを保管する包装体の構造の例を示す断面図である。
【図12】図9に示した広幅遮光紙ロールを保管する包装体の別の構造の例を示す断面図である。
【図13】本発明の細幅遮光紙ロールを収容した低透湿性のプラスチック製袋の開口部を折り重ねる一連の工程の一例を示す工程図であり、(A)〜(F)は、袋の開口部を折り重ねる各工程を順に示したものである。
【図14】図13に示した工程により開口部が折り重ねられた低透湿性のプラスチック製袋の開口部を紙ガムテープを用いて封止する一連の工程の一例を示す工程図であり、(A)〜(C)は、袋の開口部を封止する各工程を順に示したものである。
【符号の説明】
1 遮光紙ロール
2 遮光紙
3 巻芯
4 低透湿性プラスチックフィルム製袋
5 封止具
5a 紙ガムテープ
6 パルプシート
7 遮光層
8 印刷層
9 保護層
10 巻芯
11 包装シート
12 結束材
13 キャップ
14 広幅遮光紙ロール
15 巻芯
16 包装シート
17 結束材
18 キャップ
19a、19b 折り曲げバー
20 押し付けローラ
21a、21b 支持ローラ

Claims (4)

  1. 広幅の長尺パルプシートの表面に遮光性樹脂層が形成されてなる広幅の長尺遮光シートを長さ方向に沿ってスリットすることにより得られた細幅の長尺遮光紙を巻芯の周囲に巻き回して形成された、写真ロールフィルム製造用の長尺遮光紙ロールがプラスチックフィルム製袋に収容されてなる遮光紙ロール包装体であって、該長尺遮光紙ロールの平均含水率が、ロールの長さ方向の両側端部からロールの全長の1/10までの領域では共に3重量%以下であり、該両側端部領域以外のロール中央領域では2重量%以下であり、該プラスチックフィルム製袋が3g/m2(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低い透湿度を有することを特徴とする写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体。
  2. 上記巻芯の透湿度が、9g/m2(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体。
  3. 上記の広幅の長尺パルプシートの平均含水率が、シートの長さ方向の両側の端部から、シートの全長の1/10までの領域では共に4重量%以下であり、該両側端部領域以外のシート中央領域では3.5重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至2のうちのいずれかの項に記載の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体。
  4. 平均含水率が、シートの長さ方向の両側の端部から、シートの全長の1/10までの領域では共に3重量%以下であり、該両側端部領域以外のロール中央領域では2重量%以下である広幅の長尺遮光シートを、その長さ方向に沿ってスリットすることにより得られた細幅の長尺遮光紙を巻芯の周囲に巻き取って形成した、写真ロールフィルム製造用の円盤状の細幅長尺遮光紙ロールを、3g/m2(40℃、90%RH、24時間での測定値)よりも低い透湿度を有する、一辺において開口したプラスチックフィルム製袋に挿入し、ついで、そのプラスチックフィルム製袋の開口部を折り重ねた後、封止具を用いて封止することを特徴とする請求項1に記載の写真ロールフィルム製造用遮光紙ロール包装体の製造方法。
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