JP3573605B2 - フィルム用カッター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム用カッターに関する。詳しくは、円筒状の巻芯にコイル状に巻いた長尺のプラスチック製のラップフィルム、アルミ箔、キッチンペーパーなど(本発明では、単にフィルムというものとする)の切断用であり、分解性を有し、加工性、カット性及び耐久性に優れたフィルム用カッターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品等を包むラップフィルム等は、通常、紙筒に巻かれた状態で紙製のカートン内に収納されている。そして、この様な包装用ラップフィルム等のウエブ収納カートンにおいては、カートン本体に、所望の長さに引き出したウエブを切断するためのカッターが設けられている。この種の切断用カッターは薄い軟鋼板、プラスチック板および樹脂を含浸させた紙板等であった。
【0003】
金属製のカッターを有するカートンの場合、カッターを取り付ける工程が面倒であり、しかも廃棄処分する際に、焼却するとカッターの部分が燃え残こることから、最近ではカッター部を取り外してから廃棄するようになっている。しかし、この取り外しに手間が掛かるという問題点があった。また、薄い鋼板をせん断して製造するのでスティフネスと弾性に乏しいため、塑性変形し易い。そのため、刃が曲がって切れなくなるとか、フィルムの切断に当たって相当の力やコツを要するという問題があった。
【0004】
また、プラスチック製カッターの場合、放置されれば分解、腐敗することなく半永久的に形状を保持し、誤って環境中に捨てられた場合、景観を損ねるだけでなく、鋭利な刃が人畜や野生の動植物を傷つける恐れがある。さらに、石油を原料とするため、焼却時の燃焼熱も大きく環境汚染の問題も生じる。
また、樹脂を含浸させた紙刃についても刃自体に剛性がなく、使用時にフィルムの強度に負け、刃が折れ曲がってしまう等の問題があった。
【0005】
さらに、分解性ポリマーを用いたカッターも提案されている。例えば、特開平5−42934号公報において、エチレン/一酸化炭素共重合体等の光分解性プラスチック、および、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシバレレート共重合ポリエステル、3−ヒドロキシブチレート主体のポリエステル、ポリエチレンとポリカプロラクトン、デンプンおよび前記ポリエステルとの混合物を用いたカッターが提案されている。
【0006】
実開平5−54250号公報において、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(4−ヒドロキシ吉草酸)、および、これらの混合物若しくは共重合体、または、それらを含浸させた紙状物を用いたカッターが考案されている。 しかし、従来の分解性ポリマーを用いたカッターの場合、力学的な物性が不充分で、カッター形状への加工性が悪い(型抜き時の歯こぼれ)、収納容器への固定時、カシメ、ハトメができない、ラップフィルム切断時のカット性が悪い、あるいは切断時の刃の破損等、実用的でないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする問題】
本発明の目的とするところは、上記の問題を解決した、分解性を有し、加工性、カット性及び耐久性が良い新規なフィルム用カッターを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、ポリ乳酸系ポリマー組成物からシート状物を成形し、それを2軸方向に特定の倍率に延伸して特定の厚みに形成することによりカッターの素材として好適な樹脂シートが得られること、及び、該樹脂シートから優れた加工性、カット性、耐久性等を有するカッターが得られることを見出し、本発明に到った。
【0009】
すなわち、本発明により、ポリ乳酸系ポリマーから成形されたフィルム用カッターであって、2軸方向にそれぞれ1.5〜5倍に延伸され、厚さが0.15〜0.4mm、曲げこわさが30〜200gf・cmであることを特徴とするフィルム用カッターが提供される。
【0010】
本発明のフィルム用カッターは、優れた曲げこわさを有するだけでなく、優れたカット性、耐久性を有する。しかも、延伸シートからフィルム用カッターへの加工性も良好である利点がある。また、素材がポリ乳酸系ポリマー組成物であるため、自然環境下で分解し廃棄物として蓄積することがない。そのため、包装用フィルムが収納されたカートン等に取りつけることにより、包装用フィルム等のカッターとして有用である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のフィルム用カッターは、ポリ乳酸系ポリマーを押出成形等してシート状物となし、それを2軸方向に延伸して、特定の厚みを有するポリ乳酸系ポリマー延伸シートを成形する。得られたポリ乳酸系ポリマー延伸シートを所定の寸法に裁断した後、その長辺の少なくとも1辺に、例えば鋸刃状の刃を形成することにより製造される。
【0012】
本発明において使用するポリ乳酸系ポリマーとは、乳酸単位を含む脂肪族ポリエステルである。具体的には、例えば、▲1▼ポリ乳酸、および、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸(例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等)との共重合物、▲2▼乳酸単位とさらに脂肪族多価カルボン酸単位および脂肪族多価アルコール単位を含む脂肪族ポリエステル、▲3▼乳酸単位とさらに多官能多糖類を含む脂肪族ポリエステル、および、▲4▼上記脂肪族ポリエステルとの混合物等が挙げられる。
【0013】
乳酸にはL−体とDー体とが存在するが、本発明において単に乳酸という場合は、特にことわりがない場合は、L−体とD−体との両者を指すこととする。また、ポリマーの分子量は特にことわりのない場合は重量平均分子量を指すものとする。
【0014】
本発明に用いるポリ乳酸としては、構成単位がL−乳酸のみからなるポリ(L−乳酸)、D−乳酸のみからなるポリ(D−乳酸)、及びL−乳酸単位とD−乳酸単位とが種々の割合で存在するポリ(DL−乳酸)のいずれもが使用できる。乳酸−他のヒドロキシカルボン酸コポリマーのヒドロキシカルボン酸としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いるポリ乳酸の製造方法として、L−乳酸、D−乳酸、または、DL−乳酸を直接脱水重縮合する方法、これらの乳酸の環状二量体であるラクチドを開環重合する方法等が挙げられる。開環重合は、高級アルコール、ヒドロキシカルボン酸等の水酸基を有する化合物の存在下で行なっても良い。何れの方法によって製造されたものでも良い。
【0016】
乳酸−他のヒドロキシカルボン酸コポリマーの製造方法として、上記各乳酸と上記ヒドロキシカルボン酸を脱水重縮合する方法、上記各乳酸の環状二量体であるラクチドと上記ヒドロキシカルボン酸の環状体を開環共重合する方法等が挙げられる。何れの方法によって製造されたものでも良い。共重合体に含まれる乳酸単位の量は、少なくとも40モル%であることが好ましい。
【0017】
乳酸単位及び多官能多糖類を含む脂肪族ポリエステルの製造に用いる多官能多糖類としては、例えば、セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロイド、ビスコースレーヨン、再生セルロース、セロハン、キュプラ、銅アンモニアレーヨン、キュプロファン、ベンベルグ、ヘミセルロース、デンプン、アミロペクチン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キチン、キトサン、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アカシアガム等及びこれらの混合物及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの内で、酢酸セルロース、エチルセルロースが好ましい。
【0018】
乳酸単位及び多官能多糖類を含む脂肪族ポリエステルの製造方法として、上記多官能多糖類と上記ポリ乳酸、乳酸−他のヒドロキシカルボン酸コポリマー等を反応する方法、上記多官能多糖類と上記各乳酸、環状エステル類等を反応する方法等が挙げられる。何れの方法によって製造されたものでも良い。該脂肪族ポリエステルに含まれる乳酸単位の量は、少なくとも50重量%であることが好ましい。
【0019】
乳酸単位、脂肪族多価カルボン酸単位及び脂肪族多価アルコール単位を含む脂肪族ポリエステルの製造に用いる脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカンニ酸、ドデカンニ酸等及びこれらの無水物が挙げられる。これらは酸無水物であっても、酸無水物との混合物であっても良い。
【0020】
また、脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0021】
乳酸単位、脂肪族多価カルボン酸単位及び脂肪族多価アルコール単位を含む脂肪族ポリエステルの製造方法として、上記脂肪族多価カルボン酸及び上記脂肪族多価アルコールと、上記ポリ乳酸、乳酸−他のヒドロキシカルボン酸コポリマー等を反応する方法、上記脂肪族多価カルボン酸及び上記脂肪族多価アルコールと上記各乳酸、環状エステル類等を反応する方法等が挙げられる。何れの方法によって製造されたものでも良い。該脂肪族ポリエステルに含まれる乳酸単位の量は、少なくとも50重量%であることが好ましい。
【0022】
上記各乳酸系ポリマーを製造するに際しては、上記原料モノマー、コモノマー及びポリマーの中から必要なものを選んで直接脱水重縮合することにより製造することが出来る。また、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド、カプロラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等の環状エステル類を開環重合または開環共重合することによっても製造することが出来る。さらに、得られたポリマー同士をエステル交換反応によってブロックコポリマーとしても良い。
【0023】
尚、コスト、プロセスの簡略化等を考慮すると、工業的には脱水重縮合する方法が好ましい。その場合、上記各原料を、好ましくは有機溶媒、例えばジフェニルエーテル系溶媒の存在下で、共沸脱水重縮合し、特に好ましくは、共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した高分子量の乳酸系ポリマーが得られる。
【0024】
乳酸系ポリマーの分子量は、シートへの加工性、得られるシートの強度および分解性に影響を及ぼす。分子量が低いと得られるシートの強度が低下し、使用する際に張力で破断することがある。また、分解速度は速くなる。逆に分子量が高いと加工性が低下し、シートの製膜が困難となる。かかる点を考慮すると、本発明に使用する乳酸系ポリマーの分子量は、約1万〜約100万程度の範囲が好ましい。更に好ましくは10万〜30万である。
【0025】
本発明においては、必要に応じて上記ポリ乳酸系ポリマーに無機充填剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加することが出来る。ここで、無機充填剤は、天然に存在する無機物であり、分解性に影響を及ぼすことが無く、適量の添加によりカッター作製時の加工性が向上し、またフィルム切断に対する耐久性が向上する。
【0026】
添加する無機充填剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、カオリン、ガラス粉等が挙げられる。これらの内、特に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ等が好ましい。また、これらの無機充填剤の配合量は、乳酸系ポリマー100重量部に対して35重量部を超えない範囲であり、好ましくは5〜25重量部である。35重量部を超える場合、カッター自体の脆化が見られ、カッター加工時の破損、使用時の歯こぼれ等の原因となる。
【0027】
本発明に用いる無機充填剤のうち、酸化チタンについては、その結晶系からアナタース型、ルチル型、ブルカイト型に分類されるが、いずれの結晶系も使用することができ、その平均粒径が0.1〜0.5μmのものを使用できる。また、乳酸系ポリマーへの分散性を向上させるために、表面をアルミナ、シリカ、酸化亜鉛等の酸化物で被覆したり、脂肪族ポリオール等で表面処理を施したものを用いても良い。また、硫酸バリウムは、重晶石から化学反応により製造した沈降性硫酸バリウムで、この沈降性硫酸バリウムは、平均粒径0.1〜2μmのものを用いることが出来る。
【0028】
炭酸カルシウムは、結晶形としてカルサイト、アルゴナイト、バテライトが存在するが、いずれの結晶形も使用でき、その平均粒径が0.1〜2μmのものを用いることができる。シリカは天然または、合成で得られるケイ酸で、平均粒径0.1〜2μmのものが使用できる。カオリンは、天然に産出する含水ケイ酸アルミニウムで、平均粒径が0.5〜10μmのものを使用することができる。また、結晶水を除去した焼成タイプも使用できる。タルクは、天然に産出する含水ケイ酸マグネシウムで、平均粒径が0.5〜10μmのものを使用することができる。
【0029】
本発明において、カッターの前駆体であるポリ乳酸系ポリマー製シートは、例えば、Tダイを用いた押出成形により得られた未延伸シートを2軸方向へ延伸することにより得られる。ここで、シートの厚みが0.15〜0.4mm、延伸倍率が1.5〜5倍で、且つ、曲げこわさを30〜200gf・cmとすることにより、カッターへの加工性、フィルムのカット性、耐久性等に優れたカッターに適するシートが得られ、該シートより作製したカッターは、フィルム用カッターとして充分な性能を保持し得る。曲げこわさが30gf・cm以下では、フィルムを切断する際、刃がフィルムの強度に負けて折れ曲がる等、カット性が低下する。また、200gf・cm以上になるとカッターへの加工時に歯こぼれ等が発生し易くなり、加工性が低下するため好ましくない。
【0030】
以下、本発明における延伸シートの作製方法について説明する。本発明におけるシートの延伸方法は、先ず、ロールを用いて1軸延伸し、次いで、テンターを用いて1軸方向と直角をなす方向に2軸目の延伸を行なう逐次2軸延伸法、または、テンターによる同時2軸延伸法等のいずれでもよい。シートの均質性、厚み精度、生産性等の点から、ロールおよびテンターによる逐次二軸延伸法が好ましい。
【0031】
2軸延伸法のうち、ロールおよびテンター逐次二軸延伸法による延伸シートは以下のように製造される。乳酸系ポリマーまたはその組成物をTダイを装着した押出機にて、130〜250℃の温度で溶融押出した後、キャスティングロールで急冷する。得られたシートを縦延伸機にて40〜90℃、好ましくは50〜80℃の温度で1軸方向に、1.5〜5倍、好ましくは2〜5倍に延伸した後、テンターにて40〜90℃、好ましくは50〜80℃の温度で、1.5〜5倍、好ましくは2〜5倍に一軸目と直角方向に延伸する。延伸後、テンター内で緊張下で80〜150℃の温度で熱処理することにより、機械的強度、寸法安定性等を向上させることができる。
【0032】
上記方法により得られるシートの厚みは0.15〜0.4mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.35mmである。0.15mm未満では曲げこわさが小さく、0.4mmを超えるとカッター作製時の加工性が悪くなるため好ましくない。
上記の通り、本発明のフィルム用カッターは、2軸方向にそれぞれ1.5〜5倍に延伸された、厚みが0.15〜0.4mm、曲げこわさが30〜200gf・cmであることに特徴がある。これらの全ての条件を同時に満足することにより、カッターへの加工性が良好で、しかも、得られるフィルム用カッターが優れたカット性と耐久性を有するものとなる。
【0033】
〔図1〕は、本発明のフィルム用カッターの一例を示す模式図である。本発明におけるカッターは、上記の方法によって得られたシートを打ち抜くことにより、例えば、〔図1〕の如き鋸刃状の刃を形成する。刃の形状としては、鋭角な三角状の刃が好ましい。三角形の先端の角度は約60°程度が好ましい。刃の高さには特に制限はないが、約0.5〜3mm程度が好ましい。また、カッターの大きさとしては、幅が約5〜20mm程度である。長さはフィルムの収納容器に応じて適宜調整することができる。通常、5〜80cm程度である。ただし、刃の形状については〔図1〕の例に限定されるものではなく、任意の形状を取り得る。この様にして作製したカッターを使用することにより、フィルムのカット性の向上、切断時の刃の破損防止、繰り返し使用時の耐久性の向上が可能である。
【0034】
収納容器への取付方法としては、従来と同様、カシメ、ハトメなどで固定することもできるし、接着剤を用いて固定することも可能である。また、廃棄時にカッターと収納容器を分別する必要がなく、処理が容易である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。尚、実施例に示した各特性値は下記方法により測定した。
1.曲げこわさ(gf・cm)
JIS P−8125に規定される方法に従って測定する。試料は刃が形成されていない部分から採取する。
2.分解性
試料を温度35℃、湿度60%の堆肥中に2カ月間埋設して分解性試験を行った。2カ月後の該試料に人指先で軽く叩く程度の外力を与えて強度を評価する。
3.カッターへの加工性(個)
得られたシートから〔図1〕のようなカッター形状に打ち抜き加工する際に発生する歯こぼれ、変形、割れ等の不良数を、カッター1000個中の不良品数で示す。
【0036】
4.カット性(gf)
2本の木製角柱を間隔20cmで水平に据える。該木製角柱の上に食品包装用ラップフィルム(三井東圧プラテック(株)製:商品名:ハイラップ、ポリ塩化ビニル樹脂製、厚さ13μm、幅30cm)を皺がないように水平に張る。2本の木製角柱のほヾ中央位置の食品包装用ラップフィルムをカッターで切断する際の応力をロードセルを用いて測定する。尚、切断する際は水平の試料に対し、カッターを30°の角度で押し当てた。
5.耐久性(回数)
前項の切断試験を繰り返し、カッター刃のへたり、歯こぼれ等によるカット性低下が生じるまでの切断回数で示す。
【0037】
調製例1
L−ラクタイド216g(1.5モル)およびオクタン酸スズ0.01重量%とラウリルアルコール0.03重量%を攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した後、窒素ガスで置換した。この混合物を窒素雰囲気下で攪拌しつつ200℃で3時間加熱した。そのまま温度を保ちながら、排気管およびガラス製受器を介して真空ポンプにより徐々に脱気し反応容器内を3mmHgまで減圧した。脱気開始から1時間後、モノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったので、容器内を窒素置換し、容器底部からポリマーを紐状に抜き出してペレット化し、ポリ乳酸を得た。ポリマーの平均分子量は約10万であった。以下、乳酸系ポリマーAという。
【0038】
調製例2
Dien−Starkトラップを設置した100リットル反応器に、90%L−乳酸10kgを入れ、150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、錫粉末6.2gを加え150℃/30mmHgでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫粉末28.8gとジフェニルエーテル21.1kgを加え、150℃/35mmHg共沸脱水反応を行い留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応器に戻した。2時間後、反応器に戻す有機溶媒を、4.6kgのモレキュラーシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応器に戻すようにして、150℃/35mmHgで40時間反応を行い、平均分子量約11万のポリ乳酸溶液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル44kgを加えて希釈した後40℃まで冷却して、析出した結晶をろ過し、10kgのn−ヘキサンで3回洗浄して60℃/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N−塩酸12kgとエタノール12kgを加え、35℃で1時間攪拌した後ろ過し、60℃/50mmHgで乾燥して、平均粒径30μmのポリ乳酸粉末6.1kg(収率85重量%)を得た。ポリマーの平均分子量は約11万であった。以下、乳酸系ポリマーBという。
【0039】
実施例1
乳酸系ポリマーAを、Tダイを装着した押出成形により、厚さ1.6mmのシートを製膜した。その後、70℃において2軸方向に各々2.5倍延伸し、140℃で熱処理することにより、厚さ0.25mmの延伸シートを得た。次いで、シートの切断により〔図1〕のような形状のカッターを作製した。カッターへの加工性、並びに、曲げこわさ、分解性、及び、耐久性を上記方法により評価して、その結果を〔表1〕に示す。
【0040】
実施例2〜7、比較例1〜5
乳酸系ポリマーの種類、無機充填剤の種類及び添加量、延伸の有無、延伸倍率、得られたシートの厚みをそれぞれ〔表1〕に示した如く変更した以外、実施例1と同様にしてカッターを作製した。得られた結果を〔表1〕に示す。
尚、比較例5では、紙にエポキシ樹脂を含浸させたカッター刃(厚さ250μm、三井東圧プラテック(株)製、商品名:食品保存用ラップの収納容器に設置された紙製カッター刃、販売元:トヨタ生活協同組合)を試料とした。
【0041】
【表1】
Figure 0003573605
【0042】
【発明の効果】
本発明のフィルム用カッターは、優れた曲げこわさを有するだけでなく、優れたカット性、耐久性を有する。しかも、延伸シートからフィルム用カッターへの加工性も良好である利点がある。また、素材がポリ乳酸系ポリマー組成物であるため、自然環境下で分解し廃棄物として蓄積することがない。そのため、包装用フィルムが収納されたカートン等に取りつけることにより、包装用フィルム等のカッターとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、フィルム用カッターの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 カッター
2 刃

Claims (4)

  1. ポリ乳酸系ポリマーから成形されたフィルム用カッターであって、2軸方向にそれぞれ1.5〜5倍に延伸され、厚さが0.15〜0.4mm、曲げこわさが30〜200gf・cmであることを特徴とするフィルム用カッター。
  2. ポリ乳酸系ポリマーが、乳酸単位を少なくとも40モル%含む脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載のフィルム用カッター。
  3. ポリ乳酸系ポリマーが、ポリ乳酸系ポリマー100重量部に対し、無機充填剤を35重量部を超えない範囲で含む組成物であることを特徴とする請求項1記載のフィルム用カッター。
  4. 無機充填剤が、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及びシリカよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項3記載のフィルム用カッター。
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