JP3572749B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置に係り、特に、処理の対象となる画像データの内容が紙幣や有価証券等の特殊な原稿であるか否かを識別する機能を有する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像処理技術の向上によって、入力原稿との区別が容易に出来ないほど精巧な出力原稿を作成することが出来るようになった。このため、紙幣や有価証券など、複製を行うことが違法とされているもの(以下、「特殊原稿」という。)を識別し、これらの複製を禁止する機能を備えた画像処理装置が開発されており、実際に、複写機に特殊原稿を識別する装置を搭載したものが提供されている。
【0003】
特殊原稿を識別する装置としては、例えば、特開平2ー83571号公報(「画像記録装置」)に示されるようにパターンマッチング法を用いる方法が知られている。この装置は、入力した画像データと予め記憶しているパターンデータとに基づいて、入力した画像データが特殊原稿に該当するか否かを識別するものである。
【0004】
また、別の方法を用いて特殊原稿を識別する装置として、特開平4ー313166号公報(「画像処理装置」)に示される画像処理装置がある。この装置は、入力画像データ中に、特殊原稿に含まれる特定の画像パターンデータが存在するか否かを検出することにより入力画像の種類を判別し、この判別した入力画像の種類と色分布の情報とに基づいて、入力画像データが特殊原稿に該当するか否かを識別するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙幣などは偽造防止のために複製の困難な多色刷りを行うので、画像パターンに少なからず位置ずれが発生してしまう。さらに、紙幣は長期間にわたって様々な流通過程の中で使用されるので、汚れや退色などによりその紙幣特有の色分布が変化してしまうこともある。即ち、上述の画像パターンや色分布等の項目を利用する特殊原稿の識別においては、使用により発生する画像パターンの位置ずれや色ずれ等の変動を考慮しておかないと紙幣などの特殊原稿を適切に識別できないことになる。
【0006】
しかし、これらの変動は一般に小さくないため、そのような変動に十分に対応できるようにすると、逆に紙幣ではないものを紙幣であると誤認識する危険が高まってしまうという問題点があった。また、上述の特殊原稿識別機能を有する装置においては、その画像処理の手順の中に特殊原稿を識別する手順が画一的かつ不可避的に加えられているので、その分処理速度が低下してしまう。その結果、特殊原稿とは全く非類似な原稿の処理においても長い処理時間を要し、紙幣の偽造などを意図しない多くの使用者に対し迷惑をかけるものとなっていた。
【0007】
さらには、近年の様に画像処理装置のネットワーク化が進むと、画像を読み取る処理と、これを複製するという処理がそれぞれ別々の機械で行われることも多くなる。従って、画像の読み取り、及び、複製(印刷)のそれぞれの段階で独立に偽造防止を図らないと、効果的な偽造防止が達成できなくなってきている。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、処理速度の低下を抑制しつつ特殊原稿の識別精度を向上させて、効果的な紙幣等の偽造防止を図ることの可能な画像処理装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、画像処理装置において、印刷すべき画像を入力画像として外部から受取る受取手段と、前記入力画像が印刷される記録紙の紙質を識別する紙質識別手段と、前記紙質識別手段の識別結果に基づいて、識別特性を決定する識別特性決定手段と、前記識別特性決定手段により決定された識別特性に基づいて、前記入力画像が特殊画像であるか否かを判別する画像判別手段と、前記入力画像を印刷する印刷手段と、を有し、前記画像判別手段が前記入力画像を特殊画像であると判別した場合に、前記印刷手段は前記入力画像の画質を劣化させて印刷するように構成する。
【0010】
上記のように構成された画像処理装置によれば、紙質識別手段は、入力画像が印刷される記録紙の紙質を識別し、識別特性決定手段は識別された記録紙の紙質に応じて識別特性を決定する。画像判別手段は、決定された識別特性を用いて前記入力画像が紙幣等の特殊画像であるか否かを判別する。また印刷手段は、入力画像が紙幣等の特殊画像である場合には、その画質を劣化させて印刷する。
【0011】
【0012】
上記のように構成された画像処理装置によれば、印刷手段は、入力画像が紙幣等の特殊画像である場合には、その画質を劣化させて印刷する。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記識別特性決定手段は、複数の識別特性を予め記憶する識別特性記憶手段と、前記紙質識別手段の識別結果に基づいて前記複数の識別特性のうちの一つを選択する識別特性選択手段と、を有するように構成する。
【0013】
上記のように構成された画像処理装置によれば、識別特性選択手段は、紙質識別手段により識別された記録紙の紙質に応じて、識別特性記憶手段に記憶された識別特性のうち最適な識別特性を選択する。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の画像処理装置において、前記紙質識別手段は、前記記録紙のこしの強さ、及び、反射率の少なくとも一方を検出し、その結果に基づいて紙質を識別するように構成する。
【0015】
上記のように構成された画像処理装置によれば、紙質識別手段は記録紙のこしの強さ、及び、反射率の一方、または、両方を検出し、その結果に基づいて記録紙の紙質を識別する。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記紙質識別手段は、前記記録紙の重さ、厚さ、透過率、誘電率、摩擦係数、表面粗さ、及び、含水率のうちの一以上を検出し、その結果に基づいて紙質を識別するように構成する。
【0017】
上記のように構成された画像処理装置によれば、紙質識別手段は記録紙の重さ、厚さ、透過率、誘電率、摩擦係数、表面粗さ、及び、含水率のうちの一以上を検出し、その結果に基づいて、記録紙の識別を行う。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[1]第1の実施形態
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。第一の実施形態は本発明を紙幣等の偽造防止機能を備えたプリンタに適用したものである。
【0028】
図1は、第1の実施形態に係る紙幣偽造防止機能付きプリンタの構成を示すブロック図である。図1に示すように、プリンタ2は外部から印刷すべき画像データ4を入力される。プリンタ2は、CPU(Central Processing Unit )10と、ROM(Read Only Memory)12と、印刷ヘッド14と、識別センサー16と、を有しており、内部に記録紙18が配置されている。識別センサー16は記録紙18の特性を検知し、CPU10に記録紙の検出データを出力する。CPU10は外部から画像データ4を受け取り、ROM12に記憶されている特性データと識別センサー16から得られる検出データを受け取り、印刷ヘッド14を駆動させて、記録紙18上に画像を形成する。
【0029】
ROM12の内部には、入力された画像データ4が紙幣、有価証券等の画像(以下、「特殊画像」という。)であるか否かを識別するための特性を記憶する特性記憶部30が設けられ、特性記憶部30には一の識別特性である第一特性値32と、他の識別特性である第二特性値34とが記憶されている。
【0030】
CPU10は、色変換部20と、印刷ヘッド制御部22と、偽造防止処理部24と、特性選択部26と、記録紙識別部28と、を有している。記録紙識別部28は、識別センサー16から出力される検出データを受け取り、特性選択部26に紙質データを出力する。特性選択部26は、記録紙識別部28が出力する紙質データを受け取り、その内容に応じて特性値記憶部30内に記憶された第一特性値32又は第二特性値34のいずれかを偽造防止処理部24に供給する。偽造防止処理部24は特性選択部26が出力する特性値と、外部から入力される画像データ4を受け取り、色変換部20へ色変換データを出力する。色変換とは、印刷ヘッドを適切に駆動して画像データを印刷するために行なわれる処理であり、色変換データは印刷に用いられるインクの特性等に応じて定められる。色変換部20は、偽造防止処理部24が出力する色変換データに基づいて外部から入力される画像データ4に色変換を施し、印刷ヘッド制御部22に印刷データを出力する。印刷ヘッド制御部22は、色変換部20が出力する印刷データを受け取り、印刷ヘッド14を駆動して記録紙18上に画像データ4に対応する画像を形成する。
【0031】
なお、上記の構成において、識別センサー16及び記録紙識別部28が紙質識別手段に相当し、特性選択部26が識別特性決定手段及び識別特性選択手段に相当し、偽造防止処理部24が画像判別手段に相当する。また、色変換部20、印刷ヘッド制御部22及び印刷ヘッド14が印刷手段に相当し、特性記憶部30が識別特性記憶手段に相当する。
【0032】
次に、偽造防止処理部24及び色変換部20の行なう偽造防止処理について説明する。本発明の偽造防止処理は、以下の点に着目したものである。
偽造防止を図る必要のある原稿は、法律で禁止されているものの他にも多数存在するが、それらの原稿の複写をすべて禁止しようとすると、印刷できる原稿が非常に限られてしまい、印刷装置としての使命を果たせなくなってしまう。そこで、我々人間は紙幣などを識別する際には、細かな紙幣のパターンや色の違いを常に意識しているわけではなく、むしろ紙幣の感触によって識別している場合が多いということに注目する。
【0033】
本発明の偽造防止処理は、入力画像が紙幣等の特殊画像に該当するか否かを判断し、特殊画像に該当する場合には入力画像を劣化させて印刷する、という方法で行なう。ここで上記の着眼点より、画像データが印刷される記録紙の紙質が紙幣等の紙質と近似しているか否かに応じて、入力画像が特殊画像に該当するか否かを判断する基準を変えてやる。即ち、プリンタ等の印刷装置が印刷を行なおうとする記録紙の紙質が紙幣に近似する場合には、多少でも紙幣等に類似した入力画像は全て特殊画像と判断されるように基準を設定する。一方、紙幣等に近似していない記録紙に印刷する場合には、入力画像がよほど特殊画像に類似していない限り特殊画像とは判断しないように基準を設定する。そして、このような操作により特殊画像と判断された入力画像は、画質を劣化させて印刷等を行なうことで偽造防止を行なう。このように、記録紙の紙質に応じて入力画像が特殊画像に該当するか否かの判断基準を制御することにより、高い精度で特殊画像を検出して偽造防止を行いながらも、特殊画像に類似しない多様な画像を迅速に印刷することが可能となる。
【0034】
具体的には、特性記憶部30に、画像データ4が特殊画像であるか否かを識別するための基準となる情報として、第一特性値32及び第2特性値34を記憶しておく。この情報は、色分布の情報であっても画像パターンの情報であってもかまわない。以下、色分布の情報を用いて特殊画像の識別を行なう場合について図2を参照して説明する。
【0035】
図2(A)は、第1特性値32の色分布領域を示し、図2(B)は第2特性値34の色分布領域を示す。図2(A)及び図2(B)において、各座標軸は画像データに含まれる赤(R軸)、青(B軸)及び緑(G軸)の成分量を示し、座標軸上の雲型の領域(灰色の部分)がその特性によって定義される色分布領域を表わす。即ち、印刷すべき画像データ4の色分布が上記の雲型の領域内部に存在すれば当該画像データは特殊画像であると判断され、雲型の領域外部に存在すれば当該画像データは特殊画像では無いと判断されることになる。ここで、第一特性値32には紙幣の色分布であって退色などに基づく色ずれを考慮した色分布領域を設定し、第二特性値34には標準的な紙幣の色分布を設定している。即ち、両者とも特殊画像として紙幣の画像を検出するための色分布領域を示すが、第一特性値32は通常より広めの基準を設定しているので、退色や汚れによって多少の色ずれ等が生じていても当該画像を紙幣と認識することができる。一方、第二特性値34は第一特性値32より狭い通常の基準色分布領域を設定しているので、標準とされる新札の紙幣にかなり近い画像のみを紙幣と認識することになる。
【0036】
具体的な偽造防止処理は以下のように行なわれる。
まず、識別センサー16と記録紙識別部28を用いて記録紙18が紙幣の紙質に近似するか否かを判定する。なお、この紙質の判定方法については後述する。記録紙18の特性が紙幣の紙質と近似するときには図2(A)に示す第一特性値32を用いて画像データ4を識別し、近似しないときは図2(B)に示す第二特性値34を用いて画像データ4を識別する。これにより、記録紙18が紙幣の紙質に近似している時は、紙幣とある程度似たような色分布を示す画像を全て特殊画像であると判断できるので、退色、変色などにより多少色分布の変化した紙幣の画像データを利用して紙幣を偽造せんとする行為を有効に防止することができる。この場合には、色変換装部20は、画像データ4に対して故意的に変色、退色等を加える様な色変換を行ない(以下、「劣悪な色変換」と呼ぶ。)、特殊画像に該当する入力画像が高画質で記録紙に印刷されることを防止する。
【0037】
一方、記録紙18が紙幣の紙質に近似していないときは、入力画像データを紙幣などの特殊画像であると判定する色分布領域が狭くなるので、よほど紙幣に類似した画像でないかぎり特殊画像と判断されることはなく、多様な画像の印刷を行なうことができる。この場合には、色変換部20は、画像データ4を高画質で印刷するような色変換(以下、「最適な色変換」と呼ぶ。)を行なう。つまり、記録紙18が紙幣の紙質に似ていないときは、特殊画像を印刷してもこれを紙幣等と誤認することは少ないと考えられるので、原画像データに忠実な高画質の印刷を行なうのである。
【0038】
次に、図3を参照して、偽造防止処理を含む、プリンタ2による印刷動作について説明する。
まず、外部より印刷の開始が指示される(ステップS1)。すると、CPU10は識別センサー16の検出データを読み取り、これを記録紙識別部28に入力する(ステップS2)。記録紙識別部28はこの検出データに基づいて、記録紙18が特殊な記録紙(以下、「特殊紙」という。)に該当するか否かを判定する(ステップS3)。ここで、特殊紙とは、紙幣、有価証券等とほぼ同質の記録紙を指すが、その具体的な識別方法は後述する。特殊紙である場合には、記録紙識別部28が特性選択部26に対しROM12の特性記憶部30から第一特性値32を読み取るように指示し、これを偽造防止処理部24に出力する(ステップS4)。偽造防止処理部24は、第一特性値32に基づいて画像データ4を識別し、入力画像データが特殊画像に該当するかを判定する(ステップS5)。一方、ステップS3において、記録紙18が特殊紙ではないと判定された場合には、特性選択部26は第二特性値34を読み取り(ステップS9)、この特性に基づいて入力画像データ4が特殊画像に該当するか否かを判断する(ステップS5)。
【0039】
画像データ4が特殊画像に該当する場合には、色変換部20に劣悪な色変換を行なうように指示し、色変換部20は画像データ4のデータに基づいて劣悪な色変換を行なう(ステップS6)。一方、画像データ4が特殊画像ではないと判定されると、偽造防止処理部24は色変換部20に最適な色変換を行なうように指示し、色変換部20は画像データ4に基づいて最適な色変換を行なう(ステップS10)。色変換されたデータは印刷ヘッド制御部22で印刷ヘッド14の制御信号に変換される(ステップS7)。そして、印刷ヘッド14を駆動し記録紙18上に画像が形成される(ステップS8)。
【0040】
これにより、以下のような効果が期待できる。今日の画像処理機器はネットワーク化が進んだため、スキャナなどの画像読み取り装置で原稿を画像データに変換し、パソコン上で動作する画像処理アプリケーションで色の調整を行ない、プリンタなどの印刷装置で画像を出力することができる。さらに、既に提供されている個々の機器には複製が法律で禁止されている紙幣などの特殊な原稿に対する偽造防止機構というものが採用されていないものもあるため、前述のようなネットワーク機構を用いることで偽造を行うことができてしまう。しかし、そのような場合においても、最終的に画像を印刷するプリンタに偽造防止機構を備えれば偽造を防止することが可能となる。
【0041】
なお、上述の偽造防止処理は、以下のようにしてもよい。即ち、第一特性値32には紙幣の色分布領域を特殊画像の色分布領域として記憶し、第二特性値34には国債などの有価証券の色分布領域を特殊画像の色分布領域として記憶する。図3のステップS3においては、記録紙18の紙質が紙幣に近似しているか、有価証券に近似しているかを検出する。そして、紙幣の紙質に近似している場合には、ステップS5において、紙幣の色分布領域を示す第一特性値32を用いて特殊画像であるか否かを判断し、その結果に応じて色変換を行なう(ステップS6又はS10)。一方、記録紙18の紙質が有価証券に近似している場合には、ステップS5において、有価証券の色分布領域を示す第二特性値34を用いて特殊画像であるか否かを判断し、その結果に応じて色変換を行なう(ステップS6又はS10)。このようにすれば、紙幣及び有価証券の両者について適切な偽造防止が可能となる。
【0042】
また、さらに別の方法としては、第一特性値32の代わりに偽造防止処理部24の動作を指示する信号を記憶し、第二特性値34の代わりに偽造防止処理部24の動作を停止させる信号を記憶する。そして、記録紙18が特殊紙である場合には偽造防止処理を行なうが、特殊紙でない場合には偽造防止処理を行なわないようにする。このようにすれば、記録紙18として紙幣等に近似した特殊な紙を用いない限り偽造防止処理は行なわれず、余分な処理を省略することができるため印刷処理の時間を短縮することができる。
【0043】
続いて、記録紙が特殊紙であるか否かを識別する方法について説明する。この識別は記録紙センサー16により行なわれる。この場合、紙の様々な特性を識別に利用することが考えられる。
【0044】
まず、図4を参照してその第一の具体例について説明する。この第一の具体例では紙のこしの強さを検出して記録紙を識別する。図4は、識別センサー16の第一の具体例として、記録紙18を印刷ヘッド14に供給するまでの経路の一部が示されている。まず、図4に基づいて、当該記録紙センサー16の構成について説明する。この第一の具体例による記録紙センサー16は、両端に第一駆動ローラ60aと第二駆動ローラ60bが配設されている。記録紙18が搬送される両者間の経路を搬送経路66とする。第一駆動ローラ60aと第二駆動ローラ60bの間には分離ガイド62が配設されており、搬送経路66は分離ガイド62により、該分離ガイド62の上側の第一搬送経路66aと下側の第二搬送経路66bに分離されている。第一搬送経路66aの途中にはスイッチ64が配設されている。
【0045】
次に、記録紙識別動作について説明する。
記録紙18は図示しないペーパーカセットより取り出され、第一駆動ローラ60aにより搬送経路66に送られる。記録紙18の搬送が進むと、その紙のこしの強さに応じ、第一搬送経路66aか第二搬送経路66bのいずれかを通過する。即ち、記録紙18のこしが強い場合は第一搬送経路66a(図4の18aの状態)を通過し、こしが弱い場合は第二搬送経路66b(図4の18bの状態)を通過する。第一搬送経路66aを通過する場合には、記録紙18がスイッチ64をONの状態にするが、第二搬送経路66bを通過する場合はスイッチ64はOFFのままである。よって、スイッチ64のON/OFFを検出すれば、記録紙18のこしの強さを判別することができる。図1の記録紙識別部28はこのスイッチ64の信号を受け取ることで記録紙18の種類を識別することができる。その後記録紙18はさらに搬送され、第二駆動ローラ60bにより、印刷ヘッド14の印刷位置に移送され、ヘッド制御信号に基づいて印刷が行なわれる。
【0046】
次に、記録紙センサー16の第二の具体例について説明する。この第二の具体例では、記録紙18の反射率を検出して記録紙を識別する。まず、図5に基づいて、当該記録紙センサー16の構成について説明する。記録紙18はペーパーカセット70内に備えられている。ペーパーカセット70の上部には、記録紙18をペーパーカセット70から取り出す半月ローラ72と、記録紙18の反射率を測定するホトセンサー74が備えられている。ホトセンサー74は、発光部76と受光部78とを有している。
【0047】
続いて、動作について説明する。プリンタ2が印刷を開始しようとすると、半月ローラ72が回転し、ペーパーカセット70から記録紙18を1枚取り出す。この時、ホトセンサー74の発光部76が点灯する。発光部76から放射される光は記録紙18に照射され、記録紙18の反射率に基づいて所定量反射される。反射された光は受光部78で受光され、ホトセンサー74はその光量に基づく信号を出力する。ホトセンサー74からの出力光と反射光の信号レベルを検出することで当該記録紙18の反射率が得られ、これにより記録紙18の種類を識別することができる。
【0048】
上記実施の形態では記録媒体識別手段として、記録紙18の反射率とこしの強さを識別するものを取り上げたが、本発明はこれに限定されるものではないことは言うまでもない。この他にも、記録紙18の透過率の差を識別するものでも適用できるし、さらには、記録紙18の重さ、厚さ、含水率、誘電率、摩擦係数、表面粗さ等の差を識別する機構を用いても良い。これらは、いずれも既知の方法で検出することができる。また、記録紙18にバーコードや視認できない特殊なマークを取り付け、このマークを識別する手法でも本発明を適用する事ができる。
[2]第2の実施形態
続いて、第二の実施形態として本発明をスキャナなどの画像読み取り装置に適用した場合を説明する。この第2の実施形態においては、読み取るべき画像が形成されている原稿の紙質が紙幣等の紙質と近似しているか否かに応じて、当該画像が特殊画像に該当するか否かを判断する基準を変えてやる。即ち、スキャナ等の読取装置が読み取りを行なう原稿の紙質が紙幣に近似する場合には、多少でも紙幣等に類似した画像は全て特殊画像と判断されるように基準を設定する。一方、原稿の紙質が紙幣等に近似していない場合には、その原稿の画像がよほど特殊画像に類似していない限り特殊画像とは判断しないように基準を設定する。そして、このような操作により特殊画像と判断された画像は、画質を劣化させた画像データとして出力することで偽造防止を行なう。
【0049】
まず、図6を参照してその構成について説明する。
図6は本発明の第2の実施形態に係るスキャナの構成を示すブロック図である。図示のように、スキャナ40は、CPU46と、CCDセンサー48と、センサー50と、ROM58と、を有している。CCDセンサー48は外部に配置される原稿42を読み取り、CPU46に読取画像データを出力する。センサー50は原稿42の紙質を識別し、CPU46に紙質データを出力する。CPU46はセンサー50とCCDセンサー48のデータを受け取り、画像データ44を出力する。
【0050】
ROM58は、図1に示される第1の実施形態に係るROM12と同様の構成を有する。即ち、ROM58の内部には、読取画像データが特殊画像であるか否かを識別するための特性を記憶する特性記憶部60が設けられ、特性記憶部60には第一特性値62と第二特性値64とが記憶されている。
【0051】
CPU46は、偽造防止処理部52と、色変換部54と、特性選択部55と、原稿識別部56と、を有している。原稿識別部56はセンサー50から出力される紙質データを受け取り、特性選択部55に紙質データを出力する。特性選択部55は、原稿識別部56が出力するデータを受け取り、その内容に応じて特性記憶部60内に記憶された第1特性値62又は第2特性値64のいずれかを偽造防止処理部52へ供給する。偽造防止処理部52は、特性選択部55が出力する特性値とCCDセンサー48が出力する画像データを受け取り、色変換部54に色変換データを出力する。色変換部54は、CCDセンサー48が出力する画像データに対し、偽造防止処理部52が出力する色変換データに基づいて色変換処理を施し、画像データ44をスキャナ40外部へ出力する。
【0052】
なお、上記の構成において、センサー50及び原稿識別部56が紙質識別手段に相当し、CCDセンサー48が画像読取手段に相当し、特性選択部55が識別特性決定手段及び識別特性選択手段に相当し、特性記憶部60が識別特性記憶手段に相当する。また、偽造防止処理部52が画像判別手段に相当し、色変換部54が出力手段に相当する。
【0053】
続いて、偽造防止動作を含む、スキャナ40による画像読み取り処理について図7を参照して説明する。
まず、原稿42の読み取り開始が指示される(ステップS20)。すると、CPU46はセンサー50から紙質データを受け取り、これを原稿識別部56に入力する(ステップS21)。原稿識別部56は、この紙質データに基づき、原稿の紙質が特殊紙であるか否かを判定する(ステップS22)。特殊紙である場合には、原稿識別部56が特性選択部55に対しROM58の特性記憶部60から第一特性値62を読み取るように指示し、これを偽造防止処理部52に出力する(ステップS23)。偽造防止処理部52は、第一特性値62に基づいてCCDセンサー48から供給される読取画像データを識別し、これが特殊画像に該当するかを判定する(ステップS24)。一方、ステップS22において、原稿が特殊紙ではないと判定された場合には、特性選択部55は第二特性値64を読み取り(ステップS28)、この特性に基づいて読取画像データが特殊画像に該当するか否かを判断する(ステップS24)。
【0054】
読取画像データが特殊画像に該当する場合には、色変換部54に劣悪な色変換を行なうように指示し、色変換部54は読取画像データに基づいて劣悪な色変換を行なう(ステップS25)。一方、読取画像データが特殊画像ではないと判定されると、偽造防止処理部52は色変換部54に最適な色変換を行なうように指示し、色変換部54は読取画像データに対して最適な色変換を行なう(ステップS29)。色変換により作成された画像読取信号は、画像データ44としてスキャナ40から外部へ出力される(ステップS26、S27)。
【0055】
このように、原稿の紙質に応じてその画像が特殊画像に該当するか否かの判断基準を制御することにより、高い精度で特殊画像を検出して偽造防止を行いながらも、多様な画像の読み取りを迅速に行なうことが可能となる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の画像処理装置によれば、記録紙が紙幣などの紙質に近似しているかを識別し、記録紙の紙質に応じてその画像が特殊画像であるか否かを判定する基準を制御する。従って、有効に偽造防止を行ないながらも多様な原稿の画像処理を迅速に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るプリンタの構成を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態に係るプリンタの特性記憶部に記憶される特性を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るプリンタの動作を説明するフローチャートである。
【図4】記録媒体識別手段の第一の具体例を示す図である。
【図5】記録媒体識別手段の第二の具体例を示す図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る画像読取装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10…CPU
12…ROM
16…識別センサー
18…記録紙
24…偽造防止処理部
26…特性選択部
28…記録紙識別部
30…特性記憶部
32…第一特性値
34…第二特性値
48…CCDセンサー
50…センサー
52…偽造防止処理部
56…原稿識別部

Claims (4)

  1. 印刷すべき画像を入力画像として外部から受取る受取手段と、
    前記入力画像が印刷される記録紙の紙質を識別する紙質識別手段と、
    前記紙質識別手段の識別結果に基づいて、識別特性を決定する識別特性決定手段と、
    前記識別特性決定手段により決定された識別特性に基づいて、前記入力画像が特殊画像であるか否かを判別する画像判別手段と、
    前記入力画像を印刷する印刷手段と、
    を有し、
    前記画像判別手段が前記入力画像を特殊画像であると判別した場合に、前記印刷手段は前記入力画像の画質を劣化させて印刷することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記識別特性決定手段は、複数の識別特性を予め記憶する識別特性記憶手段と、前記紙質識別手段の識別結果に基づいて、前記複数の識別特性のうちの一つを選択する識別特性選択手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記紙質識別手段は、前記記録紙のこしの強さ、及び、反射率の少なくとも一方を検出し、その結果に基づいて紙質を識別することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
  4. 前記紙質識別手段は、前記記録紙の重さ、厚さ、透過率、誘電率、摩擦係数、表面粗さ、及び、含水率のうちの一以上を検出し、その結果に基づいて紙質を識別することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
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